JP2010095689A - ポリシロキサン化合物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 遊離フェノール性水酸基を有するポリシロキサン化合物に容易に変換可能なポリシロキサン化合物、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 式(1)のシラン化合物中にアルコキシ基1当量当り0.75〜10当量の水で加水分解した反応物で、29Si−NMR測定の珪素種T、T、T、Tと帰属される全シグナル中Tの面積が20〜100%であるポリシロキサン化合物、及び式(1)の化合物を加水分解するポリシロキサン化合物の製造方法。
【化1】
Figure 2010095689

【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリシロキサン化合物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、遊離フェノール性水酸基を有するポリシロキサン化合物に容易に変換可能なポリシロキサン化合物およびその製造方法に関する。
有機-無機ハイブリッド材料は予想外の特性を発揮しうる材料として現在注目されている。中でもトリアルコキシシラン化合物を原料に合成されるシルセスキオキサン化合物はそのキーマテリアルの一つと位置付けられる。実際、多様な構造のシルセスキオキサン化合物が現在までに合成されており、これを利用した材料開発に関する研究が盛んである。
現在までに様々な官能基を所有したシルセスキオキサン化合物の合成例が報告されているその一方で、フェノール性水酸基をその分子内に所有するシルセスキオキサン化合物の合成報告例は希有である。特にフェノール誘導型のトリアルコキシシラン化合物を原料に遊離フェノール性水酸基を所有するシルセスキオキサン化合物を選択的に合成するためには、加水分解条件下で進行するシロキサン架橋形成の最中に遊離フェノール性水酸基がもたらすフェノキシシラン種による架橋反応が併発しないよう反応を制御する必要がある。
本発明の目的は、遊離フェノール性水酸基を有するポリシロキサン化合物を効率的に与えることが可能なその前駆体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、遊離のフェノール性水酸基を発生しうる保護基でその水酸基を保護したままフェノール誘導型シラン化合物を加水分解させて、遊離フェノール性水酸基を有するポリシロキサン化合物に容易に変換可能なポリシロキサン化合物を効率的に与えるための製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物1当量あたり0.75〜10当量の水で加水分解して得られる反応物であって、29Si−NMR測定において、珪素種T、T、T、Tとして帰属される全シグナルのうちTシグナルの面積が20〜100%を占めるポリシロキサン化合物を提供する。
Figure 2010095689
(式中、mは1〜5の整数を表し、nは0〜10の整数を表し、kは1または2を表し、R〜R、及びR6〜R9は炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素置換基、またはベンゼン環に炭素数1〜10の飽和脂肪族置換基が0〜5個結合している芳香族炭化水素基を表し、RおよびRは水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素置換基、またはベンゼン環に炭素数1〜10の飽和脂肪族置換基が0〜5個結合している芳香族炭化水素基を表す。)
本発明はまた、前記一般式(1)で表されるシラン化合物1当量あたり0.75〜10当量の水で加水分解させる前記したポリシロキサン化合物の製造方法を提供する。
本発明はさらに、前記の製造方法により得られるポリシロキサン化合物を酸の存在下で加水分解させる遊離フェノール性水酸基含有型ポリシロキサン化合物の製造方法を提供する。
本発明により、効率的にフェノール性水酸基を有するポリシロキサン化合物を与えることが可能なポリシロキサン化合物およびその製造方法が提供される。また、前記のポリシロキサン化合物を遊離フェノール性水酸基含有型ポリシロキサン化合物に効率的に変換する製造方法が提供される。
本方法によれば、ゾルゲル反応時に水酸基が保護されているため、ゾルゲル反応時に遊離したフェノール性OH基とアルコキシシランの反応による部分3次元ゲル化や分子量分布の増大などが抑制され、低分子量で分子量分布がシャープな溶解性などに優れたポリシロキサン化合物を得ることができる。
本発明は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物1当量あたり0.75〜10当量の水で加水分解して得られる反応物であって、29Si−NMR測定において、珪素種T、T、T、Tとして帰属される全シグナルのうちTシグナルの面積が20〜100%を占めるポリシロキサン化合物を提供する。
Figure 2010095689
式(1)中、mは1〜5の整数を表し、nは0〜10の整数を表し、kは1または2を表す。
〜R、及びR6〜R9は炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素置換基、またはベンゼン環に炭素数1〜10の飽和脂肪族置換基が0〜5個結合している芳香族炭化水素基を表す。
およびRは水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素置換基、またはベンゼン環に炭素数1〜10の飽和脂肪族置換基が0〜5個結合している芳香族炭化水素基を表す。
一般式(1)で表されるシラン化合物は、アルカリ性条件下の加水分解において遊離フェノール性水酸基の発生を伴わずにシロキサン架橋形成のみが選択的に進行し、その後の酸性条件下の加水分解により容易に遊離フェノール性水酸基を発生させることができる構造のものである。すなわちフェノール性水酸基がアセタール構造により保護されたシラン化合物が使用される。そのようなシラン化合物の具体例として、1−[2−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、1−[3−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、1−[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、2−[2−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、2−[3−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、2−[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、1−メチル−2−[2−(1−ブトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、1−メチル−2−[3−(1−ブトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、1−メチル−2−[4−(1−ブトキシエトキシ)フェニル]エチルトリエトキシシラン、3−[2−(1−ブトキシエトキシ)フェニル]プロピルトリエトキシシラン、3−[3−(1−ブトキシエトキシ)フェニル]プロピルトリエトキシシラン、3−[4−(1−ブトキシエトキシ)フェニル]プロピルトリエトキシシラン、2−[2−(1−プロポキシエトキシ)フェニル]エチルトリメトキシシラン、2−[3−(1−プロポキシエトキシ)フェニル]エチルトリメトキシシラン、2−[4−(1−プロポキシエトキシ)フェニル]エチルトリメトキシシラン、3−[2−(1−ブトキシプロポキシ)フェニル]プロピルトリプロポキシシラン、3−[3−(1−ブトキシプロポキシ)フェニル]プロピルトリプロポキシシラン、3−[4−(1−ブトキシプロポキシ)フェニル]プロピルトリプロポキシシラン、1−メチル−1−[3−(1−メトキシエトキシ)−5−(1−エトキシエトキシ)フェニル]エチルトリメトキシシラン、1−[3,4,5−トリ(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)フェニル]プロピルトリエトキシシラン、1−[2,4,6−トリ(1−エトキシ−1−プロポキシ)フェニル]プロピルトリプロポキシシランなどを挙げることができる。
上記シラン化合物の加水分解により遊離フェノール性水酸基を発生させずにシロキサン架橋のみを進行させポリシロキサン化合物に誘導することができるアルカリ性触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、アンモニア水、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトライソプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトライソブチルアンモニウム、コリン等の水酸化物を例示することができる。使用量は一般式(1)で表されるシラン化合物に存在するアルコキシ基1当量に対し、アルカリ性触媒は0.0001〜1当量の使用が好ましい。
上記アルカリ性加水分解に用いる水の添加量は、一般式(1)で表されるシラン化合物に存在するアルコキシ基1当量に対し0.75〜10当量、好ましくは1.5〜5当量使用することが望ましい。
上記の加水分解によりポリシロキサン化合物に変換した後は、酸性触媒存在下の加水分解によりフェノール性水酸基を遊離させることができる。そのような酸性触媒としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸等のような無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トルフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸を例示することができる。使用量は一般式(1)で表されるシラン化合物に存在するアルコキシ基1当量に対し、酸性触媒は0.0001〜1当量の使用が好ましい。
上記酸性加水分解に用いる水の添加量は、一般式(1)のシラン化合物に存在するアルコキシ基1当量に対し0.01〜100当量、好ましくは1〜50当量使用することが望ましい。
また、加水分解反応では必要に応じて溶媒を使用することもできる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等が使用可能であるが、原料を完全に溶解しうる性質のものの使用が特に好ましく、中でもメタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等の使用が好適である。これら溶剤の使用量は使用原料に対する溶解性で変化するが、例えば一般式(1)のシラン化合物1重量部に対し100重量部以下、好ましくは0.1〜100、更に好ましくは0.2〜10重量部とするのがよい。
加水分解の反応温度は用いる溶剤や触媒種により異なるが、通常は0〜200℃の範囲、好ましくは25〜80℃の範囲とするのがよい。
本発明の加水分解反応により、原料シランに含まれる1個の珪素原子は最大3つのシロキサン結合を形成しうる。29Si−NMRでは、珪素原子1個当たりのシロキサン結合が0の時は最も低磁場の化学シフトのシグナルとして観測され、シロキサン結合の増加とともに化学シフトも順次高磁場にシフトする。これらシロキサン結合数nに由来するシグナルをTと帰属し、シロキサン結合数0〜3と対応させてT〜Tと表す。本発明で行われる加水分解の反応条件に従えば、Tシグナルの面積が20〜100%の範囲となるポリシロキサン化合物を合成することができ、反応条件の工夫で範囲の制御も可能である。特に用途によっては後述のエポキシ樹脂硬化剤としての利用を考える場合、Tシグナルの面積の範囲を40〜100%としたものが好ましい。
かくして得られるポリシロキサン化合物は遊離のフェノール性水酸基を発生させることでエポキシ樹脂硬化剤としての利用が可能である。すなわち、エポキシ樹脂組成物として用いることで、その硬化により有機-無機ハイブリッド構造を有するエポキシ樹脂硬化物を与える。
本発明のポリシロキサン化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤とともに使用することができるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ハロゲン型エポキシ樹脂など、分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。そのときの配合比は、ポリシロキサン化合物に含まれる遊離のフェノール性水酸基及びその保護体の共通構造であるフェノキシ基を1当量としたとき、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の当量が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2の範囲にあることが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化に際しては、硬化促進剤を併用することが望ましい。かかる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂をフェノール樹脂系硬化剤で硬化させるための公知の硬化促進剤を用いることができ、例えば第3級アミン、第4級アンモニウム塩、イミダゾール類、有機ホスフィン化合物、第4級ホスホニウム塩などを挙げることができる。より具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7などの第3級アミン、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p-メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、ビスフェノール類のテトラフェニルホスホニウム塩などのホスホニウム化合物を挙げることができる。その使用量は種類によっても異なるが、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲で使用するのが好ましい。
このほか本発明のエポキシ樹脂硬化剤には、必要に応じて、他種硬化剤、充填剤、カップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤、低応力剤などを、添加または予め反応して用いることもできる。
かくして本発明のポリシロキサン化合物をミキサーなどによりエポキシ樹脂をはじめとする上記配合剤と混合、熱ロールやニーダーなどによる混練、粉砕、などの一般的な手法を経て成形材料とする。そのエポキシ樹脂組成物の硬化は、例えば100〜250℃の温度範囲で行うことができ、有機-無機ハイブリッド構造を有する成形体とすることができる。
以下に実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
本発明における分析方法は、下記の方法により行なった。
(1)溶融粘度
ICI溶融粘度計により150℃時の溶融粘度を測定した。
(2)水酸基当量
JIS K0070に記載の電位差滴定法に準拠して測定した。
(参考例1)2−(1−ブトキシエトキシ)フェニルプロペンの合成
2−アリルフェノール134.8g(1000ミリモル)、ブチルビニルエーテル110.2g(1100ミリモル)、蓚酸二水和物0.05g(0.4ミリモル)の混合物を70℃で4時間保持した後、さらに蓚酸二水和物0.15g(1.2ミリモル)を加えて70℃で10時間保持することで反応物228.5gを得た。
(参考例2)3−(2−(1−ブトキシエトキシ)フェニル)プロピルトリエトキシシランの合成
トリエトキシシラン(東京化成工業(株)製)51.7g(315ミリモル)とトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(東京化成工業(株)製)0.56g(0.6ミリモル)の80℃の混合物に参考例1に記載の方法により合成した2−(1−ブトキシエトキシ)フェニルプロペン70.3g(300ミリモル)を滴下し4時間保持した。冷却後、反応液にヘプタン180g、N,N-ジメチルホルムアミド60gを加えて激しく攪拌した。分離した反応液の上層のみを回収し、これにメタノール5gを加えて攪拌し分離する下層成分を除去するこの操作を3回繰り返した。得られるヘプタン層を減圧留去することで、3−(2−(1−ブトキシエトキシ)フェニル)プロピルトリエトキシシラン77.6gを得た。
(実施例1)3−(2−(1−ブトキシエトキシ)フェニル)プロピルトリエトキシシラン由来ポリシロキサン体Aの合成
参考例2記載の3−(2−(1−ブトキシエトキシ)フェニル)プロピルトリエトキシシラン31.8g(80ミリモル)、26%−水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液3.9g、テトラヒドロフラン40gの混合物を室温で2時間攪拌した後、テトラヒドロフラン還流下で2時間保持した。冷却後、反応溶液に4−メチル−2−ペンタノン40gと飽和食塩水40gを加えて攪拌し、分離した反応液の上層のみを回収した。この上層に再び飽和食塩水を加えて攪拌し、分離した下層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した。回収した上層は硫酸マグネシウム2gで乾燥させた。乾燥後、水分を吸着した硫酸マグネシウムを濾過により除去して得られる溶液を減圧留去することで、ポリシロキサン体A18.9g(黄褐色の粘稠な液体)を得た。
得られたポリシロキサン体Aの29Si−NMRチャートを図1に、IRチャートを図2に示した。図1より、観測されたシグナルはその化学シフトから珪素種T2およびT3に帰属される。そのうちT3シグナルの面積は全シグナルの面積の80%であった。図2では水酸基に由来する伸縮振動のピーク強度が小さく、アセタール構造がアルカリ性加水分解条件下で保持されることがわかる。
(実施例2)ポリシロキサン体A由来遊離フェノール性水酸基含有ポリシロキサン体Bの合成
実施例1記載のポリシロキサン体A8.61g(アセタール当量として287g/eq)、蓚酸二水和物0.04g、水7.5g、メタノール7.5gの混合物を50℃で2時間攪拌し、冷却後、反応溶液に4−メチル−2−ペンタノン30gを加えて攪拌し、分離した反応液の上層のみを回収した。この上層に再び水を加えて攪拌し、分離した下層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した。回収した上層は硫酸マグネシウム1gで乾燥させた。乾燥後、水分を吸着した硫酸マグネシウムを濾過により除去して得られる溶液を減圧留去することで、ポリシロキサン体B5.0g(黄褐色の粘稠な液体)を得た。
得られたポリシロキサン体Bの29Si−NMRチャートを図3に、IRチャートを図4に示した。図3より、観測されたシグナルはその化学シフトから珪素種TおよびTに帰属される。そのうちT3シグナルの面積は全シグナルの面積の83%であった。図4では水酸基に由来する伸縮振動のピークがポリシロキサン体Aのそれより大きくなっており、アセタール構造が加水分解されて遊離のフェノール性水酸基を発生したことがわかる。
(参考例3)2−アセトキシフェニルプロペンの合成
2−アリルフェノール134.8g(1000ミリモル)をピリジン150gに溶解させた後、無水酢酸105.11g(1010ミリモル)を10分かけて滴下し、50℃で1時間保持した。冷却後、ヘプタン100gを加え、これに10%食塩水50gを加えて攪拌し分離する下層成分を除去するこの操作を5回繰り返した。得られるヘプタン層を減圧留去することで、2−アセトキシフェニルプロペン171.8gを得た。
(参考例4)3−(2−アセトキシフェニル)プロピルトリエトキシシランの合成
トリエトキシシラン51.7g(315ミリモル)とトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド0.56g(0.6ミリモル)の80℃の混合物に参考例3に記載の方法により合成した2−アセトキシフェニルプロペン52.86g(300ミリモル)を滴下し4時間保持した。冷却後、反応液にヘプタン180g、N,N-ジメチルホルムアミド60gを加えて激しく攪拌した。分離した反応液の上層のみを回収し、これにメタノール5gを加えて攪拌し分離する下層成分を除去するこの操作を3回繰り返した。得られるヘプタン層を減圧留去することで、3−(2−アセトキシフェニル)プロピルトリエトキシシラン66.21gを得た。
(比較例1)遊離フェノール性水酸基含有3−(2−アセトキシフェニル)プロピルトリエトキシシラン由来ポリシロキサン体Cの合成
86%水酸化カリウム13.0g(200ミリモル)、水2.7g(150ミリモル)、エタノール40g、参考例4に記載の3−(2−アセトキシフェニル)プロピルトリエトキシシラン17.0g(50ミリモル)の混合物を80℃で24時間保持した。冷却後、反応溶液に4−メチル−2−ペンタノン100gと4%塩酸200gを加えて分液させ下層を除去した。回収した上層は10%食塩水50gで5回洗浄した後、硫酸マグネシウム3gで乾燥させた。乾燥後、水分を吸着した硫酸マグネシウムを濾過して除去して得られる溶液を減圧留去することで、ポリシロキサン体C7.8g(淡黄色透明のガラス状固体)を得た。その29Si−NMRチャートを図5に、IRチャートを図6に示した。
実施例2および比較例1に記載の遊離フェノール性水酸基含有ポリシロキサン化合物BおよびCの性状を表1に示す。
Figure 2010095689
表1のポリシロキサン化合物Bは、ポリシロキサン化合物Cと比べて粘度、水酸基当量、数平均分子量、Mw/Mn比のいずれの値も小さい。これらのことより、実施例2が与えるポリシロキサン化合物Bは、シロキサン架橋形成反応とその後の脱保護反応が同時進行せずにそれぞれ精密に制御されて合成されたことがわかる。
実施例1で得られたポリシロキサン体Aの29Si−NMRチャートである。 実施例1で得られたポリシロキサン体AのIRチャートである。 実施例2で得られたポリシロキサン体Bの29Si−NMRチャートである。 実施例2で得られたポリシロキサン体BのIRチャートである。 比較例1で得られたポリシロキサン体Cの29Si−NMRチャートである。 比較例1で得られたポリシロキサン体CのIRチャートである。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるシラン化合物に存在するアルコキシ基1当量あたり0.75〜10当量の水で加水分解して得られる反応物であって、29Si−NMR測定において、珪素種T、T、T、Tとして帰属される全シグナルのうちTシグナルの面積が20〜100%を占めるポリシロキサン化合物。
    Figure 2010095689
    (式中、mは1〜5の整数を表し、nは0〜10の整数を表し、kは1または2を表し、R〜R、及びR9は炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素置換基、またはベンゼン環に炭素数1〜10の飽和脂肪族置換基が0〜5個結合している芳香族炭化水素基を表し、R〜R8は水素原子、炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素置換基、またはベンゼン環に炭素数1〜10の飽和脂肪族置換基が0〜5個結合している芳香族炭化水素基を表す。)
  2. 前記加水分解反応を、アルカリの存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載のポリシロキサン化合物。
  3. 前記加水分解反応を、有機溶剤の共存下で行うことを特徴とする請求項1または2に記載のポリシロキサン化合物。
  4. 前記Tシグナルの面積が40〜100%を占めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリシロキサン化合物。
  5. 前記一般式(1)中、mが1、R〜R8が水素原子である請求項1〜4のいずれかに記載のポリシロキサン化合物。
  6. 前記一般式(1)で表されるシラン化合物に存在するアルコキシ基1当量あたり0.75〜10当量の水で加水分解させる請求項1〜5のいずれかに記載のポリシロキサン化合物の製造方法。
  7. 前記加水分解をアルカリの存在下で行うことを特徴とする請求項6に記載のポリシロキサン化合物の製造方法。
  8. 前記加水分解を、有機溶剤の共存下で行うことを特徴とする請求項6または7に記載のポリシロキサン化合物の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリシロキサン化合物のアセタール構造を酸の存在下で加水分解させる遊離フェノール性水酸基含有型ポリシロキサン化合物の製造方法。
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