JP2010093105A - 被成型品保持装置、型保持装置および転写装置 - Google Patents

被成型品保持装置、型保持装置および転写装置 Download PDF

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Abstract

【課題】型の平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に転写するときに、転写不良の発生を抑制する。
【解決手段】型Mに形成されている微細な転写パターンを、被成型品Wに転写するときに、被成型品Wを保持する被成型品保持装置5において、平板状に形成され厚さ方向の一方の面の中央部で被成型品Wを保持する被成型品保持体15と、平板状に形成され被成型品保持体15から離れて設けられたベース部材17と、被成型品保持体15とベース部材17とで挟まれ、被成型品保持体15の厚さ方向から見たときに、被成型品保持体15の中央部に設けられている緩衝材19とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、被成型品保持装置、型保持装置および転写装置に係り、特に、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写するときに使用するものに関する。
近年、電子線描画法などで石英基板等に超微細な転写パターンを形成してモールド(テンプレート;スタンパ;型)を作製し、被成モールド品として被転写基板表面(基材の表面)に形成されたレジスト膜(たとえば、UV硬化樹脂や熱可塑性樹脂で構成されたレジスト膜)に前記モールドを所定の圧力で押圧して、当該モールドに形成された転写パターンを転写するナノインプリント技術が研究開発されている(非特許文献1参照)。
また、従来のナノインプリント技術による転写では、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する場合、型を型保持体の平面に設置し、被成型品を被成型品保持体の平面(型保持体の平面に対して高い精度で平行になっている平面)に設置し、高精度の駆動機構を駆動して型で被成型品をプレスしている。
なお、上記従来の転写に関連する特許文献として、たとえば、特許文献1を掲げることができる。
Precision Engineering Journal of the International Societies for Precision Engineering and Nanotechnology 25(2001) 192−199 特開2004−34300号公報
ところで、上記従来の技術による転写では、型や被成型品の平面度や平行度(平板状の型の厚さ方向の一方の面と他方の面との平行度や、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面と他方の面との平行度)にばらつきがある場合、これらのばらつきに応じて、各ショット(各プレス動作)毎に型保持体や被成型品保持体が追従できず、転写不良が発生する場合があるという問題がある。
上記転写不良として、片当たり(被成型品の一方の側にのみ転写がされ他方の側には転写がされない事態)、中抜け(被成型品の周縁部にのみ転写がされ中央部には転写がされない事態)等の不規則な空白(転写がされないか不十分な箇所)が生じる事態を掲げることができる。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、型の平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に転写するときに、転写不良の発生を抑制することができる被成型品保持装置、型保持装置および転写装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、型の平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に転写するときに、前記被成型品を保持する被成型品保持装置において、平板状に形成され、厚さ方向の一方の面の中央部に前記被成型品の厚さ方向の他方の面を接触させて前記被成型品を保持する被成型品保持体と、平板状に形成され、前記被成型品保持体の厚さ方向の他方の側で前記被成型品保持体から離れて設けられたベース部材と、前記被成型品保持体と前記ベース部材とで挟まれ、前記被成型品保持体の厚さ方向から見たときに、前記被成型品保持体の中央部に設けられている緩衝材とを有する被成型品保持装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の被成型品保持装置において、前記被成型品保持体の厚さ方向の一方の面が、周辺部から中央部に向かうにしたがってごく僅かに凸になっている被成型品保持装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の被成型品保持装置において、前記緩衝材は、スペーサを伴って前記被成型品保持体と前記ベース部材との間に設けられており、前記被成型品保持体側に前記緩衝材が位置し、前記ベース部材側に前記スペーサが位置し、前記被成型品保持体の厚さ方向からみたときに、前記被成型品保持体に保持されている被成型品に比べて、前記スペーサの前記ベース部材への接触面が十分に小さく形成されている被成型品保持装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の被成型品保持装置において、前記被成型品を保持する前記被成型品保持体の一方の面を変形させるか、傾けるかの少なくともいずれかをおこなうために、前記被成型品保持体の周辺部に外力を付与する外力付与手段を有する被成型品保持装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被成型品保持装置と、前記型を保持し、前記被成型品保持装置に保持されている被成型品に前記微細な転写パターンを転写するために、前記被成型品保持装置に対して接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在な型保持体とを有する転写装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被成型品保持装置と、微細な転写パターンが形成されているシート状の型であって周辺部が環状のシート状部材保持具によって支持されていることにより中央部で平板状になっている型を、この型の平板状になっている部位が前記被成型品保持体の厚さ方向の一方の面とほぼ平行になるように、また、この平行状態を保ったまま前記被成型品保持体に対して接近・離反する方向で相対的に移動するように支持する型支持装置と、前記型支持装置に支持されている型を間にして前記被成型品保持体とは反対側に設けられ、前記被成型品保持装置に保持されている被成型品に、前記型支持装置に支持されている型の微細な転写パターンを転写すべく、前記被成型品保持装置に対して接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在な押圧体とを有する転写装置である。
請求項7に記載の発明は、平板状の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを、被成型品の平面状の部位に転写するときに、前記型を保持する型保持装置において、平板状に形成され、厚さ方向の一方の面の中央部に前記型の厚さ方向の他方の面を接触させて前記型を保持する型保持体と、平板状に形成され、前記型保持体の厚さ方向の他方の側で前記型保持体から離れて設けられたベース部材と、前記型保持体と前記ベース部材とで挟まれて、前記型保持体の厚さ方向から見たときに、前記型保持体の中央部に設けられている緩衝材とを有する型保持装置である。
請求項8に記載の発明は、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置において、前記型を保持する型保持体と、前記被成型品を保持する被成型品保持体と、前記転写をすべく前記型で前記被成型品を押圧するときに、前記被成型品保持体に保持されている被成型品をごく僅かに中凸にすると共に、前記被成型品保持体に保持されている被成型品の姿勢を前記型保持体に保持されている型に追従させる被成型品変形追従手段、前記転写をすべく前記型で前記被成型品を押圧するときに、前記型保持体に保持されている型をごく僅かに中凸にすると共に、前記型保持体に保持されている型の姿勢を前記被成型品保持体に保持されている被成型品に追従させる型変形追従手段のうちの少なくともいずれかの手段とを有する転写装置である。
本発明によれば、型の平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に転写するときに、転写不良の発生を抑制することができるという効果を奏する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る転写装置1の概略構成を示す図である。
以下、説明の便宜のために、水平な一方向をX軸方向とし、水平な他の一方向であってX軸方向に垂直な方向をY軸方向とし、鉛直方向(上下方向)をZ軸方向とする。
転写装置(ナノインプリント装置)1は、型(モールド)Mの下面MAに形成されているたとえばナノオーダーの微細な転写パターンを、被成型品(被成型素材)Wの上面WAに転写する装置である。この転写は、型Mの下面MAを被成型品Wの上面WAに接触させて押圧(プレス)することに行われる。
上記転写の形態として、たとえば、UVインプリント法や熱インプリント法を掲げることができる。
まず、図2を参照してUVインプリント法について説明する。
転写装置1に、型Mと被成型品Wとが設置されており、図2(a)に示すように、被成型品Wの上面WAに、硬化前の紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)W1が薄く設けられており、このUV硬化樹脂W1の上方に、紫外線を透過する石英ガラス等で構成された型Mが位置しているものとする。なお、被成型品Wは、たとえば、樹脂やシリコンや金属で構成されているものとする。
図2(a)に示す状態から、型Mを下降させて、型MでUV硬化樹脂W1を押圧し紫外線(UV光)をUV硬化樹脂W1に照射しUV硬化樹脂W1を硬化させる(図2(b)参照)。
UV硬化樹脂W1が硬化した後、型Mを上昇して被成型品WやUV硬化樹脂W1から型Mを離し(図2(c)参照)、この後、微細パターンが形成されているUV硬化樹脂W1を備えた被成型品Wを転写装置1から搬出する。
図2(c)に示す状態では、硬化したUV硬化樹脂W1の表面が薄い残膜W2で覆われているので、この残膜W2を、たとえばOアッシングで除去する。
この後、微細な転写パターンが転写されたUV硬化樹脂W1をマスキング部材として、被成型品Wをエッチングすると、図2(d)に示すように、被成型品Wの上面WAの一部が除去される。この後、マスキング部材としてのUV硬化樹脂W1を除去することにより、被成型品Wへの微細な転写パターンの転写が終了する(図2(e)参照)。
次に、図3を参照して、熱インプリント法について説明する。
まず、転写装置1に、型Mと被成型品Wとが設置されており、図3(a)に示すように、この被成型品Wの上方に、たとえば金属で構成された型Mが位置しているものとする。なお、被成型品Wは、熱可塑性樹脂で構成されているものとする。
図3(a)に示す状態から、型Mを下降させて、型Mで被成型品Wを押圧すると共に加熱し、この加熱後、被成型品Wを冷却し被成型品Wを硬化させる(図3(b)参照)。この後、型Mを上昇して被成型品Wから型Mを離すと、被成型品Wへの微細な転写パターンの転写が終了する(図3(c)参照)。
次に、転写装置1について詳しく説明する。
図1に示すように、転写装置1は、ベースフレーム3を備えており、このベースフレーム3には、被成型品保持装置5が設けられている。被成型品保持装置5は、たとえば、上面が平面状になっており、この上面に、たとえば、平板状に形成されている被成型品Wを載置し保持することができるようになっている。
被成型品保持装置5は、XYステージ7を介してベースフレーム3に支持されている。したがって、制御装置9の制御の下、XYステージ7を構成するサーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)を駆動することによって、被成型品保持装置5が、X軸方向やY軸方向で移動位置決めされるようになっている。なお、XYステージ7が、θ1軸まわりで被成型品保持装置5を回動位置決めする機能を備えていてもよい。θ1軸は、Z軸に平行な軸であってXYステージ7や被成型品保持装置5や被成型品保持装置5に設置されている被成型品Wの中心を通っている軸である。
また、ベースフレーム3には、型保持体11とこの型保持体11を一体的に支持している移動体13とが設けられている。型保持体11は、たとえば、下面が平面状になっており、この下面で平板状に形成された型Mをたとえば真空吸着やボルト等の締結具を用いて保持するようになっている。このようにして保持された型Mでは、微細な転写パターンが形成されている下面MAが、被成型品保持装置5やこの被成型品保持装置5に設置されている被成型品Wと対向している。
移動体13(型保持体11)は、図示しないリニアガイドベアリングを介してベースフレーム3に支持されており、制御装置9の制御の下、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)を駆動することによって、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
なお、すでに理解されるように、転写のための型Mと被成型品Wとの面接触や押圧は、型Mを被成型品Wに対してZ軸方向で相対的に移動することによってなされる。すなわち、微細な転写パターンが形成されている型Mの下面MAが平面状になっており、また、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの上面WAも平面状になっているので、前記面接触がなされる前は、微細な転写パターンが形成されている型Mの平面状の下面MAと、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの平面状の上面WAとは、お互いが離れて平行になっている。この離れて平行になっている状態から、下方向(型Mが被成型品Wに近づく方向)に型Mを移動することによって、移動体13と型保持体11と型Mとが図1に二点鎖線で示すところに位置し、前記面接触と前記押圧とがなされるようになっている。
また、転写装置1には、被成型品Wに紫外線を照射するためのUV光発生装置(紫外線発生装置;図示せず)や被成型品Wを加熱する加熱装置(図示せず)や冷却する冷却装置(図示せず)が設けられており、前述したUVインプリント法または熱インプリント法を行う場合に、適宜使用されるようになっている。
次に、図4を参照しつつ被成型品保持装置5について説明する。
被成型品保持装置(部材保持装置)5は、型Mの平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品Wの厚さ方向の一方の面(図4では上面)に転写するときに、被成型品Wを保持する装置であり、被成型品保持体15とベース部材17と緩衝材19とを備えて構成されている。
被成型品保持体15は、厚さ方向の一方の面(図4では上面)の中央部に設置された被成型品Wを、たとえば真空吸着によって保持するものである。この保持をしている状態では、被成型品Wの厚さ方向の他方の面(下面)が、被成型品保持体15に面接触している。被成型品Wが設置される被成型品保持体15の上面には、真空ポンプ(図示せず)につながっている環状の溝20が設けられており、この環状の溝20と図1に示す真空ポンプ22とを用いて真空吸着がなされるようになっている。
また、被成型品保持体15は、たとえば、被成型品Wよりも大きい平板状に形成されている。すなわち、被成型品保持体15に被成型品Wが設置された状態で、被成型品保持体15や被成型品Wの厚さ方向(Z軸方向)から見ると、被成型品保持体15が被成型品Wよりも大きく、被成型品保持体15の中央に被成型品Wが存在している。
ベース部材17は、たとえば、被成型品Wよりも大きく、被成型品保持体15とほぼ同じ大きさかもしくは僅かに大きいかもしくは僅かに小さな平板状に形成されている。すなわち、被成型品保持体15やベース部材17の厚さ方向(Z軸方向)から見ると、被成型品保持体15とベース部材17とはお互いがほぼ重なっている。
また、ベース部材17は、被成型品保持体15の厚さ方向の他方の側(図4の下側)で被成型品保持体15から離れ、被成型品保持体15に対向してほぼ平行に設けられている。
緩衝材19は、シリコンゴム(PDMS)等のゴムもしくは剛性の小さい樹脂等の弾性体で構成されており、被成型品保持体15とベース部材17とにより、直接的もしくは間接的に挟まれている。また、緩衝材19は、被成型品保持体15の厚さ方向から見たときに、被成型品保持体15の中央部に位置している。また、緩衝材19は、鉄と比較し剛性の小さなアルミや銅等の金属で構成されていてもよい。
例を掲げてさらに説明すると、被成型品Wは、矩形な平板状に形成されている。被成型品保持体15は、矩形な平板状に形成されている第1の被成型品保持体21と、第1の被成型品保持体21よりも大きい矩形な平板状に形成されている第2の被成型品保持体23とを備えて構成されている。
第1の被成型品保持体21と第2の被成型品保持体23とは、厚さ方向が上下方向(Z軸方向)になるようにして設けられている。第2の被成型品保持体23の上面の中央部に、第1の被成型品保持体21が載置されており、ボルト等の締結具(図示せず)を用いることにより第1の被成型品保持体21と第2の被成型品保持体23とが一体になっている。第1の被成型品保持体21の上面の中央に被成型品Wが設置されるようになっている。なお、この設置がされた状態では、被成型品Wの厚さ方向が上下方向(Z軸方向)になっている。
ベース部材17も、矩形な平板状に形成されており、厚さ方向が上下方向(Z軸方向)になるようにして設けられている。また、被成型品保持体15やベース部材17の厚さ方向(Z軸方向)から見ると、第2の被成型品保持体23とベース部材17とはお互いがほぼ重なっている。
緩衝材19は、スペーサ25を伴って、被成型品保持体15(第2の被成型品保持体23)とベース部材17との間に設けられている。なお、図4に示すようにスペーサ25を用いることによって、緩衝材19が、被成型品保持体15とベース部材17とにより間接的に挟まれることになる。一方、スペーサを用いることなく、被成型品保持体15(第2の被成型品保持体23)とベース部材17との間に緩衝材19のみを設けてもよい。これにより、緩衝材19が、被成型品保持体15とベース部材17とにより直接的に挟まれることになる。
緩衝材19やスペーサ25も、矩形な板状に形成されている。緩衝材19やスペーサ25も、厚さ方向が上下方向(Z軸方向)になるようにして設けられている。また、スペーサ25の縦横寸法は、被成型品保持体15(21,23)やベース部材17の縦横寸法よりも小さく形成されている。また、緩衝材19の縦横寸法は、スペーサ25の縦横寸法よりも僅かに小さくなっているが、スペーサ25の縦横寸法とほぼ等しくなっていてもよいし、僅かに大きくなっていてもよい。
被成型品保持体15、ベース部材17、スペーサ25、緩衝材19の厚さ方向(Z軸方向)から見ると、被成型品保持体15やベース部材17の中央部にスペーサ25や緩衝材19が設けられている。また、緩衝材19は、被成型品保持体15の厚さ方向(Z軸方向)から見たとき、被成型品保持体15が保持している被成型品Wの内側、もしくは、被成型品保持体15が保持している被成型品Wが内側に入る領域であって被成型品Wよりも僅かに大きな領域の内側に存在している。
すなわち、図4におけるV矢視図である図5(a)に示すものでは、被成型品Wと緩衝材19とがお互いに重なっているが、緩衝材19の大きさを被成型品Wの大きさよりも僅かに小さくしてもよいし、逆に僅かに大きくしてもよい。なお、緩衝材19の大きさを被成型品Wの大きさよりも僅かに小さくした場合、Z軸方向からみると被成型品Wの内側に緩衝材19が位置している。一方、緩衝材19の大きさを被成型品Wの大きさよりも僅かに大きく場合、Z軸方向からみると緩衝材19の内側に被成型品Wが位置している。
緩衝材19の上面は、第2の被成型品保持体23の下面に面接触しており、緩衝材19の下面はスペーサ25の上面に面接触しており、スペーサ25の下面はベース部材17の上面に面接触している。なお、緩衝材19とスペーサ25の上下の位置を交換した構成であってもよい。すなわち、ベース部材17と第2の被成型品保持体23との間で、緩衝材19を下側に設けスペーサ25を上側に設けた構成であってもよい。
緩衝材19以外の部材(被成型品保持体15、ベース部材17、スペーサ25)は、緩衝材19よりもはるかに剛性の高いステンレス等の金属で構成されている。また、被成型品保持体15等の厚さ方向(Z軸方向)からみたときに、被成型品保持体15の中心と被成型品保持体15に保持されている被成型品Wの中心と緩衝材19の中心とスペーサ25の中心とベース部材17の中心とは、お互いがほぼ一致している。
また、上記説明では、図5(a)で示すように、緩衝材19が1枚の矩形な平板状の部材で構成されているが、図5(b)〜図5(e)に示すように、緩衝材19の形態を適宜変更してもよい。
図5(b)で示す緩衝材19は、複数の柱状(たとえば円柱状)の部材をX軸方向とY軸方向とで所定の間隔をあけて並べて配置している構成である。図5(b)において、各柱状の部材の設置間隔や直径や材質(弾性係数が異なる材質)を、柱状の部材が配置される位置に応じて変えてもよい。たとえば、図5(b)において、中央部に位置している円柱状の部材の直径を、周辺部に位置している円柱状の部材の直径より大きくしてもよい。
図5(c)で示す緩衝材19は、矩形な環状に形成されているものである。図5(d)で示す緩衝材19は、X軸方向の寸法のみを被成型品Wの大きさよりも僅かに小さくし、Y軸方向の寸法を第2の被成型品保持体23よりも僅かに小さくしたものである。図5(e)に示す緩衝材19は、図5(c)で示す矩形な環状に形成されているものの内側に、小さな矩形状のものを別途配置したものである。
ところで、被成型品保持装置5には、被成型品Wを保持する被成型品保持体15の一方の面(上面)を、この面が中凸になるように変形させるか、傾けるかの少なくともいずれかを行うために、被成型品保持体15の周辺部(緩衝材19が存在していない部位)に外力を付与する外力付与手段27が設けられている。なお、上記中凸は、一次元的もしくは2次元的に形成されている。上記中凸が2次元的に形成されているとすると、中凸を示す図4の二点鎖線L1が、被成型品保持体15の左端や右端から中央部に向かうにしたがって凸になっているが、この方向だけでなく、図4の紙面に直交する方向における被成型品保持体15の一端や他端から中央部に向かうにしたがって、二点鎖線L1で示す場合と同様にして、被成型品保持体15の上面が凸になっている。
さらに説明すると、上記中凸が1次元的に形成されて場合、上記中凸は、たとえば、半径が大きな円柱の側面の一部で構成された曲面で形成されている。また、上記中凸が2次元的に形成されて場合、上記中凸は、曲率半径が大きな球の表面の一部で構成された曲面、曲率半径が大きな回転楕円体の表面の一部で構成された曲面、曲率半径が大きくかつ滑らかに変化している曲面等のうちのいずれかで形成されている。
なお、前記変形や傾けは、転写における転写不良を避けるべくなされるものであり、前記変形による変形量や前記傾けによる傾き量はごく僅かである。また、外力付与手段27では、付与する外力の値を調整することが容易になっている。
例を掲げてさらに説明すると、外力付与手段27は、図4に示すように、複数本のボルト28を備えて構成されている。各ボルト28は、たとえば、被成型品保持体15やベース部材17の角部の近くに設けられており、ボルト28のネジ部が、ベース部材17に螺合しており、ボルト28の頭部が被成型品保持体15に係合している。
そして、各ボルト28を適宜締め付けると、緩衝材19が図4の上下方向で圧縮されると共に、被成型品保持体15に曲げモーメントが発生して、被成型品保持体15の上面が中央部に向かうにしたがって僅かに中凸になるように変形する(図4に二点鎖線L1で示すようになる)。この変形により、被成型品保持体15の上面に設置されている被成型品Wも、同様にごく僅かではあるが中凸に変形する。そして、型Mで被成型品Wに転写するときの中抜けを防止することができる。
なお、図4に示す左側のボルト28の締め加減と、右側のボルト28の締め加減とが同じであれば、被成型品保持体15は、単に僅かに中凸になるだけであるが、図4に示す左側のボルト28の締め加減と右側のボルト28の締め加減とを変えれば、被成型品保持体15が僅かに中凸になると同時に被成型品保持体15を僅かに傾けることができる。これにより、型Mで被成型品Wを転写するときの片当たりを防止することができる。
ところで、外力付与手段27を図4で示す構成にすると、ボルト28に緩みが発生するおそれがあるので、図6(外力付与手段27の変形例を示す図)に示すようにして、ボルト28の緩み防止することが望ましい。
図6(a)は、ナット29を用いてボルト28の緩みを防止する構成を示している。図6(b)は、筒状のスペーサ31を用いてボルト28の緩みを防止する構成を示している。図6(c)は、中心軸の方向に貫通孔が形成されているボルト33を用いてボルト28の緩みを防止する構成を示している。
また、ボルト28の代わりに、ピエゾ素子、磁歪素子、シリンダ等のアクチュエータ等を用いて、外力付与手段27を構成してもよい。
図7(外力付与手段27の変形例を示す図)は、複数のシリンダ35をボルト28の場合と同様に配置して外力付与手段27を構成した例を示す。各シリンダ35の張力(第2の被成型品保持体23の周辺部を下方に引く力)を調整することにより、第2の被成型品保持体23の上面を二点鎖線L2で示すように斜めに傾けることができるようになっている。なお、斜めに傾けることに代えてもしくは加えて、図4に二点鎖線L1で示すように中凸に変形させる構成であってもよい。
図8(外力付与手段27の変形例を示す図)は、複数の引っ張りバネ37等の弾性体と、複数のピエゾ素子39をボルト28の場合と同様に配置して外力付与手段27を構成した例を示す。引っ張りバネ37の張力(第2の被成型品保持体23の周辺部を下方に引く力)で、第2の被成型品保持体23の上面を二点鎖線L3で示すように予め中凸に変形させておき、各ピエゾ素子39の押し力(第2の被成型品保持体23の周辺部を上方に押す力)を調整することにより、中凸の度合いを小さくして調整するようになっている。
また、図9(被成型品保持装置5の変形例を示す図)に示すように、被成型品保持体15の厚さ方向の一方の面(被成型品Wが載置され設置される上面)が、被成型品保持体15になんら外力を加えない状態で、周辺部から中央部に向かうにしたがってごく僅かに凸(たとえば上方に凸)になっていてもよい。
このように予め中凸に形成することにより、被成型品保持体15で被成型品Wを保持すると、被成型品Wも周辺部から中央部に向かうにしたがってごく僅かに凸になる。また、被成型品保持体15が被成型品Wを保持している状態で、型Mによって被成型品Wを押圧すると、型Mの微細な転写パターンが形成されている平面状の面が被成型品Wに倣ってごく僅かであるが中凹に変形するようになっている。また、緩衝材19が適宜圧縮されて変形し、型Mの微細な転写パターンが形成されている面の全面が、被成型品保持体15が保持している被成型品Wに、均一に面接触するようになっている。
また、図10(被成型品保持装置5の変形例を示す図)に示すように、被成型品保持装置5において、緩衝材19の大きさを十分に小さくしてもよい。すなわち、被成型品保持体15の厚さ方向(Z軸方向)からみたときに、被成型品保持体15に保持されている被成型品Wに比べて緩衝材19を十分に小さく形成してもよい。たとえば、被成型品保持体15や緩衝材19の厚さ方向(Z軸方向)から見た場合、面積において緩衝材19を被成型品Wの1/25〜1/4程度の大きさに形成してあってもよい。さらに、被成型品Wや緩衝材19が矩形な形状である場合は、縦寸法において緩衝材19を被成型品Wの1/5〜1/2程度の大きさに形成し、横寸法においても緩衝材19を被成型品Wの1/5〜1/2程度の大きさに形成してあればよい。また、被成型品Wや緩衝材19が円形状である場合は、直径において1/5〜1/2程度の大きさに形成してあればよい。
図10で示すように構成したことにより、被成型品保持体15を二点鎖線L4で示すような中凸にすることが一層容易になり、また、被成型品保持体15の上面を傾けることも一層容易になる。
また、図11(被成型品保持装置5の変形例を示す図)に示すように、被成型品保持装置5において、スペーサ25の形態を変更してもよい。
図11(a)で示す被成型品保持装置5では、被成型品保持体15側に緩衝材19が位置しており、ベース部材17側にスペーサ25が位置している。そして、Z軸方向から見ると、被成型品保持体15に保持されている被成型品Wに比べて、スペーサ25のベース部材17への接触面25Aが十分に小さく形成されている。たとえば、接触面25Aはたとえば円形状に形成されており、Z軸方向から見た場合、接触面25Aが、面積において被成型品保持体15に保持されている被成型品Wの1/100〜1/9程度の大きさに形成されている。
また、スペーサ25は、円錐状もしくは四角錐状等の形状に形成されている。スペーサ25における面積の大きい底面(図11(a)では上側の面)が被成型品保持体15側を向いて緩衝材19に接触している。また、スペーサ25における面積の小さい頂点側の面(図11(a)では下側の面)25Aがベース部材17に接触している。Z軸方向から見ると、スペーサ25の頂点側の面25Aの中心とスペーサ25の底面の中心と緩衝材19の中心と、被成型品保持体15の中心とはお互いに一致している。
図11(a)で示すように構成したことにより、被成型品保持体15を二点鎖線L5で示すような中凸にすることが容易になるとともに、被成型品保持体15の上面を傾けることが一層容易になる。
なお、図11(b)に示すように、緩衝材19とスペーサ25との上下の位置を変えると共に、スペーサ25の向きを上下逆にしてもよい。
ところで、転写装置1において、型Mが接触する型保持体11の面が、図1に二点鎖線L6で示すように、周辺部から中央部に向かうにしたがって、ごく僅かに中凸になっていてもよい。これにより、型保持体11に保持された型Mも僅かに中凸になり、中抜け等の転写不良を防止することができる。上記中凸も、前述したように、一次元的もしくは二次元的に形成されているものとする。
次に、転写装置1の動作について説明する。
まず、初期状態として、図1に示すように、移動体13が上方に位置しており、被成型品保持装置5に転写がされる前の被成型品Wが設置されており、型保持体11に型Mが設置されており、各ボルト28の締め加減が適宜調整されているものとする。
前記初期状態において、制御装置9の制御の下、移動体13を下降させると、型Mと被成型品Wとがお互いに接触し、型Mで被成型品Wが押圧されて、被成型品Wへの転写が行われる。この後離型(型Mを被成型品Wから離し)被成型品Wを次の被成型品Wに換えれば、前記初期状態に戻る。
被成型品保持装置5を備えた転写装置1を用いて転写を行えば、被成型品保持体15とベース部材17との間に緩衝材19が設けられているので、型Mで被成型品Wを押圧して転写を行うときに緩衝材19が適宜圧縮されて変形し、型保持体11に保持されている型Mに被成型品保持体15に保持されている被成型品Wが追従し、片当たり等の転写不良の発生を回避することができ、被成型品Wの生産効率をあげることができる。
なお、従来の転写装置において転写不良を回避するには、型による被成型品への押圧力(プレス力)をあげる必要があるが、被成型品保持装置5を備えた転写装置1によれば、型Mの押圧力を上げることなく転写不良を回避することができる。
また、従来の転写装置では、微細な転写パターンが形成されている型の面と微細な転写パターンが転写される被成型品の面とが押圧直前の状態で高精度で平行になっていても、型で被成型品を押圧するときに型がごく僅かにたわみ、中抜け等の空白部が発生するおそれがある。しかし、被成型品保持装置5を備えた転写装置1を用いて転写を行えば、プレス力を上げる必要が無く、また、緩衝材19を設けてあることにより、被成型品Wが型Mに追従するので、中抜け等の転写不良の発生を回避することができる。
また、被成型品保持装置5によれば、被成型品Wが載置され設置される面が周辺部から中央部に向かうにしたがってごく僅かに凸になっているので、型Mで被成型品Wを押圧するときに、まず、型Mの中央部と被成型品Wの中央部とがお互いに接触し、その後、上記接触部位が周辺部に向かって広がる。したがって、大気圧下での転写において型Mと被成型品Wとの間に空気が入り込むことを防ぐことができる。
さらに、被成型品保持装置5によれば、被成型品Wが設置される面が周辺部から中央部に向かうにしたがってごく僅かに凸になっているので、離型する場合、従来よりも小さな力で離型することができる。すなわち、微細な転写パターンが形成されている型Mの面と微細な転写パターンが転写される被成型品Wの面とが平面になっていると、離型の際、上記各面を瞬時にこぞって離す必要があるので、大きな離型力が必要になる。
しかし、被成型品保持装置5のように、被成型品Wが設置される面が周辺部から中央部に向かうにしたがって凸になっていれば、被成型品Wもそれに倣って凸になっている。そして、離型の際、型Mの面と被成型品Wの面とが、まず、周辺において離れ、続いて、この離れた部位と離れていない中央部側の部位との境界(線で環状に形成されている境界)が小さくなるようにして、型Mや被成型品Wの中央部に向かって進み、最後に型Mが被成型品Wから完全に離れる。したがって、従来よりも小さな力で離型することができる。
また、被成型品保持装置5において、図11に示すように、スペーサ25の頂点側の面25Aの面積を小さくし、被成型品保持体15が被成型品Wを保持している状態で型Mによって被成型品Wを押圧すると、被成型品保持体15に保持されている被成型品Wの姿勢が変化しやすく、微細な転写パターンが形成されている型Mの平面状部位と微細な転写パターンが転写される被成型品Wの平面状部位とが、お互いが平行になりやすくなる。そして、微細な転写パターンを転写する際の偏りを避けることができ、微細な転写パターンを被成型品Wに均一な転写をすることができる。
被成型品保持装置5によれば、外力付与手段27を備えているので、被成型品保持体15に保持されている被成型品Wをごく僅かに中凸にする場合、この中凸のほどあいを容易に調整することができ、また、被成型品保持体15に保持されている被成型品Wをごく僅か斜めに傾ける場合にこの傾き加減を容易に調整することができる。そして、型Mや被成型品Wの種類が変わる等転写の形態が変わった場合であっても、中抜けや片当たり等の転写不良の発生を容易に回避することができる。
ところで、転写装置1において、型Mと被成型品Wとを入れ換えてもよい。つまり、被成型品保持体15を型保持体としてこの型保持体で型Mを保持し、型保持体11を被成型品保持体としてこの被成型品保持体で被成型品Wを保持するように構成してもよい。
すなわち、被成型品保持装置5を、平板状の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを被成型品の平面状の部位に転写するときに前記型を保持する型保持装置であって、平板状に形成され厚さ方向の一方の面の中央部に前記型の厚さ方向の他方の面を接触させ前記型を保持する型保持体と、平板状に形成され前記型保持体の厚さ方向の他方の側で前記型保持体から離れて設けられたベース部材と、前記型保持体と前記ベース部材とで挟まれて前記型保持体の厚さ方向から見たときに、前記型保持体の中央部に設けられている緩衝材とを有する型保持装置としてもよい。
また、この型保持装置において、被成型品保持装置5の場合と同様にして、適宜変更を加えてもよい。
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係る転写装置41の概略構成を示す図である。
転写装置41は、シート状に形成されている型Mを用いて、被成型品Wに微細なパターンを形成する点が、第1の実施形態に係る転写装置1と異なり、その他の点は、第1の実施形態に係る転写装置1とほぼ同様に構成されている。なお、転写装置41も転写装置1と同様にして、UVインプリント法、熱インプリント法のいずれの方法でも転写を行うことができるように構成されている。
すなわち、転写装置41は、ベースフレーム43と、被成型品保持装置45と、XYステージ47とを備えて構成されている。被成型品保持装置45は、被成型品保持装置5の場合と同様にして被成型品保持体49(第1の被成型品保持体51,第2の被成型品保持体53)とベース部材55と緩衝材57とスペーサ59と外力付与手段61とを備えて構成されている。そして、被成型品保持装置45に設置されている被成型品Wを変形等することができるようになっている。
また、転写装置41には、型支持装置63と押圧体65とが設けられている。
型支持装置63は、シート状部材保持具(型保持具)67によって支持されている型Mを支持する装置である。シート状部材保持具67は、環状に形成されており、厚さ方向の一方の面に微細な転写パターンが形成されているシート状の型Mの周辺部を支持するようになっている。環状のシート状部材保持具67によって支持されている型Mは、中央部(シート状部材保持具67の貫通孔の部位)で平板状になっている。型支持装置63で支持されている型(シート状部材保持具67によって支持されている型)Mは、シート状部材保持具67の中央部で平板状になっている部位が、X軸方向、Y軸方向に展開しており、被成型品保持体15の厚さ方向の一方の面(上面)とほぼ平行になっている。また、型支持装置63で支持されている型Mは、前記平行状態を保ったまま被成型品保持体49に対して接近・離反する方向で相対的に移動するように構成されている。
押圧体65は、型支持装置63に支持されている型Mを間にして被成型品保持体49とは反対側(上方)に設けられている。また、押圧体65は、被成型品保持装置45に保持されている被成型品Wに、型支持装置63に支持されている型Mの微細な転写パターンを転写すべく、被成型品保持装置45に対して接近・離反する方向(Z軸方向)で相対的に移動位置決め自在になっている。なお、押圧体65の下部には、平板状の緩衝材(緩衝材19や緩衝材57と同様な緩衝材)69が一体的に設けられている。
なお、転写の際の中抜けを防止すべく、転写装置1の場合と同様にして、緩衝材69の下面を、図12に二点鎖線L7で示すように、周辺部から中央部に向かうにしたがって、ごく僅かに中凸にしてもよい。
次に、シート状部材保持具67について詳しく説明する。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る転写装置41に使用されるシート状部材保持具67の概略構成を示す斜視図であり、図13(a)は、シート状部材保持具67を下側から見た図であり、図13(b)は、シート状部材保持具67を上側から見た図である。図14は、シート状部材保持具67の底面図と断面図であり、図14(a)が、図13(a)におけるXIV矢視図であり、図13(b)が、図13(a)におけるXIV−XIV断面図である。
シート状部材保持具67は、第1の支持体71と第2の支持体73とを備えて構成されている。
第1の支持体71は、矩形な(たとえば正方形な)平板状に形成されている素材の四隅に所定の大きさの面取り75を形成し、前記素材の中央に前記素材の厚さ方向に貫通する円形状の貫通孔77を設けて、環状に形成されている。
第2の支持体73は、第1の支持体71の中央の貫通孔77を塞ぐようにして、型Mを第1の支持体71に設置するときに、型Mの周辺部を第1の支持体71と協働して挟み込んで型Mを固定するものである。そして、シート状部材保持具67に型Mが設置された状態では、第1の支持体71の貫通孔77を塞いでいる型Mの部位が平板状になって露出しており、この露出している部位の一方の面(厚さ方向の一方の面)に、微細な転写パターンが形成されている。
なお、第2の支持体73も、第1の支持体71と同様にして、矩形な平板状に形成されている素材の四隅に所定の大きさの面取り79を形成し、前記素材の中央に前記素材の厚さ方向に貫通する円形状の貫通孔81を設けて、環状に形成されている。第2の支持体73の素材の縦横寸法は、第1の支持体71の素材とほぼ同じであり、第2の支持体73の素材の厚さは、第1の支持体71の素材よりも厚くなっている。また、第1の支持体71の貫通孔77の内径と第2の支持体73の貫通孔81の内径とは、お互いがほぼ等しくなっている。また、第2の支持体73の面取り79は、第1の支持体71の面取り75よりも大きくなっている。
さらに、第2の支持体73では、このもとになる前記素材に対して、環状の凹部83を形成してある。環状の凹部83を形成してあることにより、貫通孔81の縁に、円環状の凸部85が形成されている。凸部85は長さの短い(図14(b)では、上下方向の寸法が小さい)円筒状に形成されている。凹部83を形成したことによって生成された平面87は、貫通孔81や凸部85の外周面や第2の支持体73の厚さ方向に対して直交している。凸部85によって、貫通孔81の外周近傍に段差89が形成されていることになる。
また、第2の支持体73にはOリング91等の摩擦係数の大きな部材が設置されている。
各支持体71,73で型Mを挟み込み、ボルト92を用いて型Mをシート状部材保持具67に設置してある状態では、シート状部材保持具67の厚さ方向(各支持体71,73、型Mの厚さ方向)で、第1の支持体71と型Mと第2の支持体73とがこの順序で重なっている。そして、シート状部材保持具67の厚さ方向から見ると、各面取り75,79を除いて、各支持体71,73同士がお互いに重なっている。
次に、型支持装置63について、図12を参照しつつ説明する。
型支持装置63は、複数のピン部材93を備えて構成されている。各ピン部材93は、型Mを保持しているシート状部材保持具67を載置して設置するために、被成型品保持装置45(第1の被成型品保持体51)の上面の周辺に設けられている。
ピン部材93は、たとえば、円柱状に形成されており、第1の被成型品保持体51の中央に設置された被成型品Wの外周よりも外側で、被成型品Wの中心を中心とした所定の半径の円の円周上に設けられている。さらに、前記円周をたとえば、3等配等の等分配する箇所に位置している。
ピン部材93は、所定の外径で円柱状に形成されている下部側部位95と、所定の外径で円柱状に形成されている上部側部位97とを備えて形成されている。なお、下部側部位95の中心軸と上部側部位97の中心軸とはお互いに一致しており、中心軸の延伸方向がZ軸方向になっている。上部側部位97の外径や高さは、下部側部位95のものよりも小さくなっている。これにより、ピン部材93の上側には、段差99が形成されていることになる。
また、ピン部材93は、Z軸方向で移動自在なようにして、第1の被成型品保持体51に支持されており、常態においては、各ピン部材93が同じ高さだけ、第1の被成型品保持体51の上面から突出している。前記常態において、型Mを保持しているシート状部材保持具67を載置して設置した場合、各ピン部材93の高さはそのままで、被成型品保持体49に設置されている被成型品Wに対して、型Mを保持しているシート状部材保持具67のX方向とY軸方向との位置が決まるようになっている。たとえば、Z軸方向から見たときに、被成型品Wの中心と型Mの中心とがお互いに一致するようになっている。また、第1の被成型品保持体51に設置されている被成型品Wと、型MとがZ軸方向で所定の距離だけ離れている。
なお、前記常態における各ピン部材93の突出は、図示しないバネ等の弾性体もしくはシリンダ等のアクチュエータを用いてなされるようになっており、各ピン部材93が同じ高さだけ突出するのは、各ピン部材93に図示しないストッパが設けられていることによる。
ここで、前記常態において、型Mを保持しているシート状部材保持具67を各ピン部材93に載置して設置したときに、X方向とY軸方向とにおけるシート状部材保持具67の前記位置決めについて詳しく説明する。段差89が設けられている側(第2の支持体73側)を下側にして、各ピン部材93にシート状部材保持具67を載置すると、ピン部材93の段差99に、シート状部材保持具67の段差89が係合して、前記位置決めがなされるようになっている。より精確には、図14に示すように、各ピン部材93の下部側部位95の端面に、シート状部材保持具67を構成している第2の支持体73の凸部85の平面が接触し、さらに、各ピン部材93の上部側部位97の側面に、シート状部材保持具67を構成している第2の支持体73の凸部85の側面が接触して、シート状部材保持具67の位置決めがなされるようになっている。
次に、転写装置41の動作について説明する。
まず、初期状態として、図12に示すように、押圧体65が上方に位置しており、被成型品保持装置45に転写がされる前の被成型品Wが設置されており、前述した常態にある各ピン部材93に、型Mが設置されたシート状部材保持具67が設置されているものとする。また、外力付与手段61の各ボルト62の締め加減も適宜調整されているものとする。
前記初期状態において、図示しない制御装置の制御の下、押圧体65を下降させると、図15(a)に示すように、緩衝材69の下面と型Mの上面とがお互いに接触する。
続いて、押圧体65をさらに下降させると、押圧体65に押されて、各ピン部材93とシート状部材保持具67と型Mとが下降し、図15(b)に示すように、微細な転写パターンが形成されている型Mの下面と被成型品Wとが接触し、型Mで被成型品Wが押圧されて、被成型品Wへの転写が行われる。
シート状部材保持具67によれば、環状の各支持体71,73で型Mを挟み込んで支持するので、シート状の型Mの両面を各支持体71,73の中央部で露出させて保持することができる。また、型Mの取り扱いが容易になる。
なお、第2の実施形態に係るシート状部材保持具67では、各支持体71,73が矩形な板状の素材の中央に円形状の貫通孔を設けて環状に形成されているが、矩形な板状の素材の中央に矩形な貫通孔を設けて環状に形成されていてもよいし、円板状の素材の中央部に円形状の貫通孔もしくは矩形な貫通孔を設けて環状に形成されていてもよい。さらには、他の形態で環状に形成されていてもよい。
また、転写装置41によれば、シート状部材保持具67によって保持されているシート状の型Mを用いて転写を行うので、転写の際に、型Mが被成型品Wの形状に倣いやすく、中抜けや片当たり等の転写不良の発生を回避することができる。すなわち、シート状部材保持具67によって保持されているシート状の型Mは、シート状部材保持具67の中央部ではなお弾性を備えているので、転写をする際に被成型品Wに倣いやすく、転写不良の発生を抑制することができる。また、転写をする際の押圧力を小さくすることができ、転写装置41を小型化することができる。
また、離型の際、型Mの面と被成型品Wの面とが、まず、周辺において離れ、この離れた部位と離れていない中央部側の部位との境界(線で環状に形成されている境界)が小さくなるようにして、型Mや被成型品Wの中央部に向かって進み、最後に型Mが被成型品から完全に離れる。したがって、従来よりも小さな力で離型することができる。
ところで、転写装置41では、被成型品保持装置45に設置されている被成型品Wに、シート状部材保持具67で保持している型Mに形成されている微細な転写パターンを転写するようになっているが、転写装置41において型Mと被成型品Wとを入れ換えてもよい。すなわち、被成型品保持装置(型保持装置)45に型Mを設置し、シート状部材保持具(被成型品保持具)67にシート状の被成型品Wを設置して転写を行う構成であってもよい。
なお、上述した各転写装置1,41は、型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置であって、前記型を保持する型保持体と、前記被成型品を保持する被成型品保持体と、前記転写をすべく前記型で前記被成型品を押圧するときに前記被成型品保持体に保持されている被成型品をごく僅かに中凸にすると共に前記被成型品保持体に保持されている被成型品の姿勢を前記型保持体に保持されている型に追従させる被成型品変形追従手段、前記転写をすべく前記型で前記被成型品を押圧するときに前記型保持体に保持されている型をごく僅かに中凸にすると共に前記型保持体に保持されている型の姿勢を前記被成型品保持体に保持されている被成型品に追従させる型変形追従手段のうちの少なくともいずれかの手段とを有する転写装置の例である。
本発明の第1の実施形態に係る転写装置1の概略構成を示す図である。 UVインプリント法について説明する図である。 熱インプリント法について説明する図である。 被成型品保持装置5について説明する。 図4におけるV矢視図である。 外力付与手段27の変形例を示す図である。 外力付与手段27の変形例を示す図である。 外力付与手段27の変形例を示す図である。 被成型品保持装置5の変形例を示す図である。 被成型品保持装置5の変形例を示す図である。 被成型品保持装置5の変形例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る転写装置41の概略構成を示す図である。 転写装置41に使用されるシート状部材保持具67の概略構成を示す斜視図である。 シート状部材保持具67の底面図と断面図である。 転写装置41の動作を示す図である。
符号の説明
1、41 転写装置
5、45 被成型品保持装置
11 型保持体
15、49 被成型品保持体
17、55 ベース部材
19、57 緩衝材
27、61 外力付与手段
63 型支持装置
67 シート状部材保持具
M 型
W 被成型品

Claims (8)

  1. 型の平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品の厚さ方向の一方の面に転写するときに、前記被成型品を保持する被成型品保持装置において、
    平板状に形成され、厚さ方向の一方の面の中央部に前記被成型品の厚さ方向の他方の面を接触させて前記被成型品を保持する被成型品保持体と;
    平板状に形成され、前記被成型品保持体の厚さ方向の他方の側で前記被成型品保持体から離れて設けられたベース部材と;
    前記被成型品保持体と前記ベース部材とで挟まれ、前記被成型品保持体の厚さ方向から見たときに、前記被成型品保持体の中央部に設けられている緩衝材と;
    を有することを特徴とする被成型品保持装置。
  2. 請求項1に記載の被成型品保持装置において、
    前記被成型品保持体の厚さ方向の一方の面が、周辺部から中央部に向かうにしたがってごく僅かに凸になっていることを特徴とする被成型品保持装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の被成型品保持装置において、
    前記緩衝材は、スペーサを伴って前記被成型品保持体と前記ベース部材との間に設けられており、
    前記被成型品保持体側に前記緩衝材が位置し、前記ベース部材側に前記スペーサが位置し、前記被成型品保持体の厚さ方向からみたときに、前記被成型品保持体に保持されている被成型品に比べて、前記スペーサの前記ベース部材への接触面が十分に小さく形成されていることを特徴とする被成型品保持装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の被成型品保持装置において、
    前記被成型品を保持する前記被成型品保持体の一方の面を変形させるか、傾けるかの少なくともいずれかをおこなうために、前記被成型品保持体の周辺部に外力を付与する外力付与手段を有することを特徴とする被成型品保持装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被成型品保持装置と;
    前記型を保持し、前記被成型品保持装置に保持されている被成型品に前記微細な転写パターンを転写するために、前記被成型品保持装置に対して接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在な型保持体と;
    を有することを特徴とする転写装置。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被成型品保持装置と;
    微細な転写パターンが形成されているシート状の型であって周辺部が環状のシート状部材保持具によって支持されていることにより中央部で平板状になっている型を、この型の平板状になっている部位が前記被成型品保持体の厚さ方向の一方の面とほぼ平行になるように、また、この平行状態を保ったまま前記被成型品保持体に対して接近・離反する方向で相対的に移動するように支持する型支持装置と;
    前記型支持装置に支持されている型を間にして前記被成型品保持体とは反対側に設けられ、前記被成型品保持装置に保持されている被成型品に、前記型支持装置に支持されている型の微細な転写パターンを転写すべく、前記被成型品保持装置に対して接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在な押圧体と;
    を有することを特徴とする転写装置。
  7. 平板状の型の厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンを、被成型品の平面状の部位に転写するときに、前記型を保持する型保持装置において、
    平板状に形成され、厚さ方向の一方の面の中央部に前記型の厚さ方向の他方の面を接触させて前記型を保持する型保持体と;
    平板状に形成され、前記型保持体の厚さ方向の他方の側で前記型保持体から離れて設けられたベース部材と;
    前記型保持体と前記ベース部材とで挟まれて、前記型保持体の厚さ方向から見たときに、前記型保持体の中央部に設けられている緩衝材と;
    を有することを特徴とする型保持装置。
  8. 型に形成されている微細な転写パターンを被成型品に転写する転写装置において、
    前記型を保持する型保持体と;
    前記被成型品を保持する被成型品保持体と;
    前記転写をすべく前記型で前記被成型品を押圧するときに、前記被成型品保持体に保持されている被成型品をごく僅かに中凸にすると共に、前記被成型品保持体に保持されている被成型品の姿勢を前記型保持体に保持されている型に追従させる被成型品変形追従手段、
    前記転写をすべく前記型で前記被成型品を押圧するときに、前記型保持体に保持されている型をごく僅かに中凸にすると共に、前記型保持体に保持されている型の姿勢を前記被成型品保持体に保持されている被成型品に追従させる型変形追従手段のうちの少なくともいずれかの手段と;
    を有することを特徴とする転写装置。
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