以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシート状部材保持具1が設置されて使用される転写装置3の概略構成を示す図である。
以下、説明の便宜のために、水平な一方向をX軸方向とし、水平な他の一方向であってX軸方向に垂直な方向をY軸方向とし、鉛直方向(上下方向)をZ軸方向とする。
転写装置(ナノインプリント装置)3は、型Mの下面MAに形成されているたとえばナノオーダーの微細な転写パターンを、被成型品(被成型素材)Wの上面WAに転写する装置である。この転写は、型Mの下面MAを被成型品Wの上面WAに接触させて押圧(プレス)することに行われる。被成型品Wは、シート状に形成されており、転写の際、シート状部材保持具1に設置されているものとする。
上記転写の形態として、たとえば、UVインプリント法や熱インプリント法を掲げることができる。
まず、図2、図3を参照してUVインプリント法について説明する。
転写装置3に、型Mとシート状部材保持具1に設置されて保持されている被成型品Wとが設置されており、図2(a)に示すように、シート状部材保持具1に設置されている被成型品Wの上面WAに、硬化前の紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)W1が薄く設けられており、このUV硬化樹脂W1の上方に、紫外線を透過する石英ガラス等で構成され剛性を備えた型Mが位置しているものとする。なお、被成型品Wは、たとえば、樹脂で形成されているものとする。
図2(a)に示す状態から、型Mを下降させて、型MでUV硬化樹脂W1を押圧し紫外線(UV光)をUV硬化樹脂W1に照射しUV硬化樹脂W1を硬化させる(図2(b)参照)。
UV硬化樹脂W1が硬化した後、型Mを上昇して被成型品WやUV硬化樹脂W1から型Mを離し(図2(c)参照)、この後、微細パターンが形成されているUV硬化樹脂W1を備えた被成型品Wを、シート状部材保持具1と共に転写装置3から搬出する。
なお、図2(c)に示す状態では、硬化したUV硬化樹脂W1の表面が薄い残膜W2で覆われているので、この残膜W2を、たとえばO2アッシングで除去する。
この後、微細な転写パターンが転写されたUV硬化樹脂W1をマスキング部材として、被成型品Wをエッチングすると、図3(d)に示すように、被成型品Wの上面WAの一部が除去される。この後、マスキング部材としてのUV硬化樹脂W1を除去することにより、被成型品Wへの微細な転写パターンの転写が終了する(図3(e)参照)。
次に、図4を参照して、熱インプリント法について説明する。
まず、転写装置3に、型Mとシート状部材保持具1に設置されている被成型品Wとが設置されており、図4(a)に示すように、この被成型品Wの上方に、たとえば金属で構成された型Mが位置しているものとする。なお、被成型品Wは、熱可塑性樹脂で構成されているものとする。
図4(a)に示す状態から、型Mを下降させて、型Mで被成型品Wを押圧すると共に加熱し、この加熱後、被成型品Wを冷却し被成型品Wを硬化させる(図4(b)参照)。この後、型Mを上昇して被成型品Wから型Mを離すと、被成型品Wへの微細な転写パターンの転写が終了する(図4(c)参照)。
次に、転写装置3について詳しく説明する。
図1に示すように、転写装置3は、ベースフレーム5を備えており、このベースフレーム5には、被成型品保持体7が設けられている。被成型品保持体7は、たとえば、上面が平面状になっており、この上面に、たとえば、平板状に形成されているシート状部材保持具1を載置し保持することができるようになっている。シート状部材保持具1は、シート状に形成されている被成型品Wを保持している。
被成型品保持体7の平面状の上面には位置決めピン9が設けられている。シート状部材保持具1の平面状の下面には、位置決め孔11が設けられている。被成型品保持体7にシート状部材保持具1を載置するときに、位置決めピン9が位置決め孔11に入り込み、被成型品保持体7に対するシート状部材保持具1の位置決め(XY方向の位置決め)がなされるようになっている。なお、シート状部材保持具1で保持されているシート状の被成型品Wのうちで、転写がされる部位(図1で左右方向の延びている被成型品Wの部位)は、この厚さ方向がZ軸方向になっている。
被成型品保持体7は、XYステージ13を介してベースフレーム5に支持されている。したがって、制御装置(図示せず)の制御の下、XYステージ13を構成するサーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)を駆動することによって、被成型品保持体7が、X軸方向やY軸方向で移動位置決めされるようになっている。なお、XYステージ13が、θ1軸まわりで被成型品保持体7を回動位置決めする機能を備えていてもよい。θ1軸は、Z軸に平行な軸であってXYステージ13や被成型品保持体7や被成型品保持体7に載置されているシート状部材保持具1の中心を通っている軸である。
また、ベースフレーム5には、型保持体15が設けられている。型保持体15は、たとえば、下面が平面状になっており、この下面で平板状に形成された型Mを保持するようになっている。このようにして保持された型Mは、微細な転写パターンが形成されている下面MAが被成型品保持体7(被成型品W)と対向している。
型保持体15は、図示しないリニアガイドベアリングを介してベースフレーム5に支持されており、前記制御装置の制御の下、サーボモータ等のアクチュエータ(図示せず)を駆動することによって、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
なお、すでに理解されるように、転写のための型Mと被成型品Wとの面接触や押圧は、型Mを被成型品Wに対してZ軸方向で相対的に移動することによってなされる。たとえば、微細な転写パターンが形成されている型Mの面MAが平面状になっており、また、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの面WAも平面状になっているので、前記面接触がなされる前は、微細な転写パターンが形成されている型Mの平面状の面MAと、微細な転写パターンが転写される被成型品Wの平面状の面WAとは、お互いが離れて平行になっている。この離れて平行になっている状態から、下方向(型Mが被成型品Wに近づく方向)に型Mを移動することによって、型保持体15と型Mとが図1に二点鎖線で示すところに位置し、前記面接触と前記押圧とがなされるようになっている。
また、転写装置3には、被成型品Wに紫外線を照射するためのUV光発生装置(紫外線発生装置;図示せず)や被成型品Wを加熱する加熱装置(図示せず)や冷却する冷却装置が設けられており、前述した熱インプリント法またはUVインプリント法を行う場合に、適宜使用されるようになっている。
次に、シート状部材保持具1について説明する。
図5は、シート状部材保持具1の概略構成を示す断面図であり、図6は、図5におけるVI矢視図であり、図7は、図5に示すVII部の拡大図である。
シート状部材保持具(部材保持治具)1は、厚さ方向の一方の面に微細な転写パターンが転写されるシート状の部材(被成型品)Wを、たとえば搬送して所定の箇所に位置決めして設置するために保持する装置である。
シート状部材保持具1は、被成型品Wの周辺部(シート状の被成型品Wの周辺部の少なくとも一部)を保持することにより、被成型品Wを保持するように構成されている。なお、この保持により、被成型品Wの微細な転写パターンが転写される部位(図5で水平方向に延びている被成型品Wの部位)が平板状になっている。
また、シート状部材保持具1は、ベース部材17とシート状部材保持手段19とを備えて構成されている。
ベース部材17は、たとえば、矩形な所定の厚さの平板状に形成されており剛性を備えている。ベース部材17の厚さ方向の一方の面(図5の上側の面)に面状部21が形成されている。シート状部材保持具1にシート状の被成型品Wを設置したとき、被成型品Wの面(下面)WBが面状部21に面接触するようになっている。面WBは、被成型品Wの厚さ方向の一方の面(微細な転写パターンが転写される面)WAとは反対側に存在している面である。
面状部21は、たとえば、平面で形成されているが、次に掲げるような平面に近い曲面であってもよい。すなわち、半径が大きな円柱の側面の一部で構成された曲面であって周辺部から中央に向かうにしたがって図5の上方にごく僅かに凸になっている曲面であってもよいし、曲率半径が大きな球の表面の一部で構成された曲面であって周辺部から中央に向かうにしたがって図5の上方にごく僅かに凸になっている曲面であってもよいし、曲率半径が大きな回転楕円体の表面の一部で構成された曲面であって周辺部から中央に向かうにしたがって図5の上方にごく僅かに凸になっている曲面であってもよいし、曲率半径が大きくかつ滑らかに変化している曲面であって周辺部から中央に向かうにしたがって図5の上方にごく僅かに凸になっている曲面であってもよい。
また、ベース部材17には、第1の斜面23と第2の斜面25とが設けられている。第1の斜面23は、面状部21の一方の側(図5の左側)に設けられている。すなわち、第1の斜面23は、面状部21とベース部材17の1つの側面(図5の左側に位置している側面)との間に形成されている。そして、第1の斜面23と面状部21との交差角度αは、鈍角(たとえば、135°以上の角度)になっている。
また、第2の斜面25は、面状部21の他方の側(図5の右側)に設けられている。すなわち、第2の斜面25は、面状部21とベース部材17の他の1つの側面(図5の右側に位置している側面)との間に形成されている。そして、第2の斜面25と面状部21との交差角度αも、鈍角(たとえば、135°以上の角度)になっている。
シート状部材保持手段19は、シート状の被成型品Wの厚さ方向の他方の面WBが面状部21に面接触するように、シート状の被成型品Wの周辺部の少なくとも一部を、ベース部材17の面状部21のまわりで保持する手段である。シート状部材保持手段19で保持されることにより、ベース部材17と被成型品Wとが一体になる。
また、シート状部材保持手段19は、ベース部材17の面状部21で展開している被成型品Wの部位に、被成型品Wの厚さ方向と直交する方向(たとえば、図5の左右方向)の引っ張り応力が発生している状態で、被成型品Wを、ベース部材17の両端(図5の左右方向における両端)で保持する手段である。なお、図5の左右方向で発生している上記引っ張り力に代えてもしくは加えて、被成型品Wの厚さ方向と直交する方向であって図5の左右方向とは交差する方向(たとえば、図5の紙面とは直交する方向)の引っ張り力を加えて、被成型品Wの部位に引っ張り応力を発生させるようにしてもよい。
また、被成型品Wに予め引っ張り力を加えておいては、シート状部材保持手段19で被成型品Wを保持するようになっているが、被成型品Wに予め引っ張り力を加えておき、シート状部材保持手段19で被成型品W保持するときに更なる引張力を加えて、被成型品Wに引っ張り応力を発生させるようにしてもよい。さらに、被成型品Wに引っ張り力を加えておくことなく、シート状部材保持手段19で保持するときにのみ被成型品Wに引っ張り力を加えて引っ張り応力を発生させるようにしてもよい。
また、シート状部材保持手段19は、たとえば、第1のシート状部材保持体27と第2のシート状部材保持体29とを供えて構成されている。第1のシート状部材保持体27は、ベース部材17の面状部21に接触している被成型品Wの一端部(図5の左端部で斜めになってい部位)を、第1の斜面23と協働して挟み込むようになっている。第2のシート状部材保持体29は、ベース部材17の面状部21に接触している被成型品Wの他端部(図5の右端部で斜めになってい部位)を、第2の斜面25と協働して挟み込むようになっている。
そして、各シート状部材保持体27,29とベース部材17とで、被成型品Wを保持するようになっている。このようにして被成型品Wを保持している状態では、シート状部材保持手段19を構成している各シート状部材保持体27,29等の各構成要素が、被成型品Wの上面(微細な転写パターンが転写される面)WAから上方に突出しておらず、上面(微細な転写パターンが転写される面)WAよりもベース部材17側(図5の下側)に存在している。
なお、ベース部材17の面状部21にたとえば環状に形成された溝31を形成し、この溝31を用いて、シート状部材保持具1に設置された被成型品Wを真空吸着等によって保持するようにしてもよい。
次に、各シート状部材保持体27,29とベース部材17とで、被成型品Wを挟み込む箇所の構成について、図7を参照して詳しく説明する。
第1のシート状部材保持体27は、被成型品Wを挟み込み、ボルトBTを用いて、被成型品Wをベース部材17に一体的に保持するようになっている。なお、第1のシート状部材保持体27には、Oリング状の弾性体33等の摩擦係数の大きな部材が設置されており、これにより、被成型品Wの保持力を大きくしている。Oリング状の弾性体33は、図7の紙面に直交する方向に、シート状部材保持体27と共に伸びているものである。また、ボルトBTの中心軸C1は、第1の斜面23に対して直交する方向に延びている。第2のシート状部材保持体29等についても同様に構成されている。
ここで、ボルトBTの中心軸C1を軸C2のように傾けてもよい。このように傾ければ、各シート状部材保持体27,29で被成型品Wを挟み込むときに、ベース部材17の面状部21に接触している被成型品Wの部位に、各斜面23,25をお互いに結ぶ方向(図5の左右方向)の引っ張り力が付加されるようになる。つまり、ボルトBTの中心軸C1を軸C2のように傾ければ、ボルトBTを締め付けるときに、第1の斜面23を滑り落ちる方向の力(図7に示す矢印A1方向の力)が第1のシート状部材保持体27に加わり、同様にして、第2の斜面25を滑り落ちる方向の力が第2のシート状部材保持体29に加わり、被成型品Wに引っ張り応力が発生するようになっている。
なお、図7に示す態様では、被成型品WにボルトBTが貫通するための孔を設ける必要があるので、これを回避するために、ボルトBTを被成型品Wから離して設けてもよい。
また、ボルトBTを使用する代わりに、ワンタッチ式のファスナ(たとえば留め金具等の工業用クリップ)、もしくは、マグネットを使用する構成であってもよい。これにより、被成型品Wに上述した貫通孔を設ける必要が無くなると共に、シート状部材保持具1への被成型品Wの着脱を効率良く行うことができる。さらに、ワンタッチ式のファスナ等を用いた場合において、図7に示す矢印A1方向の力の力が加わるようにしてもよい。
また、図5に示すベース部材17は、2つの部品35,37で構成されているが、これは、一方の部品35を紫外線が透過する石英ガラス等の透明体で構成し、他方の部品37を金属で構成したからである。したがって、紫外線を透過させる等の必要がなければ、ベース部材17を一体の金属部材で構成してもよい。
さらに、上記説明では、図5の左右方向の各端部に設けられている一対のシート状部材保持体27,29を用いて被成型品Wを保持しているが、図14(シート状部材保持具1の変形例を示す図であって図6に対応した図)に示すように、一対のシート状部材保持体27,29に加えて、一対のシート状部材保持体27,29と同様に構成された別の一対のシート状部材保持体39,41を用いて、被成型品Wを保持する構成であってもよい。なお、シート状部材保持体27,29をお互いに結ぶ方向(図14の左右方向)と、各シート状部材保持体39,41をお互いに結ぶ方向(図14の上下方向)とは、お互いに直交している。また、各シート状部材保持体39,41が設けられるベース部材17の箇所には、シート状部材保持体27,29の場合と同様にして斜面が設けられているものとする。
このように、2対のシート状部材保持体27,29,39,41を用いて被成型品Wを保持する場合、各シート状部材保持体27,29,39,41の内側に存在している被成型品Wの部位には、たとえば、2次元的な引っ張り応力(図14の左右方向の応力と図14の上下方向の応力)が発生しているものとする。
また、ベース部材17が矩形ではなく、円板状等の他の形態になっていてもよい。ベース部材17が円板状に形成されている場合、ベース部材の斜面は、たとえば、円環状(円錐台の側面形状)に形成されることになる。シート部材保持体も、円環状に形成されることになる。なおこの場合において、円環状のシート部材保持体を円弧状の複数のものに分割し、これらの円弧状のものを用いて被成型品Wを保持する構成であってもよい。さらには、円環状のものから分割された円弧状のものの一部を用いて、シート部材保持体を構成してもよい。たとえば、円環状のものを4分割し、この4分割したもののうちの3つのものを、ベース部材の中心を中心にして120°等の等分配の角度ずつずらした箇所に配置して、被成型品Wを保持する構成であってもよい。
次に、シート状部材設置装置43について説明する。
図8は、シート状部材設置装置43の概略構成を示す図であり、図9は、シート状部材設置装置43の概略構成を示すブロック図である。
シート状部材設置装置43は、被成型品Wをシート状部材保持具1に設置するための装置であり、シート状部材保持具1(ベース部材17)が設置される保持具設置体(ベース部材設置体)45と、被成型品Wの一端部をクランプする第1のクランパ47と、被成型品Wの他端部をクランプする第2のクランパ49と、シート状部材設置装置43全体の動作を制御する制御装置50とを備えて構成されている。制御装置50には、メモリ52が設けられており、メモリ52には、シート状部材設置装置43の動作プログラム等が格納されている。
なお、ベース部材設置体45には、被成型品保持体7の場合と同様にして位置決めピン9が設けられており、この位置決めピン9が、ベース部材17に形成されている位置決め孔11に入り込むことによって、ベース部材17が位置決めされてベース部材設置体45に設置されるようになっている。
また、各クランパ47,49が協働して被成型品Wに引っ張り力を付与して薄い平板状にしている。この平板状になっている被成型品Wが、ベース部材設置体45に設置されているシート状部材保持具1(ベース部材17)に対して所定の位置関係で設置されるようになっている。
この所定の位置関係は、たとえば、図8に示すように、平板状になっている被成型品Wの部位(図8で左右方向に延びている部位)が、ベース部材設置体45に設置されているベース部材17の面状部21から僅かに上方に離れて平行に展開している位置関係である。
なお、前記所定の位置関係が、たとえば、図10に示すような位置関係になっていてもよい。すなわち、平板状になっている被成型品Wの部位が、ベース部材設置体45に設置されているベース部材17の面状部21に面接触している位置関係になっていてもよい。この場合、被成型品Wの両端部側の部位は、たとえば、ベース部材17の各斜面23,25に接触している。
また、シート状部材設置装置43には、ベース部材移動位置決め手段51が設けられている。ベース部材移動位置決め手段51は、各クランパ47,49で保持されている被成型品Wに対して、ベース部材設置体45に設置されているベース部材17を相対的に移動位置決め自在な手段である。
ベース部材移動位置決め手段51は、たとえば、ベース部材設置体45が載置されているベース部材設置体移動位置決め装置(上述したXYステージ13にθ2軸まわりの回動位置決め機能を持たせた装置)53により構成されている。すなわち、ベース部材設置体移動位置決め装置53は、図8や図9に示すように、X軸方向移動位置決め装置55、Y軸方向移動位置決め装置57、θ2軸まわり回動位置決め装置59を備えて構成されている。なお、θ2軸は、Z軸に平行な軸であってベース部材設置体移動位置決め装置53やベース部材設置体移動位置決め装置53に設置されているベース部材設置体45やベース部材設置体45に設置されているベース部材17の中心を通る軸である。
また、シート状部材設置装置43には、被成型品Wの伸縮量を検出可能な伸縮量検出手段61と、伸縮量検出手段61による検出結果を出力する出力手段(たとえば、LCD等の表示装置;図示せず)とが設けられている。
伸縮量検出手段61は、ベース部材設置体45に設置されているベース部材17に対する被成型品(図8に示すように、各クランパ47,49でクランプされ図8の左右方向で平板状に展開している被成型品)Wの伸縮量を検出するようになっている。そして、制御装置50の制御の下、伸縮量検出手段61による検出結果に応じて、ベース部材17に対する被成型品Wの伸縮量が一致するように、各プランパ47,49により被成型品Wに加える引張り力の値を調整するようになっている。
伸縮量検出手段61は、具体的には、第1のカメラ63と第2のカメラ65と画像処理装置67とを備えて構成されている。
すなわち、図13(図8におけるXII矢視図)に示すように、第1のカメラ63で、被成型品Wに予め設けられているアイマークM1とベース部材17の面状部21に予め形成されているアイマークM3とを撮影し、第2のカメラ65で、被成型品Wに予め設けられているアイマークM2とベース部材17の面状部21に予め形成されているアイマークM4とを撮影する。そして、画像処理装置67を用いて、各アイマークM1,M2間の距離L2と、各アイマークM3,M4間の距離L3とを求める。続いて、距離L2/距離L3(距離L3−距離L2でもよい。)を求めれば、この求めた距離L2/距離L3の値が、ベース部材17に対する被成型品Wの伸縮量ということになる。この場合、被成型品Wはたとえば透明体で形成されているものとする。なお、被成型品Wが透明体でない場合には、図13において、ベース部材17を被成型品Wよりも大きくし、アイマークM3やアイマークM4を被成型品Wの外側に設ければよい。
また、シート状部材設置装置43には、図9に示すように、各クランパ47,49を駆動するためのクランパ駆動装置69が設けられている。クランパ駆動装置69は、第1のクランパ開閉装置71と、第2のクランパ開閉装置73と、クランパ張力調整装置75と、クランパ移動装置77とを備えて構成されている。
第1のクランパ47は、被成型品Wをたとえば2つの部材で挟み込んでクランプするように構成されている。第1のクランパ開閉装置71で、第1のクランパ47を開状態にしたときには、2つの部材同士が離れ被成型品Wのクランプが解除され、第1のクランパ47を閉状態にしたときには、2つの部材同士が近づき被成型品Wが2つの部材で挟まれてクランプされるようになっている。第2のクランパ49も、同様に構成されている。
クランパ張力調整装置(張力調整手段)75は、各クランパ47,49で両端部がクランプされている被成型品Wの引っ張り力を調整する装置であり、たとえば、クランパ張力センサ79で検出された被成型品Wの引張り力が、たとえば、所定の値になるように、各クランパ47,49間の距離を微調整して、引張り力を調整するようになっている。
クランパ移動装置77は、たとえば、ベース部材設置体45に対し、各クランパ47,49の位置を相対的に移動する装置であり、たとえば、図8で示す位置に存在している各クランパ47,49を、図10で示す位置に移動することができるようになっている。
なお、クランパ張力調整装置75とクランパ移動装置77とは、たとえば、第1のクランパ47を、サーバモータやシリンダ等のアクチュエータとリンク等の機構を用いて移動位置決めする装置と、同様にして、第2のクランパ49を移動位置決めする装置とで構成されている。図9に示す真空ポンプ81は、ベース部材17の面状部21に形成された溝31を用いて、シート状部材保持具1に設置された被成型品Wを真空吸着するときに使用されるものである。
ここで、シート状部材設置装置43を用いた、シート状部材保持具1への被成型品Wの設置動作について説明する。
まず、図8に示すように、ベース部材設置体45にベース部材17が設置されており、各クランパ47,49で被成型品Wに引っ張り力を付与していることにより、被成型品Wが薄い平板状になっており、この平板状になっている被成型品Wが、ベース部材設置体45に設置されているシート状部材保持具1(ベース部材17)に対して所定の位置関係になっているとする。この状態で、制御装置50の制御の下、各カメラ63,65を用いて被成型品Wの各アイマークM1,M2とベース部材17の各アイマークM3,M4とを撮影する。
撮影の結果、図13に示すように、ベース部材17に対して被成型品Wが縮んでいる場合には、クランパ張力調整装置75により、被成型品Wの張力を増やして被成型品Wを引き伸ばし、図13に示す距離L2と距離L3とをお互いに等しくする。この後、ベース部材17のアイマークM3に対する被成型品WのアイマークM1のずれ量がある場合には、ベース部材設置体移動位置決め装置53を適宜駆動する。そして、被成型品WのアイマークM1とベース部材17のアイマークM3とがお互いに重なり合うようにし、被成型品WのアイマークM2とベース部材17のアイマークM4とがお互いに重なり合うようにする。
なお、図13に示す状態で、距離L2が距離L3よりも大きい場合には、被成型品Wの張力を減少させてもよいが、張力を減少させた場合であっても、被成型品Wに弛みが発生しないことが必要である。
一方、上記撮影の結果、図12に示すように、被成型品Wの各アイマークM1,M2間の距離L2と、ベース部材17の各アイマークM3,M4間の距離L3とがお互いに等しく、ベース部材17のアイマークM3に対する被成型品WのアイマークM1のずれ量が、「ΔL」である場合には、ベース部材設置体移動位置決め装置53のみを適宜駆動する。そして、被成型品WのアイマークM1とベース部材17のアイマークM3とがお互いに重なり合うようにし、被成型品WのアイマークM2とベース部材17のアイマークM4とがお互いに重なり合うようにする。
ベース部材設置体45に対する被成型品Wの位置決めが終了したら、クランパ移動装置77で各クランパ47、9を移動し、図10に示すように、ベース部材17の面状部21や各斜面23,25に、被成型品Wの下面WBを接触させる。
図10に示した状態で、各シート状部材保持体27,29を用いて被成型品Wを保持し、各クランパ47,49を開状態にしてシート状部材保持具1から離せば、図11で示すように、シート状部材保持具1への被成型品Wの設置が終了する。なお、図11でシート状部材保持具1の左右両端に突出している被成型品Wは、ナイフ等の切断具で切断され除去されるようになっている。
次に、図1に示す転写装置3の動作を説明する。
初期状態として、図1に示すように、型Mが設置された型保持体15が上昇しており、転写前の被成型品Wが設置され保持されているシート状部材保持具1が、被成型品保持体7に設置されているものとする。
この初期状態において、XYステージ13を適宜駆動し、被成型品保持体7と型保持体15の位置合わせをする。続いて、型保持体15を下降して、型Mで被成型品Wを押圧し、図2、図3もしくは図4に示す転写を行う。
転写終了後に、型保持体15を上昇し、シート状部材保持具1を転写装置3から搬出し、シート状部材保持具1から被成型品Wを取り外せば、微細な転写パターンが転写されたシート状の被成型品Wを得ることができる。
シート状部材保持具1を用いることにより、シート状の被成型品Wに剛性がない場合であっても、被成型品Wの形態を平板状の一定の形態に保っておくことができ、被成型品Wの搬送や位置決め設置等の取り扱いが容易になる。そして、被成型品Wに微細な転写パターンの転写をする工程等の自動化が容易になる。これにより、転写のスループットをあげる(所定の時間内により多く回数の転写を行う)ことができる。なお、シート状部材保持具1に設置されている被成型品Wを搬送等で取り扱う場合には、被成型品Wではなくてシート状部材保持具1を、ロボットのハンド等で保持して行うようになっている。
また、被成型品Wがシート状であると、転写の際に、被成型品Wが型Mの形状に倣いやすく、転写抜け等の不要が発生しにくくなる。さらに、被成型品Wがシート状であると、被成型品Wの製造が容易になると共に安価になる。また、被成型品Wがシート状であれば紫外線を透過させやすいので、紫外線硬化樹脂を使用した転写がしやすくなる。
また、シート状部材保持具1によれば、ベース部材17の面状部21に被成型品Wを面接触させて、被成型品Wを保持するので、被成型品Wがシート状部材保持具1と一体になる。そして、剛性の小さい被成型品Wを、シート状部材保持具1とほぼ同形状で同様な剛性を備えた被成型品Wとして取り扱うことができ、被成型品Wの取り扱いが容易になる。
また、シート状部材保持具1を用いて被成型品Wを保持したときに、ベース部材17の面状部21で展開している被成型品Wの平板状の部位に引っ張り応力が発生しているので、被成型品Wに弛みや皺が発生するおそれが無くなり、正確な転写を行うことができる。
また、シート状部材保持具1によれば、シート状部材保持手段19を構成している各構成要素が、被成型品Wの一方の面から突出していないので、転写がしやすくなっている。すなわち、図1に二点鎖線L1で示すように各構成要素が上方に突出しており、さらに、型Mの左右方向の寸法が図1に示す場合よりも大きくなると、転写をしようとしても、型Mが各構成要素に干渉してしまい転写ができないことになる。しかし、各構成要素が図1に二点鎖線L1で示すように上方に突出していないので、型Mの左右方向の寸法が図1に示す場合よりも大きくなっても、転写を行うことができる。
また、シート状部材保持具1によれば、ベース部材17の面状部21に対して、各斜面23,25が鈍角で交差しているので、シート状部材保持具1に被成型品Wを設置する場合、被成型品Wが面状部21と各斜面23,25との間で緩やかに曲がり、被成型品Wが傷ついたり破損したりするおそれを回避することができる。
また、シート状部材保持具1において、各シート状部材保持体27,29で被成型品Wを挟み込むときに、ベース部材17の面状部21に接触している被成型品Wの平板状の部位に、更なる引っ張り力が付加されるようにすれば、被成型品Wを保持するときに、被成型品Wでの皺や弛みの発生を一層確実に抑制することができる。
シート状部材設置装置43によれば、各クランパ47,49により、シート状部材保持具1(ベース部材17)と被成型品Wとの位置関係を所定の位置関係にすることができる。この所定の位置関係にした後に、被成型品Wをシート状部材保持具1に設置してシート状部材保持具1で被成型品Wを保持することにより、シート状部材保持具1の正しい位置への被成型品Wの設置が容易になる。
また、シート状部材設置装置43によれば、ベース部材設置体移動位置決め装置53を用いることにより、各クランパ47,49により保持されている被成型品Wに対して、ベース部材17が相対的に移動位置決め自在になっており、ベース部材17の正しい位置に被成型品Wを設置することができる。
また、シート状部材設置装置43によれば、伸縮量検出手段61を用いることにより、各クランパ47,49で保持されている被成型品Wの伸縮量(ベース部材17に対する伸縮量)を検出することができるようになっている。そして、この検出結果を使用して、たとえば制御装置50の制御の下、被成型品Wを適宜伸縮させ、正しいサイズ(伸縮量)の被成型品Wをベース部材17に設置することができる。すなわち、図13に示す状態から、被成型品Wに左右方向の引っ張り力をさらに加えて被成型品Wを伸ばし、距離L2を距離L3と等しくして、被成型品Wをベース部材17に設置することができる。
なお、図14で示すように、一対のシート状部材保持体27,29と別の一対のシート状部材保持体39,41とを用いて被成型品Wを2次元的に保持する構成にした場合、一対のクランパ47,49に加えて、他の一対のクランパを設け、被成型品Wに2次元的な引っ張り力を付与するようにしてもよい。
また、図5や図6で示すように、一対のシート状部材保持体27,29のみを用いて被成型品Wを保持する場合において、一対のクランパ47,49に加えて他の一対のクランパをさらに設け、被成型品Wに2次元的な引っ張り力を付与するようにしてもよい。
被成型品Wに2次元的な引っ張り力を付与するように構成することにより、図15に示すように、ベース部材17に対して被成型品Wが2次元的に縮んでいる場合(距離L2<距離L3、距離L4<距離L5)であっても、被成型品Wの伸縮量を調整することができる。
ところで、上記説明では、シート状の部材として被成型品Wを掲げて説明したが、シート状の部材として、型Mを採用してもよい。
すなわち、図16で示すように、シート状部材保持具1(ベース部材17)に、シート状の型Mを設置するようにしてもよい。なお、シート状部材保持具1に設置された型Mの一方の面(図16の下側の面)に微細な転写パターンが形成されており、型Mの他方の面(図16の上側の面)が、ベース部材17の面状部21の接触している。なお、図16の示す型Mのを、フィルムモールドという場合がある。
さらに、上記説明では、ベース部材17に対して、被成型品Wや型Mを着脱自在に設けてあるが、被成型品Wや型Mを、接着や熱圧着により半永久的に固定した構成であってもよい。さらに、接着や熱圧着が、ベース部材17の各斜面23,25だけでなく、面状部21でなされていてもよい。すなわち、被成型品Wや型Mの厚さ方向の他方の面(微細な転写パターンとは反対側の面)のたとえば全面がベース部材17に面接着されている構成であってもよい。
また、転写装置3とシート状部材設置装置43とを、まとめて1つの装置としてもよい。
[第2の実施形態]
図17は、本発明の第2の実施形態に係るシート状部材保持具101の概略構成を示す斜視図であり、図17(a)は、シート状部材保持具101を下側から見た図であり、図17(b)は、シート状部材保持具101を上側から見た図である。図18は、シート状部材保持具101の底面図と断面図であり、図18(a)が、図17(a)におけるXVIII矢視図であり、図18(b)が、図18(a)におけるXVIII−XVIII断面図である。
第2の実施形態に係るシート状部材保持具101は、環状に形成されている点が第1の実施形態に係るシート状部材保持具1と異なり、その他の点は第1の実施形態に係るシート状部材保持具1とほぼ同様に構成されており、ほぼ同様の効果を奏する。
また、第2の実施形態に係るシート状部材保持具101では、シート状の型Mを保持する場合を例に掲げて説明するが、シート状の被成型品Wを保持する場合も同様に考えることができる。さらに、シート状部材保持具101に型Mや被成型品Wを設置するときの、型Mや被成型品Wへの引っ張り力の付与やシート状部材保持具101に対する型Mや被成型品Wに位置決めについても、第1の実施形態に係るシート状部材保持具1の場合と同様に考えることができる。
第2の実施形態に係るシート状部材保持具101は、第1の支持体103と第2の支持体105とを備えて構成されている。
第1の支持体103は、矩形な(たとえば正方形な)平板状に形成されている素材の四隅に所定の大きさの面取り107を形成し、前記素材の中央に前記素材の厚さ方向に貫通する円形状の貫通孔109を設けて、環状に形成されている。
第2の支持体105は、第1の支持体103の中央の貫通孔109を塞ぐようにして、シート状の部材(型)Mを第1の支持体103に設置するときに、型Mの周辺部を第1の支持体103と協働して挟み込んで型Mを固定するものである。そして、シート状部材保持具101に型Mが設置された状態では、第1の支持体103の貫通孔109を塞いでいる型Mの部位が平板状になって露出しており、この露出している部位の一方の面(厚さ方向の一方の面)に、微細な転写パターンが形成されている。
第2の支持体105も、第1の支持体103と同様にして、矩形な平板状に形成されている素材の四隅に所定の大きさの面取り111を形成し、前記素材の中央に前記素材の厚さ方向に貫通する円形状の貫通孔113を設けて、環状に形成されている。なお、第2の支持体105の素材の縦横寸法は、第1の支持体103の素材とほぼ同じであり、第2の支持体105の素材の厚さは、第1の支持体103の素材よりも厚くなっている。また、第1の支持体103の貫通孔109の内径と第2の支持体103の貫通孔113の内径とは、お互いがほぼ等しくなっている。また、第2の支持体103の面取り111は、第1の支持体103の面取り107よりも大きくなっている。
さらに、第2の支持体105では、このもとになる前記素材に対して、環状の凹部115を形成してある。環状の凹部115を形成してあることにより、貫通孔113の縁に、円環状の凸部117が形成されている。凸部117は長さの短い(図18(b)では、上下方向の寸法が小さい)円筒状に形成されている。凹部115を形成したことによって生成された平面119は、貫通孔113や凸部117の外周面や第2の支持体105の厚さ方向に対して直交している。凸部117によって、貫通孔113の外周近傍に段差121が形成されていることになる。
また、第1の実施形態に係るシート状部材保持具1と同様にして、第2の支持体103にはOリング123等の摩擦係数の大きな部材が設置されている。
各支持体103,105で型Mを挟み込み、ボルトBTを用いて、型Mをシート状部材保持具101に設置してある状態では、シート状部材保持具101の厚さ方向(各支持体103,105、型Mの厚さ方向)で、第1の支持体103と型Mと第2の支持体105とがこの順序で重なっている。そして、シート状部材保持具101の厚さ方向から見ると、各面取り107,111を除いて、各支持体103,105同士がお互いに重なっている。
次に、シート状部材保持具101に保持されている型Mを用いて、被成型品Wに微細な転写パターンを転写をする転写装置131について説明する。
図19は、転写装置131の概略構成を示す図である。
転写装置131は、シート状部材保持具101で保持している型Mを用いる点、転写装置3の被成型品保持体7に代えて被成型品保持装置133を設けた点を除いて、転写装置3とほぼ同様の構成されている。なお、転写装置131は、UVインプリント法、熱インプリント法のいずれの方法でも、転写を行うことができるように構成されているものとする。
また、転写装置131では、被成型品保持装置133に設置されている被成型品Wに、型(シート状部材保持具101で保持している型)Mに形成されている微細な転写パターンを転写する場合を例に掲げて説明するが、型Mと被成型品Wとを入れ換えてもよい。すなわち、被成型品保持装置(型保持装置)133に型Mを設置し、シート状部材保持具101にシート状の被成型品Wを設置して転写を行う構成であってもよい。
転写装置131は、ベースフレーム135を備えて構成されている。ベースフレーム135には、被成型品保持装置133が設けられている。また、被成型品保持装置133の上方には、転写装置3の型保持体15に相当する移動体137が設けられている。移動体137は、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
被成型品保持装置133は、型Mの平面状の部位に形成されている微細な転写パターンを、平板状の被成型品Wの厚さ方向の一方の面に転写するときに、被成型品Wを保持する装置であり、被成型品保持体139とベース部材141と緩衝材145とを備えて構成されている。
被成型品保持体139は、たとえば矩形な平板状に形成されており、被成型品保持体139の厚さ方向から見たときに被成型品Wよりも大きな形状に形成されている。また、被成型品保持体139は、厚さ方向がZ軸方向になるようにして設けられており、この厚さ方向一方の面(上面)の中央部に、被成型品Wの厚さ方向の他方の面(下面)を面接触させ、被成型品Wをたとえば真空吸着で保持するようになっている。
ベース部材141は、たとえば矩形な平板状に形成されており、ベース部材141の厚さ方向から見たときに、被成型品Wよりも大きく、被成型品保持体139とほぼ同じ大きさか僅かに大きくなっており、被成型品保持体139とほぼ重なっている。また、ベース部材141は、厚さ方向がZ軸方向になるようにして、被成型品保持体139の厚さ方向の他方の側(下側)で被成型品保持体139から離れて設けられている。
矩形な平板状のスペーサ143は、ベース部材141の上面に一体的に設けられている。
緩衝材145は、たとえば、シリコンゴムPDMS等のゴムもしくは剛性の小さい樹脂等の弾性体で構成されて、矩形な平板状に形成されており、厚さ方向がZ軸方向になるようにして設けられている。そして、厚さ方向の一端部(上面)が、被成型品保持体139の下面の中央部で被成型品保持体139に接し、厚さ方向の他端部(下面)が、スペーサ143の上面に接している。
Z軸方向(被成型品Wや被成型品保持体139等の厚さ方向)から見ると、緩衝材145は、被成型品保持体139が保持している被成型品Wの内側、もしくは、被成型品保持体139が保持している被成型品Wが内側に入る領域であって被成型品Wよりも僅かに大きな領域の内側に存在している。
また、被成型品保持装置133には、外力付与手段147が設けられている。外力付与手段147は、被成型品Wを保持する被成型品保持体139の上面をごく僅かに変形させ、また、ごく僅かに傾けるために設けられているものであり、被成型品保持体139の周辺部(緩衝材145から離れている周辺部)に外力を付与するようになっている。
外力付与手段147は、具体的には、複数本のボルトBTを備えて構成されている。各ボルトBTは、たとえば、被成型品保持体139やベース部材141の角部の近くに設けられており、ボルトBTのネジ部が、ベース部材141に螺合しており、ボルトBTの頭部が被成型品保持体139に係合している。
そして、各ボルトBTを適宜締め付けると、緩衝材145が図19の上下方向で圧縮されると共に、被成型品保持体139に曲げモーメントが発生して、被成型品保持体139の上面が中央部に向かうにしたがって僅かに中凸に変形するようになっている(図19に二点鎖線L6で示すようになる)。この変形によって、被成型品保持体139の上面に設置されている被成型品Wも、同様にごく僅かではあるが中凸に変形する。
これにより、型Mで被成型品Wに転写するときの中抜け(被成型品Wの中央部に微細な転写パターンが転写されない状態)を防止することができる。なお、図19の左側のボルトBTの締め加減と、右側のボルトBTの締め加減とが同じであれば、被成型品保持体139は、単に僅かに中凸になるだけであるが、図19の左側のボルトBTの締め加減と右側のボルトBTの締め加減とを変えれば、被成型品保持体139が僅かに中凸になると同時に僅かに傾けることができる。また、ボルトBTに変えて、シリンダやピエゾ素子等のアクチュエータを用いて被成型品保持体139を変形等させてもよい。
被成型品保持体139の上面の周辺には、型Mを保持しているシート状部材保持具101を載置して設置するための複数のピン部材149が設けられている。ピン部材149は、たとえば、円柱状に形成されており、被成型品保持体139の中央に設置された被成型品Wの外周よりも外側で、被成型品Wの中心を中心とした所定の半径の円の円周上に設けられている。さらに、前記円周をたとえば、3等配等の等分配する箇所に位置している。
ピン部材149は、所定の外径で円柱状に形成されている下部側部位151と、所定の外径で円柱状に形成されている上部側部位153とを備えて形成されている。なお、下部側部位151の中心軸と上部側部位153の中心軸とはお互いに一致しており、中心軸の延伸方向がZ軸方向になっている。上部側部位153の外径や高さは、下部側部位151のものよりも小さくなっている。これにより、ピン部材149の上側には、段差155が形成されていることになる。
また、ピン部材149は、Z軸方向で移動自在なようにして、被成型品保持体139に支持されており、常態においては、各ピン部材149が同じ高さだけ、被成型品保持体139の上面から突出している。前記常態において、型Mを保持しているシート状部材保持具101を載置して設置した場合、各ピン部材149の高さはそのままで、被成型品保持体139に設置されている被成型品Wに対して、型Mを保持しているシート状部材保持具101のX方向とY軸方向との位置が決まるようになっている。たとえば、Z軸方向から見たときに、被成型品Wの中心と型Mの中心とがお互いに一致するようになっている。また、被成型品保持体139に設置されている被成型品Wと、型MとがZ軸方向で所定の距離だけ離れている。
なお、前記常態における各ピン部材149の突出は、図示しないバネ等の弾性体もしくはシリンダ等のアクチュエータを用いてなされるようになっており、各ピン部材149が同じ高さだけ突出するのは、各ピン部材149に図示しないストッパが設けられていることによる。
ここで、前記常態において、型Mを保持しているシート状部材保持具101を各ピン部材149に載置して設置したときに、X方向とY軸方向とにおけるシート状部材保持具101の前記位置決めについて詳しく説明する。段差121が設けられている側(第2の支持体105側)を下側にして、各ピン部材149にシート状部材保持具101を載置すると、ピン部材149の段差155に、シート状部材保持具101の段差121が係合して、前記位置決めがなされるようになっている。より精確には、図18に示すように、各ピン部材149の下部側部位151の上面に、シート状部材保持具101を構成している第2の支持体105の凸部117の平面が接触し、さらに、各ピン部材149の上部側部位153の側面に、シート状部材保持具101を構成している第2の支持体105の凸部117の側面が接触して、シート状部材保持具101の位置決めがなされるようになっている。
次に、移動体137について詳しく説明する。
図19に示す移動体137は、本体部157と押圧体159と緩衝材161とを備えて構成されている。押圧体159は本体部157の下側で本体部157に一体的に設けられている。押圧体159の下面には、緩衝材145とほぼ同様に構成された板状の緩衝材161が一体的に設けられている。緩衝材161の下面は平面であるが、緩衝材161の下面が、転写の際の中抜けを防止する等のために、周辺部から中央部に向かうにしたがって、ごく僅かに凸になっていてもよい(図19に二点鎖線L8で示すようにしてもよい)。
次に、転写装置131の動作について説明する。
まず、初期状態として、図19に示すように、移動体137が上方に位置しており、被成型品保持装置133に転写がされる前の被成型品Wが設置されており、前述した常態にある各ピン部材149に、型Mが設置されたシート状部材保持具101が設置されているものとする。また、各ボルトBTの締め加減も適宜調整されているものとする。
前記初期状態において、図示しない制御装置の制御の下、移動体137を下降させると、図20(a)に示すように、緩衝材145の下面と型Mの上面とがお互いに接触する。
続いて、移動体137を下降させると、移動体137に押されて、各ピン部材149とシート状部材保持具101と型Mとが下降し、図10(b)に示すように、微細な転写パターンが形成されている型Mの下面と被成型品Wとが接触し、型Mで被成型品Wが押圧されて、被成型品Wへの転写が行われる。
シート状部材保持具101によれば、環状の各支持体103,105で型Mを挟み込んで支持するので、シート状の型Mの両面を各支持体103,105の中央部で露出させて保持することができる。また、第1の実施形態に係るベース部材17でシート状の型Mを保持した場合と同様に、型Mの取り扱いが容易になる。
また、シート状部材保持具101によって保持されているシート状の型Mは、前述した露出によって、シート状部材保持具101の中央部ではなお弾性を備えている。したがって、転写をする際に被成型品Wに倣いやすく、転写不良の発生を抑制することができる。また、転写をする際の押圧力を小さくすることができ、転写装置131を小型化することができる。
また、シート状部材保持具101によって保持されているシート状の型Mを用いれば、離型の際(転写後の型Mを被成型品Wから離す際)、型Mの面と被成型品Wの面とが、まず、周辺において離れ、この離れた部位と離れていない中央部側の部位との境界(線で環状に形成されている境界)が小さくなるようにして、型Mや被成型品Wの中央部に向かって進み、最後に型Mが被成型品から完全に離れる。したがって、従来よりも小さな力で離型することができる。
また、シート状部材保持具101によれば、第2の支持体105の面取り111が第1の支持体103の面取り107よりも大きく形成されているので、各支持体103,105でシート状の型Mを保持したときに、シート状部材保持具101の角部に段差125が形成される。この段差125に指やロボットのハンドを掛けるようにすれば、シート状部材保持具101に保持されている型Mの部材の取り扱いが一層容易になる。
なお、第2の実施形態に係るシート状部材保持具101では、各支持体103,105が矩形な板状の素材の中央に円形状の貫通孔を設けて環状に形成されているが、矩形な板状の素材の中央に矩形な貫通孔を設けて環状に形成されていてもよいし、円板状の素材の中央部に円形状の貫通孔もしくは矩形な貫通孔を設けて環状に形成されていてもよい。さらには、他の形態で環状に形成されていてもよい。
また、図18(a)に破線L7で示すように、第2の支持体105を、分割してもよい。さらには、第1の支持体103に比べて十分に小さい第2の支持体を複数使用して、型Mを設置するようにしてもよい。たとえば、十分に小さい第2の各支持体を、第1の支持体103の中心を中心にして、120°等の等分配の角度ずつずらした箇所に配置して、型Mを保持する構成であってもよい。