以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
(A)システム全体構成
図1は、本実施形態の無線タグ通信装置300を有する無線タグ通信システム1の全体構成を表すシステム構成図である。
図1において、無線タグ通信システム1は、無線タグラベルTを作成するタグラベル作成装置100と、このタグラベル作成装置100に有線あるいは無線による通信回線NWを介し接続され、作成される無線タグラベルTの印字内容及び後述のガイダンス用イメージデータを編集可能なPC200と、同様に通信回線NWに例えば無線LAN等により(破線参照)接続され、上記作成された無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toから情報を読み出し可能な無線タグ通信装置300と、同様に通信回線NWに接続されたサーバ400とを有している。
上記PC200は、表示部201及び操作部202を有しており、操作者は表示部201に表示された表示画面を参照しつつ、操作部202を用いてタグラベル作成装置300に対する各種指令の入力や情報の入力を行うことが可能となっている。
上記サーバ400は、この例では、第1データベースDB1を備えたルートサーバ400Aと、第2データベースDB2を備えた情報サーバ400Bとから構成されている。
情報サーバ400Bの第2データベースDB2には、上記タグラベル作成装置100で作成された無線タグラベルTの印字態様のイメージデータが読み出し可能に格納されている。また第2データベースDB2には、これに加え、上記無線タグ通信装置300が上記無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toからの情報読み取りを行う際に使用する合成イメージデータ(詳細は後述)や、その合成イメージデータを作成するために用いられるガイダンス用イメージデータ(詳細は後述)も、読み出し可能に格納されている。なお、このガイダンス用イメージデータは予め第2データベースDB2に格納されており、上記タグラベル作成装置100での無線タグラベルTの作成に際し、PC200での編集作業において第2データベースDB2から読み出されて使用される(後述の図13のステップS35等を参照)。そして、読み出されたガイダンス用イメージデータに種々の加工が施された後、合成後のガイダンス用イメージデータ(以下適宜、単に「合成イメージデータ」という)として改めて第2データベースDB2に格納される(後述の図13のステップS65等を参照)。
ルートサーバ400Aの第1データベースDB1には、後述する第1相関情報及び第2相関情報が格納される。後述するように、タグIDやデータの名称等をキーにこれら相関情報を参照することにより、上記情報サーバ400Bの第2データベースDB2の対応する格納先にアクセスし、対応する各種データを取得できるようになっている。なお、上記ルートサーバ400Aと情報サーバ400Bとを(機能的に)一体化してもよい。この場合は、タグIDやデータの名称等をキーにしてアクセスすることで、直接、対応する各種データを取得できる(後述)。
図2は、無線タグ通信システム1のシステム全体の機能構成を概念的に表すシステム構成図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
図2において、PC200は、各種操作・入力画面等の表示を行うための上記表示部201と、操作者が操作入力を行うための適宜のボタン、キー、マウス等を備えた上記操作部202と、上記タグラベル作成装置100、無線タグ通信装置300、ルートサーバ400A、及び情報サーバ400Bとの間で通信回線NWを介して行われる通信の制御を行うネットワーク通信制御部204と、これら表示部201、操作部202、及びネットワーク通信制御部204を含むPC200全体の動作を制御する制御回路205とを有する。
なお、タグラベル作成装置100及び無線タグ通信装置300については、後に詳述する。
(B)タグラベル作成装置の構成及び動作
図2において、タグラベル作成装置100は、上記のように無線タグラベル作成機能を備えており、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるタグアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toを有する無線タグラベルTを作成する。
すなわち、タグラベル作成装置100は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ103を巻回したタグテープロール104(本来は渦巻状であるが簡略化して同心円で図示している)を備えたカートリッジ110を着脱可能なカートリッジホルダ111と、上記カートリッジ110内のタグテープロール104から繰り出されたタグテープ103のうち各無線タグ回路素子Toに対応した領域(印字領域So;後述の図3等を参照)に所定の印字を行う印字ヘッド105と、タグテープ103を搬送する搬送ローラ108と、タグテープ103に備えられる上記無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行い無線タグ情報の書き込みを行うアンテナ106及び高周波回路102と、タグテープ103への印字及び無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが終了したタグテープ103を所定の長さに切断して前述の無線タグラベルTとするカッタ107と、上記PC200、無線タグ通信装置300、ルートサーバ400A、情報サーバ400Bと通信回線NWを介して行われる通信の制御を行うネットワーク通信制御部109と、以上の高周波回路102、印字ヘッド105、カッタ107、搬送ローラ108、及びネットワーク通信制御部109等を含むタグラベル作成装置100全体の動作制御を行う制御回路101とを有する。
なお、後述の図11に示すように、無線タグラベルTは、無線タグ回路素子Toを特に図示しない基材などに設けて物品(この例ではファイルF)等に貼付可能にしたものである。なお、この例では、タグ側アンテナ151は全体が略直線的な形状のダイポール型アンテナで構成されており、その長手方向が偏波面を形成する方向となっている。上記無線タグ通信装置300は、上記タグラベル作成装置100で作成した無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに対し、情報読み取りを行う。
図3は、上記タグラベル作成装置100で作成された無線タグラベルTの外観の一例を表す平面図である。
図3に示すように、無線タグラベルTの幅方向一方側に上記無線タグ回路素子Toが設けられており、この例では、無線タグ回路素子Toはタグアンテナ151が幅方向に延びた縦姿勢に配置され、タグアンテナ151の長手方向に沿う偏波面方向が垂直方向(図の紙面の上下方向)になっている。また、タグアンテナ151の持つ指向性により、タグアンテナの長手方向(図の紙面の上方向もしくは下方向)の感度が低く、長手方向に垂直な面が作る方向では、どの方向からでも比較的良好な通信が可能である。無線タグラベルTの大部分の幅方向領域は、上記印字ヘッド105により印字される上記印字領域Soが設けられ、この印字領域Soは、予め固定的に設定されたテンプレートSxと、それ以外のテキスト印字部分である可変印字領域Svとを有している。この例では、テンプレートSxの「ファイル番号」、「ファイル名」、「管理者」の項目に対し、操作者がテキストデータとして入力した「A0057」、「平成19年10月 第4回講演会資料」、及び「加藤 浩志」の印字が可変印字領域Svに印刷されている。このようにして、操作者が可変印字領域Svに可変にテキスト情報を設定するだけで、印字領域So全体に容易に所望の印字態様を実現できるようになっている。
図4は、上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を示す図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
この図4において、無線タグ回路素子Toは、上述したように無線タグ通信装置300のリーダアンテナ11と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波(質問信号)を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記リーダアンテナ11からの上記質問信号の受信時に当該無線タグ回路素子Toが応答信号をどの識別スロットに出力するかを決定するための乱数を発生させる乱数発生器158と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、乱数発生器158、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記無線タグ通信装置300のリーダアンテナ11からの通信信号の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
乱数発生器158は、上記無線タグ通信装置300のリーダアンテナ11からの上記質問信号に指定されているスロット数指定値Qに対し、0から2Q−1までの乱数を発生させる(詳細は後述する)。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記乱数発生器158により発生させた乱数に対応する識別スロットで上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
(C)無線タグ通信装置の構成及び動作
図2に戻り、無線タグ通信装置300は、表示部313(イメージガイダンス表示手段)及び操作部321〜327,329(詳細は後述)と、上記無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により信号の授受を行うリーダアンテナ11を有する装置アンテナユニット3(装置アンテナ手段)と、このリーダアンテナ11を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路331と、上記タグラベル作成装置100、PC200、ルートサーバ400A、及び情報サーバ400Bと通信回線NWを介して行われる通信の制御を行うネットワーク通信制御部332と、効果音等による報知を行う上記音報知部328と、上記高周波回路331、ネットワーク通信制御部332、及び音報知部328を含む無線タグ通信装置300全体の制御を行う制御回路333とを有する。
図5は、上記無線タグ通信装置300の外観構成の一例を表す平面図である。
この図5において、無線タグ通信装置300は、略直方体形状に形成された筐体301を有し、例えば筺体301の裏面側(図示する奥側)には上記リーダアンテナ11を有する上記装置アンテナユニット3(後述の図2及び図6参照)が設けられている。この筐体301の上面(図示手前側の面)には、図中上側より、各種表示を行う上記表示部313と、左右方向に略一直線状に配置され、5つの処理モード(詳細は後述)の中からモード選択を行うモード選択キー321,322,323,324,325と、上下方向にそれぞれ対応する方向キー326U,326D及びこれらの間に配置された決定キー327と、これらのキー326U,326D,327の右側に配置された音報知部328と、上記各処理モードにおける処理開始・停止を行う開始/停止キー329とを有している。なお、上述したように、これらのキー321,322,323,324,325,326U,326D,327,329を適宜「操作部」と総称する。
上記表示部313は、無線タグ通信装置300が行う各種の処理モードの切替状況や各処理モードにおける詳細内容(各種情報やメッセージ)を文字や記号で表示する。また、所定の処理モード(後述するシングルサーチモード、マルチサーチモード)においては、無線タグラベルTを介した物品(この例ではファイルF)等の探索時の便宜を図るための上記合成イメージデータ(後述の図11参照)を上記情報サーバ400Bの第2データベースDB2より取得して(後述の図17のステップS205等を参照)グラフィカルに表示できるようになっており、例えば液晶や有機EL等を用いたパネルで構成されている。
上記処理モードには、上記モード選択キー321,322,323,324,325にそれぞれ対応するシングルサーチモード、マルチサーチモード、インベントリモード、リストアップモード、及びオプションモードがある。
シングルサーチモードとは、1つの探索対象を指定し、当該探索対象(に対応する無線タグラベルT。以下同様)が無線タグ通信装置300の通信可能領域の範囲内に存在しているか否かを常に問いかけるよう通信し続ける処理モードである。また、マルチサーチモードとは、複数の探索対象を指定し、当該複数の探索対象が無線タグ通信装置300の通信可能領域の範囲内に存在しているか否かを常に問いかけるよう通信し続ける処理モードである。
また、インベントリモードとは、予め指定しておいた複数の探索対象が検出できるか否かだけを試行する処理モードである。このモードは、存在の有無だけを問題としているため、指定した複数の探索対象を全て検出した時点で処理を終了する。また、リストアップモードとは、探索対象の指定は行わず、無線タグ通信装置300の通信可能領域の範囲内に存在する探索対象と無線通信を行い、検出した探索対象を全てリストアップする処理モードである。さらに、オプションモードとは、音報知部328による音のON/OFF、バイブレータ機能のON/OFF等、無線タグ通信装置300における各種機能を操作者が設定するための処理モードである。
また、上下方向にそれぞれ配置されている2つの方向キー326U,326Dは、それぞれの位置関係に対応して上下の方向を指示可能に割り当てられたキースイッチであり、表示部313中に表示されるカーソルの移動指示や、複数の選択肢の選択指示などに用いられる。また、2つの方向キー326U,326Dの中心に配置されている決定キー327はそのような選択の決定指示などに用いられる。
また、開始/停止キー329は、探索対象の無線タグラベルTに対して各種の指示コマンドや情報の送信の開始(無線通信の開始)及び停止を指示するために用いられるキースイッチである。
図6は、上記無線タグ通信装置300の上記制御回路333の機能構成を表す機能ブロック図である。なお、特に図示はしないが、タグラベル作成装置100の制御回路101もここに示す制御回路333とほぼ同等の機能構成となっている。
制御回路333は、CPU333Aと、ROM333Bと、RAM333Cと、高周波回路331及び装置アンテナユニット3を介し行う無線タグ回路素子Toとの無線通信の制御を行う無線タグ通信制御部333Dとを備えている。上記CPU333Aは、RAM333Cの一時記憶機能を利用しつつROM333Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって無線タグ通信装置300全体の各種制御を行うものである。
リーダアンテナ11は、全体が略平面形状に形成されているマイクロストリップアンテナ(いわゆるパッチアンテナ;具体的な構成については後述する)から構成されている。上記装置アンテナユニット3は、上記リーダアンテナ11と、このリーダアンテナ11の偏波面方向を切り替えるための切り替えスイッチ回路12とを有している。
図7は、無線タグ通信装置300の高周波回路331、及び装置アンテナユニット3の詳細構成を示す機能ブロック図である。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
この図7において、高周波回路331は、上記リーダアンテナ11を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスするものであり、また無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すと共に無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成するものである。この高周波回路331は、リーダアンテナ11を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部142と、リーダアンテナ11により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部143と、送受分離器144とから構成される。
送信部142は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部142は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子145Aと、制御回路333の制御により水晶振動子145Aの出力を分周/逓倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)145B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)145Cと、上記制御回路333から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路333からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路146(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路146により変調された変調波を増幅(この例では制御回路333からの「TX_PWR」信号によって増幅率が決定される増幅)して所望の質問波を生成するゲイン制御送信アンプ147とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯、マイクロ波帯、あるいは短波帯の周波数を用いており、上記ゲイン制御送信アンプ147の出力は、送受分離器144を介しリーダアンテナ11に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部143は、装置アンテナユニット3のリーダアンテナ11で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路148と、そのI相受信乗算回路148の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ149と、このI相バンドパスフィルタ149の出力を増幅するI相受信アンプ162と、このI相受信アンプ162の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ163と、上記リーダアンテナ11で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記発生された後に移相器167により位相を90°遅らせた搬送波とを乗算するQ相受信乗算回路172と、そのQ相受信乗算回路172の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ173と、このQ相バンドパスフィルタ173の出力を増幅するQ相受信アンプ175と、このQ相受信アンプ175の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ176とを備えている。そして、上記I相リミッタ163から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ176から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路333に入力されて処理される。
また、I相受信アンプ162及びQ相受信アンプ175の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路178にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路333に入力されるようになっている。このようにして、無線タグ通信装置300では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの応答波の復調が行われる。
切り替えスイッチ回路12は、例えば、公知の高周波用FETやダイオードを用いたスイッチ回路であり、制御回路333のCPU333Aからの制御信号によりリーダアンテナ11に設けられた2つの給電点13A、13Bのいずれかと高周波回路331の送受分離器144を接続するものである。この切り替えスイッチ回路12による接続切り替え動作により、リーダアンテナ11はその偏波面方向が直交する2方向(例えば図6、図7中に破線で示す上下方向と左右方向)のいずれかに切り替えられる。
図8は、上記リーダアンテナ11の詳細構造を示す図であり、図8(a)は上記リーダアンテナ11の側面図であり、図8(b)は給電点における断面図である。
これら図8(a)及び図8(b)において、リーダアンテナ11は、全体が略平板形状に形成されたマイクロストリップアンテナからなっており、一方側(図中上側)の平面にマイクロストリップアンテナパターン21を備え、他方側(図中下側)の平面に地板22を備え、それらに挟まれるように中間に誘電体基板(基板)23を備えている。
マイクロストリップアンテナパターン21は、全体が導電性材料で構成されており、略正方形の薄板形状に形成されている。誘電体基板23は、全体が誘電率が高く誘電正接が低い高誘電体材料で構成されており、マイクロストリップアンテナパターン21より面方向寸法が大きい略正方形の薄板形状に形成されている。地板22は全体が導電性材料で構成されており、誘電体基板23の他方側平面の略全体を覆う薄板形状に形成されている(配線が形成されている一部においては誘電体基板23の表面を露呈する)。
地板22及び誘電体基板23の2箇所にはそれぞれ貫通孔25A、25Bが形成されている。貫通孔25A,25Bを介してマイクロストリップアンテナパターン21が地板22の面に形成される上記スイッチ回路12(図7参照)に接続されており、貫通穴25のマイクロストリップアンテナパターン側が給電点13A、13Bとなる(図8(b)参照)。
図9(a)はマイクロストリップアンテナパターン21側のアンテナ上面概略構造を表す斜視図であり、図9(b)は地板22側のアンテナ下面概略構造を表す斜視図である。また図10はリーダアンテナ11と高周波回路331及び制御回路333との電気的接続関係を表す説明図である。
これら図9(a)、図9(b)、及び図10に示すように、上記マイクロストリップアンテナパターン21上において、上記無線タグ回路素子Toへの通信に対応した偏波面での電波をリーダアンテナ11に生じさせるために、上記給電点13Aが略正方形に形成されたマイクロストリップアンテナパターン21の対面している(並行となっている)二辺の中心を結ぶ線上でマイクロストリップアンテナパターン21の中心から一定距離だけ離れた位置に設けられ、給電点13Bがマイクロストリップアンテナパターン21のもう一組の対面している(並行となっている)二辺の中心を結ぶ線上でマイクロストリップアンテナパターン21の中心から給電点13Aと同じ距離だけ離れた位置に設けられており、この給電点13A、13Bが装置アンテナユニット3の上記スイッチ回路12を介し上記高周波回路331に接続されている。この切り替えスイッチ回路12は、制御回路333からの切替制御信号によって2つの給電点13A、13Bのいずれかを高周波回路331に接続し、この接続の切り替えによってマイクロストリップアンテナパターン21へ給電される電流の方向が略90°切り替えられ、リーダアンテナ11の偏波面の方向が切り替えられるようになっている。
図11(a)〜(c)は、上記情報サーバ400Bの第2データベースDB2に格納され、上記無線タグ通信装置300による情報読み取り時において表示部313に表示された、合成イメージデータの例を表す説明図である。この合成イメージデータは、無線タグ通信装置300による物品(ファイルF)の探索の際、無線タグ通信装置300の表示部313に表示して、探索者に対し無線タグ通信装置300のリーダアンテナ11からの良好な交信が可能な探索態様を案内するためのものである。前述したように、この合成イメージデータは、無線タグラベルTのIDを指定することで(あるいは、タグIDをキーとしてルートサーバ400Aの第1データベースDB1の後述する第2相関情報を用いて)情報サーバ400Bの第2データベースDBから取得される。
図11(a)〜(c)において、合成イメージデータは、基本的に、無線タグラベルTの外観を表す第1イメージJ1、無線タグ通信装置300の外観を表す第2イメージJ2、上記無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toの読み取り時に好適なものとして推奨される、無線タグ回路素子Toに向かって無線タグ通信装置300から送信する電波の推奨送信方向(読み取りやすい方向)を表す第3イメージJ3の3つの要素を備えている。図11(c)の合成イメージデータでは、さらに、無線タグラベルTに対し順次情報読み取りを行うときの無線タグ通信装置300の推奨移動方向を表す第4イメージJ4を備えている。
図11(a)に示す合成イメージデータ(ラベル正面イメージ)においては、第1イメージJ1として、無線タグラベルTの外観正面図が表示されている。また、第2イメージJ2として、立てた姿勢(=背面側のリーダアンテナ11の偏波面方向を無線タグラベルTのタグアンテナ151の偏波面方向と合致する鉛直方向(紙面の上下方向)とした姿勢)の無線タグ通信装置300が表示されている。さらに、第3イメージJ3として、無線タグ通信装置300からの電波が無線タグラベルTに右から向かうような方向が無線タグ回路素子Toの情報の読み取りやすい方向であることが、矢印及び「読み取りやすい方向です」のメッセージで表示されている。
図11(b)に示す合成イメージデータ(貼り付けイメージ)においては、第1イメージJ1として、無線タグラベルTが物品(ファイルF)の一方の側面に貼り付けられた状態が表示されている。また、第2イメージJ2として、上記同様、立てた姿勢の無線タグ通信装置300が表示されている。さらに、第3イメージJ3として、無線タグ通信装置300からの電波が無線タグラベルTにファイルFの前方から向かうような方向が、無線タグ回路素子Toの情報の読み取りやすい方向であることが、矢印及び「読み取りやすい方向です」のメッセージで表示されている。
図11(c)に示す合成イメージデータ(物品格納イメージ)においては、第1イメージJ1として、無線タグラベルTが一方の側面にそれぞれ貼り付けられた複数のファイルFが図示しない収容棚に格納された状態が表示されている。また、第2イメージJ2として、上記同様、立てた姿勢の無線タグ通信装置300が表示されている。さらに、第3イメージJ3として、無線タグ通信装置300からの電波が無線タグラベルTにファイルFの前方から向かうような方向が無線タグ回路素子Toの情報の読み取りやすい方向であることが、矢印及び「読み取りやすい方向です」のメッセージで表示されている。さらに、第4イメージJ4として、無線タグ通信装置300を複数のファイルFの配列方向に移動することが、無線タグ回路素子Toの情報を順次を読み取るのに好適な方向であることが、矢印及び「推奨する移動方向です」のメッセージで表示されている。
なお、前述したPC200による上記合成イメージデータの作成時、まず第2データベースDB2から取得した段階のガイダンス用イメージデータは、第1イメージJ1の無線タグラベルTの印字領域So(テンプレートSx及び可変印刷領域Svの部分)が印刷されていないブランクとなっている。上記合成イメージデータは、無線タグラベルTのテンプレートSx及び可変印刷領域Svの部分がブランクのガイダンス用イメージデータと、テンプレートSx及び可変印刷領域Svの編集データとを合成することにより完成する(後述の図13のステップS50を参照)。こうして完成された合成イメージデータ(合成後のガイダンス用イメージデータ)は、PC200から情報サーバ400Bに送信され、第2データベースDB2に格納される(後述の図13のステップS65参照)。このときの格納アドレスやデータ名称が、無線タグ回路素子ToのIDと第2相関情報によって関係付けられ、その第2相関情報がルートサーバ400Aの第1データベースDB1に格納される。なお、後述するように、第2相関情報によってタグIDと対応づけられた状態の合成イメージデータ自体を、情報サーバ400Bの第2データベースDB2に格納するようにしてもよい(この場合はタグIDをキーとして直接アクセス可能となる)。そしてファイルF(物品)の探索時に、無線タグ通信装置300が目的のファイルの無線タグラベルTのIDを指定することで(あるいは、タグIDをキーとしてルートサーバ400Aの第1データベースDB1の第2相関情報を用いて)情報サーバ400Bより合成イメージデータを取得し(後述の図17のステップS205等を参照)、無線タグ通信装置300の表示部313に対応するガイダンス表示を行って、目的のファイルの探索に利用する。
図12は、本実施形態の無線タグ通信装置300を用いた、物品(この例ではファイルF)の探索方法を示す説明図である。
図12において、図示しない収容棚に格納・配列された複数のファイルFから目的のファイルを探索する際には、目的のファイルFに対応した無線タグ回路素子ToのIDに基づき、情報サーバ400Bの第2データベースDB2から合成イメージデータが取得され、これに基づき表示部313に、例えば図11(a)、図11(b)、図11(c)に示すような合成イメージデータが表示される。操作者は、その表示部313の表示を見て、配列されたファイルFに対し、無線タグ通信装置300を、背面側のリーダアンテナ11の偏波面方向が目的のファイルFの無線タグラベルTのタグアンテナ151の偏波面方向と合致するような立てた姿勢に保持する(上記第2イメージJ2に対応)。そしてその姿勢で、無線タグ通信装置300をファイルFの手前側に向かって近づけ(上記第3イメージJ3に対応)、無線タグ通信装置300からの電波をファイルFの無線タグ回路素子Toに向かう方向に送信する(上記第1イメージJ1に対応)。特に、上記図11(c)に示すような複数のファイルFの探索時に対応した表示が表示部313になされている場合には、その送信状態で、無線タグ通信装置300を複数のファイルFの配列方向(上記第4イメージJ4に対応)に移動するように、無線タグ通信装置300を動かしていく。このような操作により、複数のファイルFの無線タグ回路素子Toの情報を、容易に良好な交信状態で読み取り、確実に目的のファイルFを探索することができる。
(D)各種制御フロー
以下、PC200、無線タグ作成装置100、及び無線タグ通信装置300に係わる制御手順を、対応するフローチャートを用いて順次説明する。
図13は、無線タグラベルTを作成する際にPC200の制御回路205によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
まずステップS5では、制御回路205は、操作者が操作部202を介してラベル作成開始指令の入力を行ったか否かを判定する。ラベル作成開始指令が入力されるまで本ステップを繰り返し、ラベル作成開始指令が入力されると次のステップS10に移る。
次のステップS10では、制御回路205は、操作者により上記テンプレートSxの選択が行われたか否かを判定する。ここで、テンプレートSxは、図3において前述したように、作成される無線タグラベルTの印字領域Soのうち、予め固定的に設定された固定印字領域のことである。すなわち、それ以外の可変印字領域Sv(テキスト印字部分)に操作者が可変に印字情報を設定するだけで、印字領域So全体に容易に所望の印字態様を実現できるようにしたものである。なお、各テンプレートSxのイメージデータは予め当該テンプレートSxを用いて作成されるタグラベルの使用用途(例えば固定資産管理用、書類管理用等)や属性(テープ幅、無線タグ回路素子Toの種類等)を表すキーワードと関連付けられて例えば情報サーバ400Bの第2データベースDB2に記憶されている。したがって、操作者がキーワードを入力することにより、対応するテンプレートイメージデータの一覧を表示させ、その中から所望のテンプレートSxを選択するようになっている。テンプレートSxの選択がされるまで本ステップを繰り返し、選択されると次のステップS15に移る。
ステップS15では、制御回路205は、上記ステップS10で選択されたテンプレートのイメージデータ(例えばビットマップデータ等)を情報サーバ400BのデータベースDB2から取得する。
ステップS20では、制御回路205は、表示部201に制御信号を出力し、上記ステップS15で取得したテンプレートイメージを表示部201に表示させる。
ステップS25では、制御回路205は、操作者による編集データを入力する。この編集データは、操作者が、上記テンプレートイメージデータを参照しつつ、操作部202を用いてテンプレート以外のテキスト部分(可変印字領域Sv)の編集を行うことにより生成されたものであり、作成される無線タグラベルTの使用対象である物品名(この例ではファイルFの名称)等が含まれる。
次のステップS30では、制御回路205は、操作者が上記編集入力を終えたか否かを判定する。この判定は、例えば操作者が操作部202を介して編集完了の入力を行ったか否かを判定することによって行う。編集入力が終わっていない場合には、上記ステップS25に戻り、同様の手順を繰り返す。一方、編集入力が終わっている場合には、次のステップS35に移る。
ステップS35では、制御回路205は、ガイダンス用イメージデータを情報サーバ400Bの第2データベースDB2から取得する。前述したように、第2データベースDB2から取得されたガイダンス用イメージデータは、この例では、第1イメージJ1の無線タグラベルTの印字領域So(テンプレートSx及び可変印字領域Sv部分)がブランクのイメージデータになっている。
ステップS40では、制御回路205は、表示部201に制御信号を出力し、上記ステップS35で取得したガイダンス用イメージを表示部201に表示させる。これにより、表示部201には、図11(a)に示すガイダンス用イメージ(ラベル正面イメージ)、図11(b)に示すガイダンス用イメージ(貼付けイメージ)、図11(c)に示すガイダンス用イメージ(格納イメージ)が、操作部202を用いて表示切替を行うことにより順次表示される(ただし、いずれも、第1イメージJ1の無線タグラベルTの印字領域So部分がブランクとなっている)。
ステップS45では、制御回路205は、操作者が表示されたガイダンス用イメージ(前述のブランクがあるもの)を確認したか否かを判定する。この判定は、例えば操作者が操作部202により適宜の確認入力を行ったか否かを判定することによって行う。確認入力が終わっていない場合には、上記ステップS40に戻る。一方、確認入力が終わっている場合には、次のステップS50に移る。
ステップS50では、制御回路205は、上記ステップS15で取得したテンプレートイメージデータ(テンプレートSx)に、上記ステップS25で入力したテキストデータ(可変印字領域Sv)を付加して、ラベルイメージデータを作成する。そして、このラベルイメージデータを、上記ステップS35で取得したガイダンス用イメージデータの上記ブランク部分に合成して、合成イメージデータ(つまり、第1イメージの無線タグラベルTのテンプレートSx及び可変印刷領域Svの部分が補充されたガイダンス用イメージデータ)を作成する。なお、ラベルイメージデータを作成する工程を経ずに、テンプレートイメージデータと、テキストデータと、ガイダンス用イメージデータ(ブランクを含む)とから、直接、合成イメージデータを作成してもよい。
次のステップS55では、作成する無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに書き込むためのタグID(識別情報)を情報サーバ400Bの第2データベースDB2から取得する。なお、作成される各無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに対するタグIDの割り振りは、この例では情報サーバ400Bによって行われるようになっている(別途、タグID割り振り専用のサーバを設けてもよい)。
ステップS60では、上記ステップS55で取得したタグIDと、上記ステップS15で取得したテンプレートイメージデータ、上記ステップS50で作成したラベルイメージデータ、及び上記ステップS25で入力した編集(テキスト)データとをそれぞれ対応づけ、ネットワーク通信制御部204、通信回線NWを介してタグラベル作成装置100に送信する。
ついでステップS65において、上記ステップS55で取得したタグIDと、上記ステップS50で作成した合成イメージデータとを対応づける、第2相関情報(各請求項記載の相関情報に相当する)を生成し、ネットワーク通信制御部204、通信回線NWを介してルートサーバ400Aに送信し、第1データベースDB1に格納する。上記合成イメージデータそのものは、情報サーバ400Bへ送信され(上記第2相関情報を用いてアクセス可能に)第2データベースDB2に格納される。なお、既に述べたように、合成イメージデータをタグIDと対応づけられた状態で第2データベースDB2に記憶するようにしてもよい(後述の図17も参照)。ステップS65が完了したら、本フローを終了する。
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば上記では、ステップS60においてPC200からタグラベル作成装置100だけに対し第1相関情報を送信するようにしたが、同時にルートサーバ400Aの第1データベースDB1にも送信し、第1相関情報を格納保持するようにしてもよい。これにより、タグラベル作成装置100から第1データベースDB1への第1相関情報の送信が不要となる(後述の図14中ステップS150参照)。
図14は、無線タグラベルTを作成する際にタグラベル作成装置100の制御回路101によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
まずステップS110では、制御回路101は、通信回線NW及びネットワーク通信制御部109を介してPC200の制御回路205よりラベルイメージデータ等(テンプレートイメージデータ、タグID、及びテキストデータを含む)を受信したか(上記図13のステップS60参照)否かの判定を行う。PC200よりラベルイメージデータ等を受信するまで本ステップを繰り返し、受信した場合には次のステップS120に移る。
ステップS120では、制御回路101は、上記ステップS110でPC200より受信したラベルイメージデータ(ラベルイメージデータには印字ヘッド105による印字のイメージデータが含まれる)に基づき、印字ヘッド105でタグテープ103の所定の印字領域Soに印字を行う。また、高周波回路102によりアクセス情報を生成してリーダアンテナ11を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150へ上記タグIDの書き込みを行う。
次のステップS130では、制御回路101は、上記ステップS130で行った印字・情報書き込みが正常に終了したか否かの判定を行う。例えば情報書き込みが正常に終了したか否かの判定は、具体的には、高周波回路102により無線タグ回路素子ToのIC回路部150の内容を確認する確認信号に応じたアクセス情報を生成して、装置側アンテナ106を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、それに対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号に基づき、上記タグIDの書き込みが正常に完了したか否かを判定することにより行う。印字・情報書き込みが正常に終了していない場合には、ステップS140に移る。そして、制御回路101は、ネットワーク通信制御部109及び通信回線NWを介してPC200の制御回路205に制御信号を送信し、表示部201にその旨の表示(例えば「印字が正常に終了しませんでした」「タグ書き込みが正常に終了しませんでした」等)を行わせるエラー処理を行い、後述のステップS160に移る。一方、印字・情報書き込みが正常に終了した場合には、次のステップS150に移る。
ステップS150では、制御回路101は、作成した無線タグラベルTのラベルイメージデータ、タグID、及び編集(テキスト)データをそれぞれ対応づける第1相関情報を生成し、ネットワーク通信制御部109、通信回線NWを介してルートサーバ400Aの第1データベースDB1にその第1相関情報を送信し、格納保持する。上記ラベルイメージデータや編集データそのものは、情報サーバ400Bへ送信され(上記第1相関情報を用いてアクセス可能に)第2データベースDB2に格納される。なお、既に述べたように、ラベルイメージデータや編集データをタグIDと対応づけられた状態で第2データベースDB2に記憶するようにしてもよい(後述の図17も参照)。
その後、ステップS160において、制御回路101は、カッタ107でタグテープ103の切断を行って無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルTを作成する。ステップS160が完了したら、本フローを終了する。
なお、上記フローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば上記のステップS150においてタグラベル作成装置100から第1データベースDB1に対し第1相関情報を送信するようにしたが、これに限られず、PC200においても同一内容の第1相関情報を生成し(図4のステップS60参照)、PC200から第1データベースDB1に送信するようにしてもよい。また、例えばタグラベル作成装置100からはタグID、PC200からはイメージデータ及び編集データといったように、それぞれデータを手分けして情報サーバ400Bの第2データベースDB2に送信するようにしてもよい。
図15(a)及び図15(b)は、上記のようにしてタグラベル作成を行った後における、ルートサーバ400Aの第1データベースDB1のデータ内容の一例を概念的に表す図である。
図15(a)に示すように、第1データベースDB1には、作成された無線タグラベルTについて、無線タグ回路素子Toに書き込まれたタグID、物品名(この例では文書名「平成19年10月第4回講演会資料」)等からなる編集(テキスト)データ、ラベルイメージデータ(この例ではビットマップデータ)、及びテンプレートイメージデータ(この例ではビットマップデータ)をそれぞれ対応づける上記第1相関情報が格納保持されている。この第1相関情報を参照することにより、タグIDをキーとして、情報サーバ400Bの第2データベースDB2における編集データ、ラベルイメージデータ、テンプレートイメージデータを取得することが可能となっている。
また、図15(b)に示すように、第1データベースDB1には、上記図11(a)〜(c)に示した合成イメージデータと、タグIDとを対応づける上記第2相関情報が格納保持されている。この第2相関情報を参照することにより、タグIDをキーとして、情報サーバ400Bの第2データベースDB2における合成イメージデータを取得することが可能となっている。
次に、無線タグ通信装置300と無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号とその送受方法について、国際規格ISO/IEC18000−6 TypeCのプロトコルを例に挙げて説明する。
図16は、無線タグ通信装置300と1つの上記無線タグ回路素子Toとの間で送受される信号のタイムチャートの一例を表す図である。なお、この図16に示す信号の送受方法は、公知のSlotted ALOHA方式に基づくものであり、図中では左側から右側に向かって時系列変化するよう示している。また、無線タグ通信装置300と無線タグ回路素子Toとの間に記載されている矢印は信号の送信方向を示しており、送信相手が不特定である場合には破線で示し、送信相手が特定されている場合には実線で示している。
この図16において、無線タグ通信装置300はまず最初に通信可能領域内に存在する全ての無線タグ回路素子Toに対して「Select」コマンドを送信する。この「Select」コマンドは、それ以降に無線タグ通信装置300が無線通信を行う無線タグ回路素子Toの条件を指定するコマンドであり、各種の条件を指定して情報の読み取り対象とする無線タグ回路素子Toを限定し、無線通信の効率化を図ることができる。そして、この「Select」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toのうちで、指定された条件を満たす無線タグ回路素子Toだけがその後に無線通信を行える状態となる(図中ではこの条件を満たす一つ無線タグ回路素子Toのみを示している)。
次に無線タグ通信装置300は、同じ無線タグ群に対してそれぞれのタグ情報(識別情報であるタグIDを含む)を応答発信させるよう要求する「Query」コマンド(読み取りコマンド)を送信する。この「Query」コマンドは、応答すると予想される無線タグ回路素子Toの数が不確定な条件下において探索を行うための探索指令である。この「Query」コマンドには、所定の数(例えばこの例で0から15までのいずれかの値)で指定するスロット数指定値Qが含まれている。高周波回路331からリーダアンテナ11を介し「Query」コマンドが送信されると、各無線タグ回路素子Toは0から2Q−1(=2のQ乗−1)までの乱数を乱数発生器158により生成し、スロットカウント値Sとして保持する。
そして無線タグ通信装置300がリーダアンテナ11を介して該「Query」コマンドを送信後、所定の識別スロットで無線タグ回路素子Toからの応答を待ち受ける。この識別スロットとは、この「Query」コマンド、又は後述する「QueryRep」コマンドを始めに送信してから所定の期間で区分される時間枠である。識別スロットは、通常、所定回数(「Query」コマンドの第1識別スロット1回と「QueryRep」コマンドの第2以降の識別スロット2Q−1回の計2Q回)が連続して繰り返される。
そして、図示の例のように無線タグ回路素子Toでスロットカウント値Sとして値0を生成したものは、この「Query」コマンドを含んだ第1識別スロットで応答する。このとき、当該無線タグ回路素子Toはタグ情報を送信する許可を得るための例えば16ビットの擬似乱数を用いた「RN16」コマンドを応答信号として無線タグ通信装置300へ送信する。
そして、この「RN16」コマンドを受信した無線タグ通信装置300は、この「RN16」コマンドに対応する内容でタグ情報の送信を許可する「Ack」コマンドを送信する。この「Ack」コマンドを受信した無線タグ回路素子Toは、その無線タグ回路素子To自身が先に送信した「RN16」コマンドと受信した「Ack」コマンドが対応していると判断した場合に、当該無線タグ回路素子Toの個体がタグ情報の送信を許可されたものとみなしてタグ情報(タグID含む)を送信する。このようにして、一つの識別スロットにおける信号の送受信が行われる。
その後、さらに2番目以降の識別スロットでは、無線タグ通信装置300は「Query」コマンドの代わりに「QueryRep」コマンドを送信し、その直後に設けられる識別スロット時間枠で他の無線タグ回路素子To(特に図示せず)の応答を待つ。「QueryRep」コマンドを受信した各無線タグ回路素子Toは自身の上記スロットカウント値Sの値を一つだけ減算して保持し、該スロットカウント値Sが値0になった時点の識別スロットで「RN16」コマンドを初めとした信号の送受信を無線タグ通信装置300との間で行う。
なお、各識別スロットで該当する無線タグ回路素子To(当該識別スロットでスロットカウント値Sが0となるもの)がない場合には、「Query」コマンド又は「QueryRep」コマンド以外の送受信が行われないまま所定の時間枠でその識別スロットを終了する。
このように各無線タグ回路素子Toが異なる識別スロットで応答信号を返信することで、リーダアンテナ11を介し、無線タグ通信装置300は混信を受けることなく一つ一つの無線タグ回路素子Toのタグ情報を明確に受信し取り込むことができる。そして以上のように「Select」コマンドが送信されてから、「Query」コマンドの送信で始まる第1識別スロット(1回)と、その後の第2識別スロット以降の「QueryRep」コマンドの送信で始まる識別スロットを所定数(通常2Q−1回)繰り返して行うまでの処理単位を読み取り試行処理という(識別スロットは全部で通常2Q個である)。また、無線タグ通信装置300がこの読み取り試行処理を行う回数を読み取り試行回数という。
図17は、探索対象を探索する際に無線タグ通信装置300の制御回路333によって行われる制御手順を表すフローチャートである。なお、このフローチャートでは、前述したデータベースへの情報格納形式のうち、ラベルイメージデータ、編集データ、及び合成イメージデータが、タグIDと対応づけられた状態で第2データベースDB2に記憶されている場合を例にとって説明する。
まずステップS205では、制御回路333は、通信回線NWを介して情報サーバ400Bの第2データベースDB2にアクセスし、第2データベースDB2に格納された全て(又は一部でもよい)の無線タグラベルTに関する、上記タグIDと対応づけられた状態の、編集データ、ラベルイメージデータ、テンプレートイメージデータ、及び合成イメージデータ(請求項記載のイメージ関連情報を構成する)を取得する。なお、これらのデータは制御回路333が有するRAM333Cに一時的に記憶される。
次のステップS210では、制御回路333は、上記取得したデータのうちの編集データに含まれる物品名情報(この例ではファイル名情報)に基づき、表示部313に制御信号を出力して物品名(ファイル名)の一覧を表示させる。なお、ここではファイル名の一覧を表示するようにしたが、これに限られず、タグIDの一覧を表示させてもよいし、ラベルイメージデータ等のイメージ画像の一覧を表示させてもよい。
次のステップS215では、制御回路333は、処理モードが上記シングルサーチモードであるか上記マルチサーチモードであるかを判定する。
操作者がモード選択キー321を用いてシングルサーチモードを選択した場合には、次のステップS220に移ってシングルサーチモードに移行する。その後、さらに次のステップS225で上記ステップS210で表示したファイル名一覧の中から操作者が操作部326,327を用いて探索対象である1つのファイル名を選択したか否かを判定する。1つのファイルFが選択されるまで本ステップを繰り返し、選択されたら次のステップS230に移る。
なお、上記では操作者がファイル名一覧の中からファイル名を選択入力するようにしたが、これに限られず、上述したように例えばタグIDやイメージ画像の一覧を表示させる場合には、それらの一覧の中から所望のタグIDやイメージ画像を選択入力するようにしてもよい。また、ファイル名一覧が多数であるような場合には、効率の良い探索を行うために、操作者が探索条件を入力して探索できるようにしてもよい。
ステップS230では、制御回路333は、上記ステップS205で取得した情報から上記ステップS225で選択されたファイルFに係るタグID及び合成イメージデータを抽出して取得する(RAM333Cに記憶されている)。
次のステップS300では、1つの物品(ファイルF)の探索を行うシングルサーチモード処理(詳細手順は後述の図19参照)を行う。そして、本フローを終了する。
一方、上記ステップS215において、操作者がモード選択キー322を用いてマルチサーチモードを選択した場合には、次のステップS235に移ってマルチサーチモードに移行する。その後、さらに次のステップS240で上記ステップS210で表示したファイル名一覧の中から操作者が操作部326,327を用いて探索対象である複数のファイルFを選択し、その選択操作が完了したか否かを判定する。複数のファイルFが選択されるまで本ステップを繰り返し、選択操作が完了されたら次のステップS245に移る。
ステップS245では、制御回路333は、上記ステップS240で選択された複数の物品(この例ではファイルF)に係るタグID及び、複数のファイルFにそれぞれ設けられた無線タグラベルTに係る合成イメージデータのうちの代表イメージデータを抽出して取得する(RAM333Cに記憶されている)。ここで、代表イメージデータとは、複数の無線タグラベルTのうちの所定の基準(予め定められている)で選定された1つの無線タグラベルについての合成イメージデータ(例えばタグIDの並び順に沿って一番最初となる無線タグラベルTの合成イメージデータ)である。
次のステップS400では、複数の物品(ファイルF)の探索を行うマルチサーチモード処理(詳細手順は後述の図20参照)を行う。そして、本フローを終了する。
以上において、上記ステップS230及びステップS245の手順はそれぞれ、各請求項記載のイメージ関連情報取得手段を構成する。
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば、上記では、ラベルイメージデータ、編集データ、及び合成イメージデータが、タグIDと対応づけられた状態で第2データベースDB2に記憶されている場合を例にとり、ステップS205で全タグラベルに関する合成イメージデータについても情報サーバ400Bの第2データベースDB2から無線タグ通信装置300にダウンロードするようにしたが、これに限られない。
すなわち、既に述べたように、ラベルイメージデータ、編集データ、及び合成イメージデータのみが情報サーバ400Bの第2データベースDB2に格納され、これらとタグIDとの対応づけである第1相関情報や第2相関情報がルートサーバ400Aの第1データベースDB1に格納されていてもよい。この場合、例えばステップS205ではタグIDとこれに対応する合成イメージデータ等との上記第2相関(又はその一部。この場合のイメージ関連情報を構成する)のみルートサーバ400Aの第1データベースDB1からダウンロードしておき、上記ステップS225やステップS240で対象物(この例ではファイルF)が選択されたときに、その第2相関を用いてタグIDに対応する無線タグラベルTの合成イメージデータの名称や格納アドレスを取得し、これに基づき情報サーバ400Bの第2データベースDB2より当該合成イメージデータを取得するようにしてもよい。このようにすることで、無線タグ通信装置300が有する記憶手段(RAM等)の容量を節減できる。
あるいは、対象物(この例ではファイルF)に係わる無線タグ回路素子ToのタグIDが予め分かっている場合は、図18に示すように図17における上記ステップS205及びステップS210を省略してもよい。この場合、ステップS225、ステップS240にそれぞれ代わるステップS225′、ステップS240′において、タグIDを操作者が直接操作入力し、さらにステップS230、ステップS245に代えて設けたステップS230′、ステップS240′で入力したタグIDをキーとしてルートサーバ400Aの第1データベースDB1にアクセスし、第1データベースDB1内の上記第2相関に基づき対応する合成イメージデータ(この場合のイメージ関連情報を構成する)を取得するようにしてもよい。
図19は、上記ステップS300のシングルサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートである。
まずステップS305において、制御回路333は、装置アンテナユニット3の切替スイッチ回路12に制御信号を出力し、上記ステップS230で抽出した合成イメージデータに含まれる第3イメージJ3に対応した無線タグ通信装置300からの電波の推奨送信方向に基づき、リーダアンテナ11の偏波面方向を切り替え制御する(偏波面制御手段としての機能)。このとき、上記取得された合成イメージには、予め偏波面切替情報が関連付けられている。この偏波面切替情報は、例えば無線通信装置300を(図11(a)〜(c)に示すような)鉛直上下方向にかざすことを前提とし、さらに無線タグラベルTが図11(a)〜(c)に示すようにタグアンテナ151の方向が鉛直上下方向に貼られていることを前提として、リーダアンテナ11の偏波面方向がタグアンテナ151の偏波面方向に合致するようなデータ内容となっている。この偏波面切替情報により、リーダアンテナ11の偏波面方向が、探索しようとする無線タグラベルTのタグアンテナ151の偏波面方向と合致するように、リーダアンテナ11の偏波面が自動的に切り替え設定される。
次のステップS500では、制御回路333は、上記ステップS230で抽出した合成イメージを表示部313に表示させる合成イメージ表示処理を行う(詳細は後述の図20参照)。
次のステップS500では、制御回路333は、表示部313に制御信号を出力し、上記ステップS230で抽出取得した合成イメージデータを表示させる。これにより、探索対象であるファイルF等に設けられた無線タグラベルTに関するガイダンス用イメージが表示部313に表示される。
次のステップS310では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ11を介し、上記ステップS230で取得した1つのタグIDを指定して「Select」コマンド信号を送信する。
次のステップS320では、制御回路333は、上記「Select」コマンド信号と同様に「Query」コマンド信号を送信する。なおこのとき、スロット数指定値Qは20(=1)に指定されている。
次のステップS330では、制御回路333は、リーダアンテナ11及び高周波回路331を介し、所定の時間の間だけ無線タグ回路素子Toからの応答信号を受信する。その後、ステップS340において、制御回路333は、その受信時間の間に応答信号として「RN16」コマンドを受信したか否かを判定する。この判定において、「RN16」コマンドが受信されていない場合、判定が満たされず、すなわち当該識別スロット(ここでは第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toがないものとみなされて、上記ステップS310へ戻る。一方、「RN16」コマンドが受信された場合、判定が満たされ、すなわち当該識別スロット(第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toが存在するとみなして、次のステップS350へ移る。
ステップS350では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ11を介し、上記ステップS330で受信された「RN16」コマンドに含まれている疑似乱数に対応する内容の「Ack」コマンドを送信する。その後、ステップS360において、制御回路333は、リーダアンテナ11及び高周波回路331を介し、無線タグ回路素子Toからタグ情報を受信する(タグ情報取得手段としての機能)。その後、ステップS370において、制御回路333は、その受信したタグ情報中にタグIDが含まれるか否か(言い換えればタグIDの受信に成功したか否か)を判定する。タグIDが含まれていない場合には、判定が満たされずに先のステップS310に戻る。一方、タグIDが含まれている場合には、判定が満たされてステップS380に移る。
ステップS380では、制御回路333は表示部313に制御信号を出力し、上記ステップ500で表示した合成イメージデータを点滅表示させる。そして、本ルーチンを終了する。
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば、ステップS380において、表示部313による合成イメージデータの点滅表示と共に音報知部455による報知も行うようにしてもよい。さらに、ステップS380において、上記では表示態様の変化として点滅表示を行うようにしたが、その他にも、例えば表示色を変更して強調したり、表示の大きさを変更したり、イメージを動作させるように表示してもよい。
図20は、上記ステップS400のマルチサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートである。
まずステップS402において、制御回路333は、装置アンテナユニット3の切替スイッチ回路12に制御信号を出力し、上記ステップS305と同様、上記ステップS230で抽出した合成イメージデータの第3イメージJ3に関連した無線タグ通信装置300からの電波の推奨送信方向に基づき、リーダアンテナ11の偏波面方向を切り替え制御する(偏波面制御手段としての機能)。
次のステップS405では、制御回路333は、リストに含まれる複数のタグIDをカウントするための変数Nの値を0にリセットする。
次のステップS407では、制御回路333は、表示部313に制御信号を出力し、上記ステップS245で取得した上記代表イメージデータについて、上記ステップS500の合成イメージ表示処理を行う。これにより、複数の探索対象であるファイルF等にそれぞれ設けられた複数の無線タグラベルTに関する合成イメージデータのうちの代表イメージデータが表示部313に表示される。なお、ここでのイメージ表示は点灯表示である。
ステップS410では、制御回路333は、変数Nの値に1を加え、その後にステップS415でこの変数Nの値がNmax(探索対象であるタグIDの数)以下であるか否か、すなわち複数のタグIDのうちの最後のタグIDの探索を終了したか否かを判定する。変数Nの値がNmaxより大きい場合、全タグIDの探索が終了したものとみなされて、ステップS460へ移り、制御回路333は表示部313に制御信号を出力し、上記ステップS407で表示した代表イメージを点滅表示させる。そして、本ルーチンを終了する。一方、変数Nの値がNmax以下である場合、全タグIDの探索処理が終了していないものとみなされて、次のステップS420へ移る。
ステップS420では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ11を介し、N番目の無線タグ回路素子Toに対しタグIDを指定して「Select」コマンド信号を送信する。
次のステップS425では、制御回路333は、上記「Select」コマンド信号と同様に「Query」コマンド信号を送信する。なおこのとき、スロット数指定値Qは20(=1)に指定されている。
次のステップS430では、制御回路333は、リーダアンテナ11及び高周波回路331を介し、所定の時間の間だけ無線タグ回路素子Toからの応答信号を受信する。その後、ステップS435において、制御回路333は、その受信時間の間に応答信号として「RN16」コマンドを受信したか否かを判定する。この判定において、「RN16」コマンドが受信されていない場合、当該識別スロット(ここでは第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toがないものとみなされて、上記ステップS410へ戻る。一方、「RN16」コマンドが受信された場合、当該識別スロット(第1識別スロット)で応答する無線タグ回路素子Toが存在するとみなして、次のステップS440へ移る。
ステップS440では、制御回路333は、高周波回路331及びリーダアンテナ11を介し、上記ステップS430で受信された「RN16」コマンドに含まれている疑似乱数に対応する内容の「Ack」コマンドを送信する。その後、ステップS445において、制御回路333は、リーダアンテナ11及び高周波回路331を介し、無線タグ回路素子Toからタグ情報を受信する(タグ情報取得手段としての機能)。その後、ステップS450において、制御回路333は、その受信したタグ情報中にタグIDが含まれるか否か(言い換えればタグIDの受信に成功したか否か)を判定する。タグIDが含まれていない場合には、判定が満たされずに先のステップS407に戻る。一方、タグIDが含まれている場合には、判定が満たされてステップS455に移る。
ステップS455では、制御回路333は音報知部328に制御信号を送信し、探索対象であるタグIDが検知できた旨を効果音等により報知させる。そして、先のステップS410に戻る。
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は変更等をしてもよい。例えば、ステップS455において、音報知部455による報知のみでなく表示部313による何らかの表示による報知を行ってもよいし、またステップS460において、代表イメージの点滅表示と共に音報知部455による報知も行うようにしてもよい。さらに、ステップS460において、上記では表示態様の変化として点滅表示を行うようにしたが、その他にも、例えば表示色を変更して強調したり、表示の大きさを変更したり、イメージデータを動作させるように表示してもよい。
図21は、上記ステップS500の合成イメージ表示処理の詳細手順を表すフローチャートである。
まずステップS510において、制御回路333は、表示部313に制御信号を出力し、上記ステップS230で抽出した合成イメージデータに含まれる、前述のラベル正面イメージ(図11(a)参照)を表示部201に表示させ、次のステップS520に移る。
ステップS520では、操作部321〜327,329を介した操作者からの貼り付けイメージの表示要求があるか否かを判定する。判定が満たされない間はループ待機し、操作者が貼り付けイメージを表示要求する操作を行うと判定が満たされ、ステップS530に移る。ステップS530では、上記ステップS510と同様、表示部313に合成イメージデータに含まれる前述の貼り付けイメージ(図11(b)参照)を表示させる。
ステップS540では、操作部321〜327,329を介した操作者からの格納イメージの表示要求があるか否かを判定する。判定が満たされない間はループ待機し、操作者が格納イメージを表示要求する操作を行うと、判定が満たされ、ステップS550に移る。ステップS550では、上記ステップS510と同様、表示部313に合成イメージデータに含まれる前述の格納イメージ(図11(c)参照)を表示させる。なお、図11(c)を用いて前述したように、このときの合成イメージデータに含まれる第4イメージデータJ4は、主として複数のファイルFそれぞれに設けた無線タグ回路素子Toに対して情報読み取りを行う場合(探索対象が複数の場合)に好適なガイダンスとなっている。したがって、図19に示すシングルサーチモード処理のステップS500においてこのステップS550を実行するときには、第4イメージJ4の表示や「推奨する移動方向です」のメッセージを省略してもよい。
上記ステップS550が完了すると、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施形態の無線タグ通信装置300では、装置アンテナユニット3のリーダアンテナ11を介した無線通信によって、探索対象であるファイルF等に設けられた無線タグラベルTの無線タグ回路素子Toに対する情報読み取りを行う。探索時には、無線タグ通信装置300の制御回路333が、対象となる(前述の例ではファイルFに添付された無線タグラベルTの)無線タグ回路素子ToのタグIDを指定し、リーダアンテナ302を介し、上記指定した無線タグ回路素子Toからの情報取得を図る。
このとき、上記無線タグラベルTをタグラベル作成装置100で作成する際において、予め情報サーバ400Bの第2データベースDB2において、無線タグラベルTの外観に係わる上記第1イメージJ1と、無線タグ通信装置300の外観に係わる上記第2イメージJ2と、(上記読み取り時に好適なものとして推奨される)無線タグ通信装置300からの電波送信方向に係わる上記第3イメージJ3とを含む合成イメージデータが、各無線タグ回路素子ToのタグIDに対し、上記第2相関を用いて対応づけられている。
本実施形態の無線タグ通信装置300では、上記第2相関を利用して、上記制御回路333による情報取得の際に(情報取得完了の前から)、その情報取得対象の無線タグ回路素子Toに対応する合成イメージデータが表示部313で表示される(ステップS500参照)。この合成イメージデータには、上述のように、無線タグラベルTと、無線タグ通信装置300と、推奨される電波送信方向とが含まれている。したがって、操作者は、無線タグラベルTとの通信により対象物(上記の例ではファイルF)を探す際、無線タグラベルTのタグアンテナの指向性を加味し、無線タグ通信装置300からの良好な交信方向を確保しつつ、当該ファイルFを探索することができる。この結果、ファイルFを容易かつ確実に見つけ出すことができ、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、表示部313において、図11(a)に示すような、無線タグラベルTの外観正面図を表す上記第1イメージJ1と、電波の推奨送信方向を表示した上記第3イメージJ3とを含む合成イメージデータを表示する(ステップS510)。これにより、操作者は、無線タグラベルTの正面イメージを視覚的に確実に認識しつつ、探索を行うことができる。この結果、対象物であるファイルFをさらに容易に見つけ出すことができる。
また、本実施形態では特に、表示部313において、図11(b)に示すような、無線タグラベルTが貼り付け対象物(ファイルF)に貼り付けられた状態の外観図を表す上記第1イメージJ1と、電波の推奨送信方向を表示した上記第3イメージJ3とを含む合成イメージデータを表示する(ステップS530)。これにより、操作者は、無線タグラベルTが貼り付けられた状態を立体的に認識しつつ、探索を行うことができる。この結果、ファイルFをさらに容易に見つけ出すことができる。
また、本実施形態では特に、表示部313において、図11(c)に示すように、無線タグラベルTが貼り付けられた貼り付け対象物(ファイルF)が収納された状態での外観図を表す上記第1イメージJ1と、電波の推奨送信方向を表示した上記第3イメージJ3とを含む合成イメージデータを表示する(ステップS550)。これにより、操作者は、無線タグラベルTが貼り付けられたファイルFが収納されている実際の状況を視覚的に認識しつつ、探索を行うことができる。この結果、ファイルFをさらに容易に見つけ出すことができる。
また、特に前述したマルチサーチモード処理におけるステップS500の合成イメージ処理に含まれるステップS550では、図11(c)に示すように、複数のファイルFそれぞれに貼り付けられた無線タグラベルTに対し順次情報読み取りを行うときの無線タグ通信装置300の推奨移動方向を表示した第4イメージJ4を含む合成イメージデータが表示される(例えば、図11(c)に第1イメージJ1が表示される無線タグラベルTに関する合成イメージデータが代表イメージデータである)。これにより、複数の貼り付け対象物(ファイルF)に設けた無線タグラベルTに対し順次読み取りを行うときにも、無線タグ通信装置300からの良好な交信方向を確保しつつ、当該ファイルFを探索することができる。この結果、ファイルFを容易かつ確実に見つけ出すことができ、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、装置アンテナユニット3は、無線通信を行うときのリーダアンテナ11の偏波面方向を複数の方向に切り替え可能に構成されている。そして、無線タグ回路素子Toからの情報取得結果に基づき、上記第3イメージJ3に関連した電波の推奨送信方向(読み取りやすい方向)に応じて、制御回路333がリーダアンテナ11の偏波面方向を切り替え制御する(ステップS305、ステップS402)。これにより、装置アンテナユニット3のリーダアンテナ11の偏波面方向と無線タグ回路素子Toのタグアンテナ151の偏波面方向とを確実に合致させることができ、良好な通信を行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)リーダアンテナの偏波面方向を手動切替可能とした場合
上記実施形態では、無線タグ通信装置300の装置アンテナユニット3においては、リーダアンテナ11の偏波面方向を、探索対象の物品(ファイルF)に貼り付けられた無線タグラベルTのタグアンテナ151の偏波面方向と合致するように自動設定したが、これに限られない。本変形例では、このような自動設定に加え、操作者の手動によってもリーダアンテナ11の偏波面方向を設定可能にしたものである。
図22は、本変形例における装置アンテナユニット3を模式的に示す説明図であり、上記実施形態の図7の部分抽出図に相当するものである。
図22において、本変形例の無線タグ通信装置300は、リーダアンテナ11の偏波面方向を手動設定可能な手動切替スイッチ15(操作手段)を備えており、この手動切替スイッチ15からの手動切替信号が制御回路333に入力される。この手動切替信号に基づいて制御回路333が切替スイッチ回路12を切り替えることにより、手動切替スイッチ15からの手動操作でリーダアンテナ11の偏波面方向を直交する2方向(例えば図6、図7中に破線で示す上下方向と左右方向)のいずれかに切り替えることができる。
図23は、本変形例の無線タグ通信装置300の制御回路333が実行する制御手順のうち、ステップS300のシングルサーチモード処理の詳細手順を表すフローチャートであり、上記図19に対応する図である。図23のフローチャートは、上記図19のフローチャートに、ステップS302、ステップS371〜ステップS376を付加した点が異なる。
まず最初のステップS302において、制御回路333は、無線タグラベルTに対する読み取り回数をカウントするための変数nの値を1に設定する。
その後、ステップS305、ステップS500、ステップS310〜ステップS370及びステップS380は、上記図19と同様である。すなわち、リーダアンテナ11の偏波面方向の自動設定を行い(ステップS305)、ステップS230で抽出した合成イメージデータの表示処理を行い(ステップS500)、1つのIDを指定して「Select」コマンド信号を送信し(ステップS310)、「Query」コマンド信号を送信し(ステップS320)、「RN16」コマンドを受信し(ステップS330)、「RN16」コマンドの受信があるか否かを判定し(ステップS340)、「Ack」コマンドを送信し(ステップS350)、タグIDを受信し(S360)、タグIDの受信が成功したか否かを判定し(ステップS370)、判定が満たされない場合はステップS500で表示部313に表示した合成イメージデータを点滅表示させる(ステップS380)。
ステップS370において判定が満たされない場合は、ステップS371に移り、変数nの値に1を加え、その後にステップS372でこの変数nの値が「5」(探索試行回数の最大値)以下であるか否かを判定する。変数nの値が5より小さい場合は、判定が満たされずに先のステップS310に戻り、ステップS305で自動設定された偏波面方向で無線タグ回路素子Toとの通信を繰り返す。ステップS372において変数nの値が「5」に達した場合は、ステップS373に移り、制御回路333は、表示部313に制御信号を出力して、リーダアンテナ11の偏波面方向を自動設定に代えて手動操作による手動切替をするかの問合せを表示を行う。
次のステップS374では、制御回路333は、偏波面方向を切り替える上記手動切替信号の入力があったか否かを判定する。操作者が手動切替スイッチ15を操作すると判定が満たされて、ステップS375で手動切替信号に応じて切替スイッチ回路12を切り替える(手動操作に応じた偏波面方向を設定する)。その後、ステップS500に戻り、同様の手順を繰り返す。ステップS374で判定が満たされない場合、すなわち操作者による手動切替スイッチ15の操作がない場合は、ステップS376に移り、制御回路333は表示部313に制御信号を出力して、例えば「目的の無線タグラベルの情報を読み取れませんでした」「目的の無線タグラベルは存在しませんでした」等のエラー表示を行って、本ルーチンを終了する。
なお、詳細な説明を省略するが、マルチサーチモード処理についても、上記同様、手動切替スイッチ15の操作により偏波面方向を切り替え可能とすることができる。
以上のように、本変形例では、偏波面方向の自動切り替え制御に基づきタグIDの取得が不調であった場合(ステップS370の判定が満たされずさらにステップS372の判定も満たされない場合)、手動切替スイッチ15により、当該自動切り替え制御より優先してリーダアンテナ12の偏波面方向を操作者の手動で設定することができる(ステップS375)。このように、自動切り替えによる偏波面方向で無線タグ回路素子Toとの通信があまりうまくいかなかった場合に、操作者の手動操作で偏波面方向をさらに切り替え可能とすることで、さらに確実に情報読み取りを行うことができる。
(2)金属物へのラベル貼り付けに対応した表示を行う場合
無線タグラベルTが金属物に貼り付けられときは、無線タグ回路素子Toの通信機能に影響が生じ、例えば通信可能距離が短くなる場合があり得る。本変形例は、このような場合に対応した表示を行う場合である。
まず、本変形例において、金属物貼り付け用の無線タグラベルTを作成する際のPC200の制御回路205によって実行される制御手順を説明する。
図24は、本変形例における金属物に貼り付けられる無線タグラベルTを作成する際にPC200の制御回路205によって実行される制御手順を示すフローチャートであり、上記図13に対応する図である。
図24に示すフローチャートにおいて、上記図13のフローチャートのステップS45とステップS50との間に、ステップS46〜ステップS48を付加した点が異なる。すなわち、ラベル作成開始指令の入力を判定し(ステップS5)、テンプレート選択の選択を判定し(ステップS10)、テンプレートのイメージデータを情報サーバ400Bから取得し(ステップS15)、取得したテンプレートを表示部201に表示し(ステップS20)、編集データを入力し(ステップS25)、編集データの入力を判定し(ステップS30)、情報サーバ400Bからガイダンス用イメージデータを取得し(ステップS35)、取得したガイダンス用イメージデータを表示部201に表示し(ステップS40)、操作者が表示されたガイダンス用イメージを確認したか否かを判定する(ステップS45)。判定が満たされない場合は、上記ステップS40に戻り、判定が満たされた場合は、次のステップS46に移る。
ステップS46では、制御回路205は、表示部201に制御信号を出力し、操作者に対し無線タグラベルTを金属物に貼り付けるかの問い合わせる表示を行い、次のステップS47で、操作者による金属物に貼り付ける旨の入力があったか否かを判定する。操作者がPC200の操作部202を介して金属物に貼り付ける旨の確認入力をした場合は判定が満たされ、ステップS48に移る。
ステップS48では、制御回路205は、情報サーバ400Bの第2データベースDB2にアクセスして、無線タグラベルTの貼り付け対象が金属である場合の接近推奨メッセージデータを取得する。接近推奨メッセージデータとは、無線タグラベルTの貼り付け対象(上記の例ではファイルF)が金属物であることが分かっている場合、探索時に通信距離を短縮させるために用意された接近推奨メッセージJ5(後述の図25参照)を表示部313に表示させるためのものである。この接近推奨メッセージデータは、例えば上記第2相関によりタグIDと対応づけて、情報サーバ400Bの第2データベースDB2に予め格納保持しておく。
上記ステップS48が終了したら、ステップS50に移る。ステップS47において、操作者による金属物に貼り付ける旨の判定がなかった場合は、ステップS48を経ずにステップS50に移る。
ステップS50では、図13と同様、上記ステップS15で取得したテンプレートイメージデータ(テンプレートSx)に、上記ステップS25で入力したテキストデータ(可変印字領域Sv)を付加して、ラベルイメージデータを作成する。そして、このラベルイメージデータと、上記ステップS35で取得したガイダンス用イメージデータの上記ブランク部分に合成して、合成イメージデータを作成し、上記ステップS48を経た場合は当該ステップS48で取得した上記接近推奨メッセージデータをさらに加えて、合成イメージデータを作成する。
その後は、図13と同様、情報サーバ400Bの第2データベースDB2からタグIDを取得し(ステップS55)、取得したタグIDと、取得したテンプレートイメージデータ、作成したラベルイメージデータ等とを対応づけ、タグラベル作成装置100に送信し(ステップS60)、取得したタグIDと、作成した合成イメージデータとを対応づける第2相関情報を生成し、ルートサーバ400Aに送信し、第1データベースDB1に格納する(ステップS65)。
図25は、本変形例において上記PC200で作成して上記情報サーバ400Bの第2データベースDB2に格納され、上記無線タグ通信装置300による情報読み取り時において表示部313に表示された、合成イメージデータの一例を示す説明図である。
この例は、前述の図11(c)に示した合成イメージデータに対応する物品収納イメージの例を示しており、一側面に無線タグラベルTが貼り付けられた複数の金属製の物品G(この例では金属製のファイル)が図示しない収容棚に格納されている。本変形例における合成イメージデータは、無線タグラベルTの外観を表す上記第1イメージJ1と、無線タグ通信装置300の外観を表す上記第2イメージJ2と、無線タグ回路素子Toに向かって無線タグ通信装置300から送信する電波の推奨送信方向(読み取りやすい方向)を表す上記第3イメージJ3と、無線タグ通信装置300の推奨移動方向を表す上記第4イメージJ4の他に、「リーダをファイルに近づけてください」というテキストからなる接近推奨メッセージJ5が表示されている。
したがって、探索者は、その表示された物品格納イメージ第1〜第4イメージJ1〜J4及び接近推奨メッセージJ5を見て、そのメッセージに従って通常よりもさらに物品Gに近づけた状態で無線タグ通信装置300をかざすようにする。これにより、金属物の影響を軽減しつつ、目的のファイルGを容易に見つけ出すことができる。
なお、詳細な説明を省略するが、上記図11(a)や図11(b)に示す合成イメージデータにおいても、上記と同様の手法で同様の接近推奨メッセージJ5を表示させることができる。
以上、本発明の実施形態及び変形例のいくつかを説明したが、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。