以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の情報読み取り装置を例えば図書館における書籍の貸し出し管理システムに適用した例である。
本実施形態の情報読み取り装置を備えた図書館においては、利用者M(第2情報取得対象)は図書館に入室する際に利用者固有のID(第2識別情報)が書き込まれた無線タグ回路素子To(詳細は後述)を有するタグラベルTMを身に着ける。また図書館内の各書籍B(第1情報取得対象)には、当該書籍固有のID(第1識別情報)が書き込まれた無線タグ回路素子Toを有するタグラベルTBが設けられている。そして、利用者が書籍を借りる際には、図書館に備え付けられるハンディスキャナ200(情報読み取り装置)を携帯した上で借りたい書籍Bの前に行く。
図1は、上記図書館において、利用者M1が書籍B1を借りるときの様子を示す図である。この図1に示すように、利用者M1が書籍B1を借りるときには、例えば図書館の受付で借りたハンディスキャナ200を書籍B1に近づけ、タグラベルTB1に備えられる無線タグ回路素子To−B(図2参照)の情報の読み取りを行う。このとき、ハンディスキャナ200により、利用者M1が身に着けたタグラベルTM1に備えられる無線タグ回路素子To−M(図2参照)の情報の読み取りも行われる(詳細は後述)。このハンディスキャナ200で読み込まれた情報は、無線LAN、基地局205及び通信回線206を経て、サーバ207のデータベースDBに送られる。
図2は、図書館内に設けられ、本実施形態の情報読み取り装置(ハンディスキャナ200)を有する無線タグ情報通信システムの全体構成を表すシステム構成図である。
図2において、無線タグ情報通信システム1は、タグラベルTB,TMに備えられた無線タグ回路素子To−B,To−Mの情報にアクセスする(この例では読み取りを行う)ハンディスキャナ200(情報読み取り装置)と、このハンディスキャナ200と無線LAN(Local
Area Network)を介し無線通信可能な基地局204と、この基地局204と無線(あるいは有線でもよい)による通信回線206を介し接続されデータベースDBを備えたサーバ207とを有している。
ハンディスキャナ200は、タグラベルTB及びタグラベルTMに備えられる無線タグ回路素子To−B,To−Mの上記アンテナ151−M、151−Bとの間で無線通信により信号の授受を行うアンテナ10M、10Bと、このアンテナ10Bを介し上記無線タグ回路素子To−B(第1情報保持部、第1無線タグ回路素子)のIC回路部150−Bへ短波(HF)を用いた無線通信によりアクセスする(ここでは読み取りを行う)とともに、その無線タグ回路素子To−Bから読み出された信号を処理する高周波回路201Bと、上記アンテナ10Mを介し上記無線タグ回路素子To−M(第2情報保持部、第2無線タグ回路素子)のIC回路部150−Mへ極超短波(UHF)を用いた無線通信によりアクセスし、かつその無線タグ回路素子To−Mから読み出された信号を処理する高周波回路201Mと、基地局204のアンテナ205を介し無線LANによる通信を行うための無線LAN通信部203と、高周波回路201M,201B及び無線LAN通信部203と接続されそれらの制御を行う制御回路202とを有する。
タグラベルTB及びタグラベルTMに備えられる無線タグ回路素子To−B,To−Mは、それぞれ情報を記憶するIC回路部150−B,150−MとこのIC回路部150−B,150−Mにそれぞれ接続されたアンテナ151−B,151−Mとを備えている。アンテナ151−Mは周知のダイポールアンテナであり、またアンテナ151−Bは図2に示すようにループコイル形状に構成されており、短波帯での通信に適した構造となっている。上記IC回路部150−M,150−B(メモリ部155)は、対応する情報取得対象物(ここでは書類B、または利用者M)を特定可能な固有の(但し書き換え可能でもよい)識別情報としてのタグIDを記憶保持しており、制御回路202がこのタグIDによって上記サーバ207に問い合わせを行うことで、サーバ207のデータベースDBに格納保持された、当該対象物に関する種々の情報(ここでは書籍名、人物名等)を上記サーバ207から読み込めるようになっている。なお、上記メモリ部155に、タグIDでなく書籍情報や人物情報を直接記憶させるようにしてもよい。
なお、各書籍Bのデータについては、予め適宜の端末等を用いて入力され、サーバ207のデータベースDBに格納保持されている。また各利用者Mの人物情報については、例えば図書館に入室する際に図示しない無線タグ情報書き込み装置の端末等で情報の入力を行い、その情報が書き込まれた無線タグ回路素子To−Mを有するタグラベルTMが利用者Mに渡されるようになっており、この際に入力された人物情報が上記サーバ207のデータベースDBに格納されるようになっている。
図3は、本実施形態のハンディスキャナ200の全体概略構造を表す正面図である。図3において、このハンディスキャナ200は、筐体4と、この筐体4の上部(図3中手前側)の大部分を占めるように配設され、読み込んだ情報の内容等の表示を行う表示部5と、筐体4の側面に配設され、情報の読み込みを行う際に利用者Mが操作を行う操作部6(例えばボタン、スイッチ等)と、情報の読み取りがうまくいかなかった場合に報知を行う例えばスピーカ等の音声報知手段7とを備えている。
上記筐体4には、上記無線タグ回路素子Toへの信号を送信及び受信する上記アンテナ10M,10Bが備えられている。なお、このアンテナ10M,10Bから送信される信号は公知の指向性制御により指向性を持って送信されるようになっており、アンテナ10Bを介して書籍Bの無線タグ回路素子To−Bに対し送信される信号はハンディスキャナ200の前方側(図3中上側)に、アンテナ10Mを介して利用者Mの無線タグ回路素子To−Mに対し送信される信号はハンディスキャナ200の後方側(図3中下側)に送信される。また、無線LANによる通信を行う上記無線LAN通信部203のアンテナ203aが備えられている。
図4は、上記ハンディスキャナ200の読み取り対象である書籍B及び利用者Mに設けられるタグラベルTB,TMに備えられた上記無線タグ回路素子To−B,To−Mの機能的構成の一例を表すブロック図である。
図4において、無線タグ回路素子To−Bは、ハンディスキャナ200のアンテナ10Bと短波帯の電波(本実施形態では13.56MHz。但し他の周波数を用いてもよい)を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151−Bと、このアンテナ151−Bに接続されたIC回路部150−Bとを有している。
一方、無線タグ回路素子To−Mは、ハンディスキャナ200側のアンテナ10Mと極超短波(本実施形態では2.45GHz。但し他の周波数を用いてもよい)を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151−Mと、このアンテナ151−Mに接続されたIC回路部150−Mとを有している。
IC回路部150−B(または150−M。以下、対応関係同じ)は、アンテナ151−B(または151−M)により受信された搬送波を整流する整流部152−B(または152−M)と、この整流部152−B(または152−M)により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150−B(または150−M)の駆動電源とするための電源部153−B(または153−M)と、上記アンテナ151−B(または151−M)により受信された搬送波からクロック信号を抽出して後述する制御部157−B(または157−M)に供給するクロック抽出部154−B(または154−M)と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155−B(または155−M)と、上記アンテナ151−B(または151−M)に接続された変復調部156−B(または156−M)と、上記整流部152−B(または152−M)、クロック抽出部154−B(または154−M)、及び変復調部156−B(または156−M)等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157−B(または157−M)とを備えている。
変復調部156−B(または156−M)は、アンテナ151−B(または151−M)により受信された上記ハンディスキャナ200のアンテナ10B(または10M)からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157−B(または157−M)からの返信信号に基づき、アンテナ151−B(または151−M)が受信した搬送波を変調し、アンテナ151−B(または151−M)より反射波として再送信する。
制御部157−B(または157−M)は、上記変復調部156−B(または156−M)により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155−B(または155−M)において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156−B(または156−M)により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部154−B(または154−M)は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157−B(または157−M)にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157−B(または157−M)に供給する。
上記構成により、タグラベルTBに備えられる無線タグ回路素子To−BとタグラベルTMに備えられる無線タグ回路素子To−Mとで、互いに受信感度の周波数特性が異なるようになっている。すなわち、無線タグ回路素子To−Bでは13.56MHzの搬送波(短波)に対する受信感度が最も大きくなっており、無線タグ回路素子To−Mでは2.45GHzの搬送波(極超短波)に対する受信感度が最も大きくなっている。
図5は、上記ハンディスキャナ200の制御系の構成を表す機能ブロック図である。
図5において、上記アンテナ10Bを介し上記無線タグ回路素子To−BのIC回路部150−B情報へアクセスする(ここでは読み取りを行う)ための上記高周波回路201Bと、上記アンテナ10Mを介し上記無線タグ回路素子To−MのIC回路部150−Mの情報へアクセスする(ここでは読み取りを行う)ための上記高周波回路201Mと、無線タグ回路素子To−B,To−MのIC回路部150−B,150−Mから読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子To−B,To−MのIC回路部150−B,150−Mへアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、ハンディスキャナ200全体の動作を制御するための上記制御回路202とを有する。
高周波回路201B,201Mは詳細な説明を省略するが、周知の短波帯,極超短波帯の電波の送受信により無線タグ回路素子To−B,To−Mとそれぞれ通信を行う機能を有しているものであり、これら高周波回路201B,201Mは、アンテナ10B,10Mを介し無線タグ回路素子To−B,To−Mに対して信号を送信する送信部212B,212Mと、アンテナ10B,10Mにより受信された無線タグ回路素子To−B,To−Mからの反射波を入力する受信部213B,213Mと、送受分離器214B,214Mとから構成される。
なお、以下、説明を簡易とするために高周波回路201Bの機能構成について説明するが、高周波回路201Mについても特にかっこ書きで示した部分以外については同様の構成である。
送信部212Bは、無線タグ回路素子To−BのIC回路部150−Bの無線タグ情報にアクセスする(ここでは読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子230B、PLL(Phase
Locked Loop)231B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)232Bと、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216B(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216Bにより変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217Bとを備えている。そして、上記発生される搬送波はHF帯(高周波回路201MではUHF帯)の周波数を用いており、上記送信アンプ217Bの出力は、送受分離器214Bを介し送信アンテナ10Bに伝達されて、無線タグ回路素子To−BのIC回路部150−Bに供給される。このとき、水晶振動子230B、PLL231B、及びVCO232Bで発生された13.56MHzの搬送波(短波)については、変調・増幅されて、ハンディスキャナ200の前方側(図3中上側)に向けて送信され、上記書籍Bの無線タグ回路素子To−BのIC回路部150−Bに供給されるようになっている(高周波回路201Mでは、水晶振動子230M、PLL231M、及びVCO232Mで発生された2.45GHzの搬送波(極超短波)は、変調・増幅されて、ハンディスキャナ200の後方側(図3中下側)に向けて送信され、上記利用者Mの無線タグ回路素子To−MのIC回路部150−Mに供給されるようになっている)。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部213Bは、アンテナ10Bで受信された無線タグ回路素子To−Bからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算して復調する受信第1乗算回路218Bと、その受信第1乗算回路218Bの出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219Bと、この第1バンドパスフィルタ219Bの出力を増幅する受信第1アンプ221Bと、この受信第1アンプ221Bの出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220Bと、上記アンテナ10Bで受信された無線タグ回路素子To−Bからの反射波と上記発生された後に移相器227Bにより位相を90°遅らせた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222Bと、その受信第2乗算回路222Bの出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223Bと、この第2バンドパスフィルタ223Bの出力を増幅する受信第2アンプ225Bと、この受信第2アンプ225Bの出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224Bとを備えている。そして、上記第1リミッタ220Bから出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224Bから出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ221B及び受信第2アンプ225Bの出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226Bにも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のハンディスキャナ200では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
無線LAN通信部203は、入出力インターフェイス(図示せず)を介し制御回路202に接続されている。
なお、制御回路202は、上記無線LAN通信部203側の無線通信と干渉せず互いにそれぞれ排他的に無線通信を行えるように、無線タグ回路素子Toとの通信用と基地局204のアンテナ205との通信用で異なる通信態様とする(例えばプロトコルや周波数等を異ならせる)ようになっている。プロトコルを異ならせる場合は、当該プロトコルに対応した上記高周波回路送信部212B,212Mへの増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213B,213Mからの受信信号を入力した後上記プロトコルに基づいて無線タグ回路素子To−B,To−Mから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。また制御回路202は、操作部6等の操作手段からの操作信号を入力するとともに、表示部5への表示制御信号、音声報知手段7への報知信号等を出力する。
図6は、上記制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
図6において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、ROM202B、RAM202C、高周波回路201B,201Mとの信号送受を行う回路制御部202D等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路202は、無線LAN通信部203とアンテナ205との無線LAN通信及び基地局204を介し通信回線206(前述の図1参照)に接続されており、この通信回線206に接続された前述のサーバ207や、さらに他の端末、コンピュータ、及びサーバ等との間で情報のやりとりが可能となっている。また、不揮発性メモリ(Flash
ROM)202Eを備えていても良い。なお、前述のサーバ207についてもCPU、ROM、及びRAM等から構成されている。
以上において、本実施形態の特徴は、書籍Bに備えられる無線タグ回路素子To―Bと利用者Mに備えられる無線タグ回路素子To−Mとに異なる周波数帯の無線タグ回路素子を用い、利用者Mが書籍Bを借り出す際に、ハンディスキャナ200で上記無線タグ回路素子To−B,To−Mのそれぞれに対し異なる周波数を用いて無線通信を行い、一度に情報を読み取るようにしたことにある。以下、その詳細手順を、図7を用いて順を追って説明する。
図7は、上記制御回路202が実行する制御手順を表すフローチャートである。例えばハンディスキャナ200の電源が投入されることによって、このフローが開始される。
まずステップS10では、利用者M1により上記操作部6が操作され、その操作に対応する操作信号が制御回路202のCPU202Aに入力されたかどうかを判定する。すなわち、利用者M1がハンディスキャナ200を携帯して借り出そうとする書籍B1の前まで行き、ハンディスキャナ200を書籍B1に近接させて操作部6を操作した場合には、判定が満たされて次のステップS20に移る。上記操作がなされていない場合には、操作入力があるまで操作待ち状態となる。
ステップS20では、上記送信部212に制御信号を送信し、水晶振動子230B、PLL231B、及びVCO232Bから13.56MHzの搬送波(短波)を発生させ、制御信号に基づいて発生した搬送波を変調・増幅させ、送受分離器214B及び送信アンテナ10Bを介し、利用者M1が借り出そうとする書籍B1のタグラベルTB1に備えられる無線タグ回路素子To−B1のIC回路部150−B1に対して読み取り信号(例えば探索信号Ping等)を送信させる。なお、この読み取り信号はアンテナ10からハンディスキャナ200の前方方向に向かって送信される。
次のステップS30では、上記読み取り信号を送信した無線タグ回路素子To−B1のIC回路部150−B1から、上記読み取り信号に対応した応答信号が受信されたかどうかを判定する。応答信号を受信していない場合には、判定が満たされずに上記ステップS20に戻る。一方、応答信号を受信した場合には判定が満たされて、次のステップS40に移る。
ステップS40では、上記送信部212に制御信号を送信し、水晶振動子230M、PLL231M、及びVCO232Mから2.45GHzの搬送波(極超短波)を発生させ、制御信号に基づいて発生した搬送波を変調・増幅させ、送受分離器214M及び送信アンテナ10Mを介し、利用者M1が身に着けるタグラベルTM1に備えられる無線タグ回路素子To−M1のIC回路部150−M1に対して読み取り信号(例えば探索信号Ping等)を送信させる。なお、この読み取り信号はアンテナ10からハンディスキャナ200の後方方向に向かって送信される。
次のステップS50では、上記読み取り信号を送信した無線タグ回路素子To−M1のIC回路部150−M1から、上記読み取り信号に対応した応答信号が受信されたかどうかを判定する。応答信号を受信した場合には判定が満たされて、次のステップS60に移る。
ステップS60では、上記ステップS20,30で読み取った書籍B1に関する情報と、上記ステップS40,50で読み取った利用者M1に関する情報とを関連付け、この関連付け情報を無線LANを介し無線通信により基地局204に送信し、この基地局204と通信回線206を介して接続されたサーバ207のデータベースDBに登録させる。そして、先のステップS10に戻る。
なお、上記ステップS50において、応答信号を受信していない場合には、判定が満たされずにステップS70に移る。
ステップS70では、上記ステップS40で最初に利用者M1の無線タグ回路素子To−M1に対し読み取り信号を送信した後、所定の時間が経過したかどうかを判定する。所定の時間が経過していない場合には、判定が満たされずにステップS40に戻る。一方、応答信号が受信されないまま所定の時間が経過してしまった場合には、判定が満たされて次のステップS80に移る。
ステップS80では、音声報知手段7に対し報知信号を出力し、当該音声報知手段7により利用者タグの読み取りがうまくいかなかった旨を報知させる。なお、表示部5に対し表示信号を出力し、当該表示部5に利用者タグの読み取りがうまくいかなかった旨を表示させてもよい。そして、先のステップS10に戻る。
なお、以上では利用者M1が書籍B1の1冊を借り出す場合を例にとって説明したが、例えば利用者M1が複数の書籍B(例えばB1〜B3)を借り出す場合には、利用者M1がそれぞれの書籍Bに対しハンディスキャナ200を近接させて同様の操作を行うことにより、上記フローに示す手順が繰り返し行われる。
図8は、上記のようにしてサーバ207のデータベースDBに登録された関連付け情報の一例を模式的に表す概念図である。
この図8に示すように、サーバ207のデータベースDBには、利用者、書籍、貸出日、返却日からなる貸し出しテーブルが登録されている。利用者、書籍に関する情報は、上述したようにハンディスキャナ200から無線LAN、基地局204及び通信回線206を介して受信される関連付け情報(ここでは利用者、書籍のID情報)とデータベースDB上の人物、書籍情報とを照らし合わせることにより、利用者名と書籍名が貸し出しテーブル上に登録される(なお、ID自体を登録するようにしてもよい)。また、貸出日及び返却日は、例えばサーバ207により自動的に付記登録されるようになっている。この図8の例では、利用者M1が同日に書籍B1〜B3の3冊を借り出し(まだ返却されていない)、利用者M2が借り出した書籍B9については既に返却されていることを示している。
なお、この貸し出しテーブル情報を、利用者M1が適宜の操作を行うことにより、ハンディスキャナ200の表示部5で表示するようにしてもよい。
以上において、高周波回路201B,201M、アンテナ10B,10M、及び制御回路202(詳細には図7のフロー中ステップS20〜S30)は、特許請求の範囲各項記載の第1識別情報を第1取得態様を用いて実質的に非接触で読み取って取得する第1取得手段を構成し、高周波回路201B,201M、アンテナ10B,10M、及び制御回路202(詳細には図7のフロー中ステップS40〜S50)は、特許請求の範囲各項記載の第2識別情報を第1の取得態様とは異なる第2取得態様を用いて実質的に非接触で読み取って取得する第2取得手段を構成する。また、制御回路202(詳細には図7のフロー中ステップS60)は、請求項8記載の関連付けを表す情報を生成する第1関連情報生成手段をも構成する。さらに、制御回路202(詳細には図7のフロー中ステップS80)は、請求項10記載の対応する報知信号を生成する報知信号生成手段をも構成する。
以上説明したように、本実施形態においては、図書館において利用者Mが書籍Bを借り出したい場合には、ハンディスキャナ200を携帯した上で書籍Bの前に行き、ハンディスキャナ200を書籍Bに近接させて操作部6の操作を行い、情報の読み取りを行わせる。このとき、送信アンテナ10Bを介し、書籍BのタグラベルTBに備えられる無線タグ回路素子To−BのIC回路部150−Bに対して13.56MHzの周波数で読み取り信号が送信され、書籍Bの書籍情報が読み出されるとともに、送信アンテナ10Mを介し、利用者Mが身に着けるタグラベルTMに備えられる無線タグ回路素子To−MのIC回路部150−Mに対して2.45GHzの周波数で読み取り信号が送信され、利用者Mの人物情報が読み出される。そして、これら読み出された書籍情報と利用者情報とが、無線LAN通信部203、基地局205、通信回線206を介しサーバ207へ送信され、適宜の情報(日付情報等)を付記されてデータベースDBに登録される。
このように、本実施形態においては、ハンディスキャナ200により、まず13.56MHzの短波(HF)を用いて書籍Bの無線タグ回路素子To−Bに保持された書籍情報の取得を完了した後に、2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて利用者Mの無線タグ回路素子To−Mに保持された利用者情報を取得する。このように、書籍Bと利用者Mとで異なる取得態様(本実施形態では異なる周波数による無線通信)を用いることにより、一律の取得態様(ここでは一律の周波数)で情報取得を行う場合に比べ、情報取得時の互いの干渉・悪影響(ここでは混信等の通信上の干渉・悪影響)を防止することができる。さらに、容易な操作(本実施形態ではハンディスキャナ200を書籍Bに近づけて操作部6を操作)をするのみで複数の情報取得対象(書籍Bと利用者M)から情報を読み取ることができるので、複数の情報取得対象から少ない手順で手軽かつ容易に情報を取得することができる。
また、本実施形態では特に、書籍Bに設けられる無線タグ回路素子To−Bの情報を読み取る際に13.56MHzの短波(HF)を用いて通信を行い、利用者Mが身に着ける無線タグ回路素子To−Mの情報を読み取る際に2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて通信を行う。
ここで、一般に、短波(13.56MHz等)を用いて無線通信を行う場合、通信距離は短いが通信安定性は高いという特徴がある。一方、極超短波(2.45GHz等)を用いて無線通信を行う場合には、通信距離は長いが、読み取り対象の周辺にある対象についても情報が読み込まれる可能性があるという特徴がある。したがって、本実施形態では上述のような周波数の使い分けをすることにより、書棚に並べて配置されることから近い距離で隣接する書籍Bの無線タグ回路素子To−Bからの情報の読み取りについては、通信距離が短い短波(13.56MHz等)を用いて読み取り対象の書籍Bの無線タグ回路素子To−Bに対して確実に通信を行えるようにすることができる。一方、利用者Mの無線タグ回路素子To−Mからの情報の読み取りについては、人物同士はそんなに近い距離に存在しないことから、通信距離が比較的長い極超短波(2.45GHz等)を用いることで対象である利用者Mの情報を読み取ることができる。このように、本実施形態では、読み取り対象に応じた周波数の使い分けをすることにより、情報取得時の互いの混信等の通信上の影響を防止しつつ、読み取り対象の情報を確実に読み取ることができる。
また、本実施形態では特に、ハンディスキャナ200からアンテナ10Bを介して書籍Bの無線タグ回路素子To−Bに対し送信される信号は、ハンディスキャナ200の前方側(図3中上側)に、ハンディスキャナ200からアンテナ10Mを介して利用者Mの無線タグ回路素子To−Mに対し送信される信号は、ハンディスキャナ200の後方側(図3中下側)に送信する。これにより、利用者Mがハンディスキャナ200を携帯するその携帯姿勢に合致させて無線電波を送信することができ、ハンディスキャナ200を用いた情報読み取り操作の操作性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、ハンディスキャナ200で読み取った書籍Bに関する情報と利用者Mに関する情報とを関連付け、この関連付け情報をサーバ207のデータベースDBに登録させる。これにより、書籍の貸し出し管理を効率的に行うことができる。また、当該データベースDBに登録した関連付け情報を用いて、例えば今までに自分が借りた本の一覧(人テーブル)や、借りたいと思う本の今までの貸し出し履歴一覧(書籍テーブル)等を作成するといったことが可能となり、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、書籍Bの無線タグ回路素子To−Bから情報の読み取りを終えた後、利用者Mの無線タグ回路素子To−Mから情報の読み取りがうまくいかなかった場合に、音声報知手段7により報知を行う。これにより、利用者Mに関する人物情報の取得に失敗したことを利用者Mに確実に認識させることができる。その結果、利用者Mに再度読み取り操作を行うことを促すことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲で更に種々の変形が可能である。以下その変形例を説明する。
(1)定置型のスキャナを用いる場合
上記実施形態においては、利用者が携帯できるハンディスキャナ200を用いて書籍B及び利用者Mの情報を読み取るようにしたが、これに限られず、定置型のスキャナを用いるようにしてもよい。
図9は、本変形例における利用者M1が書籍B1を借りるときの様子を示す図である。この図9に示すように、本変形例においては、例えば図書館の受付に定置型のスキャナ300(情報読み取り装置)が設置されている。この定置型スキャナ300は、前述のハンディスキャナ200が書籍Bの無線タグ回路素子To−Bに対し送信する信号をハンディスキャナ200の前方側に、利用者Mの無線タグ回路素子To−Mに対し送信する信号はハンディスキャナ200の後方側に送信したのに対し、どちらの無線タグ回路素子To−B,To−Mに対してもスキャナ300の前方側(図9中右側)に信号を送信するようになっている。その他については、前述のハンディスキャナ200とほぼ同等の機能を備えている。
上記構成の本変形例では、利用者M1は図書館に入室する際に利用者固有のIDが書き込まれた無線タグ回路素子To−M1を有するタグラベルTM1を身に着け、借りたい書籍B1を書棚から取り出して受付まで持って行き、その書籍B1を受付でスキャナ300に近接させる。これにより、スキャナ300は、書籍B1に備えられる無線タグ回路素子To―B1と13.56MHzの短波(HF)を用いて無線通信を行うとともに、利用者M1に備えられる無線タグ回路素子To−M1と2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて無線通信を行い、書籍B1及び利用者M1の双方から情報の読み取りを行う。そして、このスキャナ300で読み込まれた情報は、無線LAN、基地局204及び通信回線206を経て、サーバ207のデータベースDBに関連付け情報として登録される。
なお、本変形例においては、スキャナ300に情報の読み取りを行わせる際、利用者Mがスキャナ300の適宜の操作部(図示せず)を操作することにより図7に示すフローと同手順で行わせるようにしてもよいが、これに限られず、スキャナ300の高周波回路及びアンテナから常時読み取り信号(例えば探索信号Ping等)を送信しておき、利用者Mが書籍Bを近づけると自動的に読み取りを行うようにしてもよい。この場合、スキャナ300において利用者Mが書籍Bを近づけることにより書籍タグTo−Mから応答信号が受信されると、引き続いて利用者Mの無線タグ回路素子To−Mから情報の読み取りが行われる。
上記構成の本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(2)場所タグを設ける場合
上記実施形態では特に設置しなかったが、書籍の位置情報を記憶させた無線タグ回路素子Toを適宜の位置に設けておき、ハンディスキャナ200′で書籍情報とともにその位置情報を読み取るようにしてもよい。
図10は、本変形例における図書館の係員M3が書籍B1を書棚C1に戻すときの様子を示す図である。本変形例の図書館においては、各書棚Cの前方の床面(または床下でもよい)にその書棚Cの識別情報(ID)が書き込まれた無線タグ回路素子To−C(第3情報保持部)が設置されている(無線タグ回路素子Toを有するタグラベルを設けてもよい)。この図10において、書籍B1が収納される書棚C1の前方の床面にこの書棚C1の識別情報(第3識別情報)が書き込まれた無線タグ回路素子To−C1が設置されている。そして、ハンディスキャナ200′は、書籍の返却時に、書籍B1に設けられた無線タグ回路素子To−B1と上記床面に設けられた無線タグ回路素子To−C1とに対し、異なる周波数で無線通信を行う制御回路202′(図示せず)を有している。その他の構成については上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本変形例では、利用者M1が書籍を借りる際は、上記実施形態と同様の手順を行う。すなわち、利用者M1は図書館に入室する際に利用者固有のIDが書き込まれた無線タグ回路素子To−M1を有するタグラベルTM1を身に着けた上で、ハンディスキャナ200′を借りたい書籍B1に近接させて、書籍B1の無線タグ回路素子To−B1及び利用者M1の無線タグ回路素子To−M1の情報の読み取りを行わせる。これにより、利用者情報と書籍情報とを含む関連付け情報がサーバ207のデータベースDBに登録される。そして、返却の際は、利用者M1は書籍B1を例えば受付に返却する。この返却された書籍B1を、図書館の係員M3がハンディスキャナ200′を携帯して書棚C1に持って行き、元の場所に収納する。収納後、ハンディスキャナ200′を書籍B1に近接させて、情報の読み取りを行わせる。なお、以上では、係員M3が書籍B1を元の場所に戻すようにしたが、書籍B1を借りた利用者M1本人が戻すようにしてもよい。
図11は、上記返却時に制御回路202′が実行する制御手順を表すフローチャートである。例えばハンディスキャナ200′の電源が投入されることによって、このフローが開始される。
ステップS10〜ステップS30は、前述の図7に示すフローと同様であり、係員M3によりハンディスキャナ200′の上記操作部6が操作されると、13.56MHzの短波を用いて書籍B1のタグラベルTB1に備えられる無線タグ回路素子To−B1と無線通信を行い、書籍情報の読み取りを行う。無線タグ回路素子To−B1から応答信号が受信されると、ステップS30の判定が満たされ、次のステップS40Aに移る。
ステップS40Aでは、上記送信部212Mに制御信号を送信し、水晶振動子230M、PLL231M、及びVCO232Mから2.45GHzの搬送波(極超短波)を発生させ、制御信号に基づいて発生した搬送波を変調・増幅させ、送受分離器214M及び送信アンテナ10Mを介し、書棚C1の前方の床面に設けられた上記無線タグ回路素子To−C1のIC回路部150−C1(図示せず)に対して読み取り信号(例えば探索信号Ping等)を送信させる。このときの無線通信は、例えば2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて行われる。
次のステップS50Aでは、上記読み取り信号を送信した無線タグ回路素子To−C1のIC回路部150−C1から、上記読み取り信号に対応した応答信号が受信されたかどうかを判定する。応答信号を受信した場合には判定が満たされて、次のステップS90に移る。
ステップS90では、サーバ207のデータベースDBに予め登録された書籍Bと書棚Cとの関連付け情報を通信回線206、基地局204及び無線LANを介して読出し、上記ステップS20,S30で読み取った書籍B1に関する情報及び上記ステップS40A,50Aで読み取った書籍B1の位置に関する情報(すなわち書棚C1の識別情報)と比較し、書籍B1が正しい位置(正しい書棚)に戻されたかどうかを判定する。正しい位置に戻されている場合には、判定が満たされて次のステップS60Aに移る。
ステップS60Aでは、上記ステップS20,S30で読み取った書籍B1に関する情報と、上記ステップS40A,50Aで読み取った書籍B1の位置に関する情報(すなわち書棚C1の識別情報)とを関連付け、この関連付け情報を無線LAN、基地局204及び通信回線206を介してサーバ207のデータベースDBに送信し、書籍B1が正しい位置に返却されたことを登録させる。そして、先のステップS10に戻る。
ステップS70,S80については前述の図7に示すフローと同様であり、無線タグ回路素子To−C1の情報の読み取りがうまくいかなかった場合には、音声報知手段7に対し報知信号を出力し、音声報知手段7によりその旨を報知させる。また、上記ステップS90において、書籍B1が正しい位置に戻されなかった場合にも、ステップS80に移り、音声報知手段7により返却位置が正しくない旨を報知させる。なお、表示部5に対し表示信号を出力し、表示部5に表示させてもよい。そして、先のステップS10に戻る。
上記構成の本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上記変形例では、書籍B1が収納される書棚C1の前方の床面に無線タグ回路素子To−C1を設置するようにしたが、設置箇所はこれに限られず、例えば書棚C1自体や、床以外の構造物等、書籍B1の返却位置を特定でき、且つハンディスキャナ200′で読み取れる範囲にあるものであればよい。
また、上記変形例では、貸し出し時に書籍情報と人物情報、返却時に書籍情報と位置情報を読み取るようにしたが、これに限られず、例えば貸し出し時及び返却時の双方において書籍情報、人物情報及び位置情報の全情報を読み取るようにしてもよい。これにより、例えば書籍がどの位置から取り出されたか、誰が返却したか等が把握できるようになり、さらに詳細な書籍の貸し出し管理を行うことができる。なお、この場合における上記制御回路202′が、請求項9記載の第2関連情報生成手段を構成する。
次に、本発明の他の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の情報読み取り装置を例えば倉庫における物品管理システムに適用した例である。
本実施形態の情報読み取り装置を備えた物品管理システムにおいては、各荷物Lには荷物固有のID(第2識別情報)が書き込まれた無線タグ回路素子To−L(詳細は後述)を有するタグラベルTLが設けられている。一方、上記荷物Lを搬送するフォークリフトFには、その底部に当該車両固有のID(第1識別情報)が書き込まれた無線タグ回路素子To−Fを有するタグラベルTFが設けられている。そして、倉庫へ荷物Lを搬入する際には、上記フォークリフトFで荷物Lを搬送して倉庫の出入口30を通過する。
図12は、倉庫に設けられ、本実施形態の情報読み取り装置を有する無線タグ情報通信システムの全体構成を表すシステム構成図である。
この図12において、無線タグ情報通信システム2は、倉庫への搬入・搬出作業を行うフォークリフトF(この例ではF1)の底部に設けられたタグラベルTF(この例ではTF1。なお、ラベルでなくともよい)に備えられた無線タグ回路素子To−F(この例ではTo−F1)及び上記フォークリフトF(第1情報取得対象、物品搬送手段)により搬送される荷物L(この例では荷物L1〜L4)に設けられたタグラベルTL(この例ではTL1〜TL4)に備えられた無線タグ回路素子To−L(この例ではTo−L1〜To−L4)とアクセス(ここでは情報の読み取り)を行うスキャナ400(情報読み取り装置)と、このスキャナ400と通信回線406を介し接続されデータベースDBを備えたサーバ407とを有している。
スキャナ400は、上記タグラベルTFに備えられる無線タグ回路素子To−F(第1情報保持部、第1無線タグ回路素子)との間で無線通信により信号の授受を行うアンテナ10Aと、上記タグラベルTLに備えられる無線タグ回路素子To−L(第2情報保持部、第2無線タグ回路素子)との間で無線通信により信号の授受を行うアンテナ10Bと、上記アンテナ10Aを介し上記無線タグ回路素子To−Fへ短波(HF)を用いた無線通信によりアクセス(ここでは情報の読み取り)を行うとともに、その無線タグ回路素子To−Fから読み出された信号を処理する高周波回路401Aと、上記アンテナ10Bを介し上記無線タグ回路素子To−Lへ極超短波(UHF)を用いた無線通信によりアクセス(ここでは情報の読み取り)を行うとともに、その無線タグ回路素子To−Lから読み出された信号を処理する高周波回路401Bと、通信回線406を介しサーバ407のデータベースDBと通信を行うための通信制御部403と、高周波回路401A,401B及び通信制御部403と接続されそれらの制御を行う制御回路402とを有する。上記アンテナ10Aは、フォークリフトFの底部に設けられた上記タグラベルTFの無線タグ回路素子To−Fとの間で良好に通信が行えるように、倉庫の出入口30の下部(例えば路面)に配設されており、上記アンテナ10Bは、フォークリフトFによって搬送される各荷物L(第2情報取得対象、物品)に設けられたタグラベルTLの無線タグ回路素子To−Lとの間で良好に通信が行えるように、上記出入口30の側面(又は上面でもよい)に配設されている。
上記タグラベルTF及びタグラベルTLに備えられる無線タグ回路素子To−F,To−Lは、特に図示はしないが、それぞれ情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されたアンテナ151とを備えている。すなわち、無線タグ回路素子To−Fは、スキャナ400側の上記アンテナ10Aと短波(本実施形態では13.56MHz。但し他の周波数を用いてもよい)を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151−Fと、このアンテナ151−Fに接続されたIC回路部150−Fとを有している。一方、無線タグ回路素子To−Lは、スキャナ400側の上記アンテナ10Bと極超短波(本実施形態では2.45GHz。但し他の周波数を用いてもよい)を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151−Lと、このアンテナ151−Lに接続されたIC回路部150−Lとを有している。
上記IC回路部150(メモリ部155)は、対応する対象物(ここではフォークリフトF、または荷物L)を特定可能な固有の(但し書き換え可能でもよい)識別情報としてのタグIDを記憶保持しており、制御回路402がこのタグIDによって上記サーバ407に問い合わせを行うことで、サーバ407のデータベースDBに予め格納保持された当該対象物に関する種々の情報(例えばフォークリフトの車号又は運転者名、荷物名等)を上記サーバ407から読み込めるようになっている。なお、上記メモリ部155に、タグIDでなく上記情報を直接記憶させるようにしてもよい。
図13は、上記スキャナ400の制御系の構成を表す機能ブロック図であり、前述した一実施形態の図5に対応する図である。この図13において、前述の図5と同様の部分は説明を省略する。
図13において、スキャナ400は、上記アンテナ10Aを介し上記無線タグ回路素子To−Fの情報を読み取るための上記高周波回路401Aと、上記アンテナ10Bを介し上記無線タグ回路素子To−Lの情報を読み取るための上記高周波回路401Bと、無線タグ回路素子To−F,To−Lから読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子To−F,To−Lへアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、スキャナ400全体の動作を制御するための上記制御回路402とを有する。
高周波回路401A,401Bの構成は、前述の高周波回路201B,201Mと同様である。すなわち、高周波回路401Aの送信部412Aは、無線タグ回路素子To−FのIC回路部150−Fの無線タグ情報にアクセスする(ここでは読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子430A、PLL(Phase
Locked Loop)431A、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)432Aを備えており、上記発生される搬送波はHF帯の周波数を用いている。また、高周波回路401Bの送信部412Bは、無線タグ回路素子To−LのIC回路部150−Lの無線タグ情報にアクセスする(ここでは読み取りを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子430B、PLL(Phase
Locked Loop)431B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)432Bを備えており、上記発生される搬送波はUHF帯の周波数を用いている。そして、高周波回路401Aの水晶振動子430A、PLL431A、及びVCO432Aで発生された13.56MHzの搬送波(短波)については、変調・増幅されて、アンテナ10Aを介して送信され、上記フォークリフトFの無線タグ回路素子To−FのIC回路部150−Fに供給されるようになっている。一方、高周波回路401Bの水晶振動子430B、PLL431B、及びVCO432Bで発生された2.45GHzの搬送波(極超短波)は、変調・増幅されて、アンテナ10Bを介して送信され、上記荷物Lの無線タグ回路素子To−LのIC回路部150−Lに供給されるようになっている。なお、無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
通信制御部403は、入出力インターフェイス(図示せず)を介し制御回路402に接続されている。また制御回路402は、操作部416(図示せず)等の操作手段からの操作信号を入力するとともに、表示部415(図示せず)への表示制御信号、音声報知手段417(図示せず)への報知信号等を出力する。
図14は、上記制御回路402が実行する制御手順を表すフローチャートである。例えばスキャナ400の電源が投入されることによって、このフローが開始される。
まずステップS110では、上記送信部412Aに制御信号を送信し、水晶振動子430A、PLL431A、及びVCO432Aから13.56MHzの搬送波(短波)を発生させ、制御信号に基づいて発生した搬送波を変調・増幅させ、送受分離器414A及びアンテナ10Aを介し、読み取り信号(例えば探索信号Ping等)を送信させる。なお、この読み取り信号の送信は常時行われている。
次のステップS120では、フォークリフトFの無線タグ回路素子To−FのIC回路部150−Fから、送信した読み取り信号に対応した応答信号が受信されたかどうかを判定する。すなわち、例えばフォークリフトF1が倉庫の出入口30を通過し、上記ステップS110でアンテナ10Aを介して常時送信される読み取り信号がフォークリフトF1の底部に設けられたタグラベルTF1の無線タグ回路素子To−F1によって受信され、当該無線タグ回路素子To−F1から対応した応答信号が受信された場合には、判定が満たされて次のステップS130に移る。一方、応答信号が受信されない間は、ステップS110に戻って読み取り信号の送信状態を継続する。
ステップS130では、上記送信部412Bに制御信号を送信し、水晶振動子430B、PLL431B、及びVCO432Bから2.45GHzの搬送波(極超短波)を発生させ、制御信号に基づいて発生した搬送波を変調・増幅させ、送受分離器414B及びアンテナ10Bを介し、フォークリフトFで搬送される複数の荷物Lに設けられるタグラベルTLの無線タグ回路素子To−LのIC回路部150−Lに対して読み取り信号(例えば探索信号Ping等)を送信させる。このときの無線通信は、2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて行われる。
次のステップS140では、フォークリフトFで搬送される全ての荷物Lに係る無線タグ回路素子To−Lから、上記読み取り信号に対応した応答信号が受信されたかどうかを判定する。全荷物タグTo−Lから応答信号を受信した場合には判定が満たされて、次のステップS150に移る。
ステップS150では、上記ステップS110,120で読み取ったフォークリフトFに関する情報と、上記ステップS130,140で読み取った荷物Lに関する情報とを関連付け、この関連付け情報を通信回線406を介しサーバ407のデータベースDBに登録させる。そして、先のステップS110に戻る。
なお、上記ステップS140において、全荷物タグTo−Lから応答信号を受信していない場合には、判定が満たされずに次のステップS160に移る。
ステップS160では、上記ステップS130で最初に荷物Lの無線タグ回路素子To−Lに対し読み取り信号を送信した後、所定の時間が経過したかどうかを判定する。所定の時間が経過していない場合には、判定が満たされずにステップS130に戻る。一方、応答信号が受信されないまま所定の時間が経過してしまった場合には、判定が満たされて次のステップS170に移る。
ステップS170では、音声報知手段417に対し報知信号を出力し、当該音声報知手段417により荷物タグの読み取りがうまくいかなかった旨を報知させる。なお、表示部415に対し表示信号を出力し、当該表示部415に荷物タグの読み取りがうまくいかなかった旨を表示させてもよい。そして、先のステップS110に戻る。
図15は、上記のようにしてサーバ407のデータベースDBに登録された関連付け情報の一例を模式的に表す概念図である。
この図15に示すように、サーバ407のデータベースDBには、フォークリフト、荷物、搬入日からなるテーブルが登録されている。フォークリフト、荷物に関する情報は、上述したようにスキャナ400から通信回線406を介して受信される関連付け情報(ここではフォークリフト、荷物のID情報)とデータベースDB上のフォークリフト、荷物情報とを照らし合わせることにより、フォークリフトの号数(運転者名でもよい)と荷物名(荷物の中身)がテーブル上に登録される(なお、ID自体を登録するようにしてもよい)。また、搬入日は、例えばサーバ407により自動的に付記登録されるようになっている。この図15の例では、10/17にフォークリフトF1により荷物L10〜L17が倉庫に搬入され、10/18にはフォークリフトF2により荷物L5〜L7が搬入され、フォークリフトF1により荷物L1〜L4が搬入されたことを示している。
なお、このテーブル情報を、適宜の操作を行うことにより、スキャナ400の表示部415で表示するようにしてもよい。
以上において、制御回路402(詳細には図14のフロー中ステップS150)は、請求項8記載の関連付けを表す情報を生成する第1関連情報生成手段を構成する。また、制御回路402(詳細には図14のフロー中ステップS170)は、請求項10記載の対応する報知信号を生成する報知信号生成手段をも構成する。
以上説明したように、本実施形態においては、フォークリフトFが倉庫の出入口30を通過する際に、当該フォークリフトF及び搬送する荷物Lに係る情報の読み取りが行われる。このとき、送信アンテナ10Aを介し、フォークリフトFのタグラベルTFに備えられる無線タグ回路素子To−FのIC回路部150−Fに対して13.56MHzの周波数で読み取り信号が送信され、フォークリフトFの情報が読み出されるとともに、送信アンテナ10Bを介し、フォークリフトFにより搬送される荷物Lに設けられるタグラベルTLに備えられる無線タグ回路素子To−LのIC回路部150−Lに対して2.45GHzの周波数で読み取り信号が送信され、荷物Lの情報が読み出される。そして、これら読み出された車両情報と荷物情報とが、通信回線406を介しサーバ407へ入力され、適宜の情報(日付情報等)を付記されてデータベースDBに登録される。
このように、本実施形態においては、スキャナ400により、まず13.56MHzの短波(HF)を用いてフォークリフトFの無線タグ回路素子To−Fに保持された車両情報の取得を完了した後に、2.45GHzの極超短波(UHF)を用いて荷物Lの無線タグ回路素子To−Lに保持された荷物情報を取得する。このように、フォークリフトFと荷物Lとで異なる取得態様(本実施形態では異なる周波数の無線通信)を用いることにより、一律の取得態様(ここでは一律の周波数)で情報取得を行う場合に比べ、情報取得時の互いの干渉・悪影響(ここでは混信等の通信上の干渉・悪影響)を防止することができる。さらに、容易な操作をするのみ(本実施形態ではフォークリフトFで出入口30を通過するのみ)で複数の情報取得対象(フォークリフトFと荷物L)から情報を読み取ることができるので、複数の情報取得対象から少ない手順で手軽かつ容易に情報を取得することができる。その他、前述の一実施形態と同様の効果についても得ることができる。
なお、上記他の実施形態においては、荷物を搬送する物品搬送手段としてフォークリフトを例にとって説明したが、これに限られず、その他の搬送手段、例えばトラックやトレーラ、または(手押しの)台車等を用いて荷物の搬送を行う場合に本発明を適用してもよい。
また、以上の本発明の一実施形態、他の実施形態においては、複数の情報取得対象から情報を取得するに際し、複数の取得態様として通信周波数を異ならせる場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば通信プロトコルを異ならせたり、読み取り信号の送信出力を異ならせたりすることで、取得態様を異ならせるようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、以上の本発明の一実施形態、他の実施形態においては、近距離での情報の取得(一実施形態では書籍情報の取得、他の実施形態ではフォークリフト情報の取得)を行う取得手段として、通信距離の短い短波(HF)を用いた無線通信を行う場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、情報保持手段として例えばバーコード等を用い(すなわち一実施形態ではバーコードを書籍に、他の実施形態ではバーコードをフォークリフトに設けておき)、バーコードリーダ等の光学的情報取得手段により情報を得るようにしてもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの場合、既存のバーコードによる物品管理システムを活用又は連携してシステムを形成することができるという利点もある。
なお、以上で用いた「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。