JP2010085268A - 地震動振幅レベル予測装置及びプログラム - Google Patents

地震動振幅レベル予測装置及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる地震動振幅レベル予測装置及びプログラムを得る。
【解決手段】CPU40Aは、振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得し、取得したマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、地震動振幅レベル予測装置及びプログラムに係り、より詳しくは、長周期地震動による予測対象位置における振幅レベルを予測する地震動振幅レベル予測装置及びプログラムに関する。
通常、建物に大きな被害を及ぼす地震動は周期が0.1秒〜2秒程度の短いものであるが、近年、周期が数秒〜10数秒程度の長周期地震動と呼ばれる地震動が注目されている。
この長周期地震動は短周期地震動と違って遠距離でも減衰しにくく、かつ堆積平野内で大きく励起され、継続時間が長い。そのため、遠地であっても超高層建物や石油タンクなど、社会的重要度の高い構造物に予想外の大きな被害をもたらす可能性がある。例えば、長周期地震動による過去の被害例としては2003年十勝沖地震時の苫小牧における石油タンク火災や2004年新潟県中越地震時の東京におけるエレベータ被害等があり、震源から約200kmも離れた場所でいずれも被害が発生している。近い将来発生が懸念されている南海地震等の海溝型巨大地震では、堆積平野内で長周期地震動がさらに大きく卓越することが予想されており、長周期地震動の振幅レベルを精度よく予測するシステムを構築することは地震防災上重要な課題となっている。
従来、地震動の強さを評価するための技術として、観測された地震動強さを回帰分析して得られる距離減衰式を適用する技術があった。この技術は、制約はあるものの地震動強さを簡便に評価できることから、地震防災の分野で広く活用されている。
しかしながら、既存の距離減衰式は最大加速度や最大速度に関するものが主であり、長周期地震動に適用できるものではなかった。
そこで、本発明の発明者は、上記距離減衰式を長周期地震動に応用する技術を提案した(非特許文献1参照。)。
この技術は、長周期地震動の振幅レベルとして卓越周期の速度応答量Rpvに着目し、当該速度応答量Rpvをマグニチュード、震源距離、及び見掛け入射角をパラメータとして予測するものである。
小林 喜久二,「長周期地震動の距離減衰式に関する検討」,日本建築学会大会学術講演梗概集(九州),2007年8月,p.371−372
ところで、一例として図9に模式的に示されるように、長周期地震動を構成する波には実体波と表面波があり、基本的な特性として震央位置から近い地域では実体波が表面波に比較して優勢であり、震央位置から離れるに従って表面波が優勢になる、という特性がある。
また、一例として図10に示されるように、実体波は観測点に対して下方から伝播してくるため、実体波の振幅レベルは震源距離Xに関係し、表面波は観測点に対して水平方向に伝播してくるため、表面波の振幅レベルは震央距離Δと関係する。なお、実体波と表面波の幾何減衰は異なり、理論的に実体波の幾何減衰はX−1であり、表面波の幾何減衰はΔ−b(bは分散性の程度によって0.5〜1.0の値)である。
しかしながら、上記非特許文献1に開示されている技術では、震源地から予測対象位置までの距離として震源距離しか考慮されておらず、震央距離については何ら考慮されていないため、長周期地震動による振幅レベルを、必ずしも高精度に予測することができるとは限らない、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる地震動振幅レベル予測装置及びプログラムを提供することを目的とする。
前述したように、長周期地震動を構成する波には実体波と表面波があり、震央位置から近い地域では実体波が表面波に比較して優勢であり、震央位置から離れるに従って表面波が優勢になる、という基本的な特性がある。
そこで、上記目的を達成するために、請求項1記載の地震動振幅レベル予測装置は、振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出する導出手段と、を備えている。
請求項1に記載の地震動振幅レベル予測装置によれば、振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とが取得手段によって取得される。
ここで、本発明では、導出手段により、前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量が導出される。
このように、請求項1記載の地震動振幅レベル予測装置によれば、振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得し、取得したマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出しているので、震央距離を考慮しないで予測する場合に比較して、長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる。
ところで、前述したように、長周期地震動を構成する波には実体波と表面波があり、震央位置から近い地域では実体波が表面波に比較して優勢であり、震央位置から離れるに従って表面波が優勢になる、という基本的な特性がある。
そこで本発明の発明者は、この特性について検討した。なお、この検討では、上記非特許文献1に記載の技術と同様の堆積平野の中心部に位置する大阪6地点、関東3地点及び苫小牧において観測された気象庁マグニチュードM≧5.0の実測データを用いると共に、長周期成分のS/N比のよい実測データをさらに検索して追加して用いた。ここで、上記非特許文献1では、適用する実測データを表面波の優勢な実測データを多く含む見掛け入射角60°以上の実測データに限定したが、本検討では見掛け入射角に以上のような制限を設けないで適用した。また、各地域におけるデータ数は大阪が181、関東が25、苫小牧が5であり、合計211データをデータベースとして用いた。各実測データの見掛け入射角は12〜90°の範囲に分布し、震央位置に近いデータも含まれている。図11に本検討に用いた実測データの気象庁マグニチュードMと震央距離の分布を示す。
非特許文献1に記載の技術の問題点を明確化するため、実測データを表面波の優勢なデータを多く含むと考えられる見掛け入射角≧45°のデータと、実体波の優勢なデータを多く含むと考えられる見掛け入射角<45°のデータに区分し、各データを用いて回帰分析を行った。
この回帰分析に際して距離減衰モデルの基本形は従来技術を参考にして、次の(1)式及び(2)式で示すように距離を震源距離とした場合と震央距離とした場合の2種類を仮定した。なお、上記非特許文献1でも示されるように、見掛け入射角<45°のデータについては見掛け入射角に対する依存性が小さいため、見掛け入射角θに関する項を除去した距離減衰モデルを使用して回帰分析を行った。
ここで、Mは気象庁マグニチュード、Xは震源距離、θは見掛け入射角であり、(1)式は非特許文献1に記載の技術と同じモデルである。
(2)式は(1)式の震源距離Xを震央距離Δに変更したモデルである。
見掛け入射角θ≧45°のデータを(1)式及び(2)式で回帰分析して得られた予測式を(3)式及び(4)式に示す。
また、図12及び図13には(3)式及び(4)式の各予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示す。ここで、(3)式による予測値と観測値との誤差の対数標準偏差は0.21であり、(4)式による予測値と観測値との誤差の対数標準偏差は0.19であった。
一方、見掛け入射角θ<45°のデータを(1)式及び(2)式で回帰分析して得られた予測式を(5)式及び(6)式に示す。
また、図14及び図15には(5)式及び(6)式の各予測式による予測値と観測値の比較を示す。ここで、(5)式による予測値と観測値との誤差の対数標準偏差は0.18であり、(6)式による予測値と観測値との誤差の対数標準偏差は0.20であった。なお、図12〜図15における点線は標準偏差を表している。
以上の結果によると、予測誤差の対数標準偏差は見掛け入射角θ≧45°のデータでは震央距離を用いた方が小さく、見掛け入射角θ<45°のデータでは震源距離を用いた方が小さい。この結果を換言すると、震源距離を使用した非特許文献1の技術には適用上の限界があり、予測精度の向上・適用範囲の拡大を図るためには距離の取り方を根本的に見直す必要があることを示している。なお、見掛け入射角θ<45°のデータから得られた震央距離による予測式((6)式)はΔの係数が物理的に不自然な正の値となり、見掛け入射角θの小さいデータに対して震央距離の適用は基本的に無理がある結果となっている。
このように、予測式に使用する距離は、見掛け入射角が小さい場合は震源距離の方がよく、見掛け入射角が大きい場合は震央距離の方がよいことが判明した。従って、非特許文献1の技術を改善して予測精度の向上及び適用範囲の拡大を図るためには、見掛け入射角の増大と共に震源距離から震央距離に移行するように、予測式に適用する距離を設定する必要がある。その方法は多数考えられるが、その具体例として、距離として次の(7)式または(8)式を適用して算出される距離Dを適用する方法を例示することができる。
ここで、Hは震源深さを、θは震源距離から震央距離に移行させるための基準角を各々表す。
(7)式及び(8)式ともθ=0°のときはD=X,θ≧θのときはD=Δとなり、0<θ<θでは見掛け入射角θの増大とともに震源距離Xから震央距離Δに順次推移していく。なお、θ≧θの領域で距離Dとして震央距離Δそのものを適用するのは、震源地からの距離が或る程度以上大きくなると表面波が実体波に比較して卓越することが判明しているためである。
幾何減衰の係数に関しても、以上に示したαのような関数を用いて見掛け入射角θの増大とともに実体波の幾何減衰係数から表面波の幾何減衰係数に順次推移させる方法が考えられる。
次に、距離Dとして(7)式により算出される距離を適用した次の(9)式によって示される距離減衰モデルによって全実測データを回帰分析した事例を通して改善の効果を示す。
この回帰分析の結果得られた予測式は次の(10)式である。なお、(7)式で用いられる基準角θは65°であった。
図16に本予測式による予測値と観測値の比較を示す。既往の最大加速度や最大速度の距離減衰式の予測誤差の対数標準偏差は0.25〜0.3程度であるが、本予測式の予測誤差の対数標準偏差は0.19と小さく、観測値と予測値は全般的によい対応を示している。
さらに改善の効果を確認するため、全実測データを(1)式及び(2)式のモデルを用いて回帰分析してみた。これにより得られた予測式を(11)式及び(12)式に示す。
図17及び図18に各予測式による予測値と観測値の比較を示す。この場合における予測誤差の対数標準偏差は0.21ないし0.22で、上述の改善方法による誤差の方が小さく、改善方法の有効性を示す結果となっている。
以上の検討結果に基づき、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記導出手段が、前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど前記震央距離による影響度が前記震源距離に比較して高くなるように前記物理量を導出してもよい。これにより、より簡易に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記取得手段が、前記マグニチュードと前記地震の震央位置及び震源深さとを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力された震央位置及び震源深さに基づいて、前記震源距離、前記震央距離及び前記見掛け入射角を算出する算出手段と、を有してもよい。これにより、震源距離、震央距離及び見掛け入射角を簡易に導出することができる結果、より簡易に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。なお、上記入力手段による入力は、キーボード、ポインティング・デバイス、タッチ・パネル、タブレット等の入力装置を介した入力の他、ローカル・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット等の通信回線を介した外部装置からの入力が含まれる。
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記マグニチュード、前記震源距離、前記震央距離、及び前記見掛け入射角に基づいて前記物理量を算出することができるものとして予め導出された演算式が予め記憶された記憶手段をさらに備え、前記導出手段が、前記物理量を導出する際に前記演算式を前記記憶手段から読み出し、当該演算式に対して前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を代入することによって前記物理量を導出してもよい。これにより、より簡易に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、フレキシブル・ディスク等の可搬記録媒体やハードディスク等の固定記録媒体、或いはネットワークに接続されたサーバ・コンピュータ等に設けられた外部記憶装置が含まれる。
特に、請求項4記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記演算式が、過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いると共に、マグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を説明変数に含め、前記速度応答量を被説明変数とした回帰分析によって、当該速度応答量に最もよく回帰することのできるものとして導出された予測式(回帰式)としてもよい。これにより、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
また、請求項5記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記予測式が、Mをマグニチュードとし、Dを見掛け入射角が増加するに従って震央距離の割合が震源距離に比較して高くなるものとされた距離とし、θを見掛け入射角とし、a,b,b,c,c,c,及びdを回帰係数とし、Rpvを速度応答量としたとき、次の演算式を用いた回帰分析により得られた予測式としてもよい。
これにより、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
さらに、請求項6記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記距離Dが、Δを震央距離とし、Hを震源深さとし、θを震源距離から震央距離に移行させるための基準角としたとき、次の演算式により算出されるものとしてもよい。
これにより、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
また、請求項6記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、前記距離Dが、Xを震源距離とし、Δを震央距離とし、θを震源距離から震央距離に移行させるための基準角としたとき、次の演算式により算出されるものとしてもよい。
これにより、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
さらに、本発明は、請求項9に記載の発明のように、前記導出手段によって導出された物理量を出力する出力手段をさらに備えてもよい。これにより、当該物理量を用いる種々の形態に応用することができるようになる結果、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。なお、上記物理量を用いる種々の形態には、当該物理量を表示手段によって表示する形態や、当該物理量を用いて予め定められた制御対象の挙動を制御する形態が含まれる。ここで、上記表示手段によって表示する形態には、ディスプレイ装置等により可視表示する形態、画像形成装置等により永久可視表示する形態、音声合成装置等により可聴表示する形態が含まれる。
一方、上記目的を達成するために、請求項10記載のプログラムは、コンピュータを、振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得する取得手段と、前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出する導出手段と、として機能させるためのものである。
従って、請求項10記載のプログラムによれば、コンピュータに対して請求項1記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1記載の発明と同様に、長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる。
また、上記目的を達成するために、請求項11記載のプログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の地震動振幅レベル予測装置を構成する各手段として機能させるためのものである。
従って、請求項11記載のプログラムによれば、コンピュータに対して本発明の地震動振幅レベル予測装置と同様に作用させることができるので、当該地震動振幅レベル予測装置と同様に、長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる。
本発明によれば、振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得し、取得したマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出しているので、震央距離を考慮しないで予測する場合に比較して、長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、地震発生時にリアルタイムでインターネット上に送信されるリアルタイム地震情報を利用して、当該地震による各地の振幅レベルをリアルタイムで予測する形態に適用した場合について説明する。
まず、図1を参照して、本発明が適用された地震動振幅レベル予測システム10の構成を説明する。
同図に示すように、本形態に係る地震動振幅レベル予測システム10は、ネットワーク12に接続され、地震発生時にリアルタイムで当該地震に関する情報(以下、「リアルタイム地震情報」という。)をネットワーク12に送信するリアルタイム地震情報供給源20と、ネットワーク12に接続され、上記リアルタイム地震情報を利用して、地震発生時に各地の当該地震による振幅レベルを予測する地震動振幅レベル予測装置40と、を含んで構成されている。
なお、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10では、リアルタイム地震情報供給源20として特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会の所有するサーバを適用している。
リアルタイム地震情報利用協議会では、日本全国の各地震観測点を結んで構成される地震観測網を利用し、ある場所で地震が発生した場合には、その地震情報をリアルタイムで即座に公開し、震源地から離れた場所に地震の大きな揺れが到達する前に防災対策を実行できるようにすることによって、住民の生命の安全を確保し、社会経済に与える損害を軽減することを企図している。
リアルタイム地震情報供給源20は、上記の地震観測網の何れかの地震観測点がP波を検知した場合に、リアルタイム地震情報をネットワーク12(インターネット)上に出力する。このリアルタイム地震情報には、地震発生時刻(P波検知時点)、震源の場所(震央位置)、マグニチュード、震源の深さ等が含まれている。
このように、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10では、リアルタイム地震情報として特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会による情報を適用しているが、これに限らず、例えば、気象庁のナウキャスト地震情報、Hi−net等の他の情報を適用することができることは言うまでもない。また、ネットワーク12もインターネットに限らず、他の汎用回線や専用回線を単独、若しくは組み合わせて適用することができることも言うまでもない。
なお、リアルタイム地震情報供給源20(サーバ)には、各種情報を入力するためのキーボード、マウス(ポインティング・デバイス)等の入力装置、各種メニュー画面や処理結果等を表示するためのディスプレイ、及び各種情報を印刷するためのプリンタ等が備えられている。なお、このハードウェア構成は一般的なものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、図2を参照して、本システムにおいて特に重要な役割を有する地震動振幅レベル予測装置40の電気系の要部構成を説明する。
同図に示すように、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測装置40は、地震動振幅レベル予測装置40全体の動作を司るCPU(中央処理装置)40Aと、CPU40Aによる各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM40Bと、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM40Cと、各種情報を記憶するために用いられる二次記憶部(ここでは、ハードディスク装置)40Dと、各種情報を入力するために用いられるキーボード40Eと、各種情報を表示するために用いられるディスプレイ40Fと、ネットワーク12を介して外部装置との間で各種情報の授受を行う入出力ポート40Gと、が備えられており、これら各部はシステムバスBUSにより電気的に相互に接続されている。
従って、CPU40Aは、RAM40B、ROM40C、及び二次記憶部40Dに対するアクセス、キーボード40Eを介した各種入力情報の取得、ディスプレイ40Fに対する各種情報の表示、及び入出力ポート40Gを介したネットワーク12に接続された外部装置との間の各種情報の授受を各々行うことができる。
一方、図3には、地震動振幅レベル予測装置40に備えられた二次記憶部40Dの主な記憶内容が模式的に示されている。同図に示すように、二次記憶部40Dには、各種データベースを記憶するためのデータベース領域DBと、地震動振幅レベル予測装置40を制御するための制御プログラムや各種処理を行うためのプログラム等を記憶するためのプログラム領域PGと、が設けられている。
また、データベース領域DBには、予測対象位置情報データベースDB1と、地図情報データベースDB2と、が含まれる。以下、これらのデータベースの構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図4に示すように、本実施の形態に係る予測対象位置情報データベースDB1は、地域、地名、及び位置の各情報が、地震動振幅レベル予測装置40により地震動による振幅レベルの予測対象としている地点毎に記憶されるように構成されている。
なお、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10は、地震動による振幅レベルの予測を、予め選択された北海道地方、東北地方、関東地方等の地方毎に一括して行うものとして構成されており、上記地域は当該地方を示す情報である。また、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10は、地震動による振幅レベルの予測を、予め選択された地方内に存在する、予め定められた都市毎に行うものとして構成されており、上記地名は当該都市を示す情報である。さらに、上記位置は、対応する地名により示される都市の位置を示す情報であり、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10では、同図に示されるように、緯度及び経度の各情報により構成されている。
一方、図5に示すように、本実施の形態に係る地図情報データベースDB2は、地域、及び地図の各情報が記憶されるように構成されている。
なお、上記地域は予測対象位置情報データベースDB1における地域と同様の情報であり、上記地図は、対応する地域の地図を示す画像情報である。
また、図示は省略するが、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10では、地震動振幅レベル予測装置40の二次記憶部40Dの所定領域に、震源地のマグニチュードと、当該震源地において発生した地震による振幅レベルの予測対象とする位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とに基づいて、予測対象位置が地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるものとして予め導出された、地震動による速度応答量Rpvを算出する演算式が予め記憶されている。
なお、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10では、上記演算式として、前記マグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど前記震央距離による影響度が前記震源距離に比較して高くなるものとして予め導出されたものを適用しており、具体的には、過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いると共に、マグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を説明変数に含め、前記速度応答量を被説明変数とした回帰分析によって、当該速度応答量に最もよく回帰することのできるものとして導出された予測式(一例として、(10)式に示される予測式)を適用している。
次に、図6を参照して、本実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システム10の作用を説明する。なお、図6は、地震の発生に応じてリアルタイム地震情報供給源20からリアルタイム地震情報を受信した際に地震動振幅レベル予測装置40のCPU40Aにより実行される地震動振幅レベル予測プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは二次記憶部40Dのプログラム領域PGに予め記憶されている。また、ここでは、予測対象とする地域(以下、「予測対象地域」という。)が予め選択されている場合について説明する。
まず、同図のステップ100では、受信したリアルタイム地震情報から、気象庁マグニチュードM、震源位置(震央位置)、及び震源深さHの各情報を抽出し、次のステップ102では、予測対象地域に属する全ての位置情報を予測対象位置情報データベースDB1から読み出し、さらに次のステップ104では、二次記憶部40Dの所定領域から上記演算式を読み出す。
次のステップ106では、上記ステップ102の処理によって位置情報を読み出した地点のうちの何れか1箇所を予測対象位置として、当該予測対象位置の位置情報と上記ステップ100の処理によって抽出した震源位置及び震源深さHを用いて震源距離X、震央距離Δ、及び見掛け入射角θを算出する。なお、震央距離Δは、上記震源位置と予測対象位置との間のユークリッド距離を算出することにより得ることができる。また、見掛け入射角θは次の(13)式により得ることができ、震源距離Xは次の(14)式により得ることができる。
次のステップ108では、見掛け入射角θが、上記演算式に対応して予め定められた基準角θ(上記演算式が(10)式である場合はθ=65°)以下であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ110に移行して、次の(15)式を用いて係数αを算出し、その後にステップ114に移行する。
一方、上記ステップ108において否定判定となった場合にはステップ112に移行し、係数αに0(零)を代入した後にステップ114に移行する。
ステップ114では、以上の処理によって得られた係数α、震央距離Δ、及び震源深さHを次の(16)式に代入することにより、距離Dを算出する。
次のステップ116では、以上の処理によって得られた距離D、気象庁マグニチュードM、及び見掛け入射角θを上記ステップ104の処理によって読み出した演算式に代入することによって予測対象位置における速度応答量Rpvを、予測対象位置における振幅レベルの予測値として算出する。
次のステップ118では、上記ステップ102の処理によって読み出した位置情報に対応する全ての地点について上記ステップ106〜ステップ116の処理が終了したか否かを判定し、否定判定となった場合は上記ステップ106に戻る一方、肯定判定となった時点でステップ120に移行する。なお、上記ステップ106〜ステップ118の処理を繰り返し実行する際には、上記予測対象位置として、上記ステップ102の処理によって読み出した位置情報に対応する全ての地点における、それまでに予測対象としなかった地点を適用する。
ステップ120では、予測対象地域に対応する地図情報を地図情報データベースDB2から読み出し、次のステップ122にて、読み出した地図情報と以上の処理によって得られた予測対象地域内の全ての位置における振幅レベルを用いて、予め定められたフォーマットとされた予測結果画面を構成し、次のステップ124にて、当該予測結果画面をディスプレイ40Fにより表示した後、本地震動振幅レベル予測プログラムを終了する。
図7には、上記ステップ124の処理によってディスプレイ40Fに表示される予測結果画面の表示状態例が示されている。同図に示すように、当該画面では、予定対象地域の地図が表示されると共に、当該予測対象地域内の各予測対象位置における振幅レベルを示す情報が対応する位置に表示される。従って、同図に示される予測結果画面を参照することによってユーザは、予め選択した地域内における各地の振幅レベルをリアルタイムで、かつ直感的に把握することができる。
なお、予測結果画面は同図に示すものには限らないことは言うまでもない。図8には、予測結果画面の他の例が示されている。この予測結果画面では、地図は表示されないものの、予測した振幅レベルが対応する地名と共に一覧形式で表示される。この場合、地図を表示する場合に比較して、より多くの位置の予測結果を表示することができる結果、より多くの位置の予測結果を把握することができる。なお、この場合、振幅レベルの高い順に予測結果をソーティングして表示するようにすれば、より危険な位置を短時間で把握することができ、好ましい。
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、振幅レベル(本実施の形態では、速度応答量Rpv)の予測対象とする地震のマグニチュード(本実施の形態では、気象庁マグニチュード)と予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得し、取得したマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出しているので、震央距離を考慮しないで予測する場合に比較して、長周期地震動による振幅レベルを高精度に予測することができる。
特に、本実施の形態では、前記取得したマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど前記震央距離による影響度が前記震源距離に比較して高くなるように前記物理量を導出しているので、より簡易に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
また、本実施の形態では、前記マグニチュードと前記地震の震央位置及び震源深さとを入力し、入力した震央位置及び震源深さに基づいて、前記震源距離、前記震央距離及び前記見掛け入射角を算出しているので、震源距離、震央距離及び見掛け入射角を簡易に導出することができる結果、より簡易に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
また、本実施の形態では、前記マグニチュード、前記震源距離、前記震央距離、及び前記見掛け入射角に基づいて前記物理量を算出することができるものとして予め導出された演算式を記憶手段(本実施の形態では、二次記憶部40D)によって予め記憶しておき、前記物理量を導出する際に前記演算式を前記記憶手段から読み出し、当該演算式に対して前記取得したマグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を代入することによって前記物理量を導出しているので、より簡易に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
特に、本実施の形態では、前記演算式を、過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いると共に、マグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を説明変数に含め、前記速度応答量を被説明変数とした回帰分析によって、当該速度応答量に最もよく回帰することのできるものとして導出された予測式としているので、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
特に、本実施の形態では、前記予測式を(9)式を用いた回帰分析により得られた予測式としているので、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
また、本実施の形態では、前記距離Dが(16)式により算出されるものとしているので、より高精度に長周期地震動による振幅レベルを予測することができる。
さらに、本実施の形態では、前記物理量を表示手段(本実施の形態では、ディスプレイ40F)により表示しているので、予測結果を容易に確認することができるようになる結果、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
例えば、上記実施の形態では、予め選択した地域内を対象として振幅レベルを予測する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、リアルタイム地震情報に含まれる震源位置を含む地域を自動的に選択して、当該地域内の各地の振幅レベルを予測する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、地震動振幅レベル予測プログラムによる予測結果をディスプレイによって可視表示する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図示しないプリンタ等を用いた印刷により永久可視表示する形態や、図示しないスピーカ等を用いた音声によって可聴表示する形態とすることもできる。これらの場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、本発明のマグニチュードとして気象庁マグニチュードを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、モーメントマグニチュード、津波マグニチュード、表面波マグニチュード、実体波マグニチュード等の他のマグニチュードを適用する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、本発明の振幅レベルを示す物理量として速度応答量Rpvを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予測対象位置における最大加速度や最大速度等の他の振幅レベルを示す物理量を適用する形態とすることもできる。この場合の形態例としては、適用する物理量の実測データを用いた回帰分析(一例として(9)式を用いた回帰分析)を行うことにより、当該物理量を算出する予測式を予め導出して適用する形態を例示することができる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、見掛け入射角θが基準角θを超える位置については係数αに0(零)を適用することにより、距離Dとして震源距離Δそのものを適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基準角θを適用することなく、単に見掛け入射角θが大きくなるに従って距離Dに対する震央距離Δの割合が高くなるように当該距離Dを導出する形態とすることもできる。この場合の形態例としては、何れの見掛け入射角θにおいても、係数αを(15)式により算出する形態を例示することができる。この場合、上記実施の形態に比較して、振幅レベルの予測精度が若干低下するものの、見掛け入射角θの大きさに応じた係数αの設定の切り替えを行う必要がなくなる結果、より高速に振幅レベルを予測することができるようになる。
また、上記実施の形態では、距離Dを(16)式により算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、前記距離Dを次の(17)式により算出する形態とすることもできる。
この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、(10)式により示される予測式を用いて予測対象位置の振幅レベルを算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いると共に、マグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を説明変数に含め、速度応答量を被説明変数とした回帰分析によって、当該速度応答量に最もよく回帰することのできるものとして導出された他の予測式(一例として、(10)式における各係数の値が異なる予測式)を適用して予測対象位置の振幅レベルを算出する形態とすることもできる。
なお、この場合、例えば日本全国にわたる過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いて上記回帰分析を行うことによって得られた予測式を適用してもよいし、北海道地方、東北地方等の各地方毎の過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いて各地方毎に上記回帰分析を行い、これによって得られた各地方毎の予測式から対応する予測式を選択的に適用してもよい。
これらの場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施の形態では、本発明の物理量を出力する出力手段として表示手段を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、上記出力手段として、予め定められた制御対象を制御する制御手段に上記物理量を出力する出力手段を適用する形態とすることもできる。
この場合の上記制御手段の例としては、エレベータの地震管制運転を制御する制御装置等、超高層建物、免震建物、大型タンク、吊り橋、建設用仮設足場、タワークレーン等の長周期地震動による影響を受けやすい構造物に設けられた各種設備や部材等を制御する制御装置を例示することができる。
上記制御手段としてエレベータの地震管制運転を制御する制御装置を適用する場合の形態例としては、上記出力手段によって出力された物理量が所定レベル以上となった場合にエレベータを最寄階に停止させたり、当該物理量が所定レベル以上である状態から当該所定レベルより小さな状態に移行したときにエレベータの通常運転を再開させたりする形態等を例示することができる。
また、上記制御手段として超高層建物に設けられた部材を制御する制御装置を適用する場合の形態例としては、当該超高層建物に用いられる各ブレースの取り付け部の固定度を、電磁石等を用いて可変としておき、長周期地震動が到達する以前に、上記出力手段によって出力された物理量の大きさに応じて当該固定度を調整する形態や、超高層建物に設けられた窓拭き用ゴンドラに揺れ防止用の錘を適用すると共に、当該錘をゴンドラ内に収容する状態と、ゴンドラより下にワイヤ・ブレース等を用いて垂下させる状態とを電気的に切り替え可能としておき、長周期地震動が生じていない通常時は上記錘をゴンドラ内に収容しておく一方、上記出力手段によって出力された物理量が所定レベル以上となった場合に、長周期地震動が到達する以前に上記錘を垂下させる形態、上記出力手段によって出力された物理量が所定レベル以上となった場合にコンピュータにより記憶されているデータを他の建物に設けられたコンピュータにネットワーク等を介して転送することによりバックアップする形態等が例示できる。
さらに、上記制御手段として免震建物に設けられた部材を制御する制御装置を適用する場合の形態例としては、当該免震建物を油圧ダンパーにより免震するものとしておき、長周期地震動が到達する以前に上記油圧ダンパーの油圧調整弁を、当該免震建物の剛性が長周期地震動の振幅レベルに適応するように調整する形態等が例示できる。
なお、この場合、本発明の出力手段の具体例としては、上記制御装置に上記物理量を出力するインタフェース回路等を例示することができる。
この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
その他、上記実施の形態で説明した地震動振幅レベル予測システム10及び地震動振幅レベル予測装置40の構成(図1〜図3参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した地震動振幅レベル予測プログラムの処理の流れ(図6参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な処理ステップを削除したり、新たな処理ステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
また、上記実施の形態で示した予測結果画面の構成(図7,図8参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
更に、上記実施の形態で示した各種データベースの構成(図4,図5参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
実施の形態に係る地震動振幅レベル予測システムの全体構成を示す構成図である。 実施の形態に係る地震動振幅レベル予測装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。 実施の形態に係る地震動振幅レベル予測装置に備えられた二次記憶部の主な記憶内容を示す模式図である。 実施の形態に係る予測対象位置情報データベースの構成を示す模式図である。 実施の形態に係る地図情報データベースの構成を示す模式図である。 実施の形態に係る地震動振幅レベル予測プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態に係る予測結果画面の表示状態例を示す概略図である。 実施の形態に係る予測結果画面の他の表示状態例を示す概略図である。 本発明の原理の説明に供する図であり、実体波と表面波を示すと共に、実体波と表面波の震央距離に応じた優劣関係を示す模式図(側面図)である。 本発明の原理の説明に供する図であり、震源深さ、震源距離、震央距離、見掛け入射角を示す模式図(側面図)である。 本発明の原理の説明に供する図であり、本発明の発明者による検討に用いた実測データの気象庁マグニチュードと震央距離の分布を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(3)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(4)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(5)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(6)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(10)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(11)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。 本発明の原理の説明に供する図であり、(12)式の予測式による予測値と観測値(実測値)の比較を示すグラフである。
符号の説明
10 地震動振幅レベル予測システム
12 ネットワーク
20 リアルタイム地震情報供給源
40 地震動振幅レベル予測装置
40A CPU(取得手段,導出手段,算出手段)
40B RAM
40C ROM
40D 二次記憶部(記憶手段)
40E キーボード
40F ディスプレイ(表示手段)
40G 入出力ポート(入力手段)
DB1 予測対象位置情報データベース
DB2 地図情報データベース

Claims (11)

  1. 振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得する取得手段と、
    前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出する導出手段と、
    を備えた地震動振幅レベル予測装置。
  2. 前記導出手段は、前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど前記震央距離による影響度が前記震源距離に比較して高くなるように前記物理量を導出する
    請求項1記載の地震動振幅レベル予測装置。
  3. 前記取得手段は、
    前記マグニチュードと前記地震の震央位置及び震源深さとを入力する入力手段と、
    前記入力手段によって入力された震央位置及び震源深さに基づいて、前記震源距離、前記震央距離及び前記見掛け入射角を算出する算出手段と、
    を有する請求項1または請求項2記載の地震動振幅レベル予測装置。
  4. 前記マグニチュード、前記震源距離、前記震央距離、及び前記見掛け入射角に基づいて前記物理量を算出することができるものとして予め導出された演算式が予め記憶された記憶手段をさらに備え、
    前記導出手段は、前記物理量を導出する際に前記演算式を前記記憶手段から読み出し、当該演算式に対して前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を代入することによって前記物理量を導出する
    請求項1〜請求項3の何れか1項記載の地震動振幅レベル予測装置。
  5. 前記演算式は、過去の地震における速度応答量を示す実測データを用いると共に、マグニチュード、震源距離、震央距離、及び見掛け入射角を説明変数に含め、前記速度応答量を被説明変数とした回帰分析によって、当該速度応答量に最もよく回帰することのできるものとして導出された予測式である
    請求項4記載の地震動振幅レベル予測装置。
  6. 前記予測式は、Mをマグニチュードとし、Dを見掛け入射角が増加するに従って震央距離の割合が震源距離に比較して高くなるものとされた距離とし、θを見掛け入射角とし、a,b,b,c,c,c,及びdを回帰係数とし、Rpvを速度応答量としたとき、次の演算式を用いた回帰分析により得られた予測式である
    請求項5記載の地震動振幅レベル予測装置。
  7. 前記距離Dは、Δを震央距離とし、Hを震源深さとし、θを震源距離から震央距離に移行させるための基準角としたとき、次の演算式により算出されるものである
    請求項6記載の地震動振幅レベル予測装置。
  8. 前記距離Dは、Xを震源距離とし、Δを震央距離とし、θを震源距離から震央距離に移行させるための基準角としたとき、次の演算式により算出されるものである
    請求項6記載の地震動振幅レベル予測装置。
  9. 前記導出手段によって導出された物理量を出力する出力手段
    をさらに備えた請求項1〜請求項8の何れか1項記載の地震動振幅レベル予測装置。
  10. コンピュータを、
    振幅レベルの予測対象とする地震のマグニチュードと予測対象位置における震源距離、震央距離及び見掛け入射角とを取得する取得手段と、
    前記取得手段によって取得されたマグニチュード、震源距離、震央距離及び見掛け入射角に基づいて、前記予測対象位置が前記地震の震源地から遠くなるほど当該地震による表面波の影響度が実体波に比較して高くなるように、当該予測対象位置における振幅レベルを示す物理量を導出する導出手段と、
    として機能させるためのプログラム。
  11. コンピュータを、請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の地震動振幅レベル予測装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。
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