JP2011074714A - 基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート - Google Patents

基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート Download PDF

Info

Publication number
JP2011074714A
JP2011074714A JP2009229655A JP2009229655A JP2011074714A JP 2011074714 A JP2011074714 A JP 2011074714A JP 2009229655 A JP2009229655 A JP 2009229655A JP 2009229655 A JP2009229655 A JP 2009229655A JP 2011074714 A JP2011074714 A JP 2011074714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
damage
foundation structure
earthquake
earthquake damage
chart
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009229655A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5327632B2 (ja
Inventor
Masayuki Hasegawa
正幸 長谷川
Yoichi Taji
陽一 田地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP2009229655A priority Critical patent/JP5327632B2/ja
Publication of JP2011074714A publication Critical patent/JP2011074714A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5327632B2 publication Critical patent/JP5327632B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Foundations (AREA)
  • Geophysics And Detection Of Objects (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

【課題】地震被害の目安を簡便かつ定量的に予測評価することができる基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャートを提供する。
【解決手段】既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成する一方で、地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義し、定義した各被害モードの発現率を表すフラジリティーカーブを作成するとともに、任意の地盤沈下量に対して、各被害モード毎の発現率を、被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成し、作成した累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、杭基礎などの基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャートに関するものである。
従来、施設の地震被害の予測評価においては、地震動強さの関数であるフラジリティーが活用されており、これまでにも建物はもちろんのこと、橋脚などのインフラ構造物や、埋設管などのライフライン構造物について多くのフラジリティーモデルが開発されている(例えば、非特許文献1〜4参照)。
しかし、第一義的な被害要因である地盤変状に起因する基礎構造の地震被害に関しては、過去の地震被害データが建物の場合に比して少ないこと等から、基礎構造において有効なフラジリティーモデルは提案されていない。このため、基礎構造に対する地震被害の予測評価は、エキスパートの経験値に頼ることが多かった。
"地震時における建物被害評価手法"、大久保浩光、松井伸夫、武田正紀、後藤盛昌、日本建築学会大会学術講演梗概集、17−18、2003.9 "耐震診断結果を利用した既存RC造建築物の地震リスク表示"、林康裕、鈴木祥之、宮腰淳一、渡辺基史、地域安全学会論文集、No.2、235−242、2000.11 "Statistical Analysis of Fragility Curves, Proc. Of Asian-Pacific Symposium on Structural Reliability and its Applications, Taipei, Taiwan, R.O.C., 1-18, 1999.2 "震度情報に基づく供給系ライフラインの地震時機能リスクの二段階評価モデル"、野島暢呂、杉戸真太、鈴木康夫、石川裕、奥村俊彦、土木学会論文集、No.724/I−62、225−238、2003.1
基礎構造の地震被害の予測評価においては、上記のエキスパートの経験に頼る方法も有効といえるが、最近では、想定される地震被害を施設の事業主体者に説明する際に、予測評価の手法や条件などの情報の開示不足を指摘される場合がある。また、評価精度や進捗等もエキスパート個人の経験に左右される面もあり、評価対象によっては評価作業に手間が掛かることがある。
このため、「ある耐震性能を有する基礎構造が、ある強さの地震動を受けたとき、どの程度の被害となるか」の地震被害の目安を評価者の経験に寄らずに簡便に、かつ、定量的に予測する方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、地震被害の目安を簡便かつ定量的に予測評価することができる基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャートを提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る基礎構造の地震被害予測方法は、地盤に設けられる基礎構造の地震による被害を予測するための地震被害予測方法であって、既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成する一方で、前記地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義し、定義した前記各被害モードの前記発現率を表すフラジリティーカーブを作成するとともに、任意の地盤沈下量に対して、前記各被害モード毎の前記発現率を、前記被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成し、作成した前記累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る基礎構造の地震被害予測方法は、上述した請求項1において、被害予測の目的に応じた代表被害モードを前記累積確率バーチャートの確率分布に基づいて設定し、所定の地盤沈下量に対する基礎構造の地震被害予測チャートを作成し、この地震被害予測チャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る基礎構造の地震被害予測方法は、上述した請求項2において、前記地盤沈下量を所定区間に区分して、前記各区間の代表沈下量について前記累積確率バーチャートを作成し、作成した前記各累積確率バーチャートから前記代表被害モードに対応する確率情報をそれぞれ抽出し、この確率情報に基づいて、前記各区間の代表沈下量に対する前記地震被害予測チャートを作成することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る基礎構造の地震被害予測方法は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記基礎構造は、杭基礎であることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係る基礎構造の地震被害予測システムは、地盤に設けられる基礎構造の地震による被害を予測するための地震被害予測システムであって、既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成可能なフラジリティーカーブ作成手段と、前記地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義する被害モード定義手段と、前記被害モード定義手段で定義した各被害モードの前記発現率を表すフラジリティーカーブを前記フラジリティーカーブ作成手段により作成し、任意の地盤沈下量に対して、前記各被害モード毎の前記発現率を、前記被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成するバーチャート作成手段とを備え、前記バーチャート作成手段で作成した累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係る基礎構造の地震被害予測システムは、上述した請求項5において、被害予測の目的に応じた代表被害モードを前記累積確率バーチャートの確率分布に基づいて設定する代表被害モード設定手段と、所定の地盤沈下量に対する基礎構造の地震被害予測チャートを作成する地震被害予測チャート作成手段とをさらに備え、前記地震被害予測チャート作成手段により作成した地震被害予測チャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係る基礎構造の地震被害予測システムは、上述した請求項6において、前記地震被害予測チャート作成手段は、前記地盤沈下量を所定区間に区分して、前記各区間の代表沈下量について前記累積確率バーチャートを作成し、作成した前記各累積確率バーチャートから前記代表被害モードに対応する確率情報をそれぞれ抽出し、この確率情報に基づいて、前記各区間の代表沈下量に対する地震被害予測チャートを作成することを特徴とする。
また、本発明の請求項8に係る基礎構造の地震被害予測システムは、上述した請求項5〜7のいずれか一つにおいて、前記基礎構造は、杭基礎であることを特徴とする。
また、本発明の請求項9に係る地震被害予測チャートは、上述した請求項1〜4のいずれか一つに記載の基礎構造の地震被害予測方法または請求項5〜8のいずれか一つに記載の基礎構造の地震被害予測システムにおいて基礎構造の地震による被害を予測するために参照して利用される地震被害予測チャートであって、前記地盤沈下量に対する被害の大きさの分布を、バーチャートで表したことを特徴とする。
また、本発明の請求項10に係る地震被害予測チャートは、上述した請求項9において、前記地盤沈下量に対する被害の大きさの分布を、基礎構造の形式毎にバーチャートで表したことを特徴とする。
本発明によれば、地盤に設けられる基礎構造の地震による被害を予測するための地震被害予測方法であって、既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成する一方で、前記地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義し、定義した前記各被害モードの前記発現率を表すフラジリティーカーブを作成するとともに、任意の地盤沈下量に対して、前記各被害モード毎の前記発現率を、前記被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成し、作成した前記累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するので、地震被害の目安を簡便かつ定量的に予測評価することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る基礎構造の地震被害予測方法の手順図である。 図2は、本発明に係る基礎構造の地震被害予測方法の説明図である。 図3は、代表被害モードの考え方を示す図である。 図4は、液状化判定の危険度評価に用いられる沈下量の区分図である。 図5は、被害モードの累積確率バーチャートを示す図であり、(a)は沈下量7.5cmの場合の図、(b)は沈下量30cmの場合の図である。 図6は、区分沈下量に対する杭基礎の地震被害予測チャートの一例を示す図である。 図7は、本発明に係る基礎構造の地震被害予測システムの構成図である。
以下に、本発明に係る基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャートの実施例を、既製杭と場所打ち杭のコンクリート杭を対象とした杭基礎(基礎構造)に適用する場合を例にとり、図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1に示すように、本発明に係る基礎構造の地震被害予測方法は、予め準備した既往の杭基礎の地震被害データから地盤沈下量を取得して(ステップS1、S2)、これを確率変数とし、この地盤沈下量と杭基礎が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成する(ステップS4)。
その一方で、地震被害データから基礎構造の傾斜角を取得し(ステップS3)、この傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを定義する(ステップS5)。
定義した各被害モードの発現率を表すフラジリティーカーブを作成するとともに、任意の地盤沈下量に対して、各被害モード毎の発現率を、被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成する(ステップS6)。
作成した累積確率バーチャートに基づいて、地震被害予測チャートを作成する。そして、評価者がこの地震被害予測チャートを参照することによって、基礎構造の地震被害の程度を予測する(ステップS7)という手順による。
このように、本発明は、統計的なフラジリティーカーブを利用することにより、確率的な視点から想定される地震被害の目安を定量的に予測評価する方法と、敷地の地震動強さが与えられた場合に、想定される地盤沈下量に応じて被害を予測するための実用的なチャート(地震被害予測チャート)とを提供するものである。
a)確率的な被害予測方法の考え方
確率的な被害予測指標の基本として、地盤沈下量を確率変数としたフラジリティーカーブ(地震損傷度曲線)を利用する。フラジリティーカーブの導出方法としては、例えば、最尤法を適用することによって、フラジリティーモデルの特性値を最尤推定量として導出することが考えられる。
図2は、このようにして得られたフラジリティーカーブの利用方法を模式化して示したものである。図2の下側部分には、定義した被害モードの境界を示すフラジリティーカーブが2本示してあり、上側部分には、所定の地盤沈下量に対応する累積確率バーチャートが3つ示してある。
図2に示すように、基礎の傾斜角(R)で定義した各被害モードの発現率(損傷率)は、任意の沈下量に対して被害モードの小さな順に累積した累積確率バーチャートで表現することができる。ここで、基礎の傾斜角(R)と被害モードの関係は、以下のように定義し、これに従ってフラジリティーが与えられているものとする。
[被害モードの定義]
・「MINOR」 :1/300>R
・「MODERATE」 :1/300≦R<1/100
・「MAJOR」 :1/100≦R
ここで、この被害モードは、杭基礎の被災度判定(例えば、日本建築防災協会編の「震災建築物等被災度区分判定基準および復旧技術指針」、15−18、2001)で用いられる最小クライテリアの基礎傾斜角(R=1/300)を閾値として定義した場合を示している。
図2に示した累積確率バーチャートを参照すると、当該沈下量に対する杭基礎の被害は、フラジリティーから与えられる確率をもってそのいずれかとなる。このうち、どの被害モードを代表被害とするかは、被害予測の目的によって異なる。本実施例では、図3に示すように、以下の3種類について代表被害モードを考える場合について説明する。
[代表被害モード]
(1)90%非超過確率の被害モード
累積確率で90%は当該の被害モードを超えることのない被害を代表被害とする。換言すれば、当該の被害モードを超えるのは高々10%であるから、確率的には事実上の最大被害に相当する。図2で沈下量がSの場合を例に示すと、最大被害として「MAJOR」が予想される。
(2)50%確率の被害モード
累積確率で50%は当該の被害モードを超えることのない平均的な被害を代表被害とする。これは起こりそうな平均被害を意味する。図2で沈下量がSの場合を例に示すと、平均被害として「MODERATE」が予想される。
(3)卓越被害モード
累積確率バーチャートで占める確率が最も高い被害を代表被害とする。これは起こりそうな最頻値としての卓越被害を意味し、平均被害と近い関係にある。図2で沈下量がSの場合を例に示すと、卓越被害として「MODERATE」が予想される。
被害予測の目的に応じて上記(1)〜(3)の代表被害モードを選定すれば、想定沈下量に対する杭基礎の地震被害予測チャートを作成することができる。
b)地震被害予測チャートの作成
地震被害予測チャートの作成にあたっては、実用性の面から以下の2点を考慮する。
第1点目として、杭基礎の被害は杭と地盤の相互作用など、複雑な要因が関係しあって生じるものであるから不確実性を有する。このため、上記の代表被害モードの選定にあたっては、50%累積確率で代表される上記(2)の「起こりそうな平均的被害」で地震被害予測チャートを作成する。
第2点目として、沈下量は適当に区分し、当該区間の代表沈下量について平均被害モードを定める。このようにした方が蓋然性のある被害予測に対して妥当と考えられる。
沈下量の区間設定にあたり、例えば、日本建築学会編「建築基礎構造設計指針」に示されるような液状化判定の際の危険度評価に用いられる沈下量の区分を採用することができる。これは、図4に示すように、5区間に分けられている。ここで、各区間内の代表沈下量は区間中央値とする。ただし、40cm以上の区間については最小の40cmを代表沈下量とする。
例として、代表沈下量がS=7.5cm(5〜10cm区間)とS=30cm(20〜40cm区間)の場合について、具体的に被害の累積確率バーチャートを作成すると、図5(a)、(b)に示すようになる。このようなバーチャートを各区間の代表沈下量について同様に作成し、得られた累積確率バーチャートから累積確率が50%の被害モード(代表被害モードに対応する確率情報)を抽出し、これに基づいて各区間の代表沈下量に対する地震被害予測チャートを作成する。こうすることで、当初の目的である実用的な地震被害予測チャートを得ることができる。
図6に、本発明に係る地震被害予測チャートを示す。図6に示すように、この地震被害予測チャートは、既製杭+場所打ち杭、既製杭、場所打ち杭の3種類について、上述の区間沈下量に対する予想平均被害の目安をバーチャートで3段階表示したものである。このように、被害の大きさの分布を3段階表示した地震被害予測チャートを参照することで、
杭基礎の地震による被害を簡便かつ定量的に予測することができる。
これにより、例えば、敷地の想定地震動強さの下で液状化判定を行うことで、適切な地盤沈下量が推定できれば、当該ハザードにおける杭基礎の被害の目安を判断することができる。
したがって、本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)これまでエキスパートの経験値に頼らざるを得なかった基礎構造の地震被害の目安を評価者の経験に寄らずに簡便かつ定量的に予測することが可能となる。これにより、企業が所有する施設の地震被害想定に関わる種々の問題に対して、その事業主体者へ確率的な予測根拠を持って説明責任を果たすことができる。
(2)想定地震動強さの下で地盤沈下量を適切に推定できれば、特にエキスパートでなくても地盤変状が卓越するような施設の地震被害想定を容易に行うことができる。そして、作成した地震被害予測チャートを、液状化対策工事等に対する仕様を検討する際の有効な資料として用いることもできる。
また、本発明に係る基礎構造の地震被害予測システム100は、図7に示すように、フラジリティーカーブ作成手段10と、被害モード定義手段20と、バーチャート作成手段30と、代表被害モード設定手段40と、地震被害予測チャート作成手段50と、これらを制御するCPUを有する制御手段60と、メモリやハードディスク等に記憶してある既往の地震被害データ70とから構成することができる。キーボードやマウス等からなる入力手段80と、プリンタやモニタ等の出力手段90とを備えていてもよい。
フラジリティーカーブ作成手段10は、既往の基礎構造の地震被害データ70から取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と発現率との関係を示すフラジリティーカーブを作成するものである。
被害モード定義手段20は、地震被害データ70から取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義するものである。
バーチャート作成手段30は、被害モード定義手段20で定義した各被害モードの発現率を表すフラジリティーカーブをフラジリティーカーブ作成手段10により作成し、任意の地盤沈下量に対して、各被害モード毎の発現率を、被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成するものである。
上記の構成において、バーチャート作成手段20で作成した累積確率バーチャートを参照して、評価者が基礎構造の地震被害の程度を予測することができる。
代表被害モード設定手段40は、被害予測の目的に応じた代表被害モードを累積確率バーチャートの確率分布に基づいて設定するものである。
地震被害予測チャート作成手段50は、所定の地盤沈下量に対する基礎構造の地震被害予測チャートを作成するものである。地震被害予測チャート作成手段50は、地盤沈下量を所定区間に区分して、各区間の代表沈下量について累積確率バーチャートを作成し、作成した各累積確率バーチャートから代表被害モードに対応する確率情報をそれぞれ抽出し、この確率情報に基づいて、各区間の代表沈下量に対する地震被害予測チャートを作成することができる。こうして作成した地震被害予測チャートを参照することで、評価者が地震被害の目安を簡便かつ定量的に予測評価することができる。
以上説明したように、本発明によれば、地盤に設けられる基礎構造の地震による被害を予測するための地震被害予測方法であって、既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成する一方で、前記地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義し、定義した前記各被害モードの前記発現率を表すフラジリティーカーブを作成するとともに、任意の地盤沈下量に対して、前記各被害モード毎の前記発現率を、前記被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成し、作成した前記累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するので、地震被害の目安を簡便かつ定量的に予測評価することができる。
以上のように、本発明に係る基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャートは、基礎構造の地震被害の目安を評価者の経験に寄らずに簡便かつ定量的に予測するのに有用であり、特に、既製杭と場所打ち杭のコンクリート杭を対象とした杭基礎の地震被害の目安を予測するのに適している。
10 フラジリティーカーブ作成手段
20 被害モード定義手段
30 バーチャート作成手段
40 代表被害モード設定手段
50 地震被害予測チャート作成手段
60 制御手段
70 既往の地震被害データ
80 入力手段
90 出力手段
100 基礎構造の地震被害予測システム

Claims (10)

  1. 地盤に設けられる基礎構造の地震による被害を予測するための地震被害予測方法であって、
    既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成する一方で、前記地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義し、
    定義した前記各被害モードの前記発現率を表すフラジリティーカーブを作成するとともに、任意の地盤沈下量に対して、前記各被害モード毎の前記発現率を、前記被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成し、
    作成した前記累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測することを特徴とする基礎構造の地震被害予測方法。
  2. 被害予測の目的に応じた代表被害モードを前記累積確率バーチャートの確率分布に基づいて設定し、所定の地盤沈下量に対する基礎構造の地震被害予測チャートを作成し、この地震被害予測チャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測することを特徴とする請求項1に記載の基礎構造の地震被害予測方法。
  3. 前記地盤沈下量を所定区間に区分して、前記各区間の代表沈下量について前記累積確率バーチャートを作成し、作成した前記各累積確率バーチャートから前記代表被害モードに対応する確率情報をそれぞれ抽出し、この確率情報に基づいて、前記各区間の代表沈下量に対する前記地震被害予測チャートを作成することを特徴とする請求項2に記載の基礎構造の地震被害予測方法。
  4. 前記基礎構造は、杭基礎であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の基礎構造の地震被害予測方法。
  5. 地盤に設けられる基礎構造の地震による被害を予測するための地震被害予測システムであって、
    既往の基礎構造の地震被害データから取得した地盤沈下量を確率変数とし、この地盤沈下量と基礎構造が損傷を受ける確率(以下、発現率という。)との関係を示すフラジリティーカーブを作成可能なフラジリティーカーブ作成手段と、
    前記地震被害データから取得した基礎構造の傾斜角に基づいて、被害予測の目的に応じた被害の状態を表す被害モードを少なくとも2つ以上定義する被害モード定義手段と、
    前記被害モード定義手段で定義した各被害モードの前記発現率を表すフラジリティーカーブを前記フラジリティーカーブ作成手段により作成し、任意の地盤沈下量に対して、前記各被害モード毎の前記発現率を、前記被害モードに基づく順番に累積表示した累積確率バーチャートを作成するバーチャート作成手段とを備え、
    前記バーチャート作成手段で作成した累積確率バーチャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するようにしたことを特徴とする基礎構造の地震被害予測システム。
  6. 被害予測の目的に応じた代表被害モードを前記累積確率バーチャートの確率分布に基づいて設定する代表被害モード設定手段と、所定の地盤沈下量に対する基礎構造の地震被害予測チャートを作成する地震被害予測チャート作成手段とをさらに備え、前記地震被害予測チャート作成手段により作成した地震被害予測チャートに基づいて、基礎構造の地震被害の程度を予測するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の基礎構造の地震被害予測システム。
  7. 前記地震被害予測チャート作成手段は、前記地盤沈下量を所定区間に区分して、前記各区間の代表沈下量について前記累積確率バーチャートを作成し、作成した前記各累積確率バーチャートから前記代表被害モードに対応する確率情報をそれぞれ抽出し、この確率情報に基づいて、前記各区間の代表沈下量に対する地震被害予測チャートを作成することを特徴とする請求項6に記載の基礎構造の地震被害予測システム。
  8. 前記基礎構造は、杭基礎であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の基礎構造の地震被害予測システム。
  9. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の基礎構造の地震被害予測方法または請求項5〜8のいずれか一つに記載の基礎構造の地震被害予測システムにおいて基礎構造の地震による被害を予測するために参照して利用される地震被害予測チャートであって、
    前記地盤沈下量に対する被害の大きさの分布を、バーチャートで表したことを特徴とする地震被害予測チャート。
  10. 前記地盤沈下量に対する被害の大きさの分布を、基礎構造の形式毎にバーチャートで表したことを特徴とする請求項9に記載の地震被害予測チャート。
JP2009229655A 2009-10-01 2009-10-01 基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート Expired - Fee Related JP5327632B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009229655A JP5327632B2 (ja) 2009-10-01 2009-10-01 基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009229655A JP5327632B2 (ja) 2009-10-01 2009-10-01 基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011074714A true JP2011074714A (ja) 2011-04-14
JP5327632B2 JP5327632B2 (ja) 2013-10-30

Family

ID=44018969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009229655A Expired - Fee Related JP5327632B2 (ja) 2009-10-01 2009-10-01 基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5327632B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014134436A (ja) * 2013-01-09 2014-07-24 Ntt Facilities Inc 建物安全性検証システム及び建物安全検証方法
JP2014206908A (ja) * 2013-04-15 2014-10-30 大和ハウス工業株式会社 液状化対策工法の液状化による期待被害額の評価方法
JP2015127707A (ja) * 2015-01-22 2015-07-09 株式会社Nttファシリティーズ 建物安全性検証システム、建物安全性検証方法及びプログラム
JP2016017847A (ja) * 2014-07-08 2016-02-01 株式会社Nttファシリティーズ 構造物検証システム、構造物検証装置、構造物検証プログラム
JP2020051213A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 大和ハウス工業株式会社 地盤予測システム
CN111750822A (zh) * 2019-10-31 2020-10-09 河南理工大学 一种采煤诱发的覆岩与地表沉陷协同动态预测方法
CN116541653A (zh) * 2023-06-28 2023-08-04 青建集团股份公司 一种高大模板支撑体系沉降预测方法及系统

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001282960A (ja) * 2000-01-24 2001-10-12 Taisei Corp 建物の地震損害予測装置及び建物の補強対策の選択支援装置
JP2003322683A (ja) * 2002-05-01 2003-11-14 Shimizu Corp 地震被害予想方法、図表およびプログラム
JP2005310146A (ja) * 2005-04-18 2005-11-04 Ntt Power & Building Facilities Inc 地震リスク診断システム、地震リスク診断方法、地震リスク診断プログラムおよび地震リスク診断プログラムを記録した記録媒体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001282960A (ja) * 2000-01-24 2001-10-12 Taisei Corp 建物の地震損害予測装置及び建物の補強対策の選択支援装置
JP2003322683A (ja) * 2002-05-01 2003-11-14 Shimizu Corp 地震被害予想方法、図表およびプログラム
JP2005310146A (ja) * 2005-04-18 2005-11-04 Ntt Power & Building Facilities Inc 地震リスク診断システム、地震リスク診断方法、地震リスク診断プログラムおよび地震リスク診断プログラムを記録した記録媒体

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014134436A (ja) * 2013-01-09 2014-07-24 Ntt Facilities Inc 建物安全性検証システム及び建物安全検証方法
US10429269B2 (en) 2013-01-09 2019-10-01 Ntt Facilities, Inc. Building safety verification system and building safety verification method
JP2014206908A (ja) * 2013-04-15 2014-10-30 大和ハウス工業株式会社 液状化対策工法の液状化による期待被害額の評価方法
JP2016017847A (ja) * 2014-07-08 2016-02-01 株式会社Nttファシリティーズ 構造物検証システム、構造物検証装置、構造物検証プログラム
JP2015127707A (ja) * 2015-01-22 2015-07-09 株式会社Nttファシリティーズ 建物安全性検証システム、建物安全性検証方法及びプログラム
JP2020051213A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 大和ハウス工業株式会社 地盤予測システム
JP7097274B2 (ja) 2018-09-28 2022-07-07 大和ハウス工業株式会社 地盤予測システム
CN111750822A (zh) * 2019-10-31 2020-10-09 河南理工大学 一种采煤诱发的覆岩与地表沉陷协同动态预测方法
CN111750822B (zh) * 2019-10-31 2022-04-26 河南理工大学 一种采煤诱发的覆岩与地表沉陷协同动态预测方法
CN116541653A (zh) * 2023-06-28 2023-08-04 青建集团股份公司 一种高大模板支撑体系沉降预测方法及系统
CN116541653B (zh) * 2023-06-28 2023-11-07 青建集团股份公司 一种高大模板支撑体系沉降预测方法及系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP5327632B2 (ja) 2013-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5327632B2 (ja) 基礎構造の地震被害予測方法、地震被害予測システムおよび地震被害予測チャート
Su et al. Seismic fragility assessment of large-scale pile-supported wharf structures considering soil-pile interaction
US20150073834A1 (en) Damage-scale catastrophe insurance product design and servicing systems
Korswagen et al. Probabilistic assessment of structural damage from coupled multi-hazards
Gentile et al. Scoring, selecting, and developing physical impact models for multi-hazard risk assessment
Mondoro et al. Multi-criteria robust optimization framework for bridge adaptation under climate change
Ding et al. Sustainable construction: life cycle energy analysis of construction on sloping sites for residential buildings
Hariri-Ardebili Performance based earthquake engineering of concrete dams
Cassidy et al. Probability risk assessment of landslides: A case study at Finneidfjord
Mirzaeefard et al. Life-cycle cost analysis of pile-supported wharves under multi-hazard condition: aging and shaking
JP2014037745A (ja) 地盤基礎仕様判定方法、地盤基礎仕様判定システムおよび地盤基礎仕様判定プログラム
JP7288229B2 (ja) 管路脆弱性推定システム、管路脆弱性推定方法、モデル作成装置、およびプログラム
JP2003296396A (ja) 建物の期待ライフサイクルコスト評価システムおよび期待ライフサイクルコスト評価プログラムを記録した記録媒体
Torghabeh et al. Probability of collapse evaluation for high-rise reinforced concrete buildings in the event of near-fault earthquakes and soil-structure interaction effects
Cruz et al. Engineering in heritage conservation
Shim et al. Developing a probable cost analysis model for comparing bridge deck rehabilitation methods
Goldsworthy et al. Measuring the risk of geotechnical site investigations
JP5405535B2 (ja) 地すべり保全管理システム及び地すべり保全管理方法
Paulik et al. Post-event Flood Damage Surveys: A New Zealand Experience and Implications for Flood Risk Analysis
JP6850615B2 (ja) 耐震補強設計支援装置、耐震補強設計手法、及びプログラム
Edwards et al. Vulnerability of residential structures in Australia
US20230306301A1 (en) Damage rate curve creation method, damage rate curve creation device, and program
Katona et al. Safety assessment of nuclear power plants for liquefaction consequences
JP4385774B2 (ja) 施工中建物の地震損失評価システム、及びそのシステムを利用した施工中建物の地震リスク評価システム、これらのシステムを実行させるためのプログラム、及び、これらのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体
Fok et al. Assessing the impact of excavation-induced movements on adjacent buildings

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130617

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5327632

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees