JP2010085143A - 加速度センサー - Google Patents

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敦 風間
Masakatsu Saito
正勝 斎藤
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亮二 岡田
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Abstract

【課題】
製品基板への実装前後でセンサー出力のオフセット変化が小さい加速度センサーを実現する。
【解決手段】
可撓性を有し錘部を支持する複数の梁部と、前記錘部の周囲を囲みそれぞれの梁部と接続する支持枠部と、前記梁部の上に複数設けられたピエゾ抵抗素子と、を有する加速度センサー素子と、この加速度センサー素子を内部に設けた保護パッケージ部と、を備えた加速度センサーにおいて、前記梁部の幅よりも広い幅を有する前記枠側接続部を有し、前記支持枠部は、前記枠側接続部を介して前記梁部と接続する。樹脂製の保護パッケージおよびそれを実装する製品基板の熱変形により加速度センサー素子が受ける外力に対して、錘部に近いピエゾ抵抗素子と梁部に近いピエゾ抵抗素子の横方向応力の変化の差を低減し、オフセット出力の変化を抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車,航空機,携帯端末機器,玩具等に用いられる加速度検出用の半導体加速度センサーに関するものである。
加速度センサーは、エアーバッグ作動用に多く用いられ、自動車が衝突した衝撃を加速度として検知する。自動車ではX軸,Y軸の加速度を測定するため1軸もしくは2軸機能で充分であった。また、測定する加速度が非常に大きかった。
最近は、加速度センサーが携帯端末機器やロボット等にも使用されることが多くなり、空間の動きを検出するためX,Y,Z軸の加速度を測定する3軸加速度センサーが要求されてきている。また、微小な加速度を検出するために高分解能で、小型であることが要求されている。
多くの加速度センサーは錘や可撓部の動きを電気信号に変換する方法を採用している。これらには、錘の動きを錘と連結した可撓部に設けたピエゾ抵抗素子の抵抗変化から検出するピエゾ抵抗素子型,錘の動きを固定電極との間の静電容量変化で検出する静電容量型などがある。
特許文献1及び特許文献2に示す従来の3軸加速度センサーに関して簡単に説明する。従来の3軸加速度センサー101として、分解斜視図を図9に、図9におけるA−A′方向の断面図を図10に示す。
3軸加速度センサー101は、セラミック製のケース102内に3軸加速度センサー素子103と、3軸加速度センサー素子103からの信号の増幅や温度補償等を行う制御用のIC104を積層して固定し、蓋105とケース102を接合し、加速度センサー素子103とIC104をケース102内に密封する。
図10に示すように、3軸加速度センサー素子103は樹脂接着材106を用いてケース102に固着され、IC104は樹脂接着材107を用いて3軸加速度センサー素子103上に固着される。
3軸加速度センサー素子103はセンサー端子108を、IC104はIC端子109を、ケース102はケース端子110をそれぞれ有し、センサー端子108とIC端子109、およびIC端子109とケース端子110の間をワイヤー111で接続される。こうしてセンサーの信号はケース102に設けたケース端子110と接続する出力端子112から外部に取り出される。蓋105は例えばAuSu半田などの接着材102aでケース102に固着される。
図11は、3軸加速度センサー素子103の構造を示す平面模式図である。方形の支持枠部113と錘部114と対を成す梁部115とを有し、錘部114が2対の梁部115で支持枠部113の中央に保持されている。梁部115にはピエゾ抵抗素子が設けられている。
一対の梁部115にはX軸ピエゾ抵抗素子116とZ軸ピエゾ抵抗素子118が、他の一対の梁部115にはY軸ピエゾ抵抗素子117が設けられている。一対の梁部115の各付根部4ヶ所にピエゾ抵抗素子を配し、これらを配線でつないでブリッジ回路を構成することで、ピエゾ抵抗素子の均一な抵抗変化はキャンセルでき、またブリッジ回路の接続の仕方を変えることで、XおよびY軸とZ軸の加速度を分離して検出することができる。また、支持枠部113上にはセンサー端子108が配列している。
ブリッジ回路による加速度検出の仕組みについて図12(a)〜(d)を用いて説明する。図12(a),図12(b)はそれぞれ、X方向とZ方向に加速度がかかったときの錘部114の動きをXZ断面で示している。
例えば図12(a)のようにX方向に加速度が与えられたとき、錘部114は上端中央あたりを中心に回転し、梁部115が変形する。梁部115の変形に伴って、梁部115上面に設けられた4つのX軸ピエゾ抵抗素子X1〜X4に加わる応力が変化し、抵抗も変化する。この場合、X1,X3が引張、X2,X4が圧縮の応力変化となり、図12(c)に示すX軸検出用ブリッジ回路の中点電位に差が生じ、加速度の大きさに応じた出力が得られる。
一方、図12(b)に示すようにZ方向の加速度がかかった場合には、ピエゾ抵抗素子Z2,Z3が引張、Z1,Z4が圧縮の応力変化となり、図12(d)のZ軸検出用ブリッジ回路により出力が得られる。X軸ピエゾ抵抗素子X1〜X4と、Z軸ピエゾ抵抗素子Z1〜Z4は同じ梁部115上に形成されるが、例えばX方向加速度に対して図12(a)のように梁部115が変形しても、図12(d)のZ軸検出用ブリッジ回路では抵抗変化がキャンセルされ、出力は変化しない。すなわち、X軸加速度とZ軸加速度を分離して検出することができる。Y軸加速度の検出は、X軸と同様にして、もう一対の梁部115に形成したピエゾ抵抗素子で行う。
一方、特許文献3に示すように、半導体実装技術でよく用いられている樹脂製の保護パッケージ技術を用いて、小型かつ安価な加速度センサーを実現する方法が知られている。その方法では、可動部を有する3軸加速度センサー素子103をモールド樹脂から保護するため、3軸加速度センサー素子の上下に蓋を接合して封止しておく技術が用いられる。
図13(a)は、この方法で上下に蓋を接合した3軸加速度センサー素子の組み立て構造の断面図を、図13(b)は3軸加速度センサー素子120の平面図を示す。3軸加速度センサー素子120の上下に上蓋121および下蓋122を接合し、3軸加速度センサー素子120の可動部を密閉空間内に封止する。3軸加速度センサー素子120と上蓋121および下蓋122との接合は、金属接合や陽極接合など様々な方法がある。ここでは、一例に金属接合を示す。
図13(b)に示すような接合金属領域123を3軸加速度センサー素子120の表裏両面に形成しておく(裏面の接合金属領域は図示せず)。上蓋121および下蓋122にも接合金属領域(図示せず)を形成し、これらを重ねあわせ、加圧,加熱して接合する。この接合工程は、シリコンウエハから3軸加速度センサー素子120を個片化する前に、3軸加速度センサー素子120が多数形成されたシリコンウエハ(図示せず)と、同じピッチで上蓋121を多数形成した上蓋シリコンウエハ(図示せず)、下蓋122を多数形成した下蓋シリコンウエハと(図示せず)を接合する。そのため、ウエハレベルパッケージ(Wafer Level Packing)と称する(以後、WLPと表記する)。WLPで密閉空間を形成後、ダイシングによって、一つ一つのチップに個片化する。以後、WLPにより封止した後に個片化したチップの名称をセンサー組立体124と表記する。
次いで、樹脂でパッケージ化された3軸加速度センサー125について図14の断面図を用いて説明する。リードフレーム126上に、制御用IC127を、制御用IC127の上にセンサー組立体124をそれぞれ接着材128,129で固定する。
センサー組立体124のセンサー端子130と制御用IC127のIC端子131をワイヤー132を用いて接続し、同じくIC端子131とリードフレーム126の端子間をワイヤーで接続する(図示せず)。
センサー組立体124と制御用IC127,リードフレーム126が組み立てられた構造体を、トランスファーモールド法を用いモールド樹脂133でモールドする。金型内で樹脂を硬化させた後、金型から取り出し3軸加速度センサー125が得られる。複数の3軸加速度センサーを樹脂モールドまで一括して処理し、金型から離型後にダイシングして個々の3軸加速度センサーに分離する方法も取られる。
上記のWLPと樹脂モールドパッケージを用いた加速度センサーでは、シリコンウエハの段階で、3軸加速度センサー素子120の可動部を保護することができるので、以後の工程において取り扱いが容易であり、厳しい異物管理を必要としない。また、3軸加速度センサー素子120の可動部が守られているため、トランスファーモールド法により周囲を封止することができる。こうして高価なセラミックパッケージを用いることなく、従来のICチップによく用いられる樹脂モールドパッケージの技術でパッケージ組み立てができ、小型で安価な3軸加速度センサーを実現できる。
特開2003−172745号公報 特開2006−098321号公報 特開平10−170380号公報
しかしながら、図14に示す3軸加速度センサー125には、図9に示す3軸加速度センサー101と比べて、以下の課題がある。
3軸加速度センサー125は、使用する製品の基板(以後、製品基板と表記する)に半田接合して搭載する。保護パッケージを構成するモールド樹脂やリードフレームと、製品基板とは熱膨張率が異なるため、温度変化による膨張・収縮により、製品基板から半田接合部を介して3軸加速度センサー125に力が加わる。
図11に示したセラミックパッケージの3軸加速度センサー101では、パッケージ内部の空間内に3軸加速度センサー素子103が保持されているので、樹脂107を柔軟な材料とすることで、製品基板からの力が3軸加速度センサー素子103に伝わりにくくすることができた。
一方、図14に示した樹脂でパッケージされた3軸加速度センサー125の構造では、センサー組立体124がモールド樹脂133に周囲を覆われているため、製品基板からの力が3軸加速度センサー素子120に伝わりやすい。3軸加速度センサー素子120に外部から力が加わったとき、各軸の4つのピエゾ抵抗素子に均一でない応力変化がもたらされると、センサーの出力が変化してしまう。つまり、出力のゼロレベルが変動してしまう(以後、このゼロレベルの変動をオフセット変化と表記する)。
温度変化に対するオフセット変化は、製品基板への搭載前には、検出用ICにより補正が可能である。しかし、製品基板からの力の影響を受けてしまうと、様々な異なる製品基板に搭載された場合、温度に対する変化の特性が変わってしまうことになる。
配線基板や保護パッケージからの外力がセンサー組立体124に加わる場合、センサー組立体124がパッケージの中心付近に配置されていれば、外力による変形はほぼ左右対称になる。こうした場合、X軸およびY軸の出力は変化しない。
しかしながら、枠部に近いピエゾ抵抗素子(以降は枠側ピエゾ抵抗素子と表記する)と、錘部に近いピエゾ抵抗素子(以降は錘側ピエゾ抵抗素子と表記する)の間で差が生じると、Z軸の出力が変化してしまう。応力変化に対する抵抗変化の割合を示すピエゾ抵抗係数には、電流方向の応力に対する縦ピエゾ抵抗係数と、電流に垂直な方向に対する横ピエゾ抵抗係数がある。図に示した加速度センサー素子120においては、梁の長さ方向に電流が流れるので、梁の長さ方向の応力に対しては縦ピエゾ抵抗係数で、梁の幅および厚さ方向の応力に対しては横ピエゾ抵抗係数で、抵抗変化を計算する。加速度センサーによく用いられるのはp型シリコンの<110>方向のピエゾ抵抗素子であり、縦ピエゾ抵抗係数7.18×10-4/MPa,横ピエゾ抵抗係数−6.63×10-4/MPaという値が知られている。このように、正負逆転したほぼ同程度の絶対値のピエゾ抵抗係数を有する。
梁部115の幅方向の応力(以降は横方向応力と表記する)について考えると、加速度センサー素子120に圧縮や反りの外力が加わったとき、支持枠部113には応力が発生するが、錘部114は梁部115に支持されて浮いているため、錘部114までは外力がほとんど伝達しない。よって、錘側ピエゾ抵抗素子の横方向応力は変化しにくいが、枠側ピエゾ抵抗素子は支持枠部113の応力が伝達して変化しやすい。枠側ピエゾ抵抗だけが変化すると、Z軸のオフセット変化が発生する。ピエゾ抵抗素子を支持枠部113から離して、すなわち梁部115の中心に近づけて配置するほど支持枠部113の応力が伝わりにくくなるが、支持枠部113から離れるほど単位加速度に対する応力変化が小さくなるので、センサーの感度が低下してしまう。
本発明の目的は、樹脂でパッケージ化された加速度センサーにおいて製品基板からの力が伝わった場合など、加速度センサー素子に外力が加わっても、オフセット変化が発生しにくい加速度センサーを実現することである。
上記目的を達成するために本発明の加速度センサーは、支持枠部および錘部と、錘部を支持枠部内に支持する可撓性を有する梁部と、梁部上に設けられたピエゾ抵抗素子と、を有する加速度センサー素子を保護パッケージ内に保持した加速度センサーにおいて、梁部よりも幅が広い枠側接続部を介して梁部が支持枠部に接続することが好ましい。
また、上記目的を達成するために本発明の加速度センサーは、上記構成に加え、梁部よりも幅の広い錘側接続部を介して梁部が錘部に接続することが好ましい。
また、上記構成に対して本発明の加速度センサーは、錘側接続部の形状が枠側接続部と同形状であることが好ましい。
また、上記目的を達成するために本発明の加速度センサーは、支持枠部の内周に接続して第1層に形成される縁部を有し、縁部に形成された2つのスリットにより分離された部分により前記枠側接続部を構成することが好ましい。
枠側接続部と同様に、第1層に設けられ、支持枠部から突き出した縁部を、枠側接続部以外の部分に形成してもよい。上記縁部上に配線などを形成することができ、支持枠部の領域を節約でき、加速度センサー素子を小型化することができる。加速度センサー素子を小型化できると、1枚のシリコンウエハから取れる加速度センサー素子の数を増やすことができ、製造コストを低減できる。
本発明の加速度センサーによれば、温度変化に対する樹脂製の保護パッケージ、およびその保護パッケージを製品基板に実装した実装構造体に加わる外力に対して、Z軸出力のオフセット変化を小さくすることができる。それにより、製品基板への実装前後でZ軸出力のオフセット変化が小さい加速度センサーを実現できる。
以下、図面を参照しながら発明の一実施例における加速度センサーについて説明する。図1,図2は、本実施例の加速度センサーにおける加速度センサー素子10の構造を示している。図1は平面図、図2は図1のk−k′断面図である。
図1の加速度センサー素子10は、例えば従来例で示した図9のように組み立てられる加速度センサーや、図12に示した蓋を接合して気密封止された後、樹脂製の保護パッケージに組み立てられる加速度センサーなどに適用できる。本実施例では特に加速度センサー素子10を中心に詳細に説明する。
本実施例の加速度センサー素子10は、支持枠部11内に、錘部12が、可撓性を有する4本の梁部13によって支持されている。錘部12は、4つの本体部とその4つの本体部と接続して梁部13と接続する中間部とからなる。
4本の梁部13をそれぞれ第1梁部13a,第2梁部13b,第3梁部13c,第4梁部13dと表記する。図1における加速度センサー素子10では、X軸方向に伸びる第1梁部13aと第2梁部13bがX軸とZ軸方向の加速度を検知するために用いられる。
第1梁部13aと第2梁部13bの支持枠部11側と錘部12側の付根付近には、X軸ピエゾ抵抗素子14とZ軸ピエゾ抵抗素子16が、図12で説明したように、それぞれ4つずつ設けられている。Y方向に伸びる第3梁部13cと第4梁部13dは、Y軸ピエゾ抵抗素子15をそれぞれ二つずつ有している。Z軸ピエゾ抵抗素子16は、X方向とY方向のどちらの梁部上に配置しても良いが、本実施例ではX方向の第1梁部13aと第2梁部13b上に形成した。従って、図1に示すように、ピエゾ抵抗素子14〜16は各軸毎に梁部13の付根付近に設けられている。各軸のピエゾ抵抗素子は、図示していない配線で接続してブリッジ回路を構成した。
外力により加速度が加わることで錘部12が図12に示したように変位し、梁部13が変形することでピエゾ抵抗素子の電気抵抗が変化する。各軸の4つのピエゾ抵抗素子の抵抗変化量の差により生じる電位差を、ブリッジ回路で取り出すことで加速度の値として検出できる。ブリッジ回路の構成方法は図12に示したのと同様である。図1においては、各梁部13は空隙部19を有する略矩形状の応力緩衝部17を有している。各梁部において、応力緩衝部17は、梁部の長手方向に対する中心線18よりも錘部12に近く配置した。各梁部13は、梁部13と同じ厚みの枠側接続部40を介して支持枠部11と、錘側接続部41を介して錘部12と接続した。尚、支持枠部加工端線43と錘部加工端線44については追って説明する。
加速度センサー素子10の製造方法を、図2を参照しながら簡単に説明する。図2は図1のk−k′断面図である。加速度センサー素子10は、約400μm厚のシリコン層に約1μmのシリコン酸化層を挟んで約6μmのシリコン層を有するSOIウエハを使用して加工した。シリコン酸化膜層はドライエッチングのエッチングストップ層として用い、構造体は2層のシリコン層に形成した。以下、薄い方の第1シリコン層を第1層20,厚い方の第2シリコン層を第2層21と称し、シリコン酸化膜層と接合していない第1層の表面を第1面22,第2層の表面を第2面23,シリコン酸化膜層を介した接続面を第3面24と称す。
半導体ピエゾ抵抗素子の形状をフォトレジストでパターニングし、第1面22にボロンを1〜3×1018原子/cm3打ち込み半導体ピエゾ抵抗素子を形成した。同様に、ピエゾ抵抗素子よりも高濃度でボロンを打ち込んだP型配線をピエゾ抵抗素子に接続するように形成した。さらに、第1面22にシリコン酸化膜を形成しピエゾ抵抗素子を保護した。シリコン酸化膜上にアルミニウム系金属をスパッタリングして金属配線を形成し、シリコン酸化膜に形成したスルーホールを介して、P型配線と接続した。ピエゾ抵抗素子上に形成したシリコン酸化膜は、第1層20のシリコンと金属配線間の絶縁膜としても働く。シリコン酸化膜および金属配線はフォトリソグラフィにより所望の形状に加工した。
次に、第1面22にフォトレジストパターンを形成した後、ドライエッチングにより梁部13,枠側接続部40,錘側接続部41と、錘部12,支持枠部11の形状を加工した。さらに、第2面23にフォトレジストパターンを形成した後、ドライエッチングにより錘部12と支持枠部11の形状を加工した。第1層20と第2層21との間に残ったシリコン酸化膜層は、ウェットエッチングで除去した。
以上の処理により、錘部12と、錘部12の周囲を囲む支持枠部11は、第1層20から第2層21にかけて形成される。また、梁部13,枠側接続部40、及び錘側接続部41は第1層20に形成される。
従来例で示したように、WLP技術によって加速度センサー素子10の上下を、例えばシリコンからなる蓋部で封止して、センサー組立体124とした(図3参照)。そのため、上記ドライエッチング工程の前に、金属接合に用いる金属薄膜をウエハの第1面22および第2面23に形成しておき、蓋となるウエハ2枚には同様の金属薄膜と金属半田を設けておき、3枚のウエハを重ねて加圧,加熱して接合した後、ダイシングにより個辺化し、センサー組立体124を得た。
本実施例の特徴として、梁部13と支持枠部11との間をつなぐ枠側接続部40と、梁部13と錘部12の間をつなぐ錘側接続部41を有する。枠側接続部40と錘側接続部41は第1層20に形成し、梁部13と同じ厚みとした。
また、梁部13の長手方向に対する中心線18(図1中では点線)よりも錘部12に近い位置に応力緩衝部17を設けた。第一実施例の加速度センサー素子10は、図1に示すように各梁部13に応力緩衝部17を有している。応力緩衝部17は矩形形状をしており、中央に空隙部19を有する。応力緩衝部17は梁部13と同様に第1層20に形成し、梁部13と同じ厚みとした。図2に示す様に、k−k′断面部は応力緩衝部17を境に、梁部13が枠側梁部25と錘側梁部26とに分かれた形となる。
図3に本実施例の加速度センサー素子10を用いた加速度センサー実装構造体136の断面模式図を示す。3軸加速度センサー素子10にWLPで蓋を接合したセンサー組立体124に、図14で示したようにリードフレーム126と制御用IC127とに電気的に接続した状態で、加速度センサー素子10を内部に内包するように樹脂でパッケージ化した樹脂パッケージ部である保護パッケージに組み立てた3軸加速度センサーを、製品基板134に半田135で接合した状態を示している。
半田接合の際には240℃程度に加熱された後、常温まで冷却されるため、加速度センサー実装構造体136には各所に熱応力が発生する。構成部材のおよその熱膨張係数は、センサー組立体124および制御用IC127を構成するシリコンが2.5×10-6/℃、モールド樹脂133が6〜9×10-6/℃、リードフレーム126は銅製で15×10-6/℃、製品基板134が15〜20×10-6/℃である。
冷却時の熱収縮の際には、センサー組立体124は、モールド樹脂133からの圧縮力を受け、また下方にあるリードフレーム126および製品基板134はさらに収縮するため、センサー組立体124はさらに圧縮力を受けるとともに、上凸方向に反らされる。3軸加速度センサー素子10にこうした外力が加わることによって、ブリッジ回路を構成する4つのピエゾ抵抗素子に抵抗変化が発生し、それらが均一な変化でなければ、3軸の出力の少なくともいずれかの出力が変化してしまい、オフセット変化が発生してしまう。
本実施例では、梁部13と支持枠部11の間に枠側接続部40を介在させることにより、製品基板への実装前後のオフセット変化を小さくできた。
前述のようにオフセット変化はブリッジ回路を構成する4つのピエゾ抵抗素子の抵抗変化が異なる場合に発生する。3軸加速度センサーを製品基板に実装したとき、製品基板から受ける力の影響によってピエゾ抵抗素子の応力が変化する。4つのピエゾ抵抗素子の応力変化を均一にできればオフセット変化をゼロにできるが、製品基板は適用される製品により厚さや熱膨張係数が変わるため、いつもゼロにすることは困難である。そこで製品基板の仕様がばらついても、オフセット変化が小さくなるような構造にすることが望ましい。
発明者らは、熱応力シミュレーションおよび試作評価の結果から、加速度センサー素子10にかかる圧縮外力および反り変形の影響で、支持枠部11に近いピエゾ抵抗素子(図12(b)のZ1,Z4。以下枠側ピエゾ抵抗素子27と表記する)と、錘部12に近いピエゾ抵抗素子(図12(b)のZ2,Z3。以下錘側ピエゾ抵抗素子28と表記する)の応力変化に差が生じ、Z軸のオフセット変化が発生していることを見出した。さらに、ピエゾ抵抗素子の電流方向と垂直な向き(梁部の幅方向)の応力(横方向応力)の変化が、枠側ピエゾ抵抗素子27と錘側ピエゾ抵抗素子28で異なることを発見した。
すなわち、3軸加速度センサー素子10に圧縮や反りの外力が加わったとき、支持枠部11には応力が発生するが、錘部12は梁部13に支持されて浮いているため、錘部12までは外力がほとんど伝達しない。よって、錘側ピエゾ抵抗素子28の横方向応力は変化しにくいが、枠側ピエゾ抵抗素子27は支持枠部11の応力が伝達するため変化しやすい。枠側ピエゾ抵抗素子27だけが変化すると、Z軸のオフセット変化が発生する。枠側ピエゾ抵抗素子27を支持枠部11から離して、すなわち梁部13の中心に近づけて配置するほど支持枠部11の応力が伝わりにくくなるが、支持枠部から離れるほど単位加速度に対する応力変化が小さくなるので、センサーの感度が低下してしまう。
そこで本実施例における加速度センサーでは、梁部13と支持枠部11の間に梁側接続部40を介在させることで、支持枠部11の横応力が枠側ピエゾ抵抗素子27に伝わりにくくして、3軸加速度センサー素子10に加わる外力の影響によるZ軸オフセット変化を小さくできた。枠側接続部40は第1層20に梁部13と同じ厚さで設けたため可撓性を有し、枠側ピエゾ抵抗素子27を支持枠部11から離したのと同様の効果で、支持枠部11の横応力が枠側ピエゾ抵抗素子27に伝わりにくくできる。また、枠側接続部40は梁部13よりも十分に幅が広く形成されており、梁部13に対して厚さ方向に曲げ変形しにくいので、センサーの感度の低下は小さい。
また、枠側接続部40を有することで、第2層へのドライエッチング加工の際の終点位置に誤差が発生しても、センサー感度の変化を小さくすることができた。梁部13が直接支持枠部11に接続していると、上記終点位置の誤差により、梁部の長さが変化してしまい、センサーの感度が変化してしまう恐れがある。枠側接続部40が介在することにより、上記誤差により長さが変化するのは枠側接続部40になり、枠側接続部40は梁部13よりも十分に幅が広く形成されているので、長さが変化してもセンサーの感度への影響が小さい。枠側接続部40は、枠側ピエゾ抵抗素子27の感度低下をある程度抑えて、Zオフセット変化の低減効果が得られる適度な幅に設定するのが良い。例えば、梁幅の4倍程度がよい。
応力緩衝部17の効果について説明する。梁部13に応力緩衝部17を形成したことにより、加速度センサー素子10が圧縮の外力を受け、梁部13の長さ方向に圧縮力がかかった場合においても、応力緩衝部17の変形によって外力を吸収できた。応力緩衝部17がないと、圧縮の外力により梁部13が座屈変形し、錘部12がZ方向に大きく変位して、大きなオフセット変化が発生してしまう恐れがあるが、応力緩衝部17により外力を吸収することで、座屈変形によるオフセット変化を抑えることができる。また、座屈変形が発生すると、単位加速度に対する錘部12の変位量が変化する。センサー出力は錘部12の変位量に比例するので、座屈変形によりセンサー感度が変化してしまう。応力緩衝部17の効果により、外力によるセンサー感度の変化を抑えることができた。
また、応力緩衝部17を梁部13の長手方向に対する中心線18よりも錘部12に近く配置したことで、製品基板への実装前後のオフセット変化を小さくできた。発明者らは、圧縮外力および反り変形に対するオフセット変化の程度が、応力緩衝部17の梁部長手方向の位置に影響されることを発見した。本実施例のように、加速度センサー素子10が圧縮力を受け、上凸に反らされている場合には、応力緩衝部17の位置を錘部12の方向にシフトすることで、圧縮外力および反り変形の変化に対するオフセット変化の感度を低減することができた。前述のように樹脂製の保護パッケージに組み立てた時点で加速度センサー素子10は圧縮外力と上凸反り変形を受けており、製品基板への実装により、圧縮外力と上凸反り変形の量が変化していると考えられるので、応力緩衝部17を錘部12の方向にシフトすることで、基板実装前後のオフセット変化を小さくできた。
図4に、第1のシリコン層(第1層20)により形成された梁部13の詳細形状を示す。また、図5は枠側接続部40周辺の形状を示す斜視図である。なお、図4では、梁部13周辺のみを表示し、波線から先は省略している。後出の図6〜図8においても同様である。図5では、梁部13の手前における断面から先を表示しており、波線から先は省略している。梁部13は、応力緩衝部17と、その両側の枠側梁部25、および錘側梁部26とを有する。支持枠部11と枠側梁部25の間を枠側接続部40が、錘部12と錘側梁部26の間を錘側接続部41がつないでいる。図に点線で示す、支持枠部加工端線43および錘部加工端線44は、第2シリコン層である第2層21の溝加工の終点であり、支持枠部加工端線43は第3面(第1層と第2層の接合面)における支持枠部11の端部、錘部加工端線44は第3面における錘部12の端部を示す。
枠側接続部40は、支持枠部加工端線43から梁部13側の領域を指す。本実施例では、第1層20に2つのスリット42を設け、スリット42で挟まれた領域を枠側接続部40とした。ドライエッチングの加工誤差により支持枠部加工端線43の位置はずれる恐れがある。本実施例では、スリット42の長さL13を、梁部13の端部からの支持枠部加工端線43の位置L14の設計値よりも短くした。この構造では、横応力の伝達を抑制する効果に対して有効な枠側接続部40の長さはスリット42の長さL13により規定される。逆に、L13がL14よりも長くなるように設計しても、十分に横応力伝達を抑制する効果が得られる。
一方、錘部12の側では、第1層20の加工溝が行き止まりの部分にあたり、錘部加工端線44は図のような円弧形状になりやすい。錘部加工端線44から錘側梁部26までの部分が錘側接続部41である。
応力緩衝部17は、梁部13の長手方向への曲げ変形およびねじり変形しやすい形状であるほど、梁部13の長手方向に加わる外力の吸収効果が大きい。そのため、空隙部19の幅L3は、梁部の幅L2より大きくし、応力緩衝部17の枠辺のうち、梁部13の幅方向に伸びた部分(幅方向枠辺29と表記する)がなるべく長くなるようにした。ピエゾ抵抗素子は枠側梁部25および錘側梁部26上で、支持枠部11および錘部12に近い位置に形成した。支持枠部11および錘部12に近い位置にするほど、錘部12の変位に対するピエゾ抵抗素子の応力変化が大きくなり、センサー感度が高くなるためである。
枠側梁部25および錘側梁部26は、支持枠部11および錘部12に近い部分の幅L1と、応力緩衝部17に近い部分の幅L2が異なる形状とした。X方向に伸びる梁部にはX軸ピエゾ抵抗素子およびZ軸ピエゾ抵抗素子を設けたので、それらを配置するのに十分な幅を有するようにL1が決めた。一方、応力緩衝部17に近い部分は、ピエゾ抵抗素子を設けないので幅を狭くできる。L2を短くするほど、幅方向枠辺29を長くして外力を吸収しやすくできるので、L2はL1よりも短くして、間をテーパー形状でつないだ形状とした。
また、幅方向枠辺29の幅L5を細くするほど、外力吸収効果が大きくなる。梁部13の形状は、梁部13の幅方向に対する中心線n−n′に対して線対称に形成した。梁部13の長さ方向に対する中心線m−m′(中心線18)に対しては、応力緩衝部17の中心線p−p′が錘部12の方向にシフトした形状とした。つまり、枠側梁部25の長さL7を錘側梁部26の長さL8より長くした。
本実施例では各部の寸法は次の様にした。枠側接続部40の幅L11は100μm、スリット42の幅は40μm、長さは25μm、支持枠部加工端線43および錘部加工端線44の梁部13端部からの距離L14およびL15の設計値はともに30μmとした。付根付近の梁幅L1は28μm、応力緩衝部17付近の梁幅L2は18μm、空隙部19の幅L3は72μm、応力緩衝部17の梁幅方向長さL4は100μm、幅方向枠辺29の幅L5は11μm、応力緩衝部17の梁長手方向の長さL6は52μm、枠側梁部25の長さL7は116.5μm、錘側梁部26の長さL8は146.5μm、梁部13の長さL9は315μm、応力緩衝部17の錘部12の方向へのシフト量L10は15μmとした。また、変形時の応力集中を防ぐため、梁部13の付根および応力緩衝部17の各コーナー部には適度なR形状を形成した。
図6にピエゾ抵抗素子,P型配線,金属配線の配置を模式的に示す。図中において、応力緩衝部17のシフト,コーナー部のR形状などは省略した。X軸ピエゾ抵抗素子14およびZ軸ピエゾ抵抗素子16を配置した第1梁部13aまたは第2梁部13bを示している。梁部13の梁幅方向に対する中心線n−n′に対して対称とするために、X軸ピエゾ抵抗素子14は中心線n−n′に対称に2箇所に形成し、P型配線30で接続した。Z軸ピエゾ抵抗素子16はX軸ピエゾ抵抗素子14の外側に同様に2箇所に形成し、P型配線30で接続した。X軸ピエゾ抵抗素子14およびZ軸ピエゾ抵抗素子16の残りの端部は、P型配線30に接続して、梁部13の外側まで引き出した。錘部12側から支持枠部11側への配線引き出しのために、梁部13上には3本の金属配線31を形成した。金属配線31の残留応力の影響を考慮し、金属配線31のパターンも中心線n−n′に対して対称とすることが望ましい。本実施例のように金属配線が奇数本の場合には、応力緩衝部17において1本の配線を分岐することで対称にできる。図6では、中央の金属配線を、応力緩衝部17で両側に分岐するようにした。
本実施例においては、支持枠部11の内周全域にわたって、支持枠部11の側面から第1層20の厚みで突き出した部分を形成し、そこに形成したスリット42で挟まれた部分を枠側接続部40とした。この突き出し部のうち、枠側接続部40以外の部分を縁部45と表記する。縁部45を有することにより、支持枠部11上に配置する必要のある金属配線を、縁部45上も用いて配置することができ、支持枠部の面積を節約できる。よって、支持枠部の面積を小さくすることができ、3軸加速度センサー素子を小型化することができる。すると、1枚のシリコンウエハから取れる3軸加速度センサー素子10の数を増やすことができ、製造コストを低減できる。尚、図13(b)におけるセンサー端子108は支持枠部11の外周側端部に設けたが図1において省略した。
応力緩衝部17の形状は本実施例で示した形状に限定されるものではない。例えば、複数並べて形成してもよい。応力緩衝部17の効果を高めるために、枠型形状を3つ連続して形成した梁部形状の例を図7の平面図に示す。図7に示した応力緩衝部17と同じ寸法の形状を直列に3つ配置した。ただし、枠側梁部25および錘側梁部26のテーパー部を形成する領域が取りにくいので、枠側梁部25および錘側梁部26の幅は、付根付近の幅L1で一定とし、その幅で応力緩衝部17に接続するようにした。略矩形形状の応力緩衝部17が3つあることで、1つの場合よりも外力の吸収効果が高くなり、外力変化に対する感度の変化、およびオフセット変化をさらに小さくすることができた。
本実施例の加速度センサー素子10は、従来例の図13,図14に示したような方法で樹脂モールドパッケージに組み立てた加速度センサーとすることができる。図7に示した3つの略矩形形状を並べた形状の応力緩衝部17を有する梁部13を持つ加速度センサー素子10を、図14に示す構造の、サイズ2.5×2.5mm,厚さ1.0mmの樹脂製の保護パッケージに組み立てた場合について、応力シミュレーションにより本実施例の効果を検証した。
上記の加速度センサー素子10を、厚さ0.6mmの製品基板にはんだ実装したときの、枠側ピエゾ抵抗素子27と錘側ピエゾ抵抗素子28の横方向応力の変化を計算した。図7の梁構造において、スリット42がなく、枠側接続部40が縁部45と連続した形状の場合、横方向応力の変化は枠側ピエゾ抵抗素子27が0.20MPa、錘側ピエゾ抵抗素子28が−0.04MPaであった。
一方、図7のようにスリット42を有し、幅L11=100μmの枠側接続部40を有する場合の横方向応力変化は、枠側ピエゾ抵抗素子27が0.05MPa、錘側ピエゾ抵抗素子28が−0.04MPaであった。このように、錘側は変化がなく、枠側においては、枠側接続部40の効果により横方向応力の変化を1/4に低減できた。
本実施例の加速度センサー素子10における錘側接続部41の形状を枠側接続部40と同形状としてもよい。図8を用いて説明する。
第1層20に錘側スリット46を形成し、錘側加工端線44から先の錘側スリット46で挟まれた部分を錘側接続部41とした。図8において、錘側接続部41の幅L16を枠側接続部40の幅L11と同じにし、錘側スリット46の長さL17をスリット42の長さL13と同じにすることで、錘側接続部41の形状が、枠側接続部40の形状とほぼ一致するようにした。
本実施例における3軸加速度センサー素子10は、第1層20の上にシリコン酸化膜などの絶縁膜や金属配線が形成され、これらは第1層20の材料であるシリコンと熱膨張係数が異なるため、絶縁膜や金属配線の成膜温度やアニール温度から常温に冷却されるまでの温度変化に応じて熱応力を発生し、ピエゾ抵抗素子の応力も変化させる。各ピエゾ抵抗素子の配置部の断面構成は一様であるため、上記熱応力によるピエゾ抵抗素子の応力変化もほぼ一様で、センサー出力のオフセット変化は発生しにくい。ただし、梁部13および枠側接続部40,錘側接続部41は、厚さが薄いため、熱応力により変形し応力状態も変化する。枠側接続部40と錘側接続部41の形状が異なると、熱応力による変形も異なり、枠側ピエゾ抵抗素子27と錘側ピエゾ抵抗素子28の応力変化に微小な差異を発生して、オフセット変化の原因となる恐れがある。本実施例のように枠側接続部40と錘側接続部41の形状を一致させることで、上記熱応力によるZ軸オフセット変化を抑制することができる。
以上説明したように、本実施例における加速度センサーは、梁側接続部を介して梁部と支持枠部とを接続したことで、支持枠部の横応力が、支持枠部側に設けたピエゾ抵抗素子に伝わりにくくなり、加速度センサー素子に加わる外力の影響によるZ軸オフセット変化を小さくできる。
枠側接続部は梁部と同じ厚さに設けられるため、可撓性を有し、枠側ピエゾ抵抗素子を枠部から離したのと同様の効果で、支持枠部の横応力が支持枠部側のピエゾ抵抗素子に伝わりにくくできる。
また、枠側接続部は梁部よりも幅が広いため、梁部に対して厚さ方向に曲げ変形しにくいので、感度の低下は小さくできる。
例えば枠側接続部を梁部と同じ幅に設けると、梁部を延長して枠側ピエゾ抵抗素子を支持枠部から離したのと同じになるので、Zオフセット変化を小さくする効果が得られるが、感度の低下が大きい。逆に枠側接続部の幅を大きくしすぎると、感度の低下はほとんどないが、Zオフセット変化の低減効果が小さくなる。感度低下をある程度抑えて、Zオフセット変化の低減効果が得られる適度な幅に設定するのが良い。例えば、梁幅の4倍程度がよく、2倍〜8倍程度の範囲で形成される。
また、錘部を支持枠部と分離する第2層への溝の加工には通常ドライエッチングを用いるが、溝加工の終点位置には誤差が発生する場合が多い。低速度の加工で丁寧に行えば誤差を小さくできるが、コストがかかるため、量産時には高速の加工をする場合が多い。
溝加工の終点は、錘部と枠側接続領域の境界を定めるので、上記加工誤差により、枠側接続領域の長さが変化する。前述のように枠側接続領域の幅を梁幅と同程度にしてしまうと、枠側接続領域の長さの変化により、センサー感度が変化してしまう。梁部よりも十分に幅が広い枠側接続領域を有することで、枠側接続領域の長さに誤差が生じても、センサー感度が変化しにくい。
また、加工誤差に対してセンサー感度を変化しにくくする観点から、錘部の側でも、錘側接続部を有することが好ましい。第2層への溝加工の終点位置に誤差が生じた場合にも、梁部よりも十分に幅が広い錘側接続部を有することで、枠側接続領域の長さに誤差が生じても、センサー感度が変化しにくい。錘部の側においては、枠側接続部と異なり、横方向応力を伝えにくくする必要性がないので、十分な幅を有することが重要である。あるいは、幅方向の端部が錘部と接続していても構わない。また、梁部側の側面が開放しており、他の側面は円弧形状で錘部と接続した形状でも構わない。
また、加速度センサー素子に外部から加わる力に対しては、梁部が変形するのに対して錘部は変形しないため、枠側ピエゾ抵抗素子と錘側ピエゾ抵抗素子に与える影響に差異を生じるが、加速度センサー素子そのものの熱変形においては、同等に影響する。第1層の表面にはシリコン酸化膜などの絶縁膜が形成され、第1層のシリコンと熱膨張係数に差があるため、絶縁膜形成時に高温でアニールした後、常温まで温度を下げると、大きな熱応力を発生する。この熱応力により梁が変形し、ピエゾ抵抗素子にも応力変化をもたらす。枠側接続部と錘側接続部を同じ形状としておくことにより、上記熱応力による枠側ピエゾ抵抗素子と錘側ピエゾ抵抗素子の応力変化も同等になり、Z軸オフセット変化を小さくできる。
本発明の一実施例における加速度センサー素子の構造を示す平面図である。 図1のk−k′断面を示す断面図である。 保護パッケージに組み立てた加速度センサーの課題を説明する断面図である。 梁部の形状を示す平面図である。 梁部の枠側接続部周辺の構造を説明する斜視図である。 梁部のピエゾ抵抗素子と配線の配置を示す平面図である。 応力緩衝部の他の実施形状を示す平面図である。 梁部の他の形状を示す平面図である。 従来の3軸加速度センサーを説明する分解斜視図である。 従来の3軸加速度センサーを説明する断面図である。 従来の3軸加速度センサー素子構造の一例を示す平面図である。 従来の3軸加速度センサー素子の検出原理を説明する図である。 蓋で封止した従来の3軸加速度センサー素子を示す図である。 保護パッケージに組み立てた従来の3軸加速度センサーの構造を示す断面図である。
符号の説明
10 加速度センサー素子
11 支持枠部
12 錘部
13 梁部
13a 第1梁部
13b 第2梁部
13c 第3梁部
13d 第4梁部
14 X軸ピエゾ抵抗素子
15 Y軸ピエゾ抵抗素子
16 Z軸ピエゾ抵抗素子
17 応力緩衝部
18 中心線
19 空隙部
20 第1層
21 第2層
22 第1面
23 第2面
24 第3面
25 枠側梁部
26 錘側梁部
27 枠側ピエゾ抵抗素子
28 錘側ピエゾ抵抗素子
29 幅方向枠辺
30 P型配線
31 金属配線
40 枠側接続部
41 錘側接続部
42 スリット
43 支持枠部加工端線
44 錘部加工端線
45 縁部
46 錘側スリット
120 センサー素子
121 上蓋
122 下蓋
123 接合金属領域
124 センサー組立体
125 加速度センサー
126 リードフレーム
127 制御用IC
128,129 接着材
130 センサー端子
131 IC端子
132 ワイヤー
133 モールド樹脂
134 製品基板
135 半田
136 加速度センサー実装構造体

Claims (11)

  1. 可撓性を有し錘部を支持する複数の梁部と、前記錘部の周囲を囲みそれぞれの梁部と接続する支持枠部と、前記梁部の上に複数設けられたピエゾ抵抗素子と、を有する加速度センサー素子と、この加速度センサー素子を内部に設けた保護パッケージ部と、を備えた加速度センサーにおいて、前記梁部の幅よりも広い幅を有する枠側接続部を有し、前記支持枠部は、前記枠側接続部を介して前記梁部と接続する加速度センサー。
  2. 請求項1記載の加速度センサーにおいて、前記梁部よりも幅の広い錘側接続部を介して前記梁部と前記錘部とが接続する加速度センサー。
  3. 請求項2記載の加速度センサーにおいて、前記錘側接続部の形状が前記枠側接続部と同形状である加速度センサー。
  4. 請求項1又は3記載の加速度センサーにおいて、前記梁部と前記錘部とを囲む前記支持枠部の内側には前記梁部と前記錘部とに伸びる縁部を有し、前記枠側接続部は該縁部とスリットにより分離された加速度センサー。
  5. 請求項1記載の加速度センサーにおいて、前記ピエゾ抵抗素子は各梁部の前記錘部側と前記支持枠側に設けられている加速度センサー。
  6. 第1層と、この第1層よりも厚い第2層とを有し、前記第1層から前記第2層にかけて設けられた支持枠部および錘部と、第1層に設けられ前記錘部を前記支持枠部内に支持する可撓性を有する梁部と、この梁部上に設けられたピエゾ抵抗素子と、このピエゾ抵抗素子と接続する配線と、を有する加速度センサー素子と、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗変化から加速度を検出する加速度センサー素子を保持する保護パッケージとを有する加速度センサーにおいて、
    第1層に設けられ前記梁部よりも幅が広い枠側接続部を介して前記梁部が前記支持枠部に接続することを特徴とする加速度センサー。
  7. 請求項6記載の加速度センサーにおいて、前記第1層に設けられ前記梁部よりも幅の広い錘側接続部を介して前記梁部が前記錘部に接続することを特徴とする加速度センサー。
  8. 請求項7記載の加速度センサーにおいて、前記錘側接続部の形状が前記枠側接続部と同形状であることを特徴とする加速度センサー。
  9. 請求項6記載の加速度センサーにおいて、前記支持枠部の内周に接続して前記第1層に設けられた縁部を有し、この縁部に設けられた2つのスリットにより分離された部分により前記枠側接続部を構成することを特徴とする加速度センサー。
  10. 請求項6記載の加速度センサーにおいて、前記ピエゾ抵抗素子は各梁部の前記錘部側と前記支持枠側に設けられている加速度センサー。
  11. 錘部と該錘部の周囲を囲む支持枠部とが第一のシリコン層とこの第一のシリコン層よりも厚い第二のシリコン層とを有し、前記錘部を前記支持枠部内に支持する前記第一のシリコン層に設けられた複数の梁部と、この梁部の上に設けられたピエゾ抵抗素子と、を有する加速度センサー素子と、この加速度センサー素子を内部に有するパッケージ部と、を備え、第一のシリコン層に設けられ前記梁部と前記支持枠部とを接続して前記梁部の幅よりも広い幅を有する枠側接続部を有する加速度センサー。
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