以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。さらに、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1による自動分析装置1を図面と共に詳細に説明する。
(自動分析装置)
図1は、本実施の形態による自動分析装置1の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、自動分析装置1は、各種分析項目についての測定を自動的に遂行するためのメインユニット100と、メインユニット100へ供給される検体や後述するキュベットCをストックしておくためのサブユニット300と、メインユニット100およびサブユニット300に対する処理や動作の制御ならびに入力された測定結果の分析などを実行するための制御端末400と、を備える。なお、分析実行面であるメインユニット100の上面100Aは、例えば開閉可能なカバー等により適宜覆われる。
また、図1に示すように、サブユニット300には、例えば、液体状の検体が入れられる検体容器302を1つ以上保持可能な検体ラック301と、検体ラック301を1つ以上収容可能なラックセット部310と、分析済みの検体が入っている検体容器302を保持する検体ラック301を1つ以上収容可能なラック回収部320と、が搭載されている。
上記において、ラックセット部310に格納された検体ラック301は、サブユニット300に搭載された図示しない搬送機構によって図1に示す搬送経路330上を搬送され、その後、ラック回収部320内に収容される。この際、検体ラック301は、搬送経路330上における検体分取位置114に一旦停止し、後述の検体分注ユニット110を用いて適宜保持している検体容器302から検体が分取される。ただし、再検査が必要とされた検体が入っている検体容器302を保持する検体ラック301は、一旦、搬送経路330から再検経路340へ分岐され、再検検体分取位置115において再度検体が分取された後、再び搬送経路330へ戻ってラック回収部320内に収容される。
また、同じく図1に示すように、メインユニット100には、例えば、検体分注ユニット110と、反応槽120と、検体プローブ洗浄ユニット130と、割込み検体用ユニット140と、電解質測定ユニット150と、第1攪拌ユニット160と、第1試薬分注ユニット170と、第1試薬保冷庫180と、第1試薬プローブ洗浄ユニット190と、光源ランプセット210および受光ユニット211と、第2試薬分注ユニット220と、第2試薬保冷庫230と、第2試薬プローブ洗浄ユニット240と、第2攪拌ユニット250と、キュベット洗浄ユニット260と、が搭載される。
ここで、本実施の形態において使用するキュベットCの一例について、図面を用いて説明する。図2Aは、キュベットCの形状を示す斜視図であり、図2Bは、キュベットCの変形例であるキュベットC2の形状を示す斜視図である。図2Aに示すように、本実施の形態において使用するキュベットCは、例えば、上部に開口CAが形成された円筒状の容器である。このようなキュベットCは、例えば硬質ガラスやプラスチックやクォーツなどの透明な材料を用いて形成される。測定時には、光源ランプセット210から出力された所定波長の光がキュベットC側面に照射される。各分析項目についての測定は、キュベットCを透過した光を受光ユニット211で受光し、この光強度を計測することで行なわれる。また、本実施の形態によるキュベットCの変形例としては、例えば図2Bに示すように、上部に形成された開口CA2の角がやや丸みを帯びた略四角形の形状を有している略四角柱状の容器である。ただし、本発明はこれらの形状に限定されず、仕様等に応じて適宜変形することが可能である。
上記のようなキュベットCは、図3に示すように、反応槽120内の外周内側に沿って円周状に配列された複数のキュベットホルダ122bにそれぞれセットされる。各キュベットホルダ122bには、光源ランプセット210からの光を受光ユニット211へ透過させるための孔(不図示)が設けられている。図1に示す各位置(122、124、125など)には、反応槽120におけるキュベットホルダ122bが回転軸121を中心として周回することで目的のキュベットCが配置される。そして、反応槽120内のキュベットCには、検体分注ユニット110を用いて分取された検体と、第1試薬分注ユニット170を用いて分取された第1試薬と、第2試薬分注ユニット220を用いて分取された第2試薬と、が適宜分注される。これにより、反応槽120におけるキュベットC内に、1つ以上の分析項目に応じた混合液(または反応液)が生成される。なお、図3は、反応槽120内に配列された複数のキュベットホルダ122bのレイアウト例を示す上視図である。
図1に戻り説明する。検体分注ユニット110は、枢軸112を中心に枢回または上下動することで、検体分取位置114、再検検体分取位置115または割込み検体分取位置141へ移動し、この位置において所定の検体容器302から検体を吸引することでこれを分取する。また、分取した検体を検体分注位置122において反応槽120内の目的のキュベットC内へ吐出することでこれを分注する。一方、第1試薬分注ユニット170は、枢軸172を中心に枢回または上下動することで第1試薬分取位置183に移動し、この位置において第1試薬保冷庫180内の第1試薬ボトル182から第1試薬を吸引することでこれを分取する。また、分取した第1試薬を第1試薬分注位置124において反応槽120内の目的のキュベットC内へ吐出することでこれを分注する。同様に、第2試薬分注ユニット220は、枢軸222を中心に枢回または上下動することで第2試薬分取位置233へ移動し、この位置において第2試薬保冷庫230内の第2試薬ボトル232から第2試薬を分取する。また、分取した第2試薬を第2試薬分注位置125において反応槽120内の目的のキュベットCへ分注する。
キュベットC内に混入されて生成された混合液は、例えば第1攪拌ユニット160または第2攪拌ユニット250を用いて適宜攪拌されて反応が促進された後、光源ランプセット210および受光ユニット211を用いて各分析項目について測定される。得られた測定結果は、例えばインターフェース(I/F)290を介して接続された制御端末400へ出力され、制御端末400において適宜分析される。
なお、図1において、検体プローブ洗浄ユニット130は、検体間のキャリーオーバを防止するためのユニットであり、分注後の検体分注ユニット110における検体プローブ123を適宜洗浄する。また、第1試薬プローブ洗浄ユニット190および第2試薬プローブ洗浄ユニット240は、それぞれ第1試薬プローブ173または第2試薬プローブ223を介した試薬間のキャリーオーバによるコンタミネーションを防止するためのユニットであり、分注後の第1試薬分注ユニット170または第2試薬分注ユニット220における第1試薬プローブ173または第2試薬プローブ223を適宜洗浄する。なお、第1試薬分注ユニット170および第1試薬プローブ洗浄ユニット190、ならびに、第2試薬分注ユニット220および第2試薬プローブ洗浄ユニット240の詳細については、後述において触れる。
キュベット洗浄ユニット260は、使用後のキュベットCを洗浄して再利用するためのユニットである。また、第1試薬保冷庫180は、第1試薬を温度管理された環境下で保管するための保冷庫であり、外周円の内側に沿って円周状に配列された複数の第1試薬ボトル182を格納する。第1試薬分取位置183には、第1試薬保冷庫180が回転軸181を中心として周回することで、目的の第1試薬が入っている第1試薬ボトル182が配置される。なお、第1試薬保冷庫180には、第1試薬ボトル182の外側に貼り付けられたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ184が設けられており、バーコードに記述されたステータスなどの情報を読み取ることで各第1試薬ボトル182に収容されている第1試薬が管理される。同様に、第2試薬保冷庫230は、第2試薬を温度管理された環境下で保管するための保冷庫であり、外周円に沿って円周状に配列された複数の第2試薬ボトル232を格納する。第2試薬分取位置233には、第2試薬保冷庫230が回転軸231を中心として周回することで、目的の第2試薬が入っている第2試薬ボトル232が配置される。なお、第2試薬保冷庫230にも、第1試薬保冷庫180と同様に、第2試薬ボトル232の外側に貼り付けられたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ234が設けられており、バーコードに記述されたステータスなどの情報を読み取ることで各第2試薬ボトル232に収容されている第2試薬が管理される。
さらに、割込み検体用ユニット140は、ラックセット部310にセットされた複数の検体に対する一連の分析処理に割り込んで先に分析処理したい検体をセットするためのユニットである。電解質測定ユニット150は、必要に応じて検体に含まれる電解質を測定するためのユニットである。
なお、上記各ユニットは、例えばメインユニット100に設けられたインターフェース(I/F)290を介して外部接続された制御端末400からの制御の下に動作する。制御端末400は、例えばメインユニット100のインターフェース290と所定の回線420を介して接続するためのインターフェース(I/F)410と、入力された測定結果を分析するための分析部402と、使用者が各種指示や命令などを入力するための入力部403と、各種測定・分析結果や検体ステータスや測定・分析進行状況などをユーザへ表示するための表示部404と、各種制御プログラムや入力された測定結果および生成した分析結果などを記憶するための記憶部405と、上記各部の制御やメインユニット100およびサブユニット300における各部を制御するための制御部401と、を含む。
(試薬プローブ)
続いて、本実施の形態による第1試薬分注ユニット170および第2試薬分注ユニット220の構成および動作を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施の形態では、第2試薬分注ユニット220の構成および動作は、第1試薬分注ユニット170の構成および動作と略同様であるため、以下では、第1試薬分注ユニット170に着目して説明する。
図4は、本実施の形態による第1試薬分注ユニット170の概略構成例を示す側面図である。図5は、第1試薬分注ユニット170の概略内部構成を示す断面図である。図6は、第1試薬分注ユニット170およびメインユニット100の上面100Aにおける第1試薬分注ユニット170周辺の概略構成例を示す上視図である。なお、図5では、メインユニット100の上面100Aと垂直な面で第1試薬分注ユニット170をアーム部11の長手方向に切断した際の概略断面構成を示す。
図4に示すように、第1試薬分注ユニット170は、異なる分析項目を測定するための複数種類の第1試薬、あるいは、同一の分析項目について異なるダイナミックレンジで測定するために異なる濃度に希釈された複数種類の第1試薬の内いずれかを目的のキュベットC内へ分注するための第1試薬プローブ173と、一方の端に第1試薬プローブ173が着脱可能に取り付けられたアーム部11と、アーム部11の他方の端を上下動および枢回可能に枢持する枢軸172として機能する軸部材12と、を備える。なお、ダイナミックレンジとは、実質的な測定範囲を意味する。例えばある検体(これを第1検体とする)に対するある分析項目についての測定を、他の検体(これを第2検体とする)に対する同一の分析項目についての測定よりも10倍のダイナミックレンジで測定したい場合、第1検体に対して使用する第1試薬の濃度を第2検体に対して使用する第1試薬の濃度の例えば1/10倍とする。これにより、第1検体についての実質的な測定範囲を第2検体についての実質的な測定範囲の10倍とすることができる。また、例えば第1検体に対するある分析項目についての測定を、第2検体に対する同一項目についての測定よりも10倍の分解能で測定したい場合、第1検体に対して使用する第1試薬の濃度を第2検体に対して使用する第1試薬の濃度の例えば10倍とする。これにより、第1検体についての実質的な測定範囲は1/10となるが、その計測数は同じなため、第1検体についての分解能を第2検体についての分解能の10倍とすることができる。
軸部材12の下部は、図5に示すように、メインユニット100の上面100A下に配置された駆動機構20に連結されている。駆動機構20は、第1試薬プローブ173を所定の位置へ移動させるための移動手段である。例えば駆動機構20は、図4に示す枢軸172を中心に軸部材12を回転させる。したがって、軸部材12に固定されたアーム部11は、図6に示すように、メインユニット100の上面100Aと平行な面を軸部材12の枢軸172を中心として矢印r1方向(時計回りまたは反時計回り)に枢回する。この構成によって、軸部材12と反対の端に設けられた第1試薬プローブ173が、軌跡e1上に設けられた、第1試薬分取位置183上、第1試薬分注位置124上、または、第1試薬プローブ洗浄位置190a上等に、適宜、移動することが可能となる。
また、駆動機構20は、図4に示すように、メインユニット100の上面100Aに対して軸部材12を矢印h1方向に突出入させる。これにより、軸部材12に固定されたアーム部11がメインユニット100の上面100Aに対して上下動する。この構成によって、軸部材12と反対側の端に設けられた第1試薬プローブ173の高さ位置を上下に変位させることが可能となる。例えば図5または図6において、第1試薬プローブ173のノズル13aは、軸部材12の下降により、第1試薬保冷庫180の蓋180−1における第1試薬分取位置183に設けられた開口183aから、第1試薬保冷庫180内の第1試薬分取位置183下に位置する第1試薬ボトル182内に、これの挿入口182aを介して挿入される。また、図6において、ノズル13aは、軸部材12の下降により、反応槽120の蓋120−1における第1試薬分注位置124に設けられた開口124aから、反応槽120内の第1試薬分注位置124下に位置するキュベットホルダ122bに保持されたキュベットC内に挿入される。また、図6において、ノズル13aは、軸部材12の下降により、第1試薬プローブ洗浄位置190aに配置された第1試薬プローブ洗浄ユニット190における洗浄槽41内に挿入される。
図4に戻り説明する。アーム部11は、軸部材12の上端に固定された第1部材11−1、第1試薬プローブ173を着脱可能に保持する第2部材11−2、および、第1部材11−1と第2部材11−2とを連結する連結部材11−3を含んで構成される。なお、第1部材11−1と連結部材11−3と、および、第2部材11−2と連結部材11−3とは、それぞれ例えばネジ11−3a等で固定される。
第2部材11−2における連結部材11−3と反対側の端11−2a内には、図5に示すように、円筒状の空洞11−2bが設けられる。端11−2aの底部11−2cには、これを貫通する孔11−2dが設けられる。第1試薬プローブ173は、端11−2aの底部11−2cから下方(上面100A方向)へ突出するように、空洞11−2b内から孔11−2dへ嵌挿されて保持される。
ここで、図7を参照して、第1試薬プローブ173の形状について説明する。図7は、本実施の形態で使用する第1試薬プローブ173の形状例を示す外観図である。図7に示すように、第1試薬プローブ173は、胴体部13と、胴体部13の下端に設けられたノズル13aと、胴体部13の上端に設けられた拡径部13bと、を含み、拡径部13b上面からノズル13a底面にかけて貫通する穴が形成されている。
胴体部13、ノズル13aおよび拡径部13bは、それぞれ円筒状の管である。ただし、拡径部13bの内径および外径は例えば胴体部13の内径および外径よりもそれぞれ大きい。このため、図5に示すように、拡径部13bの底部、すなわち胴体部13と拡径部13bとの段差部分が、空洞11−2bの底部11−2c上面と当接する。これにより、第1試薬プローブ173が第2部材11−2から抜け落ちることが防止される。また、図7に示すように、拡径部13bには、後述するチューブ14の一方の端部である先端部14aが嵌着される。これにより、チューブ14の空洞と第1試薬プローブ173の空洞とが連結される。
図4から図6に戻り説明する。第1試薬プローブ173は、図5に示すように、チューブ14の先端部14aが拡径部13bに嵌着された状態で、第2部材11−2の空洞11−2b内に嵌挿される。また、端11−2aの上部には、外側面に螺旋状の凸部が形成されたキャップ口が設けられている。この端11−2a上部のキャップ口にスクリューキャップ15が嵌められることで、空洞11−2bに蓋がなされる。なお、スクリューキャップ15の上部には、チューブ14を嵌挿するための貫通孔が設けられている。スクリューキャップ15は、チューブ14が嵌挿された状態で、端11−2a上部に嵌められる。
スクリューキャップ15が嵌まった状態では、図5に示すように、スクリューキャップ15の内側に設けられた凸部15aが、第1試薬プローブ173の拡径部13b上面と当接する。これにより、拡径部13bが底部11−2cと凸部15aとに挟まれた状態になるため、第1試薬プローブ173が端11−2aに固定される。
スクリューキャップ15の上面から突出するチューブ14は、図5に示すように、第2部材11−2に形成された空洞11−2e内を介して、保持部16に嵌挿される。保持部16は、連結部材11−3に例えばネジ16aを用いて取り付けられる。これにより、チューブ14が連結部材11−3に保持される。
チューブ14は、例えば図5に示すように、第2部材11−2の空洞11−2e内において、例えば第2部材11−2に固定された保持部11−2fにより保持される。これにより、チューブ14の余分な弛みなどが緩和される。
また、チューブ14は、図5に示すように、例えば第1部材11−1上端から突出する軸部材12の上面中央から下面中央を通るように形成された穴12a内に挿入され、この穴12aを介してメインユニット100の上面100A下へ導かれる。なお、軸部材12の上端には、図5に示すように、チューブ14を保持する保持部17が設けられている。
上面100A下に導かれたチューブ14は、例えば軸部材12の下部に連結された駆動機構20から導出された後、例えば制御部401からの制御の下で接続関係を切り替えることが可能な三方弁14−3を介して第1経路14−1と第2経路14−2とに分岐される。第1経路14−1は、例えばシリンジ22に接続される。一方、第2経路14−2は、例えば内洗浄水供給部24に接続される。内洗浄水供給部24には、チューブ14−2aを介して内洗浄水タンク25に接続される。
なお、三方弁14−3は、例えば外部からの電気的な制御の下で開閉が可能な開閉バルブである。ただし、これに限定されず、複数の開閉バルブを組み合わせて構成してもよい。また、本実施の形態では、第1試薬プローブ173を用いて第1試薬を吸引または吐出させる吸引/吐出手段としてシリンジ22を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、例えば数nl(ナノリットル)〜数ml(ミリリットル)単位程度の高分解能での吸引および吐出を制御することが可能なポンプ等であれば如何なるものを用いてもよい。さらに、内洗浄水25aには、例えば蒸溜によって精製した純水を適用することができる。
・第1試薬分注動作
ここで、第1試薬分注ユニット170を用いた第1試薬の分注動作について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
例えば図5または図6に示すように、第1試薬180aを分取する際、制御部401(図1参照)は、駆動機構20を制御して軸部材12を回転させることで、第1試薬プローブ173を第1試薬分取位置183上に移動させる。続いて制御部401は、駆動機構20を制御して軸部材12を下降させることで、第1試薬プローブ173のノズル13aを第1試薬保冷庫180の蓋180−1に設けられた開口183aから第1試薬ボトル182の挿入口182aを介して第1試薬ボトル182内に挿入する。この際、第1試薬プローブ173のノズル13a先端は、第1試薬ボトル182内の第1試薬180aに浸される。したがって、この状態で制御部401が三方弁14−3を制御して第1経路14−1とチューブ14とを接続させると共にシリンジ22を所定期間駆動することで、所定量の第1試薬180aがノズル13a先端から第1試薬プローブ173内に吸引される。これにより、所定量の第1試薬180aが第1試薬プローブ173によって分取される。なお、この動作において、第2経路14−2とチューブ14との間は遮断されている。
また、第1試薬180aを分取後、制御部401は、図6に示すように、駆動機構20を制御して軸部材12を上昇させた後にこれを回転させることで、第1試薬プローブ173を第1試薬分取位置183の開口183aから引き出した後これを第1試薬分注位置124上に移動させる。続いて制御部401は、駆動機構20を制御して軸部材12を下降させることで、第1試薬プローブ173のノズル13aを反応槽120の蓋120−1に設けられた開口124aからキュベットC内に挿入する。この状態で制御部401がシリンジ22を駆動することで、分取された第1試薬180aがノズル13a先端からキュベットC内へ吐出される。これにより、分取した所定量の第1試薬180aがキュベットC内に分注される。なお、この動作において、第1経路14−1とチューブ14とは接続されたままであり、第2経路14−2とチューブ14とは切断されたままである。
(試薬プローブ洗浄ユニット)
次に、本実施の形態による第1試薬プローブ洗浄ユニット190および第2試薬プローブ洗浄ユニット240の構成、並びに、第1試薬プローブ洗浄動作および第2試薬プローブ洗浄動作を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施の形態では、第2試薬プローブ洗浄ユニット240の構成および第2試薬プローブ洗浄動作は、第1試薬プローブ洗浄ユニット190の構成および第1試薬プローブ洗浄動作と略同様であるため、以下では、第1試薬プローブ洗浄ユニット190および第1試薬プローブ洗浄動作に着目して説明する。
図8は、本実施の形態による第1試薬プローブ洗浄ユニット190の概略構成例を示す斜視図である。図9は、第1試薬プローブ洗浄ユニット190の概略内部構成を示す断面図である。なお、図9では、メインユニット100の上面100Aと垂直な面であって後述する希釈洗剤貯留槽42と廃液管47とを結ぶ面で切断した際の概略断面構成を示す。
図8に示すように、第1試薬プローブ洗浄ユニット190は、第1試薬プローブ173を洗浄するための洗浄手段であり、下方へ延伸する希釈洗剤貯留槽42と廃液管47とが形成された洗浄槽41と、洗浄槽41内に後述する外洗浄水27aを吐出するための外洗浄水吐出ノズル45と、を備え、洗浄槽41内に洗浄対象の第1試薬プローブ173が適宜挿入される。
洗浄槽41は、例えば長手方向が第1試薬プローブ173の軌跡e1と略平行に配置された略長方形の上面形状を有する箱型の容器であり、図8または図9に示すように、内部に上部が開口された空洞41aを備える。空洞41aの底面41bは、例えばある一点(最底点)に向かって水平断面が狭まるように漏斗状に傾斜している。この底面41bにおける最底部には、廃液管47が設けられる。廃液管47には、例えばポリタンクなどで構成された廃液タンク49に接続されたドレイン管48が連結される。したがって、洗浄槽41内の液体(例えば後述する希釈洗剤46a、内洗浄水25a、外洗浄水27a等)は、底面41bを伝って開口47aから廃液管47内へ流れ込み、その後、ドレイン管48を通って廃液タンク49に排出される。
また、希釈洗剤貯留槽42は、図8または図9に示すように、内部に空洞42aを有する略円筒状の容器である。この希釈洗剤貯留槽42は、図9に示すように、洗浄槽41の空洞41aの底面41bが形成する傾斜の上部または途中から洗浄槽41の下方へ向かって延伸するように配設される。希釈洗剤貯留槽42の上部には、図8または図9に示すように、空洞41aの底面41bの一部を開口する開口42bが形成される。したがって、洗浄槽41の空洞41aと希釈洗剤貯留槽42の空洞42aとは開口42bを介して連続している。なお、希釈洗剤貯留槽42の開口42bと廃液管47の開口47aとは、第1試薬プローブ173の軌跡e1上にそれぞれ配置される。
希釈洗剤貯留槽42の側面には、図8または図9に示すように、突出する希釈洗剤導入管42−1が形成される。この希釈洗剤導入管42−1は、希釈洗剤貯留槽42内部の空洞42aと連続する。また、希釈洗剤導入管42−1には、希釈洗剤供給部44に接続されたチューブ43が差し込まれる。希釈洗剤供給部44には、図9に示すように、希釈洗剤タンク46からチューブ43−1を介して希釈洗剤46aが供給される。したがって、希釈洗剤供給部44は、制御部401からの制御の下、チューブ43および希釈洗剤導入管42−1を介して希釈洗剤貯留槽42内の空洞42aへ希釈洗剤46aを充填する。
なお、希釈洗剤貯留槽42の開口42bにおける最下位置H42は、廃液管47の開口47aにおける最上位置H47よりも高く設定される。これにより、希釈洗剤貯留槽42からこぼれ出した液体を洗浄槽41内の空洞41aに溜まらせることなく、廃液管47より排出することが可能となる。
また、外洗浄水吐出ノズル45は、図8または図9に示すように、吐出口が洗浄槽41内に向かうように配設される。この外洗浄水吐出ノズル45は、図9に示すように、チューブ45−1を介して外洗浄水供給部26に接続される。外洗浄水供給部26には、外洗浄水タンク27からチューブ45−2を介して外洗浄水27aが供給される。したがって、外洗浄水供給部26は、制御部401からの制御の下、チューブ45−1を介して外洗浄水吐出ノズル45から洗浄槽41内へ外洗浄水27aを吐出する。これにより、洗浄槽41内に配置された第1試薬プローブ173の外側に外洗浄水27aが流れ、これが洗浄される。なお、外洗浄水吐出ノズル45の吐出口の高さ位置を、洗浄槽41の上端位置よりも低くするとよい。これにより、洗浄槽41外へ外洗浄水27aが飛散することを低減することができる。なお、外洗浄水27aには、例えば蒸溜によって精製された純水等を適用することができる。
・第1試薬プローブ洗浄処理
次に、第1試薬プローブ洗浄ユニット190による第1試薬プローブ173の洗浄処理について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態では、第1試薬プローブ173の洗浄のために、複数の洗浄モードを備える。各洗浄モードには、例えば分析項目に応じて最適となる洗浄シーケンスが設定される。なお、通常、ある分析項目を特定することでこれに使用する試薬を特定することが可能であるため、分析項目ごとに最適となる洗浄シーケンスを特定することは可能である。ただし、これに限定されず、例えば洗浄対象の試薬の種類や濃度に応じて最適となる洗浄シーケンスを設定するように構成してもよい。
各分析項目と各洗浄モードとの対応は、例えば図10に示すモード管理テーブルにおいて管理される。このモード管理テーブルは、分析項目ごとに異なる洗浄シーケンスの洗浄モードを対応付けて管理するモード管理手段またはモード管理ステップを実現するためのデータテーブルであり、例えば図1に示す記憶部405において保持され、制御部401によって適宜参照される。なお、図10に示すように、本説明では、第1から第3の洗浄モード(洗浄モード1、洗浄モード2および洗浄モード3)を例に挙げる。また、分析項目の代りに、試薬ごとや試薬の種類ごとや試薬の濃度ごとに洗浄シーケンスを設定する場合は、例えば試薬、試薬の種類および/または試薬の濃度と洗浄モードとが対応づけられたモード管理テーブルを用いればよい。さらに、例えば洗浄対象を検体プローブ123とした場合、血液や尿などの検体の種類ごとに洗浄モードが対応付けられたモード管理テーブルを用いればよい。
なお、いずれの分析項目に対してどのような内容の洗浄シーケンスが最適であるかは、例えば経験的や洗浄試験の結果などから求めることができる。ただし、本実施の形態では、洗浄にかける時間が各洗浄モードで同じ時間長となるように、各洗浄シーケンスが構成される。これにより、何れの洗浄モードが選択された場合でも、同数の検体の分析処理にかかる時間は変化しないため、ユーザにとって分析処理の終了時刻、すなわち自動分析装置1のマシンタイムを予測することが容易である。また、該当する分析項目の測定に使用した試薬ごとに最適な洗浄モードを設定し、これを選択することが可能であるため、効果的に第1試薬プローブ173を洗浄することが可能となる。
ここで例として、分析項目ALPおよびhCGそれぞれに対し、以下に例示する洗浄モード1、2および3によって試薬プローブを洗浄したキャリーオーバ試験の結果を説明する。なお、このキャリーオーバ試験では、分析項目ALPの高濃度試薬と、分析項目hCGの高濃度試薬と、希釈液と、がそれぞれ貯溜された3つの容器を準備した。さらに、キャリーオーバ量としては、各容器から試薬を分注した後の試薬プローブを以下に示す3つの洗浄モードのいずれかで洗浄し、その後、容器から希釈液を分取した際の分取した希釈液に含まれる試薬の単位体積あたりの量を測定することで求めた。
図11A〜図11Cは、本実施の形態において上記キャリーオーバ試験に使用した洗浄モードごとの洗浄シーケンスの処理内容を示すタイミングチャートである。なお、図11A〜図11Cにおいて、横軸は時間を示しており、各ブロックにおける斜線部分がこれと対応する処理(希釈洗剤の吐出、希釈洗剤の保持、内洗浄水の吐出、希釈洗剤の吸引)を実行する期間を示している。
まず、図11Aに示すように、洗浄モード1には、最初に希釈洗剤を吸引(『希釈洗剤の吸引』)し、次に希釈洗剤を吐出(『希釈洗剤の吐出』)し、その後内洗浄水を吐出(『内洗浄水の吐出』)する一連の洗浄処理を2回繰り返す第1洗浄シーケンスが設定されている。なお、第1洗浄シーケンスでは、『外洗浄水の吐出』も含まれているが、これは、例えば『内洗浄水の吐出』と平行して実行される。したがって、図11Aでは、『内/外洗浄水の吐出』とする。
また、図11Bに示すように、洗浄モード2には、最初に希釈洗剤を吸引(『希釈洗剤の吸引』)し、次に吸引した希釈洗剤を所定期間保持(『希釈洗剤の保持』×3)し、次に保持していた希釈洗剤を吐出(『希釈洗剤の吐出』)し、その後内洗浄水を吐出(『内洗浄水の吐出』)する一連の第2洗浄シーケンスが設定されている。なお、希釈洗剤の保持時間は、例えば1.5秒とした。なお、第2洗浄シーケンスでは、『外洗浄水の吐出』も含まれているが、これは、例えば『内洗浄水の吐出』と平行して実行される。したがって、図11Bでは、『内/外洗浄水の吐出』とする。
さらに、図11Cに示すように、洗浄モード3には、最初に希釈洗剤を吸引(『希釈洗剤の吸引』)し、次に吸引した希釈洗剤を所定期間保持(『希釈洗剤の保持』)し、その後保持していた希釈洗剤を吐出(『希釈洗剤の吐出』)すると共に内洗浄水を吐出(『内洗浄水の吐出』)する一連の洗浄処理を2回繰り返す第3洗浄シーケンスが設定されている。なお、1回あたりの希釈洗剤の保持時間は、例えば0.5秒とした。なお、第3洗浄シーケンスでは、『外洗浄水の吐出』も含まれているが、これは、例えば『希釈洗剤の吐出』および『内洗浄水の吐出』と平行して実行される。したがって、図11Cでは、『内/外洗浄水の吐出』とする。
また、図11A〜図11Cに示すように、例えば各洗浄シーケンスにおける洗浄処理開始タイミングをt1として揃えた場合、その終了タイミングは、洗浄処理終了タイミングt2で揃う。すなわち、全ての洗浄モードで処理時間が同じに設定される。
上記各洗浄モードを用いたキャリーオーバ試験の結果を、以下の表1に示す。
表1を参照すると明らかなように、例えば分析項目ALPについては、『希釈洗剤の保持』をせず、希釈洗剤での洗浄を2回行なう洗浄モード1が、3つの洗浄モードの中で最も高い洗浄効果を得られることがわかる。また、分析項目hCGについては、『希釈洗剤の保持』を1.5秒実行する洗浄モード2が、3つの洗浄モードの中で最も高い洗浄効果を得られることがわかる。
このように、洗浄効果は、希釈洗剤の保持の有無やその期間などと、分析項目との相性によって、種々変化する。これは上述したように、例えば経験的や洗浄試験の結果などから求めることができる。なお、同種の分析項目においては、一方の分析項目に対して高い洗浄効果を奏する洗浄シーケンスを他方の分析項目に対して使用したとしても、高い洗浄効果が得られる場合が存在する。
また、洗浄に使用する希釈洗剤(後述する希釈洗剤46a)は、例えば所定の洗剤を純水などの希釈液で所定濃度となるように薄めた洗剤である。この所定濃度は、例えば洗浄力と洗浄後の濯ぎに要する時間とのトレードオフによって最適な濃度を選択することが好ましい。
次に、本実施の形態による第1試薬プローブ173の洗浄動作について、図面を参照して詳細に説明する。図12および図13A〜図13Cは、本実施の形態による第1試薬プローブ173の洗浄動作を示すフローチャートである。ただし、説明の都合上、以下の説明では、第1試薬分注ユニット170による第1試薬の分注動作についても触れる。
本洗浄動作は、例えば、図1に示す制御部401が、制御手段として、上述した構成における第1試薬分注ユニット170、第1試薬プローブ洗浄ユニット190、三方弁14−3、駆動機構20、シリンジ22、内洗浄水供給部24、および、希釈洗剤供給部44等を適宜制御して動作させることで実現することができる。
図12に示すように、本洗浄動作では、まず、制御部401は、対象のキュベットC内に入れられている検体に対して測定するように予め設定されている分析項目を特定し(ステップS101)、続いて、第1試薬保冷庫180を回転制御することで、この測定項目に応じた第1試薬180aが貯溜されている第1試薬ボトル182を第1試薬分取位置183(図6参照)に配置する(ステップS102)。
次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、アーム部11を枢回させて第1試薬プローブ173を第1試薬分取位置183上へ移動させ、続いてアーム部11を下降させて第1試薬プローブ173のノズル13a先端を第1試薬分取位置183に設けられた開口183aから第1試薬ボトル182内に挿入する(ステップS103)。これにより、第1試薬プローブ173におけるノズル13a先端が第1試薬ボトル182内の第1試薬180aに浸かる(図5参照)。なお、第1試薬分取位置183下には、制御部401が第1試薬保冷庫180を制御することで、目的の第1試薬180aを貯溜する第1試薬ボトル182が配置されている。
次に、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14と第1経路14−1とを接続すると共にチューブ14と第2経路14−2とを遮断し、この状態でシリンジ22を駆動することで、第1試薬ボトル182から所定量の第1試薬180aを吸引する(ステップS104)。これにより、第1試薬プローブ173内に所定量の第1試薬180aが分取される。
次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、第1試薬プローブ173を第1試薬分取位置183の開口183a内から上面100A上に引き抜き、続いてアーム部11を枢回させて第1試薬プローブ173を第1試薬分注位置124(図6参照)上へ移動させ、さらにアーム部11を下降させて第1試薬プローブ173のノズル13a先端を第1試薬分注位置124に設けられた開口124aからキュベットC内に挿入する(ステップS105)。なお、第1試薬分注位置124下には、制御部401が反応槽120を制御することで、目的の検体が注入されたキュベットCが配置されている。
次に、制御部401は、シリンジ22を駆動することで、第1試薬プローブ173内に分取された所定量の第1試薬180aをノズル13a先端からキュベットC内に吐出する(ステップS106)。これにより、対象のキュベットC内に所定量の第1試薬180aが分注される。なお、このステップにおいて、チューブ14と第1経路14−1との間は接続したままであり、チューブ14と第2経路14−2との間は遮断されたままである。また、図12におけるステップS101からステップS106までは、本実施の形態による第1試薬の分注ステップを実現する動作である。
以上のように1回の第1試薬180aの分注動作が完了すると、次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、第1試薬プローブ173を第1試薬分注位置124の開口124a内から上面100A上へ引き抜き、続いてアーム部11を枢回させて第1試薬プローブ173を第1試薬プローブ洗浄位置190a(図6参照)上へ移動させる(ステップS107)。
次に、制御部401は、ステップS101において特定した分析項目を取得し(ステップS108)(種類特定ステップ)、続いて、図10に示すモード管理テーブルを参照することで、この分析項目と対応付けられた洗浄モードを特定する(ステップS109)(モード特定ステップ)。なお、ステップS101で特定した分析項目は、例えば図1における記憶部405に記憶されている。
次に、制御部401は、ステップS109において特定した洗浄モードが洗浄モード1(図11A参照)であるか否かを判定する(ステップS110)。この判定の結果、特定した洗浄モードが洗浄モード1である場合(ステップS110のYes)、制御部401は、ステップS111へ移行し、図11Aに示す第1洗浄シーケンスに従った洗浄モード1による第1試薬プローブ173の洗浄処理を実行し、その後、ステップS115へ移行する。なお、ステップS111に示す洗浄モード1による洗浄処理の内容については、後述において図13Aを参照して詳細に説明する。
また、ステップS110の判定の結果、ステップS109において特定した洗浄モードが洗浄モード1でない場合(ステップS110のNo)、制御部401は、特定した洗浄モードが洗浄モード2であるか否かを判定する(ステップS112)。この判定の結果、特定した洗浄モードが洗浄モード2である場合(ステップS112のYes)、制御部401は、ステップS113へ移行し、図11Bに示す第2洗浄シーケンスに従った洗浄モード2による第1試薬プローブ173の洗浄処理を実行し、その後、ステップS115へ移行する。なお、ステップS113に示す洗浄モード2による洗浄処理については、後述において図13Bを参照して詳細に説明する。
また、ステップS112の判定の結果、ステップS109において特定した洗浄モードが洗浄モード2でない場合(ステップS112のNo)、制御部401は、ステップS114へ移行し、図11Cに示す第3洗浄シーケンスに従った洗浄モード3による第1試薬プローブ173の洗浄処理を実行し、その後、ステップS115へ移行する。なお、ステップS114に示す洗浄モード3による洗浄処理については、後述において図13Cを参照して詳細に説明する。
上記のステップS110〜ステップS114に示す洗浄ステップのように、分析項目に応じた洗浄処理を実行すると、次に制御部401は、全体の分析処理が終了したか否か、すなわち、以降に再度第1試薬180aを分注する必要があるか否かを判定し(ステップS115)、再度第1試薬180aを分注する必要がある場合(ステップS115のNo)、ステップS101へ帰還して、適宜、第1試薬プローブ173を用いた第1試薬180aの分注動作および第1試薬プローブ173の洗浄動作を実行する。また、ステップS115の判定の結果、再度第1試薬180aを分注する必要がない場合(ステップS115のYes)、制御部401は、処理を終了する。
以上の動作において、ステップS111、S113、S114の洗浄処理に要する時間は、図11A〜図11Cに示すように、同じ時間長であるため、何れの洗浄モードが選択された場合でも、同数の検体の分析処理にかかる時間は変化しない。したがって、ユーザは、分析処理の終了時刻、すなわち自動分析装置1のマシンタイムを予測することが容易である。また、試薬ごとに最適な洗浄モードを選択することが可能であるため、効果的に第1試薬プローブ173を洗浄することが可能となる。
・・洗浄モード1
ここで、図12のステップS111に示す洗浄モード1による洗浄処理について、図13Aを参照して詳細に説明する。図13Aは、洗浄モード1による洗浄処理の流れを示すフローチャートである。
図13Aに示すように、洗浄モード1による洗浄処理では、制御部401は、まず、希釈洗剤供給部44を制御することで、図9に示すように、希釈洗剤貯留槽42内にチューブ43および希釈洗剤導入管42−1を介して希釈洗剤46aを充填する(ステップS121)。この際、希釈洗剤貯留槽42内に充填する希釈洗剤46aの量は、第1試薬プローブ173における第1試薬ボトル182内の第1試薬180aに浸かる可能性がある部分をカバーする深さを希釈洗剤貯留槽42内に形成することができる程度の量であればよい。続いて、制御部401は、駆動機構20を制御することで、アーム部11を下降させて第1試薬プローブ173のノズル13a先端を第1試薬プローブ洗浄位置190aに配置された第1試薬プローブ洗浄ユニット190における希釈洗剤貯留槽42(図8または図9参照)内に挿入して、ノズル13a先端を希釈洗剤吸引位置42c(図9参照)に配置する(ステップS122)。この際、希釈洗剤貯留槽42内には、第1試薬プローブ173外面における第1試薬180aが接触した部分を浸す程度に希釈洗剤46aが充填されているため、第1試薬プローブ173の外側の面が希釈洗剤46aによって洗浄される。続いて、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14と第1経路14−1とを接続すると共にチューブ14と第2経路14−2とを遮断し、この状態でシリンジ22を駆動してチューブ14における第1経路14−1内の空気22aを吸引することで、図9に示すように、希釈洗剤貯留槽42内に充填されている希釈洗剤46aを第1試薬プローブ173内に吸引する(ステップS123)。なお、図13AにおけるステップS121〜S123までが、図11Aの第1洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の吸引』に相当する。
次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、ノズル13a先端が洗浄槽41内であって例えば廃液管47の開口47a上に設定された洗浄液吐出位置47b(図9参照)に位置するように、第1試薬プローブ173を移動させる(ステップS124)。続いて、制御部401は、シリンジ22を駆動してチューブ14における第1経路14−1内に空気22aを送り込むことで、図9に示すように、第1試薬プローブ173内の希釈洗剤46aをノズル13a先端から吐出する(ステップS125)。これにより、第1試薬プローブ173内が希釈洗剤46aによって洗浄される。なお、このステップにおいて、チューブ14と第1経路14−1とは接続されたままであり、チューブ14と第2経路14−2とは切断されたままである。また、図13AにおけるステップS124およびステップS125が、図11Aの第1洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の吐出』に相当する。
次に、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14の接続先を第1経路14−1から第2経路14−2へ切り替え、この状態で内洗浄水供給部24を駆動してチューブ14における第2経路14−2内に内洗浄水25aを流入することで、図9に示すように、第1試薬プローブ173のノズル13a先端から内洗浄水25aを吐出させると共に、外洗浄水供給部26を駆動してチューブ45−1内に外洗浄水27aを流入することで、図9に示すように、外洗浄水吐出ノズル45先端から第1試薬プローブ173へ向けて外洗浄水27aを吐出させる(ステップS126)。この際、図9に示すように、少なくとも第1試薬180aが付着している可能性のある部分に外洗浄水27aが流れるように、外洗浄水吐出ノズル45の吐出口の位置および洗浄液吐出位置47bを設定するとよい。これにより、第1試薬プローブ173内に残留する希釈洗剤46aが内洗浄水25aによって洗い流されると共に、第1試薬プローブ173外面に残留する希釈洗剤46aが外洗浄水27aによって洗い流される。なお、吐出された内洗浄水25aおよび外洗浄水27aは、図9に示すように、その後、洗浄槽41に形成された廃液管47からドレイン管48を通って廃液タンク49へ排出される。また、図13AにおけるステップS126が、図11Aの第1洗浄シーケンスにおける『内/外洗浄水の吐出』に相当する。
次に、制御部401は、ステップS121からステップS126までの洗浄処理を、洗浄モード1に設定された回数、すなわち2回実行したか否かを判定し(ステップS127)、実行済みの場合(ステップS127のYes)、図12のステップS115へ移行する。一方、ステップS127の判定の結果、実行済みでない場合(ステップS127のNo)、制御部401は、ステップS121へ帰還し、以降の洗浄処理(ステップS121〜)を実行する。
・・洗浄モード2
次に、図12のステップS113に示す洗浄モード2による洗浄処理について、図13Bを参照して詳細に説明する。図13Bは、洗浄モード2による洗浄処理の流れを示すフローチャートである。
図13Bに示すように、洗浄モード2による洗浄処理では、制御部401は、まず、図13AのステップS121からステップS123までと同様の動作を実行することで、第1試薬プローブ173内に希釈洗剤46aを吸引する(ステップS131〜S133)。なお、図13BにおけるステップS131〜S133までが、図11Bの第2洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の吸引』に相当する。
次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、ノズル13a先端が洗浄槽41内であって例えば廃液管47の開口47a上に設定された洗浄液吐出位置47b(図9参照)に位置するように、第1試薬プローブ173を移動させる(ステップS134)。続いて、制御部401は、所定時間待機することで、第1試薬プローブ173内に希釈洗剤46aを所定時間保持する(ステップS135)。なお、図13BにおけるステップS134およびステップS135が、図11Bの第2洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の保持』に相当する。
次に、制御部401は、シリンジ22を駆動することで、第1試薬プローブ173内の希釈洗剤46aを吐出する(ステップS136)。これにより、第1試薬プローブ173内が希釈洗剤46aによって洗浄される。なお、このステップにおいて、チューブ14と第1経路14−1とは接続されたままであり、チューブ14と第2経路14−2とは切断されたままである。また、図13BにおけるステップS136が、図11Bの第2洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の吐出』に相当する。
次に、制御部401は、図13AのステップS126と同様の動作を実行することで、第1試薬プローブ173から内洗浄水25aを吐出させると共に、外洗浄水吐出ノズル45から外洗浄水27aを吐出させる(ステップS137)。これにより、第1試薬プローブ173内に残留する希釈洗剤46aが内洗浄水25aによって洗い流されると共に、第1試薬プローブ173外面に残留する希釈洗剤46aが外洗浄水27aによって洗い流される。その後、制御部401は、図12に示すステップS115へ移行する。なお、吐出された内洗浄水25aおよび外洗浄水27aは、その後、洗浄槽41に形成された廃液管47からドレイン管48を通って廃液タンク49へ排出される。また、図13BにおけるステップS137が、図11Bの第2洗浄シーケンスにおける『内/外洗浄水の吐出』に相当する。
・・洗浄モード3
次に、図12のステップS114に示す洗浄モード3による洗浄処理について、図13Cを参照して詳細に説明する。図13Cは、洗浄モード3による洗浄処理の流れを示すフローチャートである。
図13Cに示すように、洗浄モード3による洗浄処理では、制御部401は、まず、図13AのステップS121からステップS123までと同様の動作を実行することで、第1試薬プローブ173内に希釈洗剤46aを吸引する(ステップS141〜S143)。なお、図13CにおけるステップS141〜S143までが、図11Cの第3洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の吸引』に相当する。
次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、ノズル13a先端が洗浄槽41内であって例えば廃液管47の開口47a上に設定された洗浄液吐出位置47b(図9参照)に位置するように、第1試薬プローブ173を移動させる(ステップS144)。続いて、制御部401は、所定時間待機することで、第1試薬プローブ173内に希釈洗剤46aを所定時間保持する(ステップS145)。なお、図13CにおけるステップS144およびステップS145が、図11Cの第3洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の保持』に相当する。
次に、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14の接続先を第1経路14−1から第2経路14−2へ切り替え、この状態で内洗浄水供給部24を駆動してチューブ14における第2経路14−2内に内洗浄水25aを流入することで、図9に示すように、第1試薬プローブ173内の希釈洗剤46aを吐出させ且つ第1試薬プローブ173から内洗浄水25aを吐出させると共に、外洗浄水供給部26を駆動してチューブ45−1内に外洗浄水27aを流入することで、図9に示すように、外洗浄水吐出ノズル45先端から第1試薬プローブ173に向けて外洗浄水27aを吐出させる(ステップS146)。この際、図9に示すように、少なくとも第1試薬180aが付着している可能性のある部分に外洗浄水27aが流れるように、外洗浄水吐出ノズル45の吐出口の位置および洗浄液吐出位置47bを設定するとよい。これにより、第1試薬プローブ173内の希釈洗剤46aが内洗浄水25aの流入によって吐出されて第1試薬プローブ173内が希釈洗剤46aによって洗浄され且つ第1試薬プローブ173内に残留する希釈洗剤46aが内洗浄水25aによって洗い流されると共に、第1試薬プローブ173外面に残留する希釈洗剤46aが外洗浄水27aによって洗い流される。なお、吐出された希釈洗剤46a、内洗浄水25aおよび外洗浄水27aは、図9に示すように、その後、洗浄槽41に形成された廃液管47からドレイン管48を通って廃液タンク49へ排出される。また、図13CにおけるステップS146が、図11Cの第3洗浄シーケンスにおける『希釈洗剤の吐出』および『内/外洗浄水の吐出』に相当する。
次に、制御部401は、ステップS141からステップS146までの洗浄処理を、洗浄モード3に設定された回数、すなわち2回実行したか否かを判定し(ステップS147)、実行済みの場合(ステップS147のYes)、図12のステップS115へ移行する。一方、ステップS147の判定の結果、実行済みでない場合(ステップS147のNo)、制御部401は、ステップS141へ帰還し、移行の洗浄処理(ステップS141〜)を実行する。
以上で説明したように、本実施の形態によれば、第1試薬プローブ173の洗浄処理に要する時間が、使用する試薬の種類に関係なく、同じ時間長になるため、何れの洗浄モードが選択された場合でも、同数の検体の分析処理にかかる時間は変化しない。したがって、ユーザは、分析処理の終了時刻、すなわち自動分析装置1のマシンタイムを予測することが容易である。また、分析項目ごとに最適な洗浄モードを選択することが可能であるため、効果的に第1試薬プローブ173を洗浄することが可能となる。なお、上述したように、本実施の形態は、第2試薬プローブ223の洗浄処理についても同様に適用することが可能である。また、図10に示すモード管理テーブルを、分析項目でなく検体の種類と洗浄モードとを対応づけたテーブルとすることで、検体プローブ123の洗浄についても同様に適用することが可能である。
また、本実施の形態では、1回の分注動作毎に第1試薬プローブ173の洗浄動作を実行するように構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば同一または同種の試薬を連続して分注する場合、この連続した分注動作の完了ごとに第1試薬プローブの洗浄動作を実行するように構成してもよい。
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2による自動分析装置を説明する。なお、本実施形態による自動分析装置の構成は、本発明の実施の形態1による自動分析装置1と同様であるため、ここではそれを引用することで以下の説明を簡略化する。
図14は、本実施の形態による第1試薬プローブ173の洗浄動作を説明するためのフローチャートである。ただし、説明の都合上、以下の説明では、第1試薬分注ユニット170による第1試薬の分注動作についても触れる。
本洗浄動作は、本発明の実施の形態1と同様に、例えば、図1に示す制御部401が、第1試薬分注ユニット170、第1試薬プローブ洗浄ユニット190、三方弁14−3、駆動機構20、シリンジ22、内洗浄水供給部24、および、希釈洗剤供給部44を適宜制御して動作させることで実現することができる。
図14に示すように、本洗浄動作では、まず、制御部401は、ユーザに、分析処理において測定する分析項目を設定させる(ステップS201)。これは、例えば図1の制御機構400における表示部404に分析項目の候補一覧を表示し、この中からユーザに入力部403を用いて選択させるように構成することで実現することができる。
次に、制御部401は、ユーザに、設定した分析項目ごとに使用する洗浄モードを設定させる(ステップS202)。これは、例えば図1の制御機構400における表示部404に、設定した分析項目の一覧と、洗浄モードの候補一覧(例えば洗浄モード1〜3)とを表示し、表示された洗浄モードの候補一覧の中から、分析項目ごとに、入力部403を用いてユーザに洗浄モードを選択させるように構成することで実現することができる。なお、ユーザによって設定された分析項目と洗浄モードとの対応は、例えば図1における記憶部405において保持される。
以上のように、一連の分析処理において測定する分析項目と、この分析項目を分析した場合に第1試薬プローブ173の洗浄において使用する洗浄モードとをユーザに設定させると、次に、制御部401は、本発明の実施の形態1において図12のステップS101〜ステップS107を用いて説明した動作と同様の動作を実行することで、適宜、第1試薬ボトル182から目的の試薬を分取し、これを対象のキュベットCに分注した後、第1試薬プローブ洗浄位置190a(図6参照)上に第1試薬プローブ173を移動させる(ステップS203〜S209)。
次に、制御部401は、ステップS203において特定した分析項目を取得し(ステップS210)、続いて、記憶部405に保持された分析項目と洗浄モードとの対応を参照することで、この分析項目に設定された洗浄モードを特定する(ステップS211)。
次に、制御部401は、特定した洗浄モードに基づいて、本発明の実施の形態1において図12のステップS110〜ステップS114を用いて説明した動作と同様の動作を実行することで、適宜、ユーザによって分析項目ごとに設定された洗浄モードによる洗浄処理(図13A〜図13C参照)を実行することで第1試薬プローブ173を洗浄する(ステップS212〜S216)。
図14のステップS212〜ステップS216のように、分析項目に設定された洗浄モードによる洗浄処理を実行すると、次に制御部401は、全体の分析処理が終了したか否か、すなわち、以降に再度第1試薬180aを分注する必要があるか否かを判定し(ステップS217)、再度第1試薬180aを分注する必要がある場合(ステップS217のNo)、ステップS203へ帰還して、適宜、第1試薬プローブ173を用いた第1試薬180aの分注動作および第1試薬プローブ173の洗浄動作を実行する。また、図14のステップS217の判定の結果、再度第1試薬180aを分注する必要がない場合(図14のステップS217のYes)、制御部401は、処理を終了する。
以上で説明したように、本実施の形態によれば、本発明の実施の形態1と同様に、第1試薬プローブ173の洗浄処理に要する時間が、使用する試薬の種類に関係なく、同じ時間長になるため、何れの洗浄モードが選択された場合でも、同数の検体の分析処理にかかる時間は変化しない。したがって、ユーザは、分析処理の終了時刻、すなわち自動分析装置1のマシンタイムを予測することが容易である。また、分析項目ごとに最適な洗浄モードを選択することが可能であるため、効果的に第1試薬プローブ173を洗浄することが可能となる。なお、上述したように、本実施の形態は、第2試薬プローブ223の洗浄処理についても同様に適用することが可能である。また、図10に示すモード管理テーブルを、分析項目でなく検体の種類と洗浄モードとを対応づけたテーブルとすることで、検体プローブ123の洗浄についても同様に適用することが可能である。
さらに、本実施の形態によれば、ユーザが分析項目に対して洗浄モードを設定することが可能であるため、ユーザの知識や経験を活かして洗浄処理を実行することが可能な自動分析装置を実現することが可能となる。
また、本実施の形態では、1回の分注動作毎に第1試薬プローブ173の洗浄動作を実行するように構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば同一または同種の試薬を連続して分注する場合、この連続した分注動作の完了ごとに第1試薬プローブの洗浄動作を実行するように構成してもよい。
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。