以下、添付の図面を参照して、本発明のワーク移動テーブルを適用した液滴吐出装置(第1実施形態)について説明する。この液滴吐出装置は、フラットパネルディスプレイの製造ラインに組み込まれており、例えば、特殊なインクや発光性の樹脂液である機能液を導入した機能液滴吐出ヘッドを用い、有機EL装置の各画素となる発光層やカラーフィルタのフィルタエレメント等を成膜するものである。
図1ないし図3に示すように、液滴吐出装置1は、機台となるX軸支持ベース21と、X軸支持ベース21上に配設され、ワークWをX軸方向に移動させるX軸テーブル(ワーク移動テーブル)2と、複数本の支柱11を介してX軸テーブル2を跨ぐように架け渡された1対のY軸支持ベース3a上に配設され、Y軸方向に延在するY軸テーブル3と、Y軸テーブル3に移動自在に吊設され、複数(12個)の機能液滴吐出ヘッド13が搭載された13個のキャリッジユニット4と、X軸テーブル2に搬送(給材)したワークWの各方向のずれを補正するワークアライメント装置5と、から構成されている。また、液滴吐出装置1は、X軸支持ベース21のX軸方向外側に隣接して、ワークWを給除材するコンベヤ装置26を備えている(図2参照)。
さらに、液滴吐出装置1は、これらの装置を、外気の影響を受けることのない雰囲気内に収容するチャンバCHと、チャンバCHを貫通して、機能液滴吐出ヘッド13に機能液を供給する機能液供給装置6と、液滴吐出装置1を統括制御するメインコントローラ12(図8参照)と、を備えており、チャンバCHの側壁の一部には、機能液供給装置6の主要部を為すメインタンク6a等を収納するタンクキャビネット6bが設けられている。液滴吐出装置1は、X軸テーブル2による主走査およびY軸テーブル3による副走査に同期して機能液滴吐出ヘッド13を吐出駆動させることにより、機能液供給装置6から供給された6色の機能液滴を吐出させ、ワークWに所定の描画パターンを描画する。
また、液滴吐出装置1は、フラッシングユニット15、吸引ユニット16、ワイピングユニット17、吐出検査ユニット18から成るメンテナンス装置7を備えており、これらユニットを機能液滴吐出ヘッド13の保守に供して、機能液滴吐出ヘッド13の機能維持・機能回復を図るようになっている。なお、X軸テーブル2上に位置する13個のキャリッジユニット4の直下位置が、描画を行なう描画エリアDA(処理エリア)となっており、この描画エリアDAからY軸方向に外れ、且つY軸テーブル3によりキャリッジユニット4が移動可能な位置が、メンテナンスエリアMAとなっている。そして、吸引ユニット16およびワイピングユニット17は、このメンテナンスエリアMAに設けられた架台上に配設されている。また、フラッシングユニット15および吐出検査ユニット18は、X軸テーブル2に搭載されている。
フラッシングユニット15は、描画前フラッシングユニット61と定期フラッシングユニット62とから成り、描画前フラッシングユニット61は描画処理直前に機能液滴吐出ヘッド13からの捨て吐出を受け、定期フラッシングユニット62はワークWの載せ替え時等の非描画処理時に行われる機能液滴吐出ヘッド13の捨て吐出を受ける(詳細は、後述する)。吸引ユニット16は、13台のキャップユニット160を有し、各機能液滴吐出ヘッド13の吐出ノズル57から機能液を強制的に吸引すると共に、キャッピングを行う。ワイピングユニット17は、吸引後の機能液滴吐出ヘッド13のノズル面を拭取る。吐出検査ユニット18は、機能液滴吐出ヘッド13からの吐出の有無および飛行曲りを検査すると共に、機能液滴の着弾ドットDの直径から吐出量(重量)を測定する。
図1ないし図3に示すように、X軸テーブル2は、X軸支持ベース21上に搭載されたテーブルベース22と、テーブルベース22の上面に組み込まれ、上方にエアーを吹き出すエアー浮上手段23(図8参照)と、テーブルベース22上方に浮上間隙を存して配設され、ワークWを吸着セットするための複数の負圧連通孔240が形成されたワークセットプレート24と、ワークセットプレート24をX軸方向に移動させるX軸移動機構25と、から構成されている。詳細は後述するが、テーブルベース22には、エアー浮上手段23を構成し、テーブルベース22とワークセットプレート24との間に一定の浮上間隙を形成するためのベルヌーイチップ33(ベルヌーイチャック)、搬送ブローチップ34および浮上ブローチップ35が、各々複数個配設されている(いずれも図8参照)。なお、以下では、X軸移動機構25によるワークセットプレート24(ワークW)の往復移動のうち、図2の上側から下側への移動を「往動」とし、下側から上側への移動を「復動」として説明を進める。
このX軸テーブル2では、描画エリアDAを挟んで、X軸方向に2つのエリアに分かれており、一方が主にワークWの給除材を行う載替えエリアSA(図2では上側)、他方が主にフラッシングユニット15や吐出検査ユニット18の移動を行う移動エリアTAとなっている(図8参照)。
また、載替えエリアSAは、略中央で2つのエリアに分かれており、上記のコンベヤ装置26側から順に、第1エリアA1、第2エリアA2、となっている(図8参照)。同様に、移動エリアTAは、略中央で2つのエリアに分かれており、描画エリアDA側から順に、第3エリアA3、第4エリアA4、となっている(図8参照)。
図2および図3に示すように、コンベヤ装置26は、水平にワークWを移動可能に設置されており、コンベヤ装置26の外観を形成するコンベヤフレーム260と、ワークWを下方から支持しX軸方向に向かって搬送するための複数のコンベヤローラ261と、各コンベヤローラ261を回転駆動するコンベヤモータ(図示省略)とから構成されている。各コンベヤローラ261は、X軸テーブル2の幅と略同一幅を有しており、給材および除材に合せて正逆回転する。なお、給材に際しワークWは、プリアライメントされた状態でコンベヤ装置26に導入されることが、好ましい。
図1ないし図3に示すように、Y軸テーブル3は、13個のキャリッジユニット4をそれぞれ吊設した13個のブリッジプレート3bと、13個のブリッジプレート3bを両持ちで支持する13組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸支持ベース3a上に設置され、ブリッジプレート3bをY軸方向に移動させる一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。また、Y軸テーブル3は、各キャリッジユニット4を介して描画時に機能液滴吐出ヘッド13を副走査するほか、機能液滴吐出ヘッド13を吸引ユニット16およびワイピングユニット17に臨ませる。この場合、各キャリッジユニット4を独立させて個別に移動させることも可能であるし、13個のキャリッジユニット4を一体として移動させることも可能である。
各キャリッジユニット4は、R・G・B・C・M・Yの6色、各2個(計12個)の機能液滴吐出ヘッド13と、12個の機能液滴吐出ヘッド13を6個ずつ2群に分けて支持するヘッドプレート41と、から成るヘッドユニット42を備えている(図4参照)。また、各キャリッジユニット4は、ヘッドユニット42をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構43と、θ回転機構43を介して、ヘッドユニット42をブリッジプレート3bに支持させる吊設部材44と、を備えている。加えて、各キャリッジユニット4は、その上部にサブタンク45が配設されており(実際には、ブリッジプレート3b上に配設)、このサブタンク45から自然水頭を利用し、且つ圧力調整弁(図示省略)を介して各機能液滴吐出ヘッド13に機能液が供給されるようになっている。なお、本実施形態においては、キャリッジユニット4の個数および各キャリッジユニット4に搭載される機能液滴吐出ヘッド13の個数は任意である。
図5に示すように、機能液滴吐出ヘッド13は、いわゆる2連のインクジェットヘッドであり、2連の接続針54を有する機能液導入部51と、機能液導入部51に連なる2連のヘッド基板52と、ヘッド基板52の下方に連なり機能液滴を吐出するヘッド本体53と、を備えている(図5(a)参照)。そして、ヘッド本体53のノズルプレート56には、多数の吐出ノズル57が、相互に平行、且つ半ノズルピッチ位置ズレして列設されている(図5(b)参照)。
図4および図6に示すように、各ヘッドユニット42には、描画エリアDAにおけるワークW(ワークセットプレート24)の複数部分(複数ポイント)の高さレベルを検出するためのレベル検出装置46が搭載されている。レベル検出装置46は、レーザ距離計測器等の非接触型の距離計測器であり、各ヘッドユニット42のヘッドプレート41に貫通形成された検出貫通孔47から検出面48を下方に向けて配設されている。
各レベル検出装置46は、ワークWの載せ替え時等の非描画処理時に、各ヘッドユニット42とワークWの各部分との距離(ワークギャップ)を計測し、その計測結果は、上記したメインコントローラ12に送られる。メインコントローラ12は、その計測結果に基づいて、ワークWが平坦(水平)になるように、描画エリアDAにおけるエアー浮上手段23(の浮上ブローチップ35)による圧空の供給圧力(流量)をコントロールする(詳細は後述)。なお、レベル検出装置46によるワークWのレベル計測は、自動で定期的に行うことが好ましいが、操作者のマニュアル操作等により行ってもよい。また、レベル検出装置46は、13個全てのヘッドユニット42に搭載せず、例えば、メンテナンスエリアMAから奇数個(または偶数個)目のヘッドユニット42にのみ搭載してもよいし、両端と中央とにのみ搭載してもよい。すなわち、ワークWの高さレベルを検出する部分の数は、任意である。
また、レベル検出装置46の搭載方式の別の実施形態として、レベル検出装置46を搭載するための専用のキャリッジユニット4(レベル検出キャリッジ(図示省略))を追加して、これをメンテナンスエリアMAから最も遠い位置に、14個目のブリッジプレート3bを介してY軸テーブル3に吊設してもよい。この場合のワークWのレベル計測は、非描画処理時に、吸引ユニット16およびワイピングユニット17に臨ませるべく、13個のキャリッジユニット4を一体としてメンテナンスエリアMAへと移動させる際、レベル検出キャリッジも共に移動させる。そして、吸引処理等が終了し、再び描画エリアDAに移動する際に、レベル検出キャリッジを移動しながら搭載したレベル検出装置46により、ワークWの各部のレベルを計測する。この形態では、レベル検出装置46は、1台のみ搭載すればよく、部品点数を少なくすることができると共に、非描画処理時のような遊休時に効率良くワークWのレベル計測を行うことができる。
図1ないし図3、図7に示すように、ワークアライメント装置5は、給材されたワークWのアライメントマーク(図示省略)を撮像し認識するものであり、X軸テーブル2を跨ぐように架け渡された一対のアライメントブリッジ5aと、アライメントブリッジ5aに支持され、上方からワークW表面の一対のアライメントマークを上方から撮像する複数のアライメントカメラ5bと、アライメントのためにX軸テーブル2のX軸移動機構25を駆動させるアライメントコントローラ(図示省略)と、から構成されている。
アライメントカメラ5bは、様々なワークWのサイズや、ワークWの縦置き横置きにも対応できるように、一対のアライメントブリッジ5aの9箇所に配設されている。一対のアライメントマークに対応する一対(または1つ)のアライメントカメラ5bは、給材されたワークWの一対のアライメントマークを撮像する。この撮像結果に基づいて、メインコントローラ12に組み込まれたアライメントコントローラは、X軸方向、Y軸方向およびθ方向のずれを認識し補正量を算出する。そして、詳細は後述するが、算出された補正量に基づきX軸移動機構25を駆動してワークWのθ方向のずれの補正を行うと共に、X軸方向の補正を行う(アライメント)。また、Y軸方向の補正は相対的なものとなり、Y軸テーブル3によりキャリッジユニット4を微小移動して行う。なお、Y軸方向中央の1台のアライメントカメラ5bは、この1台で一対のアライメントマークを撮像可能となっている。
チャンバCHは、液滴吐出装置1全体を収容し、内部の雰囲気が外気の影響を受けることのないように空気調和機器(図示省略)により簡易な温度と湿度の管理を行っている。なお、詳細は後述するが、ワークW(およびワークセットプレート24)の直接的な温度管理は、エアー浮上手段23から吹き出されたエアーに対する温度調整により行っている。また、有機EL装置等を製造する場合には、チャンバCH内を、不活性ガス(窒素ガス)の雰囲気で構成することが好ましい。かかる場合には、エアー浮上手段23に供給する作動気体も、不活性ガスとする。
次に、上記したX軸テーブル2(ワーク移動テーブル)について詳細に説明する。図8ないし図12に示すように、テーブルベース22は、やや厚みのある板状の部材であり、その上面(表面)には、ワークセットプレート24を安定浮上させるためのエアーを吹き出すエアー浮上手段23が組み込まれている。エアー浮上手段23は、ワークセットプレート24を一定位置にエアー浮上させると共にその上に載置したワークWを吸着セットする複数のベルヌーイチップ33(ベルヌーイチャック)と、載替えエリアSAにおいてワークWにエアーを斜めに吹き付ける複数の搬送ブローチップ34と、描画エリアDAにおいてワークセットプレート24をエアー浮上させる複数の浮上ブローチップ35と、を有している。
また、エアー浮上手段23は、テーブルベース22内に形成され、ベルヌーイチップ33、搬送ブローチップ34および浮上ブローチップ35にそれぞれ連通する複数の連通流路27と、各チップ33,34,35にそれぞれ圧空を供給するエアー供給機構36と、使用済みの圧空(作動エアー、ブローエアー)を吸引排気するエアー排気機構37と、を有している。なお、これらベルヌーイチップ33、搬送ブローチップ34および浮上ブローチップ35は、それぞれ単一の部品で構成し、テーブルベース22に組み込んでもよいし、テーブルベース22自体に、これらチップ33,34,35を作り込むようにしてもよい。
複数のベルヌーイチップ33は、描画エリアDA以外のテーブルベース22の上面全域に広く分布しており、第1エリアA1において、Y軸方向に沿って7個(行)が等間隔で1列に配設され、この列がX軸方向に沿って等間隔で4列配設されることでマトリクス状を成している(合計28個)。なお、以下では、テーブルベース22の上面において、X軸方向の1列の並びを「行」とし、Y軸方向の1列の並びを「列」として説明する。
同様に、第2エリアA2における複数のベルヌーイチップ33は、7行×4列配設され、さらに、描画エリアDA近傍の2列の間には、Y軸方向に半ピッチずれて6個(行)の列が1列配設されることで略マトリクス状を成している(合計34個)。すなわち、描画エリアDA側から3列は(7行・6行・7行の)千鳥状を成している。同様に、移動エリアTAにおける複数のベルヌーイチップ33は、7個(行)が等間隔で配設された列と、Y軸方向に半ピッチずれて6個(行)が等間隔で配設された列とが、交互に配設されることで千鳥状を成している。複数のベルヌーイチップ33は、第3エリアA3において、7行×4列、6行×3列(合計46個)が配設され、第4エリアA4において、7行×4列、6行×4列(合計52個)が配設されている。以上より、テーブルベース22全体では、160個のベルヌーイチップ33が配設されている。
複数の搬送ブローチップ34は、載替えエリアSAの全域に分布しており、第1エリアA1および第2エリアA2において、各々6行×3列(合計18個(両エリアで36個))が配設され、マトリクス状を成している。なお、上記した載替えエリアSAのベルヌーイチップ33の列と搬送ブローチップ34の列とが交互に配設されることで、全体として千鳥状を成している。
複数の浮上ブローチップ35は、上記の複数のベルヌーイチップ33と同様に、描画エリアDAの全域において、千鳥状に配設されており、詳細には、7行×2列、6行×3列、合計32個の浮上ブローチップ35が配設されている。
なお、図8に示すように、本実施形態では、テーブルベース22に配設された複数の各チップ33,34,35は、X軸方向に35列、Y軸方向に13行の千鳥状を形成しているが、各チップ33,34,35の個数、配設位置等は任意である。
図9ないし図13に示すように、各ベルヌーイチップ33は、導電性樹脂材等の部材で薄手の円環状に形成されており、ワークセットプレート24に非接触で対面する非接触保持面330と、非接触保持面330に上端が開放された円錐台形状に窪入形成された旋回流発生室331と、旋回流発生室331にエアーを吹き出し旋回流を発生させる一対の旋回流ノズル332と、一対の旋回流ノズル332に連なり圧空(作動エアー)を供給する一対のエアー流入流路333と、から構成されている。旋回流発生室331の下端部には、X軸方向に沿って一対の旋回流ノズル332が、旋回流発生室331の内周面335の接線方向に一方の端部を、対称位置に開口し、他方の端部を、各旋回流ノズル332の下側から垂直に形成された一対のエアー流入流路333に連通している(図13(b)参照)。
旋回流ノズル332から吹き出された作動エアーは、旋回流発生室331の内周面335に沿って流れ、強い旋回流となって非接触保持面330の表面に形成された渦流ガイド流路334に沿って内周側から外周側に向って流れ出す。このとき、旋回流の中心部には、ベルヌーイの定理に従って負圧が生じ、この負圧と作動エアー(正圧)とが拮抗することで、非接触保持面330の上方に存するワークセットプレート24が浮上すると共に、ワークセットプレート24に複数形成された負圧連通孔240を介して、ワークWに吸着力を作用させることができる。
図9、図10および図14(a)に示すように、各搬送ブローチップ34は、導電性樹脂材等の部材で薄手の円柱状に形成されており、ワークセットプレート24に非接触で対面する非接触搬送面340と、非接触搬送面340に開口し、給材方向に向けて斜め上方にエアーを吹き出す3本の給材ブローノズル341と、各給材ブローノズル341に連なり圧空(ブローエアー)を供給する3本の給材ブロー流路342と、非接触搬送面340に開口し、除材方向に向けて斜め上方にエアーを吹き出す3本の除材ブローノズル343と、各除材ブローノズル343に連なりブローエアーを供給する3本の除材ブロー流路344と、から構成されている。
3本の給材ブローノズル341は、一方の端部を、非接触搬送面340の描画エリアDA側でY軸方向に沿って等間隔に開口しており、他方の端部を、搬送ブローチップ34のX軸方向中央に向かって斜め下方に延在し、非接触搬送面340に対して垂直に形成された各給材ブロー流路342に連通している(図14(c)参照)。同様に、3本の除材ブローノズル343は、一方の端部を、非接触搬送面340のコンベヤ装置26側でY軸方向に沿って等間隔に開口しており、他方の端部を、搬送ブローチップ34のX軸方向中央に向かって斜め下方に延在し、非接触搬送面340に対して垂直に形成された各除材ブロー流路344に連通している。なお、各給材ブローノズル341または各除材ブローノズル343の数、配置位置等は任意である。また、一種のブローノズルを水平平面内で回転自在に構成し、ブローノズルを任意の方向に回転させることで給材方向および除材方向に圧空を吹き出すようにしてもよい。
複数の搬送ブローチップ34は、ワークセットプレート24に複数形成された負圧連通孔240に相対的に臨むようになっており、負圧連通孔240を介してワークWの底面(裏面)に対し、斜めにブローエアーを吹き付けることで、給材方向または除材方向に向かって浮上搬送が行われる。これにより、ワークWの給除材に際し、ワークWを持ち上げる必要がなく、ワークWをその姿勢を維持したまま、非接触で円滑に行うことができる。
図11、図12および図14(b)に示すように、浮上ブローチップ35は、導電性樹脂材等の部材で薄手の円柱状に形成されており、ワークセットプレート24に非接触で対面する非接触浮上面350と、非接触浮上面350に開口した2個の浮上ブローノズル352からY軸方向の両外側斜め上方にエアーを吹き出す複数のノズルセット351と、各浮上ブローノズル352に連なり圧空(ブローエアー)を供給する複数の浮上ブロー流路353と、から構成されている。
1組のノズルセット351は、X軸方向に並んだ2本の浮上ブローノズル352から構成されており、各ノズルセット351は、非接触浮上面350の四隅に配設されている(4組を90°点対称に配設)。2本の浮上ブローノズル352は、一方の端部を、非接触浮上面350上にX軸方向に並んで開口しており、他方の端部を、浮上ブローチップ35のY軸方向中央に向かって斜め下方に延在し、各浮上ブロー流路353に連通している(図14(c)参照)。すなわち、4組の浮上ブローノズル352は、2組ずつ、Y軸方向において逆向きに且つ斜めにエアーを吹き出し、この斜めに吹き出すエアーをバランスさせて、ワークセットプレート24を上方に浮上させる。なお、各ノズルセット351または各浮上ブローノズル352の数、配置位置等は任意である。
複数の浮上ブローチップ35によるエアー浮上は、描画エリアDAにおいて、ワークセットプレート24の底面(裏面)に、複数の浮上ブローチップ35(浮上ブローノズル352)から斜めにブローエアーを吹き付けることで行われる。これにより、圧力分布を均一な状態に安定化させることができ、高い平面精度でワークWを浮上させておくことができる。詳細は後述するが、ブローエアーは、ワークセットプレート24に形成された複数の負圧連通孔240を避けるように吹き付けられるため、ワークセットプレート24上のワークWは、浮き上がることがない。
図9ないし図12に示すように、テーブルベース22の上面(表面)には、エアー浮上手段23から吹き出された圧空(作動エアー、ブローエアー)を逃がすための逃げ溝31が形成されている。この逃げ溝31は、断面半円形状に形成され、上記した各チップ33,34,35の一つ一つを囲繞するように平面視六角形に且つ連設するように形成されている。すなわち、逃げ溝31は、千鳥状に配設された複数の各チップ33,34,35を囲繞するようにハニカム状に形成されている。また、ベルヌーイチップ33または浮上ブローチップ35が7個(行)配設された列において、各逃げ溝31のY軸方向の一対の頂点には、後述するエアー排気連通流路274に連通する吸引孔32がそれぞれ形成されている。すなわち、全体としてハニカム状の逃げ溝31には、複数の吸引孔32がマトリクス状に連通している。
この場合、エアー排気連通流路274により複数の吸引孔32には吸引力が作用するため、複数の各チップ33,34,35から吹き出された圧空(作動エアー、ブローエアー)は、逃げ溝31に沿うように流れ、テーブルベース22上から効果的に排気される。このため、テーブルベース22上面がワークセットプレート24に覆われていても、各チップ33,34,35の浮上性能が損なわれることがない。なお、逃げ溝31の形状(断面の形状含む)、大きさ、配置等は任意であり、吸引孔32の形状、大きさ、形成位置等は任意である。
図8ないし図12に示すように、複数の連通流路27は、各々Y軸方向に沿って形成されており、描画エリアDAを除くテーブルベース22の上面全域において、複数のベルヌーイチップ33に圧空(作動エアー)を供給するための複数(48本)の作動エアー連通流路270と、載替えエリアSAにおいて、複数の搬送ブローチップ34に圧空(ブローエアー)を供給するための複数(6本)の給材エアー連通流路271および複数(6本)の除材エアー連通流路272と、描画エリアDAにおいて、浮上ブローチップ35に圧空(ブローエアー)を供給するための複数(10本)の浮上エアー連通流路273と、逃げ溝31に形成された複数の吸引孔32からテーブルベース22上の圧空を排気するエアー排気連通流路274と、から構成されている。なお、図8では、作動エアー連通流路270および浮上エアー連通流路273は、上記した本数の半分のみを図示している。
作動エアー連通流路270は、1列の複数のベルヌーイチップ33の下側において、1列につき、2本が連通しており、各作動エアー連通流路270は、上記した、各エアー流入流路333に連通し、各ベルヌーイチップ33に作動エアーを供給している。
また、給材エアー連通流路271および除材エアー連通流路272は、1列の複数の搬送ブローチップ34の下側において、1列につき、各1本が連通しており、各給材エアー連通流路271および各除材エアー連通流路272は、上記した、各給材ブロー流路342および各除材ブロー流路344に連通し、各搬送ブローチップ34にブローエアーを供給している。
さらに、浮上エアー連通流路273は、1列の複数の浮上ブローチップ35の下側において、1列につき、2本が連通しており、各浮上エアー連通流路273は、上記した、Y軸方向に並んだ2組のノズルセット351(4本の浮上ブローノズル352)に接続された4本の浮上ブロー流路353に連通し、各浮上ブローチップ35にブローエアーを供給している。
作動エアー連通流路270、給材エアー連通流路271および浮上エアー連通流路273は、それぞれ、各流路端をテーブルベース22のY軸方向、一方の側面に開口している。なお、連通流路27の本数、開口位置等は任意である。また、テーブルベース22の大型化により一方の側面からの穿孔による連通流路27の形成が困難な場合には、テーブルベース22の両側面から穿孔して一の流路を形成するようにしてもよい。或いは、テーブルベース22を、上部および下部の2重構造として、下部の表面に各流路となる溝を形成し、その溝の上に上部を重ねることで連通流路27を構成してもよい。
エアー排気連通流路274は、上記した複数の吸引孔32が形成された各列の下側において、1列につき、1本が複数の吸引孔32に連通しており、描画エリアDAに2本、その他のエリアA1,A2,A3,A4に各4本、合計18本で構成されている。各エアー排気連通流路274は、上記した各連通流路270,271,272,273とは、反対側のY軸方向側面に開口している。
次に、図8に示すように、エアー供給機構36は、ベルヌーイチップ33等に圧空を供給する圧空源360と、上流端を圧空源360に連通した圧空流路361と、圧空流路361の下流端に連なり、圧空の温度を調整するエアー温度調節装置362と、上流端をエアー温度調節装置362に接続した温調流路363と、テーブルベース22の作動エアー連通流路270等に連通するエアー供給流路系364と、温調流路363の下流端とエアー供給流路系364とを接続する供給側マニホールド365と、から構成されている。
圧空流路361は、上流端を圧空源360に接続し、圧空源360の近傍には、上流側から、圧空流路361の開閉を行う圧空バルブ380と、圧空の供給圧力を調整する圧空レギュレータ381と、が介設されている。
エアー温度調節装置362は、上流側から、供給する圧空を冷却する冷却器382と、供給する圧空を加熱する加熱器383と、冷却または加熱された圧空の温度を検出する温調センサ384と、を有しており、これらの機器には、温調コントローラ385が接続されている。Y軸支持ベース3aには、複数の非接触型温度センサ(図示省略)が吊設され、描画エリアDAに臨むワークW(またはワークセットプレート24)の表面温度を測定することができるようになっており、温調コントローラ385は、非接触型温度センサの検出結果から冷却器382および加熱器383をフィードバック制御するようになっている。温調センサ384は、予備的に設けられたものであり、冷却器382および加熱器383が正常動作しているか否かを検出する。なお、非接触型温度センサの設置数は、任意であり、設置位置も、例えば、ヘッドユニット42に搭載するようにしてもよい。また、ワークセットプレート24の温度を計測する場合には、非接触型温度センサに変えて、接触型の温度センサを用いてもかまわない。
このエアー温度調節装置362では、非接触型温度センサが、温度変化を検出すると、メインコントローラ12から温調コントローラ385に制御信号が送られる。温調コントローラ385は、この制御信号に基づいて冷却器382または加熱器383を作動させ、温度調整を行った圧空を浮上間隙に供給することで、ワークW等を設定した温度に維持するようになっている。なお、冷却器382、加熱器383および温調センサ384の配置の仕方は任意である。例えば、冷却器382と加熱器383とを並列に配管してもよいし、冷却器382と加熱器383とを経由せずに圧空を温調流路363に連通させるようなバイパス(バルブ付き)を設けるようにしてもよい。
エアー供給流路系364は、複数のベルヌーイチップ33に作動エアーを供給する複数の作動エアー供給流路386と、搬送ブローチップ34に給材用のブローエアーを供給する給材エアー供給流路387と、除材用のブローエアーを供給する除材エアー供給流路388と、浮上ブローチップ35にブローエアーを供給する浮上エアー供給流路389と、から構成されている。
複数の作動エアー供給流路386は、描画エリアDAを除くテーブルベース22上全域の4つのエリアA1,A2,A3,A4に対応するように4本の流路で構成されている。各作動エアー供給流路386は、上流端を供給側マニホールド365に接続しており、供給側マニホールド365の近傍には、上流側から、作動エアーの供給圧力を調整する電空レギュレータ36aと、各作動エアー供給流路386の開閉を行う供給側ソレノイドバルブ36bと、が介設されている。
第1エリアA1の作動エアー供給流路386は、下流側で8分岐されて、分岐された各流路の下流端を、第1エリアA1の側面に開口した8本の作動エアー連通流路270に各々接続されている。同様に、第2エリアA2、第3エリアA3および第4エリアA4の各作動エアー供給流路386は、それぞれ下流側で10分岐、14分岐および16分岐されて、各々の分岐された流路の下流端を、対応するエリアA2,A3,A4の側面に開口した各作動エアー連通流路270に接続されている。なお、図8では、各エリアA1,A2,A3,A4の作動エアー供給流路386の分岐数は、上記した分岐数の半分のみを図示している。
給材エアー供給流路387および除材エアー供給流路388は、各々、上流端を供給側マニホールド365に接続しており、供給側マニホールド365の近傍には、上流側から、ブローエアーの供給圧力を調整する電空レギュレータ36aと、各流路387,388の開閉を行う供給側ソレノイドバルブ36bと、が介設されている。
給材エアー供給流路387は、下流側で6分岐されて、分岐された各流路の下流端を、第1エリアA1および第2エリアA2の側面に開口した6本の給材エアー連通流路271に各々接続されている。同様に、除材エアー供給流路388も、下流側で6分岐されて、第1エリアA1および第2エリアA2の側面に開口した6本の除材エアー連通流路272に各々接続されている。
浮上エアー供給流路389は、上流端を供給側マニホールド365に接続しており、供給側マニホールド365の近傍には、浮上エアー供給流路389の開閉を行う供給側ソレノイドバルブ36bが介設されている。
また、浮上エアー供給流路389は、下流側で10分岐されており、分岐された各流路には、ブローエアーの供給圧力を調整する電空レギュレータ36aが介設され、分岐された流路の下流端を描画エリアDAの側面に開口した10本の浮上エアー連通流路273に各々接続されている。この10個の電空レギュレータ36aは、上記したレベル検出装置46の計測結果に基づくブローエアーの供給圧力(流量)のコントロールに用いられる。なお、図8では、浮上エアー供給流路389の分岐数は、上記した分岐数の半分(5分岐)のみを図示している。
なお、メインコントローラ12は、上記したレベル検出装置46の計測結果に基づいて、各電空レギュレータ36aを制御する。これにより、Y軸方向に沿って形成された任意の1本の浮上エアー連通流路273に供給するブローエアーの供給圧力(流量)を調整することができるため、浮上ブローチップ35のY軸方向に並んだ2組のノズルセット351からのブローエアーの吹き出し量をコントロールすることができる。このため、描画エリアDAにおけるワークWの平面精度を良好に維持することができる。
以上のように、各供給流路に介設された供給側ソレノイドバルブ36bを操作することで、ワークセットプレート24が臨んだエリアにのみ圧空(作動エアー、ブローエアー)の供給を行うことができる。このため、ワークセットプレート24(ワークW)を、圧空源360からの最小限のエアー流量で、効率良く安定して浮上させることができる。
図8に示すように、エアー排気機構37は、ベルヌーイチップ33等に供給した圧空(作動エアー、ブローエアー)を吸引し排気する真空吸引源370と、テーブルベース22の複数のエアー排気連通流路274に連通する複数のエアー排気流路371と、下流端を真空吸引源370に接続した排気本流路372と、排気本流路372の上流端と複数のエアー排気流路371とを接続する排気側マニホールド373と、から構成されている。
複数のエアー排気流路371は、複数のエアー排気連通流路274に連通し、テーブルベース22上に供給された圧空を逃げ溝31に形成された複数の吸引孔32から真空吸引源370へと吸引排気するための流路となっている。描画エリアDAの2本のエアー排気連通流路274には、各々エアー排気流路371が連通しており、この2本のエアー排気流路371は、2分岐継手(図示省略)により1本に合流して、その合流した下流端を排気側マニホールド373に接続している。同様に、描画エリアDAを除くエリアA1,A2,A3,A4における各々4本のエアー排気連通流路274には、各々エアー排気流路371が連通しており、この4本のエアー排気流路371は、4分岐継手(図示省略)により各々1本に合流して、その合流した下流端を排気側マニホールド373に接続している。すなわち、複数のエアー排気連通流路274に連通した複数(18本)のエアー排気流路371は、5つのエリアA1,A2,DA,A3,A4ごとに合流し、下流側で5本の流路となり、その下流端を排気側マニホールド373に接続している。
各エアー排気流路371の排気側マニホールド373の近傍には、下流側から、圧空の排気圧力を調整する真空レギュレータ37aと、各エアー排気流路371の開閉を行う排気側ソレノイドバルブ37bと、が介設されている。5本のエアー排気流路371は、下流端で排気側マニホールド373により合流し、排気本流路372を介して真空吸引源370に接続されている。これにより、一の真空吸引源370と、排気側ソレノイドバルブ37bを開閉制御とで、圧空源360から供給された圧空の吸引処理を行うエリアを任意に選択することができるため、小さな吸引力で効率よく吸引処理を行うことができる。
図15に示すように、ワークセットプレート24は、薄板状の軽量な部材で構成され、その全域に、テーブルベース22の上面に複数個配設された各チップ33,34,35に上方から臨むように、複数の負圧連通孔240が貫通形成されている。また、ワークセットプレート24の往動方向には、Y軸方向に沿って、コンベヤ装置26から搬送(給材)されてきたワークWの度当りとなる一対の位置決めピンPが出没自在に設けられている。一対の位置決めピンPは、Y軸方向に沿った中央付近に配設されており、搬送されてきたワークWは、ワークセットプレート24上に突出した一対の位置決めピンPに突き当たることでX軸方向への搬送が停止されると共に、ワークセットプレート24上でのθ方向のプリアライメントが行われる。
各負圧連通孔240は、複数の小穴241を千鳥状に配設して形成された複数組の小穴群242から構成されている。各小穴241は、X軸方向に延在する長穴であり、等間隔にX軸方向に並んで、垂直に貫通形成されている。各小穴群242は、X軸方向に等間隔に並んだ1行の小穴241が、千鳥状となるようにY軸方向に5行配設されて1組を成しており、テーブルベース22の上面の各チップ33,34,35に対応するように、Y軸方向に等間隔に並んで13組が配設されている。なお、小穴241の形状(丸穴、長穴等)、大きさは任意であり、また、小穴群242における小穴241の個数(行数)、配設位置(千鳥状、マトリクス状等)等も任意である。
したがって、載替えエリアSAおよび移動エリアTAにおいて、ある行の複数のベルヌーイチップ33上の1組の小穴群242(負圧連通孔240)は、各ベルヌーイチップ33の負圧発生部分に臨むこととなる。これにより、ワークセットプレート24は、テーブルベース22の表面から一定の位置に浮上すると共に、ワークセットプレート24上に載置されたワークWには、小穴群242を介して吸引力を作用させることができる。同様に、載替えエリアSAにおいて、ある行(偶数行)の複数の搬送ブローチップ34上の1組の小穴群242は、給材ブローノズル341および除材ブローノズル343に臨むこととなる。これにより、給材ブローノズル341または除材ブローノズル343からのブローエアーを小穴群242を介して直接ワークWに作用させることができるため、ワークWをエアー浮上させ、移動させることができる。
一方、描画エリアDAにおいて、上記したように、浮上ブローチップ35の各浮上ブローノズル352は、Y軸方向両端側に位置しているため、浮上ブローチップ35の上方の負圧連通孔240(小穴群242)は、各浮上ブローノズル352からのブローエアーが当らない位置に臨むこととなる。つまり、負圧連通孔240を避けた位置にブローエアーが吹き付けられるため、ブローエアーは、ワークセットプレート24のみに作用する。これにより、ワークセットプレート24上のワークWは、浮き上がることなく安定してワークセットプレート24上にセットされつつ、ワークセットプレート24は、ブローエアーにより形成された安定した圧力分布の浮上間隙を存して安定して浮上することとなる。
図1ないし図3、図15に示すように、X軸移動機構25は、テーブルベース22のX軸方向に沿う両側に配設された一対のX軸ガイドレール250と、各X軸ガイドレール250上をスライド自在に移動する片側3個のX軸スライダ251と、各X軸スライダ251とワークセットプレート24とを、それぞれ連結する連結ブロック252と、各X軸スライダ251を介してワークセットプレート24(ワークW)を移動させるX軸リニアモータ(図示省略)と、から構成されている。
片側のX軸ガイドレール250には、ワークセットプレート24のスライド方向の中間位置および両端位置に設けた3個のX軸スライダ251が、等間隔で並べられている。連結ブロック252は、片側のX軸ガイドレール250につき、ワークセットプレート24のスライド方向の中間位置に設けた基準連結ブロック253と、両端位置に設けた一対の調整連結ブロック254と、から構成されており、これらのブロック253,254は、3個のX軸スライダ251に、各々搭載されている。すなわち、ワークセットプレート24は、両側で6点により支持されている。
一対の基準連結ブロック253は、X軸方向およびY軸方向の微小移動を許容する硬質ゴム等の弾性材で構成されている。
各調整連結ブロック254は、X軸スライダ251上にY軸方向に沿って配設されたY軸微小ガイドレール256と、Y軸微小ガイドレール256上をスライド自在に移動するY軸微小スライダ257と、Y軸微小スライダ257とワークセットプレート24とを連結する微小スライダベース258と、から成るY軸微小移動機構255を備えている。微小スライダベース258は、硬質ゴム等の弾性材で構成されており、X軸方向への移動を許容している。Y軸微小移動機構255は、このX軸方向への移動の許容とY軸微小スライダ257のY軸方向への移動とにより、滑らかなθ方向へ移動を行うことができる。なお、各調整連結ブロック254は、Y軸微小移動機構255を省略して、各基準連結ブロック253と同様に、硬質ゴム等の弾性材で構成してもよい。
ここで、ワークセットプレート24にセットされたワークWのθ方向およびX軸方向のアライメントについて説明する。給材(搬送)されてきたワークWは、一対の位置決めピンPにより給材搬送が停止され、ワークセットプレート24上にプリアライメントされた状態で吸着セットされる。その後、一対の位置決めピンPを没入させ、上記したワークアライメント装置5により各方向の補正量を算出する。θ方向のアライメントは、補正量に応じてワークセットプレート24の両側の各X軸リニアモータを互いに反対方向に駆動させることで行われる。これにより、ワークセットプレート24の水平平面に垂直な中心軸に対して回転し、ずれの補正量(移動距離)が両側に振り分けられるため、最小限の移動距離でアライメントを実施することができる。また、各連結ブロック252によりθ方向のねじれを吸収することができるため、無理なくワークセットプレート24(ワークW)のθ方向のアライメントを実施することができる。また、両側のX軸リニアモータを並行移動することによりX軸方向の補正も行われる。このようにアライメントを行うことで、ワークWに対して高精度な描画処理を施すことができる。なお、移動距離が大きくなるが、ワークセットプレート24の片側の移動手段のみを駆動させて、θ方向のアライメントを実施してもかまわない。
図1ないし図3、図16および図17を参照して、フラッシングユニット15について詳細に説明する。上述したように、フラッシングユニット15は、描画処理直前に機能液滴吐出ヘッド13からの捨て吐出を受ける描画前フラッシングユニット61と、ワークWの載せ替え時等の非描画処理時に行われる機能液滴吐出ヘッド13の捨て吐出を受ける定期フラッシングユニット62と、から構成されている。
描画前フラッシングユニット61および定期フラッシングユニット62は、ほぼ同一の構成となっており、機能液滴吐出ヘッド13の捨て吐出を受けるロール状に巻回された受液シート63と、受液シート63を下側から水平に支持するFL支持プレート64と、受液シート63をFL支持プレート64に添わせて繰り出すと共にFL支持プレート64から巻き取る受液シート供給装置65と、X軸移動機構25の一対のX軸ガイドレール250上をスライド自在に移動する一対のFLスライダ66と、から構成されている。FL支持プレート64(受液シート63および受液シート供給装置65)は、各FLスライダ66を介してX軸リニアモータによりX軸方向にスライド自在に移動する。なお、定期フラッシングユニット62は、受ける機能液の量が多いため、描画前フラッシングユニット61よりも、厚手の受液シート63を用いている。しかし、両ユニット61,62とも同一の受液シート63を用いてもかまわない。
FL支持プレート64には、上記したワークセットプレート24と同様に、複数のベルヌーイチップ33の負圧を受液シート63に作用させる複数のFL用負圧連通孔640が形成されている。この各FL用負圧連通孔640は、ワークセットプレート24に形成された負圧連通孔240と同様に、X軸方向に向けた長穴から成る複数のFL用小穴641が、千鳥状に配設されて1組のFL用小穴群642を構成しており、FL用小穴群642は、テーブルベース22の上面の各チップ33,34,35に対応するように、Y軸方向に等間隔に並んで13組が配設されている。なお、FL用小穴641の形状(丸穴、長穴等)、大きさ等およびFL用小穴群642におけるFL用小穴641の個数(行数)、配設位置(千鳥状、マトリクス状等)等は任意である。
移動エリアTAおよび載替えエリアSAにおいて、ある行の複数のベルヌーイチップ33上の1組のFL用小穴群642(FL用負圧連通孔640)は、各ベルヌーイチップ33の負圧発生部分に臨むため、FL支持プレート64は、テーブルベース22の表面から一定の位置に浮上すると共に、FL支持プレート64上に載置された受液シート63には、FL用小穴群642を介して吸着力を作用させることができる。一方、描画エリアDAにおいては、上記したように、FL用負圧連通孔640を避けた位置にブローエアーが吹き付けられるため、受液シート63は浮き上がることがなく、且つFL支持プレート64を安定浮上させることができる。
受液シート供給装置65は、巻回した受液シート63をFL支持プレート64上に繰り出す受液シート供給リール650と、受液シート供給リール650を駆動する受液シート供給モータ651と、受液シート供給リール650側に配設され、FL支持プレート64上の受液シート63にテンションを与える受液シートテンションモータ652と、受液シート供給リール650から繰り出された受液シート63を巻き取る受液シート巻取リール653と、受液シート巻取リール653を駆動する受液シート巻取モータ654と、受液シート巻取リール653側に配設され、FL支持プレート64上の受液シート63にテンションを与える受液シート送りモータ655と、から構成されている。
受液シート供給リール650および受液シート巻取リール653は、各々、X軸ガイドレール250のY軸方向両側端側においてX軸方向に沿って配設されており、巻回中心部分に設けられた受液シート供給モータ651および受液シート巻取モータ654により、受液シート供給リール650からX軸を渡すように繰り出された受液シート63を、受液シート巻取リール653に巻き取るように回転する。また、各リール650,653には、各モータの停止時に巻かれた受液シート63の巻き戻りや弛みを防止するため、各リール650,653の回転を規制する制動機構(図示省略)が各々組み込まれている。
受液シートテンションモータ652および受液シート送りモータ655は、ギヤードモータ等の角度保持可能なモータであり、受液シートテンションモータ652を繰り出し方向とは逆方向に回転すると共に、受液シート送りモータ655を巻き取り方向に回転して、FL支持プレート64上に繰り出された受液シート63に張り(テンション)を与えるようになっている。なお、FL支持プレート64上に繰り出した受液シート63に対し、受液シート供給装置65により、十分なテンションを与えることができるのであれば、移動時にFL支持プレート64上の受液シート63は、ずれることがないため、上記したFL支持プレート64のFL用負圧連通孔640は不要である。
ここで、描画前フラッシングおよび定期フラッシングについて説明する。描画前フラッシングユニット61は、描画処理に移る前に、移動エリアTAの往動方向外端部側(待機位置)から載替えエリアSAに位置するワークセットプレート24に添うように移動する。そして、描画前フラッシングユニット61は、ワークセットプレート24の移動に同期するようにして共に往動し、ワークWが各ヘッドユニット42に臨む直前に全機能液滴吐出ヘッド13から吐出された機能液滴を受ける(描画前フラッシング)。すなわち、描画のために相対的に移動する複数の機能液滴吐出ヘッド13のうち、描画前フラッシングユニット61の直上に達したものから描画前フラッシングを行う。これにより、描画直前の機能液滴吐出ヘッド13の吐出を安定させることができ、ワークWに対して精度良い描画処理を行うことができる。
定期フラッシングユニット62は、描画処理時には、描画前フラッシングユニット61の待機位置の更に外側で待機しており、非描画処理時には、描画エリアDAに移動し、各ヘッドユニット42の全機能液滴吐出ヘッド13から吐出された機能液滴を受ける(定期フラッシング)。これにより、非描画処理時の機能液滴吐出ヘッド13の吐出ノズル57の詰りを予防することができる。
なお、描画前フラッシングと定期フラッシングとを、1つのユニットで受けるように構成してもかまわない。
続いて、図1ないし図3、図16ないし図18を参照して、吐出検査ユニット18について詳細に説明する。吐出検査ユニット18は、各機能液滴吐出ヘッド13から検査吐出された機能液滴が着弾し、X軸方向にスライド自在に移動する受液移動部71と、受液移動部71に着弾した機能液滴の着弾ドットDを画像認識して吐出性能を検査すると共に吐出された機能液量を測定する検査測定部81と、から構成されている。
受液移動部71は、図16および図17に示したフラッシングユニット15と同様の構成であり、機能液滴吐出ヘッド13からの検査吐出を受けるロール状に巻回された検査シート72と、検査シート72を下側から水平に支持する検査支持プレート73と、検査シート72を検査支持プレート73に添わせて繰り出すと共に検査支持プレート73から巻き取る検査シート供給装置74と、一対のX軸ガイドレール250上をスライド自在に移動する一対の検査スライダ75と、から構成されている。検査支持プレート73(検査シート72および検査シート供給装置74)は、各検査スライダ75を介してX軸リニアモータによりX軸方向にスライド自在に移動する。
検査支持プレート73には、上記したFL支持プレート64と同様に、複数の検査用小穴731を千鳥状に配設して形成された複数組の検査用小穴群732から構成された複数の検査用負圧連通孔730が形成されている。
検査シート供給装置74は、上記した受液シート供給装置65と同様に、検査シート供給リール740、検査シート供給モータ741および検査シートテンションモータ742と、検査シート巻取リール743、検査シート巻取モータ744および検査シート送りモータ745と、から構成されている。なお、各検査用負圧連通孔730および検査シート供給装置74の構成、作用および効果は、上記したFL用負圧連通孔640および受液シート供給装置65のそれと同様であるため説明は省略する。
検査測定部81は、移動エリアTAの往動方向外側端部において、X軸テーブル2を跨ぐように架け渡されたブリッジフレーム82と、ブリッジフレーム82に移動自在に吊設され、上方から検査シート72上に検査吐出された着弾ドットDを画像認識する2台の撮像ユニット83と、各撮像ユニット83をY軸方向に移動させる撮像移動機構84と、メインコントローラ12に組み込まれ、各撮像ユニット83の認識結果から機能液滴吐出ヘッド13の吐出性能および機能液量を評価および算定する評価算定手段(図示省略)と、から構成されている。
各撮像ユニット83は、機能液滴吐出ヘッド13からの吐出の有無および飛行曲り(着弾位置)の検査をするための撮像を行う吐出検査カメラ830と、吐出された機能液量を測定するための撮像を行う吐出量測定カメラ831と、吐出量測定カメラ831の自動焦点距離合わせに用いるレーザ測長器832と、から構成されている。
吐出検査カメラ830には、同軸落射照明器(図示省略)が組み込まれており、同軸落射照明の下で着弾ドットDを撮像する。一方、吐出検査カメラ830には、切替式リング照明器833(3色に切り替え可能)が備えられており、機能液の種類(色種)に応じて適切な色に切り替えた照明の下で着弾ドットDを撮像する。
撮像移動機構84は、各撮像ユニット83をY軸方向にスライド自在に移動する撮像スライダ86と、撮像リニアモータ(図示省略)と、から構成されている。このように、撮像移動機構84により各撮像ユニット83を移動させることで、最小限のカメラ830,831の配置台数で、吐出検査測定における時間を短縮することができる。
ここで、吐出検査ユニット18における検査・測定について説明する。受液移動部71は、ワークWに対する描画処理時には、定期フラッシングユニット62の待機位置の更に外側で待機しており、非描画処理時には、描画エリアDAに移動して、検査シート72上に、ヘッドユニット42の全機能液滴吐出ヘッド13から機能液滴の検査吐出を受ける。検査吐出後、受液移動部71は、検査測定部81の撮像ユニット83に臨む位置に移動し、2台の撮像ユニット83をY軸方向に走査させることにより着弾ドットDを撮像する。この撮像結果に基づいて、メインコントローラ12に組み込まれた評価算定手段により、機能液滴吐出ヘッド13からの吐出の有無および飛行曲りを検査すると共に、機能液滴の着弾ドットDの直径から吐出量(重量)を算出(測定)する。
具体的には、図19に示すように、撮像した着弾ドットDと、評価算定手段がデータとして保持する吐出基準マークMとが、一致している場合(図19(a)参照)、機能液滴を吐出した吐出ノズル57は、正常に吐出していると判断される。一方、着弾ドットDが、吐出基準マークMから外れている場合(図19(b)参照)には飛行曲がりと判断され、また、着弾ドットDが小さい場合や円形でない場合(図19(c)参照)には不良吐出と判断される。さらに、着弾ドットDが無い場合には不吐出と判断される。なお、図19では、判断しやすいように吐出基準マークMを着弾ドットDよりひと回り大きな円で表示している。
また、評価算定手段は、予め実験的に求めた、着弾ドットDの直径と機能液滴の吐出量(重量)との関係をデータとして保持しており、撮像した着弾ドットDの直径を測定・算出することにより、機能液滴の吐出量を算出することができるようになっている。
ここで、本実施形態のメインコントローラ12による液滴吐出装置1のワークWの給材から描画までの処理手順について説明する。まず、コンベヤ装置26から搬送されてきたワークWを、複数の搬送ブローチップ34の各給材ブローノズル341からのブローエアーにより、ワークセットプレート24上に給材搬送する。そして、ブローエアーを停止させると共に、載替えエリアSAにおける各ベルヌーイチップ33に作動エアーを供給し、ワークWを吸着セットして、各方向のアライメントを行う。なお、このアライメント位置が、ワークセットプレート24のホーム位置となっている。アライメントの実施中に、移動エリアTAにおける各ベルヌーイチップ33に作動エアーを供給すると共に、描画エリアDAにおける浮上ブローチップ35にブローエアーを供給し、待機位置のフラッシングユニット15および受液移動部71(吐出検査ユニット18)を復動させる。そして、先ず、受液移動部71が各ヘッドユニット42に臨み、全機能液滴吐出ヘッド13からの検査吐出を受ける。その後、吐出検査ユニット18は、往動して検査測定部81に臨み、所定の検査・測定が実施される。受液移動部71に代えて、定期フラッシングユニット62は、各ヘッドユニット42に臨み、全機能液滴吐出ヘッド13からの定期フラッシングを受ける。描画前フラッシングユニット61は、ホーム位置のワークセットプレート24に添う位置に存している。なお、圧空の供給時には、同時にエアー排気機構37によるエアー吸引も行われている。
アライメント終了後、定期フラッシングユニット62は、待機位置に復動すると共に、ワークWをセットしたワークセットプレート24は、描画処理を開始する前に、X軸方向(主走査方向)に往復移動し、各レベル検出装置46により、描画エリアDAにおけるワークWの各部のレベルを計測される。なお、このレベル計測は、規定数のワークWに描画処理を行った後に自動で実施することが好ましいが、ワークWへの描画処理の度に実施してもよいし、液滴吐出装置1の稼動開始時に1度だけ実施してもよい。なお、本実施形態では、往復移動時にレベル計測を実施しているが、往動または復動、どちらか一方でのみレベル計測を実施してもよい。
レベル計測の後、ワークセットプレート24および描画前フラッシングユニット61は、共にX軸方向に往復移動する。往動する際、各機能液滴吐出ヘッド13には、ワークWに先立って、描画前フラッシングユニット61が臨んで描画前フラッシングを受け、その後、ワークWが臨んで所定の描画処理を受ける。往動が終了すると各キャリッジユニット4(ヘッドユニット42)は、Y軸方向に所定の移動を行い、復動する際にも描画処理が行われる。本実施形態では、その構成から、往動時にのみ描画前フラッシングユニット61による描画前フラッシングを受けることとなる。なお、ワークWに対する描画処理は、往動または復動、いずれか一方でのみ実施してもよい。また、描画前フラッシングユニット61をワークセットプレート24のX軸方向両側に添設するようにし、往動および復動での描画処理に先立ち描画前フラッシングを受けるようにしてもよい。
以上の構成によれば、気体調和(温度調整)された圧空を用いてワークWを浮上させることができるため、圧空によりワークWの温度を一定に保つことができる。これにより、温度変化によるワークWの変形(膨張または収縮)を防止することができるため、ワークWに対する高精度な処理を行うことができる。また、X軸テーブル2全体に対して空気調和を図る必要がないため、X軸テーブル2全体を収容するチャンバCHを簡単なものとすることができる。これにより、液滴吐出装置1全体の単純化および小型化を図ることができる。
次に、本発明のワーク移動テーブルを適用した、他の液滴吐出装置1(第2実施形態)について説明する。この液滴吐出装置1では、ワークセットプレート24を省略し、X軸移動機構25の連結ブロック252に代えて、各X軸ガイドレール250上をスライド自在に移動する3個のX軸スライダ251に各々搭載され、ワークWを吸着セットする吸着プレート280を有している。また、吸着プレート280は、ワークWに吸引力を作用させるための真空吸引流路系284を介して真空吸引源370に連通している。その他の構成は、上述した液滴吐出装置1(第1実施形態)と同様であるため説明は省略し、以下、第1実施形態と異なる構成についてのみ説明する。
図20および図21に示すように、各X軸ガイドレール250には、3個のX軸スライダ251が連続して並べられており、各X軸スライダ251には、分割吸着プレート281が搭載されている。すなわち、一対のX軸ガイドレール250には、6個の分割吸着プレート281がX軸方向にスライド自在に備えられている。各分割吸着プレート281は、ワークWに吸引力を作用させるための複数(9個)の真空吸着溝282と、各真空吸着溝282に連通する複数(9本)の個別吸引連通流路283と、から構成されている。
真空吸着溝282は、X軸方向に長いトラック状に形成されており、各分割吸着プレート281の上面(表面)に、XおよびY軸方向に各々3個、合計9個が、マトリクス状に配設されている。このように、真空吸着溝282をトラック状に形成することで、ワークWの移動方向を考慮しつつ、吸引力を均一に作用させることができる。なお、ワークWが,対応する複数の真空吸着溝282を塞ぐことができずに生じる吸引エアーの漏れがないように、各真空吸着溝282は、ワークWの規定単位寸法(モジュール)に対応するように配設されていることが好ましい。
図21(b)に示すように、9本の個別吸引連通流路283は、各分割吸着プレート281において、各々Y軸方向に向かって形成されており、且つX軸方向に等間隔に並んで配設され、下流端を分割吸着プレート281の外側側面に各々開口している。また、各個別吸引連通流路283は、上流側で2分岐されて、分岐された各流路の下流端を各真空吸着溝282に各々連通している。
真空吸引流路系284は、上流端を各分割吸着プレート281の外側側面に開口した各個別吸引連通流路283に接続する複数の個別吸引流路285と、複数の個別吸引流路285を分割吸着プレート281ごとに合流させる6個の個別マニホールド286と、各個別マニホールド286とエアー排気機構37の排気側マニホールド373とを接続する複数の個別排気流路287と、から構成されている。すなわち、吸着プレート280は、真空吸引流路系284を介してエアー排気機構37の真空吸引源370に連通し、吸着プレート280上のワークWに吸引力を作用させることができるようになっている。
個別吸引流路285は、各分割吸着プレート281あたり9本、合計54本で構成されており、その上流端を、各々個別吸引連通流路283に接続しており、その下流端を、分割吸着プレート281ごとに9本ずつ一の個別マニホールド286に接続している。また、個別吸引流路285には、個別マニホールド286の近傍、下流側から、吸引圧力を調整する個別レギュレータ25aと、各個別吸引流路285の開閉を行う個別ソレノイドバルブ25bと、が介設されている。この各個別ソレノイドバルブ25bの開閉を制御することにより、任意の真空吸着溝282から真空吸引を行うことができるため、吸着プレート280上の任意の位置にエアーのリークを生ずることなく、ワークWを吸着セットすることができる。これにより、ワークWのセット位置の自由度が増すと共に、必要最小限の吸引力でワークWを有効に吸着セットすることができる。なお、本実施形態では、作動エアー等の吸引を行うエアー排気機構37の真空吸引源370によりワークWを吸着セットしているが、別途専用の真空吸引手段を設けてもかまわない。また、個別ソレノイドバルブ25bの開閉は、自動であってもよいし、手動であってもよい。
ここで、各分割吸着プレート281にセットされたワークWのθ方向およびX軸方向のアライメントについて説明する。第2実施形態では、一対の位置決めピンPは、テーブルベース22の載替えエリアSAにY軸方向に沿って出没自在に設けられており、給材(搬送)されてきたワークWは、一対の位置決めピンPにより給材搬送が停止され、ワークWのY軸方向両端部を、一対の吸着プレート280上にプリアライメントされた状態で支持される。その後、一対の位置決めピンPを埋没させ、一対のX軸ガイドレール250の中央に位置する一対の分割吸着プレート281の最も内側の真空吸着溝282に連なる個別吸引連通流路283を開放して、ワークWを仮吸着セットして、上記したワークアライメント装置5により、各方向の補正量を算出する。θ方向のアライメントは、補正量に応じて両側の各X軸スライダ251の各X軸リニアモータを互いに反対方向に駆動させることで行われる。これにより、ワークWの水平平面に垂直な中心軸に対して回転し、ずれの補正量(移動距離)が両側に振り分けられるため、最小限の移動距離でアライメントを実施することができる。また、一部の真空吸着溝282により仮セットされているだけのため、無理なくワークWのθ方向のアライメントを実施することができる。また、両側のX軸リニアモータを並行移動することによりX軸方向の補正も行われる。このようにアライメントを行うことで、ワークWに対して高精度な描画処理を施すことができる。なお、移動距離が大きくなるが、ワークWの片側の移動手段のみを駆動させて、θ方向のアライメントを実施してもかまわない。
以上の構成によれば、第1実施形態と同様に、空気調和された圧空を用いてワークWの変形を防止することができ、ワークWに直接吸着力を作用させつつ浮上移動させることができる。これにより、温度変化によるワークWの変形(膨張または収縮)を防止し、ワークWに対する高精度な処理を行うことができると共に、液滴吐出装置1全体を小型化することができる。
1:液滴吐出装置、2:X軸テーブル、12:メインコントローラ、13:機能液滴吐出ヘッド、22:テーブルベース、23:エアー浮上機構、25:X軸移動機構、25a:個別レギュレータ、25b:個別ソレノイドバルブ、26:コンベヤ装置、31:逃げ溝、32:吸引孔、33:ベルヌーイチップ、34:搬送ブローチップ、35:浮上ブローチップ、36:エアー供給機構、36a:電空レギュレータ、36b:供給側ソレノイドバルブ、46:レベル検出装置、57:吐出ノズル、250:X軸ガイドレール、251:X軸スライダ、280:吸着プレート、281:分割吸着プレート、282:真空吸着溝、283:個別吸引連通流路、285:個別吸引流路、341:給材ブローノズル、343:除材ブローノズル、352:浮上ブローノズル、360:圧空源、362:エアー温度調節装置、370:真空吸引源、DA:描画エリア、SA:載替えエリア、W:ワーク