JP2010081882A - ベーカリー生地及びこれを使用したベーカリー製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、大豆蛋白主体であるがんもどきや油揚げ等の大豆蛋白膨化食品を製造するための生地をベースとしてこれを改良し、従来のがんもどきからは考えられなかった新たな食品素材として提供しようとするものである。
【解決手段】
本発明者は、従来の粉末状大豆蛋白を主原料として使用したがんもどき用の生地配合に、小麦粉などの澱粉類を比較的少量加え、さらに卵類を加え、適当な生地水分に調整することによって、加熱後得られるベーカリー製品の外皮が柔らかく、口溶けも良好であり、がんもどきのようにだし汁で煮込まなくともそのまま食することが可能な、パンのような良好な食感に劇的に改変される知見を得た。
【選択図】図1

Description

本発明は粉末状大豆蛋白、油脂及び水を主原料として生地を調製し、これをフライしてがんもどきや油揚げ等の大豆蛋白膨化食品を得る製造プロセスを応用したものであって、その生地をベースとした、新規なベーカリー生地及びこれを使用したベーカリー製品に関する。
粉末状大豆蛋白、水及び油脂を混合し、均一なペースト状の生地を成形後、フライして生地の組織を膨化させることにより、がんもどきや油揚げなどの大豆蛋白膨化食品を得る技術が知られている(特許文献1:特開昭48−58156号公報)。この大豆蛋白膨化食品は豆腐を原料とする伝統的ながんもどきや油揚げに比べて豆腐を予め調製しておく手間が必要なく、冷凍耐性も有することから生産性に優れた技術として利用されてきた。
この特許文献1に開示されるがんもどきは、伝統的ながんもどきの代替品として使用されるものであるため、当然ながらその用途はがんもどきとしての範疇を超えるものではなく、調理時にだし汁等で煮込んでから食することが必須のものであった。このようながんもどきの新たな用途として、例えば特許文献2(実用新案登録第3104702号)では、豆腐を原料とするがんもどきをハンバーガーのバンズに成形し、具材を挟んで食するハンバーガー様のファーストフードが開示されている。しかし、このがんもどきは従来の伝統的ながんもどきをそのままファーストフードに流用するに過ぎないため、これをだし汁で煮込むことなくそのまま食すれば、皮が硬く、ボソボソとした食べにくい食感であり口溶けが悪い。そしてがんもどき、あるいは豆腐の油揚げを食べているという感触やイメージに変わりはないため、依然として他の食品素材として使用しにくい物性を有するものであった。
(参考文献)
特開昭48−58156号公報 実用新案登録第3104702号公報 特開昭56−88741号公報 特開昭59−118034号公報
本発明は、粉末状大豆蛋白を主原料とするがんもどきや油揚げ等の大豆蛋白膨化食品を製造するための生地を応用し、従来のがんもどきや油揚げでは考えられなかった新たな用途の食品素材として提供しようとするものである。
本発明者は、従来の粉末状大豆蛋白を主原料として使用したがんもどき用の生地配合に、小麦粉などの澱粉類を比較的少量加え、さらに卵類を加え、適当な生地水分に調整することによって、加熱後得られるベーカリー製品の外皮が柔らかく、口溶けも良好であり、がんもどきのようにだし汁で煮込まなくともそのまま食することが可能な、パンのような良好な食感へ飛躍的に改変される知見を得た。
パン生地やドーナツ生地は小麦粉等の澱粉類を主体として構成することが一般的であり、かかる認識のもと特許文献3(特開昭56−88741号公報)や特許文献4(特開昭59−118034号公報)などのように、小麦粉生地に一部粉末状大豆蛋白が配合される例は存在する。一方、本発明はベーカリー生地は小麦粉をベースにするという既成の概念を脱し、大豆蛋白を主体とする生地に澱粉類を少量配合することにより、大豆蛋白主体の配合でありながら小麦粉製品と同じような用途に使用できるベーカリー生地を提供するという技術思想に立つものである。
すなわち、本発明は、
(1)生地に対して、粉末状大豆蛋白を5〜30重量%、油分を10〜30重量%、卵類を2〜20重量%及び水分を45〜58重量%含み、かつ、澱粉類を生地中の粉末状大豆蛋白に対して50重量%未満含むことを特徴とするベーカリー生地、
(2)前記(1)記載のベーカリー生地を成形し、加熱膨化させてなるベーカリー製品、
(3)具材を内包又は狭装可能な形状に、前記(2)記載のベーカリー製品が加工されてなる可食性外材、
(4)前記(3)記載の可食性外材及び具材から構成される組合せ食品、
(5)粉末状大豆蛋白、油脂、澱粉類、卵類及び水を配合し、カッター類で混合し乳化した生地を成形後加熱することを特徴とする前記(2)記載のベーカリー製品の製造法、
などを提供するものである。
本発明により、大豆蛋白主体の生地からの調製でありながら、従来のがんもどきの食感とは明らかに異なる、皮が柔らかく、ソフトで口溶けの良い食感を有するベーカリー製品を得ることが可能となる。その食感は澱粉類を少量しか使用せず、特に小麦粉を全く使用しなくとも、あたかも澱粉類主体のパンやドーナツのような食感が付与されたものである。
また、従来のパン類とは異なり、ソフトでありながら弾力ある物性を有することにより、組織が伸びやすくて破れにくいという特長を有するため、袋状などの所望の形状への成形が容易であり、ハンバーガーのバンズやピタサンドのピタ、あるいはサンドイッチのベースなどの可食性外材として、従来のがんもどき等の大豆蛋白食品では考えにくかった分野、特にファーストフード等の分野に利用することができるものである。
本発明のベーカリー生地は粉末状大豆蛋白を主原料とするがんもどきや油揚げ等の大豆蛋白膨化食品の生地配合をベースとして調製することができる、大豆蛋白主体の生地であるのが特徴である。そのため一般のパン生地等の製造ラインを有さなくとも上述の大豆蛋白膨化食品を製造する既存のラインを利用することができ、その機械適性に合った生地で製造することが可能である。これによって、既存の大豆蛋白膨化食品の製造ラインにおいて、ベーカリー製品という全く市場の異なる製品群を提供することが可能となり、製造ラインの稼働率の上昇にも資することが期待される。
本発明のベーカリー生地は、生地に対して、粉末状大豆蛋白を5〜30重量%、油分を10〜30重量%、卵類を2〜20重量%及び水分を45〜58重量%含み、かつ、澱粉類を生地中の粉末状大豆蛋白に対して50重量%未満含むことを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
(粉末状大豆蛋白)
本発明におけるベーカリー生地中の粉末状大豆蛋白の含量は、少なすぎると加熱時の生地の伸び(膨張率)が小さくなり、又食感面に於いてがんもどきのイメージが小さくなりすぎるため、少なくとも5重量%以上であることが重要であり、好ましくは10重量%以上であるのが適当である。また、逆にあまりに多すぎるとがんもどき的な食感が強くなり、ボソ付いた喉通りの悪い食感となるため、30重量%以下が適当であり、より好ましくは25重量%以下が適当である。
本発明に使用できる粉末状大豆蛋白としては、粗蛋白質含量が60重量%以上のものが好ましく、例えば分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白などを用いることができ、これらを任意に組み合わせて用いることもできる。
その中でも、固形分あたりの蛋白質含量が80重量%以上である粉末状大豆蛋白を使用することが好ましく、さらに分離大豆蛋白を使用するのが好ましい。特に加熱凝固性を有する分離大豆蛋白を使用することが好ましい。加熱凝固性を有するか否かは粉末状大豆蛋白の12%水溶液をケーシングに充填し、湯煎(80℃)にて30分間加熱した時に、ゲルを形成するか否かで判断できる。加熱凝固性を有することはすなわち大豆蛋白質の保水力が高いことを意味するが、これによって生地に水分をより多く保持させることができる。
(油脂)
本発明におけるベーカリー生地中の油分は、少なすぎるとシットリ感やソフト感が少なくなり、硬い食感となる傾向にあるため、少なくとも10重量%以上であることが重要であり、好ましくは15重量%以上であるのが適当である。また、含量があまりに多すぎると製品が油っぽくベタベタとした性状になりやすいため、30重量%以下が適当であり、25重量%以下がより好ましい。
本発明に使用できる油脂としては、食用であれば特に限定されず、各種動植物性油脂、例えば菜種油、大豆油、こめ油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、コーン油、サフラワー油、カポック油、月見草油、パーム油、カカオ脂、シア脂、サル脂、ヤシ油、パーム核油、ゴマ油などの植物性油脂、あるいは乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの動物性油脂が例示される。これらは単独または混合油の形態で使用でき、あるいはこれらの油脂に対して硬化、分別、エステル交換などを施した加工油脂も使用することができる。
(卵類)
本発明におけるベーカリー生地中の卵類の含量は、少なすぎると食感が硬く風味的にも悪くなるため、少なくとも2重量%以上であることが重要であり、好ましくは5重量%以上であるのが適当である。また、逆にあまりに多すぎると成形困難となるため、20重量%以下であればよく、15重量%以下が適当である。
本発明に使用できる卵類としては、全卵、卵黄、卵白、またはこれらの加糖品,凍結品や乾燥品などが例示でき、これらの1種以上を混合使用してもよい。ただし少なくとも一部加熱変性した卵類を選択するか、未変性の卵類を選択することがより好ましい。また卵黄を使用する場合は加熱後の製品の伸びが良すぎるためか、ヘタリが大きくなる傾向にあるため、全卵や卵白の使用がより好ましい。卵類を特定量配合することにより、焼成時の生地の伸びを促進し、焼成後の食感を軟らかくすることができる。
(水分)
本発明におけるベーカリー生地中の水分は、生地中45〜58重量%、より好ましくは45〜54重量%含まれることが好ましい。生地中の水が少なすぎると生地の乳化が困難となり生地の調製がし難くなる。逆に多すぎると生地な柔らかくなりすぎて成型性が困難となる。水分の由来は添加される水の他、他の原料(例えば卵類、液糖、乳、豆乳など)由来の水分でも構わない。
上記水分範囲は一般の小麦粉を主体とする生地(水分40重量%に満たない程度)と比較して高水分の領域であり、がんもどきの生地様である本発明のベーカリー生地はここに一つの特徴を有する。
(澱粉類)
本発明におけるベーカリー生地中の澱粉類の含量は、生地中の粉末状大豆蛋白の配合量に対して少量添加することが重要であり、具体的には50重量%未満、好ましくは40重量%未満が適当である。含量が粉末状大豆蛋白に対して多くなりすぎると加熱時の生地の膨張(伸び)が大きくなりすぎて製品の形状が悪くなる。また伸びが大きすぎるゆえに、加熱後に膨化した組織のへたりが大きくなり、安定した形状のベーカリー製品が得難くなる。またその食感は一般的なパンと殆ど変わらないものとなり、逆にがんもどき的な外観や食感が喪失する。
一方、澱粉類の含量が少なすぎると製品の生地の伸びが小さくなり、食感のパサツキ感が強くなる傾向となるため、5重量%以上とすることが好ましく、10重量%以上とすることがより好ましい。またα化澱粉を併用する場合には、粉末状大豆蛋白に対して10重量%以下配合することが好ましい。
このように粉末状大豆蛋白に対して比較的少量の澱粉類を使用することにより、従来のがんもどき的なイメージは適度に残しつつも、がんもどきとは食感が大きく異なり、外皮が柔らかく、ソフトで口溶けの良いパンのような食感を有するベーカリー生地を得ることが可能となる。
本発明に使用できる澱粉類は、澱粉を含む食品素材であり、より詳しくは少なくとも炭水化物が乾燥固形分中70重量%以上含まれる食品素材である。
そのような素材としては具体的に、薄力小麦粉・中力小麦粉・準強力粉・強力小麦粉・デュラム小麦粉等の小麦粉,大麦・ライ麦・はと麦・オートミールなどの小麦以外の麦粉,うるち米・もち米などの米粉,そば粉,トウモロコシ粉,きび粉などの穀粉や、サツマイモ,馬鈴薯,サトイモ,ヤマイモ等の芋類や、小麦澱粉,ジャガイモ澱粉,サツマイモ澱粉,トウモロコシ澱粉,タピオカ澱粉,くず澱粉,キャッサバ澱粉,サゴ澱粉,くず澱粉,えんどう豆澱粉,米澱粉等の澱粉が挙げられる。
また澱粉は生の澱粉の他、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理等の化学的又は/及び物理的処理を施した加工澱粉でも良い。特にα化澱粉は他の澱粉類と併用することによって生地の成形性が向上し、機械適性を上げることができる。
(他の原料)
本発明のベーカリー生地には、上記の必須原料の他に膨張剤、甘味料、調味料等の副原料を適宜配合することができる。
膨張剤は加熱方法がフライであるときはフライ自身で生地を加熱膨化させることが可能であるので必須ではないが、焼成やマイクロ波加熱などでは生地の膨化には必須の原料である。また加熱方法がフライの場合でもフライにより膨化した組織が後に体積が減少する、いわゆるヘタり現象を防止するために有効である。膨張剤の種類としては、パンや菓子類に通常使用するものを使用することができ、重曹,炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、重炭酸アンモニウムなどを単独で、あるいは、これらに酸性剤として酒石酸,酒石酸水素カリウム,フマール酸,フマール酸ナトリウム,第一リン酸カルシウム,リン酸カルシウム,リン酸ナトリウム,酸性ピロリン酸ナトリウム,焼ミョウバン,焼アンモニウムミョウバン,グルコノデルタラクトン,塩化アンモニウムなどを組み合わせた、いわゆるベーキングパウダーが例示できる。また天然の膨張剤としてイーストを使用することもできる。膨張剤を使用する場合の生地中への配合量は0.01〜2重量%程度が好ましい。
(ベーカリー生地)
本発明のベーカリー生地は、少なくとも上記の必須原料である粉末状大豆蛋白、油脂、澱粉類、卵及び水を配合し、これらを均一に混合し、乳化することによってベーカリー生地を得る。生地の性状は所望の形状に成形しうる程度に適度の保形性を有するものであることが好ましい。
本発明におけるベーカリー生地の混合は、原料を混合し、乳化することが必須であるため、乳化するに十分な撹拌力を有する混合機を使用することが必要である。したがって、水産練り製品の製造に使用されるステファンカッター、サイレントカッター、ボールカッター等のカッター類を使用して生地を乳化することが好ましく、サイレントカッターが特に好ましい。
これによって本発明のベーカリー生地を従来の粉末状大豆蛋白を使用したがんもどきの生地様の性状に調整することができ、このような生地の調製を上記がんもどきの製造プロセスにおいてそのまま行うことも可能である。
得られたベーカリー生地はそのままベーカリー製品の製造に使用することができるし、一旦冷蔵保存生地とすることもできる。
(ベーカリー製品)
上記のベーカリー生地は成形機で所望の形状に成形された後、加熱により膨化させることによって本発明のベーカリー製品を得る。
成形機は一般に使用されているものを使用すればよく、また加熱の手段としてはフライ、焼成、マイクロ波加熱、蒸し等のいずれの手段も適用できる。
フライによる加熱を行う場合は、上述の通り膨張剤なしでも生地を膨化させることが可能であり、一般にがんもどきを製造する際の条件で行うことができる。通常100〜200℃の温度条件で行われ、特に100〜120℃の低温域で時間をかけて生地を膨化させ、次いで130℃〜140の中温域で生地を膨張させ、次いで150℃〜180℃の高温域で処理することによって生地の伸びを適度に調整する3段加熱の方法が好ましい。
その他の加熱手段を用いる場合は膨張剤を使用し、菓子やパン等で一般に行われている加熱条件で加熱すればよい。
本発明のベーカリー製品は、従来の粉末状大豆蛋白を原料とするがんもどきと同様に生地の内部が膨化した組織を有し、その内部の膨化組織は大豆蛋白素材、澱粉類、卵類及び油脂との組合せにより構成される。ただし、がんもどきと比較するとその外皮は格段に柔らかく、ソフトで口溶けの良い食感を有するので、がんもどきのようにだし汁で煮込まなくともそのまま美味しく食することができるものである。
そして本発明のベーカリー製品は、澱粉類の使用量が粉末状大豆蛋白に対して50重量%以下という少量でありながら、まさに一般の小麦粉を主原料とするベーカリー製品に類する食感と風味を有し、パン様のものとしてそのまま食することが可能である。すなわち、本発明のベーカリー製品は「パン様食感のがんもどき」であるともいえる。
なお、本発明でいう「ベーカリー製品」は、パン類や菓子類のうち、加熱によって生地を膨化させてなるものをいう。例えば、焙焼パン,蒸しパン,揚げパンなどのパン類やスポンジケーキやスフレ等の洋菓子類、饅頭等の和菓子類、穀粉使用のその他の菓子類などの柔軟な膨化組織を有するものが広く包含される。
そして、本発明でいうベーカリー製品には、既に加熱膨化されていて、消費者がそのまま喫食可能な最終製品は無論のこと、加熱膨化前の生地の状態で販売される半製品を含み、また冷凍又は冷蔵された状態のものも含まれ、その形態は特に制限されるものではない。
(可食性外材)
上記のベーカリー製品は、具材を内包又は狭装(挟み込むこと)可能な形状に切断加工することによって、本発明の可食性外材が得られる。具材を内包可能な具体的な形状としては、袋状、シート状などが挙げられる。また狭装可能な具体的な形状としてはサンドウィッチのパン状、ハンバーガーのバンズ状などが挙げられる。この可食性外材は上述の通り軟らかい外皮を有しており、そのまま喫食することができるため、下記のような様々な組合せ食品を製造するために使用することができる。
具材を内包又は狭装可能な形状に切断加工する手段としては特に限定されることはない。切断加工の際に使用する器具やベーカリー製品の切断する位置や、切断により分割する数などは製造する組合せ食品に合わせて適宜決定することができる。
(組合せ食品)
本発明の組合せ食品は、上記可食性外材及び具材から構成され、その種類、形状や大きさは限定されない。具体的な組合せ食品としては例えばサンドウィッチ風、ピタ風、ハンバーガー風、包餡パン風、中華まん風などの食品が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明の実施態様をより具体的に説明する。なお、以下「%」は特に断りがないかぎり「重量%」を意味する。また、各実施例における品質評価は次の方法にしたがって行った。
(品質評価方法)
各実施例で調製されたベーカリー製品の品質について、(1)生地の成形性、(2)製品の伸び(膨化度合い)、(3)製品の形状、(4)製品の食感の4つの項目につき、調製の都度に試験者が加熱前の生地の状態と加熱後の製品の状態を観察し、評価を行った。表中における記号の意味は以下の通りとし、必要により評価者のコメントを記載した。
○:良好
△:○と比較するとやや劣る
×:不良
(実施例1)ベーカリー生地及びこれを用いたベーカリー製品の調製(焼成タイプ)
表1の配合に基づき、以下の通り粉末状大豆蛋白を主原料とするがんもどきの製造プロセスを使用し、ベーカリー生地を調製し、これを用いて焼成タイプのベーカリー製品を製造することとした。
まず原料をサイレントカッターを用いて混合し、均一に乳化してベーカリー生地を調製した。なお、表1において粉末状大豆蛋白は「フジプロ−E」(不二製油(株)製の分離大豆蛋白)、ベーキングパウダーは「ベーキングパウダーD」(オリエンタル酵母(株)製)を使用した(以下の実施例において同様とする。)。得られた生地中の粉末状大豆蛋白、油分、澱粉類、卵類、水分の割合は表1の通りであった。
次いで、得られたベーカリー生地を成形機にて直径75mm×厚み12mmの円盤状に成形し、これをオーブンにて180℃で15分間焼成し、パン様のベーカリー製品を得た。
この製品の内部は一般のがんもどきとは異なりパンのような膨化組織を有しており、食するとパンのように外皮が軟らかく、口溶けの良好な食感を有していた。
(表1)配合表
(実施例2)ベーカリー生地及びこれを用いたベーカリー製品の調製(フライタイプ)
表2の配合に基づき、以下の通り粉末状大豆蛋白を用いたがんもどきの製造プロセスを使用し、ベーカリー生地を調製し、これを用いてフライタイプのベーカリー製品を製造することとした。
表2の配合に基づく他は、実施例1と同様にしてベーカリー生地を調製した。得られた生地中の粉末状大豆蛋白、油分、澱粉類、卵類、水分の割合は表1の通りであった。
次いで、得られたベーカリー生地を成形機にて直径75mm×12mmの円盤状に成形し、これにがんもどきの製造プロセスで使用するフライヤーを使用して3段式のフライ加熱を行った。フライ加熱の条件は1段目を115℃で5分間、2段目を135℃で1分間、3段目を175℃1分30秒とした。
得られたベーカリー製品を切断し、切断面における製品の膨化状態を観察し、その写真を図1に示した。図1のように製品の内部は一般のがんもどきとは異なりパンのような膨化組織を有しており、食すると揚げパンあるいはドーナツのような風味を呈し、外皮が軟らかく、口溶けの良好な食感を有していた。
(表2)配合表
(比較例1)がんもどきの調製
表1の配合から小麦粉、卵類、膨張剤を省き、実施例2と同様のプロセスを使用して生地調製及び3段フライ加熱を行い、いわゆるがんもどきを製造した。
得られたがんもどきは従来のがんもどきと同等の食感であり、そのまま食すると外皮が硬く、食感もごわごわとしたものであり、煮物の具材にのみしか適性を有さないものであった。
(実施例3)澱粉類として種々の澱粉類を使用した例
表2の配合を基に、表3の通り小麦粉の代わりにもち米澱粉及びうるち粉と置換した配合とし、実施例1と同様のプロセスでフライタイプのベーカリー製品を調製し、澱粉類の種類がベーカリー生地あるいはベーカリー製品に及ぼす影響について調べた。
(表3)配合表
得られたベーカリー製品No.3〜5はいずれも実施例1で得られたベーカリー製品と同様の品質を有していた。No.3は柔らかくモッチリ感のある食感であり、またNo.4も生地の伸びが若干落ちるもののモッチリ感のある食感で、いずれも良好であった。
(実施例4)澱粉類の配合量の変更
粉末状大豆蛋白に対する小麦粉の配合比を表4−1の通り種々変更し、実施例2と同様のプロセスでフライタイプのベーカリー製品を調製し、澱粉類の含量がベーカリー生地あるいはベーカリー製品に及ぼす影響について調べた。また薄力粉及び強力粉を全てもち米澱粉に置換した配合(表4−2)についても同様に調べた。
(表4−1)
(表4−2)
上記の実験結果から、澱粉類の配合量が粉末状大豆蛋白に対して50%未満添加された配合No.2、No.7〜No.9、No.12、No.13では程度に違いはあるものの、いずれも適当な生地の伸びを示し、がんもどきとは明らかに異なるパン様の食感を示した。
一方、No.10やNo.14のように澱粉類の配合量が粉末状大豆蛋白に対して50%を超えてしまうと、澱粉類の存在による加熱時の生地の伸びが大きくなりすぎ、形状が悪くなった。また加熱後の組織のへたりも大きくなり、安定した形状のものが得られなかった。さらに澱粉類の配合量が増えるためか、その食感は通常のパンと殆ど変わらないものとなった。
一方、No.6やNo.11のように澱粉類が粉末状大豆蛋白に対して0%の場合は、外皮が硬く食感のパサツキ感が強かった。
(実施例5)卵類の種類変更
表2の配合から凍結全卵を省き、表5の通り、卵白と置換した配合(No.15)、卵黄と置換した配合(No.16)および水と置換した配合(No.17)に従い、実施例1と同様のプロセスでフライタイプのベーカリー製品を得た。
(表5)
得られたベーカリー製品は全卵、卵白又は卵黄を配合したNo.2、No.15、では程度に違いはあるものの、いずれも適当な生地の伸びを示し、がんもどきとは明らかに異なるパン様の食感を示した。一方、卵類を配合しなかったNo.17では生地が加熱によっても伸びが悪く、焼成後の外皮が硬く食感のパサツキ感が強かった。また卵黄を配合したNo.16では製品の伸びが良すぎて逆に製品のへたりがみられた。
(実施例6)卵類の配合量を変更した例
表2の配合を基に、全卵の配合比を表6の通り種々変更し、実施例1と同様のプロセスでフライタイプのベーカリー製品を調製し、卵類の含量がベーカリー生地あるいはベーカリー製品に及ぼす影響について調べた。なお、全卵の配合量の増減にしたがって生地の水分が振れるため、生地の水分が52%前後となるように水の配合量を調整した。
(表6)配合表
卵類が無配合のNo.18の配合では、生地の調製は可能であったが製品の伸びが少なく、また形状が風船状に膨化してしまい、安定した形状とはならなかった。一方、卵類が25%以上であるNo.22の配合では生地が柔らかくなりすぎて成型が不可となった。
(実施例7)油脂の配合量を変更した例
表2の配合を基に、油脂の配合比を表7の通り種々変更し、実施例1と同様のプロセスでベーカリー製品を調製し、油脂の含量がベーカリー生地あるいはベーカリー製品に及ぼす影響について調べた。
(表7)配合表
油分が10%に満たないNo.23及びNo.24の配合では、焼成後のベーカリー製品の食感が硬い傾向となり、そのままベーカリー製品として、あるいは可食性外材として利用するには不適であった。一方、油分が30%以上であるNo.28の配合では、焼成後のベーカリー製品は油っぽく、食するには困難なものとなった。
(実施例8)水分を変更した例
表2の配合を基に、生地中の水分を表8の通り種々変更し、実施例1と同様のプロセスでフライタイプのベーカリー製品を調製し、水分の含量がベーカリー生地あるいはベーカリー製品に及ぼす影響について調べた。
(表8)配合表
水分が45%に満たないNo.29、No.30の配合では、生地を混合しても均一に乳化ができず、油が分離して生地を作製することが困難であった。一方、水分が58%を超えるNo.32の配合では、焼成後の生地の伸びが小さくなる傾向となり、さらに水分が多くなると成形が困難となった。
(実施例9)膨張剤配合の効果
表2の配合に膨張剤であるベーキングパウダーを生地中に0.6重量%配合し、その他は実施例2と同様にしてフライタイプのベーカリー製品を得た。
得られたベーカリー製品は実施例2で得られたフライタイプのベーカリー製品と同等の品質を有すると共に、焼成後のへたり(体積の現象)が抑制されるという利点を有していた。
(実施例10)α化澱粉配合の効果
表1の配合にα化澱粉「ウルトラスパース5」(日本エヌエスシー(株)製)を生地中に1.5重量%配合し、その他は実施例1と同様にして焼成タイプのベーカリー製品を得た。
得られたベーカリー製品は実施例1で得られたベーカリー製品と同等の品質を有すると共に、成型性がさらに良くなり、製造時の機械適性が上がるという利点を有していた。
(実施例11)可食性外材及び組合せ食品
実施例2で得られた円盤状のベーカリー製品を半円盤状になるよう垂直方向にカットして2等分した後、切断面を袋状に切り開き、可食性外材を得た。この可食性外材の中に具材として照り焼きチキンや野菜類を詰め込み、ピタサンドを製造した(図2参照)。
また、実施例2で得られたベーカリー製品を水平方向にカットして2等分し、ハンバーガーのバンズ状の可食性外材を得た。この可食性外材2枚の間に具材として豆腐ハンバーグ、レタスを挟み込み、植物性のハンバーガーを製造した(図3参照)。
実施例2で製造されたベーカリー製品(フライタイプ)の切断面を撮影した写真である。 実施例11で製造されたピタサンドを撮影した写真である。 実施例11で製造された植物性ハンバーガーを撮影した写真である。

Claims (5)

  1. 生地に対して、粉末状大豆蛋白を5〜30重量%、油分を10〜30重量%、卵類を2〜20重量%及び水分を45〜58重量%含み、かつ、澱粉類を生地中の粉末状大豆蛋白に対して50重量%未満含むことを特徴とするベーカリー生地。
  2. 請求項1記載のベーカリー生地を成形し、加熱膨化させてなるベーカリー製品。
  3. 具材を内包又は狭装可能な形状に、請求項2記載のベーカリー製品が加工されてなる可食性外材。
  4. 請求項3記載の可食性外材及び具材から構成される組合せ食品。
  5. 粉末状大豆蛋白、油脂、澱粉類、卵類及び水を配合し、カッター類で混合し乳化した生地を成形後加熱することを特徴とする請求項2記載のベーカリー製品の製造法。
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