JP2010078505A - 生体高分子検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】入射光量と出力値が一次関数の関係にない場合であっても、良好に判定できるようにする。
【解決手段】生体高分子検出装置80は、複数の受光素子20を有する固体撮像デバイス10と、固体撮像デバイス10の受光面上に点在したスポット60と、固体撮像デバイス10を駆動する駆動回路70と、一次関数の傾き及び切片を記憶した記憶装置82と、光センシング時間を1秒に設定した状態で駆動回路70に駆動動作を行わせることを1回行い、光センシング時間を3秒に設定した状態で駆動回路70に駆動動作を行わせることを1回行い、加重平均値を求めるコントローラと、を備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、固体撮像デバイスを用いた生体高分子検出装置に関する。
近年、様々な生物種の遺伝子の発現解析を行っている。遺伝子の発現解析とは、細胞で発現している遺伝子を同定することであり、具体的には、遺伝子をコードするDNAから転写されているmRNAを同定することである。
遺伝子の発現解析のためにDNAマイクロアレイ及びその読取装置が開発されている。DNAマイクロアレイは、プローブとなる既知の塩基配列のcDNAをスライドガラス等の固体担体上にマトリックス状に整列固定させたものである(例えば特許文献1参照)。ここで、既知の塩基配列のcDNAとしては、検体において既知のmRNAと同一、またはその一部と同一の塩基配列のcDNAが用いられる。DNAマイクロアレイ及びその読取装置を用いた遺伝子の発現解析は次のようにして行う。
まず、複数種類の配列既知のcDNA(以下、プローブDNAという)をスライドガラス等の固体担体に整列固定させたDNAマイクロアレイを準備する。次に、検体からmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いて蛍光物質で標識したcDNA(以下、サンプルDNAという)を合成する。次に、サンプルDNAを蛍光物質で標識化してからDNAマイクロアレイ上に添加すると、サンプルDNAが相補的なプローブDNAとハイブリダイズすることによりDNAマイクロアレイ上に固定される。サンプルDNAを標識する蛍光物質は励起されるとサンプルDNAが結合したプローブDNAの位置から蛍光を発することになる。
次いで、DNAマイクロアレイを読取装置にセッティングし、読取装置にて分析する。読取装置は、励起光の照射点をDNAマイクロアレイに対して二次元的に移動し、それと共に集光レンズ及びフォトマルチプライヤーによってDNAマイクロアレイを二次元走査する。励起光により励起された蛍光物質から発した蛍光を集光レンズで集光させ、蛍光強度をフォトマルチプライヤーで計測することで、DNAマイクロアレイの面内の蛍光強度分布を計測し、これにより、DNAマイクロアレイ上の蛍光強度分布が二次元の画像として出力される。出力された画像内で蛍光強度が大きい部分には、プローブDNAの塩基配列と相補的な塩基配列を有したサンプルDNAが含まれていることを表している。従って、二次元画像中のどの部分の蛍光強度が大きいかによって、配列既知のmRNAのうち、どれが検体で発現しているかを同定することができる。また、mRNAの定量値を指標として、疾病に罹患しているか否かを診断したり、mRNAを定量することにより、腫瘍細胞が抗癌剤に対して感受性があるかを判定することができる(特許文献2、3)。
特開2002−286643号公報 特許第3507884号公報 特許第4058263号公報
ところで、発明者等は、固体撮像デバイスの受光面にプローブDNAをスポットした生体高分子検出チップを開発している。このような生体高分子検出チップでは、固体撮像デバイスによって取得した画像データのうち受光量が相対的に多い部分のアドレスが、サンプルDNAの付着したスポットの位置に相当する。そのため、その受光量が多い部分のアドレスを特定することで、複数のスポットのうちどのスポットにサンプルDNAの付着したかを特定することができ、サンプルDNAの配列を特定することができる。かかる生体高分子検出チップではスポットが固体撮像デバイスの受光面に点在しているから、レンズ等を必要とせず、装置が小型になるという利点がある。
固体撮像デバイスは、入射光量を電気信号に線型変換して出力する複数の光電変換素子を二次元アレイ状に並べたものである。固体撮像デバイスのダイナミックレンジ内では、入射光量と光電変換素子の出力値が一次関数の関係であることが好ましい。しかし、入射光量と出力値が一次関数の関係になる範囲が狭く、固体撮像デバイスのダイナミックレンジが狭い。また、ダイナミックレンジを広げる為に入射光量と光電変換素子の出力値の関係を精細に示したテーブルを作成し、当該入射光量を判定していたが、多大なデータ量を記憶する記憶装置が必要であるという課題があった。
そこで、本発明は、入射光量と出力値が一次関数の関係にない場合であっても、また、多大な記憶装置を必要とせず、良好に判定できるようにすることである。
以上の課題を解決するために、本発明によれば、生体高分子検出装置において、
受光面と、前記受光面の下において配列された複数の受光素子とを有する固体撮像デバイスと、
既知の生体高分子からなり、前記固体撮像デバイスの受光面上に点在した複数種のスポットと、
前記固体撮像デバイスを駆動することによって、前記受光素子で光電変換が行われる光センシング時間において前記受光素子の入射光量に応じた出力値を出力するとともに、前記光センシング時間を変更可能な駆動回路と、
前記光センシング時間を第1時間とした場合における前記受光素子の出力値及び前記光センシング時間を第2時間とした場合における前記受光素子の出力値の加重平均を求めるコントローラと、を備えることを特徴とする。
前記コントローラは、前記加重平均と前記加重平均から求められた線形近似との乖離率は、−5%〜5%とするような、前記加重平均を求めることが好ましい。
前記コントローラは、前記加重平均から線形近似の回帰方程式を求めることが好ましい。
前記コントローラは、前記加重平均から求められた線形近似の回帰方程式に基づいて前記受光素子の入射光量を求めるが好ましい。
前記加重平均から線形近似の回帰方程式の傾き及び切片を記憶した記憶装置を有することが好ましい。
前記記憶装置から傾きと切片を読み出し、計測時の前記加重平均値によって、入射光量値を求めることを特徴とする。
予め標準の分子量に相当する蛍光物質の入射光量値を測定して標準値としておくことで、当該mRNA量は、当該入射光量値と標準入射光量値との比率で当該分子量を定量化できることを特徴とする。
本発明によれば、光センシング時間を第1時間に設定した場合の光電変換素子の出力値と、光センシング時間を第2時間に設定した場合の光電変換素子の出力値とに基づいた加重平均から線形近似の回帰方程式を求めることができ、良好に判定できる。
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
〔1〕生体高分子検出装置の概要
図1は、本発明の実施形態における生体高分子検出装置80の主要部を示した斜視図である。
図1に示すように、この生体高分子検出装置80においては、生体高分子検出チップ1、冷却装置2及び温度センサ3が伝熱台4の上に搭載されている。伝熱台4の上方に励起光照射装置81が配設されている。
この生体高分子検出チップ1は、固体撮像デバイス10、スポット60,60,…、駆動回路70及び記憶装置82を有する。
固体撮像デバイス10はその受光面を励起光照射装置81に向けた状態で熱伝導性のよい伝熱台4の上に設置される。また、固体撮像デバイス10は、伝熱台4から取り外し可能とされている。
スポット60,60,…は、固体撮像デバイス10の有効画素領域11の受光面に点着されている。スポット60,60,…は、マトリクス状に配列されている。
駆動回路70及び記憶装置82は、有効画素領域11の周囲の領域12に搭載されている。駆動回路70及び記憶装置82には、フレキシブル配線シート83が接続されている。
〔2〕固体撮像デバイス
図2〜図4を用いて固体撮像デバイス10について説明する。図2は、図1における1つのスポット60を拡大した平面図である。図3は、ハイブリダイゼーションによってスポット60に残った標識化された蛍光物質の蛍光を受光するための光電変換素子である1つのダブルゲートトランジスタからなる受光素子20を示す平面図である。図4は、図3に示されたIV−IVに沿った面の矢視断面図である。
図2に示すように、固体撮像デバイス10には、複数の受光素子20,20,…が縦横に配列されている。また、固体撮像デバイス10には、複数のボトムゲートライン41、ソースライン42、ドレインライン43及びトップゲートライン44が設けられている。
図4に示すように、固体撮像デバイス10は、透明基板13と、ボトムゲート絶縁膜22と、トップゲート絶縁膜29と、保護絶縁膜32と、励起光遮蔽膜33と、スポット固定層34とが積層されている。
透明基板13は、光を透過する性質(以下、光透過性という。)を有するとともに絶縁性を有し、ガラス基板(例えば、石英ガラス製の基板)、プラスチック基板(例えば、ポリカーボネート又はPMMA製の基板)その他の絶縁性透明基板である。
ボトムゲート絶縁膜22、トップゲート絶縁膜29及び保護絶縁膜32は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜である。
励起光遮蔽膜33は、励起光照射装置81から放射される励起光(例えば、紫外線波長域の光)を遮蔽するとともに励起光と波長の異なる蛍光(例えば、可視光波長域の光)を透過する性質を有する。
スポット固定層34は、スポット60となるプローブとシランカップリング剤等によって共有結合することで、スポット60を固定する。
この固体撮像デバイス10においては、受光素子20が光電変換素子として利用され、受光素子20が画素である。複数の受光素子20,20,…が透明基板13上において二次元アレイ状に特にマトリクス状に配列されている。1行、1列目の受光素子20のアドレスを(1、1)とし、n行、m列目の受光素子20のアドレスを(n、m)と設定している。これら受光素子20,20,…が保護絶縁膜32によってまとめて被覆されている。なお、図3では8行×8列の64個の受光素子20,20,…が示されているが、受光素子20の数は複数であれば、64個に限定するものではない。
図3、図4に示すように、受光素子20は、ダブルゲートトランジスタであり、ボトムゲート電極21、ボトムゲート絶縁膜22と、半導体膜23、チャネル保護膜24、不純物半導体膜25、不純物半導体膜26、ソース電極27、ドレイン電極28、トップゲート絶縁膜29及びトップゲート電極31を有する。
ボトムゲート電極21は透明基板13とボトムゲート絶縁膜22との間に形成されている。半導体膜23、チャネル保護膜24、不純物半導体膜25、不純物半導体膜26、ソース電極27及びドレイン電極28はボトムゲート絶縁膜22とトップゲート絶縁膜29との間に形成されている。トップゲート電極31はトップゲート絶縁膜29と保護絶縁膜32との間に形成されている。
ボトムゲート電極21は、受光素子20ごとに透明基板13上に形成されている。また、透明基板13とボトムゲート絶縁膜22との間には、複数本のボトムゲートライン41,41,…が形成され、これらボトムゲートライン41,41,…が互いに平行となって行方向(横方向)に延在している。行方向に配列された同一の行の受光素子20,20,…のボトムゲート電極21が共通のボトムゲートライン41と一体となって形成されている。ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41は、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
半導体膜23は、ボトムゲート電極21との間にボトムゲート絶縁膜22を挟んで、ボトムゲート電極21に相対している。半導体膜23は、受光素子20ごとに独立して形成されている。半導体膜23が受光部であり、半導体膜23に入射した光量に応じた量の電子−正孔対が半導体膜23内に形成される。半導体膜23は、アモルファスシリコンからなる。
チャネル保護膜24は、半導体膜23の中央部上に形成されている。チャネル保護膜24は、受光素子20ごとに独立してパターニングされたものである。チャネル保護膜24は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。チャネル保護膜24は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜23を保護するものである。半導体膜23に光が入射すると、半導体膜23で生成された電子−正孔対の担体のうちの正孔がチャネル保護膜24と半導体膜23との界面付近に蓄積される。
不純物半導体膜25は、半導体膜23の一部に重なるように形成されている。不純物半導体膜25の一部は、チャネル保護膜24に重なっている。不純物半導体膜26は、半導体膜23の別の部分に重なるように形成されている。不純物半導体膜26の一部は、チャネル保護膜24に重なっている。不純物半導体膜25,26は、受光素子20ごとに独立してパターニングされている。不純物半導体膜25,26は、n型の不純物(例えば、ホスフィン)を含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
ソース電極27は、不純物半導体膜25に重なっている。ドレイン電極28は、不純物半導体膜26に重なっている。ソース電極27及びドレイン電極28は受光素子20ごとに形成されている。ボトムゲート絶縁膜22とトップゲート絶縁膜29との間には、複数本のソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…が形成され、これらソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…が列方向(縦方向)に延在している。列方向に配列された同一の列の受光素子20,20,…のソース電極27は共通のソースライン42と一体となって形成されており、列方向に配列された同一の列の受光素子20,20,…のドレイン電極28は共通のドレインライン43と一体なって形成されている。ソース電極27、ドレイン電極28、ソースライン42及びドレインライン43は、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
トップゲート電極31は、半導体膜23との間にチャネル保護膜24及びトップゲート絶縁膜29を挟んで、半導体膜23に相対している。トップゲート電極31は、受光素子20ごとにトップゲート絶縁膜29上に形成されている。また、トップゲート絶縁膜29と保護絶縁膜32との間には、複数本のトップゲートライン44,44,…が形成され、これらトップゲートライン44,44,…が互いに平行となって行方向に延在している。行方向に配列された同一の行の受光素子20,20,…のトップゲート電極31が共通のトップゲートライン44と一体となって形成されている。トップゲート電極31及びトップゲートライン44は、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
以上のように構成された固体撮像デバイス10はスポット固定層34の表面35を受光面としており、固体撮像デバイス10が駆動されることによって受光素子20の半導体膜23に入射した光量が電気信号に変換される。
図5、図6は、受光素子20の感光特性を示したグラフである。
図5においては、横軸は、光センシング時間(単位:秒)を表し、縦軸は、受光素子20の光電変換によるドレインライン43への出力電圧に基づいて換算した出力値(単位:任意単位)であり、この出力値は、受光素子20への受光量が多いほど増大する。図5において、受光素子20への入射光量は、1.0 mcd、0.5 mcd、0.2 mcd又は0.0 mcdとした。また、光センシング時間とは、所謂露出時間である。つまり、光センシング時間は、受光素子20に光を照射して、受光素子20にキャリアが蓄積されて、受光素子20で光電変換が行われている時間をいう。
図6においては、横軸は、受光素子20への入射光量(単位:mcd)を表し、縦軸は、その入射光量による受光素子20のドレインライン43への出力電圧を換算した出力値(単位:任意単位)を表す。図6において、光センシング時間を、それぞれ1秒、3秒とした。本実施形態では、第1時間が1秒であり、第2時間が3秒である。
図6から明らかなように、光センシング時間が1秒又は3秒の場合、入射光量と出力値の関係を表す線が曲線であるから、出力値が入射光量の一次関数ではない。光センシング時間が1秒における出力値の3倍と3秒における出力値の和を4で割った値である加重平均から求められた線形近似の回帰方程式(1)は、
出力値=19.591×入射光量(mcd)−9.4673 ... (1)
となる。加重平均の、傾き19.591、切片−9.4673における線形近似の回帰方程式に対する乖離率は2.4%〜−4.4%の範囲内に収まった。なお乖離率は、−5%〜5%の範囲内に収まることが好ましい。したがって、線形近似の回帰方程式から出力値を代入することにより入射光量を計測することが出来る。具体的には、後述するコントローラ84が、あるスポット60に位置する受光素子20において、1秒の光センシング時間で読み取った出力値と3秒の光センシング時間で読み取った出力値とをそれぞれ測定し、1秒の光センシング時間の出力値を3倍して、3秒の光センシング時間の出力値を加算して4で割った出力値の加重平均を算出し、この出力値の加重平均を下記式(2)の出力値に代入することによって入射光量を求めることが可能となる。また、予め判明しているmRNAの分子量を標準分子量とし、それに相当する蛍光物質の分子量が発する蛍光量を本固体撮像デバイスで測定し、標準入射光量としておくことで、当該mRNA量は、当該入射光量と標準入射光量との比率に基づいて求めることが可能となる。
入射光量=(出力値+9.4673)/19.591 ...(2)
なお、当該mRNA量は下記式(3)の当該入射光量に対象の入射光量を代入することでもとめることができる。
当該mRNA量=(当該入射光量/標準入射光量)×標準分子量 ...(3)
上記の式(3)により、当該mRNA量が2.4%〜−4.4%の精度で求められる。
ここで、信号蓄積時間が1秒の場合における出力値の重み係数を3とし、信号蓄積時間が3秒の場合における出力値の重み係数を1とし、加重平均は以下のようにして求められる。
加重平均={(信号蓄積時間が1秒の場合の出力値)×3+(信号蓄積時間が3秒の場合の出力値)×1}/(3+1)
回帰分析(最小二乗法)によって、この加重平均の曲線から線形近似の回帰方程式を求めて、傾き(比例係数)及び切片を得る。このようにして予め得られた傾き及び切片が記憶装置82に記録されている。
図7は、入射光量が0.2 mcd、0.5 mcd、1.0 mcdである場合において、光センシング時間1秒の場合の出力値、光センシング時間3秒の場合の出力値、それらの加重平均、線形近似、加重平均と線形近似との乖離率を示したものである。
〔3〕スポット
図1、図2に示すように、固体撮像デバイス10の受光面35にはスポット60,60,…が形成されている。スポット60は、既知の塩基配列のcDNA(プローブDNA)の群集であったり、既知の抗体の群集であったりする。スポット60は、プローブとなるcDNA(プローブDNA)、抗体その他生体高分子の溶液を固体撮像デバイス10の受光面35に滴下し、乾燥して形成される。以下ではプローブとして既知の塩基配列のcDNAを用いた場合について説明する。
1つのスポット60では、同じ塩基配列の一本鎖のプローブDNAが多数集まってその群集が固定化されている。スポット60ごとにプローブDNAの塩基配列が異なっている。プローブDNAとしては、既知のmRNAの塩基配列が用いられたり、その一部と同一の又は相補的な塩基配列のDNAが用いられたりする。具体的には、例えば、蛍光標識DNAで用いるのと同じ細胞検体から作成したcDNAライブラリを用いることができる。
図2に示すように、1つのスポット60は複数の受光素子20上に重なるように形成されている。なお、固体撮像デバイス10の受光面35に点着されたスポット60の数はいくつであってもよい。また、1つのスポット60に重なる受光素子20の数はいくつであってもよい。
〔4〕光遮蔽
図1に示すように、固体撮像デバイス10の受光面35の一部には光遮蔽物65が設けられている。光遮蔽物65は、光を遮蔽するものである。従って、光遮蔽物65の下にある受光素子20には、励起光及び蛍光等が入射しない。
〔5〕駆動回路
図8は、固体撮像デバイス10及びその周辺回路を示した回路図である。
図1に示された駆動回路70は、図8に示すようにトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を有する。
固体撮像デバイス10のトップゲートライン44,44,…がトップゲートドライバ71の端子に接続され、ボトムゲートライン41,41,…がボトムゲートドライバ72の端子に接続され、ドレインライン43,43,…がドレインドライバ73の端子に接続されている。また、固体撮像デバイス10のソースライン42,42,…が一定電圧源に接続され、この例ではソースライン42,42,…が接地されている。トップゲートドライバ71は、トップゲートライン44,44,…を列方向に走査する第一の走査ドライバである。ボトムゲートドライバ72は、ボトムゲートライン41,41,…を列方向に走査する第二の走査ドライバである。
図9は、固体撮像デバイス10を駆動するための信号の推移を示したタイミングチャートである。
トップゲートドライバ71は、トップゲートライン44,44,…を順次選択することによって、受光素子20,20,…を線順次に選択して走査する。具体的には、図9に示すように、トップゲートドライバ71はトップゲートライン44,44,…に、各受光素子20に蓄積された正孔を排除するためのリセットパルスを順次出力する。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルである。一方、トップゲートドライバ71は、リセットパルスを出力しない時にローレベルの−20〔V〕の電位をそれぞれのトップゲートライン44に印加するようになっている。トップゲートドライバ71としては、シフトレジスタを用いることができる。この負電位によって電子−正孔対のうちの正孔を半導体膜23内に生成された電子−正孔対のうちの正孔を電気的に捕捉する。
ボトムゲートドライバ72は、ボトムゲートライン41,41,…を順次選択することによって、受光素子20,20,…を線順次に選択して走査する。具体的には、図9に示すように、ボトムゲートドライバ72は、ボトムゲートライン41,41,…にリードパルスを順次出力する。リードパルスのレベルは+10〔V〕のオンレベル(ハイレベル)であり、リードパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のオフレベル(ローレベル)である。ボトムゲートドライバ72としては、シフトレジスタを用いることができる。
トップゲートドライバ71の水平走査周期(任意の行にリセットパルスを出力してから次の行にリセットパルスを出力するまでの期間)と、ボトムゲートドライバ72の水平走査周期(任意の行にリードパルスを出力してから次の行にリードパルスを出力するまでの期間)とが等しい。また、ボトムゲートドライバ72によるリードパルスの立ち上がりは、トップゲートドライバ71によるリセットパルスの立ち下がりの後にずれており、この間が、受光素子20は入射光の光量に応じた量の正孔を蓄積する光センシング時間となる。
具体的には、トップゲートドライバ71が何れかの行のトップゲートライン44にリセットパルスを出力した後に光センシング時間を経てボトムゲートドライバ72が同じ行のボトムゲートライン41にリードパルスを出力するように、トップゲートドライバ71及びボトムゲートドライバ72が出力信号をシフトする。
ドレインドライバ73は、トップゲートドライバ71によって読み出された受光素子20,20…の出力値を読み込み、読み込んだ受光素子20,20…の出力値を順次出力するものである。具体的には、図9に示すように、ドレインドライバ73は、それぞれの行のリセットパルスが出力されてからリードパルスが出力されるまでの間に、全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力するようになっている。プリチャージパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、プリチャージパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。ドレインドライバ73は、プリチャージパルスの出力後にドレインライン43,43,…の電圧(出力値)を列順次に出力するようになっている。これにより、固体撮像デバイス10により画像入力がなされる。
また、トップゲートドライバ71は、上述のように1行目から最終行目のトップゲートライン44を順次選択することを複数回行うとともに、ボトムゲートドライバ72は、上述のように1行目から最終行目のボトムゲートライン41を順次選択することを複数回行う。そのため、固体撮像デバイス10により複数回の画像入力が行われる。
ここで、固体撮像デバイス10は、入射光量に対してよりリニア性のある加重平均を求めるため、光センシング時間が相互に異なる複数回の画像入力が行われる。コントローラ84は、トップゲートドライバ71によるリセットパルスの立ち下がりのタイミングとボトムゲートドライバ72によるリードパルスの立ち上がりの間の光センシング時間を変えるようにトップゲートドライバ71及びボトムゲートドライバ72にクロック信号等の制御信号を出力している。具体的には、光センシング時間が1秒及び3秒の2回の画像入力が行われる。
〔6〕記憶装置
図1に示された記憶装置82は、ハードディスクドライブ又は半導体記憶装置である。
記憶装置82には、予め求められた式(1)の傾き及び切片が記録されている。以下、記憶装置82に記録された傾きをAとし、記憶装置82に記録された切片をBとする。
上述のように、傾きAは、異なる光センシング時間における出力値の加重平均と入射光量との関係を回帰方程式により求めた一次関数の傾きであり、切片Bは、その一次関数の切片である。その一次関数を式で表すと、「y=Ax+B」となる。図6に示されたグラフの場合、Aが195.91であり、Bが−9.4673である。
〔7〕伝熱台
図1に示された伝熱台4は、熱伝導率の高い材料からなり、具体的には鉄、ステンレス鋼その他の金属材料からなる。
〔8〕冷却装置
図1に示された冷却装置2は、伝熱台4の熱を強制的に外部に放出することによって伝熱台4を冷却するものであり、具体的にはペルチェ素子、ヒートポンプその他の冷却装置である。
〔9〕温度センサ
図1に示された温度センサ3は、固体撮像デバイス10の温度を検出して検出温度を電気信号に変換するものであり、具体的にはサーミスタ、熱電対その他の温度センサである。ここで、温度センサ3が伝熱台4の上に搭載され、伝熱台4の温度が温度センサ3によって検出されるが、伝熱台4の熱伝導率が高いから、固体撮像デバイス10の温度が殆ど遅延無く温度センサ3によって検出される。なお、温度センサ3が固体撮像デバイス10に設けられていてもよい。
〔10〕その他の構成要素
図10は生体高分子検出装置80の構成を示すブロック図である。
生体高分子検出装置80は、生体高分子検出チップ1、冷却装置2、温度センサ3、伝熱台4及び励起光照射装置81のほか、コントローラ84、出力装置85、メモリ86、A/D変換器87を備える。
図1に示されたフレキシブル配線シート83によって記憶装置82、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73がコントローラ84に接続される。また、ドレインドライバ73の出力端子は、フレキシブル配線シート83によってA/D変換器87に接続される。
コントローラ84は、励起光照射装置81の点灯・消灯を行う機能を有する。
コントローラ84は、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72の水平走査周期を設定することによって光センシング時間を設定する機能を有する。
コントローラ84は、励起光照射装置81を点灯した状態でトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73に制御信号を出力することによって、設定した光センシング時間でトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を動作させる機能を有する。これにより、固体撮像デバイス10の撮像動作を行う。
A/D変換器87は、ドレインドライバ73の出力(各受光素子20の出力値)を量子化してコントローラ84に出力する。
コントローラ84は、A/D変換器87の出力をメモリ86に記録する機能を有する。これにより、固体撮像デバイス10の受光面35に沿った出力値分布が二次元の画像データとしてメモリ86に記録される。
ここで、コントローラ84は、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を動作させて光センシング時間の異なる画像入力を2回行う。1回目については、コントローラ84は、光センシング時間を1秒に設定し、その光センシング時間でトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を動作させる。2回目については、コントローラ84は、光センシング時間を3秒にして、光センシング時間でトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を動作させる。これにより、メモリ86には、1、2回目の画像データがそれぞれ記録される。
また、コントローラ84は、1回目の各アドレスの受光素子20の出力値をそれぞれ3倍にし、この値に2回目の同アドレスの受光素子20の出力値を加算して4で割った出力値の加重平均を演算する。記憶装置82に記録された傾きA及び切片Bを用いて、各アドレスの受光素子20の出力値の加重平均を式(2)の出力値に代入し、各アドレスの受光素子20の入射光量をそれぞれ求め、メモリ86に記憶する。
また、コントローラ84は、メモリ86に記録された各アドレス及び各アドレスの入射光量に基づいた画像を出力装置85に出力させる機能を有する。出力装置85は、例えばプロッタ、プリンタ又はディスプレイである。
また、各受光素子20の出力値は温度依存性があるので、コントローラ84は、温度制御回路88に対して、各受光素子20が図5、図6の範囲の特性を維持するような設定温度を設定する機能を有する。
温度制御回路88は冷却装置2を制御する。ここで、温度制御回路88は、温度センサ3による検出温度をフィードバックし、その検出温度に基づき冷却装置2を制御することによって、設定温度に保つような定温度制御を行う。例えば、下閾値<設定温度<上閾値とした場合、検出温度が下閾値未満であるときには、温度制御回路88が冷却装置2の冷却能力を上げ、検出温度が下閾値以上、上閾値以下であるときには、温度制御回路88が冷却装置2の冷却能力を維持し、検出温度が上閾値を超えるときには、温度制御回路88が冷却装置2の冷却能力を下げる。
〔11〕分析手順
生体高分子検出装置80を用いて試料を分析する方法について説明するとともに、生体高分子検出装置80の使用方法及び動作方法について説明する。
〔11−1〕蛍光標識DNAの作成
分析する試料としては、DNAを用いることができる。試料となるDNAとしては、任意の細胞検体内で発現しているmRNAを抽出し、逆転写酵素を用いるRT−PCR反応により得られたcDNAを用いることができる。cDNAは蛍光体で標識する。蛍光体としては、例えばGEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製のCy2(吸収波長491nm、蛍光波長509nm)、Cy3(吸収波長553nm、蛍光波長569nm)、Cy5(吸収波長645nm、蛍光波長664nm)等を用いることができる。
cDNAを蛍光体で標識するには、例えば、蛍光体で標識されたオリゴdTプライマや、標識されたdNTPミックスを用いてRT−PCR反応を実施すればよい。以下では、この標識されたcDNAを蛍光標識DNAという。
〔11−2〕ハイブリダイゼーション
まず、蛍光標識DNAを含有した溶液(以下、蛍光標識DNA)を固体撮像デバイス10の受光面35に塗布する。蛍光標識DNA溶液を各スポット60,60,…に順次又は同時に滴下してもよい。
このとき、DNAが一本鎖となるように蛍光標識DNA溶液を加熱する。また、スポット60のDNAが一本鎖となるように固体撮像デバイス10の受光面35も加熱する。
次いで、固体撮像デバイス10を冷却する。すると、蛍光標識DNA溶液内の蛍光標識DNAのうち、スポット60のプローブDNAと相補的な蛍光標識DNAは、そのプローブDNAとハイブリダイズする。一方、プローブDNAと相補的ではない蛍光標識DNAは、このスポット60には結合しないか、結合したとしても僅かである。
その後、洗浄用バッファー溶液で蛍光標識DNA溶液を固体撮像デバイス10の受光面35から洗い流し、蛍光標識DNAのうちハイブリダイズしなかったものを固体撮像デバイス10の受光面35から除去する。
〔11−3〕サンプルの検出
上記処理を行った後、生体高分子検出チップ1を伝熱台4の上に設置し、フレキシブル配線シート83をコントローラ84に接続する。これにより、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72、ドレインドライバ73及び記憶装置82がコントローラ84に接続され、ドレインドライバ73がA/D変換器87に接続される。その後、コントローラ84を起動させる。
まず、コントローラ84が、起動後、温度制御回路88に対して設定温度(例えば、10℃)を設定する。そうすると、温度制御回路88が、温度センサ3による検出温度をフィードバックしながら冷却装置2を制御する。これにより、伝熱台4及び固体撮像デバイス10が設定温度になって、その設定温度に維持される。固体撮像デバイス10が冷却装置2及び伝熱台4によって冷却されることで、固体撮像デバイス10の暗電流が軽減される。
次に、コントローラ84が励起光照射装置81を点灯させる。励起光照射装置81によってスポット60,60が照射される。そうすると、蛍光標識DNAがプローブDNAに結合したスポット60からは、蛍光が放出される。一方、蛍光標識DNAがプローブDNAに結合したスポット60からは、蛍光が放出されない。
そして、コントローラ84は、励起光照射装置81を点灯した状態で光センシング時間が1秒になるように、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73に制御信号を出力する。そうすると、トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73が1秒の光センシング時間で動作し、固体撮像デバイス10による画像入力が行われる。
トップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73による固体撮像デバイス10の画像入力動作について図9を用いて具体的に説明する。
トップゲートドライバ71が1行目から最終行目のトップゲートライン44に順次リセットパルスを所定の水平走査周期で出力するとともに、ボトムゲートドライバ72が、リセットパルスの立ち下がりのタイミングから1秒後に立ち上がるリードパルスを、1行目から最終行目のボトムゲートライン41に順次所定の水平走査周期で出力する。その際、ドレインドライバ73が各行でリセットパルスが出力されているリセット期間と各行でリードパルスが出力されている期間との間に、プリチャージパルスを全てのドレインライン43,43,…に出力する。
i行目の各受光素子20の動作について詳細に説明する。トップゲートドライバ71がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力すると、i行目のトップゲートライン44がハイレベルになる。i行目のトップゲートライン44がハイレベルになっている間(この期間をリセット期間という。)、i行目の各受光素子20では、半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積されたキャリア(ここでは、正孔である。)が、トップゲート電極31の電圧により反発して吐出される。
そして、トップゲートドライバ71がi行目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力することを終了して、半導体膜23に蛍光が入射することによって半導体膜23内に生成された電子−正孔対のうちの正孔を電気的に捕捉するためのするため負電位(−20〔V〕)をトップゲートライン44に出力する。つまり、i行目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから、i行目のボトムゲートライン41にリードパルスが出力されるまでの光センシング時間において、光量に従った量の電子−正孔対が半導体膜23内で生成されるが、そのうちの正孔がトップゲート電極31の電界により半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積される。
光センシング時間中に、ドレインドライバ73が全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力する。プリチャージパルスが出力されている間(プリチャージ期間という。)では、i行目の各受光素子20においては、トップゲート電極31に印加されている電位が−20〔V〕である。そうすると、この負電界によって半導体膜23内や半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積された正孔による電界は、必然的に負電界を完全に相殺して半導体膜23のチャネル領域にnチャネルを形成する程度の正電界には成り得ない。そうすると、ボトムゲート電極21に印加されている電位が±0〔V〕であるため、ドレイン電極28とソース電極27との間にプリチャージパルスの電位差が生じても半導体膜23にはチャネルが形成されず、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流は流れない。プリチャージ期間において、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流が流れないため、ドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスによってi行目の各受光素子20のドレイン電極28に電荷がチャージされる。
ドレインドライバ73がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ72がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。ボトムゲートドライバ72がi行目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力している間(この期間を、リード期間という。)では、i行目の各受光素子20のボトムゲート電極21に+10〔V〕の電位が印加されているため、i行目の各受光素子20がオン状態になる。
リード期間においては、光センシング時間において蓄積されたキャリアがトップゲート電極31の負電界を緩和するように働く。そのため、入射される光量が十分であってキャリアの量が十分であれば、ボトムゲート電極21の正電界とあわせて半導体膜23にnチャネルが形成されて、ドレイン電極28からソース電極27に電流が流れるようになり、ドレイン電極28の電荷が減少する。従って、リード期間では、ドレインライン43,43,…の電圧は、ドレイン−ソース間電流によって時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
光センシング時間において半導体膜23に入射した光量が多くなるにつれて、蓄積されるキャリアも多くなり、蓄積されるキャリアが多くなるにつれて、リード期間におけるドレイン電極28の電荷減少レートが大きくなるとともに、リード期間においてドレイン電極28からソース電極27に流れる電流のレベルも大きくなる。従って、リード期間におけるドレインライン43,43,…の電圧の減少傾向は、光センシング時間で半導体膜23に入射した光量に深く関連する。
そして、i行目のリード期間から次の(i+1)行目のプリチャージ期間までの間に、リード期間が開始してから所定の時間経過後のドレインライン43,43,…の電圧(出力値)がドレインドライバ73によって検出される。ドレインドライバ73は、ドレインライン43,43,…の電圧を列順次に出力する。
そして、受光素子20,20,…のドレイン電極28の電圧がドレインドライバ73から順次出力される。その出力がA/D変換器87によって量子化されて、コントローラ84に入力される。具体的には、プリチャージパルスによって上昇したドレインライン43の電圧値から、光の入射量に応じて低下した電圧値を差し引いた電圧(電圧低下分)を256階調のデジタル値の出力値とし、光の入射量が増大するにしたがって出力値の階調が高くなる。コントローラ84は、A/D変換器87の出力値をメモリ86に記録することによって、固体撮像デバイス10の受光面35に沿った出力値分布が二次元の画像データ(各画素の出力値の集合体)としてメモリ86に記録される。
その後、コントローラ84は、励起光照射装置81を点灯した状態で、3秒の光センシング時間でトップゲートドライバ71、ボトムゲートドライバ72及びドレインドライバ73を動作させる。
メモリ86には、光センシング時間を1秒の画像データに加えて、光センシング時間を3秒とした画像データが記録される。
次に、コントローラ84は、メモリ86に記録された1回目及び2回目の画像データを読み込む。
次に、コントローラ84は、1回目の画像データの1行・1列のアドレスの画素の出力値を3倍に演算した値と、2回目の画像データの1行・1列のアドレスの画素の出力値と、の和を4で割った加重平均を算出しメモリ86に記憶する。同様にして、コントローラ84は、残り全ての画素の加重平均を算出しメモリ86に記憶する。ここで、画素は、n行とm列の画素からなる。
次に、コントローラ84は、記憶装置82に記録された傾きA及び切片Bを読み込み、求めた各画素の加重平均を式(2)の出力値に代入して入射光量を得る。
次に、コントローラ84は、求めた各画素のアドレス及び入射光量からなる画像データをメモリ86に記録する。
次に、コントローラ84は、求めた各画素の階調からなる画像データを出力装置85に出力させる。これにより出力装置85によって画像が出力される。出力装置85によって出力された画像データ(当該入射光量値)と標準入射光量値とその標準分子量から蛍光標識DNAの分子量を算出することができる。
本実施形態によれば、固体撮像デバイス10が図6に示すような出力特性を有することを利用したので、良好に判定できる。従って、固体撮像デバイス10のダイナミックレンジが広くなる。
また、記憶装置82には、データベースではなく、傾きA及び切片Bが記憶されているだけだから、記憶装置82の記憶容量を最小限に抑えることができる。記憶装置82の記憶容量が小さいので、生体高分子検出装置80及び生体高分子検出チップ1の製造原価を抑えることができる。
また、入射光量と階調値との相関を一次関数的になるようにコントローラ84が演算したので、A/D変換器87を高精度のものにしなくても済むとともに、光学系を走査する走査機構も必要としない。そのため、生体高分子検出装置80の小型化が可能で、生体高分子検出装置80の製造原価を抑えることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなっても良い。
上記実施形態では、受光素子20,20,…としてダブルゲートトランジスタを用いた固体撮像デバイス10を例にして説明したが、光電変換素子としてフォトダイオードを用いた固体撮像デバイスに本発明を適用しても良い。フォトダイオードを用いた固体撮像デバイスとしては、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサがある。CCDイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲には、フォトダイオードで光電変換された電気信号を転送するための垂直CCD、水平CCDが形成されている。CMOSイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲にはフォトダイオードで光電変換された電気信号を増幅するための画素回路が設けられている。固体撮像デバイス10がCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである場合には、駆動回路70の回路構成はCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサに適したものに変更するのは勿論である。CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサの駆動回路は周知である。
上記実施形態では、光センシング時間を1秒に設定した状態で駆動回路70に駆動動作を行わせることを1回行い、光センシング時間を3秒に設定した状態で駆動回路70に駆動動作を行わせることを1回行ったが、光センシング時間を1秒に設定した状態で駆動回路に駆動動作を行わせることを3回行い、光センシング時間を3秒に設定した状態で駆動回路70に駆動動作を行わせることを1回行い、これらの和を4で割ってもよい。
また、上記各実施形態では、光センシング時間を1秒、3秒としたが、適宜任意の異なる秒数であれば、これに限らず、また三種以上の光センシング時間によって求めてもよい。
また上記各実施形態では、各画素に異なる秒数で複数回光センシングを行ったが、例えば1つのスポット60に対応する複数の受光素子20のうち、特定の行(例えば奇数行)に1秒の光センシング時間で光センシングを行い、他の特定の行(例えば偶数行)に3秒の光センシング時間で光センシングを行い、1つのスポット60の複数の画素全体の加重平均及び入射光量を求めてもよい。この場合、まず奇数行の画素のみ順次1秒の光センシング時間の駆動動作を1回行い、次いで偶数行の画素のみ順次3秒の光センシング時間の駆動動作を1回行えばよい。
本発明の実施形態における生体高分子検出装置の主要部を示した斜視図である。 生体高分子検出チップの一部を概略して示した平面図である。 固体撮像デバイスの画素を示した平面図である。 IV−IV矢視断面図である。 固体撮像デバイスの特性を示したグラフである。 固体撮像デバイスの入射光量−出力特性を示したグラフである。 固体撮像デバイスの入射光量−出力特性を示した表である。固体撮像デバイス及びその周辺回路を示した図面である。 固体撮像デバイス及びその周辺回路を示した図面である。 固体撮像デバイスの信号の推移を示したチャートである。 生体光高分子検出装置の構成を概略的に示したブロック図である。
符号の説明
10 固体撮像デバイス
20 受光素子
60 スポット
70 駆動回路
80 生体高分子検出装置
82 記憶装置
84 コントローラ

Claims (6)

  1. 受光面と、前記受光面の下において配列された複数の受光素子とを有する固体撮像デバイスと、
    既知の生体高分子からなり、前記固体撮像デバイスの受光面上に点在した複数種のスポットと、
    前記固体撮像デバイスを駆動することによって、前記受光素子で光電変換が行われる光センシング時間において前記受光素子の入射光量に応じた出力値を出力するとともに、前記光センシング時間を変更可能な駆動回路と、
    前記光センシング時間を第1時間とした場合における前記受光素子の出力値及び前記光センシング時間を第2時間とした場合における前記受光素子の出力値の加重平均を求めるコントローラと、を備えることを特徴とする生体高分子検出装置。
  2. 前記コントローラは、前記加重平均と前記加重平均から求められた線形近似との乖離率は、−5%〜5%とすることを特徴とする請求項1記載の生体高分子検出装置。
  3. 前記コントローラは、前記加重平均から線形近似の回帰方程式を求めることを特徴とする請求項1又は2記載の生体高分子検出装置。
  4. 前記コントローラは、前記加重平均から求められた線形近似の回帰方程式に基づいて前記受光素子の入射光量を求めることを特徴とする請求項3記載の生体高分子検出装置。
  5. 前記加重平均から線形近似の回帰方程式の傾き及び切片を記憶した記憶装置を有することを特徴とする請求項3記載の生体高分子検出装置。
  6. 前記記憶装置から傾きと切片を読み出し、計測時の前記加重平均値によって、入射光量値を求めることを特徴とする請求項5記載の生体高分子検出装置。
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