JP2010077542A - 重ね織物 - Google Patents

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Abstract

【課題】キルティングは比較的分厚く且つふんわり感があるものの、製造工程が煩雑でコストが高くつく。そこで本発明では、製造コストが低廉で、且つふんわりと軽い風合いの重ね織物を得ることを目的とする。
【解決手段】3重構造の重ね織物10である。この3重構造のうちの中層の緯糸14,15にフィラメントの嵩高糸を用いる。この嵩高糸によって重ね織物10全体としても軽くふんわりとした風合いとなる。また保温性に優れたものとなる。更に中層の緯糸としてポリウレタン弾性糸を用いれば、中層及び上・下層が縮んで、より一層ふんわりと嵩高くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種タオル製品や肌布団等に好適なふんわりと軽い風合いの重ね織物に関するものである。
タオル等に用いられている織物としては、地組織にパイル糸が配されたパイル織物が一般的である。このパイル織物としてはパイル糸を切断して毛羽状にしたものや、パイル糸をループ状のまま残したものがある。この様なパイル織物はふんわり感があり保温性が良好であるので、タオルケット等の夏用掛け具の他、様々な用途に利用されている。
ふんわり感のある織物としては、上記パイル織物の他、2重織物や3重織物が知られている(例えば特許文献1参照)。
またふんわり感のある布製品として、表布と裏布の間にワタを挟んで刺し縫いにしたキルティングも知られている。
特開2005−256208号公報
しかしながら、上記パイル織物や2重・3重織物では、厚みのあるものとするには限界がある。つまり厚みを増す為に糸を太くすると、織物自体が重くなって使用感を損なうことになるからである。
一方、上記キルティングは比較的厚手にでき、パイル織物等よりも嵩高でふんわり感が一層強いものになる利点を有する。しかしその製造工程は、まず表布と裏布を製織し、その後ワタを挟んでキルティング加工する必要があり、工程が煩雑で製造コストが高くつく問題がある。
そこで本発明は上記の様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造コストを低く抑えることができ、且つふんわりと軽い風合いの重ね織物を提供することにある。
本発明に係る重ね織物は、3重構造の重ね織物であって、前記3重構造のうちの中層を構成する緯糸の少なくとも一部に、フィラメントの嵩高糸を用いたものであることを特徴とする。
フィラメントの嵩高糸はふんわりと嵩高いので、これを上記の様に中層に用いることにより、重ね織物全体としても軽くふわりとした風合いの比較的厚みのある織物となるとなり、また保温性に優れたものとなる。
またステープル(短繊維)製の嵩高糸では、繊維の脱落を生じ易く、使用し続けるうちに嵩高性が劣化し易い傾向にあるが、本発明の如くフィラメント(長繊維)製の嵩高糸であれば繊維脱落が生じ難く、嵩高性を維持し得る。
上記の様に本発明では、3重織物を製織するだけで上記の様にふんわりとした織物が得られ、キルティング加工等の工程が不要であるので、製造工程が簡素化され、コストを低く抑えることができる。
上記嵩高糸としては、バルキーヤーンやテクスチャードヤーンが挙げられ、より具体的にはポリエステルフィラメント糸の仮撚法による仮撚り加工糸等が挙げられる。また上記嵩高糸の太さとしては、300〜2100dtexが推奨される。
また本発明の重ね織物においては、更に、前記中層における緯糸の一部にポリウレタン弾性糸を用いることが好ましい。
上記ポリウレタン弾性糸(通称スパンデックス糸)が縮むことで、3重織物の上・下の層も縮んで皺となり、よって重ね織物全体としてボリュームが出て、よりふわっとした風合いとなる。
本発明に係る重ね織物は、比較的厚みのある織物でありつつふんわりと軽い風合いであり、しかも製造コストを低廉とすることが可能である。
<実施形態1>
図1は本発明の実施形態1に係る重ね織物10の一部断面を模式的に表した図である。
該重ね織物10は上層、中層、下層からなる3層構造の織物である。上層の緯糸11及び経糸12、並びに下層の緯糸17及び経糸18はいずれも綿100%の20番手の紡績糸である。上・下層はいずれも平織り組織となっており、上・下層の緯糸11,17は所々で中層の経糸16と交叉するようになっている。図示例では、経糸12,18が6本毎のピッチで中層の経糸16と交叉している。
中層では、その緯糸のうち緯糸14が経糸16に対して1本浮いて5本沈み、緯糸15が経糸16に対して5本浮いて1本沈み、緯糸19が経糸16に対して1本ずつ交互に沈む・浮くを繰り返す。中層は、これら3本の緯糸14,15,19と経糸16の織り組織が繰り返されたものである。
中層の緯糸うちの緯糸14,15には嵩高糸が用いられている。この嵩高糸(緯糸14,15)は、ポリエステルフィラメント糸の仮撚り加工糸であり、太さは333dtex(300d)である。なお嵩高糸(緯糸14,15)を甘撚としても良い。嵩高糸を撚糸とした場合に撚が強すぎるとせっかくの嵩高性が損なわれるので、撚り数は200/m以下が好ましい。
中層の緯糸のうちの緯糸19及び経糸16には綿100%の20番手の紡績糸が用いられている。
上記の如く重ね織物10は、中層に嵩高糸を用いているから、キルティング加工を行わずとも、3重織物の製織機で製織しただけで、膨らみのある織物が得られる。
なお製織の際、緯糸14,15である嵩高糸に張力が加わることによってその捲縮が伸びることがあるが、製織後の糊抜き工程(80〜90℃の湯に入れて乾燥機140℃で乾燥する工程)等を経るときの加熱によって嵩高糸(緯糸14,15)の捲縮が戻り、嵩高感が出る。またこのとき、一旦嵩高糸が伸びた状態で上・中・下層が製織されることになるので、その後の糊抜き工程等で嵩高糸が縮み、それによって上・下層も縮むように皺になり、重ね織物10全体としても良好な嵩高感が出る。尚、中層の織り組織が上記の如く嵩高糸(緯糸14,15)が経糸16を5本飛ばして1本交叉する組織であるので、上記の嵩高糸の捲縮にあたり、この交叉する1本の箇所で留められた様になって、5本分の飛ばした部分で収縮する。その結果、上下層にほぼ均一な縮緬皺が出るようになる。
仮に嵩高糸を経糸に交叉させずに(留め部分がなく)単に緯方向に挿通しただけであると、上下層の皺が粗くなり重ね織物の外観の審美性に劣るものとなるが、上述の様に実施形態1では縮緬皺となるので、嵩高性や保温性が良好なだけでなく、良好な外観を呈する。なおこの様な縮緬皺とするにあたっては、中層の嵩高糸(緯糸14,15)による経糸16の飛ばし本数は3〜20本が好ましい。
以上のように本実施形態1の重ね織物10は嵩高いので、ふわりと軽い風合いを備える。
<実施形態2>
図2は本発明の実施形態2に係る重ね織物20の一部断面を模式的に表した図である。
本実施形態2では、上記実施形態1の中層における綿紡績糸の緯糸19に換えて、40番手双糸のスパンデックス糸(ポリウレタン弾性糸:緯糸29)が用いられている。そしてこの緯糸29は、経糸16に対して5本浮いて1本沈むという組織で織られている。実施形態2における他の構成については上記実施形態1と同じである。
実施形態2の重ね織物20においてはスパンデックス糸(緯糸29)によって、中層並びに上・下層がより一層縮んで皺になり、嵩高感が非常に良好となる。またこれにより保温性にも優れる。
この重ね織物20においても嵩高く、ふんわりと軽い風合いを備え、しかもキルティングの場合よりも製造工程が簡素化されているので、製造コストを低廉に抑えることが可能である。
以上、例を挙げて本発明をより具体的に説明したが、本発明はもとより上記例によって制限を受けるものではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
例えば嵩高糸(緯糸14,15)の経糸16の飛ばし本数は、上記実施形態1,2の如く5本に限るものではなく、例えば6本、8本、12本飛ばしとしても良い。
また実施形態1,2では中層に用いる緯糸の一部のみに嵩高糸を用いているが、中層の緯糸の全てをフィラメントの嵩高糸で構成しても良い。
また中層に用いる経糸、緯糸に冷感や発熱、抗菌等の各種機能性糸を用いても良い。この場合において、中層は上・下層によって隠れて直接肌に触れることがないので、たとえ上記機能性糸自体の肌触りが悪くても殆ど影響しない。
また上・下層の糸として上記実施形態1,2では綿100%の紡績糸を示したが、これに限るものではなく、麻、ウール、合成繊維等の各種素材の糸が使用可能である。
本発明の実施形態1に係る重ね織物の一部断面を模式的に表した図である。 本発明の実施形態2に係る重ね織物の一部断面を模式的に表した図である。
符号の説明
10,20 重ね織物
11,17 緯糸
12,16,18 経糸
14,15 緯糸(嵩高糸)
19 緯糸(綿紡績糸)
29 スパンデックス糸

Claims (2)

  1. 3重構造の重ね織物であって、
    前記3重構造のうちの中層を構成する緯糸の少なくとも一部に、フィラメントの嵩高糸を用いたものであることを特徴とする重ね織物。
  2. 更に、前記中層における緯糸の一部にポリウレタン弾性糸を用いた請求項1に記載の重ね織物。
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