JP2010077497A - 継ぎ目無しアルミニウム合金管材の製造方法 - Google Patents

継ぎ目無しアルミニウム合金管材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】品質信頼性の高いマンドレル押出管で高寸法精度の管材を低コストで製造するととともに、肉厚1mmにて最大拡管率70〜80%、全伸び14〜15%であるポートホール管と同等以上の特性を得ることができる継ぎ目無しアルミニウム合金管材の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金のマンドレル押出管を、連続引抜方式により断面減少率70%以上の第1の冷間加工をし、得られた第1引抜管を溶体化処理した後、引抜による第2の冷間加工をし、その後、さらに人工時効処理する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム製熱交換器及びその配管材として使用されるアルミニウム合金管材、特に、高圧条件下にて使用されるアルミニウム合金管材について、連続抽伸と溶体化処理をすることで、低コストかつ高寸法精度を有し、端末加工性にも優れた継ぎ目無しアルミニウム合金管材を製造する方法に関するものである。
近年、地球温暖化等の環境問題や急激な原油価格高騰の影響で、特に、自動車用配管材について、熱交換器の小型軽量化のために管材の薄肉化による軽量化と強度向上との両立を図ること、さらに、配管のコンパクト化と自由度の増大、及び配管作業の省力化のために難易度の高い加工が可能な高成形性が求められている。
このような状況のなかで、一般的に使用される、例えば3003の継ぎ目無し管(マンドレル押出管)では、偏肉精度に代表される寸法精度及び成形性がポートホール管よりも劣っている。これは、従来のマンドレル押出管の製造方法に由来する。つまり、現在のマンドレル押出管の製造方法は、大型鋳塊を押出し、連続引抜による冷間加工後に、人工時効処理して製造するというものである。しかし、マンドレル押出管の元材は肉厚であることから、素管サイズから最終製品サイズまでの断面減少率は70%以上必要なので、偏肉精度、特に径方向の偏肉精度がポートホール管よりも劣る。また、断面減少率が高いことから、複数回にわたって冷間加工する必要があるので、その後、時効処理を行っても、冷間加工時の加工硬化によって伸びが不足し、成形性もポートホール管より劣ってしまう。偏肉精度が劣る点で、特に、高圧配管に使用するのは難しい。そこで、前記高圧配管には、本来なら溶着部がなく破断の心配のないマンドレル管が好ましいところ、現状では、マンドレル管と比較して、成形性に優れ、且つ寸法精度の高いポートホール管、例えば、肉厚1mmにて最大拡管率70〜80%、全伸び14〜15%の特性を有する6063-T83相当のポートホール管が一般的に使用されている。
上記の通り、ポートホール管は寸法精度の高い管材ではあるが、その製造工程において溶着部が形成されてしまう。このポートホール押出によって形成されるポートホール管の溶着部は、通常部と比較して成形性が異なる。そのため、内圧を負荷して拡管する加工を行う場合、溶着部が優先的に変形して破断に至りやすいために、拡管率の高い加工が出来ないという問題がある。加工時に溶着部が優先的に割れる一因として、溶着部と通常部での集合組織の差が挙げられる。溶着部とそれ以外の通常部では、押出工具内でのメタルフローが異なるため、熱間での加工履歴が異なり、それに起因して成形後の管材の集合組織が異なる結果となる。これは押出ダイス内で一旦分断したメタルが溶着部で溶着することによって中空材を得る方式のポートホール押出では不可避的な現象であるといえる。
このポートホール管の有する問題に対して、連続抽伸よるマンドレル押出管の製法では溶着部が存在しないために、溶着部と通常部での集合組織差を考える必要がない点で、拡管成形性に有利に働く。しかし、上記の通り、従来のマンドレル押出管は、偏肉精度と成形性が従来のポートホール管より劣るという問題がある。
一方、近年、自動車配管材の接続方法は工程カットに代表されるVA等によりコネクタとの機械的接続法が主に採用され、例えば、端末部の拡管加工や軸シールドビード加工等といった難易度の高い、厳しい加工が多くなっている。軸シールドビード加工に代表される拡管、転造及びパンチングの違った組み合わせの加工では、ポートホール管の溶着部で割れが生じることもあるので、ポートホール管には割れに耐え得るだけの肉厚が必要となる。つまり、ポートホール管には溶着部の信頼性がないので、管の厚肉を厚くする必要があり、ポートホール管を使用した、例えば自動車用熱交換器は、大型で重いものとなっている。
そこで、耐食性と成形性に優れた、例えば、自動車のラジエータやヒータを結ぶ配管などとして用いられるアルミニウム合金管材を製造するために、アルミニウム合金の鋳塊を熱間押出加工し、得られた押出管を30%以上の加工度で冷間抽伸加工した後に、焼鈍するアルミニウム合金管材の製造方法が知られている。この製造方法によれば、曲げ加工やバルジ加工の際に、割れや肌荒れが生じにくくなるとしている(特許文献1)。
しかし、上記従来技術では、自動車配管用アルミニウム合金管材の成形性はある程度向上しても、配管材を小径薄肉化して熱交換器を軽量化することはできない。
一方で、自動車用熱交換器の小型軽量化は、車載スペースを低減できるとともに車体の軽量化及び燃費向上に大きく寄与するので、今後さらに重要となってくる。そこで、小型軽量化の手段として、さらには、配管のコンパクト化と配管の自由度を増大させる手段として、配管材の小径薄肉化及び高成形性が求められている。
特開2002−348624号公報
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、溶着部がなく品質信頼性の高いマンドレル押出管を用いて、高寸法精度を有し成形性に優れたアルミニウム合金管材を低コストにて製造するととともに、肉厚1mmにて最大拡管率70〜80%、全伸び14〜15%である従来のポートホール管と同等以上の機械的性質を有する継ぎ目無しアルミニウム合金管材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、寸法精度、並びに伸び及び曲げ等の機械的性質がポートホール管並みの特性を有する継ぎ目無しアルミニウム合金管材の製造方法を開発すべく、種々実験、検討を行う過程において、上記課題を解決した。具体的には、連続抽伸した後に巻取をしたコイルについて溶体化処理を行い、その後、冷間引抜加工と人工時効処理を実施することにより、マンドレル押出管を元材としても、熱処理合金6063−T83のポートホール管並みの機械的性質を有するアルミニウム合金管材が得られることを発見した。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第1の態様は、アルミニウム合金のマンドレル押出管を、連続引抜方式により断面減少率70%以上の第1の冷間加工をし、得られた第1引抜管を溶体化処理した後、引抜による第2の冷間加工をし、その後、さらに人工時効処理することを特徴とする。ここで、連続引抜とは、ブルブロックともいわれる連続抽伸加工をいい、断面減少率とは、加工前の断面積と加工後の断面積の差を、加工前の断面積で除した値の百分率、つまり、[(加工前の断面積−加工後の断面積)/加工前の断面積]×100を意味する。また、溶体化処理とは、アルミニウムの結晶に合金成分を固溶させるための熱処理と、その後の冷却処理をいい、第1の冷間加工で過剰に加工硬化した第1引抜管の組織を軟化させることができる。人工時効処理とは、アルミニウム合金管材に所定の強度と成形性を与えるための熱処理という。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第2の態様は、前記第1引抜管を前記溶体化処理前にコイルで連続的に巻き取ってコイル化することを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第3の態様は、前記溶体化処理の冷却温度が、1.5℃/秒以上であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第4の態様は、前記第2の冷間加工が、断面減少率10〜40%であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第1の態様によれば、断面減少率70%以上の連続引抜方式による第1の冷間加工後に溶体化処理をするので、第1の冷間加工により加工硬化した第1引抜管を軟化させることができ、アルミニウム合金管材の成形性、加工性が向上する。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第2の態様によれば、第1の冷間加工で得られた第1引抜管を、コイル巻きしてから溶体化処理するので、溶体化処理炉の容量をコンパクトにできるとともに、溶体化処理炉の消費エネルギーを低減でき、生産コストを下げることができる。また、第1引抜管をコイル巻きすることにより、第1引抜管に生じたねじれが矯正されて、第1引抜管が整直されるので、その後の第2の冷間加工の際に、第1引抜管の偏肉、特に長手方向の偏肉を大幅に低減できる。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第3の態様によれば、溶体化処理の冷却温度が1.5℃/秒以上とすると、焼入れと合金成分の固溶量が十分となるので、アルミニウム合金管材の強度のばらつきを抑えることができる。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法の第4の態様によれば、溶体化処理後であって人工時効処理前に、断面減少率10〜40%の第2の冷間加工をするので、第1引抜管の長手方向と径方向の偏肉を低減して寸法精度を高めることができる。
次に、本発明の実施形態例に係る継ぎ目無しアルミニウム合金管の製造方法を説明する。本発明の実施形態例に係る継ぎ目無しアルミニウム合金管の製造方法は、(1)中空部を有するマンドレル押出管を、連続引抜方式により断面減少率70%以上の加工度にて第1の冷間加工をする工程と、(2)レベルワインダーを用いて、第1の冷間加工をした第1引抜管のねじれを解きながらコイル化させる工程と、(3)コイル化した第1引抜管を溶体化処理する工程と、(4)溶体化処理したコイル化第1引抜管を整直させながら伸ばして、第2の冷間加工により引き抜く工程と、(5)第2の冷間加工後に、さらに人工時効処理をする工程とを含む。
前記(1)の第1の冷間加工工程では、ブルブロックという連続抽伸機を用いて、マンドレル押出管を複数回にわたって連続引抜することで断面減少率が70%以上となるよう加工し、第1引抜管を作製する。断面減少率を70%以上とすることで、ポートホール管と比べて肉厚なマンドレル押出管でもある程度薄肉化でき、従って、前記(2)〜(5)の工程を経ることで、最終製品であるアルミニウム合金管材を薄肉化でき、寸法精度と成形性を向上させることができる。また、第1の冷間加工工程では、複数回にわたって連続引抜をするので、連続引抜の過程で偏肉を低減して寸法精度をある程度高めることができる。ただし、70%以上の断面減少率とすると、第1引抜管には過度の加工硬化が生じており、このままでは、成形性、加工性が従来のポートホール管よりも劣っている。
一方で、断面減少率が70%未満では、熱交換器の小型軽量化等のためのアルミニウム合金管材としては薄肉化が不十分であり、最終製品であるアルミニウム合金管材の薄肉化、高寸法精度、高い成形性の達成が困難となる。また、連続抽伸機は、連続引抜加工された管材を連続抽伸機のドラムに巻きつけると、管材の自重でドラム下に設けた容器中にそのまま落下させる構造となっているので、第1回目の連続引抜の際に、マンドレル押出管の断面減少率が小さいと、連続抽伸機のドラムに引抜後の管材を巻きつけることができず、従って、連続抽伸機を用いた連続引抜ができない。
前記(2)の第1引抜管のコイル化工程では、レベルワインダーを用いて第1引抜管をコイル化させる。上記の通り、第1引抜管は、連続抽伸機のドラムに巻き取られると、そのまま自重でドラム下の容器中に落ちるので、第1引抜管長手方向に対して略垂直方向にねじれが生じている。しかし、レベルワインダーを用いることで、このねじれを解消させつつ、第1引抜管をコイル化させることができる。第1引抜管をコイル化することにより、第1引抜管をコンパクトにできるので、スペース面でもエネルギー面でも溶体化処理の効率を向上させることができ、生産性が向上する。また、コイル化の際にねじれを解消させるので、第2の冷間加工工程にて、径方向の偏肉だけでなく長手方向の偏肉も低減され、最終製品であるアルミニウム合金管材の寸法精度を高めることができる。
前記(3)の溶体化処理工程では、第1引抜管を軟化させるので、第1の冷間加工における過度の加工硬化を低減させることができる。熱処理温度は、500℃以上、550℃以下が好ましい。500℃未満では合金成分の固溶量が不十分なために、第2の冷間加工後に人工時効処理を行っても、最終製品であるアルミニウム合金管材の強度、伸びとも不十分となり、要求品質を満たすことができない。一方、550℃を超えると結晶粒界で局部溶融が発生するので、強度が低下する可能性がある点で、好ましくない。十分な固溶量を得、かつ局部溶融を確実に回避する点で、特に、530〜540℃の熱処理温度が好ましい。
溶体化処理における熱処理後の冷却速度は、第1引抜管の強度のばらつきを抑える点で、1.5℃/sec以上が好ましい。第1引抜管はコイル化されているので、第1引抜管の各部位は上下に隣接した他の部位と互いに当接していることとなる。従って、コイル化された第1引抜管中央部付近の冷却速度を1.5℃/sec以上とするためには、コイルの外側表面からファンによる冷却を実施するのが好ましく、さらに、コイル内管にエアーをパージして冷却効率を向上させてもよい。第1引抜管をコイル化しない場合には、外気に接する表面積がコイル化した場合に比べて大きくなるので、放冷のみで1.5℃/sec以上の冷却速度となることがある。
前記(4)の第2の冷間加工工程では、コイル化した第1引抜管を整直しながら伸ばして引き抜く。この工程では、例えば、コンバインドマシンなどの連続抽伸機を用いて引き抜きする。このとき、第1引抜管は、ねじれが解消されて整直した状態で引き抜きされるので、第1引抜管の連続抽伸機への投入方向が一定となり、径方向の偏肉だけでなく長手方向の偏肉も低減させることができる。また、第2の冷間加工工程では、加工硬化により強度が向上する。通常、第2の冷間加工での引抜回数は1回であるが、必要に応じて複数回行ってもよい。
第2の冷間加工工程の加工度は、断面減少率は10〜40%の範囲であることが好ましい。断面減少率が10%未満の場合には、溶着部での組織差がないために加工割れを誘発することはないが、再結晶後の平均結晶粒径が粗大化するので成形性が低下し、また、加工硬化が不十分なのでポートホール管の6063−T8並の強度が得られない。一方、断面減少率が40%を超えると、再結晶後の結晶粒径が粗大化することはないが、冷間加工度が高いので加工硬化が過剰となってしまい、その後、人工時効処理工程を行っても組織の軟化は不十分となり、成形性が不足してしまう。
前記(5)の人工時効処理とは、焼き戻しとも言われ、アルミニウム合金管材に靭性を与えるための熱処理である。靭性が上がることで、成形性が向上する。熱処理温度は、人工時効処理による析出プロセスの点で、120〜200℃が好ましく、特に、微細析出物を生成させて靭性をより向上させる点で、150〜180℃が好ましい。熱処理時間は2〜24時間であり、熱処理終了後、徐冷する。
以下に、本発明の実施例を比較例と対比しながら説明する。なお、実施例は全て同一サイズの抽伸管で評価している。本発明の評価は連続抽伸管が製造できるサイズであれば限定されることは無く、適用が可能である。
実施例及び比較例に係るアルミニウム合金管材の製造方法について説明する。まず、JIS6063合金を用いて、全長170m、外径50mm、肉厚4mmのマンドレル押出管を元材として、連続抽伸機を用いた連続引抜方式にて第1の冷間加工を行って第1引抜管(以下、BB引抜管)を製造した。最終製品の断面減少率を変えるために、このBB引抜管は、数種類のサイズにて作製した。BB引抜管をコイル化するために、レベルワインダーによる整列巻きにより巻き取りを実施した。このとき、各BB引抜管の巻き取りの長さは一定とした。その後、コイル化したBB引抜管を、所定の溶体化温度と冷却速度にて熱処理した。熱処理後、コイルを整直させながら第2の冷間加工である引抜を連続抽伸機(コンバインドマシン)にて行い、150℃、13時間にて人工時効処理し、マンドレル管の試験材1〜7を得た。実施例である試験材1〜4及び比較例である試験材5〜7のサイズは、外径8mm、肉厚1mmとした。
次に、参考例として、従来材である6063-T83相当のポートホール管の製造方法について説明する。まず、JIS6063合金を用いて、全長4000mm、外径10及び11.05mm、肉厚1.1mmのポートホール押出管を一般引抜方式であるドローベンチで引抜処理し、150℃、13時間にて人工時効処理を行って試験材8、9を得た。参考例である試験材8、9は、前記実施例および比較例と同様に外径8mm、肉厚1mmとした。
上記各種試験材について、成形限界として最大拡管率を測定し、また、Uベンド曲げ性を評価することで、機械的性質を調べた。測定、評価結果を表1に示す。なお、表1、2に記載した実施例である試験材1〜4、10〜13、及び比較例である試験材5〜7、14〜16の断面減少率は、第2の冷間加工における断面減少率を示す。
最大拡管率の測定:円すい状の型の先端部に、長さ50mmに切断した直材である試験材の開口端部の一方を載せて、試験材を円すい状の型に対し垂直に固定し、上方から最大荷重60kgfのハンドプレスにて前記開口端部に圧力を加え、前記開口端部に割れが発生するまで試験材を押し込むことで前記開口端部を拡管させ、その最大径部の径を測定した。最大の拡管加工ができた試験材3における、最大径部の径と拡管加工前の径の差を100%として、各試験材の最大拡管率を測定した。
Uベンド曲げ性:曲げ型に長さ500mmに切断した試験材を押え型で押えつけて試験材を曲げる回転引き曲げ方法を用いた。試験材の曲げ加工速度は一定で行い、曲げ角度は90°とした。Uベンド曲げ性の評価は、外R部の表面状態を観察し、加工できて表面に肌荒れなく平滑面を有するものを良、加工できて表面に肌荒れ又はシワを有するものをシワ、加工中に割れが発生したものを割れ、とした。
Figure 2010077497
表1に示す通り、溶体化処理を施さない従来のポートホール管である参考例の試験材8は、最大拡管率が80%であった。一方、実施例である試験材1〜4は、全て最大拡管率が90%以上となっており、試験材8と比較して、同等以上の測定値が得られた。試験材8より断面減少率の高い参考例の試験材9のポートホール管については、Uベンド曲げによりシワが発生し、最大拡管率は70%しか得られず、試験材1〜4に比べて特性が劣っていた。このように、溶体化温度500〜530℃、かつ冷却速度1.5℃/sec以上である試験材1〜4は、いずれも、従来材である参考例のポートホール管と比較して、最大拡管率、Uベンド曲げとも同等以上である点で、従来のポートホール管と同等以上の成形性が得られた。
一方、溶体化温度500℃、冷却速度1.0℃/secの試験材5は、断面減少率が実施例の試験材1〜4よりも低く、第2の冷間引抜における加工硬化があまり起きていないので、最大拡管率は参考例並みの80%を得られたが、Uベンド曲げでシワが発生した。溶体化温度500℃、冷却速度0.5℃/secの試験材6は、最大拡管率が50%と低い値となった。試験材5、6は、溶体化処理時の冷却速度が遅く、溶体化が不十分であったため、実施例の試験材1〜4と比較して成形性が低下したと考えられる。試験材7は断面減少率が実施例の試験材1〜4より高く加工度が強いので、最大拡管率が30%にとどまり、Uベンド曲げではシワが発生した。
試験材10〜18は、おのおの、実施例1に記載の試験材1〜9と同様に製造し、高圧配管用成形加工を施した。この試験材10〜18について、加工後の全伸びを測定し、転造加工後、加工部の表面状態により転造加工性を評価することで、機械的性質を調べた。測定、評価結果を表2に示す。ここで、高圧配管用成形加工とは、実際の自動車用配管材を想定して、パイプの曲げに代表される成形加工、及び端末の接続信頼性が要求される加工難易度の高い転造加工を意味する。
全伸びの測定:Z2241(金属材料引張試験方法)に規定された、継ぎ目なし管JISH4080規定された11号試験片を使って実施し、全伸びを測定した。
転造加工性:溝付き形状用の金型を備えた転造加工試験装置を用い、該装置のロール回転数、ロール寄せ量、転造圧力を一定にして試験材に転造加工を行った。転造加工性の評価は、加工部の表面状態を観察し、加工できて寸法形状を満たし、且つ表面に肌荒れなく平滑面を有するものを良、加工できて寸法形状を満たすが、表面に肌荒れ又はシワを有するものを肌荒れ、加工できたが寸法形状を満たさないものを寸法不良、加工中に割れが発生したものを割れ、とした。
Figure 2010077497
表2に示す通り、溶体化処理を施さない従来のポートホール押出管である参考例の試験材17は、全伸びは15%、転造加工は良好な結果となった。一方、実施例の試験材10〜13は、いずれも全伸びが15%以上、転造加工は良好であり、試験材17と比較して、同等以上の結果が得られた。試験材17より断面減少率の高い参考例の試験材18のポートホール管については、全伸びは14%であり、転造加工の際に割れが発生し、実施例の試験材10〜13に比べて特性が劣っていた。このように、高圧配管用成形加工を施した試験材についても、溶体化温度500〜530℃、かつ冷却速度1.5℃/sec以上である実施例の試験材10〜13は、いずれも、従来材である参考例のポートホール管と比較して全伸びと転造加工性が同等以上である点で、ポートホール管と同等以上の成形性が得られた。
一方、溶体化温度500℃、冷却速度1.0℃/secの試験材14は、断面減少率が実施例の試験材10〜13より低いものの、全伸びが8%にとどまった。溶体化温度500℃、冷却速度0.5℃/secの試験材15は、全伸びが6%と低い値であった。試験材14、15は、溶体化処理時の冷却速度が遅く、溶体化が不十分であったので、実施例の試験材10〜13と比較して成形性が低下したと考えられる。試験材16は断面減少率が実施例の試験材10〜13より高く加工度が強いので、全伸びが6%と低い値となり、かつ転造加工で割れが発生した。
このように、本発明によれば、6063−T83相当のポートホール管と同程度以上の寸法精度と高成形性を有し、溶着部がなく品質信頼性の高い継ぎ目無しアルミニウム合金管を低コストで提供することが可能となる。
本発明のアルミニウム合金管材の製造方法によれば、溶着部がなく品質信頼性の高いマンドレル押出管から、薄肉化され、強度と成形性にも優れたアルミニウム合金管材を製造することができるので、複雑に加工された配管を高圧条件下で使用する自動車の分野で利用価値が高い。

Claims (4)

  1. アルミニウム合金のマンドレル押出管を、連続引抜方式により断面減少率70%以上の第1の冷間加工をし、得られた第1引抜管を溶体化処理した後、引抜による第2の冷間加工をし、その後、さらに人工時効処理することを特徴とするアルミニウム合金管材の製造方法。
  2. 前記第1引抜管を前記溶体化処理前にコイルで連続的に巻き取ってコイル化することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金管材の製造方法。
  3. 前記溶体化処理の冷却温度が、1.5℃/秒以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金管材の製造方法。
  4. 前記第2の冷間加工が、断面減少率10〜40%であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金管材の製造方法。
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