JP2010074020A - インダクタンス素子 - Google Patents

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正彦 高橋
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Abstract


【課題】 本発明の技術的課題は、磁気コアや、コイルの巻数や、あるいは誘電体の材質や形状を変更することなく、広い周波数帯域での減衰特性を維持し、かつ低い周波数帯域での減衰特性を改善したインダクタンス素子を提供することにある
【解決手段】 誘電体5を挟んで箔状の第1導体4と対向するように箔状の第2導体6を配し、第2導体6の一部をコイル8の一方の実装端子10a、10dに各々短絡することで、第2導体6と誘電体5との間の電極面積を従来のインダクタンス素子のコイル8と誘電体5とが接する電極面積より広くすることができ、第1導体4と第2導体6との間に生じる静電容量を大きくすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主として交流線(ACライン)等においてノイズフィルタとして用いられるインダクタンス素子に関する。
パーソナルコンピュータ、薄型液晶TVなどの電子機器は、自らの機器内部から発生し、伝導、及び伝搬する電気的雑音(以下、ノイズと表示)を抑制し、かつ他の機器から生じたノイズの影響を受けないようにすることが電気用品安全法、VCCI、電波法、CISPRなどの各種規格により決められている。このため、ノイズ問題を抱える電子機器の電源入出力部には、各種規格を遵守するためのインダクタンス素子等を使用したノイズフィルタを設けられている。
なお、一般にノイズは、平衡モードノイズ(以下、コモンモードノイズと表示)と不平衡(以下、ノーマルモードノイズと表示)とが混在しているものである。コモンモードノイズとは、入出力線と基板グラウンド、筐体、または大地などとの間に流れ、グラウンドから見た入力線や出力線などの間に電位差が生じたものである。
また、ノーマルモードノイズとは、電源側と接地側との間に電位差が生じたものである。
図4は、ノイズフィルタの等価回路図である。
図4に示す一般的なノイズフィルタ20は、コモンモードノイズを遮り、減衰させるインピーダンスとリアクタンスと高い結合係数の相互インダクタンスとを有するインダクタンス素子1と、基板のグラウンド21に一方の端子が接地され、コモンモードノイズを還流させて打ち消し合わせる一対のコンデンサ22と、ノーマルモードノイズを遮り、減衰させるインピーダンスとリアクタンスとを有するノーマルモードチョークコイル23と、ノーマルモードノイズを還流させて打ち消し合わせるコンデンサ24とコンデンサ25とから構成されている。なお、電源26は、商用の交流電源を想定し、グラウンド21は、大地に接地した状態を想定し、負荷27は、スイッチング電源等のノイズを発生する電子機器等を想定している。
インダクタンス素子が高周波領域にて用いられる場合には、被覆導線を巻回して形成したコイルによって生じる線間容量がノイズを減衰させる効果に与える悪影響を排除するため、磁気コアをグラウンドに接地すると共に接地した磁気コアに被覆導線を直接巻回することでインダクタンス素子を形成する技術が提案されている。このようなインダクタンス素子は、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
これに対して、磁気コアと被覆導線を巻回して形成したコイルとの間が短絡され磁気特性が低下することを問題とし、接地導体を形成した磁気コア上に、誘電体及び近接導体を順に形成し、更にその上に被覆導線を巻回して形成することにより、磁気コアと被覆導線とを電気的に分離し、それによって信頼性を高めたインダクタンス素子が提案されている。このようなインダクタンス素子は、例えば特許文献3に開示されている。
図5は、従来のインダクタンス素子を説明する図である。図5(a)は、正面図で、図5(b)は、側面図である。図5のインダクタンス素子1cは、トロイダルの磁気コアをトロイダルの絶縁ケース3に収納して覆い、絶縁ケース3の外側に配された第1導体4と、第1導体4の外側に配された誘電体5と、第1導体4から引き出されたグランド端子12と、被覆導線7を巻回して形成したコイル8とを備えている。なお、コイル8の夫々の端末は、被覆導線の被覆が剥離され、半田付け等によって接続を容易にするための半田メッキ処理が施され、実装端子10a、10b、10c、10dを各々形成している。
このインダクタンス素子においては、磁気コアと第1導体とを電気的に絶縁することにより、設計上の自由度が高く、電気的信頼性が高い、かつ減衰特性を高周波側まで広帯域化したインダクタンス素子である。図5に示されるインダクタンス素子1cは、例えば特許文献4に開示されている。
特開平9−102426号公報 特開2004−311866号公報 特開2004−235709号公報 特開2008−118101号公報
図5に示される従来のインダクタンス素子1cは、コイル8と第1導体4との間に誘電体5を配し、かつ磁気コア2と第1導体4との間を絶縁ケース3で電気的に絶縁することで広い周波数帯域での減衰特性を改善し、減衰特性を広帯域化するものであった。
しかしながら、従来のインダクタンス素子1cにおいて、低い周波数帯域の減衰特性を改善するには、磁気コアの材質をより高い透磁率のものにするか、磁気コアの平均断面積を大きくして磁気抵抗係数を小さくするか、コイルの巻数を増やすか、あるいは誘電体の厚みを薄くして静電容量を大きくするなどの方法が考えられるが、結果として、コストアップの問題や、インダクタンス素子の形状が大きくなる問題や、巻数増加によってコイルの直流抵抗が大きくなることで発熱大となる問題や、誘電体を薄くすることにより絶縁が満足できなくなるなどの問題があり、十分な改善ができなかった。
本発明の技術的課題は、磁気コアや、コイルの巻数や、あるいは誘電体の材質や形状を変更することなく、広い周波数帯域での減衰特性を維持し、かつ低い周波数帯域での減衰特性を改善したインダクタンス素子を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決すべく、インダクタンス素子の第1導体と誘電体とを用い、静電容量が分布定数的に形成されてなるように第2導体を配して形成する。すなわち、誘電体を挟んで箔状の第1導体と対向するようにコイルの一方の面に箔状の第2導体を配し、第2導体の一部をコイルの一方の実装端子に接続することで、第1導体とコイルとの静電容量を大きくする。つまり、第1導体と第2導体とが誘電体を挟んで対向する面積を従来のインダクタンス素子の第1導体とコイルとが誘電体を挟んで対向する面積より広くすることができる。よって、第1導体と第2導体との間に生じる静電容量を大きくすることができ、この大きな静電容量をコイルと第1導体との間に導入することができる。
よって、磁気コアの材質や形状、コイルの巻数、あるいは誘電体の材質や形状を変更することなく、低い周波数帯域の減衰特性を改善することが可能となる。
なお、第2導体の誘電体に接する面積は、対向する第1導体と等しい面積の場合に静電容量を効率よく大きくすることができるが、求める減衰特性に合わせて適宜調整すれば良い。
また、第2導体は、コイルを跨いで誘電体に接するように形成しても同様な効果を得ることができる。
第2導体に生じるノイズは、誘電体を挟んで対向する第1導体に誘電体によって誘導され、第1導体に接続されたグラウンド端子によって接地されることで減衰される。なお、第2導体を実装端子の一方にのみ接続することで、コイルによって磁気コアに生じさせる磁気誘導に影響を与えることなく静電容量を形成することができる。すなわち、磁気特性を打ち消すショートリング構造とならないように設計する必要がある。
なお、実装端子に第2導体の端部を接続することで、第2導体の端部と対向する第1導体の部位より、第1導体の周囲に向かって連続的に静電容量が形成され、よって、分布定数的に静電容量を形成することができる。その結果として広い周波数帯域の減衰特性を損ねることなく、低い周波数帯域の減衰特性を改善することができる。
また、コイルは、一つ以上設けられていても良く、その場合に第2導体は、各々のコイルに対して一つ以上配しても良い。
なお、第1導体と誘電体は、各々のコイルに対して一つ以上配しても良く、一つに連通して形成しても良い。
第2導体は、比抵抗の小さい金属を箔状とすることにより、インダクタンス素子の形状を大きくすることなく形成することができる。
第2導体は、誘電体を挟んで第1導体と対向する誘電体の面上に、金属メッキ、金属蒸着、金属スパッタリングにより形成したり、あるいは導電性塗料を塗布して形成したりすることができる。
本発明によれば、磁気コアと、前記磁気コアを覆う絶縁ケースと、前記絶縁ケースに被覆導線を巻回してなるコイルと、前記コイルの端末からなる実装端子と、グラウンド端子を有した第1導体と、誘電体とを備え、前記誘電体を前記コイルと前記第1導体との間に配してなるインダクタンス素子であって、前記誘電体を挟んで前記第1導体と対向する面の少なくとも一部に第2導体を有し、前記第2導体の一部が前記実装端子の一方に接続されてなることを特徴とするインダクタンス素子が得られる。
本発明によれば、前記コイルを一つ以上有し、前記第1導体と前記誘電体とを一つ以上有することを特徴とするインダクタンス素子が得られる。
本発明によれば、前記コイルを一つ以上有し、前記コイル毎に前記第2導体を一つ以上有することを特徴とするインダクタンス素子が得られる。
本発明によれば、前記第2導体は、箔状の金属材料からなることを特徴とするインダクタンス素子が得られる。
本発明によれば、前記第2導体は、前記誘電体上に金属メッキ、金属蒸着、金属スパッタリングにより形成し、あるいは導電性塗料を塗布することにより形成したことを特徴とするインダクタンス素子が得られる。
本発明により、磁気コアの形状や材質、コイルの巻数、あるいは誘電体の形状や材質などを変更することなく、高い周波数帯域での減衰特性を維持したまま、低い周波数帯域での減衰特性を改善したインダクタンス素子を提供することが可能となった。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
以下に説明する実施の形態におけるインダクタンス素子は、コモンモード用、すなわち磁気コアを絶縁ケースで覆い、磁気コアの磁路に生じる磁束が互いに打ち消し合わさるように被覆導線を絶縁ケースに各々巻回し、磁気コアを二等分する線に対して対称となる二つのコイルを形成しているが、全周にわたって被覆導線を巻回し、コイルを一つ形成したノーマルモード用のインダクタンス素子や、三相電源等に用いられ、コイルを三つ以上形成したインダクタンス素子の場合であっても適用可能である。
図1は、本発明の実施例1によるインダクタンス素子を説明する図で、図1(a)は、正面図で、図1(b)は、側面図で、図1(c)は、図1(b)をA−Aで切断した断面図で、図1(d)は、等価回路図である。
インダクタンス素子1aは、トロイダルの磁気コア2の全体をトロイダル形状の絶縁ケース3で覆い、絶縁ケース3の外周面上に箔状の第1導体4を配し、第1導体4の上を覆うようにシート状の絶縁材からなる誘電体5を配し、誘電体5の上には、誘電体5を挟んで第1の導体4の一部と対向するように箔状の第2導体6を配して形成している。
なお、第1導体と第2導体とは、シート状の絶縁材からなる誘電体5の一方の面に箔状の第1導体4を配し、誘電体5を挟んで第1導体と対向する他方の面に箔状の第2導体を配してなるものを絶縁ケース3の外周面に配して形成することもできる。なお、第2導体6は、誘電体5を挟んで第1導体と少なくとも一部の面が対向するように配され、トロイダルを二等分する線15に対して各々が対称となるように形成することにより、相等しい静電容量を形成することができ好ましい。
二等分する線15に対して第1導体4と誘電体5と第2導体6とが対称的に配された絶縁ケース3には、トロイダルの磁路に生じる磁束が互いに打ち消し合うように第1導体4と誘電体5と第2導体6とが配された絶縁ケース3に被覆導線7を巻回し、二等分する線15に対して対称となるコイル8を各々形成している。
コイル8の各々の端末は、被覆導線の被覆が剥離され、半田付け等によって接続が容易にできるように半田メッキ等が施され、一方の実装端子10a、10dと他方の実装端子10b、10cとを夫々形成している。
一方の実装端子10a、10dには、各々のコイルに配した第2導体6の一部を接続部11で電気的に接続され形成している。
また、第1導体4には、第1導体4の略中央より引き出され、基板グラウンド等に接続するグラウンド端子12が一つ以上設けられ、以上のようにして、図1(d)の等価回路図で示したインダクタンス素子1aが得られる。
図2は、本発明の実施例2によるインダクタンス素子を説明する図で、図2(a)は、正面図で、図2(b)は、側面図で、図2(c)は、図2(b)をB−Bで切断した断面図、図2(d)は、等価回路図である。
インダクタンス素子1bは、トロイダルの磁気コア2の全体をトロイダル形状の絶縁ケース3で覆い、トロイダルの磁路に生じる磁束が互いに打ち消し合うように被覆導線7を各々巻回し、二等分する線15に対して対称となるコイル8を夫々形成している。
各々のコイル8の外周面には、箔状の第2導体6を夫々配し、第2導体6を覆うようにシート状の誘電体5を配し、誘電体5を挟んで第2導体6と対向する面に箔状の第1導体を配し、二等分する線15に対して対称となるように形成している。
なお、第1導体と第2導体とは、誘電体5の一方の面に第1導体4を配し、誘電体5を挟んで第1導体と対向する他方の面に第2導体を配してなるものを絶縁ケース3の外周面に配して形成することもできる。
コイル8の各々の端末は、被覆導線の被覆が剥離され、半田付け等によって接続が容易にできるように半田メッキ等が施され、一方の実装端子10a、10dと他方の実装端子10b、10cとを夫々形成している。なお、実装端子10a、10dには、各々のコイルに配した第2導体6の一部が接続部11で電気的に接続されている。
また、第1導体4には、第1導体4の略中央より引き出され、基板グラウンド等に接続するグラウンド端子12が一つ以上設けられている。
以上のようにして、図2(d)の等価回路図で示したインダクタンス素子1bが得られる。
磁気コア2の材質は、高透磁率の磁性材料であれば何れのものでもよく、Mn−Zn系やNi−Zn系のフェライト材、アモルファスやパーマロイなどの金属系材料、鉄系や鉄合金系、その他金属粉末などの磁性材料からなる圧粉材料等でも良く、要求特性に応じて適宜選定するのが好ましい。その形状としては、トロイダルに限定されず、閉磁路構造を形成するものであれば良く、円形、楕円形、方形などの何れの形状でも良い。また、その磁路の断面形状としては、方形、円形、楕円形、長円形、多角形等、何れの形状でも良い。
絶縁ケース3は、磁気コア2を絶縁して覆う樹脂であれば何れの材質でもよく、エポキシ系、フェノール系の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン系などの熱可塑性樹脂の何れでもよい。また、上記樹脂成型体に限らず、磁気コア2の周囲に絶縁紙や絶縁テープ、絶縁塗料などを所定の厚みまで形成しても良い。また、コモンモードチョークコイルとして形成する場合には、トロイダル形状の絶縁ケース3の中央孔を二等分した絶縁仕切りを施した形状であることが好ましい。
第1導体4の材質は、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料やそれらの合金、また金属材粉末と樹脂を混合した金属樹脂などの導電性を有する材料であれば何れでも良い。また、その形状としては、板状、箔状などの形状が好ましく、格子状や網目状などであっても良い。図1では、第1導体4を絶縁ケース3の外周面に配した構成を示しているが、第1導体4を絶縁ケース3の側周面、内周面に配して形成しても良く、あるいは、第1導体4を絶縁ケース3の外周面と側周面と内周面とに配して形成しても良い。
なお、この場合には、磁気コアに生じる磁界がキャンセルされるショートリングとならないように形成する必要がある。なお、第1導体4は、正面から見てリング状に形成しているが、二等分する線15に対して対象となるように重ねて巻きつけて形成しても良く、あるいは、二等分する線15に対して対象となるようにリング状の一部に切り欠きを設け、正面から見てC字形状に形成しても良い。二等分する線15に対して対称となる形状に形成することで、各々相等しい静電容量を形成することができるので好ましい。
誘電体5は、絶縁性と誘電率とを有する樹脂であれば何れのものでもよいが、作業上任意に曲げられるシリコーンやポリエチレンテレフタレート(PET)などの汎用的な樹脂を用いるのが良い。また、静電容量を大きくするために誘電率の高いものを選定するのがより好ましい。また、厚みも静電容量との兼ね合いで適宜調整するのが好ましいが、誘電率が大きく、インダクタンス素子の外形寸法も抑えることができる薄いフィルム状のものを使用するのがより好適である。図1において誘電体5は、第1導体の上面を覆うように正面から見てリング状に配したが、第2導体6とコイル8とが第1導体4と接する面に各々配して形成することもできる。さらには、誘電体5は、第1導体4が配された絶縁ケース3の周囲を覆うように形成することもできる。図1では、誘電体5を絶縁ケース3の外周面の第1導体4上に配した構成を示しているが、絶縁ケース3の側周面、内周面に第1導体4を覆うように配して形成しても良く、あるいは、絶縁ケース3の外周面と側周面と内周面とに第1導体4を覆うように配して形成しても良い。
第2導体6の材質は、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料やそれらの合金、また金属材粉末と樹脂を混合した金属樹脂などの導電性を有する材料であれば何れでも良い。また、その形状は、板状、箔状などの形状が好ましく、格子状や網目状などであっても良い。図1では、第2導体6を絶縁ケース3の外周面の誘電体5を挟んで第1導体4と対向する面上に配した構成を示しているが、絶縁ケース3の側周面、内周面に誘電体5を挟んで第1導体4と対向するように配して形成しても良く、あるいは、絶縁ケース3の外周面と側周面と内周面とに誘電体5を挟んで第1導体4と対向するように配して形成しても良い。この場合、磁気コア2に生じる閉磁路方向の磁界をキャンセルするショートリング構造とならないように形成することが好ましい。
なお、第2導体6は、誘電体5を挟んで第1導体4と対向し、重ね合わさるように配したが、重ね合わさる面積の量は、生じる静電容量とその周波数特性によって適宜設計すれば良い。
なお、第2導体6は、用途によって絶縁性が規定される空間距離、および沿面距離を満足できるように適宜設計するのが好ましい。
なお、実装端子10a、10dに接続された第2導体の一部は、実装端子10a、10dに近い第2導体6の端部を電気的に接続することで分布定数的に静電容量が形成されるので好ましい。
なお、第2導体6が電気的に露出する面は、絶縁シートを貼り付けたり、絶縁塗料を塗布したりすることで絶縁性を高くするように形成することが好ましい。
被覆導線7は、導体に天然樹脂または合成樹脂塗料を焼き付けたエナメル被覆銅線や、絶縁性を高めたPVC被覆電線などの何れの導線を用いてもできる。
また、コイル8の線径や巻数は、要求特性に応じ適宜設計、調整するのが好ましい。
以下、実施例を用いて詳述する。
(実施例1)
トロイダル状の磁気コア2として、外形25mm、内径15mm、高さ12mm、磁路の断面が方形で周波数100kHzでの初透磁率が約10000であるMn−Zn系フェライトコアを使用した。
絶縁ケース3として、外形27mm、内径13mm、高さ14mm、各部の最低肉厚が0.5mmとなる形状で、ポリプロピレン樹脂を用いて形成したものを使用し、前記磁気コア2を絶縁ケース3に収納して形成した。
第1導体4として、厚さ80μm、幅10mm、長さ40mmの銅箔を使用し、絶縁ケース3の外周面上に配置した。
誘電体5として、厚さ0.5mm、幅15mm、長さ50mmのシリコーンゴムシートを使用し、第1導体を覆うように配置した。
第2導体6として、厚さ80μm、幅10mm、長さ20mmの銅箔を2枚用い、誘電体5を挟んで第1導体4と対向するように配置し、かつ第1導体4と誘電体5と第2導体とがトロイダルを二等分する線15に対して対称となるように形成した。
被覆導線7として、線径0.8mmの1種ポリウレタン被覆銅線(以下、1−UEW線と表記)を用い、外周面に第1導体4が配され、第1導体4を覆うように誘電体5が配され、誘電体5を挟んで第1導体4と対向する面に第2導体6が配された絶縁ケース3に各々38ターン巻回してコイル8を二等分する線15に対して対称となるように形成した。
コイル8の各々の端末は、被覆導線の被覆を剥離し、半田付け等によって接続が容易になるように半田メッキ等を施し、巻き始めである一方の実装端子10a、10dと巻き終わりである他方の端子10b、10cとを各々形成した。
実装端子10a、10dに接続された第2導体の一部は、実装端子10a、10dに近い第2導体6の端部を半田付け等によって電気的に接続して形成した。
グラウンド端子12として、線径0.3mmの1−UEW線を第1導体4の略中央に半田付けして引き出した。
以上により、図1に示したインダクタンス素子1aを得た。
(実施例2)
トロイダル状の磁気コア2として、外形25mm、内径15mm、高さ12mm、磁路の断面が方形で周波数100kHzでの初透磁率が約10000であるMn−Zn系フェライトコアを使用した。
絶縁ケース3として、外形27mm、内径13mm、高さ14mm、各部の最低肉厚が0.5mmとなる形状で、ポリプロピレン樹脂を用いて形成したものを使用し、前記磁気コア2を絶縁ケース3に収納して形成した。
被覆導線7として、線径0.8mmの1−UEW線を用い、絶縁ケース3に各々38ターン巻回してコイル8を二等分する線15に対して対称となるように形成した。
第2導体6として、厚さ80μm、幅10mm、長さ20mmの銅箔を用い、各々のコイルの外周面上に配して形成した。なお、第2導体6は、二等分する線15に対して対称となるように形成した。
誘電体5として、厚さ0.5mm、幅15mm、長さ50mmのシリコーンゴムシートを使用し、第2導体6とコイル8とを覆うように配して形成した。
第1導体4として、厚さ80μm、幅10mm、長さ40mmの銅箔を使用し、誘電体5を挟んで第2導体6と対向するように配して形成した。なお、第1導体4は、トロイダルを二等分する線15に対して対称となるように形成した。
コイル8の各々の端末は、被覆導線の被覆が剥離され、半田付け等によって接続が容易になるように半田メッキ等が施され、巻き始めである一方の実装端子10a、10dと巻き終わりである他方の端子10b、10cを各々形成した。
実装端子10a、10dに接続された第2導体の一部は、実装端子10a、10dに近い第2導体6の端部を半田付け等によって電気的に接続して形成した。
グラウンド端子12として、線径0.3mmの1−UEW線を第1導体4の略中央に半田付けして引き出した。
以上により、図2に示したインダクタンス素子1bを得た。
上記の要領で作製した図1、図2の各々に示した本発明の実施例1、実施例2によるインダクタンス素子1a、1bと、比較例として同一部材を用い、図5に示した従来のインダクタンス素子1cについて、各々の減衰特性を測定し比較結果を図3に示す。
図3によれば、本発明のインダクタンス素子1a、1bは、従来のインダクタンス素子1cに比べ、0.1MHz〜10MHzの低い周波数帯域で、1〜4dB改善され、かつインダクタンス素子に求められる0.15MHz〜30MHzの周波数領域で減衰特性が維持されていることを確認できた。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、この実施例に限られる物ではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしうるであろう各種変更、修正もまた本発明に含まれる。
本発明によるインダクタンス素子を説明する図。図1(a)は正面図、図1(b)は側面図、図1(c)は、図1(b)をA−Aで切断した断面図、図1(d)は等価回路図。 本発明によるインダクタンス素子を説明する図。図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図2(c)は、図2(b)をB-Bで切断した断面図、図2(d)は等価回路図。 本発明のインダクタンス素子と従来のインダクタンス素子との減衰特性を比較した図。 ノイズフィルタの等価回路図。 従来のインダクタンス素子を説明する図。図5(a)は正面図、図5(b)は側面図。
符号の説明
1、1a、1b、1c インダクタンス素子
2 磁気コア
3 絶縁ケース
4 第1導体
5 誘電体
6 第2導体
7 被覆導線
8 コイル
10a、10b、10c、10d 実装端子
11 接続部
12 グラウンド端子
15 二等分する線
20 ノイズフィルタ
21 グラウンド
22,24,25 コンデンサ
23 ノーマルモードチョークコイル
26 電源
27 負荷

Claims (5)

  1. 磁気コアと、前記磁気コアを覆う絶縁ケースと、前記絶縁ケースに被覆導線を巻回してなるコイルと、前記コイルの端末からなる実装端子と、グラウンド端子を有した第1導体と、誘電体とを備え、前記誘電体を前記コイルと前記第1導体との間に配してなるインダクタンス素子であって、
    前記誘電体を挟んで前記第1導体と対向する面の少なくとも一部に第2導体を有し、前記第2導体の一部が前記実装端子の一方に接続されてなることを特徴とするインダクタンス素子。
  2. 前記コイルを一つ以上有し、前記第1導体と前記誘電体とを一つ以上有することを特徴とする請求項1記載のインダクタンス素子。
  3. 前記コイルを一つ以上有し、前記コイル毎に前記第2導体を一つ以上有することを特徴とする請求項1または2記載のインダクタンス素子。
  4. 前記第2導体は、箔状の金属材料からなることを特徴とする請求項1〜3記載のインダクタンス素子。
  5. 前記第2導体は、前記誘電体上に金属メッキ、金属蒸着、金属スパッタリングにより形成し、あるいは導電性塗料を塗布することにより形成したことを特徴とする請求項1〜4記載のインダクタンス素子。
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