JP5252564B2 - インダクタンス素子 - Google Patents
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Description
このため、ノイズ問題を抱える電子機器の電源部等には、各種規格を遵守するためのインダクタンス素子や、インダクタンス素子を使用したノイズフィルタ等が設けられている。
コモンモードノイズとは、入出力線と基板グラウンドや、筐体、大地などとの間に流れ、例えば、グラウンドと入出力線との間に電位差が生じているものである。
また、ノーマルモードノイズとは、入出力線と負荷との間に不要な電位差が生じているものである。
なお、電源26は、商用の交流電源を想定し、グラウンド21は、筐体等のグラウンドに接地された状態を想定し、負荷27は、ノイズを発生する負荷を有した電子機器等を想定している。
このようなインダクタンス素子は、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されている。
このようなインダクタンス素子は、例えば特許文献3に開示されている。
インダクタンス素子1aは、トロイダル形状の磁気コア2を電気絶縁性の樹脂を用いた絶縁ケース3に収納して環状の組込体に形成し、絶縁ケース3の外側に設けられた箔状の導電体4と、導電体4を覆うように設けられたシート状の誘電体5と、導電体4に接続して引き出された導電性のグラウンド端子9と、被覆導線6を巻回して形成したコイル7とを備えたインダクタンス素子であって、コイル7の少なくとも一部に接触または近接して配置した誘電体5と、コイル7及び誘電体5とキャパシタンスを形成する導電体4を配してなるように形成している。
なお、コイル7の夫々の端末は、被覆導線6の絶縁皮膜が剥離され、半田付けによって基板等に接続するための半田メッキ等が施され、実装端子8a、8b、8c、8dが各々形成されている。
アルミニウム線や銅クラッドアルミニウム線は、銅線と比較して弾性率が低いことから銅線と同一の条件で巻回してコイルを形成することで生じる弛みが少ないコイルを形成することができる。
本発明のインダクタンス素子1は、磁気コア2と、絶縁ケース3と、導電体4と、誘電体5と、被覆導線6と、グラウンド端子9とから構成されている。
なお、磁気コア2の形状は、トロイダル形状に限定されず、一つの閉磁路を有する形状にできるものであれば良く、円形、長円形、楕円形、方形など、適宜選定すれば良い。また、その磁路の断面形状としては、方形、円形、楕円形、長円形、多角形など、適宜選定すれば良い。
絶縁ケース3は、磁気コア2を外部と電気的に絶縁して覆う樹脂であれば何れの材質でも良く、エポキシ系、フェノール系の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン系の熱可塑性樹脂など適宜選定すれば良い。
また、上記樹脂成形体に限らず、磁気コア2の周囲に絶縁紙や絶縁テープ、絶縁塗料などを用いて所定の厚みまで形成したものであっても良い。
なお、導電体4は、磁気コアに生じる磁束を打ち消すショートリング効果を生じないように形成すれば良く、例えば、トロイダルの一つの稜線で線状に分断し、他の全ての外面を覆うように形成したものであっても良い。
なお、導電体4は、インダクタンス素子を二等分する線15を軸に対称に形成することにより、同軸に対して対称に被覆導線6を巻回してなる左右のコイル7によって各々に生じるインダクタンスとキャパシタンスとを等しく形成することができるので好ましい。
なお、誘電体5は、導電体4を含む組込体の外面全てを覆うように形成しても良い。
なお、誘電体5は、電気絶縁性の樹脂であれば何れのものであっても良いが、作業上任意の曲面形状に合わせて使用することができ、かつ比誘電率が高いフィルム状のものであるのが好ましく、例えば、誘電率が大きく、かつ使用温度範囲が広い、難燃性の材質であるシリコーンゴムやポリエチレンテレフタレート(PET)などの汎用的な樹脂で形成されたフィルム状のシートを用いるのが好ましい。
なお、誘電体5の厚みは、所望するキャパシタンスとの兼ね合いで適宜調整することが好ましい。
グラウンド端子9は、比抵抗の小さい導電体を用いて直流抵抗が小さく、かつ高周波領域でのインピーダンスが低くなるように形成すれば良く、棒状や、板状、線状など適宜選定すれば良い。
なお、左右のコイル7は、各々に生じる磁束が互いに打ち消し合うように対向して形成することにより、コモンモードノイズ対策に効果があるように構成している。
コイル7の巻始めと巻き終わりとなる端末には、外部と電気的に接続できるように半田メッキ処理が施されて実装端子8a、8b、8c、8dを夫々形成している。
同様に、弛み距離10を1mm以内に形成することにより、導電体4上の誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面とが密着して形成したものと比較して、共振現象が生じる前の周波数領域において、減衰特性の低下を−5dB以内に収めることができる。
従って、アルミニウムや、銅クラッドアルミニウム線を用いることにより、減衰特性のばらつきを抑制することができる。
磁気コア2として、外形25mm、内径15mm、高さ12mm、断面が長方形となるトロイダル形状で、周波数100kHzでの初透磁率が約10000となるMn−Zn系フェライトコア(NECトーキン製FR25/15/12−10H材)を使用した。
なお、コイル7は、各々に生じる磁束が互いに打ち消し合うように形成するため、インダクタンス素子を二等分する線15を軸に対称となるように一方のコイルを逆方向に巻回して周波数100kHzでの各々のインダクタンスが10mHとなるように形成した。
上述の実施例1と同一部材を用いて、弛み距離10が1mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が0.5mmの空間を有するように実施例2のインダクタンス素子を作製した。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み0.5mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
上述の実施例1と同一部材を用いて、弛み距離10が1.5mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が1mmの空間を有するように実施例3のインダクタンス素子を作製した。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み1mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
上述の実施例1と同一部材を用いて、弛み距離10が2mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が1.5mmの空間を有するように比較例1のインダクタンス素子を作製した。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み1.5mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
上述の実施例1と同一部材を用いて、弛み距離10が2.5mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が2mmの空間を有するように比較例1のインダクタンス素子を作製した。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み2mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
図2には、上記の要領で作製した本発明の実施例1〜3による弛み距離が0.5mm、1mm、1.5mmとなるインダクタンス素子と、比較例1、2による弛み距離が2.0mm、2.5mmとなるインダクタンス素子とのコモンモードチョークコイルとしての減衰特性を示した。
また、実施例1のインダクタンス素子と比べ、同等な減衰特性の周波数特性となり、−5%の範囲に収められた。
また、実施例1のインダクタンス素子と比べ、最大の差が生じた7MHzから8MHzでの減衰特性の差も−4dB以内となり、−10%の範囲に収められた。
また、実施例1のインダクタンス素子と比べ、最大の差が生じた9MHzでの減衰特性の差も−8.5dBとなり、目標とする−10%の範囲に収まらなかった。
また、実施例1のインダクタンス素子と比べ、最大の差が生じた10MHzでの減衰特性の差も−12dBとなり、目標とする−10%の範囲に収まらなかった。
実施例1と被覆導線6のみが異なる同一部材を用いて、弛み距離10が1mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が0.5mmの空間を有するように実施例4のインダクタンス素子を作製した。
実施例4の被覆導線6には、ポリウレタンの絶縁皮膜が形成された直径1.3mmの銅線を用いた。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み0.5mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
上述した実施例4と被覆導線6のみが異なる同一部材を用いて、弛み距離10が1mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が0.5mmの空間を有するように実施例5のインダクタンス素子を作製した。
実施例5の被覆導線6には、ポリウレタンの絶縁皮膜が形成された直径1.3mmのアルミニウム線を用いた。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み0.5mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
実施例4と被覆導線6のみが異なる同一部材を用いて、弛み距離10が1mmとなる、即ち、導電体4上の厚み0.5mmを有する誘電体5の上面と導電体4側のコイル7の外面との間が0.5mmの空間を有するように実施例6のインダクタンス素子を作製した。
実施例5の被覆導線6には、ポリウレタンの絶縁皮膜が形成された直径1.3mmの銅クラッドアルミニウム線を用いた。
なお、この場合の弛み距離10は、厚み0.5mmの誘電体5の上面に厚み0.5mmの図示していないスペーサーで覆ってスペーサーの上面にコイル7の導電体4側の外面が密着されるように巻回してコイルを形成した後にスペーサーを除去して形成した。
図3には、上記の要領で作製した本発明の実施例4〜6による弛み距離を1mmとした、直径1.3mmのアルミニウム線を用いた実施例4のインダクタンス素子と、直径1.3mmの銅クラッドアルミニウム線を用いた実施例5のインダクタンス素子と、直径1.3mmの銅線を用いた実施例6のインダクタンス素子とのコモンモードチョークコイルでの減衰特性を示した。
実施例5のインダクタンス素子の周波数が3MHzと5MHzと10MHzでの減衰特性は、夫々46.3dB、44.2dB、43.9dBであり、実施例4のインダクタンス素子と比べ、同等な減衰特性の周波数特性が得られた。
実施例6のインダクタンス素子の周波数が3MHzと5MHzと10MHzでの減衰特性は、夫々46.9dB、43.9dB、44.1dBであり、実施例4のインダクタンス素子と比べ、同等な減衰特性の周波数特性が得られた。
このように、被覆導線6の材料が変わっても弛み距離が一定の場合には、同等の減衰特性となることがわかった。
従って、コイル7を形成する被覆導線6に弾性率の少ないアルミニウム線や銅クラッドアルミニウム線を用いても本発明のインダクタンス素子を形成できることがわかった。
即ち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
2 磁気コア
3 絶縁ケース
4 導電体
5 誘電体
6 被覆導線
7 コイル
8a 実装端子
8b 実装端子
8c 実装端子
8d 実装端子
9 グラウンド端子
10 弛み距離
15 二等分する線
20 ノイズフィルタ
21 グラウンド
22 コンデンサ
23 ノーマルモードチョークコイル
24 コンデンサ
25 コンデンサ
26 電源
27 負荷
Claims (1)
- 軟磁性の磁気特性を有する環状の磁気コアと、電気絶縁性の材料で前記磁気コアの外面を覆うことのできる絶縁ケースと、導電性を有するシート状の導電体と、電気絶縁性を有するシート状の誘電体と、導電性の金属棒からなるグラウンド端子と、電気絶縁性の被膜を有する被覆導線とからなるインダクタンス素子であって、
前記磁気コアを前記絶縁ケースに収納して環状の組込体を形成し、前記グラウンド端子の一端が接続された前記導電体を前記組込体の外面に配置し、さらに前記誘電体を前記導電体上に配置してなるものに、アルミニウム線あるいは銅クラッドアルミニウム線を用いて形成した前記被覆導線を巻回してコイルを形成し、前記コイルの巻始めと巻終わりの端末を外部と電気的に接続できる接続端子に形成し、前記導電体の上面と、該導電体の面に対して垂直上にある該導電体側の前記コイルの外面との間の弛み距離が、前記誘電体の厚み以上、1.5mm以内であることを特徴とするインダクタンス素子。
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