JP2010073503A - 燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層転写シート、燃料電池用ガス拡散電極、燃料電池用膜電極接合体、および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層転写シート、燃料電池用ガス拡散電極、燃料電池用膜電極接合体、および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の燃料電池用触媒層を用いたPEFCは、低加湿条件下では優れた発電特性を得ることができなかった。
【解決手段】 本発明は、少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物、および燃料電池用触媒を含む燃料電池用触媒層の、水の接触角が0°<X<90°であることを特徴とする燃料電池用触媒層である。また本発明の燃料電池用触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Y(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)は、0.1≦Y≦1.0であることが好ましい。本発明によって、低加湿条件下でも優れたPEFCの発電特性を得ることができた。
【選択図】なし

Description

本発明は、固体高分子形燃料電池用触媒層に関するものである。
プロトン伝導性基を有する高分子電解質を使用する固体高分子形燃料電池(PEFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体、家庭用コンジェネレーションシステム、および民間用小型携帯機器などへの適用が検討されており、新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。
前記PEFCは、触媒層とガス拡散層とから形成されるガス拡散電極と高分子電解質膜との膜電極接合体(MEA)をガスフロープレートで両側から挟んだ構造である。そのMEAは、アノード、カソードおよびそれらを隔てる高分子電解質膜とで構成される。ガスフロープレートにはガス流路が加工されており、アノードには燃料として水素、カソードには酸化剤として酸素あるいは空気を供給し、電力を得ることができる。
しかしながら、このPEFCは、供給する燃料および酸化剤を十分に加湿しないと所望の出力を得ることができないため、加湿器等を設置しなければならない。そのために、PEFCシステム全体が大きくなるため、近年、PEFCシステムの小型化のために加湿器の小型化あるいは除去が必要不可欠であり、低加湿な燃料、および酸化剤の供給でもPEFCを稼動可能にする技術が強く求められている。前記課題を解決するために、例えば特許文献1のような、触媒層内に親水性の層を配置することによって水分保持力を向上させるという技術が公開されているが、この技術はアノード側に特化されたものであり、酸化剤の湿度の影響を大きく受けやすいカソード側に関しては何も言及されていない。
特開2007−329036
低加湿の酸化剤を供給しても、良好なPEFCの発電特性を発現する触媒層、特にカソードに適用できる触媒層を製造することが強く望まれている。本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は低加湿な酸化剤を供給しても、良好なPEFCの発電特性を発現する燃料電池用触媒層を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討をおこなった結果、少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物、および燃料電池用触媒を用いて触媒層を製作し、前記触媒層の水の接触角を0°<X<90°に制御することによって、低加湿のガス、とくに酸化剤を供給しても良好なPEFCの発電特性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物、および燃料電池用触媒を含む燃料電池用触媒層の、水の接触角が0°<X<90°であることを特徴とする燃料電池用触媒層である。
また、前記触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Y(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)は、0.1≦Y≦1.0であることが好ましい。
また、前記触媒層が高分子のフィルム上に形成された燃料電池用触媒層転写シートであることが好ましい。
また、前記触媒層が無機物のフィルム上に形成された燃料電池用触媒層転写シートであることが好ましい。
また、前記触媒層が導電性多孔質シート上に形成された燃料電池用ガス拡散電極であることが好ましい。
また、前記触媒層がカソードに用いられることが好ましく、前記触媒層がプロトン伝導性を有する高分子電解質膜に接合された燃料電池用膜電極接合体であることが好ましい。 また、前記触媒層を燃料電池に用いることが好ましい。
また本発明は、請求項1の燃料電池用触媒層に、少なくとも酸素を含む酸化剤および90%RH以下の水蒸気を含む気体を供給することを特徴とする発電方法である。
また本発明は、請求項1の燃料電池用触媒層に、少なくとも酸素を含む酸化剤および90%RH以下の水蒸気を含む気体を供給することを特徴とする燃料電池システムである。
本発明によれば、少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物、および燃料電池用触媒を含む触媒層を作製し、前記触媒層の水の接触角を0°<X<90°に制御することによって、低加湿の燃料および酸化剤を供給しても良好なPEFCの発電特性を発現することができる。したがって、本発明の燃料電池用触媒層を用いたPEFCは、低加湿条件下でも、優れた発電特性を示した。
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は、以下の説明に限定されるものではない。
本発明の燃料電池用触媒層について具体的に説明する。
本発明の燃料電池用触媒層の水の接触角Xは、0°<X<90°である。前記範囲のXの場合、低加湿の燃料、および酸化剤が供給されても、触媒層内は適度な水分量を保持することができるので、良好な発電特性を発現させることができる。
本発明における低加湿の酸化剤は、少なくとも酸素を含むことが好ましい。また本発明における低加湿の酸化剤中の水蒸気量は、通常90%RH以下、好ましくは85%RH以下、さらに好ましくは80%RH以下である。
本発明の燃料電池用触媒層の水の接触角の制御は、「触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Y(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)」、あるいは「触媒層における触媒担体に対する前記プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物、あるいは無機化合物の含まれる割合Z(Z=プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物あるいは無機化合物の固形分重量/触媒担体の重量)」によって制御できる。燃料電池用触媒層の水の接触角Xが90°より大きい場合は、撥水性が大きすぎるために、触媒層、および高分子電解質膜プロトン伝導に必要な水分量まで系外に排出され、PEFCの発電特性が著しく低下するので好ましくない。
触媒層の接触角の測定方法は特に限定されないが、例えば、触媒層表面に一定量の脱イオン水(例:1μL〜1mL)を滴下し、一定時間(1秒〜1分)経過後、水滴の形状をCCDカメラで目視することによって測定する方法が例示される。
本発明に用いる、少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物は、高分子化合物中の芳香族単位にプロトン伝導性基を導入できるものであれば特に限定がなく、例えば、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリ1,4−ビフェニレンエーテルエーテルスルホン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルホキシド、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエチレン―グラフト―ポリスチレン共重合体、スチレン―(エチレン−プロピレン)―スチレンブロック共重合体、スチレン―(エチレン−ブチレン)―スチレンブロック共重合体、スチレン―イソブチレン―スチレンブロック共重合体、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、シアン酸エステル樹脂、およびこれらの誘導体などを例示できる。また、本発明に用いる高分子化合物は、これらの化合物を1種類以上用いた共重合体でも良いし、これらの化合物をグラフト鎖に用いた化合物でも良い。また、これらの化合物の共重合体を作製するために、化合物同士をつなげる連結剤が用いられても良い。
本発明の芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入されてなる高分子化合物を得る方法としては、プロトン伝導性基を有するモノマーとプロトン伝導性基を有しないモノマーとを共重合する方法、芳香族単位を有する高分子化合物に対する高分子反応によりプロトン伝導性基を導入する方法など、公知の方法が適用できる。前者の例としては、例えば、必要に応じて適当な保護基を導入したプロトン伝導性基を有するモノマーとプロトン伝導性基を有しないモノマーとを共重合した後、脱保護する方法などを例示できる。また、後者の例としては、例えば、芳香族単位を有する高分子化合物を溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させる方法、濃硫酸や発煙硫酸中で反応させる方法などを例示できる。
本発明のプロトン伝導性基は、含水状態でプロトンを解離できるものであれば特に限定がなく、例えば、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、フェノール性水酸基などを例示できる。これらは単独、あるいは複数用いてもかまわない。これらのなかで、プロトン伝導性基の導入のしやすさや得られる高分子化合物のプロトン伝導性などを考慮すると、スルホン酸基であることが特に好ましい。
本発明の芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入されている高分子化合物のイオン交換容量は、0.9meq/g以上、6meq/g以下であることが好ましい。0.9meq/g未満では、PEFCの発電に要するプロトン伝導度が得られない恐れがあり、また、6meq/gより大きい場合では、前記イオン交換容量を有するための反応で、高分子化合物を分解させる恐れがある。
また、本発明に用いる高分子化合物の化学的耐久性の向上のために、架橋材が用いられても良い。前記架橋材は特に限定されないが、式(1)の官能基が1分子中に2つ以上存在することが好ましい。前記官能基が1個未満の場合、高分子化合物の架橋が進行しない恐れがあるので好ましくない。
Figure 2010073503
また、前記架橋材1分子中に2つ以上存在する官能基のRは、水素、アルキル基またはアシル基のいずれかであれば特に限定はなく、前記官能基のRはそれぞれ独立で、互いに同一であっても異なっていてもよい。化合物の入手の容易さや前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」との反応で副生する化合物の除去の容易さなどを考慮すると、水素、メチル基あるいはアセチル基であることが好ましい。
このような前記架橋材は、例えば、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、4,6−ビス(ヒドロキシメチル)−o−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、1,2,4−ベンゼントリメタノール、1,3,5−ベンゼントリメタノール、4,4’−メチレンビス[2,6−ジ(ヒドロキシメチル)]フェノール、オキシビス(3,4−ジヒドロキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、2,6−ビス(メトキシメチル)−p−クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン、サイメル(登録商標、日本サイテックインダストリーズ株式会社製)、DML−PC(本州化学工業株式会社製)、TML−BPA−MF(本州化学工業株式会社製)、TML−BPAF−MF(本州化学工業株式会社製)、DML−OC(本州化学工業株式会社製)、Dimethoxymethyl p−CR(本州化学工業株式会社製)、DML−MBPC(本州化学工業株式会社製)、DML−BPC(本州化学工業株式会社製)、TML−BP(本州化学工業株式会社製)、TMOM−BP(本州化学工業株式会社製)、DML−PEP(本州化学工業株式会社製)、DML−34X(本州化学工業株式会社製)、DML−PSBP(本州化学工業株式会社製)、DML−PTBP(本州化学工業株式会社製)、DML−PCHP(本州化学工業株式会社製)、DML−POP(本州化学工業株式会社製)、DML−PFP(本州化学工業株式会社製)、DML−MBOC(本州化学工業株式会社製)、HML−TPPHBA(本州化学工業株式会社製)、HMOM−TPPHBA(本州化学工業株式会社製)、26DMPC(旭有機材工業株式会社製)、46DMOC(旭有機材工業株式会社製)、DM−BIPC−F(旭有機材工業株式会社製)、DM−BIOC−F(旭有機材工業株式会社製)、TM−BIP−A(旭有機材工業株式会社製)、ニカラック(株式会社三和ケミカル製)などを例示できるが、これらのみに限定されるものではない。また、さらに、上記と一部重複するが前記架橋材は、下記化学式に示す化合物も例示できる。すなわち下記の構造式(2)−(11)の10種類、(12)―(26)の15種類、(27)―(41)の15種類、および(42)―(45)の4種類の化合物を例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
Figure 2010073503
Figure 2010073503
Figure 2010073503
Figure 2010073503
これらの化合物は1種類であっても複数であってもかまわない。これらのなかで、入手の容易さや前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」との反応性、前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」との反応生成物の耐熱性や水等の液体に対する膨潤性・溶解性や透過性の抑制効果などを考慮すると、下記構造式(2)―(11)で示される10種類の化合物
Figure 2010073503
からなる群から選択される少なくとも1種以上であることが特に好ましい。
前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」と前記架橋材との配合比率は、前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」100重量部に対して、前記架橋材1〜50重量部が好ましく、5〜40重量部がさらに好ましい。架橋材が1重量部未満であると、前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」との反応生成物の耐熱性の向上効果や水などの液体に対する膨潤性・溶解性や透過性の抑制効果が低くなる恐れがある。一方、前記架橋材が50重量部を超えると、前記「プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物」との反応生成物のプロトン伝導度や機械強度が低下する恐れがある。
前記高分子電解質と架橋材との反応生成物は、これらの混合物を加熱することによって得ることができる。また、この化学反応は、加熱さえすれば空気中でも十分起こりうる。加熱する温度は、通常、前記化学反応が進行する温度〜前記高分子電解質の分解温度および前記化合物Xの沸点および分解温度、の範囲である必要がある。これらの化学反応が速やかに進行し、優れた性能を発現しうる燃料電池用触媒層および燃料電池用電極を得るには、前記化学反応が進行する温度以上、300℃以下の温度で加熱することが好ましい。ここで化学反応が進行する温度としては、示差走査熱量分析装置(DSC)などによる反応前後の発生熱量の変化や、熱機械分析計(TMA)などによる機械特性の変化などで確認することができる。加熱温度が前記温度範囲よりも低い場合は、反応が生じなかったり、反応が不充分となったり、反応時間が長くなったりする恐れがある。一方、加熱温度が前記温度範囲よりも高い場合は、性能低下の要因となるような副反応や分解反応が生じたり、前記高分子電解質のプロトン伝導性基が分解、脱離する恐れがある。前記加熱条件は、好ましくは130℃以上、200℃以下であり、時間は1分間以上、180分間以下、好ましくは5分間以上、60分間以下である。このような加熱条件を選択することにより、特性および生産性の両面から優れた製造方法となる。本発明において、前記化学反応時の加熱方法は特に限定されず、例えば、通常のオーブンなどによる加熱や真空オーブンによる加熱、プレス機による加熱などが列挙できるが、これらに限定されない。また、後述の燃料電池用膜電極接合体製造時の加熱圧接時に加熱しても良い。
本発明に用いる燃料電池用触媒としては特に限定がなく、燃料電池の電極反応に対して活性な触媒が使用できるもの、例えば触媒担体に触媒金属が担持されたものが好ましい。本発明の触媒担体とは、燃料電池の電極反応に対して活性な触媒を担持する部材をいうが、上記のプロトン伝導性基が導入された高分子化合物や上記のプロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物は含まない。
触媒担体としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、活性炭、カーボンナノホーン、カーボンナノチューブなどの高表面積の炭素材料、あるいは二酸化チタン、シリコン酸化物等の高表面積の無機化合物であることが好ましい。触媒金属としては、例えば、白金等が例示できる。さらに、還元能の向上、触媒金属の安定化、あるいは長寿命化のために白金と任意の触媒金属などからなる複合あるいは合金触媒なども使用できる。さらにその成分は、鉄、錫、希土類元素などを用いた3成分以上であってもよい。また、前記燃料電池用触媒に占める触媒金属の重量比は、20wt%以上、95wt%以下であることが好ましい。20wt%未満では、所望の触媒金属担時量の触媒層を作成する際、触媒層の厚みが増大し、燃料、および酸化剤の拡散性が低下するので好ましくない。また、95wt%以上では、触媒金属を細かく触媒担体表面に担時することができず、トータルでの触媒金属表面積が減少し、触媒の活性が低下するので好ましくない。
本発明の触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Y(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)は、0.1≦Y≦1.0であることが好ましい。0.1未満では、触媒層内のプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の繋がりが少なくなるために、プロトン伝導経路が断絶し、PEFCの発電特性が低下するので好ましくない。また、1.0より大きい場合では、触媒層内の孔がプロトン伝導性基が導入された高分子化合物で埋まることによって、燃料および酸化剤の拡散が阻害され、PEFCの発電特性が低下するので好ましくない。
また、プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量とは、前記架橋材を用いない場合は前記高分子化合物のみの固形分重量のみをいう。また、前記架橋材を用いた場合では、前記高分子化合物と前記架橋材との合計固形分重量をいう。
本発明の触媒層の接触角の角度の制御のために、前記触媒層にプロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物、あるいは無機化合物が含まれていてもよい。前記プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系高分子化合物が好ましく、無機化合物では、二酸化チタン、シリコン酸化物等の無機化合物であることが好ましい。本発明の触媒層における触媒担体に対する前記プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物、あるいは無機化合物の含まれる割合Z(Z=プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物あるいは無機化合物の固形分重量/触媒担体の重量)は、0.05以上、1.0以下であることが好ましい。0.05未満では、前記触媒層の接触角を制御することが不可能であり、1.0より大きい場合では、前記触媒層内のガスの拡散を阻害するので好ましくない。
本発明の燃料電池用触媒層は、少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物と、前記燃料電池用触媒とを含む燃料電池用触媒層形成材料を基材上に塗布することによって製造される。前記触媒層形成材料には、必要に応じて、溶媒、プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物、無機化合物、分散剤、増粘剤、造孔剤等が含まれていても構わない。また、これらの添加剤は、当業者にとって従来公知のものが使用可能であり、その他の具体的な構成については、特に限定されない。
前記触媒層形成材料の基材への塗布方法は、粘度や基材の種類に応じて、下記に示すような塗布方法が利用できる。前記触媒層形成材料の基材上への塗布方法としては、当業者にとって従来公知の塗布方法であればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。例えば、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷などを利用する方法が列挙できるが、本発明に限定されるものではない。
本発明において、基材として、高分子シートおよび無機物のシートを使用した場合には燃料電池用触媒層転写シートが、導電性多孔質シートを使用した場合には燃料電池用ガス拡散電極が、それぞれ製造できる。
本発明の燃料電池用触媒層転写シートの製造方法に用いる、高分子シートは、文字通り、当業者にとって従来公知の高分子フィルムであればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。かかる高分子シートとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパルバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、ことが製造工程でかかる加熱条件に耐え、工業的入手も容易であることから好ましい。
本発明の燃料電池用触媒層転写シートの製造方法に用いる、無機物のシートは、文字通り、当業者にとって従来公知の無機物のシートであればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。かかる無機物のシートとしては、チタン、ステンレス、アルミ、銅からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが、耐久性に優れること、および工業的入手も容易であることから好ましい。
本発明の燃料電池用ガス拡散電極の製造方法に用いる導電性多孔質シートは、文字通り、当業者にとって従来公知の導電性多孔質シートであればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。燃料や酸化剤の拡散性や電気化学的な安定性、工業的入手の容易さなどから、本発明の燃料電池用電極の製造方法において、前記導電性多孔質シートは、カーボンペーパー、カーボンクロスおよびカーボンフエルトからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、前記導電性多孔質シートは、触媒層内の水分量を制御しやすいことから、撥水処理が施されていることが好ましい。また、前記導電性多孔質シートは、触媒層と導電性多孔質シートとの電気的接触の向上、水分管理を適切に実施できるといった点から、前記燃料電池用触媒層形成材料を塗布する面上に、撥水導電性材料からなる層を備えること、が好ましい。撥水導電性材料としては、カーボンブラックなどの導電性微粒子とテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系高分子化合物から構成されることが例示できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の燃料電池用触媒層は、酸化剤の湿度の影響が大きいカソード側に用いられることが好ましい。前記触媒層をカソードに用いた場合、触媒層内の水分量を適度に保持できることから、カソードに供給される酸化剤の湿度を低下させること、つまりカソードの湿度の影響を低減できるので好ましい。このことによって、加湿器等を小型化、あるいは除去できるので、PEFCシステムの小型化ができる。
本発明の燃料電池用膜電極接合体(MEA)は、燃料電池用触媒層、燃料電池用触媒層転写シートおよび燃料電池用ガス拡散電極を、高分子電解質膜の少なくとも一方の面に配置し、加熱圧接するものであればよく、その他の製造条件、成分、材料、配合割合等の具体的な構成については、特に限定されるものではない。
本発明のMEAは、前記高分子電解質膜の両面に、本発明の製造方法で得られる触媒層を配置し、前記高分子電解質膜と前記触媒層を接合した後、高分子フィルムを剥離することによって、高分子電解質膜とアノード側触媒層とカソード側触媒層とからなる3層膜電極接合体(3層MEA:Membrane Electrode Assembly、CCM:Catalyst Coating Membrane)を製造することができる。
また、前記触媒層の代わりに、本発明の製造方法で得られる燃料電池用ガス拡散電極を使用した場合、前記3層膜電極接合体の外側に拡散層が構成された5層膜電極接合体(5層MEA)を製造することができる。
さらに、拡散層と触媒層との間に、少なくとも、導電性カーボン粒子と撥水剤から構成される撥水導電性材料からなる層、を必要に応じて設けることや、拡散層周縁部の電解質膜上に1対のガスケットを配置して構成した7層膜電極接合体も本発明の範疇であることを付言しておく。
本発明の燃料電池用膜電極接合体に用いる、高分子電解質膜は、文字通り、当業者にとって従来公知の高分子電解質膜であればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子電解質膜として、デュポン社製のナフィオン、旭硝子(株)製のフレミオン、旭化成(株)製のアシプレックス、ゴア社製のゴアセレクト、などが例示できる。また、非フッ素系の高分子電解質膜として、当業者にとって従来公知のものが使用できる。例えば、本発明で例示した高分子電解質を製膜したものや、非電解質の多孔質支持体に高分子電解質を充填した細孔フィリング膜や高分子電解質と非電解質とを複合化した複合電解質膜などを使用するのが好ましい。
本発明の燃料電池用膜電極接合体の製造において、加熱圧接の条件は、文字通り、当業者にとって従来公知の加熱圧接条件であればよく、その他の具体的な構成については、特に限定されない。最適な条件については、前記電解質膜と、アノード側触媒層およびカソード側触媒層にそれぞれ含まれる高分子電解質の種類に応じて適宜設定する必要がある。一般的に加熱圧接の温度は、前記高分子電解質膜や前記触媒層に含まれる高分子電解質の熱劣化や熱分解温度以下であって、高分子電解質膜あるいは前記触媒層に含まれる高分子電解質のガラス転移点や軟化点以上の温度、さらには高分子電解質膜あるいは前記触媒層に含まれる高分子電解質のガラス転移点や軟化点以上の温度条件下で実施するのが好ましい。また、加熱圧接の加圧条件は、概ね0.1MPa以上20MPa以下の範囲であることが、高分子電解質膜と前記触媒層が充分に接触するとともに、使用材料の著しい変形にともなう特性低下がなく好ましい。また、前記加熱圧接の際に、前述の「前記高分子電解質と、架橋剤とを化学反応させて反応生成物を得る工程」を兼ねても良い。
本発明の燃料電池は、前記膜電極接合体を、燃料、並びに酸化剤を送り込む流路が形成された一対のセパレーターなどの間に挿入することにより、本発明の高分子電解質膜電極接合体を含む燃料電池が得られる。前記セパレーターは、特に限定されず、例えばカーボングラファイトやステンレス鋼の導電性材料のものが使用できる。特にステンレス鋼などの金属製材料を使用する場合は、耐腐食性の処理を施していることが好ましい。
本発明の燃料電池は、アノードに燃料として、特に限定されないが水素を用いることができ、カソードに酸化剤として、特に限定されないが、酸素あるいは空気などを用いることができる。前記カソードに供給される酸化剤の湿度は、90%RH以下であることが好ましい。90%RHより高い場合は、カソードに供給される水分量が多すぎるために、フラッディング現象が起こり、発電特性が低下するので好ましくなく、また大きな加湿器を設置しなければならないので好ましくない。なお、前記湿度は、燃料電池の作動温度における飽和水蒸気量に対する加湿器の水の温度における飽和水蒸気の比から算出した値である。また、アノードに供給される燃料の湿度は、100%RH以下であることが好ましい。
なお、本実施の形態にかかる固体高分子形燃料電池を単独で、あるいは複数積層して、スタックを形成して使用することや、それらを組み込んだ燃料電池システムとすることもできる。
以下、実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(実施例1)
<プロトン伝導性基が導入された芳香族高分子化合物(スルホン化PEEK)の作製>
最初に、メカニカルスターラーと還流管、および塩化カルシウム管を取り付けた反応容器に硫酸552.0gを入れ、次いで撹拌しながらPEEK450PF(ビクトレックス・エムシー社製ポリエーテルエーテルケトン)22.2gを加え、室温にて48時間撹拌した。反応溶液をイオン交換水中に滴下して反応生成物を沈殿させたあとろ過し、ろ液が中性になるまでイオン交換水にて洗浄した。得られた反応生成物を真空下、105℃にて8時間乾燥することにより、プロトン伝導性基が導入された芳香族高分子化合物(スルホン化PEEK)26.94gを得た。前記化合物のIECは2.2meq/g、プロトン伝導度は6.0×10-2S/cmであった。
<カソード触媒層が形成されたガス拡散電極の製造>
触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Y=0.1(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)のカソード側触媒層が形成されたガス拡散電極の製造は、次の手順にて作製した。なお、ここでは、プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量は、プロトン伝導性基が導入された高分子化合物と架橋材との合計重量とした。
最初に、燃料電池用組成物として、溶媒(メタノール、3.240g)に、芳香族単位を有する高分子化合物にプロトン伝導性基が導入されてなる高分子化合物」の高分子化合物として上記スルホン化PEEK(0.300g)と、架橋材として化合物(6):“5,5’−[2,2,2−Trifluoro−1−(trifluoromethyl)ethylidene]bis[2−hydroxy−1,3−benzenedimethanol]”(以下、TML−BPAF−MF、0.060g)とを加え均一溶液を調製することによって、本実施例で使用する10wt%の高分子電解質溶液を調製した。次に、脱イオン水(2.500g)に白金担持カーボン触媒粉末(触媒に占める触媒金属の割合:50wt%、0.5g)を加えた後に、メタノール(2.500g)、前述で調製した高分子電解質溶液(10wt%、0.25g)を順に加え、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌した。つぎに、プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物としてPTFE分散液(60wt%、0.125g)を加え、分散機を用いて触媒層形成材料を作製した。なお、触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yは0.1(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)とし、触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物の比率Zは0.3(Z=プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)とした。最後に、前記燃料電池用触媒層形成材料を、エアスプレーを用いてミクロポーラスレイヤー付カーボンペーパー(GDL24BC、SGL社製)に塗布し、最後に、送風オーブン(80℃)で1時間乾燥することによって、白金担持量0.5mgPt/cm2のカソード触媒層が形成されたガス拡散電極を製造した。
<アノード触媒層が形成されたガス拡散電極の製造>
最初に、燃料電池用組成物として、脱イオン水(8.330g)に白金ルテニウム合金担時カーボン触媒粉末(触媒に占める触媒合金金属の割合:55wt%、0.833g)を加えた後に、高分子電解質溶液(ナフィオン溶液、デュポン社製、5wt%、5.250g)を順に加え、マグネチックスターラーを用いて30分撹拌した。つぎに、プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物としてPTFE分散液(60wt%、0.188g)を加え、分散機を用いて触媒層形成材料を作製した。なお、触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yは0.7(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)とし、触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物の比率Zは0.3(Z=プロトン伝導性基が導入されていない高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)とした。最後に、前記燃料電池用触媒層形成材料を、エアスプレーを用いてミクロポーラスレイヤー付カーボンペーパー(GDL24BC、SGL社製)に塗布し、最後に、送風オーブン(80℃)で1時間乾燥することによって、白金担持量0.5mgPt/cm2のアノード触媒層が形成されたガス拡散電極を製造した。
<触媒層の水の接触角の測定方法>
前記カソード側ガス拡散電極を、SUS板、ポリイミドシート(100mm × 100mm × 0.05mm )、アノード側ガス拡散電極(22mm × 22mm)、ガス拡散電極部分を切り抜いたPTFEシート(100mm × 100mm × 0.2mm)、ポリイミドシート(100mm × 100mm × 0.05mm )、SUS板の順に積層し、150℃に加熱した加圧板に、設置した後に、50kgf/cm2、30 分間保持の条件で加熱処理した。この加熱処理したガス拡散電極の触媒層上に脱イオン水1μLを滴下し、その水滴の形状をCCDカメラで撮影することによって触媒層の水の接触角を測定した。
<膜電極接合体の製造>
膜電極接合体は、加熱圧接機(テスター産業株式会社)を用いて次の手順で製作した。最初に、SUS板、PTFEシート(100mm × 100mm × 0.05mm )、アノード側ガス拡散電極(22mm × 22mm)、ガス拡散電極部分を切り抜いたPTFEシート(100mm × 100mm × 0.2mm)、高分子電解質膜(NRE212CS、デュポン社製)触媒層部分を切り抜いたPTFEシート(100mm × 100mm × 0.2mm)、カソード側ガス拡散電極(22mm × 22mm)、PTFEシート(100mm × 100mm × 0.05mm )およびSUS板の順に積層した。この積層物を、150℃に加熱した加圧板に、設置した後に、50kgf/cm2、30 分間保持の条件で加熱圧接することによって作製した。
<PEFC発電特性評価>
前記膜電極接合体を用いて燃料電池単セルを組み立てた。最初に、アノード側エンドプレート、ガスフロープレート、PTFEガスケット(0.20mm)、膜電極接合体、PTFEガスケット(0.20mm)、ガスフロープレート、エンドプレートの順に積層した。つぎに、M3のボルトで2Nmで締め付けることによって、本実施例で用いる燃料電池単セルを製作した。
続いて、前記単セルを電子負荷装置(PLZ164WA、菊水電子工業社製)を搭載した評価装置に設置したのちに、セル温度80℃、燃料(水素、84ml/min、100%RH)をアノード側に供給した。また、酸化剤(空気、400ml/min、100%RH)をカソード側に供給した。つぎに、電子負荷装置を定電流モードに設定し、前記膜電極接合体を含む燃料電池の電位が0.5A/cm2で24時間保持し、PEFCのコンディショニングをおこなった。最後に、セル温度80℃、燃料(水素、84ml/min、100%RH)をアノード側に供給し、酸化剤(空気、400ml/min、80%RH、40%RH)はカソード側に供給し、0.3A/cm2での分極特性を評価した。低加湿条件下におけるPEFCの発電特性の評価は、酸化剤(空気、400ml/min、80%RH)での最大出力密度に対する、酸化剤(空気、400ml/min、40%RH)の最大出力密度の比を算出することによっておこなった。
(実施例2)
カソード触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yを0.25にしたこと以外は実施例1と同様にした。
(実施例3)
カソード触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yを0.5にしたこと以外は実施例1と同様にした。
(実施例4)
カソード触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yを0.7にしたこと以外は実施例1と同様にした。
(実施例5)
カソード触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yを1.0にしたこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例1)
カソード触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yを0.08にしたこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例2)
カソード触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Yを1.2にしたこと以外は実施例1と同様にした。
(比較例3)
カソード触媒層に用いるプロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物のかわりに、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有さない高分子化合物(ナフィオン溶液、デュポン社製)を用いたこと以外は実施例4と同様にした。
図1は、実施例1、2、3、4、5、比較例1、2、および3で製造した「カソード側触媒層の水の接触角」と、「酸化剤(空気、400ml/min、80%RH)での最大出力密度に対する、酸化剤(空気、400ml/min、40%RH)での最大出力密度の比」とをまとめたものである。この評価では、「酸化剤(空気、400ml/min、80%RH)での最大出力密度に対する、酸化剤(空気、400ml/min、40%RH)での最大出力密度の比」が0.65以上の値を低加湿条件下での発電特性に優れるとした。この結果から、実施例で作製した触媒層を有するPEFCは酸化剤が低加湿になっても発電特性の低下が小さいこと、すなわち低加湿条件下におけるPEFCの発電特性に優れることが判明した。
本発明にかかるPEFC用触媒層は、PEFCをはじめとして、様々な産業上の利用可能性がある。
触媒層の水の接触角と最大出力密度の比

Claims (10)

  1. 少なくとも、プロトン伝導性基が導入された芳香族単位を有する高分子化合物、および燃料電池用触媒を含む燃料電池用触媒層の、水の接触角が0°<X<90°であることを特徴とする燃料電池用触媒層。
  2. 請求項1記載の触媒層における触媒担体に対するプロトン伝導性基が導入された高分子化合物の比率Y(Y=プロトン伝導性基が導入された高分子化合物の固形分重量/触媒担体の重量)が、0.1≦Y≦1.0であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用触媒層。
  3. 前記請求項1〜2のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、高分子のフィルム上に形成されていることを特徴とする、燃料電池用触媒層転写シート。
  4. 前記請求項1〜2のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、無機物のフィルム上に形成されていることを特徴とする、燃料電池用触媒層転写シート。
  5. 前記請求項1〜2のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、導電性多孔質シート上に形成されていることを特徴とする、燃料電池用ガス拡散電極。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層が、カソードに使用されることを特徴とする、燃料電池用触媒層。
  7. 前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層がプロトン伝導性を有する高分子電解質膜に接合されていることを特徴とする、燃料電池用膜電極接合体。
  8. 前記請求1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池用触媒層を備えた燃料電池。
  9. 請求項1の燃料電池用触媒層に、少なくとも酸素を含む酸化剤および90%RH以下の水蒸気を含む気体を供給することを特徴とする発電方法。
  10. 請求項1の燃料電池用触媒層に、少なくとも酸素を含む酸化剤および90%RH以下の水蒸気を含む気体を供給することを特徴とする燃料電池システム。
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