JP2010071354A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リバウンド方向のストッパ機構に加えて、バウンド方向と軸直角方向との少なくとも一方向のストッパ機構を効率的に実現し、併せて可撓性ゴム膜の保護手段も少ない部品点数で実現することが出来る、新規な構造のストッパ機構を備えた流体封入式防振装置を提供することを、目的とする。
【解決手段】第一のストッパ機構を構成するアウタカバー部材64に形成された開口窓72の軸方向一方の端部側においてアウタカバー部材64とゴム膜アウタ金具24により所定隙間寸法をもって広がる嵌着支持部92が構成されており、かかる嵌着支持部92に差し入れられた状態で組付支持せしめられる別体ストッパ部材94をアウタカバー部材64の開口窓72に突出させることにより、第二のストッパ機構を構成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特にストッパ機構を備えた流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体や防振支持体の一種として、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付金具と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付金具を本体ゴム弾性体で連結すると共に、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成された受圧室と変形容易な可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成された平衡室をそれぞれ形成して、それら両室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら両室をオリフィス通路で相互に連通させることにより、第一の取付金具と第二の取付金具の間の振動入力に際して、オリフィス通路を流動せしめられる流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした流体封入式防振装置が知られている。
また、このような流体封入式防振装置の一種として、特許文献1に記載されているように、受圧室の壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体の外側を覆うように可撓性ゴム膜を配設することによって、本体ゴム弾性体を挟んで受圧室と反対側に平衡室を形成したものが提案されている。
特許文献1に記載の如き流体封入式防振装置においては、第一の取付金具と第二の取付金具の対向方向となるマウント軸方向のサイズのコンパクト化を図ることが出来る等といった利点があり、例えば自動車用のエンジンマウント等への適用が検討されている。
ところで、自動車のエンジンマウント等では、大きな段差乗り越えやクランキング振動等の過大な振動荷重の入力時に本体ゴム弾性体の過大な変形を抑えて耐久性を維持させる目的や、パワーユニットの車両ボデーに対する過大な相対変位を抑えて車両操縦安定性を確保する目的等のために、第一の取付金具側と第二の取付金具側を緩衝ゴムを介して対向配置させて相対的に当接させることで第一の取付金具と第二の取付金具の相対変位を抑えるストッパ機構が採用されている。
しかしながら、特許文献1に記載の如き構造とされた流体封入式防振装置では、このようなストッパ機構の実現が難しいという問題があった。即ち、ストッパ機構の緩衝ゴムには過大な振動荷重が及ぼされることから、耐荷重性能が要求される。そこで、緩衝ゴムを耐荷重性能が大きい本体ゴム弾性体と一体成形することが考えられる。ところが、特許文献1に記載の流体封入式防振装置においては、本体ゴム弾性体の全体が可撓性ゴム膜で覆われていることから、本体ゴム弾性体と緩衝ゴムを一体成形することが難しい。また、緩衝ゴムを可撓性ゴム膜と一体成形した場合、可撓性ゴム膜に要求される変形特性等から、緩衝ゴムにおいて目的とする耐荷重性能を達成することが難しい。
そこで、従来では、別体のストッパ部材を第二の取付金具に後固定して組み付けるようにしている。具体的には、門形のストッパ金具を第二の取付金具に装着して、第一の取付金具との間でリバウンド方向のストッパ機構を構成している。また、プレート状のストッパ金具を第二の取付金具に装着して、第一の取付金具に取り付けられるパワーユニット側のブラケット等との間でバウンド方向のストッパ機構を構成している。なお、主たる振動荷重の入力方向において、本体ゴム弾性体に対して主に圧縮変形を及ぼす方向をバウンド方向といい、反対に本体ゴム弾性体に対して主に引張変形を及ぼす方向をリバウンド方向という。
しかしながら、このように別体のストッパ部材を組み付けるようにしても、以下のような問題があった。
第一に、可撓性ゴム膜が外部に直接晒されていることから、可撓性ゴム膜の保護が問題となる。なお、可撓性ゴム膜を保護するための保護カバーを増設しようとしても、門形のストッパ金具を装着しているので、保護カバーの装着が難しい。
第二に、バウンド方向のストッパ機構を構成するプレート状のストッパ金具を第二の取付金具に対して固定するためのボルトが必要になる。これにより、部品点数が増加すると共に、製造作業工程数が増加する。その結果、製造に際して無視できない程のコストの増大を招くことになる。
特開2004−293609号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、リバウンド方向のストッパ機構に加えて、バウンド方向と軸直角方向との少なくとも一方向のストッパ機構を効率的に実現し、併せて可撓性ゴム膜の保護手段も少ない部品点数で実現することが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
本発明は、非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室の壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体の中央部分に本体ゴム中央金具を接着すると共に外周部分に本体ゴムアウタ金具を接着する一方、本体ゴム弾性体の外側を覆うように配設される可撓性ゴム膜の中央部分にゴム膜中央金具を接着すると共に外周部分にゴム膜アウタ金具を接着して、本体ゴム中央金具とゴム膜中央金具を相互に固着せしめて防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を構成すると共に、本体ゴムアウタ金具とゴム膜アウタ金具を相互に固着せしめて防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を構成し、本体ゴム弾性体を挟んで受圧室と反対側に可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成すると共に、受圧室と平衡室を連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、可撓性ゴム膜の外周側を覆う筒状のアウタカバー部材を設けて、アウタカバー部材の軸方向一方の開口部を第二の取付部材に対して固定して組み付けると共に、アウタカバー部材の軸方向他方の開口部を内周側に延び出させて第一の取付部材に対して外方に離隔して対向位置する当接部を構成することにより第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位量を制限する第一のストッパ機構を構成する一方、アウタカバー部材に開口窓を形成して、開口窓の軸方向一方の端部側においてアウタカバー部材とゴム膜アウタ金具とにより所定隙間寸法をもって広がる嵌着支持部を構成すると共に、開口窓の軸方向他方の端部を第一の取付部材側に開放させるようにし、別体ストッパ部材を嵌着支持部に差し入れた状態で組付支持せしめて、別体ストッパ部材をアウタカバー部材の開口窓側に突出させることにより、第一の取付部材に取り付けられる防振連結される一方の部材との当接によって第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位量を制限する第二のストッパ機構を構成するようになっていることを、特徴とする。
このような本発明に従う構造とされたストッパ機構を備えた流体封入式防振装置においては、特定構造のアウタカバー部材を利用して第一のストッパ機構が構成されている。即ち、アウタカバー部材を利用して、該アウタカバー部材の当接部と第一の取付部材の当接によりリバウンド方向における第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位量が制限され得る。これにより、可撓性ゴム膜をアウタカバーで保護して損傷防止しつつ、特別な別部材を追加することなくリバウンドストッパ機構が実現される。
また、本発明においては、アウタカバー部材を利用して別体ストッパ部材を組み付けることにより、この別体ストッパ部材を利用して第二のストッパ機構が構成されている。即ち、第一のストッパ機構によるストッパ機能が発揮される方向とは異なる方向で機能する第二のストッパ機構が、別体ストッパ部材を利用して実現されているのである。
なお、かかる第二のストッパ機構のストッパ機能は、例えば、バウンド方向やそれに直交する方向での第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位量を制限するように設定できる。これにより、第一のストッパ機構と第二のストッパ機構で協働して、複数方向のストッパ機能が少ない部品点数で効率的に実現可能となる。
ここにおいて、かかる別体ストッパ部材は、アウタカバー部材とゴム膜アウタ金具を利用して形成された嵌着支持部によって抜出阻止されて組み付けられていることから、固定ボルト等の特別な固定部材も不要となり、組み付けの作業も容易となる。また、この別体ストッパ部材の配設部位には、アウタカバー部材に開口窓が形成されていることで、別体ストッパ部材における嵌着支持部からの突出高さが抑えられている。これにより、ストッパ荷重が作用した場合に別体ストッパ部材に発生する応力としてのモーメントが軽減されており、ストッパ荷重強度が大きく確保されている。
また、アウタカバー部材を筒状としたことにより大きな部材強度を確保することが出来る。その結果、第一ストッパ機構における荷重強度や、別体ストッパ部材の保持強度およびストッパ荷重強度が一層効果的に確保され得る。また、筒状のアウタカバー部材によって、可撓性ゴム膜の外部を広い範囲で覆って保護することも可能となる。
なお、本発明において、別体ストッパ部材が当接せしめられるのは、第一の取付部材に対して固定的な部材であれば良く、防振連結される一方の部材そのものであっても良いし、防振連結される一方の部材と第一の取付部材の間に介在せしめられるブラケット等のような連結部材であっても良い。即ち、本発明では、防振連結される一方の部材と一体的に設けられる部材も、別体ストッパ部材が当接せしめられる防振連結される一方の部材に含まれる。
また、本発明においては、ゴム膜アウタ金具とアウタカバー部材における嵌着支持部を構成する部分が何れも円筒形状とされており、嵌着支持部における隙間が軸方向所定長さで周方向に広がって形成されていると共に、別体ストッパ部材において嵌着支持部の隙間に対応した円弧板形状の組付脚部が形成されており、かかる組付脚部が嵌着支持部に差し入れられた状態で組み付けられていることが望ましい。
この場合、別体ストッパ部材において嵌着支持部に差し入れられた状態で組み付けられる組付脚部が円弧板形状とされていることから、防振連結される一方の部材に別体ストッパ部材が当接する方向での別体ストッパ部材の部材強度を確保することが可能となる。その結果、別体ストッパ部材、延いては、別体ストッパ部材を利用して構成される第二のストッパ機構の耐荷重性能を確保することが出来る。
また、組付脚部の形状と嵌着支持部の隙間の形状が対応していることから、組付脚部が嵌着支持部に差し入れられた状態での組付脚部のガタツキを抑えることが出来る。その結果、別体ストッパ部材の組付状態の安定化を図ることが可能となる。
さらに、本発明においては、アウタカバー部材の軸方向一方の開口部が、第二の取付部材を構成する本体ゴムアウタ金具とゴム膜アウタ金具に対してかしめ固定されていることが望ましい。これにより、本体ゴムアウタ金具とゴム膜アウタ金具を固着する際に、ボルト等の特別な固定手段を用いる必要がなくなると共に、アウタカバー部材を第二の取付部材に固定して組み付ける際に、ボルト等の特別な固定手段を用いる必要がなくなる。その結果、製造に必要な部品点数を少なくすることが出来る。
更にまた、本発明において、別体ストッパ部材には、第一の取付部材に取り付けられる防振連結される一方の部材との当接面に緩衝ゴムが固着されていると共に、嵌着支持部に差し入れられた状態で組み付けられる部分の少なくとも一方の表面にゴム層が固着されていることが望ましい。
この場合、別体ストッパ部材において防振連結される一方の部材との当接面に緩衝ゴムが固着されていることから、別体ストッパ部材が防振連結される一方の部材に当接する際の当接音を抑えることが出来る。
また、別体ストッパ部材には、嵌着支持部に差し入れられた状態で組み付けられる部分の少なくとも一方の表面にゴム層が固着されていることから、嵌着支持部内での別体ストッパ部材のガタツキを抑えることが可能となる。
さらに、本発明において、別体ストッパ部材とアウタカバー部材との間には、別体ストッパ部材の嵌着支持部からの抜け出しに対して抗力を発揮する係止機構が設けられていることが望ましい。これにより、別体ストッパ部材の嵌着支持部からの抜け出しを防止して、組付状態の安定化を図ることが可能となる。
そこにおいて、上述の如き構成を採用する場合、係止機構は、アウタカバー部材に形成された係止孔と、別体ストッパ部材の外周面上に突設されて係止孔に係止される弾性突起とによって構成されていることが望ましい。この場合、弾性突起の弾性変形を利用することにより、別体ストッパ部材を嵌着支持部に差し入れる際に、弾性突起を係止孔に係止させることが出来る。その結果、係止機構を簡単な構造で実現することが出来ると共に、係止機構による係止状態を速やかに実現することが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1乃至3には、本発明に係る流体封入式防振装置の一実施形態としての自動車用のエンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結された構造とされており、第一の取付金具12が図示しない防振連結される一方の部材としての自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない防振連結される他方の部材としての自動車のボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持するようになっている。また、このような装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、パワーユニットの分担支持荷重と、防振すべき主たる振動が、何れも、エンジンマウント10における中心軸線方向(図3中の上下方向)に入力されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図3中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、第一の取付金具12は、本体ゴム中央金具としての本体ゴムインナ金具18とゴム膜中央金具としてのダイヤフラムインナ金具20を含んで構成されている。また、第二の取付金具14は、本体ゴムアウタ金具としての本体ゴムアウタ筒金具22とゴム膜アウタ金具としてのダイヤフラムアウタ筒金具24を含んで構成されている。そして、本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22が本体ゴム弾性体16に加硫接着されて第一の一体加硫成形品26とされていると共に、ダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24が、可撓性ゴム膜としてのダイヤフラム28に加硫接着されて第二の一体加硫成形品30とされており、これら第一の一体加硫成形品26と第二の一体加硫成形品30が相互に組み合わされている。
ここにおいて、第一の一体加硫成形品26を構成する本体ゴムインナ金具18は、鉄鋼等の金属材で形成されており、全体として逆向きの円錐台形状を呈している。また、本体ゴムインナ金具18には、上面に開口するねじ穴32が形成されている。
一方、第一の一体加硫成形品26を構成する本体ゴムアウタ筒金具22は、鉄鋼等の金属材で形成されており、全体として大径の円筒形状を呈している。また、本体ゴムアウタ筒金具22には、その軸方向下端部において、径方向外方に広がるフランジ状部34が一体形成されている。更にまた、本体ゴムアウタ筒金具22の軸方向上端部分は、軸方向上方に行くに従って次第に拡開するテーパ筒状部36とされている。
上述の如き構造とされた本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22は、本体ゴムインナ金具18が本体ゴムアウタ筒金具22の上方に離隔して略同一中心軸線上に配置されている。この状態で、本体ゴムインナ金具18におけるテーパ形状の外周面と本体ゴムアウタ筒金具22におけるテーパ筒状部36の内周面が互いに離隔して対向位置せしめられている。そして、これら本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22の間に本体ゴム弾性体16が配設されている。
本体ゴム弾性体16は、従来から公知のゴム材料によって形成されており、全体として大径の円錐台形状を呈している。そして、本体ゴム弾性体16の中央部分には、本体ゴムインナ金具18が挿し込まれた状態で略同一中心軸線上に配されて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部の外周面には、本体ゴムアウタ筒金具22のテーパ筒状部36が重ね合わされて加硫接着されている。これにより、本体ゴム弾性体16が本体ゴムインナ金具18と本体ゴムアウタ筒金具22を備えた第一の一体加硫成形品26として形成されている。
そこにおいて、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が本体ゴムアウタ筒金具22の外周面にまで延び出してきている。これにより、本体ゴムアウタ筒金具22の外周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたゴム壁38とフランジ状部34の間において、本体ゴムアウタ筒金具22の外周面に沿って周方向に延びる凹溝40が形成されている。なお、図面上では明示されていないが、本実施形態では、ゴム壁38の周上の一部分がフランジ状部34にまで延び出してきており、それによって、凹溝40が略一周弱の長さに亘って形成されている。
第二の一体加硫成形品30を構成するダイヤフラムインナ金具20は、鉄鋼等の金属材で形成されて、全体としてブロック形状を呈しており、特に本実施形態では、平面視において正方形の一つの辺が外方に凸となるように湾曲せしめられた形状とされている。また、ダイヤフラムインナ金具20の軸方向中間部分には、全周に亘って径方向外方に突出するストッパ突部42が一体形成されている。更に、ダイヤフラムインナ金具20の略中央部分には、挿通孔44が軸方向に貫設されている。更にまた、ダイヤフラムインナ金具20における挿通孔44を外れた位置には、上方に突出する取付板部46が一体形成されている。そして、取付板部46には、取付孔48が軸直角方向(取付板部46の板厚方向)に貫設されている。
また、本実施形態では、ダイヤフラムインナ金具20の軸方向上端部分には、中心孔を有するブロック状の当接ゴム50が外嵌固定されている。なお、当接ゴム50のダイヤフラムインナ金具20への固定方法は、当接ゴム50の中心孔の径方向寸法をダイヤフラムインナ金具20の軸方向上端部分の外径寸法よりも小さくして、当接ゴム50をダイヤフラムインナ金具20の軸方向上端部分に外挿した際の当接ゴム50の弾性に基づく締付力を利用しても良いし、接着剤による接着であっても良い。
一方、第二の一体加硫成形品30を構成するダイヤフラムアウタ筒金具24は、鉄鋼等の金属材で形成されており、薄肉大径の円筒形状を呈している。また、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上端部には、径方向内方に向かってフランジ状に広がる内フランジ部52が一体形成されている。更にまた、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向下端部には、径方向外方に向かってフランジ状に広がる外フランジ部54が一体形成されている。
上述の如き構造とされたダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24は、ダイヤフラムインナ金具20がダイヤフラムアウタ筒金具24の上方に離隔して略同一中心軸線上に配設されている。この状態で、ダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24は、ダイヤフラム28によって弾性的に連結されている。
ダイヤフラム28は、薄肉のゴム膜によって形成されており、容易に弾性変形が許容されるように大きな弛みをもった湾曲断面形状で周方向に延びる略円環形状乃至は円筒形状を呈している。そして、ダイヤフラム28の内周縁部が、ダイヤフラムインナ金具20のストッパ突部42に加硫接着されていると共に、ダイヤフラム28の外周縁部が、ダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上側の開口部に加硫接着されている。これにより、ダイヤフラム28は、ダイヤフラムインナ金具20とダイヤフラムアウタ筒金具24を備えた第二の一体加硫成形品30として形成されている。
そして、第二の一体加硫成形品30が、第一の一体加硫成形品26に対して上方から重ね合わされて組み付けられており、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18に固着されていると共に、ダイヤフラムアウタ筒金具24が本体ゴムアウタ筒金具22に固着されており、更に、ダイヤフラム28が、本体ゴム弾性体16の径方向外方に離隔して、本体ゴム弾性体16の外周面を全体に亘って覆うようにして配設されている。
すなわち、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18の上面に直接に重ね合わされて、連結ボルト56がダイヤフラムインナ金具20の挿通孔44を通じて本体ゴムインナ金具18のねじ穴32に螺着されて、両金具18,20が相互に固着されることにより、第一の取付金具12が構成されている。なお、この状態で、連結ボルト56の頭部は、ダイヤフラムインナ金具20の上面に開口形成された収容穴58内に位置せしめられている。
また、ダイヤフラム28においてストッパ突部42の下面にまで延び出した部分は、本体ゴムインナ金具18の上端外周縁部とストッパ突部42の内周縁部の間で挟圧せしめられている。これにより、本体ゴムインナ金具18とダイヤフラムインナ金具20の重ね合わせ部位の流体密性が確保されている。
更にまた、本実施形態では、本体ゴムインナ金具18の上面において、ダイヤフラムインナ金具20の軸方向下端部分が嵌め入れられる位置決め凹所62が形成されている。そして、ダイヤフラムインナ金具20が本体ゴムインナ金具18に重ね合わせられた状態で、ダイヤフラムインナ金具20の軸方向下端部分が本体ゴムインナ金具18の位置決め凹所62内に位置せしめられている。これにより、本体ゴムインナ金具18に対するダイヤフラムインナ金具20の周方向位置が規定されている。
また、ダイヤフラムアウタ筒金具24は、本体ゴムアウタ筒金具22に対して軸方向上方から外挿されている。そして、この状態で、本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部34とダイヤフラムアウタ筒金具24の外フランジ部54が軸方向で重ね合わされている。更にまた、ダイヤフラムアウタ筒金具24が本体ゴムアウタ筒金具22に外挿された状態で、本体ゴムアウタ筒金具22の外周面に形成された凹溝40のゴム壁38は、ダイヤフラムアウタ筒金具24の内周面に密着せしめられている。
そして、上述の如く第一の一体加硫成形品26に組み付けられた第二の一体加硫成形品30に対して、アウタカバー部材としてのストッパ筒金具64が組み付けられている。
ストッパ筒金具64は、鉄鋼等の金属材で形成されており、全体としてダイヤフラムアウタ筒金具24よりも大径の円筒形状を呈している。また、ストッパ筒金具64の軸方向下端部分には、径方向外方に広がる円環板状部66を介して、軸方向下方に向かって延びるかしめ筒部68が一体形成されている。更に、ストッパ筒金具64の軸方向上端部には、軸直角方向内方に延び出す当接部としてのストッパ当接部70が一体形成されている。
更にまた、ストッパ筒金具64には、開口窓72が形成されている。そこにおいて、本実施形態では、軸方向中間部分から軸方向上端に亘って切り欠くように開口窓72が形成されている。特に本実施形態では、開口窓72がストッパ当接部70を切り欠くように形成されている。即ち、本実施形態では、開口窓72は、軸直角方向だけでなく、軸方向上方にも開口するように形成されている。
このような構造とされたストッパ筒金具64は、第二の一体加硫成形品30を構成するダイヤフラムアウタ筒金具24の軸方向上方から被せられて、ダイヤフラムアウタ筒金具24の外フランジ部54と本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部34がストッパ筒金具64のかしめ筒部68でかしめ固定されることにより、第二の取付金具14に固定されている。この状態で、ストッパ筒金具64は、ダイヤフラム28を外側から覆っている。
また、このようにストッパ筒金具64が第二の取付金具14に固定されることにより、本体ゴムアウタ筒金具22の外周面に形成された凹溝40がダイヤフラムアウタ筒金具24で流体密に覆蓋されている。これにより、本体ゴムアウタ筒金具22とダイヤフラムアウタ筒金具24の径方向対向面間を周方向に所定長さで連続して延びる環状通路が形成されている。
さらに、上述の如くストッパ筒金具64が第二の取付金具14に固定された状態で、ストッパ筒金具64におけるストッパ当接部70が、第一の取付金具12を構成するダイヤフラムインナ金具20のストッパ突部42に対して軸方向上方に離隔して対向位置せしめられている。そして、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に大きな振動荷重が入力された際に、ストッパ突部42が当接ゴム50を介してストッパ当接部70に当接することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14のリバウンド方向(軸方向離隔方向)での相対変位量を制限する第一のストッパ機構としてのリバウンドストッパ機構が構成されている。
また、本体ゴムアウタ筒金具22の軸方向下端側には、底金具74が配設されている。底金具74は、鉄鋼等の金属材によって形成されており、浅底の有底円筒形状を呈している。また、底金具74の開口周縁部には、径方向外方に向かって広がるフランジ部76が一体形成されている。更にまた、底金具74の底壁部78には、下方に向かって突出する取付ボルト80が固設されている。
このような構造とされた底金具74は、フランジ部76が本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部34に重ねられて、フランジ部76が本体ゴムアウタ筒金具22のフランジ状部34及びダイヤフラムアウタ筒金具24の外フランジ部54と共にストッパ筒金具64のかしめ筒部68でかしめ固定されることにより、本体ゴムアウタ筒金具22の軸方向下端側に配設されている。
このように本体ゴムアウタ筒金具22の軸方向下端側に底金具74が配設された状態で、本体ゴムアウタ筒金具22の下側開口が底金具74によって流体密に覆蓋されている。これにより、本体ゴム弾性体16と底金具74の対向面間には、非圧縮性流体が封入された受圧室82が形成されている。即ち、受圧室82は、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されており、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて振動が入力されて圧力変動が惹起されるようになっている。
また、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム28がそれぞれの内周縁部と外周縁部において第一の取付金具12と第二の取付金具14に固着されることにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム28の対向面間には、非圧縮性流体が封入された平衡室84が形成されている。即ち、平衡室84は、壁部の一部が変形容易なダイヤフラム28で構成されており、ダイヤフラム28の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容されていると共に、本体ゴム弾性体16を挟んで受圧室82と反対側に形成されている。
なお、受圧室82と平衡室84に封入される非圧縮性流体としては、後述するオリフィス通路90を通じて流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るために、0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。
また、上述の如く本体ゴム弾性体16を挟んで下側に形成された受圧室82と上側に形成された平衡室84には、第二の取付金具14内に形成された環状通路が、周方向両端に形成された連通孔86,88を通じて接続されている。これにより、受圧室82と平衡室84を相互に連通せしめて、これら両室82,84の間での流体流動を許容するオリフィス通路90が所定長さで形成されている。そして、振動入力時に受圧室82と平衡室84の間に生ぜしめられる相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路90を通じての流体流動が生ぜしめられると、流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が入力振動に対して発揮されるようになっている。
更にまた、上述の如くストッパ筒金具64が第二の取付金具14に固定されることにより、ストッパ筒金具64とダイヤフラムアウタ筒金具24の径方向対向面間には、周方向に連続して延びる隙間が形成されている。かかる隙間のうちストッパ筒金具64の開口窓72の形成部位に位置する部分は、開口窓72を通じて上方に向かって開口している。
すなわち、ストッパ筒金具64における開口窓72の形成部位とダイヤフラムアウタ筒金具24の対向面間には、略一定の隙間寸法で広がる嵌着支持部としてのポケット部92が形成されている。
そこにおいて、本実施形態では、ストッパ筒金具64の筒状内周面とダイヤフラムアウタ筒金具24の筒状外周面の対向面間にポケット部92が形成されていることから、ポケット部92は、軸方向の所定長さに亘って略一定の対向面間距離を保ちながら、マウント中心軸線周りの周方向に広がるように形成されている。
そして、ポケット部92には、別体ストッパ部材としてのバウンドストッパ金具94が収容されている。バウンドストッパ金具94は、図4において単体図が示されているように、鉄鋼等の金属材によって形成されており、ポケット部92に差し入れられる組付脚部96を備えている。そこにおいて、組付脚部96は、薄肉板形状を呈しており、特に本実施形態では、ポケット部92の形状に対応して湾曲板形状を呈している。
また、組付脚部96の長手方向一端には、組付脚部96の凸面側に突出する庇部98が一体形成されている。そこにおいて、本実施形態では、庇部98の延出端部分に曲げ加工が施されている。これにより、庇部98の延出端は下方を向いている。即ち、本実施形態の庇部98は、組付脚部96の高さ方向に対する直交方向に広がる平坦な当接面100が形成された第一の当接部分102と、かかる第一の当接部分102の縁に沿って広がる当接面104が形成された第二の当接部分106を備えている。
なお、このようなバウンドストッパ金具94は、板材にプレス加工を施すことによって形成することが出来る。
また、本実施形態では、このようなバウンドストッパ金具94における庇部98の上面、即ち、第一の当接部分102の当接面104に緩衝ゴム108が接着されている。特に本実施形態では、緩衝ゴム108は、庇部98における曲げ加工が施された部分よりも更に延出端側に位置する部分の上面、即ち、第二の当接部分106の当接面104にも接着されている。
また、本実施形態では、緩衝ゴム108と一体形成されたゴム層としての被覆ゴム層110がバウンドストッパ金具94の組付脚部96の厚さ方向両面に接着されている。
そこにおいて、本実施形態では、被覆ゴム層110において組付脚部96の凹面に被着されている部分には、凹面の湾曲方向に延びる複数本の突条ゴム112が組付脚部96の高さ方向に並ぶように一体形成されている。
更にまた、本実施形態では、バウンドストッパ金具94における組付脚部96の凸面に被着されている被覆ゴム層110に複数の弾性突起114が一体形成されている。そこにおいて、本実施形態では、各弾性突起114の上端面116が、組付脚部96の高さ方向に直交する方向に広がる平坦面とされている。また、本実施形態では、各弾性突起114の下端部分において、上方から下方へ行くに従って次第に突出高さが小さくなる傾斜面118が形成されている。
上述の如きバウンドストッパ金具94は、組付脚部96がポケット部92に差し入れられた状態で、組付支持せしめられている。この状態で、バウンドストッパ金具94は、ストッパ筒金具64の開口窓72に突出せしめられている。また、組付脚部96がポケット部92に差し入れられた状態で、組付脚部96の凸面側に位置する複数の弾性突起114は、それぞれ、ストッパ筒金具64に形成された係止孔120内に位置せしめられて、上端面116が係止孔120の内周面に当接せしめられている。また、組付脚部96がポケット部92に差し入れられた状態で、組付脚部96の凸面側に位置する被覆ゴム層110はストッパ筒金具64の内周面に密着している。更にまた、組付脚部96がポケット部92に差し入れられた状態で、組付脚部96の凹面側に位置する複数本の突条ゴム112は、それぞれ、組付脚部96とダイヤフラムアウタ筒金具24によって押し潰されている。
このような構造とされたエンジンマウント10は、第一の取付金具12がブラケット金具122によってパワーユニットに取り付けられると共に、第二の取付金具14が底金具74に設けられた取付ボルト80によって車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットと車両ボデーの間に装着されるようになっている。即ち、本実施形態では、第二の取付金具14は、第二の取付金具14と一体的に組み付けられる底金具74を介して車両ボデーに取り付けられるようになっている。
そこにおいて、ブラケット金具122は、第一の取付金具12を構成するダイヤフラムインナ金具20の上面に重ね合わされた状態で、取付板部46の取付孔48に挿通された固定ボルト124で固定されるようになっている。そして、このように第一の取付金具12に固定されたブラケット金具122は、図示しない固定ボルトによって、パワーユニットに固定されるようになっている。
また、本実施形態では、第一の取付金具12がブラケット金具122に取り付けられた状態で、庇部98における第一の当接部分102と第二の当接部分106が、何れも、ブラケット金具122に対して所定の隙間を隔てて対向位置せしめられている。
なお、本実施形態では、バウンドストッパ金具94の組付脚部96がポケット部92から抜け出すために必要な移動距離よりも、第一の当接部分102とブラケット金具122の当接面間距離のほうが短くされている。これにより、エンジンマウント10の車両への装着状態下で、バウンドストッパ金具94のポケット部92からの抜け出しが防止されている。
そして、本実施形態では、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に大きな振動荷重が入力された際に、第一の当接部分102が緩衝ゴム108を介してブラケット金具122に当接することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14のバウンド方向(軸方向接近方向)での相対変位量を制限する第二のストッパ機構としてのバウンドストッパ機構が構成されている。
また、本実施形態では、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に大きな振動荷重が入力された際に、第二の当接部分106が緩衝ゴム108を介してブラケット金具122に当接することにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14のマウント中心軸線方向に直交する方向(例えば、車両前後方向)での相対変位量を制限する第二のストッパ機構としての軸直角方向ストッパ機構が構成されている。
すなわち、本実施形態では、バウンド方向と軸直角方向の両方で第一の取付金具12と第二の取付金具14の相対変位量を制限するストッパ機構が設けられているのである。
このような構造とされたエンジンマウント10においては、バウンドストッパ機構や軸直角方向ストッパ機構を構成するバウンドストッパ金具94が、第二の取付金具14に固定されてリバウンドストッパ機構を構成するストッパ筒金具64と第二の取付金具14を構成するダイヤフラムアウタ筒金具24の間に形成されたポケット部92に差し入れられた状態で組み付けられるようになっていることから、バウンドストッパ機構や軸直角方向ストッパ機構を効率良く実現することが出来る。
また、リバウンドストッパ機構を構成するストッパ筒金具64によってダイヤフラム28を覆うようになっていることから、ダイヤフラム28の保護に必要な部品の数を少なくすることが出来る。
そこにおいて、本実施形態では、バウンドストッパ金具94の組付脚部96がポケット部92の形状に対応した湾曲板形状とされていることから、バウンド方向での部材強度を確保することが出来る。その結果、バウンドストッパ機構の耐荷重性能を確保することが出来る。
また、本実施形態では、バウンドストッパ金具94の庇部98が組付脚部96の高さ方向に直交する方向へ延び出していることから、マウント中心軸線方向に直交する方向での部材強度を確保することが出来る。その結果、軸直角方向ストッパ機構の耐荷重性能を確保することが出来る。
さらに、本実施形態では、バウンドストッパ金具94の組付脚部96がポケット部92に差し入れられた状態で、組付脚部96の凸面が被覆ゴム層110を介してストッパ筒金具64の内周面に重ね合わせられていると共に、組付脚部96の凹面側に位置する複数の突条ゴム112のそれぞれが、組付脚部96とダイヤフラムアウタ筒金具24の間で圧縮されていることから、バウンドストッパ金具94のポケット部92内でのガタツキを防止することが出来る。
更にまた、本実施形態では、ストッパ筒金具64が第二の取付金具14にかしめ固定されていることから、ダイヤフラムアウタ筒金具24と本体ゴムアウタ筒金具22を固定するためのボルト等が不要になると共に、ストッパ筒金具64を第二の取付金具14(ダイヤフラムアウタ筒金具24と本体ゴムアウタ筒金具22)に固定するためのボルト等が不要になる。その結果、エンジンマウント10の製造に必要な部品点数を少なくすることが出来る。
また、本実施形態では、バウンドストッパ金具94における第一の当接部分102と第二の当接部分106の何れもが、緩衝ゴム108を介して、ブラケット金具122に当接するようになっていることから、当接音を抑えることが出来る。
さらに、本実施形態では、バウンドストッパ金具94の組付脚部96がポケット部92に差し入れられた状態で、バウンドストッパ金具94に設けられた弾性突起114がダイヤフラムアウタ筒金具24に形成された係止孔120に係止されていることから、バウンドストッパ金具94がポケット部92に差し入れられた状態を安定して維持することが出来る。その結果、エンジンマウント10の輸送時や車両への装着作業時にバウンドストッパ金具94がポケット部92から抜け出してしまわないようにすることが可能となる。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、弾性突起114と係止孔120によって係止機構が構成されている。
そこにおいて、本実施形態では、弾性突起114がゴム材料によって形成されていることから、弾性突起114の弾性変形を利用して、バウンドストッパ金具94の組付脚部96をポケット部92に差し入れる際に、弾性突起114を係止孔120に係止させることが出来る。その結果、バウンドストッパ金具94の抜け出し防止を簡単且つ速やかに実現することが出来る。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、図5に示されているように、被覆ゴム層110が被着されていないバウンドストッパ金具94をポケット部92に圧入固定するようにしても良い。即ち、前記実施形態における係止機構(弾性突起114と係止孔120)やゴム層(被覆ゴム層110)は、本発明において必須ではない。
また、図6に示されているように、被覆ゴム層110が組付脚部96の凸面側だけに被着されているバウンドストッパ金具94が、ポケット部92に差し入れられた状態で、組付脚部96とダイヤフラムアウタ筒金具24の間に隙間が形成されていても良い。この場合、バウンドストッパ金具94がポケット部92に差し入れられた状態でもポケット部92内に隙間が残っていることから、バウンドストッパ金具94のポケット部92への差し入れ作業を速やかに行うことが可能となる。
なお、理解を容易にするために、図5及び図6においては、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、前記実施形態と同一の符号を付してある。
また、前記実施形態において、複数の突条ゴム112は、必ずしも必要なものではない。即ち、被覆ゴム層110において組付脚部96の凹面側に被着している部分は略一定の厚さ寸法であっても良い。
さらに、前記実施形態において、バウンドストッパ金具94の抜け出し防止は、バウンドストッパ金具94とポケット部92の内周面との間での摩擦力を利用したものであっても良い。
更にまた、前記実施形態では、バウンドストッパ機構と軸直角方向ストッパ機構が設けられていたが、これらバウンドストッパ機構と軸直角方向ストッパ機構の何れか一方のみを設けるようにしても良い。
また、前記実施形態では、エンジンマウント10の車両への装着状態下で、バウンドストッパ金具94がポケット部92から抜け出さないようになっていたが、ブラケット金具122とバウンドストッパ金具94の当接方向での離隔距離が抜け出し可能な程度の大きさであっても良い。この場合、バウンドストッパ金具94のポケット部92への差し入れ状態は、圧入や係止機構による係止等によって維持されるようにしておく必要がある。
加えて、本発明は、能動型の流体封入式防振装置に対しても、勿論、適用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明に係るストッパ機構を備えた流体封入式防振装置の一実施形態としてのエンジンマウントを示す斜視図。 同エンジンマウントの平面図。 同エンジンマウントの縦断面図。 同エンジンマウントに採用されているバウンドストッパ金具を斜め下から見た斜視図。 本発明において採用可能なバウンドストッパ金具のポケット部への差入状態の他の態様を説明するための断面図。 本発明において採用可能なバウンドストッパ金具のポケット部への差入状態の更に別の態様を説明するための断面図。
符号の説明
10:エンジンマウント,12:第一の取付金具,14:第二の取付金具,16:本体ゴム弾性体,18:本体ゴムインナ金具,20:ダイヤフラムインナ金具,22:本体ゴムアウタ筒金具,24:ダイヤフラムアウタ筒金具,28:ダイヤフラム,64:ストッパ筒金具,70:ストッパ当接部,72:開口窓,82:受圧室,84:平衡室,90:オリフィス通路,92:ポケット部,94:バウンドストッパ金具

Claims (6)

  1. 非圧縮性流体が封入されて振動が入力される受圧室の壁部の一部を構成する本体ゴム弾性体の中央部分に本体ゴム中央金具を接着すると共に外周部分に本体ゴムアウタ金具を接着する一方、該本体ゴム弾性体の外側を覆うように配設される可撓性ゴム膜の中央部分にゴム膜中央金具を接着すると共に外周部分にゴム膜アウタ金具を接着して、該本体ゴム中央金具と該ゴム膜中央金具を相互に固着せしめて防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材を構成すると共に、該本体ゴムアウタ金具と該ゴム膜アウタ金具を相互に固着せしめて防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を構成し、該本体ゴム弾性体を挟んで該受圧室と反対側に該可撓性ゴム膜で壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された平衡室を形成すると共に、該受圧室と該平衡室を連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置において、
    前記可撓性ゴム膜の外周側を覆う筒状のアウタカバー部材を設けて、該アウタカバー部材の軸方向一方の開口部を前記第二の取付部材に対して固定して組み付けると共に、該アウタカバー部材の軸方向他方の開口部を内周側に延び出させて前記第一の取付部材に対して外方に離隔して対向位置する当接部を構成することにより前記第一の取付部材と該第二の取付部材の相対変位量を制限する第一のストッパ機構を構成する一方、
    該アウタカバー部材に開口窓を形成して、該開口窓の軸方向一方の端部側において該アウタカバー部材と前記ゴム膜アウタ金具とにより所定隙間寸法をもって広がる嵌着支持部を構成すると共に、該開口窓の軸方向他方の端部を該第一の取付部材側に開放させるようにし、別体ストッパ部材を該嵌着支持部に差し入れた状態で組付支持せしめて、該別体ストッパ部材を該アウタカバー部材の該開口窓に突出させることにより、該第一の取付部材に取り付けられる前記防振連結される一方の部材との当接によって該第一の取付部材と該第二の取付部材の相対変位量を制限する第二のストッパ機構を構成するようになっていることを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記ゴム膜アウタ金具と前記アウタカバー部材における前記嵌着支持部を構成する部分が何れも円筒形状とされており、該嵌着支持部における隙間が軸方向所定長さで周方向に広がって形成されていると共に、前記別体ストッパ部材において該嵌着支持部の該隙間に対応した円弧板形状の組付脚部が形成されており、該組付脚部が該嵌着支持部に差し入れられた状態で組み付けられている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記アウタカバー部材の軸方向一方の開口部が、前記第二の取付部材を構成する前記本体ゴムアウタ金具と前記ゴム膜アウタ金具に対してかしめ固定されている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記別体ストッパ部材には、前記第一の取付部材に取り付けられる前記防振連結される一方の部材との当接面に緩衝ゴムが固着されていると共に、前記嵌着支持部に差し入れられた状態で組み付けられる部分の少なくとも一方の表面にゴム層が固着されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記別体ストッパ部材と前記アウタカバー部材との間には、該別体ストッパ部材の前記嵌着支持部からの抜け出しに対して抗力を発揮する係止機構が設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記係止機構が、前記アウタカバー部材に形成された係止孔と、前記別体ストッパ部材の外周面上に突設されて該係止孔に係止される弾性突起とによって構成されている請求項5に記載の流体封入式防振装置。
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