以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図13は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両用ドア内でのシリンダ錠およびドアロック装置の連結状態を示す側面図、図2は図1の2矢視図、図3は図1の3−3線断面図、図4は図1の4−4線断面図、図5はラッチ機構およびロック・アンロック切換機構の分解斜視図、図6はオープンレバーの組付け過程を順次示すようにしたオープンレバー近傍の斜視図、図7はロック・アンロック切換機構がアンロック状態にあるときにケーシングおよび延長ケースの一部を省略して図2と同一方向から見た図、図8はロック・アンロック切換機構がロック状態にあるときにケーシングおよび延長ケースの一部を省略して図2と同一方向から見た図、図9は図7の9矢視方向から見てロッキングレバーおよびオープンレバーの連結過程を順次示す斜視図、図10は図7の10−10線拡大断面図、図11は回動力伝達手段の分解斜視図、図12は被動側回動部材への伝動ロッドの連結過程を順次示すための斜視図、図13は回動力伝達手段が不要である場合の図1に対応した側面図である。
先ず図1において、たとえば乗用車両における右側のドアDには、シリンダ錠15と、シリンダ錠15のキー操作に応じて前記ドアDのロック状態およびアンロック状態を切換えるドアロック装置16Aとが設けられており、前記シリンダ錠15のキー操作に伴う回動力が回動ロッド17および回動力伝達手段18を介してドアロック装置16Aに伝達される。
ドアDの外面側にはハンドルケース19が取付けられており、アウトサイドハンドル(図示せず)が該ハンドルケース19に回動操作可能に支承され、シリンダ錠15が該ハンドルケース19に取付けられる。而してシリンダ錠15のシリンダボディ20内には、前記回動ロッド17の一端部が相対回動不能に連結されたロータ21が回動可能に挿入されており、該ロータ21に正規のキー22を挿入して回動することによって前記ロータ21および前記回動ロッド17が回動する。
而して正規のキー22で前記シリンダ錠15のロータ21を回動操作することによって前記回動ロッド17から回動力伝達手段18を介してドアロック装置16Aに回動力が入力されることにより、アンロック状態にあるドアロック装置16Aはロック状態へと切換えられ、この状態で前記アウトサイドハンドルを操作しても前記ドアDは閉鎖したままである。またドアロック装置16Aがロック状態にあるときに正規のキー22で前記シリンダ錠15のロータ21を回動操作することによって前記回動ロッド17から回動力伝達手段18を介してドアロック装置16Aに回動力が入力されると、ドアロック装置16Aはアンロック状態となり、そのアンロック状態で前記アウトサイドハンドルを操作することによって前記ドアDを開放することができる。
図2〜図4を併せて参照して、前記ドアロック装置16Aは、前記ドアDの開放を不能とするロック状態ならびに前記ドアDの開放を可能とするアンロック状態を切換え得るラッチ機構23と、該ラッチ機構23のロック状態およびアンロック状態を切換えるロック・アンロック切換機構24(図7および図8参照)とを備えるものであり、このドアロック装置16Aのケーシング25Aは、前記ラッチ機構23を収容する第1ケース26が前記ロック・アンロック切換機構24を収容する第2ケース27Aに取付けられて成る。
第1ケース26は、ラッチ機構23を収容せしめるようにして合成樹脂によって箱形に形成されるケース主体28と、該ケース主体28の開口部を塞ぐ金属製のカバープレート29と、該カバープレート29との間に前記ケース主体28を挟む金属製のバックプレート30とで構成される。
前記ケース主体28には、カバープレート29から離反する側に膨らんだ膨出部28aが一体に設けられており、車体側に固定されているストライカ33(図1参照)を進入させる進入溝34が前記膨出部28aにより形成され、カバープレート29には前記進入溝34に対応した開口部35が設けられる。而して前記進入溝34および前記開口部35の上方で前記ケース主体28に挿通されるリベット軸36が前記カバープレート29および前記バックプレート30間に設けられ、前記進入溝34および前記開口部35の下方で前記カバープレート29および前記ケース主体28に挿通されるねじ部材37が前記バックプレート30に螺合される。
カバープレート29および前記ケース主体28には3つの挿通孔38,38…が設けられ、前記バックプレート30には、前記各挿通孔38,38…に個別に対応したねじ孔(図示せず)が設けられる。而して前記各挿通孔38,38…にそれぞれ挿通されて前記ねじ孔に螺合するボルト39,39…によって、第1ケース26すなわちケーシング25Aが前記ドアDに締結されることになる。
図1に注目して、前記ラッチ機構23は、前記ストライカ33との係合によって閉扉方向に回動することを可能としたラッチ40と、該ラッチ40の回動位置を保持するようにしてラッチ40に係合し得るラチェット41とを備える。
ラッチ40は、第1ケース26のケース主体28内に挿入されており、ケース主体28を挟むカバープレート29およびバックプレート30間に設けられる前記リベット軸36で回動可能に支承される。また前記進入溝34の下方には、前記ケース主体28を挟むカバープレート29およびバックプレート30には前記リベット軸36と平行な軸線を有する回動軸42が軸線まわりに回動可能に支承されており、第1ケース26のケース主体28内に収容されるラチェット41は前記回動軸42に固定される。
さらに第1ケース26の前記バックプレート30からの前記回動軸42の突出端部には、ラチェットレバー43が固定されており、このラチェットレバー43は前記ラチェット41とともに回動する。すなわちラッチ40が進入溝34の上方でリベット軸36によって回動自在に支持されるのに対し、一体的に回動するラチェット41およびラチェットレバー43は、前記ラッチ40との間に進入溝34を挟むようにして該進入溝34の下方で前記回動軸42に固定される。
前記ラッチ40および前記ケース主体28間にはばね44が設けられており、このばね44が発揮するばね力よって、ラッチ40は開扉方向に回動付勢される。このラッチ40の外周部には、該ラッチ40が開扉方向の回動端に在るときに進入溝34に進入してきたストライカ33を係合させる係合溝45と、フル係合段部46と、ハーフ係合段部47とが設けられる。
一方、ラチェット41には、ラッチ40側に突出する係合腕部41aが、前記ラッチ40のフル係合段部46およびハーフ係合段部47に係合することを可能として一体に設けられる。またラチェット41およびバックプレート30間には、前記回動軸42を囲繞するねじりばね48が設けられ、このねじりばね48のばね力により、ラチェットレバー43と一体に回動するラチェット41が、前記ラッチ40に係合する方向(図1の反時計方向)に回動付勢される。
而してラッチ40が開扉方向の回動端に在るときには、ラチェット41の外周はラッチ40におけるハーフ係合段部47の外周に接触しており、進入溝34に進入してきたストライカ33で押されてラッチ40が閉扉方向(図1の反時計方向)に回動すると、係合溝45にストライカ33が係合されることになるとともに、ラチェット41の外周がハーフ係合段部47の外周からフル係合段部46の外周へと接触位置を変化させることになる。この際、ラチェット41の係合腕部41aがハーフ係合段部47に係合することによりドアDの半ドア状態が保持される。また係合溝45に係合したストライカ33が進入溝34内を内方側にさらに進むのに応じて前記ラッチ40がさらに閉扉方向に回動すると、フル係合段部46の外周に摺接していたラチェット41が、その係合腕部41aをフル係合段部46に係合させることになり、ドアDが完全な閉扉状態でロックされることになる。
前記ラチェットレバー43には、ドアDの内方側に延びる入力腕部43a(図1参照)が一体に設けられており、この入力腕部43aに、ロック解除作動力が入力されるのに応じて前記ラチェットレバー43およびラチェット41が図1の時計方向に回動するのに応じて、ドアDを完全な閉扉状態でロックしているラッチ機構23のロッ状態が解除され、ラッチ機構23はアンロック状態となる。
図5を併せて参照して、前記ロック・アンロック切換機構24を収容する第2ケース27Aは、合成樹脂から成る収容ケース49Aと、合成樹脂から成るカバー50とを相互に結合して構成される。而して前記収容ケース49Aは、第1ケース26を収容する収容凹部51aを形成して箱形に形成されるラッチ機構収容部51と、前記ロック・アンロック切換機構24を収容するようにして前記ラッチ機構収容部51から立ち上がるロック・アンロック切換機構収容部52とを一体に有して略L字状に形成され、前記カバー50は、収容ケース49Aの前記ロック・アンロック切換機構収容部52を覆うようにして収容ケース49Aに結合される。而して第1ケース26は、そのバックプレート30が第2ケース27Aの収容ケース49Aで覆われるようにして第2ケース27Aに取付けられる。
ところで、前記アウトサイドハンドルによるドア開放操作力に入力に応じて回動するようにして前記ラッチ機構23の下方に配置されるオープンレバー53が、ラッチ機構23におけるラッチ40、ラチェット41およびラチェットレバー43の回動軸線と平行な軸線を有して第2ケース27Aに基端部が固設される支軸54で回動可能に支承されており、この実施例では、第2ケース27Aにおける収容ケース49Aのラッチ機構収容部51に前記支軸54が一体に設けられる。またケーシング25Aの第2ケース27Aにおける収容ケース49Aと、前記オープンレバー53との間には戻しばね55が設けられ。
一方、第1ケース26におけるバックプレート30には、第1ケース26のケース主体28から側方(この実施例では下方)にはみ出す軸支持部56が一体に設けられており、前記支軸54の先端部を嵌合、支持する軸受孔57が前記軸支持部56に設けられる。また前記収容ケース49Aには、前記支軸54との間に環状溝58を形成して前記支軸54を同軸に囲繞する環状壁59が設けられる。
図6を併せて参照して、前記オープンレバー53は、前記支軸54の軸線に直交する平面にほぼ沿うように形成されるレバー主部53aと、前記アウトサイドハンドルからのドア開放操作力を伝達するケーブルを連結するようにして前記レバー主部53aの一端に設けられるケーブル連結部53bと、前記支軸54を挿入せしめるとともに前記環状溝58に回動可能に嵌入されるようにして前記レバー主部53aに直角にかつ一体に連設される円筒状の支持筒部53cと、前記ケーブル連結部53bとの間に前記支軸54を挟むようにして前記レバー主部53aの他端部に基端部が一体に連設される係止板部53dとを一体に有し、係止板部53dは、前記レバー主部53aがほぼ沿う平面に対して斜めに交差する他の平面に沿うようにして前記レバー主部53aから第2ケース27A内に延出される。
また第2ケース27Aにおける収容ケース49Aのラッチ機構収容部51には、オープンレバー53におけるレバー主部53aの一端側をドアDの外面側に突出させる開口部60が設けられており、ケーブル連結部53bは、ケーシング25Aの外側方に配置される。
ところで収容ケース49Aおよびオープンレバー53間に設けられる戻しばね55は、環状壁59を囲繞するコイル状に形成されており、前記オープンレバー53の係止板部53dが該戻しばね55の外側方に配置される。この戻しばね55の一端部は、前記開口部60の開口縁で収容ケース49Aに係止されており、該戻しばね55の他端部は、前記係止板部53dの中間部の一側縁に設けられる係止溝61に係止される。
而してオープンレバー53の組付け時には、先ず、図6(A)で示すように、環状壁59を囲繞するとともに一端部を収容ケース49Aに係止するようにして戻しばね55を収容ケース49A側に仮組付けした状態で、開口部60からケーブル連結部53bを外方に突出させるようにしたオープンレバー53の支持筒部53cに支軸54の先端部を挿入し、次いで図6(B)で示すように、戻しばね55の他端部をオープンレバー53における係止板部53dの側縁に係止するまでオープンレバー53を押し込み、さらに支持筒部53cが環状溝58に嵌合されるまでオープンレバー53を押し込むと、前記戻しばね55の他端部は、前記係止板部53dの側縁で案内された前記係止溝61に係止されることになる。
図3および図5に注目して、第1ケース26のバックプレート30に一体に設けられた軸支持部56には、支軸54と略平行な方向に延びる支持腕部56aが一体に連設されており、この支持腕部56aは、前記戻しばね55で付勢された前記オープンレバー53の前記ドア開放操作力の入力状態での回動限を定める位置に配置されるものであり、前記ドア開放操作力の入力状態で前記オープンレバー53におけるレバー主部53aの他端側に当接して該オープンレバー53の回動限を規制する。
また前記支持腕部56aの先端には、第2ケース27Aにおける収容ケース49Aのラッチ機構収容部51に設けられた係合孔62に弾発係合する係合爪63が一体に設けられる。而して第1ケース26のカバープレート29には、第2ケース27Aにおけるカバー50に設けられた一対の係合突部64,64を弾発係合せしめる一対の係合孔65,65が前記進入溝34の両側に位置するようにして設けられ、第2ケース27Aにおける収容ケース49Aのラッチ機構収容部51に挿通される1つのねじ部材66(図3参照)が第1ケース26におけるバックプレート30に螺合される。
すなわち第1ケース26は、前記係合爪63の係合孔62への弾発係合と、前記両係合突部64…の両係合孔65…への弾発係合と、1つのねじ部材66による締結とによって第2ケース27Aに取付けられる。
図7および図8において、前記ロック・アンロック切換機構24は、前記オープンレバー53の回動に応じて前記ラッチ機構23におけるラチェットレバー43の入力腕部43aにロック解除作動力を入力する状態と、前記オープンレバー53の回動にもかかわらず前記ラチェットレバー43の入力腕部43aへの前記ロック解除作動力の入力を不能とする状態とを切換えるものであり、前記収容ケース49Aに設けられた軸67で回動可能に支承される切換動力入力部材68と、該切換動力入力部材68に重合して前記軸67で回動可能に支承されるロッキングレバー69と、該ロッキングレバー69および前記オープンレバー53に連結されるオープンリンク70とを備え、ロッキングレバー69は前記切換動力入力部材68とともに回動するようにして切換動力入力部材68に係合される。
前記オープンリンク70は、前記オープンレバー53の回動に伴う直線的な作動を可能とするものであり、その直線的な作動方向に沿って延びる長孔71がオープンリンク70に設けられ、前記ロッキングレバー69の前記軸67の軸線からオフセットした位置には前記長孔71に挿通されるピン72が設けられるとともに、該ピン72との間にオープンリンク70を挟んでオープンリンク70のがたつきを抑えるための抑え突部73が突設される。
図9を併せて参照して、前記オープンリンク70の一端部は、前記オープンレバー53の回動に伴って該オープンリンク70が直線的に作動するようにしてオープンレバー53に回動可能に連結されるものであり、前記オープンリンク70の一端部に設けられるリンク側連結部74が、前記オープンレバー53に設けられたレバー側連結部75に係脱可能にかつオープンリンク70の回動を可能として係合される。
前記オープンレバー53における係止板部53dの先端には、略T字状に形成されるレバー側連結部75が一体に突設されており、前記リンク側連結部74は、レバー側連結部75を差し込んで係合し得るように凹んで前記オープンリンク70の一端部に形成される。
而してオープンリンク70の一端部をオープンレバー53に回動可能に連結するにあたっては、先ず図9(A)で示すように、オープンレバー53およびロッキングレバー69がケーシングに25の収容ケース49Aに支承せしめた後、図9(B)で示すように、ロッキングレバー69のピン72をオープンリンク70の長孔72に挿入するとともにロッキングレバー69の抑え突部73およびピン72間にオープンリンク70を挟み、さらに図9(C)で示すように、前記ピン72の軸線まわりにオープンリンク70を回動操作することで、オープンリンク70の一端部に設けられるリンク側連結部74が、オープンレバー53に設けられたレバー側連結部75に係脱可能に係合することになる。
しかもオープンレバー53のレバー側連結部75をオープンリンク70のリンク側連結部74に回動可能に係合することで、オープンリンク70は、オープンレバー53の回動に応じて直線的に作動することによって前記ラッチ機構23におけるラチェットレバー43の入力腕部43aに、ロック解除作動力を入力することを可能としたロック解除可能姿勢(図7で示す姿勢)と、前記オープンレバー53の回動に応じて直線的に作動しても前記ラッチ機構23におけるラチェットレバー43の入力腕部43aにロック解除作動力を入力することを不能としたロック解除不能姿勢(図8で示す姿勢)との間で回動可能であり、前記ロッキングレバー69が回動して前記ピン72が前記軸67の軸線まわりに回動することで、オープンリンク70の姿勢が、前記ロック解除可能姿勢および前記ロック解除不能姿勢間で変化することになる。
すなわちオープンリンク70には、ロック解除可能姿勢にあるときに前記ラチェットレバー43の入力腕部43aにオープンリンク70の直線的な作動方向で対向する押圧部76が設けられており、この押圧部76は、オープンリンク70がロック解除不能姿勢となったときには、オープンリンク70が直線的に作動しても前記入力腕部43aの一側にずれた位置を通過するだけでロック解除作動力を入力腕部43aに入力し得ない位置となる。
前記ケーシング25Aの第2ケース27A内には、第2ケース27Aの収容ケース49Aに固定されるようにして正逆回転可能な電動モータ77が収納されており、この電動モータ77および前記切換動力入力部材68間には、電動モータ77の主力軸に設けられるウォームギヤ78と、前記切換動力入力部材68の回動軸線と平行な軸線まわりに回動可能として前記ウォームギヤ78に噛合するウォームホイル79とを含む動力伝達手段80が設けられており、この動力伝達手段80は、前記電動モータ77から前記切換動力入力部材68への動力伝達は可能であるものの、切換動力入力部材68から電動モータ77側には動力が伝達されないように構成される。
而して前記電動モータ77は、スマートキーシステムで用いられるものであり、スマートキーを用いることで、前記オープンリンク70の前記ロック解除可能姿勢および前記ロック解除不能姿勢を電動モータ77の作動によって自動的に切換えることができる。
また前記切換動力入力部材68の下部には、前記軸67と平行な軸線を有して該軸67の下方に配置される軸81を介して前記収容ケース49Aに回動可能に支承されるノブレバー82の一端が連結されており、このノブレバー82の他端には、車室側でドアDの内面側に設けられるロック操作ノブ(図示せず)の操作力を伝達するプッシュプルケーブル83が連結される。而して前記ロック操作ノブの操作によってノブレバー82を介して切換動動力入力部材68およびロッキングレバー69が回動し、これによってもオープンリンク70の姿勢が、前記ロック解除可能姿勢および前記ロック解除不能姿勢間で変化することになる。
前記オープンレバー53の近傍で第2ケース27Aにおけるカバー50には、オープンレバー53の回動軸線と直交する軸線を有する軸87を介して入力レバー84が回動可能に支承されており、この入力レバー84には、前記オープンリンク70の一端部に当接して該オープンリンク70を押圧可能な押圧部84aが設けられる。しかも入力レバー84には、車室側でドアDの内面側に設けられるインサイドハンドル(図示せず)の操作力を伝達するプッシュプルケーブル85が連結される。而して前記インサイドハンドルの操作によって、押圧部84aでオープンリンク70を押圧するように入力レバー84が回動することになり、前記カバー50および前記入力レバー84間にはオープンリンク70を押圧する力を解放する側に前記入力レバー84を付勢するねじりばね86が設けられる。
また前記切換動力入力部材68の上部には、前記軸67と平行な軸線を有して該軸67の上方に配置される軸88を介して前記収容ケース49Aに回動可能に支承されるロッキングコントロールレバー89の一端が連結されており、該ロッキングコントロールレバー89の他端には、入力回動部材であるシリンダレバー90から回動動力が入力される。
図10を併せて参照して、前記シリンダレバー90は、ケーシング25Aにおける第2ケース27Aの収容ケース49Aに設けられた支持突部91で回動可能に支持されるとともに前記支持突部91に対応して第2ケース27Aのカバー50に設けられた支持孔92に回動可能に嵌合されるようにして第2ケース27Aに支持される回動基部90aと、該回動基部90aの周方向に間隔をあけた2個所に突設されて前記ロッキングコントロールレバー89の他端を両側から挟む一対の押圧腕部90b,90cと、第2ケース27Aのカバー50から突出するようにして前記回動基部90aの中央部に同軸に連なる連結軸部90dとを一体に有し、連結軸部90dは、その横断面形状が非円形、たとえば四角形状となるように形成される。
而してシリンダレバー90が、回動することによって前記両押圧腕部90b,90cの一方でロッキングコントロールレバー89の他端が押されることによって該ロッキングコントロールレバー89が回動するものであり、ロッキングコントロールレバー89が回動することによって切換動動力入力部材68およびロッキングレバー69が回動し、これによってもオープンリンク70の姿勢が、前記ロック解除可能姿勢および前記ロック解除不能姿勢間で変化することになる。
図7および図8に注目して、前記ケーシング25Aにおける第2ケース27Aの収容ケース49Aには、前記ロッキングコントロールレバー89の回動に応じてスイッチング態様を切換える位置検出スイッチ93、ならびに前記シリンダレバー90の回動位置を検出するスイッチ(図示せず)を含むスイッチ集合ユニット95が、前記電動モータ77の近傍に位置するようにして固定されており、このスイッチ集合ユニット95には、前記位置検出スイッチ93等および前記電動モータ77に連なるコネクタ96が一体に設けられており、前記ケーシング25Aにおける第2ケース27Aのカバー50には、前記コネクタ96を臨ませる円形のコネクタ接続孔97(図2参照)が設けられる。
図11を併せて参照して、前記回動力伝達手段18は、前記シリンダレバー90の連結軸部90dに相対回動不能として同軸にかつ着脱可能に連結される被動側回動部材100と、該被動側回動部材100の回動軸線と平行な軸線を有して前記被動側回動部材100から離隔した位置に配置されるとともに前記回動ロッド17の他端部に相対回動不能として同軸にかつ着脱可能に連結される駆動側回動部材101と、該駆動側回動部材101から前記被動側回動部材100に回動力を伝達するようにして駆動側および被動側回動部材101,100間に設けられる伝動部材としての伝動ロッド102とが、前記被動側回動部材100および前記駆動側回動部材101を回動可能に支承する延長ケース103に収容されて成る。
前記延長ケース103は、第1および第2ケース半体104,105が相互に結合されて成るものであり、前記ケーシング25Aの第2ケース27Aに、第2ケース27Aから上方に延出するようにして着脱可能に取付けられる。
ところで第2ケース半体105の全体が偏平に形成されるのに対して、第1ケース半体104は、その下部に偏平部104aを有するように形成される。一方、延長ケース103の下部を嵌合する凹部106が第2ケース27Aにおけるカバー50の上部に形成されており、延長ケース103の下部は、第1ケース半体104の偏平部104aをカバー50に重ねるようにして前記凹部106に嵌合され、たとえば一対のねじ部材107,107によって第2ケース27Aに取付けられる。而して延長ケース103の第2ケース27Aへの取付け状態では、第2ケース27Aの両面に前記延長ケース103の両面が略面一に連なることになる。
第1ケース半体104の偏平部104aには、第2ケース27Aのカバー50に設けられた支持孔92に対応した支持孔108が設けられており、被動側回動部材100はその支持孔108に嵌合支持される。しかも被動側回動部材100には、前記シリンダレバー90の連結軸部90dを相対回動不能に嵌合せしめる連結凹部109が設けられる。
第2ケース半体105の上部内面には支持突部110が一体に突設されており、この支持突部110の突出端には平坦な支持面111が形成され、その支持面111の中央部には半円状の支持凹部112が設けられる。また第1ケース半体104の上部には、前記支持面111に直交する軸線を有するガイド筒113が両端を開放するようにして一体に設けられ、このガイド筒113の内端側には、前記支持面113に一端を摺接せしめた前記駆動側回動部材101の他端側を回動可能に嵌合せしめる嵌合支持孔114と、前記駆動側回動部材101の他端を摺接させるようにして嵌合支持孔114の外端に連なる段部115とが設けられ、駆動側回動部材101の一端には前記支持凹部112に嵌合する半円状の突部116が突設される。
而して前記駆動側回動部材101は、延長ケース103の上部で回動可能に支承されることになり、駆動側回動部材101には、前記ガイド筒113内で外方に開放した連結凹部117が非円形の横断面形状を有するようにして設けられ、前記シリンダ錠15のキー操作に伴う回動力を伝達する回動ロッド17の他端部が前記連結凹部117に相対回動不能に嵌合される。
前記被動側回動部材100および前記駆動側回動部材101にはそれぞれ連結腕部100a,101aが設けられ、伝動ロッド102の両端部が、前記駆動側回動部材101の連結腕部101aおよび前記被動側回動部材100の連結腕部100aに係合される。
駆動側回動部材101の連結腕部101aおよび被動側回動部材100の連結腕部100aの一方、この実施例では駆動側回動部材101の連結腕部101aに第1係合孔120が設けられ、駆動側回動部材101の連結腕部101aおよび被動側回動部材100の連結腕部100aの他方、この実施例では被動側回動部材100の連結腕部100aに、第1係合孔120と平行な軸線を有する第2係合孔121と、第2係合孔121の中間部を直角に横切る挿入孔122とが設けられる。
図12を併せて参照して、伝動ロッド102の一端部には、第1係合孔120に係脱可能に係合される棒状の第1係合部102aが一体にかつ直角に連なって設けられ、伝動ロッド102の他端部には第2係合孔121に係脱可能に係合する第2係合部102bが一体に設けられる。
第2係合部102bは、第1係合部102aの伝動ロッド102の他端側の一部を潰すようにして伝動ロッド102の一直径線に沿うように形成されるものであり、伝動ロッド102の軸線に沿う方向から見た時に第2係合部102bの両端が伝動ロッド102の外周から側方に突出する。しかも第2係合部102bは、図12(A)で示すように、伝動ロッド102が第1および第2係合孔120,121の軸線と直角な平面に第1係合部102aを配置した第1の姿勢にあるときには前記挿入孔122に挿入可能であり、図12(B)で示すように、前記挿入孔122に第2係合部102bが挿入された状態の前記伝動ロッド102を、図12(C)で示すように、第1の姿勢から90度回動した第2の姿勢としたときには第2係合孔121に係合するように形成される。
次にこの実施例の作用について説明すると、ドアロック装置16Aのケーシング25Aは、ラッチ機構23を挿入させるようにして合成樹脂によって箱形に形成されるケース主体28が金属製のカバープレート29およびバックプレート30で挟まれて成る第1ケース26が、ドア開放操作力の入力に応じて回動するオープンレバー53の回動に応じてロック解除作動力をラッチ機構23に入力する状態ならびにオープンレバー53の回動にもかかわらずロック解除作動力のラッチ機構23への入力を不能とする状態を切換えるロック・アンロック切換機構24を収容する合成樹脂製の第2ケース27Aに、バックプレート30を第2ケース27Aで覆うようにして取付けられて成り、オープンレバー53を回動可能に支承する支軸54の基端部が第2ケース27Aの収容ケース49Aに固設され、前記ケース主体28から側方にはみ出すようにしてバックプレート30に一体に設けられる軸支持部56に、支軸54の先端部を嵌合、支持する軸受孔57が設けられている。
したがって第2ケース27Aの収容ケース49Aに基端部が固設される合成樹脂製の支軸54の先端部を、金属製の軸支持部部56の軸受孔57に嵌合、支持するようにして支軸54の支持強度を高めることができる。
また支軸54とほぼ平行な方向に延びるようにして軸支持部56に一体に連設される支持腕部56aの先端に、第2ケース27Aの収容ケース49Aに弾発係合する係合爪63が設けられるので、支軸54の周辺で第1ケース26のバックプレート30と第2ケース27Aとが連結されることになり、支軸54の支持強度をより高めることができ、操作力がオープンレバー53に入力されることによる支軸54の変形を防止して、支軸54のがたつきや軸抜けを防止することができる。
また支持腕部56aが、ドア開放操作力の入力状態でのオープンレバー53の回動限を定めるようにして該オープンレバー53に当接する位置に配置されるので、操作力の入力状態でのオープンレバー53の回動限を支持腕部56aで規制するようにして、オープンレバー53の回動限を規制するための専用の規制部を設けることを不要とすることができる。
ところで、前記ロック・アンロック切換機構24は、オープンレバー53の回動に応じた直線的な作動を可能として一端部がオープンレバー53に連結されるオープンリンク70と、該オープンリンク70を非作動位置とする側にオープンレバー53を付勢する戻しばね55とを備えるのであるが、ケーシング25Aの第2ケース27Aにおける収容ケース49Aには、前記支軸54と、該支軸54との間に環状溝58を形成して支軸54を同軸に囲繞する環状壁59とが設けられ、支軸54を挿入せしめる円筒状の支持筒部53cが、前記環状溝58に回動可能に嵌入されるようにしてオープンレバー53に設けられ、前記収容ケース49Aおよびオープンレバー53間に設けられる戻しばね55が、環状壁59を囲繞するコイル状に形成されるので、一端部を収容ケース49Aに係止させて環状壁49を囲繞するようにコイル状の戻しばね55を配置した状態で、支軸54および環状壁59間の環状溝58に支持筒部53cを嵌入せしめるとともに支軸54を支持筒部53cに挿入せしめるようにして、オープンレバー54を収容ケース49Aに組付けた後、戻しばね55の他端部をオープンレバー53に係止する作業を行うことで、オープンレバー53および戻しばね55の組付けを行うことができ、戻しばね55の組付け作業を容易とすることができる。
またオープンレバー53が、支軸54の軸線に直交する平面にほぼ沿うように形成されるレバー主部53aと、該レバー主部53aに基端部が連設される支持筒部53cと、前記平面と交差する他の平面に沿うようにしてレバー主部53aに連なるとともに戻しばね55の外側方に配置される係止板部53dとを一体に備え、戻しばね55の他端部を係止する係止溝61が、係止板部53dの中間部の一側縁に設けられるので、支持筒部53cに支軸54を挿入せしめるようにしてオープンレバー53を収容ケース49Aに組付ける際に、戻しばね55の他端部を係止板部53dの前記一側縁に当接させておくと、オープンレバー53の収容ケース49Aへの組付けによって前記戻しばね55の他端部が係止溝61に自動的に係止されることになり、戻しばね55の組付け作業がより容易となる。
またオープンリンク70は、オープンレバー53の回動に伴う直線的な作動を可能としつつその直線的な作動方向に沿って延びる長孔71が設けられるとともに前記直線的な作動による前記ロック解除作動力のラッチ機構23への入力を可能としたロック解除可能姿勢ならびに前記直線的な作動によっても前記ロック解除作動力の前記ラッチ機構23への入力を不能としたロック解除不能姿勢間で回動することを可能として前記オープンレバー53に一端部が回動可能に連結されるものであり、ケーシング25Aの第2ケース27Aにおける収容ケース49Aには、ロッキングレバー69が回動可能に支承されており、このロッキングレバー69に、前記長孔71に挿通されるピン72が設けられている。而してロッキングレバー69が回動するのに応じてオープンリンク70の姿勢が前記ロック解除可能姿勢および前記ロック解除不能姿勢間で切換えられることになる。
しかるにオープンリンク70の一端部に設けられるリンク側連結部74と、オープンレバー53に設けられたレバー側連結部75とが、ピン72を中心とする前記オープンリンク70の回動に応じて前記リンク側連結部74を前記レバー側連結部75に係脱可能に係合せしめるとともにその係合状態で前記オープンリンク70が前記ロック解除可能姿勢および前記ロック解除不能姿勢間で回動することを可能とするように形成されるので、オープンレバー53およびロッキングレバー69がケーシング25Aの第2ケース27Aに支承された状態で、ロッキングレバー69に設けられたピン72をオープンリンク70の長孔71に挿入し、ピン72の軸線まわりにオープンリンク70を回動操作することで、オープンリンク70の一端部に設けられるリンク側連結部74が、オープンレバー53に設けられたレバー側連結部75に係脱可能に係合し、その係合状態で、オープンリンク70がロック解除可能姿勢およびロック解除不能姿勢を切換えるように回動し得るので、オープンリンク70の一端部をオープンレバー53に連結する作業が非常に容易となる。
またドアDの外面側に取付けられるシリンダ錠15のキー操作に応じて回動するロータ21の回動力は、ドアロック装置16Aのシリンダレバー90に、一端部が前記ロータ21に相対回動不能に連結される回動ロッド17と、回動力伝達手段18とを介して伝達され、回動力伝達手段18は、ドアロック装置16Aのロック・アンロック切換機構24が備えるシリンダレバー90に相対回動不能として同軸にかつ着脱可能に連結される被動側回動部材100と、該被動側回動部材100の回動軸線と平行な軸線を有して被動側回動部材100から離隔した上方位置に配置されるとともに回動ロッド17の他端部に相対回動不能として同軸にかつ着脱可能に連結される駆動側回動部材101と、該駆動側回動部材101から被動側回動部材100に回動力を伝達するようにして駆動側および被動側回動部材101,100間に設けられる伝動ロッド102とが、前記被動側回動部材100および駆動側回動部材101を回動可能に支承する延長ケース103に収容されて成り、その延長ケース103がドアロック装置16Aのケーシング25Aに、該ケーシング25Aから延出するようにして着脱可能に取付けられている。
したがってシリンダ錠15と、ドアロック装置16Aのロック・アンロック切換機構24の相対位置に対応した回動力伝達手段18を準備することで、シリンダ錠15からの回動力を回動ロッド17を介してロック・アンロック切換機構24のシリンダレバー90に伝達することが可能であり、シリンダ錠15に対するドアロック装置16Aにおけるロック・アンロック切換機構24のレイアウト上の自由度を高めることができる。
しかも回動力伝達手段18の延長ケース103はドアロック装置16Aのケーシング25Aに着脱可能に取付けられるものであり、シリンダ錠15およびロック・アンロック切換機構24の相対位置変化には回動力伝達手段18で対応することが可能であり、ロック・アンロック切換機構24は同一のものであればよく、ロック・アンロック切換機構24の大型化を回避することができる。
ここで図13で示すように、シリンダ錠15にほぼ対応してドアロック装置16BがドアDに取付けられる場合には、ドアロック装置16Bのケーシング25Bの第2ケース27Bをカバー50とともに構成する収容ケース49Bのうちロック・アンロック切換機構収容部52Bに、該ロック・アンロック切換機構収容部52Bに収容されているシリンダレバー90(図7および図8参照)に対応してガイド筒125が設けられればよく、該ガイド筒125内で伝動ロッド17をシリンダレバー90に相対回動不能に連結すればよい。
また前記駆動側回動部材101および前記被動側回動部材100には連結腕部101a,100aがそれぞれ設けられ、伝動ロッド102の両端部が、両連結腕部101a,100aに係合されるので、回動力伝達手段18の構成を単純化することができ、シリンダ錠15およびロック・アンロック切換機構24の相対位置変化には伝動ロッド102の長さ変化で容易に対応することができる。
さらに駆動側および被動側回動部材101,100の一方(この実施例では駆動側回動部材101)の連結腕部101aに第1係合孔120が設けられ、駆動側および被動側部材101,100の他方(この実施例では被動側回動部材100)の連結腕部100aに、第1係合孔120と平行な軸線を有する第2係合孔121と、第2係合孔121の中間部を直角に横切る挿入孔122とが設けられ、第1係合孔120に係脱可能に係合される棒状の第1係合部102aが伝動ロッド102の一端部に一体にかつ直角に連なって設けられ、伝動ロッド102の他端部には第2係合孔121に係脱可能に係合する第2係合部102bが一体に設けられ、第2係合部102bは、伝動ロッド102が第1および第2係合孔120,121の軸線と直角な平面に第1係合部102aを配置した第1の姿勢にあるときには挿入孔122に挿入可能であるとともに挿入孔122に第2係合部102bが挿入された状態の伝動ロッド102を第1の姿勢から90度回動した第2の姿勢としたときには第2係合孔121に係合するように形成されている。
したがって伝動ロッド102を第1の姿勢とした状態で第2係合部102bを挿入孔122に挿入した後、伝動ロッド102を第2の姿勢とすることで伝動ロッド102の第2係合部102bを被動側回動部材100の連結腕部100aに係合することができる。しかも駆動側および被動側回動部材101,100間を伝動ロッド102で連結した状態では、伝動ロッド102の一端部の第1係合部102aが第1係合孔120から離脱することは第2係合部102bが挿入孔122に挿入されていることによって阻止され、伝動ロッド102の他端部の第2係合部102bが第2係合孔121から離脱すべく伝動ロッド102の姿勢が第2の姿勢から第1の姿勢に変化することは、第1係合部102aが第1係合孔120に挿入、係合されていることによって阻止されるので、伝動ロッド102が駆動側および被動側回動部材101,100から離脱するのを阻止するための特別の部品が不要であり、部品点数の増大を回避しつつ伝動ロッド102による駆動側および被動側回動部材101,100の連結状態を確実に維持することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。