JP2010070671A - 塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び該製造方法により製造された塗膜付き空洞含有樹脂成形体 - Google Patents

塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び該製造方法により製造された塗膜付き空洞含有樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱加工時のオリゴマー又は溶融粘性改良のための微量添加剤の析出による輝点欠点を抑制することができると共に、接着性を向上することができる塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び該製造方法により製造された塗膜付き空洞含有樹脂成形体を提供する。
【解決手段】結晶性を有するポリマーを含むポリマー成形体を少なくとも1軸方向に延伸して空洞含有樹脂成形体を作製する延伸工程と、前記作製された空洞含有樹脂成形体の少なくとも片面に、高分子樹脂及び架橋剤を含む塗液を塗布する塗布工程と、前記塗布された塗液を乾燥して塗膜を形成する乾燥工程とを含むことを塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び該製造方法により製造された塗膜付き空洞含有樹脂成形体に関する。
空洞含有樹脂成形体(空洞含有樹脂フィルム)は、光反射率において非常に優れた性質を有している。また、空洞含有樹脂フィルムは、主成分がポリエステル、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂からなり、他種の樹脂、無機材料、金属等を含有させないため、異物の脱落がないと共に、リサイクルや廃棄時に環境汚染の問題がなく、その処理が容易となる。よって、これらの優れた特徴を生かし、パーソナルコンピューター及び壁掛けテレビなどにおける液晶表示装置のバックライトユニット用光反射板、投影用スクリーン、照明用反射板などの極めて広い分野に空洞含有樹脂フィルムを使用することができる。
また、空洞含有樹脂フィルムは、断熱性にもすぐれていることから、感熱転写記録用受像紙、ゼログラフィ−用受像紙などに使用したり、遮熱版、保温材に使用することもできる。延伸方向における反射率と、延伸方向に対し直角方向における反射率とが異なるため、間接照明等の照明用部材としても有用である。
さらに、空洞含有樹脂フィルムは、金属光沢を有するフィルムであるため、アルミ蒸着板などの金属光沢を必要とする用途の代替として使用できるし、美観、風合いの良さを生かして、リサイクルの容易な装飾包装用フィルム、食品包装用フィルムとしても使用できる。
しかしながら、空洞含有樹脂フィルムは、例えば、光反射材料として用いる場合、加熱加工時のオリゴマー又は溶融粘性改良のための微量添加剤の析出により、輝点欠点が見えてくるという問題があった。また、空洞含有樹脂フィルムは、感熱転写記録用受像紙、ゼログラフィ−用受像紙、遮熱版、保温材、装飾包装用フィルム、食品包装用フィルムなどの用途に用いる場合、他のフィルムを積層したり、接着剤を使用することがあるが、析出するオリゴマーによって、他のフィルムとの接着性が損なわれてしまうという問題があった。
また、ポリエステルフィルムに塗液を塗布し、乾燥、延伸して塗膜を設けることにより、オリゴマーの表面析出による輝点欠点を抑制することが開示されているが(特許文献1〜2)、該塗膜を設けたポリエステルフィルムは、他のフィルムに対する接着性は優れるものの、溶剤などで剥がれにくくなるため、リサイクル性が低いという問題があった。
特開2004−256625号公報 特開2007−253511号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、加熱加工時のオリゴマー又は溶融粘性改良のための微量添加剤の析出による輝点欠点を抑制することができると共に、接着性を向上することができる塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び該製造方法により製造された塗膜付き空洞含有樹脂成形体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 結晶性を有するポリマーを含むポリマー成形体を少なくとも1軸方向に延伸して空洞含有樹脂成形体を作製する延伸工程と、前記作製された空洞含有樹脂成形体の少なくとも片面に、高分子樹脂及び架橋剤を含む塗液を塗布する塗布工程と、前記塗布された塗液を乾燥して塗膜を形成する乾燥工程とを含み、前記空洞含有樹脂成形体は、結晶性を有するポリマーからなり、長尺状の空洞をその長さ方向が一方向に配向した状態で内部に含有する空洞含有樹脂成形体であって、前記空洞含有樹脂成形体における、前記空洞の配向方向に直交する断面において、前記空洞の中心から前記空洞含有樹脂成形体の表面までの距離が最も短い10個の前記空洞について、各中心から前記空洞含有樹脂フィルムの表面までの距離h(i)を算出し、算出された各前記距離h(i)の算術平均値h(avg)が、次式、h(avg)>T/100、の関係を満たし、[但し、Tは、前記断面における厚みの算術平均値を表し、10個の前記空洞は、前記厚み方向に平行な任意の一の直線と、前記一の直線に対し平行でかつ20×Tだけ離れて位置する他の直線とで挟まれた領域内に存在する空洞の中から選択される。]かつ、前記空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)として、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比が10以上であることを特徴とする塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<2> 延伸工程において、ポリマー成形体を、10〜36,000mm/minの速度で、かつ、延伸温度をT(℃)、結晶性を有するポリマーのガラス転移温度Tg(℃)としたときに、(Tg−30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸する前記<1>に記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<3> 高分子樹脂が、アクリル樹脂、水系ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂の少なくともいずれかを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<4> 架橋剤が、水溶性メラミン架橋剤及びカルボジイミド架橋剤のいずれかを含む前記<1>から<3>のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<5> 高分子樹脂と架橋剤との質量比(高分子樹脂/架橋剤)が、50/1〜50/30である前記<1>から<4>のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<6> 塗膜は、総厚みが20nm以上2,000nm以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<7> 塗膜は、コロナ処理、プラズマ処理、グロ−放電処理、及び紫外線処理のうち少なくとも1つの処理が施された空洞含有樹脂成形体上に設けられる前記<1>から<6>のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法により製造されたことを特徴とする塗膜付き空洞含有樹脂成形体である。
本発明によると、従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、加熱加工時のオリゴマー又は溶融粘性改良のための微量添加剤の析出による輝点欠点を抑制することができると共に、接着性を向上することができる塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法、及び該製造方法により製造された塗膜付き空洞含有樹脂成形体を提供することができる。
(塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法)
本発明の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法は、延伸工程と、塗布工程と、乾燥工程とを少なくとも含み、必要に応じてその他の工程を含んでなる。
<延伸工程>
前記延伸工程は、結晶性を有するポリマーを含むポリマー成形体を少なくとも1軸方向に延伸して空洞含有樹脂成形体を作製する工程である。
前記延伸工程では、結晶性を有するポリマーを含むポリマー成形体が少なくとも1軸に延伸される。前記延伸工程により、ポリマー成形体が延伸されるとともに、その内部に第一の延伸方向に沿って配向した空洞が形成されることで、空洞含有樹脂成形体が得られる。
−結晶性を有するポリマー−
一般に、ポリマーは、結晶性を有するポリマーと非晶性(アモルファス)ポリマーとに分けられるが、結晶性を有するポリマーといえども100%結晶ということはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶(アモルファス)領域とを含んでいる。
したがって、本発明の空洞含有樹脂成形体における前記結晶性を有するポリマーとしては、分子構造の中に少なくとも前記結晶性領域を含んでいればよく、結晶性領域と非結晶領域とが混在していてもよい。
前記結晶性を有するポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高密度ポリエチレン、ポリオレフィン類(例えば、ポリプロピレンなど)、ポリアミド類(PA)(例えば、ナイロン−6など)、ポリアセタール類(POM)、ポリエステル類(例えば、PET、PEN、PTT、PBT、PBNなど)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイド類(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン類(PEEK)、液晶ポリマー類(LCP)、フッ素樹脂、などが挙げられる。その中でも、力学強度や製造の観点から、ポリエステル類、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、液晶ポリマー類(LCP)が好ましく、ポリエステル類がより好ましい。また、これらのうちの2種以上のポリマーをブレンドしたり、共重合させたりして使用してもよい。
前記結晶性を有するポリマーの溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜700Pa・sが好ましく、70〜500Pa・sがより好ましく、80〜300Pa・sが更に好ましい。前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、溶融製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の形状が安定し、均一に製膜しやすくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、溶融製膜時の粘度が適切になって押出ししやすくなったり、製膜時の溶融膜がレベリングされて凹凸を低減できたりする点で好ましい。
ここで、前記溶融粘度は、プレートタイプのレオメーターやキャピラリーレオメーターにより測定することができる。
前記結晶性を有するポリマーの極限粘度(IV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4〜1.2が好ましく、0.6〜1.0がより好ましく、0.7〜0.9が更に好ましい。前記IVが0.4〜1.2であると、製膜されたフィルムの強度が高くなり、効率よく延伸することができる点で好ましい。
ここで、前記IVは、ウベローデ型粘度計により測定することができる。
前記結晶性を有するポリマーの融点(Tm)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜350℃が好ましく、100〜300℃がより好ましく、150〜260℃が更に好ましい。前記融点が40〜350℃であると、通常の使用で予想される温度範囲で形を保ちやすくなる点で好ましく、高温での加工に必要とされる特殊な技術を特に用いなくても、均一な製膜ができる点で好ましい。
ここで、前記融点は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
−−ポリエステル樹脂−−
前記ポリエステル類(以下、「ポリエステル樹脂」と称する。)は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物の総称を意味する。したがって、前記結晶性を有するポリマーとして好適な前記ポリエステル樹脂としては、前記例示したPET(ポリエチレンテレフタエレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)だけでなく、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得られる高分子化合物が全て含まれる。
前記ジカルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、多官能酸などが挙げられ、中でも、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられ、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。前記脂環族ジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。前記オキシカルボン酸としては、例えば、p−オキシ安息香酸などが挙げられる。前記多官能酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
前記ジオール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、芳香族ジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコールなどが挙げられ、中でも、脂肪族ジオールが好ましい。
前記脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられ、中でも、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールが特に好ましい。前記脂環族ジオールとしては、例えば、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜700Pa・sが好ましく、70〜500Pa・sがより好ましく、80〜300Pa・sが更に好ましい。前記溶融粘度が大きいほうが延伸時にボイドを発現しやすいが、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。また、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、破断しづらくなる点で好ましい。また、前記溶融粘度が50〜700Pa・sであると、製膜時にダイヘッドから吐出される溶融膜の形態が維持しやすくなって、安定的に成形できたり、製品が破損しにくくなったりするなど、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリエステル樹脂の極限粘度(IV)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.4〜1.2が好ましく、0.6〜1.0がより好ましく、0.7〜0.9が更に好ましい。前記IVが大きいほうが延伸時にボイドを発現しやすいが、前記IVが0.4〜1.2であると、製膜時に押出しがしやすくなったり、樹脂の流れが安定して滞留が発生しづらくなり、品質が安定したりする点で好ましい。更に、前記IVが0.4〜1.2であると、延伸時に延伸張力が適切に保たれるために、均一に延伸しやすくなり、装置に負荷がかかりにくい点で好ましい。加えて、前記IVが0.4〜1.2であると、製品が破損しにくくなって、物性が高まる点で好ましい。
前記ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐熱性や製膜性などの観点から、150〜300℃が好ましく、180〜270℃がより好ましい。
なお、前記ポリエステル樹脂として、前記ジカルボン酸成分と前記ジオール成分とが、それぞれ1種で重合してポリマーを形成していてもよく、前記ジカルボン酸成分及び/又は前記ジオール成分が、2種以上で共重合してポリマーを形成していてもよい。また、前記ポリエステル樹脂として、2種以上のポリマーをブレンドして使用してもよい。
前記2種以上でのポリマーのブレンドにおいて、主たるポリマーに対して添加されるポリマーは、前記主たるポリマーに対して、溶融粘度及び極限粘度が近く、添加量が少量であるほうが、製膜時や溶融押出し時に物性が高まり、押出ししやすくなる点で好ましい。
また、前記ポリエステル樹脂の流動特性の改良、光線透過性の制御、塗布液との密着性の向上などを目的として、前記ポリエステル樹脂に対してポリエステル系以外の樹脂を添加しても良い。
このように、本発明の空洞含有樹脂成形体は、無機系微粒子、相溶しない樹脂などの空洞形成剤を特に添加しなくても、簡便な工程でボイドを形成させることができる。更に、不活性ガスを予め樹脂の中に溶け込ませるための特殊な設備も必要としない。なお、空洞含有樹脂成形体の製造方法については、後記する。
ここで、空洞含有樹脂成形体は、空洞の発現に寄与しない成分であれば、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、有機の易滑剤、核剤、染料、顔料、分散剤、カップリング剤などが挙げられる。前記その他の成分が空洞の発現に寄与したかどうかは、空洞内又は空洞の界面部分に、結晶性を有するポリマー以外の成分(例えば、後記する各成分など)が検出されるかどうかで判別できる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知のヒンダードフェノール類を添加してもよい。前記ヒンダードフェノール類としては、例えば、イルガノックス1010、同スミライザーBHT、同スミライザーGA−80などの商品名で市販されている酸化防止剤が挙げられる。
また、前記酸化防止剤を一次酸化防止剤として利用し、更に二次酸化防止剤を組み合わせて適用することもできる。前記二次酸化防止剤としては、例えば、スミライザーTPL−R、同スミライザーTPM、同スミライザーTP−Dなどの商品名で市販されている酸化防止剤が挙げられる。
−延伸による空洞形成−
延伸により空洞が形成される理由としては、前記ポリマー成形体を構成する少なくとも1種類の結晶性を有するポリマーが、微小な結晶領域又は分子のあるレベルでの規則性を持った微小な領域を形成することによって、延伸時に伸張し難い結晶又は微細構造領域を含む相間の樹脂が引きちぎられるような形で、剥離延伸されることにより、これが空洞形成源となって、空洞が形成されるものと考えられる。
なお、このような延伸による空洞形成は、結晶性を有するポリマーが1種類の場合だけではなく、2種類以上の結晶性を有するポリマーが、ブレンド又は共重合されている場合であっても可能である。
−延伸の方法−
前記延伸の方法としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、例えば、1軸延伸、逐次2軸延伸、同時2軸延伸が挙げられるが、いずれの延伸方法においても、製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸が行われることが好ましい。
一般に、縦延伸においては、ロールの組合せやロール間の速度差により、縦延伸の段数や延伸速度を調節することができる。
前記縦延伸の段数としては、1段以上であれば特に制限はないが、より安定して高速に延伸することができる点及び製造の歩留まりや機械の制約の点から、2段以上に縦延伸することが好ましい。また、2段以上に縦延伸することは、1段目の延伸によりネッキングの発生を確認したうえで、2段目の延伸により空洞を形成させることができる点においても、有利である。
なお、2段目以降の延伸における延伸条件(例えば、延伸速度、延伸温度など)は、1段目の延伸条件と同じでもよく、異なっていてもよい。
−−延伸速度−−
前記縦延伸の延伸速度としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mm/min〜36,000mm/minが好ましく、800mm/min〜24,000mm/minがより好ましく、1,200mm/min〜12,000mm/minが特に好ましい。前記延伸速度が、10mm/min以上であると、充分なネッキングを発現させやすい点で好ましい。また、前記延伸速度が、36,000mm/min以下であると、均一な延伸がしやすくなり、樹脂が破断しづらくなり、高速延伸を目的とした大型な延伸装置を必要とせずにコストを低減できる点で好ましい。したがって、前記延伸速度が、10mm/min〜36,000mm/minであると、充分なネッキングを発現させやすく、かつ、均一な延伸がしやすくなり、樹脂が破断しづらくなり、高速延伸を目的とした大型な延伸装置を必要とせずにコストを低減できる点で好ましい。
より具体的には、1段延伸の場合の延伸速度としては、1,000mm/min〜36,000mm/minが好ましく、1,100mm/min〜24,000mm/minがより好ましく、1,200mm/min〜12,000mm/minが特に好ましい。
2段延伸の場合には、1段目の延伸を、ネッキングを発現させることを主なる目的とした予備的な延伸とすることが好ましい。前記予備的な延伸の延伸速度としては、10mm/min〜300mm/minが好ましく、40mm/min〜220mm/minがより好ましく、70mm/min〜150mm/minが特に好ましい。
そして、2段延伸における、前記予備的な延伸(1段目の延伸)によりネッキングを発現させた後の2段目の延伸速度は、前記予備的な延伸の延伸速度と変えることが好ましい。前記予備的延伸によりネッキングを発現させた後の、2段目の延伸速度としては、600mm/min〜36,000mm/minが好ましく、800mm/min〜24,000mm/minがより好ましく、1,200mm/min〜15,000mm/minが特に好ましい。
前記延伸速度の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、以下の方法により測定することができる。
バッチ式の場合には、ポリマー成形体の端部を把持したクランプが、延伸方向へ移動する際の移動速度、即ち、クランプの移動距離/クランプの移動に要した時間(mm/min)、を延伸速度とする。本実施形態において規定される延伸速度は、特に記載のない限り、前記バッチ式の場合の延伸速度である。
また、ポリマー成形体が2対(又はそれ以上)のニップロールを通過する際の、ニップロールの表面速度の差によって、ポリマー成形体が延伸される場合(一般に、「Roll to Roll延伸」という。)には、ポリマー成形体の把持位置がニップロールで固定されており、移動しない。したがって、前記Roll to Roll延伸の場合には、延伸された倍率/延伸に要した時間(%/min)、を延伸速度とする。なお、前記ニップロールは、図1におけるロール15aに相当する。
なお、前記バッチ式における延伸速度と、前記Roll to Roll延伸における延伸速度とは、いずれかの延伸方法において、ポリマー成形体の延伸前の長さ(mm)及び延伸後の長さ(mm)を測定していれば、互いに換算することが可能である。バッチ式における延伸速度から、Roll to Roll延伸における延伸速度に換算した例を表1に示す。
−−延伸温度−−
延伸時の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、
延伸温度をT(℃)、結晶性を有するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
(Tg−30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することが好ましく、
(Tg−25)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することがより好ましく、
(Tg−20)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することが特に好ましい。
一般に、延伸温度(℃)が高いほど延伸張力も低めに抑えられて容易に延伸できるが、前記延伸温度(℃)が、{ガラス転移温度(Tg)−30}℃以上、{ガラス転移温度(Tg)+50}℃以下であると、空洞含有率が高くなり、アスペクト比が10以上になりやすく、充分に空洞が発現する点で好ましい。
ここで、前記延伸温度T(℃)は、非接触式温度計により測定することができる。また、前記ガラス転移温度Tg(℃)は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
なお、前記延伸工程において、空洞の発現の妨げにならない範囲で、横延伸はしてもよく、しなくてもよい。また横延伸をする場合には、横延伸工程を利用してフィルムを緩和させたり、熱処理を行ったりしてもよい。
また、延伸後の空洞含有樹脂成形体は、形状安定化などの目的で、更に熱を加えて熱収縮させたり、張力を加えたりする等の処理をしてもよい。
前記ポリマー成形体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性を有するポリマーがポリエステル樹脂である場合には、溶融製膜方法により好適に製造することができる。
また、前記ポリマー成形体の製造は、前記延伸工程と独立に行ってもよく、連続的に行ってもよい。
図1は、本発明の塗膜付き空洞形成樹脂成形体における空洞形成樹脂成形体の製造方法の一例を示す図であって、二軸延伸フィルム製造装置のフロー図である。図1に示す二軸延伸フィルム製造装置は、Roll to Roll延伸を行うフィルム製造装置である。
図1に示すように、原料樹脂11は、押出機12(原料形状や、製造規模によって、二軸押出機を用いたり、単軸押出し機を用いたりする)内部で熱溶融、混練された後、Tダイ13から柔らかい板状(フィルム又はシート状)に吐出される。
次に、吐出されたフィルム又はシートFは、キャスティングロール14で冷却固化されて、製膜される。製膜されたフィルム又はシートF(「ポリマー成形体」に相当する)は、縦延伸機15に送られる。
そして、製膜されたフィルム又はシートFは、縦延伸機15内で再び加熱され、速度の異なるロール15a間で、縦に延伸される。この縦延伸により、フィルム又はシートFの内部に延伸方向に沿って空洞が形成される。そして、空洞が形成されたフィルム又はシートFは、横延伸機16の左右のクリップ16aで両端を把持されて、巻取機側(図示せず)へ送られながら横に延伸されて、空洞形成樹脂成形体1となる。なお、前記工程において、縦延伸のみを行ったフィルム又はシートFを横延伸機16に供さず、空洞形成樹脂成形体1として使用してもよい。
−空洞含有樹脂成形体−
前記空洞含有樹脂成形体は、結晶性を有するポリマーを含み、必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記空洞含有樹脂成形体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、シート状、繊維状などが挙げられる。
−−空洞−−
本発明の空洞含有樹脂成形体は、長尺状の空洞をその長さ方向が一方向に配向した状態で内部に含有し、前記空洞のアスペクト比に特徴を有している。
前記空洞とは、樹脂成形体内部に存在する、真空状態のドメイン又は気相のドメインを意味する。
前記アスペクト比とは、空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)として、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比を意味する。
前記アスペクト比としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10以上であることが好ましく、15以上がより好ましく、20以上が更に好ましい。
図2A〜2Cは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、図2Aは、空洞含有樹脂成形体の斜視図であり、図2Bは、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のA−A’断面図であり、図2Cは、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のB−B’断面図である。
前記空洞含有樹脂成形体の製造工程において、前記空洞は、通常、第一の延伸方向に沿って配向する。したがって、前記「空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均長さ(r(μm))」は、空洞含有樹脂成形体1の表面1aに垂直で、かつ、第一の延伸方向に直角な断面(図2AにおけるA−A’断面)における空洞100の平均の厚さr(図2B参照)に相当する。また、「前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さ(L(μm))」は、前記空洞含有樹脂成形体の表面に垂直で、かつ、前記第一の延伸方向に平行な断面(図2AにおけるB−B’断面)における空洞100の平均の長さL(図2C参照)に相当する。
なお、前記第一の延伸方向とは、延伸が1軸のみの場合には、その1軸の延伸方向を示す。通常は、製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸を行うため、この縦延伸の方向が前記第一の延伸方向に相当する。
また、延伸が2軸以上の場合には、空洞形成を目的とした延伸方向のうち少なくとも1方向を示す。通常は、2軸以上の延伸においても、製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸が行われ、かつ、この縦延伸により空洞を形成することが可能であるため、この縦延伸の方向が前記第一の延伸方向に相当する。
ここで、前記アスペクト比は、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。
また、本発明の空洞含有樹脂成形体は、空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均の個数P、結晶性を有するポリマー層と空洞層との屈折率差ΔN、及び、前記ΔNと前記Pとの積に、特徴を有している。
前記空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均の個数Pとしては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5個以上が好ましく、10個以上がより好ましく、15個以上が更に好ましい。
前記空洞含有樹脂成形体の製造工程において、前記空洞は、通常、第一の延伸方向に沿って配向する。したがって、前記「空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の個数」は、空洞含有樹脂成形体1の表面1aに垂直で、かつ、第一の延伸方向に直角な断面(図2AにおけるA−A’断面)において、膜厚方向に含まれる空洞100の個数に相当する。
ここで、前記空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均の個数Pは、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。
前記結晶性を有するポリマー層と空洞層との屈折率差ΔNとは、具体的には、波長400〜800nmから選択される1つの波長の光に対する結晶性を有するポリマー層の屈折率をN1として、前記選択される1つの波長の光に対する空洞層の屈折率をN2とした際に、N1とN2との差であるΔN(=N1−N2)の値を意味する。
ここで、結晶性を有するポリマー層や空洞層の屈折率N1、N2は、アッベ屈折計などにより測定することができる。
前記ΔNと前記Pとの積は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が更に好ましい。
このように、前記空洞含有樹脂成形体は、前記空洞を含有していることにより、例えば、反射率、光沢性、透過率などにおいて、様々な優れた特性を有している。言い換えると、前記空洞含有樹脂成形体に含有される空洞の態様を変化させることで、反射率、光沢性、透過率などの特性を調節することができる。
−−−光沢度−−−
前記光沢度とは、JIS規格のZ8741に記載される定義に準ずる。
前記空洞含有樹脂成形体の光沢度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、入射角60度以下で、波長400〜800nmの光を入射して測定したときに、60以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましく、80以上であることが更に好ましい。
ここで、前記光沢度は、変角光沢計により測定することができる。
−−−透過率−−−
前記透過率とは、前記空洞含有樹脂成形体の表面に対し、垂直に、所定波長の光を入射したときの、透過光の光強度/入射光の光強度×100(%)の値を意味する。
前記空洞含有樹脂成形体の、前記400〜800nmから選択される1つの波長の光に対する透過率としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。
また、前記空洞含有樹脂成形体の好適な透過率は、相対的な値として規定することもできる。即ち、空洞含有樹脂成形体の、波長400〜800nmから選択される1つの波長の光に対する透過率をM(%)として、前記空洞含有樹脂成形体と同じ厚さで、前記空洞含有樹脂成形体を構成する結晶性を有するポリマーと同一の結晶性を有するポリマーからなり、空洞を含有しないポリマー成形体の、前記選択される1つの波長の光に対する透過率をN(%)とした際のM/N比が、0.2以下であることが好ましく、0.18以下であることがより好ましく、0.15以下であることが特に好ましい。
ここで、前記透過率は、分光光度計により測定することができる。
更に、前記空洞含有樹脂成形体は、前記空洞を含有しつつも、空洞を発現するための無機系微粒子、相溶しない樹脂、不活性ガスなどが添加されていないため、優れた表面平滑性を有している。
前記空洞含有樹脂成形体の表面平滑性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Ra=0.3μm以下が好ましく、Ra=0.25μm以下が更に好ましく、Ra=0.1μm以下が特に好ましい。
更に、前記空洞含有樹脂成形体は、成形体表面だけでなく、成形体表面から所定の距離においても空洞が形成されていないことを特徴とする。
即ち、前記空洞含有樹脂成形体における、前記空洞の配向方向に直交する断面において、前記空洞の中心から前記空洞含有樹脂成形体の表面までの距離が最も短い10個の前記空洞について、各中心から前記空洞含有樹脂成形体の表面までの距離h(i)を算出し、算出された各前記距離h(i)の算術平均値h(avg)が、次式、h(avg)>T/100、の関係を満たす。
但し、Tは、前記断面における厚みの算術平均値を表し、10個の前記空洞は、前記厚み方向に平行な任意の一の直線と、前記一の直線に対し平行でかつ20×Tだけ離れて位置する他の直線とで挟まれた領域内に存在する空洞の中から選択される。
前記「空洞の中心」とは、前記断面における空洞の断面形状が、真円である場合にはその中心を意味し、それ以外の形状の場合には、例えば、最大二乗中心法により任意に設定した基準円からの偏差の二乗和が最小となる円の中心を決定し、これを空洞の中心とする。
前記「空洞含有樹脂成形体の表面」とは、厚み方向における、空洞含有樹脂成形体の最外面を意味する。通常、前記空洞含有樹脂成形体を載置したときの上面を意味する。
具体的には、空洞含有樹脂成形体の表面に垂直で、かつ、縦延伸方向に直角な断面(図2D参照)を、走査型電子顕微鏡を用いて300〜3,000倍の適切な倍率で検鏡し、断面写真を撮像する。前記断面写真内において、厚みの算術平均値Tを算出する。厚みの算術平均値Tとして、ロングレンジ接触式変位計などを用いて測定された厚さを用いてもよい。
次に、前記断面写真内において、厚み方向に平行な任意の一の直線を描画し、更に、前記一の直線に対し平行でかつ20×Tだけ離れて位置する他の直線を描画する。
そして、断面写真内の各空洞において、最大二乗中心法により任意に設定した基準円からの偏差の二乗和が最小となる円の中心を決定し、これを空洞の中心とする。
そして、前記一の直線と前記他の直線とで挟まれた領域内において、空洞の中心から空洞含有樹脂成形体の表面までの距離が最も短い10個の空洞を選択する。なお、前記「空洞の中心から空洞含有樹脂成形体の表面までの距離」は、前記「空洞の中心」を中心とした円を描画する際に、描画する円の半径を順次大きくし、円弧が最初に空洞含有樹脂成形体の表面に接したときの円の半径とする。
そして、選択した10個の空洞について、各中心から前記空洞含有樹脂成形体の表面までの距離(i)を算出し、算出された各前記距離h(i)の算術平均値h(avg)を下記(1)式により算出する。
h(avg)=(Σh(i))/10 ・・・(1)
なお、前記「各中心から前記空洞含有樹脂成形体の表面までの距離h(i)」は、前記空洞含有樹脂成形体が、湾曲していたり、応力がかかっていたりすると、正確に測定することができないため、測定の際には平面状に載置した状態で測定することが好ましい。
前記空洞含有樹脂成形体は、前記空洞を含有しつつも、空洞含有樹脂成形体の表面近くに空洞が形成されていないため、優れた表面平滑性を有している。
<塗布工程>
前記塗布工程は、前記作製された空洞含有樹脂成形体の少なくとも片面に、高分子樹脂及び架橋剤を含む塗液を塗布する工程である。
−高分子樹脂−
前記高分子樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、水系ウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂が挙げられる。中でも、金属及び金属酸化物に対する接着性の点から、ポリエステル樹脂が好ましい。このポリエステル樹脂として、下記の多塩基酸成分とジオール成分から得られるポリエステルを用いることができる。前記多価塩基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。高分子バインダーを構成するポリエステル樹脂としては、2種以上のジカルボン酸成分を用いた共重合ポリエステルを用いることが好ましい。ポリエステル樹脂には、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分が、或いはp−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。なお、ガラス転移温度を100〜160℃の範囲にするために、酸成分の主成分は2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
耐熱水性を向上させるためには、高分子樹脂のポリエステル樹脂には、スルホン酸塩を含有する酸成分が含有されていないことが好ましく、レトルト耐性を上げるためにもスルホン酸塩を含有する酸成分が含有されていないことが好ましい。
高分子樹脂のポリエステル樹脂には、共重合成分としては特にピロメリット酸が水分散性、回収性が優れているため好ましい。ピロメリット酸を用いる場合、全酸成分の1〜10モル%の範囲であることが好ましい。1%未満であると水分散性が無く、10%より多いと架橋点が増え、フィルム回収後に異物が増加し回収性が悪化するので好ましくない。
高分子樹脂のポリエステル樹脂には、多価カルボン酸塩基を有する化合物が共重合成分として含有されることが好ましく、この場合は、共重合後にアルカリ金属化合物やアミン化合物を作用させてカルボン酸塩基として、水分散化する。
高分子樹脂のポリエステル樹脂のジオール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパンや、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどが挙げられる。
高分子樹脂のポリエステル樹脂の固有粘度は、好ましくは0.4以上0.7未満、より好ましくは0.5以上0.7未満である。固有粘度が0.4未満であるとポリエステル樹脂の分子量が低くなり、塗布層の凝集力が低くなり、接着性が悪化する。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の重合が困難となり、好ましくない。
高分子樹脂のポリエステル樹脂は、例えば次の方法で製造することができる。ジカルボン酸成分とジオール成分をエステル交換反応器に仕込み、触媒を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃に制御して生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行う。次いで、温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を減圧下にして重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得ることができる。重縮合時に分子量が上昇してくると溶融粘度が高くなり、系内の攪拌が難しくなる。塗布層に使用されるポリエステル樹脂はホモのポリエチレンテレフタレートと比較すると分子量が低い割に溶融粘度が高くなり、系内の攪拌が非常に難しく、攪拌設備のモーターのトルクを上げること、羽根の形状を工夫すること、重合時間を延ばすこと等で固有粘度を上げることができる。
また、高分子樹脂のポリエステル樹脂は、水に可溶性または分散性のものが好ましいが、多少の有機溶剤を含有する水に可溶なものも用いることができる。
−架橋剤−
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性メラミン架橋剤、カルボジイミド架橋剤を挙げることができる。中でも、耐熱水性を向上させ、高分子樹脂の金属及び金属酸化物に対する接着性を向上する観点から、水溶性メラミン架橋剤を用いることが好ましい。
水溶性メラミン架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が好ましい。
メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンが挙げられる。特に、水に可溶なメラミンは他の樹脂との混合しやすく、塗膜形成時に均一に存在し、延伸追随性が良く、好ましい。
高分子樹脂と架橋剤との質量比は、50/1〜5/1の範囲が好ましく、40/1〜10/1の範囲がより好ましい。質量比が50/1より大きいと架橋度が低くなり、オリゴマー封止性や耐熱水性が悪化し、好ましくない。質量比が5/1より小さくなると、架橋度が高くなり、フィルム回収時の異物が増加し、回収性が悪化し、好ましくない。
塗液には、後述する塗膜と空洞含有樹脂成形体との接着性を調節するため、上記以外の高分子樹脂を配合してもよい。かかる高分子樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、水溶性樹脂などが挙げられる。
同様に接着性を調整するために上記以外の架橋剤を配合することができる。かかる架橋剤としては、エポキシ、オキサゾリン、イソシアネート、カップリング剤などが挙げられる。
塗液には、塗液、特に水性塗液の安定性を向上させ、塗液を空洞含有樹脂成形体に塗布する際の濡れ性を向上させるため、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えば、アルキレンオキサイド単独重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール・アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステル、長鎖脂肪族アミドアルコール等のノニオン系界面活性剤、4級アンモニウム塩を有する化合物、アルキルピリジニウム塩を有する化合物、スルホン酸塩を有する化合物などのカチオン系またはアニオン系界面活性剤などが挙げられ、特に、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
塗液の固形分濃度は0.5質量%〜30質量%であることが好ましい。この固形分濃度が0.5質量%未満であると、空洞含有樹脂成形体への濡れ性が不足し、また30質量%を超えると塗布外観が悪化する傾向がある。なお、塗液の主たる構成成分とは、固形分に占める割合が例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上であることをいう。
−塗工方法−
空洞含有樹脂成形体への塗液の塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法等を単独または組み合わせて適用するとよい。なお、水性塗液を用いる場合には、塗液の安定性を助ける目的で若干量の有機溶剤を含ませてもよい。
塗布量は、走行している空洞含有樹脂成形体1mあたり、0.5〜50gが好ましく、5〜30gがより好ましい。最終乾燥塗膜の厚さとしては、0.01〜1μmが好ましく、0.01〜0.8μmがより好ましい。塗膜の厚さが0.01μm未満であると、金属及び金属酸化物接着性が不十分となり、一方、1μmを超えると、耐ブロッキング性が低下する傾向がある。塗布は、用途に応じて片面のみに行うことも両面に行うこともできる。塗布後、乾燥することにより均一な塗膜となる。
<乾燥工程>
前記乾燥工程は、前記塗布された塗液を乾燥して塗膜を形成する工程である。
前記乾燥工程における乾燥条件は、目的に応じて適宜選択できるが、90〜200℃で2〜600秒間行うのが好ましい。
<塗液の塗布前の処理>
コロナ処理、プラズマ処理、グロ−放電処理、火炎処理、レーザーアブレーション処理、及び紫外線処理のうち少なくとも1つの処理が施された空洞含有樹脂成形体上に塗液が塗布されて、塗膜が設けられてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全ての本発明の技術的範囲に包含される。
<空洞含有フィルムAの作製>
IV=0.72であるPBT(ポリブチレンテレフタレート100%樹脂)を溶融押出機を用いて245℃でTダイから押出し、キャスティングドラムで固化させて、厚さ約120μmのポリマーフィルムを得た。このポリマーフィルムを1軸延伸(縦延伸)した。
具体的には、40℃の加温雰囲気下で、100mm/minの速度で1軸延伸し、ネッキングが発生したことを確認した後、6,000mm/minの速度で、前記1軸延伸と同一方向にさらに延伸し、20μm厚の空洞含有フイルムを得た。また、h(ave)=8.0μm、L/r=17であった。なお、厚さ、h(ave)及びL/rは以下のように測定した。
<<厚さの測定>>
キーエンス社製、ロングレンジ接触式変位計AF030(測定部)、AF350(指示部)を用いて測定した。
<<フィルム表面に最も近くに位置する空洞からフィルム表面までの距離の測定>>
樹脂フィルムの表面に垂直で、かつ、縦延伸方向に直角な断面(図2D参照)を、走査型電子顕微鏡を用いて300〜3000倍の適切な倍率で検鏡し、断面写真を撮像した。
撮像の際には、前記樹脂フィルムを平面状に載置した状態で走査型電子顕微鏡にセットして撮像した。
前記断面写真内において、厚みの算術平均値Tを算出した。各樹脂フィルムにおいて算出された厚みの算術平均値Tは、上記「厚さの測定」で測定された厚さ(表1参照)と同じであった。
次に、前記断面写真内において、厚み方向に平行な任意の一の直線を描画し、更に、前記一の直線に対し平行でかつ20×Tだけ離れて位置する他の直線を描画した。また、前記走査型電子顕微鏡による検鏡により、空洞が縦延伸方向に沿って配向していることを確認した。
そして、断面写真内の各空洞において、最大二乗中心法により任意に設定した基準円からの偏差の二乗和が最小となる円の中心を決定し、これを空洞の中心とした。
そして、前記一の直線と前記他の直線とで挟まれた領域内において、空洞の中心から樹脂フィルム上面までの距離が最も近い10個の空洞を選択した。なお、前記「空洞の中心から樹脂フィルム上面までの距離」は、前記「空洞の中心」を中心とした円を描画する際に、描画する円の半径を順次大きくし、円弧が最初に樹脂フィルムの表面に接したときの円の半径とした。
そして、選択した10個の空洞について、各中心から前記樹脂フィルムの上面までの距離h(i)を算出し、算出された各前記距離h(i)の算術平均値h(avg)を下記(1)式により算出した。
h(avg)=(Σh(i))/10 ・・・(1)
<<アスペクト比の測定>>
樹脂フィルムの表面に垂直で、かつ、縦延伸方向に直角な断面(図2B参照)と、前記樹脂フィルムの表面に垂直で、かつ、前記縦延伸方向に平行な断面(図2C参照)を、走査型電子顕微鏡を用いて300〜3000倍の適切な倍率で検鏡し、前記各断面写真において測定枠をそれぞれ設定した。この測定枠は、その枠内に空洞が50〜100個含まれるように設定した。また、前記走査型電子顕微鏡による検鏡により、空洞が縦延伸方向に沿って配向していることを確認した。
次に、測定枠に含まれる空洞の数を計測し、前記縦延伸方向に直角な断面の測定枠(図2B参照)に含まれる空洞の数をm個、前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図2C参照)に含まれる空洞の数をn個とした。
そして、前記縦延伸方向に直角な断面の測定枠(図2B参照)に含まれる空洞の1個ずつの厚さ(r)を測定し、その平均の厚さをrとした。また、前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図2C参照)に含まれる空洞の1個ずつの長さ(L)を測定し、その平均の長さをLとした。
即ち、r及びLは、それぞれ下記の(2)式及び(3)式で表すことができる。
r=(Σr)/m ・・・(2)
L=(ΣL)/n ・・・(3)
そして、L/rを算出し、アスペクト比とした。
<空洞含有フィルムBの作製>
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV0.66)を減圧下180℃で24時間乾燥後、30mmφ一軸押出機で押出温度285℃で結晶化度5%のTダイシートを成形した。成形条件としては、スクリュウ回転数50rpm〜70rpm、ダイス幅25cm、リップ0.75mm、ドラフト比2.5〜5.3、冷却ロール温度60℃の条件で作製した。作製したシートの厚さは、171μmであった。このシートを延伸機に装着し、延伸した。延伸速度(延伸時の試料変形速度)は、シートの降伏点を過ぎるまでは100mm/minの速度で行い、ネッキングが開始後、延伸を中断することなく、4,000mm/minに移行して延伸して、43μm厚の空洞含有フイルムを得た。なお、延伸は70℃で行った。また、h(ave)=9.2μm、L/r=26であった。なお、厚さ、h(ave)及びL/rは空洞含有フィルムAと同様に測定した。
<空洞を含有しないフィルムCの作製>
空洞含有フィルムBと同様に成形し作製したシ−トを90℃の温度雰囲気下で5分加熱後延伸速度(延伸時の試料変形速度)は100mm/minの速度で行い、57μm厚の空洞を含有しないフィルムCを得た。
<高分子樹脂1>
酸成分が、2,6−ナフタレンジカルボン酸モル90%/イソフタル酸5モル%/ピロメリット酸5モル%で構成され、グリコール成分が、エチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=110℃、平均分子量13,000)。なお、高分子樹脂1は、特開昭60−209073号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報に記載の方法に準じて製造した。
<高分子樹脂2>
酸成分が、テレフタル酸60モル%/イソフタル酸30モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸10モル%で構成され、グリコール成分が、エチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=45℃、平均分子量14,000)。なお、高分子樹脂2は、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じて製造した。
<高分子樹脂3>
タケラックW511(Tg=35℃、三井武田ケミカル社製水系ウレタン樹脂)の40%水分散液
<架橋剤1>
メチロール化メラミン(株式会社三和ケミカル製、商品名:MX−035)
<架橋剤2>
カルボジイミド系架橋剤(日清紡社製、商品名:カルボジライトV−02−L2)
<濡れ剤>
ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル (三洋化成株式会社製 商品名:ナロアクティーN−70)
<塗液の塗布前の処理>
塗液の塗布に先立って、以下の表面処理を行った。ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデルを使用し、室温下において基体(フィルムA乃至C)の両面を長さ方向に関して20m/分の割合で逐次処理した。この時の電流および電圧の読み取り値から、基体(フィルムA乃至C)に0.375kV・A・分/m2の処理が施されたことが分かった。この時の処理周波数は9.6kHzであり、電極と誘電体ロ−ルとのギャップクリアランスは1.6mmであった。このような処理が施された基体(フィルムA乃至C)上に、以下に記載された塗液を塗布して塗膜を塗設した。
(実施例1)
空洞含有フィルムAに対して、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液1)をバーコーターで塗布し、塗布された塗布液1を130℃で1分間乾燥して塗膜付き空洞含有フィルムを作製した。なお、塗膜の厚さは110nmであった。
作製された塗膜付き空洞含有フィルムについて、オリゴマー封止性及び接着性を評価した。評価結果を表1に示す。
<オリゴマー封止性の評価>
75mm×50mmに切断したサンプルフィルムを乾燥機で150℃において1hr加熱処理を行った後、サンプルフィルムの表面に指などが触れないように十分注意して静置することで室温まで冷却した。得られたサンプルフィルムの表面を顕微鏡(反射、倍率:50倍、200倍)で観測し、オリゴマー封止性を下記の基準で評価した。
◎: オリゴマーの発生が無い (オリゴマー封止性良好)
○: オリゴマーがやや発生する (オリゴマー封止性やや良好)
×: 多量のオリゴマーが発生する (オリゴマー封止性不良)
<接着性>
<<常温接着性>>
250mm×150mmに切断したサンプルフィルムの塗膜塗設面にAl蒸着を行う。次に、Al蒸着面にエポキシ系接着剤を塗り、その上に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを張り合わせ、温度80℃、速度60m/min、ニップ圧3.0barの条件でラミネートする。得られたラミネートサンプルを60℃において48時間エージングした後、エポキシ系接着剤によって張り合わせたフィルムを剥離し、剥離力を測定することで下記の基準で評価した。
<<ボイル処理後接着性>>
48時間エージング後のラミネートサンプルをボイル処理(100℃、30分)をし、エポキシ系接着剤によって張り合わせたフィルムを剥離し、剥離力を測定することで下記の基準で評価した。
<<レトルト処理後接着性>>
48時間エージング後のラミネートサンプルをボイル処理(125℃、30分)をし、エポキシ系接着剤によって張り合わせたフィルムを剥離し、剥離力を測定することで下記の基準で評価した。
◎: N/5cm<剥離力 (接着性極めて良好)
○: N/5cm<剥離力≦N/5cm (接着性良好)
△: N/5cm<剥離力≦N/5cm(接着性やや良好)
×: 剥離力≦N/5cm (接着性不良)
(実施例2)
実施例1において、空洞含有フィルムAの代わりに空洞含有フィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜付き空洞含有フィルムを作製し、オリゴマー封止性及び接着性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、塗膜の厚さは110nmであった。
(実施例3)
実施例2において、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液1)の代わりに、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液2)を用いた以外は、実施例2と同様にして、塗膜付き空洞含有フィルムを作製し、オリゴマー封止性及び接着性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、塗膜の厚さは300nmであった。
(実施例4)
実施例1において、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液1)の代わりに、表1に記載の固形分組成(質量比)の3.0質量%水性塗液(塗布液3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜付き空洞含有フィルムを作製し、オリゴマー封止性及び接着性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、塗膜の厚さは300nmであった。
(比較例1)
実施例2において、空洞含有フィルムBの代わりに、空洞を含有しないフィルムCを用い、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液1)の代わりに、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液4)を用いた以外は、実施例2と同様にして、塗膜付きの空洞を含有しないフィルムを作製し、オリゴマー封止性及び接着性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、塗膜の厚さは110nmであった。
(比較例2)
実施例1において、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液1)の代わりに、表1に記載の固形分組成(質量比)の1.5質量%水性塗液(塗布液5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、塗膜付き空洞含有フィルムを作製し、オリゴマー封止性及び接着性を評価した。評価結果を表1に示す。なお、塗膜の厚さは200nmであった。
表1から、実施例1〜4の塗膜付き空洞含有フィルムは、比較例1〜2の塗膜付きフィルムよりもオリゴマー封止性及び接着性が高いことが判った。
本発明の塗膜付き空洞含有樹脂成形体は、感熱転写記録用受像紙、ゼログラフィー用受像紙、反射板、照明用部材、遮熱版、保温材、装飾包装用フィルム、食品包装用フィルム、スクリ−ンなどとして利用することができる。
図1は、本発明の塗膜付き空洞形成樹脂成形体における空洞形成樹脂成形体の製造方法の一例を示す図であって、二軸延伸フィルム製造装置のフロー図である。 図2Aは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、空洞含有樹脂成形体の斜視図である。 図2Bは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のA−A’断面図である。 図2Cは、アスペクト比を具体的に説明するための図であって、図2Aにおける空洞含有樹脂成形体のB−B’断面図である。 図2Dは、フィルム表面から最も近くに位置する10個の空洞の、フィルム表面からの距離を測定する方法を説明するための図であって、図2AにおけるA−A’断面図である。
符号の説明
1 空洞含有樹脂成形体
1a 表面
11 原料樹脂
12 押出機
13 Tダイ
14 キャスティングロール
15 縦延伸機
15a ロール
16 横延伸機
16a クリップ
100 空洞
L アスペクト比における空洞の長さ
r アスペクト比における空洞の厚み

Claims (8)

  1. 結晶性を有するポリマーを含むポリマー成形体を少なくとも1軸方向に延伸して空洞含有樹脂成形体を作製する延伸工程と、
    前記作製された空洞含有樹脂成形体の少なくとも片面に、高分子樹脂及び架橋剤を含む塗液を塗布する塗布工程と、
    前記塗布された塗液を乾燥して塗膜を形成する乾燥工程とを含み、
    前記空洞含有樹脂成形体は、結晶性を有するポリマーからなり、長尺状の空洞をその長さ方向が一方向に配向した状態で内部に含有する空洞含有樹脂成形体であって、
    前記空洞含有樹脂成形体における、前記空洞の配向方向に直交する断面において、前記空洞の中心から前記空洞含有樹脂成形体の表面までの距離が最も短い10個の前記空洞について、各中心から前記空洞含有樹脂フィルムの表面までの距離h(i)を算出し、算出された各前記距離h(i)の算術平均値h(avg)が、次式、h(avg)>T/100、の関係を満たし、
    [但し、Tは、前記断面における厚みの算術平均値を表し、10個の前記空洞は、前記厚み方向に平行な任意の一の直線と、前記一の直線に対し平行でかつ20×Tだけ離れて位置する他の直線とで挟まれた領域内に存在する空洞の中から選択される。]
    かつ、前記空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)として、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比が10以上であることを特徴とする塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  2. 延伸工程において、ポリマー成形体を、10〜36,000mm/minの速度で、かつ、延伸温度をT(℃)、結晶性を有するポリマーのガラス転移温度Tg(℃)としたときに、(Tg−30)(℃)≦T(℃)≦(Tg+50)(℃)で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸する請求項1に記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  3. 高分子樹脂が、アクリル樹脂、水系ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂の少なくともいずれかを含む請求項1から2のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  4. 架橋剤が、水溶性メラミン架橋剤及びカルボジイミド架橋剤のいずれかを含む請求項1から3のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  5. 高分子樹脂と架橋剤との質量比(高分子樹脂/架橋剤)が、50/1〜50/30である請求項1から4のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  6. 塗膜は、総厚みが20nm以上2,000nm以下である請求項1から5のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  7. 塗膜は、コロナ処理、プラズマ処理、グロ−放電処理、及び紫外線処理のうち少なくとも1つの処理が施された空洞含有樹脂成形体上に設けられる請求項1から6のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の塗膜付き空洞含有樹脂成形体の製造方法により製造されたことを特徴とする塗膜付き空洞含有樹脂成形体。
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