JP4977054B2 - 繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、繊維の審美性を向上させるために、屈折率の異なる二種類のポリマーを交互に積層し、それらを保護層で被覆して、構造性発色を発現する機能を有する複合繊維などが各種提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、繊維の強度を保ちながら、軽量化を目的として中空構造を採用しているため、断熱性が低かった。そのため、混紡して衣料などに用いる場合、断熱性を必要とされる衣料には採用されにくいという欠点があった。
<1> 結晶性を有するポリマーのみからなり、内部に空洞を有することを特徴とする繊維である。
<2> 空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)とし、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比が10以上、100以下である前記<1>に記載の繊維である。
<3> 長さ方向に直交する方向における該繊維の断面積X(μm2)に対する空洞の断面積Y(μm2)の比(Y/X)の平均が0.05以上、0.4以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の繊維である。
<4> 該繊維の透過率をM(%)とし、該繊維の結晶性を有するポリマーと同一の結晶性を有するポリマーからなり、該繊維と同じ厚みであってかつ空洞を有しない繊維の透過率をN(%)としたときのM/N比が0.2以下であり、かつ、該繊維の光沢度が50以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の繊維である。
<5> 空洞の配向方向に直交する厚み方向の任意の断面における空洞の平均の個数をP個とし、結晶性を有するポリマー部の屈折率をN1とし、空洞の屈折率をN2とし、N1とN2との差をΔN(=N1−N2)とするとき、ΔNとPとの積が2以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の繊維である。
<6> 結晶性を有するポリマーが一種のみからなる前記<1>から<5>のいずれかに記載の繊維である。
<7> 結晶性を有するポリマーが、ポリオレフィン類、ポリエステル類及びポリアミド類から選択される少なくとも1種である前記<1>から<6>のいずれかに記載の繊維である。
<8> 結晶性を有するポリマーのみからなる樹脂組成物を溶融紡糸し、10〜2,000m/minの速度で、かつ、
延伸温度をT(℃)、該結晶性を有するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
(Tg−30)≦T≦(Tg+50)
で表される延伸温度T(℃)で延伸して得られた前記<1>から<7>のいずれかに記載の繊維である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の繊維の製造方法であって、
結晶性を有するポリマーのみからなる樹脂組成物を溶融紡糸する工程と、
10〜2,000m/minの速度で、かつ、
延伸温度をT(℃)、該結晶性を有するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
(Tg−30)≦T≦(Tg+50)
で表される延伸温度T(℃)で延伸する工程と、を含むことを特徴とする繊維の製造方法である。
図1は、本発明の繊維の長さ方向に直交する方向における断面図である。図1に示すように、本発明の繊維10は、内部に空洞100を有する。
本発明の繊維10は、結晶性を有するポリマーのみからなる樹脂組成物を溶融紡糸し、高速延伸することによって作製される。具体的には、前記樹脂組成物を乾燥し、押出成型機で溶融し、溶融紡糸口金から溶融吐出し、冷却風で冷却し、その後、巻き取って、高速延伸を行うことにより作製される。
本発明の繊維の光沢度としては、60以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましく、80以上であることが更に好ましい。
ここで、前記光沢度は、変角光沢計により測定することができる。
前記樹脂組成物は、結晶性を有するポリマーで形成され、ポリマー成分としては、該結晶性を有するポリマーのみであるが、ポリマー以外の成分としては、必要に応じて適宜選択した添加成分を含んでいてもよい。
前記樹脂組成物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状やシート状が挙げられる。
また、前記樹脂組成物の構造としては、一種単独、二以上の材料で複合材料としてもよく、この例として、該樹脂組成物の切片を他のシートに組み込み、一体化して樹脂組成物としてもよい。
一般に、ポリマーは、結晶性ポリマーと非晶性(アモルファス)ポリマーとに分けられる。前記結晶性ポリマーは、通常、100%結晶ということはなく、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶(アモルファス)領域とを含んでいる。
本発明において、前記結晶性を有するポリマーは、分子構造の中に少なくとも前記結晶性領域を含んでいればよく、結晶性領域と非結晶領域とが混在していてもよい。
ここで、前記溶融粘度は、プレートタイプのレオメーターやキャピラリーレオメーターにより測定することができる。
ここで、前記IVは、ウベローデ型粘度計により測定することができる。
ここで、前記融点は、示差熱分析装置(DSC)により測定することができる。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC Gel Permeation Chromatography)法により測定することができる。
ここで、前記結晶性を有するポリマーのうち、力学強度や製造の観点から、本発明において特に好ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
前記ポリエステル樹脂は、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とするポリマーである。したがって、前記結晶性を有するポリマーとして好適な前記ポリエステルとしては、前記例示したPET(ポリエチレンテレフタエレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)だけでなく、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合反応によって得られる高分子化合物が全て含まれる。
また、前記酸化防止剤を一次酸化防止剤として利用し、更に二次酸化防止剤を組み合わせて適用することもできる。前記二次酸化防止剤としては、例えば、スミライザーTPL−R、同スミライザーTPM、同スミライザーTP−Dなどの商品名で市販されている酸化防止剤が挙げられる。
本発明の繊維は、空洞を有し、前記空洞のアスペクト比に特徴を有している。
前記空洞とは、樹脂成形体内部に存在する、真空状態のドメインもしくは気相のドメインを意味する。
前記アスペクト比としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10以上、100以下であることが好ましく、15以上100以下がより好ましく、20以上90以下が更に好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると反射率が低下することがあり、100を超えると断熱性が低下、力学特性の低下がおこることがある。前期アスペクト比が10以上、100以下であると、反射、断熱などの諸性能と力学特性の両立の点で有利である。
繊維の透過性とは、文字通り繊維を衣服などの束ねたときの見た目の透過のことであって、樹脂組成物の透過率をN(%)とし、繊維を束ねた平面にしたときの想定平面に対する光の透過率をM(%)とし、M/N比を算出した。
前記M/N比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2以下が好ましい。0.19以下がより好ましく、0.18以下が特に好ましい。
前記M/N比が、0.2を超えると反射率が落ちて、繊維にしたときの見た目の印象が低下することがある。
なお、透過率は、分光光度計により測定することができる。
繊維の光沢度とは、文字通り繊維を衣服などの束ねたときの見た目の光沢性のことである。
前記光沢度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50以上が好ましく、70以上がより好ましく、90以上が特に好ましい。
また、延伸が二軸以上の場合には、空洞形成を目的とした延伸方向のうち少なくとも一方向を示す。通常は、二軸以上の延伸においても、製造時に成形体の流れる方向に沿って縦延伸が行われ、かつ、この縦延伸により空洞を形成することが可能であるため、この縦延伸の方向が前記空洞の配向方向(第一の延伸方向)に相当する。
また、本発明の繊維は、その長さ方向に直交する任意の断面における繊維の断面積をX(μm2)とし、前記断面における空洞の断面積をY(μm2)としたとき、これらの比(Y/X)の平均が0.05以上、0.4以下であることが好ましい。
なお、前記断面における各断面積は、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。
前記膜厚方向の空洞の個数とは、本発明の繊維10の表面10aに直交し、かつ、前記空洞の配向方向に直交する方向を含む面(図3AにおけるA−A’断面)において、膜厚方向に含まれる空洞100の個数を意味する。
また、前記結晶性を有するポリマー部とは、前記繊維において空洞以外の部分(結晶性を有するポリマーよりなる部分)を指す。
前記膜厚方向の空洞の平均の個数Pとしては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5個以上が好ましく、10個以上がより好ましく、15個以上が更に好ましい。
ここで、前記膜厚方向の空洞の個数は、光学顕微鏡や電子顕微鏡の画像により測定することができる。
ここで、結晶性を有するポリマー部や空洞の屈折率N1、N2は、アッベ屈折計などにより測定することができる。
前記ΔNと前記Pとの積は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上が更に好ましい。
前記ΔNと前記Pとの積が、2未満であると反射率が低下したり、断熱性が低下することがある。
本発明の繊維の光沢度としては、60以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましく、80以上であることが更に好ましい。
ここで、前記光沢度は、変角光沢計により測定することができる。
本発明の繊維の表面平滑性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Ra=0.3μm以下が好ましく、Ra=0.25μm以下が更に好ましく、Ra=0.1μm以下が特に好ましい。
本発明の繊維の製造方法としては、少なくとも樹脂組成物を溶融紡糸する溶融紡糸工程と、紡糸された該樹脂組成物を延伸する延伸工程とを含んでなり、更に必要に応じて製膜工程などのその他の工程を含んでなる。
なお、前記樹脂組成物の材料としては、結晶性を有するポリマーで形成され、ポリマー成分としては、該結晶性を有するポリマーのみであるが、ポリマー以外の成分としては、必要に応じて適宜選択した添加成分を含んでいてもよい。
また、前記樹脂組成物の構造としては、その内部に空洞が形成されていなければ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記樹脂組成物の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばフィルム状や、シート状などが挙げられる。
前記紡糸工程は、前記樹脂組成物を、小さな孔が多数形成されたノズルから押し出して繊維状にする工程であり、紡糸方法として、例えば、溶融紡糸、湿式紡糸、乾式紡糸などが挙げられるが、これらの中でも、溶融紡糸が好ましい。
図2に示すように、上記のようにして得られた溶融紡糸した原糸21は、たとえば、25〜150℃に調整された加熱炉30内に挿入され、ニップロール41と42の回転速度差をつけて引張力を付与することにより延伸し、ネッキングを起こすことにより空洞を有する繊維が作製される。場合によっては、加熱炉を除き、ニップロールを加温(25〜150℃)するだけでも同様の本発明の繊維10を作製できる。図2中31はアニーリング処理炉、32は巻き取り装置を表す。
具体的には、紡糸された前記樹脂組成物(未延伸糸)が少なくとも一軸に延伸される。そして、前記延伸工程により、樹脂組成物が延伸されるとともに、その内部に第一の延伸方向を長軸とした空洞が形成されることで、本発明の繊維10が得られる。
なお、このような延伸による空洞形成は、結晶性を有するポリマーが一種類の場合だけではなく、二種類以上の結晶性を有するポリマーが、ブレンド又は共重合されている場合であっても可能である。
ここで、前記ネッキングとは、前記ポリマー成形体の延伸時に生じるくびれ状の変形を意味する(高分子工学講座6 プラスチック成形加工 高分子学会編集、地人書院発行、昭和41年4月25日初版発行参照)。また、前記延伸時において、前記ポリマー形成体がくびれながら変形し、くびれ部分では急激に断面が減少する現象を「ネッキングが発現した」と定義する。
前記縦延伸の延伸速度としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜2,000m/minが好ましく、15〜1,000m/minがより好ましく、20〜1,000m/minが更に好ましい。前記延伸速度が、10m/min以上であると、充分なネッキングを発現させやすい点で好ましい。また、前記延伸速度が、2,000m/min以下であると、均一な延伸がしやすくなり、糸が破断しづらくなり、特に、高速延伸を目的とした大型な延伸装置を必要とせず、コストを低減できる点で好ましい。
延伸時の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、
延伸温度をT(℃)、ガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
(Tg−30)≦T≦(Tg+50)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することが好ましく、
(Tg−25)≦T≦(Tg+45)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することがより好ましく、
(Tg−20)≦T≦(Tg+40)
で示される範囲の延伸温度T(℃)で延伸することが更に好ましい。
<樹脂組成物(未延伸糸)の作製>
ポリブチレンテレフタレート100%樹脂PBT1(富士フイルム社内で作製)の極限粘度(IV)をウベローデ型粘度計により測定したところ、0.8であった。
前記PBT1を、溶融紡糸機を用いて245℃で口金から押出し、樹脂組成物(未延伸糸)を得た。
次に、得られた(未延伸糸)を45℃の加温雰囲気下で、200m/minの速度で一軸延伸(倍率:5倍)し、ネッキングが発生したことを確認した後、200m/minの速度で、初めと同一方向に同一倍率で繊維を作製した。
作製した実施例1の繊維の1,500倍の断面写真を図4に示す。この図4から、繊維内部には空洞が確認できた。
<樹脂組成物(未延伸糸)の作製>
ポリブチレンテレフタレート100%樹脂PBT2(富士フイルム社内で作製)の極限粘度(IV)を実施例1と同様にして測定したところ、1.0であった。
前記PBT2を、溶融紡糸機を用いて260℃で口金から押出し、樹脂組成物(未延伸糸)を得た。
<樹脂組成物(未延伸糸)の作製>
ポリエチレンテレフタレート100%樹脂PET1(富士フイルム社内で作製)の極限粘度(IV)を実施例1と同様にして測定したところ、0.67であった。
実施例1で使用したPBT1と、前記PET1とを、PBT1:PET1=90:10で混合したものを、溶融紡糸機を用いて285℃で口金から押出し樹脂組成物(未延伸糸)を得た。
<繊維の作製>
比較例1として、特開2005−256243号公報(特許文献1)の実施例2の記載に基づき、繊維を作製した。
<繊維の作製>
比較例2として、特許第3356438号公報(特許文献2)の実施例F−1の記載に基づき、繊維を作製した。
<繊維の作製>
比較例3として、実施例2と同じポリマーを用いて、延伸温度を、50℃に変えて、100℃で延伸した以外は、実施例2と同様にして繊維を作製した。
実施例1、2、参考例3及び比較例1〜3において作製した繊維について、表1にまとめて示す。
比較例1は、中空構造と空隙構造を有する繊維である。
比較例2は、空洞を有さない繊維である。
比較例3は、本発明と同じ材料を用いるが、延伸温度を変えたため、空洞が発生しなかった繊維である。
<<空洞の断面積比>>
芯材層の断面SEMの写真を用いて画像処理を行い、全ての空洞を用いて、全体断面積と空洞部の断面積を別々に求め、空洞の断面積比を算出、評価した。
分光光度計(U−4100、日立製作所製)を用いて透過率N(%)を測定した。前記得られた樹脂組成物の表面の法線方向から5度傾けて光を入射させ、該樹脂組成物を透過する光の強度を、該樹脂組成物を透過させないブランクの値と比較した。波長は550nmを使用した。
また、得られた繊維に対しても、前記樹脂組成物の透過率の測定と同様にして透過率M(%)を測定した。
なお、前記樹脂組成物の透過率と、繊維の透過率との比(M/N)については、Lambert−Beerの法則に従い、前記樹脂組成物の透過率を、繊維の厚み(断面径)と同じ寸法に換算して、算出した。
(A)試料板の作製
試料約0.3gをコームで繊維をくしけずり平行に引きそろえ、4.5cm平方の黒ビロード板に試料全部押さえつけながら表面が均整になるように平行に並べた。
(B)測定
プルリッヒホトメーターの回転台に試料板を置き、開閉ワクで押さえ、回転台が方向角δ=0度の位置のときの繊維の方向が光源の方に向くように取り付け、他方に標準白色板をとりつけた。フィルターはL2(フィルターの重心波長540〜550nm)を使用し、回転角δを0度とした場合の輝度H0と回転角22.5度とした場合の輝度H1を測定いた。
(C)算出
つぎの式で光沢度θを求め、2回の平均値に示した。
光沢度θ=(H1/H0)×Kδ
ここで、H0:試料の基準値(δ=0度)における輝度、H1:試料の回転位置(δ=22.5度)における輝度、Kδ:標準白色板の光沢に対する補正係数、Kδ(22.5度)=1.037とした。
繊維の表面に直交し、かつ、縦延伸方向に直交する断面(図3B参照)と、前記繊維の表面に直交し、かつ、前記縦延伸方向に平行な断面(図3C参照)を、走査型電子顕微鏡を用いて300〜3,000倍の適切な倍率で検鏡し、前記各断面写真において測定枠をそれぞれ設定した。この測定枠は、その枠内に空洞が50〜100個含まれるように設定した。
次に、測定枠に含まれる空洞の数を計測し、前記縦延伸方向に直交する断面の測定枠(図3B参照)に含まれる空洞の数をm個、前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図3C参照)に含まれる空洞の数をn個とした。
そして、前記縦延伸方向に直交する断面の測定枠(図3B参照)に含まれる空洞の1個ずつの長さ(ri)を測定し、その平均の長さをrとした。また、前記縦延伸方向に平行な断面の測定枠(図3C参照)に含まれる空洞の1個ずつの長さ(Li)を測定し、その平均の長さをLとした。
即ち、r及びLは、それぞれ下記の(1)式及び(2)式で表すことができる。
r=(Σri)/m ・・・(1)
L=(ΣLi)/n ・・・(2)
そして、L/rを算出し、アスペクト比とした。
まず、走査型電子顕微鏡により、繊維の表面に直交し、かつ、縦延伸方向に直交する断面を撮影した。
そして、断面写真において膜厚方向に(繊維の底面から上面にかけて)直線を引き、前記直線に接する空洞の個数を計測した。この作業を20本の直線について行い、平均を求めた。
結晶性を有するポリマー部の屈折率N1及び空洞の屈折率N2をアッベ屈折計により測定し、その差ΔN(=N1−N2)を算出した。
繊維の密度を概算して軽量性の指標とし、下記評価基準に基づき評価した。空洞部は空気と仮定した。
〔評価基準〕
◎:良好
○:普通
△:やや劣る
×:不良
分光光度計(V−570、日本分光製)と積分球ILN−472を用いて550nmの波長で光線反射率を測定し、下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
◎:反射率が80%以上
○:反射率が65%以上
△:反射率が50%以上、65%未満
×:反射率が50%未満
保温性の評価は、本発明の織編物を製造し、熟練者5名にて以下の評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
○:かなり暖かいと感じる
△:暖かくなったと感じる
×:変化無し
保温性において、比較例2は空洞がないので明らかに保温性は劣り、比較例1は中空構造の繊維なので、一段保温性が落ちる。中空ではなく、空隙を作る、静止空気の状態が一番保温性が良いといえる。
表3に示すように、実施例1、2、参考例3は、繊維として、充分な反射性を示し、軽量で、保温性に優れるといった性能を示すことが確認された。
10a 表面
100 空洞
L 配向方向における空洞の長さ
r 繊維の直径方向における空洞の長さ
Claims (9)
- 結晶性を有する一種のポリマーのみからなり、内部に空洞を有することを特徴とする繊維。
- 空洞の配向方向に直交する厚み方向における前記空洞の平均長さをr(μm)とし、前記空洞の配向方向における前記空洞の平均長さをL(μm)とした際のL/r比が10以上、100以下である請求項1に記載の繊維。
- 長さ方向に直交する方向における該繊維の断面積X(μm2)に対する空洞の断面積Y(μm2)の比(Y/X)の平均が0.05以上、0.4以下である請求項1から2のいずれかに記載の繊維。
- 該繊維の透過率をM(%)とし、該繊維の結晶性を有するポリマーと同一の結晶性を有するポリマーからなり、該繊維と同じ繊度であってかつ空洞を有しない繊維の透過率をN(%)としたときのM/N比が0.2以下であり、かつ、該繊維の光沢度が50以上である請求項1から3のいずれかに記載の繊維。
- 空洞の配向方向に直交する直径方向の任意の断面における空洞の平均の個数をP個とし、結晶性を有するポリマー部の屈折率をN1とし、空洞の屈折率をN2とし、N1とN2との差をΔN(=N1−N2)とするとき、ΔNとPとの積が2以上である請求項1から4のいずれかに記載の繊維。
- 結晶性を有する一種のポリマーが、ポリオレフィン類、ポリエステル類及びポリアミド類から選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載の繊維。
- 結晶性を有する一種のポリマーが、ポリブチレンテレフタレートである請求項1から6のいずれかに記載の繊維。
- 結晶性を有する一種のポリマーのみからなる樹脂組成物を溶融紡糸し、
10〜2,000m/minの速度で、かつ、
延伸温度をT(℃)、該結晶性を有するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
(Tg−30)≦T≦(Tg+50)
で表される延伸温度T(℃)で延伸して得られた請求項1から7のいずれかに記載の繊維。 - 請求項1から8のいずれかに記載の繊維の製造方法であって、
結晶性を有する一種のポリマーのみからなる樹脂組成物を溶融紡糸する工程と、
10〜2,000m/minの速度で、かつ、
延伸温度をT(℃)、該結晶性を有するポリマーのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、
(Tg−30)≦T≦(Tg+50)
で表される延伸温度T(℃)で延伸する工程と、を含むことを特徴とする繊維の製造方法。
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