JP2010070160A - 車両の駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機のロックを維持するためのエネルギーを低減でき、しかもロック時のショックの発生を抑制できる車両の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置2は、第1モータ・ジェネレータ4と一体回転可能な連結部材21をケース17に対して係合させて第1モータ・ジェネレータ4をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能で、かつ解放状態から係合状態への移行後に連結部材21に生じる正転方向のトルクを利用することによりアクチュエータ32の動力なしに係合状態を維持でき、かつ逆転方向の連結部材21の回転を許容するロック機構30を備え、解放状態から係合状態へ移行させる移行操作がアクチュエータ32にて行われる際に連結部材21が逆転方向に回転している状態となるように第1モータ・ジェネレータ4を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、動力伝達経路に配置された電動機をロックするロック機構を備えた車両の駆動装置に関する。
いわゆるハイブリッド車両に搭載された駆動装置として、湿式多板ブレーキを利用して電動機をロックするロック機構を備えたものが知られている(特許文献1)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
特開平8−183348号公報 特開2001−1773号公報
特許文献1の駆動装置は、電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態とを切り替えることにより、電動機を使用した電気的な無段変速を実現する駆動モードと電動機を使用しない固定変速段を実現する駆動モードとを選択的に実行できる。しかしながら、特許文献1の駆動装置は、電動機のロックを解除しても湿式多板ブレーキの多板間に介在するオイルの剪断力により引き摺りトルクが発生する。また、電動機のロックを維持するためにはブレーキの各板が相互に押し付けられた状態を維持するエネルギーを供給し続ける必要がある。従って、特許文献1の駆動装置には、こうしたロック機構の存在により損失が大きくなるという問題がある。
そこで、本発明は、電動機のロックを維持するためのエネルギーを低減でき、しかもロック時のショックの発生を抑制できる車両の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の駆動装置は、動力伝達経路に配置された電動機と、前記電動機と一体回転可能な回転部材を固定部材に対して係合させて前記電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、所定の動力により前記解放状態から前記係合状態へ移行させることができるアクチュエータと、前記解放状態から前記係合状態への移行後に前記回転部材に生じる所定方向のトルクを利用することにより前記アクチュエータの動力なしに前記係合状態を維持でき、かつ前記所定方向と反対方向の前記回転部材の回転を許容するセルフロック手段と、を有する車両の駆動装置であって、前記解放状態から前記係合状態へ移行させる移行操作が前記アクチュエータにて行われる際に前記回転部材が前記所定方向と反対方向に回転している状態となるように前記電動機を制御する制御手段を更に備えるものである(請求項1)。
この駆動装置によれば、アクチュエータによって一旦解放状態から係合状態へ移行させれば、その移行後に回転部材に生じる所定方向のトルクを利用することによりアクチュエータの動力なしに係合状態を維持することができる。従って、係合状態を維持するためにエネルギーの供給が必要ないため、ロック機構の搭載に伴う損失を低減することができる。また、解放状態から係合状態へ移行させる移行操作の際にはセルフロック手段が回転を許容する方向に回転部材が回転しているので、移行操作後すぐに回転部材がロックされることを回避できる。従って、移行操作に伴うショックの発生を抑制することができる。
第1の駆動装置の一態様において、前記制御手段は、前記回転部材に生じるトルクの目標値と実測値との差が低減するように前記電動機をフィードバック補正するとともに、前記アクチュエータにて前記移行操作が行われる際に前記フィードバック補正を禁止してもよい(請求項2)。移行操作が行われる際に電動機のフィードバック補正が行われていると、移行操作に伴う回転部材のトルクの低下に対して、その低下を補正すべく過大なトルクが発生するおそれがある。この態様によれば、移行操作が行われる際にこうしたフィードバック補正が禁止されるので、過大なトルクの発生を抑制することができる。これにより、移行操作に伴うショックの緩和に寄与することができる。
第1の駆動装置の一態様において、前記制御手段は、前記移行操作の開始後、前記回転部材に生じるトルクが徐々に低減するように前記電動機を制御してもよい(請求項3)。この態様によれば、移行操作が完了する際の回転数差を小さくできるので移行操作に伴うショックを低減することができる。
第1の駆動装置の一態様において、前記制御手段は、前記回転部材の回転数変化に基づいて前記移行操作の完了を判定してもよい(請求項4)。セルフロック手段の状態により、移行操作を行っても係合状態へ移行できない場合も考えられる。この態様によれば、回転部材の回転数変化に基づいて移行操作の完了を判定するため、解放状態から係合状態へ移行したことを確実に判定することができる。
第1の駆動装置の一態様において、前記動力伝達経路に配置された内燃機関を更に備え、前記制御手段は、前記移行操作の完了後に前記回転部材のトルクが0となるように前記電動機を制御してもよい(請求項5)。この態様によれば、移行操作の完了後に回転部材のトルクが0となるので、速やかに内燃機関を利用した走行モードへ切り替えることが可能になる。
本発明の第2の駆動装置は、動力伝達経路に配置された電動機と、前記電動機と一体回転可能な回転部材を固定部材に対して係合させて前記電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、所定の動力により前記解放状態から前記係合状態へ移行させることができるアクチュエータと、前記解放状態から前記係合状態への移行後に所定の位相差範囲外において前記回転部材に生じるトルクを利用することにより前記アクチュエータの動力なしに前記係合状態を維持でき、かつ前記位相差範囲内において前記回転部材の回転を許容するセルフロック手段と、を有する車両の駆動装置であって、前記解放状態から前記係合状態へ移行させる移行操作が前記アクチュエータにて行われる際に前記回転部材が前記位相差範囲内に維持されるように前記電動機を制御する制御手段を更に備えるものである(請求項6)。
また、本発明の第3の駆動装置は、動力伝達経路に配置された電動機と、前記電動機と一体回転可能な回転部材を固定部材に対して係合させて前記電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記固定部材に対して静止した摩擦部と、前記摩擦部から離れた状態から前記摩擦部に接触する状態までの間を移動でき、かつ前記回転部材と一体回転するクラッチ要素と、前記解放状態から前記係合状態へ移行させる際に前記クラッチ要素を前記摩擦部に引き寄せて接触させるアクチュエータと、前記解放状態から前記係合状態への移行後に所定の位相差範囲外において前記回転部材に生じるトルクを利用して前記クラッチ要素を前記摩擦部に押し付ける方向の力を発生させ、かつ前記位相差範囲内において前記回転部材の回転を許容する係合補助手段と、を有する車両の駆動装置であって、前記解放状態から前記係合状態へ移行させる移行操作が前記アクチュエータにて行われる際に前記回転部材が前記位相差範囲内に維持されるように前記電動機を制御する制御手段を更に備えるものである(請求項7)。
これらの駆動装置によれば、係合状態を維持するためのエネルギーの供給が不要又はその供給量を低減できる。そして、移行操作が行われる際に回転部材の回転が許容される位相差範囲内に維持されるため、移行操作後すぐに回転部材がロックされることを回避できる。従って、電動機のロックを維持するためのエネルギーを低減でき、しかも移行操作に伴うショックの発生を抑制することができる。
以上説明したように、本発明の駆動装置によれば、係合状態を維持するためにエネルギーの供給が不要又はその供給量を低減できるため、ロック機構の搭載に伴う損失を低減することができる。また、解放状態から係合状態の移行後に車両の走行状態に応じてアクチュエータからの動力を利用して係合状態の維持を補助する駆動継続状態とアクチュエータからの動力を停止する駆動停止状態と切り替えることができるため、例えばセルフロック手段による誤解放が懸念される走行状態の際に駆動継続状態へ切り替えることにより、アクチュエータからの動力を利用して係合状態の維持を補助することができる。従って、解放状態から係合状態への切替後におけるセルフロック手段の誤解放を防止できるため、係合状態を確実に維持することが可能になる。
(第1の形態)
図1は本発明の一形態に係る駆動装置が組み込まれた車両の全体構成を概略的に示しており、図2は図1に示された駆動装置の要部を詳細に示している。車両1はいわゆるハイブリッド車両として構成されている。周知のようにハイブリッド車両は、内燃機関を走行用の駆動力源として備えるとともに、電動機を他の走行用の駆動力源として備えた車両である。車両1は、駆動輪と内燃機関とが車両前部に位置するFFレイアウトの車両として構成されている。
これらの図に示すように、駆動装置2は、内燃機関3と、電動機としての第1モータ・ジェネレータ4と、内燃機関3及び第1モータ・ジェネレータ4がそれぞれ連結された動力分配機構5と、車両1の駆動輪10に動力を出力するための出力ギア6とを備えている。また、駆動装置2には変速機構7を介して出力ギア6に連結された第2モータ・ジェネレータ8が設けられている。出力ギア6の動力は差動装置11を介して左右の駆動輪10に伝達される。
内燃機関3は、火花点火型の多気筒内燃機関として構成されており、その動力は入力軸15を介して動力分配機構5に伝達される。入力軸15と内燃機関3との間にはダンパ16が介在しており、内燃機関3のトルク変動はダンパ16にて吸収される。第1モータ・ジェネレータ4と第2モータ・ジェネレータ8とは同様の構成を持っていて、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えている。第1モータ・ジェネレータ4は、固定部材であるケース17に固定されたステータ4aと、そのステータ4aの内周側に同軸に配置されたロータ4bとを備えている。第2モータ・ジェネレータ8も同様に、ケース17に固定されたステータ8aと、そのステータ8aの内周側に同軸に配置されたロータ8bとを備えている。
動力分配機構5は、相互に差動回転可能な3つの要素を持つシングルピニオン型の遊星歯車機構として構成されており、外歯歯車であるサンギアSu1と、そのサンギアSu1に対して同軸的に配置された内歯歯車であるリングギアRi1と、これらのギアSu1、Ri1に噛み合うピニオン20を自転かつ公転自在に保持するキャリアCr1とを備えている。この形態では、入力軸15がキャリアCr1に、第1モータ・ジェネレータ4が回転部材としての連結部材21を介してサンギアSu1に、出力ギア6がリングギアRi1にそれぞれ連結されている。図2に示すように、連結部材21は中空状に構成されて、かつ入力軸15が挿入された状態で軸受22、23を介してケース17に支持されている。連結部材21の外周には第1モータ・ジェネレータ4のロータ4bが固定されている。
図1に示すように、減速機構7は、第2モータ・ジェネレータ8の回転を減速して出力ギア6に伝達するための機構であり、相互に差動回転可能な3つの要素を持つシングルピニオン型の遊星歯車機構として構成されている。減速機構7は外歯歯車であるサンギアSu2と、そのサンギアSu2に対して同軸的に配置された内歯歯車であるリングギアRi2と、これらのギアSu2、Ri2に噛み合うピニオン25を自転かつ公転自在に保持するキャリアCr2とを備えている。この形態では、サンギアSu2が第2モータ・ジェネレータ8に、リングギアRi2が出力ギア6にそれぞれ連結されており、キャリアCr2はケース17に固定されている。これにより、第2モータ・ジェネレータ8の回転が減速されて出力ギア6に伝達されるとともに、第2モータ・ジェネレータ8の動力が増幅されて出力ギア6に伝達される。
駆動装置2には、第1モータ・ジェネレータ4をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態とを切り替えることにより、駆動モードを変更するためのロック機構30が設けられている。このロック機構30により、第1モータ・ジェネレータ4を使用した電気的な無段変速を実現する駆動モードと第1モータ・ジェネレータ4を使用しない固定変速段を実現する駆動モードとを選択的に実行できる。ロック機構30は、連結部材21とケース17との間に介在して連結部材21をケース17に対して固定できるセルフロック手段としての係合機構31と、係合機構31を動作させるソレノイド型のアクチュエータ32とを備えている。ロック機構30の詳細は後述するが、まずは図3及び図4を参照しながらロック機構30の概要を説明する。
図3及び図4はロック機構30の概要を説明するための説明図である。図3は第1モータ・ジェネレータ4をロックできる係合状態を示しており、図4は第1モータ・ジェネレータ4のロックが解除された解放状態を示している。ロック機構30の係合機構31には互いに同軸の内輪35及び外輪36と、これら内輪35及び外輪36の間に形成された環状空間Sに設けられた介在部材37とが設けられている。内輪35は連結部材21に固定されていて連結部材21と一体回転する。外輪36はケース17に固定されている。ロック機構30はアクチュエータ32を利用して係合機構31の介在部材37を動作させることにより、第1モータ・ジェネレータ4をロックできる係合状態とそのロックを解除する解放状態とを切り替えることができる。
図3及び図4から理解できるように、アクチュエータ32により解放状態から係合状態へ移行した後には、第1モータ・ジェネレータ4の正転方向(+方向)への回転が制限されてロックされる。そして、係合状態への移行後において、連結部材21に正転方向のトルク(正トルク)が作用している限りにおいて、介在部材37によって内輪35及び外輪36間の環状空間Sを拡大させる方向に力が働くため、アクチュエータ32の動力なしに係合状態が維持される。つまり、連結部材21に発生する正トルクによって、内輪35、外輪36及び介在部材37の間にいわゆる楔効果が発生して係合機構31はセルフロック状態となる。
また、係合状態において正転方向とは反対方向の逆転方向(−方向)のトルク(負トルク)が連結部材21に作用した場合には、環状空間Sを拡大させる方向への力が失われるためアクチュエータ32の動力なしにセルフロックが解除されて係合状態から解放状態へ移行できる。換言すれば、係合状態への移行後は、連結部材21の逆転方向の回転が係合機構31にて許容される。また、介在部材37は解放状態が維持される方向へ後述のリターンスプリング42にて付勢されている。従って、図4に示すように、ロック機構30が解放状態の場合には、アクチュエータ32の動力なしに解放状態が維持されて、正転方向及び逆転方向のそれぞれへ連結部材21の回転が許容される。
図5及び図6は、ロック機構30の詳細を示した断面図であり、図5は係合状態を、図6は解放状態をそれぞれ示している。これらの図に示すように、内輪35と外輪36との間に形成される環状空間Sには、略等間隔で7個の介在部材37が設けられている。介在部材37は円柱状に構成されている。環状空間Sは、介在部材37毎に設けられた区間Saを有しており、各区間Saは正転方向に向かって徐々に半径方向の幅が狭まるように形成されている。各区間Saの後端部は介在部材37よりも幅が大きくなっている。
環状空間Sには、介在部材37を保持するポケット38aが介在部材37毎に形成された環状の保持器38が設けられている。保持器38は、内輪35及び外輪36のそれぞれに対して相対回転できる。ロック機構30には、アクチュエータ32の動力を保持器38を介して介在部材37に伝達するための伝達機構39が設けられている。伝達機構39は、保持器38から半径方向外側に延びるレバー40と、アクチュエータ32に接続されてレバー40の先端にリンク結合されたロッド41とを備えている。ロック機構30には、解放状態となる方向に保持器38を付勢するリターンスプリング42が設けられている。リターンスプリング42はその一端がロッド41に形成されたスプリングシート43に、他端がケース17にそれぞれ支持されている。
ロック機構30はこうした構成を有しているため、図5の係合状態において連結部材21及び内輪35に正トルクが作用すると、介在部材37によって各区間Saを拡大させる方向に力が作用する。これにより、アクチュエータ32の動力なしに、換言すれば保持器38に力を加えなくても連結部材21に正トルクが作用している限りにおいてセルフロック状態となって係合状態を維持できる。図5の係合状態において、連結部材21に反対方向の負トルクが作用すると、各区間Saを拡大させる方向への力が失われ、かつリターンスプリング42の弾性力が保持器38に作用するため、セルフロックが解除されて図6の解放状態へ移行できる。また、係合状態への移行後には連結部材21の逆転方向の回転が係合機構31にて許容される。一旦解放状態へ移行した後には、リターンスプリング42の弾性力によって解放状態がアクチュエータ32の動力なしに維持される。また、図6の解放状態から図5の係合状態への切り替えは、アクチュエータ32がリターンスプリング42の弾性力に打ち勝つようにロッド41を駆動してレバー40を正転方向に移動させた状態で、連結部材21に正トルクが作用することにより実現される。一旦係合状態へ移行した後は上述の通り係合状態の維持のためにアクチュエータ32の動力は不要である。
図1に示したように、ロック機構30に設けられたアクチュエータ32の動作はコンピュータとして構成されたロック制御装置45にて制御される。ロック制御装置45は駆動装置2を制御するトランスミッションコントロールユニットなどの他のコンピュータと兼用されてもよいし、ロック機構30の制御のために専用に設けられてもよい。ロック制御装置45には、車両1の車速に応じた信号を出力する車速センサ46と、駆動装置2の負荷(駆動力)に相関するアクセル開度に応じた信号を出力するアクセル開度センサ47とがそれぞれ電気的に接続されている。
ロック機構30の係合状態及び解放状態間の切り替えはロック制御装置45にて行われるが、本形態は解放状態から係合状態へ移行させる移行操作がアクチュエータ32にて行われる際の制御に特徴を有している。まずは、図7及び図8を参照しながら本形態に係る制御の概要を説明する。
図7は、解放状態から係合状態へ移行する際にロック制御装置45にて行われた制御結果の一例を示すタイミングチャートである。この図は、解放状態から係合状態へ移行する際の、車速、アクセル開度、係合指令の有無、内燃機関3及び第1モータ・ジェネレータ4の各回転数、内燃機関3及び第1モータ・ジェネレータ4の各トルク、並びにアクチュエータ32の作動状態の時間的変化が同一時間軸に示されている。この移行例においては車速及びアクセル開度のそれぞれが一定である。係合状態及び解放状態間の切り替えは、車両1の走行状態を代表するパラメータである車速及びアクセル開度に基づいて行われる。
時刻t1では、ロック制御装置45は車速及びアクセル開度が係合状態へ切り替えるべき領域に該当したと判断して係合指令を出力する(OFF→ON)。時刻t2では、その係合指令に応答して第1モータ・ジェネレータ4の回転数を逆転方向の所定値ntへ変化させ、そして時刻t4に至るまでその回転数を所定値ntに維持する(回転同期制御)。この回転同期制御において目標値となる所定値ntは係合機構31による係合が適正に行われる値として定められている。
時刻t3では、係合指令に応答してアクチュエータ32に対して電力供給が行われ、アクチュエータ32による移行操作が開始する。その移行操作の開始に合わせて、第1モータ・ジェネレータ4のトルク(連結部材21のトルク)についてのフィードバック補正を禁止し、かつ第1モータ・ジェネレータ4のトルクを所定値ttに制御する。なお、移行操作時以外の通常時には、ロック制御装置45にて連結部材21に生じるトルクの目標値と実測値との差が低減するように第1モータ・ジェネレータ4をフィードバック補正が行われている。このフィードバック補正は、車両1の走行状態が適正に維持されるように、所定のプログラムに基づいて第1モータ・ジェネレータ4のトルクの目標値を演算し、不図示のトルクセンサで取得したトルクの実測値との差を減少させる操作量を演算し、その操作量を第1モータ・ジェネレータ4に与える周知の制御である。
移行操作の開始後、時刻t4から第1モータ・ジェネレータ4のトルク(の大きさ)を徐々に低減させる。図8は、内燃機関3及び第1モータ・ジェネレータ4が連結された動力分配機構5の共線図を示しており、破線が移行操作完了前、実線が移行操作完了後を示している。この図から理解できるように、第1モータ・ジェネレータ4のトルクtgを徐々に低減させると、内燃機関3のトルクteによって第1モータ・ジェネレータ4の回転数は0に近づく。こうしたトルクの低減制御により、図7の時刻t5において第1モータ・ジェネレータ4の回転数が0に到達し、その回転数が0の状態で所定時間経過した時(時刻t6)に移行操作の完了を判定する。つまり、時刻t5〜t6間に示した回転数変化を検出した場合に移行操作の完了を判定する。移行操作の完了と同時に第1モータ・ジェネレータ4に対する電力供給を停止する。これにより、連結部材21のトルク(第1モータ・ジェネレータ4のトルク)は0に変化する。なお、第1モータ・ジェネレータ4に対する電力供給を停止する代りに、電力供給を維持しつつ第1モータ・ジェネレータ4のトルクを0に操作することもできる。
以上の制御によれば、アクチュエータ32による移行操作が行われる際に、連結部材21が逆転方向に回転している状態にあるため、移行操作後すぐに連結部材21がロックされることを回避できる。そのため、移行操作に伴うショックの発生を抑制できる。図8に示したように、仮に、連結部材21が正転方向に回転している状態で移行操作を行った場合には、係合機構31の特性上、想像線の位置から実線の位置へ瞬間的に矢印F方向に移動しなければならないので大きなショックが発生する。係合機構31は移行操作の際に摩擦ブレーキのように回転要素を滑らせながら慣性エネルギーを徐々に摩擦エネルギーへ変換することが難しいためである。
ロック制御装置45は、こうした制御を実現するため図9に示す制御ルーチンを実行している。図9はロック制御装置45が実行する制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはロック制御装置45にて保持されており、適時に読み出されて所定間隔で繰り返し実行される。
ステップS1では、車速センサ46及びアクセル開度センサ47のそれぞれからの信号を読み込んで、車速及びアクセル開度を車両1の走行状態を代表するパラメータとして取得する。
ステップS2では、車両1の走行状態が、解放状態から係合状態へ切り替えるべき領域として定義された係合領域に該当するか否かを判定する。係合領域に該当する場合はステップS3に進み、係合領域に該当しない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS3では、アクチュエータ32がONになっているか、即ち移行操作が開始しているか否かを判定する。移行操作が開始している場合はステップS8に進み、移行操作の開始前の場合はステップS4に進む。
ステップS4では、上述した回転同期制御が完了しているか、即ち回転同期制御により第1モータ・ジェネレータ4の回転数が所定値ntに維持されているか否かを判定する。回転同期制御が完了した場合はステップS6に進み、回転同期制御の完了前であればステップS5に進む。
ステップS5では、上述した回転同期制御を開始又は続行する。即ち、逆転方向の回転数が所定値ntとなるように第1モータ・ジェネレータ4を制御する。そしてステップS11に進む。
ステップS6では、回転同期制御が完了したため、アクチュエータ32に対する電力供給を開始する。即ち、解放状態から係合状態への移行操作を開始する。
ステップS7では、上述したフィードバック補正を禁止するとともに、第1モータ・ジェネレータ4のトルクtgを所定値ttに制御する。そしてステップS11に進む。
ステップS8では、移行操作が完了したか否かを判定する。その判定は図7の時刻t5〜t6間に示した回転数変化に基づいて行われる。具体的には、第1モータ・ジェネレータ4の回転数が0に到達し、その回転数が0の状態で所定時間経過したことを条件として移行操作の完了が判定される。移行操作の完了を判定した場合はステップS10に進み、そうでない場合はステップS9に進む。
ステップS9では、第1モータ・ジェネレータ4のトルクを徐々に低減させる。一回の処理で低減するトルクの低減量は処理周期を考慮して適宜に設定される。
ステップS10では、移行操作の完了に合わせて、第1モータ・ジェネレータ4に対する電力供給を停止する。これにより、第1モータ・ジェネレータ4のトルクは0に変化する。上述したように、第1モータ・ジェネレータ4に対する電力供給を停止する代りに、電力供給を維持しつつ第1モータ・ジェネレータ4のトルクを0に操作することも可能である。
ステップS11では、ステップS8と同様に移行操作の完了を判定し、移行操作が完了した場合はルーチンを終了し、移行操作の完了前であればステップS1に処理を戻す。
以上の制御ルーチンをロック制御装置45が実行することにより、上述した効果を発揮することができ、ロック制御装置45は本発明に係る制御手段として機能する。
(第2の形態)
次に、図10〜14を参照して本発明の第2の形態を説明する。本形態はロック機構の構成及び制御内容を除いて第1の形態と同一である。従って、第2の形態に係るロック機構を備えた駆動装置が組み込まれた車両の全体構成に関しては図1及び図2が適宜参照される。また、以下の説明において第1の形態と共通する構成に関しては図10〜図14に第1の形態と同一符号を付して説明を省略する。また、特に断らない限り、図7及び図9に示した第1の形態に係る制御と同一の制御を第2の形態に対しても適用できる。
図10及び図11は、第2の形態に係るロック機構50の詳細を示した図であり、図10は解放状態を、図11は係合状態をそれぞれ示している。ロック機構50は、セルフロック手段としての係合機構51と、係合機構51を動作させるアクチュエータ52とを備えている。係合機構51には連結部材21が接続されており、連結部材21を介して第1モータ・ジェネレータ4のトルクが入力される。アクチュエータ52は係合機構51とケース17との間に介在しており、ケース17に対して固定されている。
係合機構51には、連結部材21に固定された第1クラッチ板55と、この第1クラッチ板55と同軸に配置された第2クラッチ板56と、これらのクラッチ板55、56の間に介在する球状の介在部材57とが設けられている。各クラッチ板55、56は円板状に構成されていて、各クラッチ板55、56の対向面には介在部材57を保持するV字溝58、59が形成されている。
図12は第1クラッチ板55を軸線方向から見た状態を示しており、図13及び図14は各クラッチ板55、56を半径方向から見た状態を示している。図13は各クラッチ板55、56の位相が一致している状態を、図14は各クラッチ板55、56の位相がずれている状態をそれぞれ示している。図12から明らかなように、第1クラッチ板55に設けられたV字溝58は、周方向に等間隔に6個並べられている。第2クラッチ板56に形成された他方のV字溝59も同様に周方向に等間隔に6個並べられている。各V字溝58、59は、第1クラッチ板55の中心線を含む断面で切断した場合には断面半円形をなしている(図10及び図11参照)。また、図12に示すように、第1クラッチ板55の軸線方向から見ると、各V字溝58、59は、第1クラッチ板55の中心寄りの内側縁部と中心から離れた外側縁部とが同心の円弧をなすように湾曲している。更に、図13及び図14に示すように、第1クラッチ板55の半径方向から見ると、各V字溝58、59はV字状に形成されていて、回転方向(図の上又は下方向)に関して深さが徐々に浅くなっている。
図10に示すように、ロック機構50が解放状態の場合、係合機構51の第2クラッチ板56とアクチュエータ52との間には所定の隙間Gが形成されている。第2クラッチ板56とアクチュエータ52との間には、アクチュエータ52から離れる方向に第2クラッチ板56を付勢するリターンスプリング60が設けられている。そのため、解放状態においては、第2クラッチ板56が第1クラッチ板55に接近する方向に押し付けられた状態で、第1クラッチ板55と第2クラッチ板56とが供回りする。
アクチュエータ52には第2クラッチ板56と接触し得る摩擦部61と、摩擦部61に組み込まれた電磁石62とが設けられている。摩擦部61はケース17に対して静止している。第2クラッチ板56は磁性金属で構成されているため、図10の状態でアクチュエータ52が電磁石62を励磁すると、第2クラッチ板56はリターンスプリング60の弾性力に抗してアクチュエータ52側に引き寄せられる。そして、電磁石62の磁力により第2クラッチ板56が摩擦部61に接触した場合には、第2クラッチ板56と摩擦部61との間に摩擦力が生じるため第2クラッチ板56が摩擦部61に対して停止する。つまり、図11に示すように、第1モータ・ジェネレータ4をロックする係合状態へ移行する。
第1クラッチ板55に正トルクが生じている場合、図14に示すように、各クラッチ板55、56の位相がずれることにより、介在部材57がV字溝58、59内の浅い位置に位置に移動して、第2クラッチ板56を摩擦部61に押し付ける力が発生する。そのため、係合状態に移行した後に第1クラッチ板55に(連結部材21に)正トルクが作用している限りにおいてその押し付け力は維持される。そのため、解放状態における電磁石62の励磁によって、一旦第2クラッチ板56が摩擦部61に接触した場合には、その後電磁石62への電力供給を停止しても第2クラッチ板56と摩擦部61との摩擦力が失われることがないから係合状態を維持することが可能になる。つまり、アクチュエータ52の動力なしに係合状態を維持できるセルフロック状態を実現できる。但し、第2クラッチ板56を摩擦部61に押し付ける力は各クラッチ板55、56の位相差に応じて変化する。例えば、その位相差が図14に示すように位相差範囲Rを超えた場合、つまり位相差範囲R外では十分な押し付け力が生じるため係合状態を維持できる。その一方で、位相差範囲R内では第1クラッチ板55の回転が許容される。
図11の係合状態おいて連結部材21に正トルクと反対方向の負トルクが作用すると第2クラッチ板56を摩擦部61に押し付ける力が失われ、かつ各クラッチ板55、56の位相差が位相差範囲R内に収まるため(図13も参照)、セルフロックが解除されて図10の解放状態へ移行する。解放状態へ移行した後には、リターンスプリング60の弾性力によってアクチュエータ52の動力なしに図10の解放状態が維持される。図10の解放状態においては、正転方向及び逆転方向のそれぞれへの連結部材21の回転が許容される。
図10に示すように、アクチュエータ52に対する制御はロック制御装置45にて行われるが、第2の形態は解放状態から係合状態へ移行させる移行操作の際に、各クラッチ板55、56の位相差を上述した位相差範囲R内に維持することに特徴を有している。ロック機構50は、各クラッチ板55、56の位相差を検出するため、第1クラッチ板55に設けられた第1レゾルバ65と、第2クラッチ板56に設けられた第2レゾルバ66とを更に備えている。各レゾルバ65、66からの信号はロック制御装置45に入力され各クラッチ板55、56の位相差が演算される。
ロック制御装置45は、車両1の走行状態が解放状態から係合状態へ移行させるべき係合領域に該当した場合には、アクチュエータ52に電力供給を開始する前に各クラッチ板55、56の位相差が位相差範囲R内に維持されるように第1モータ・ジェネレータ4を制御する。そして、その位相差が位相差範囲R内に維持されている状態で、アクチュエータ52による移行操作が行われる。
従って、第2の形態によれば、アクチュエータ52による移行操作が行われる際に連結部材21の回転が許容される位相差範囲内に維持されるため、移行操作後すぐに第1モータ・ジェネレータ4がロックされることを回避できる。従って、移行操作に伴うショックの発生を抑制することができる。このような制御をロック制御装置45が行うことにより、ロック制御装置45は本発明に係る制御手段として機能することができる。
第2の形態は、第2クラッチ板56を摩擦部61に押し付ける力がセルフロック可能な程度となるように、V字溝58、59の傾斜角等の押し付け力に影響する諸条件が設定されている。これにより、アクチュエータ52の動力なしに係合機構51は単独で係合状態を維持できる。しかしながら、係合状態におけるその押し付け力が低下するように係合機構51の諸条件を変更することにより、係合機構51をアクチュエータ52を補助する手段として機能させることもできる。つまり、アクチュエータ52の動力と係合機構51による押し付け力とを利用して係合状態を維持することもできる。
係合機構51の諸条件をこのように変更した場合には、アクチュエータ52のみで係合状態を維持する場合と比較して、係合状態を維持するために必要なアクチュエータの動力を低減させることができる。そして、係合機構51による助けを借りることを条件として係合状態が維持されるようにアクチュエータ52の動力を制御する場合には、連結部材21に対する反トルクの作用によって第2クラッチ板56を摩擦部61へ押し付ける方向の力が失われることを契機として直ちに係合状態から解放状態へ移行させることが可能になる。ロック機構50をこのように使用する場合には、係合機構51は、セルフロック手段の代りに、本発明に係る係合補助手段として機能するとともに、係合機構51の第1クラッチ板55及び第2クラッチ板56の組み合わせが本発明に係るクラッチ要素に相当する。
本発明は、上記の各形態に限定されず、種々の形態にて実施できる。本発明の駆動装置はハイブリッド車両に適用することに限定されるものではない。従って、何らかの動力伝達経路に設けられた電動機をロックする駆動装置として本発明を実施することができる。また、セルフロック手段を実現した図示の形態は例示にすぎず、本発明に係るセルフロック手段を図示の形態とは異なる形態で実現することも可能である。
本発明の一形態に係る駆動装置が組み込まれた車両の全体構成を概略的に示した図。 図1に示された駆動装置の要部を詳細に示した図。 ロック機構の概要を説明する説明図であって、第1モータ・ジェネレータをロックできる係合状態を示した図。 ロック機構の概要を説明する説明図であって、第1モータ・ジェネレータのロックが解除された解放状態を示した図。 ロック機構の詳細を示した断面図であって、第1モータ・ジェネレータをロックできる係合状態を示した図。 ロック機構の詳細を示した断面図であって、第1モータ・ジェネレータのロックが解除された解放状態を示した図。 解放状態から係合状態へ移行する際にロック制御装置にて行われた制御結果の一例を示すタイミングチャート。 内燃機関及び第1モータ・ジェネレータが連結された動力分配機構の共線図を示した図。 ロック制御装置が実行する制御ルーチンの一例を示したフローチャート。 第2の形態に係るロック機構の詳細を示した図であって、第1モータ・ジェネレータのロックが解除された解放状態を示した図。 第2の形態に係るロック機構の詳細を示した図であって、第1モータ・ジェネレータをロックできる係合状態を示した図。 第1クラッチ板を軸線方向から見た状態を示した図。 各クラッチ板を半径方向から見た状態を示した図であって、各クラッチ板の位相が一致している状態を示した図。 各クラッチ板を半径方向から見た状態を示した図であって、各クラッチ板の位相がずれている状態を示した図。
符号の説明
2 駆動装置
3 内燃機関
4 第1モータ・ジェネレータ(電動機)
17 ケース(固定部材)
21 回転部材(連結部材)
30 ロック機構
31 係合機構(セルフロック手段)
32 アクチュエータ
45 ロック制御装置(制御手段)
50 ロック機構
51 係合機構(セルフロック手段、係合補助手段)
52 アクチュエータ
61 摩擦部

Claims (7)

  1. 動力伝達経路に配置された電動機と、前記電動機と一体回転可能な回転部材を固定部材に対して係合させて前記電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、所定の動力により前記解放状態から前記係合状態へ移行させることができるアクチュエータと、前記解放状態から前記係合状態への移行後に前記回転部材に生じる所定方向のトルクを利用することにより前記アクチュエータの動力なしに前記係合状態を維持でき、かつ前記所定方向と反対方向の前記回転部材の回転を許容するセルフロック手段と、を有する車両の駆動装置であって、
    前記解放状態から前記係合状態へ移行させる移行操作が前記アクチュエータにて行われる際に前記回転部材が前記所定方向と反対方向に回転している状態となるように前記電動機を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 前記制御手段は、前記回転部材に生じるトルクの目標値と実測値との差が低減するように前記電動機をフィードバック補正するとともに、前記アクチュエータにて前記移行操作が行われる際に前記フィードバック補正を禁止する請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記制御手段は、前記移行操作の開始後、前記回転部材に生じるトルクが徐々に低減するように前記電動機を制御する請求項1又は2に記載の駆動装置。
  4. 前記制御手段は、前記回転部材の回転数変化に基づいて前記移行操作の完了を判定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動装置。
  5. 前記動力伝達経路に配置された内燃機関を更に備え、
    前記制御手段は、前記移行操作の完了後に前記回転部材のトルクが0となるように前記電動機を制御する請求項1〜4のいずれか一項に記載の駆動装置。
  6. 動力伝達経路に配置された電動機と、前記電動機と一体回転可能な回転部材を固定部材に対して係合させて前記電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、所定の動力により前記解放状態から前記係合状態へ移行させることができるアクチュエータと、前記解放状態から前記係合状態への移行後に所定の位相差範囲外において前記回転部材に生じるトルクを利用することにより前記アクチュエータの動力なしに前記係合状態を維持でき、かつ前記位相差範囲内において前記回転部材の回転を許容するセルフロック手段と、を有する車両の駆動装置であって、
    前記解放状態から前記係合状態へ移行させる移行操作が前記アクチュエータにて行われる際に前記回転部材が前記位相差範囲内に維持されるように前記電動機を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする車両の駆動装置。
  7. 動力伝達経路に配置された電動機と、前記電動機と一体回転可能な回転部材を固定部材に対して係合させて前記電動機をロックする係合状態とそのロックを解除する解放状態との間で切り替え可能なロック機構と、を備え、前記ロック機構は、前記固定部材に対して静止した摩擦部と、前記摩擦部から離れた状態から前記摩擦部に接触する状態までの間を移動でき、かつ前記回転部材と一体回転するクラッチ要素と、前記解放状態から前記係合状態へ移行させる際に前記クラッチ要素を前記摩擦部に引き寄せて接触させるアクチュエータと、前記解放状態から前記係合状態への移行後に所定の位相差範囲外において前記回転部材に生じるトルクを利用して前記クラッチ要素を前記摩擦部に押し付ける方向の力を発生させ、かつ前記位相差範囲内において前記回転部材の回転を許容する係合補助手段と、を有する車両の駆動装置であって、
    前記解放状態から前記係合状態へ移行させる移行操作が前記アクチュエータにて行われる際に前記回転部材が前記位相差範囲内に維持されるように前記電動機を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする車両の駆動装置。
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