JP2010070115A - 車両のドア構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドアを電着塗装する際に、補強用のビード部およびドアパネル間の空隙に塗料を円滑に導くことができる車両のドア構造を提供する。
【解決手段】車両のドア構造は、インナパネル17の支持部25に補強部材20を介してロック機構22が設けられている。補強部材20は、ロック機構が取り付けられた取付部45と、取付部から側壁24に沿って折り曲げられて側壁に接合された上接合部46と、上接合部および取付部間に介在されて第1空隙75,76を形成する空隙仕切部48,49とを有する。上接合部46のビード部56,57および側壁24間に第2空隙62,63が形成されている。第2空隙62,63は、第1空隙75,76に連通され、かつ、外側に開口されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、車体の開口部を開閉するドアを備え、このドアに補強部材を介してロック機構を設け、このロック機構でドアを閉じた状態に保持する車両のドア構造に関する。
車両のドア構造は、ドアの壁部を形成するインナパネル(以下、「ドアパネル」という)を備え、このドアパネルの側壁から略横向きに支持部を折り曲げ、この支持部に補強部材を取り付け、この補強部材を介してロック機構をドアパネルに取り付け、このロック機構で前記ドアを閉じた状態に保持可能に構成されている。
車両のドア構造の補強部材は、補強部材の剛性を高めるために補強用のビード部が上下方向に延びるように形成されている。
補強用のビード部は、ドアパネルに対して離れる方向に膨出された凸部である(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−56361号公報
補強用のビード部をドアパネルに対して離れる方向に膨出することで、ドアパネルに対向する面に溝部(凹部)が形成される。
よって、補強部材に補強用のビード部を設けることで、補強用のビード部とドアパネルとの間に比較的小さな空隙が形成される。
ここで、補強用のビード部は、上端部が補強部材の縁部の手前まで形成されている(すなわち、補強部材の縁部まで形成されていない)。
よって、補強用のビード部とドアパネルとの間の空隙は、上端部がドアパネルおよび補強部材で閉塞されている。
このため、ドアを電着塗装する際に、補強用のビード部およびドアパネル間の空隙に塗料を円滑に導くことが難しくなることが考えられる。
本発明は、ドアを電着塗装する際に、補強用のビード部およびドアパネル間の空隙に塗料を円滑に導くことができる車両のドア構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体の開口部を開閉するドアを備え、このドアの壁部をドアパネルで形成し、このドアパネルの側壁から支持部を折り曲げ、この支持部に補強部材を介してロック機構を設け、このロック機構で前記ドアを閉じた状態に保持する車両のドア構造であって、前記補強部材は、前記支持部に設けられた状態で前記ロック機構が取り付けられた取付部と、この取付部から前記側壁に沿って折り曲げられるとともに補強用のビード部が形成され、前記側壁に接合された接合部と、この接合部および前記取付部間に介在されて両部を連結し、前記ドアパネルに対して非接触状態に配置されることで前記ドアパネルとの間に第1空隙を形成する空隙仕切部と、を有し、前記補強用のビード部を前記側壁に対して離す方向に膨出させることで、前記補強用のビード部および前記側壁間に第2空隙が形成され、この第2空隙の一端部が前記第1空隙に連通されるとともに、第2空隙の他端部が前記補強部材の外側に開口されたことを特徴とする。
請求項2は、前記補強部材のうち、前記取付部および前記接合部が交差する略水平な交差線の延長方向の中央部寄りの部位から外側部まで前記空隙仕切部が前記交差線に沿って延出され、この空隙仕切部および前記接合部の境界に形成された上折線部を、前記空隙仕切部の延出方向に向けて上り勾配に傾斜させたことを特徴とする。
請求項3は、前記空隙仕切部の少なくとも一部の部位が、前記接合部から前記取付部に向けて下り勾配となるように傾斜状に形成されるとともに平坦に形成されたことを特徴とする。
請求項4は、前記接合部は、前記取付部および前記接合部が交差する略水平な交差線の延長方向の中央部において中央接合部が前記取付部に直接接続され、この中央接合部の両側部が前記空隙仕切部を介して前記取付部に連結されたことを特徴とする。
請求項5は、前記空隙仕切部および前記取付部の境界に下折線部が形成され、この下折線部が前記ロック機構の外形に沿って形成されたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、補強部材に空隙仕切部を備え、この空隙仕切部を接合部および取付部間に介在させて両部を連結した。
空隙仕切部をドアパネルに対して非接触状態に配置することで、空隙仕切部およびドアパネル間に第1空隙を形成した。
一方、接合部に備えた補強用のビード部を側壁に対して離す方向に膨出させることで、補強用のビード部および側壁間に第2空隙を形成した。
そして、第2空隙の一端部を第1空隙に連通するとともに、第2空隙の他端部を補強部材の外側に開口させた。
よって、ドアを電着塗装する際に、第2空隙の他端部から第2空隙に塗料を導き、導いた塗料を第2空隙の一端部から第1空隙に導くことができる。
これにより、ドアを電着塗装する際に、第2空隙や第1空隙に塗料を円滑に導くことが可能になり、第1空隙を形成する面や第2空隙を形成する面の電着塗装を良好におこなうことができる。
電着塗装とは、水溶性塗料中に浸漬したドア(車体)に電流を流し、電気泳動により電気化学的にドア(車体)に塗膜を施す塗装方法をいう。
ここで、補強部材の取付部にロック機構が取り付けられている。このロック機構は、ドアを閉じた状態で車体側のストライカに係止する部材である。
よって、ストライカに対してロック機構を精度よく位置決めすることが要求される。
ストライカに対してロック機構を精度よく位置決めするためには、ロック機構を取付部を介して支持部に高精度に取り付ける必要がある。
ロック機構を支持部に高精度に取り付けるためには、支持部に接触する取付部の形状を精度よく形成して、取付部を支持部に高精度に取り付ける必要がある。
しかし、支持部に接触する取付部は、比較的大きな形状であり、取付部の形状を精度よく形成する作業に手間がかかるとされていた。
そこで、請求項1において、接合部および取付部間に空隙仕切部を介在させることで、支持部に接触する取付部の面積を小さく抑えるようにした。
このように、取付部の面積を小さく抑えることで、取付部の形状を精度よく簡単に形成することができ、コストを抑えることができる。
請求項2に係る発明では、補強部材の中央部寄りの部位から外側部まで空隙仕切部を延ばした。そして、空隙仕切部および接合部の境界に形成された上折線部を、空隙仕切部の延出方向に向けて上り勾配に傾斜させた。
よって、第1空隙の気泡に作用する浮力で、気泡を上折線部に沿って中央部寄りの部位から外側部まで円滑に上昇させ、外側部から良好に排出させることができる。
これにより、気泡による影響を受けることなく、第1空隙を形成する面に電着塗装を良好におこなうことができる。
請求項3に係る発明では、空隙仕切部の少なくとも一部の部位を、接合部から取付部に向けて下り勾配となるように傾斜状に形成した。よって、ドアパネルの側壁および支持部間に、空隙仕切部の少なくとも一部の部位を傾斜状に設けることができる。加えて、この空隙仕切部の少なくとも一部の部位を平坦に形成した。
これにより、ドアパネルの側壁および支持部を空隙仕切部で支えることができ、ドアパネル(側壁および支持部)の剛性を高めることができる。
このように、空隙仕切部の少なくとも一部の部位を平坦に形成することで、空隙仕切部の平坦な部位を、側壁および支持部を支える梁構造として兼用できる。
さらに、空隙仕切部の平坦な部位を側壁および支持部の梁構造として兼用することで、ドアを閉じる際に、例えば、支持部に生じる衝撃荷重を空隙仕切部の平坦な部位で支えることができる。
これにより、側壁および支持部の折曲部を軸にして支持部が変形することを防止できる。
請求項4に係る発明では、接合部の中央接合部を取付部に直接接続した。よって、中央接合部および取付部の形状を、ドアパネルの側壁および支持部の形状に倣わせることができる。
これにより、ドアパネルの側壁および支持部の折曲部の近傍において、中央接合部および取付部をドアパネルの側壁および支持部にそれぞれ当接させることで、補強部材をドアパネルに対して精度よく位置決めすることができる。
請求項5に係る発明では、空隙仕切部および取付部の境界に下折線部を形成し、この下折線部をロック機構の外形に沿わせた。
これにより、ロック機構を組み付ける際に、ロック機構の外形を下折線部に合わせることで、ロック機構を容易に位置決めできるので、組付け作業性を高めることができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
図1は本発明に係る車両のドア構造を示す斜視図である。
車両のドア構造10は、車体11の後部12に開口部13が形成され、開口部13の上部13aにテールゲート(ドア)15の上端部15aがヒンジ部(図示せず)を介して回動自在に支持されている。
テールゲート15をヒンジ部を軸にして上下方向にスイング移動(揺動)することで、車体11の開口部13が開閉される。
図2は図1の2−2線断面図、図3は図2のテールゲートからロック機構を外した状態を示す断面図である。なお、図3は車両のドア構造10の構成の理解を容易にするために右取付孔32のみを示す。
テールゲート15は、車体11の外側に配置されたアウタパネル16と、車体11の内側に配置されたインナパネル(ドアパネル)17と、インナパネル17の下部18に設けられた補強部材20と、補強部材20を介してインナパネル17の下部18に設けられたロック機構22とを備えている。
アウタパネル16は、テールゲート15の外壁部を形成する板状部材で、車体11の外部に対向して配置されている。
インナパネル17は、テールゲート15の内壁部(壁部)を形成する板状部材である。
具体的には、インナパネル17は、アウタパネル16の内側に配置された状態で、アウタパネル16の外周に取り付けられることにより車体11の内部に対向して配置されている。
このインナパネル17は、アウタパネル16の外周に取り付けられた側壁24と、側壁24の下部24aから車体外側に向けて折り曲げられた支持部25(図5も参照)と、支持部25の下端部25aから下向きに折り曲げられた下折曲部26とを備えている。
側壁24の下部24a、支持部25および下折曲部26でインナパネル17の下部18が形成されている。
側壁24は、テールゲート15を閉じた状態で略鉛直に配置されている。
支持部25は、テールゲート15を閉じた状態で略横向き(具体的には、車体前方から後方に向けて下り勾配)に配置された載置部である。
図4は本発明に係るインナパネルに補強部材を取り付けた状態を示す斜視図、図5は本発明に係るインナパネルから補強部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。
支持部25は、中央に第1ロック収容開口31が形成され、第1ロック収容開口31の左右側に左右の取付孔32が形成されている。
第1ロック収容開口31は、図2に示すように、ロック機構22のラッチ機構本体36(具体的には、ラッチ機構本体36の下部36a)が収容可能な開口部である。
左右の取付孔32は、ロック機構22(図2も参照)を支持部25にボルト止めするための孔である。
下折曲部26は、図2に示すように、アウタパネル16に沿って折り曲げられ、縁部26aがアウタパネル16の外周にヘミング加工で取り付けられている。
側壁24の下部24a、支持部25および下折曲部26(すなわち、インナパネル17の下部18)に補強部材20が取り付けられている。
この補強部材20を介して支持部25にロック機構22(図2も参照)が設けられている。
ロック機構22は、補強部材20の取付部45に設けられるベース部35と、ベース部35に取り付けられたラッチ機構本体36(図3参照)とを備えている。
ベース部35は、左右の側部35a,35bに左右の差込孔38(左差込孔38のみを図3に示す)がそれぞれ形成され、前中央に車体幅方法に延びる中央辺部35cが形成され、中央辺部35cの左側に左傾斜辺部35dが形成され、中央辺部35cの右側に右傾斜辺部35eが形成されている。
ベース部35の上面には、左右の差込孔38と同軸上に左右のナット33部がそれぞれ形成されている。
左傾斜辺部35dは、中央辺部35cの左端部からベース部35の左側部35aに向けて車体後方に傾斜するように延出されている。
右傾斜辺部35eは、中央辺部35cの右端部からベース部35の右側部35bに向けて車体後方に傾斜するように延出されている。
ラッチ機構本体36は、図2に示すストライカ41に係止可能なラッチ39を備えている。
図2に示すように、テールゲート15を閉じた状態でラッチ39をストライカ41に係止させることで、テールゲート15を閉じた状態に保持される。
ストライカ41は、開口部13の下部13bに設けられている(図2、図3参照)。
補強部材20は、前述したように、インナパネル17の下部18に設けられた部材である。
この補強部材20は、支持部25に設けられた取付部45と、取付部45の前辺部(具体的には、後述する「中央前辺部」)45aから立ち上げられた上接合部(接合部)46と、取付部45の後辺部45bから下向きに折り曲げられた下接合部47と、上接合部46の左側部および取付部45の左側部間に介在された左空隙仕切部(空隙仕切部)48と、上接合部46の右側部および取付部45の右側部間に介在された右空隙仕切部(空隙仕切部)49とを備えている。
取付部45は、支持部25に沿って略横向き(具体的には、略横向きで、かつ車体前方から後方に向けて下り勾配)に配置されている。
この取付部45は、前中央に車体幅方法に延びる中央前辺部45aと、中央前辺部45aの左側に形成された左前傾斜辺部45cと、中央前辺部45aの右側に形成された右前傾斜辺部45dと、左前傾斜辺部45cの外端部から車体後方に延出された左側部45eと、右前傾斜辺部45dの外端部から車体後方に延出された右側部45fと、左右の側部45e,45fの後端部間に設けられた後辺部45bとで略6角形に形成されている。
左前傾斜辺部45cは、中央前辺部45aの左端部から左側部45eに向けて車体後方に傾斜するように延出されている。
右前傾斜辺部45dは、中央前辺部45aの右端部から右側部45fに向けて車体後方に傾斜するように延出されている。
さらに、取付部45は、左右の側部45e,45fに左右の貫通孔51がそれぞれ形成され、中央に第2ロック収容開口52が形成されている。
この第2ロック収容開口52は、ラッチ機構本体36の下部36a(図2参照)を収容可能な開口部で、支持部25の第1ロック収容開口31に重なる位置に配置されている。
上接合部46は、取付部45の中央前辺部45aから側壁24に沿って上向きに立ち上げられた突片(折曲片)である。
この上接合部46は、中央に設けられた中央接合部53と、中央接合部53の左右側に設けられた左右のビード部(ビード部)56,57と、左ビード部56の左側に設けられた左接合部58と、右ビード部57の右側に設けられた右接合部59とを有している。
具体的には、上接合部46は、取付部45および上接合部46が交差する交差線65の延長方向(車幅方向)の中央部65aにおいて中央接合部53が取付部45の中央前辺部45aに直接接続(一体形成)されている。
さらに、上接合部46は、中央接合部53の左右の側部(両側部)54,55が左右の空隙仕切部48,49を介して取付部45に連結され、左右の側部54,55に左右のビード部56,57がそれぞれ形成されている。
また、左側部54は、左ビード部56の左側に左接合部58が形成されている。
さらに、右側部55は、右ビード部57の右側に右接合部59が形成されている。
図6は本発明に係るインナパネルにロック機構を取り付けた状態を示す斜視図、図7は図4の7−7線断面図、図8は図4の8−8線断面図である。
なお、図7、図8においては構成の理解を容易にするためにロック機構22を取り付けた状態で示す。
左右のビード部56,57は、中央接合部(取付部に直接接続された部位)53の左右側にそれぞれ形成され、側壁24に対して離す方向(すなわち、車体後方)に膨出させた補強用の部位である。
上接合部46に左右のビード部56,57を形成することで、左右のビード部56,57で上接合部46が補強されている。
さらに、上接合部46に左ビード部56を形成することで、左ビード部56および側壁24間に左第2空隙(第2空隙)62が形成されている(図7も参照)。
同様に、上接合部46に右ビード部57を形成することで、右ビード部57および側壁24間に右第2空隙(第2空隙)63が形成されている。
なお、左右の第2空隙62,63は左右対称の空隙である。
図7に示すように、左第2空隙62の下端部(一端部)62aが左第1空隙75(後述する)に連通されている。
さらに、左第2空隙62の上端部(他端部)62bが補強部材20の外側(すなわち、上接合部46の上方)に開口されている。
よって、左第2空隙62が左第1空隙75に連通されている。
これにより、テールゲート15を電着塗装する際に、左第2空隙62および左第1空隙75を塗料の流通経路として確保することができる。
なお、左第2空隙62および左第1空隙75と同様に、右第2空隙63が右第1空隙76(後述する)に連通されている。
これにより、テールゲート15を電着塗装する際に、右第2空隙63および右第1空隙76を塗料の流通経路として確保することができる。
中央接合部53は、左右のビード部56,57間に設けられ、図3に示すように、側壁24に接触された状態でスポット溶接された部位である。
左接合部58は、左ビード部56の左側に設けられ、図8に示すように、側壁24に接触された状態でスポット溶接された部位である。
右接合部59は、左接合部58と左右対称の部位である。
右接合部59は、左接合部58と同様に、右ビード部57の右側に設けられ、側壁24に接触された状態でスポット溶接された部位である。
中央接合部53および左右の接合部58,59が側壁24にスポット溶接で接合されることで、上接合部46が側壁24に接合されている。
ここで、左接合部58および取付部45間に左空隙仕切部48を介在させることで、左接合部58は取付部45に対して高位置に配置されている。
同様に、右接合部59および取付部45間に右空隙仕切部49を介在させることで、右接合部59は取付部45に対して高位置に配置されている。
これにより、左右の接合部58,59を側壁24にスポット溶接で接合する際に、溶接機器の取付部45への干渉を考慮する必要がなく溶接作業性の向上を図ることができる。
図4に示すように、下接合部47は、取付部45の後辺部45bから下折曲部26に沿って下向きに折り曲げられ、下折曲部26にスポット溶接で接合された部位である。
このように、下接合部47が下折曲部26にスポット溶接で接合され、かつ、上接合部46が側壁24にスポット溶接で接合されることで、補強部材20がインナパネル17の下部18に設けられている。
図2に示すように、補強部材20がインナパネル17の下部18に設けられた状態で、取付部45にベース部35が設けられ、ラッチ機構本体36の下部36aが第1、第2のロック収容開口31,52から下方に向けて突出されている。
さらに、図4に示すように、左取付孔32、左貫通孔51および左差込孔38(左差込孔38は図3参照)が同軸上に配置されている。各左側の孔32、51、38にボルト71が差し込まれ、差し込まれたボルト71がナット部33にねじ結合されている。
同様に、右取付孔32、右貫通孔51および右差込孔38(右差込孔38は図3参照)が同軸上に配置されている。各右側の孔32、51、38にボルト71が差し込まれ、差し込まれたボルト71がナット部33にねじ結合されている。
これにより、図2に示すロック機構22が補強部材20を介して取付部に2本のボルト71で取り付けられている。
図2に示すように、補強部材20の取付部45にロック機構22が取り付けられている。このロック機構22は、テールゲート15を閉じた状態で車体11側のストライカ41に係止する部材である。
よって、ストライカ41に対してロック機構22を精度よく位置決めすることが要求される。
ストライカ41に対してロック機構22を精度よく位置決めするためには、ロック機構22を取付部45を介して支持部25に高精度に取り付ける必要がある。
ロック機構22を支持部25に高精度に取り付けるためには、支持部25に接触する取付部45の形状を精度よく形成して、取付部45を支持部25に高精度に取り付ける必要がある。
しかし、支持部25に接触する取付部45は、比較的大きな形状であり、取付部45の形状を精度よく形成する作業に手間がかかるとされていた。
そこで、図5に示すように、上接合部46の左側部54および取付部45の左前傾斜辺部45c間に左空隙仕切部48を介在させ、かつ、上接合部46の右側部55および取付部45の右前傾斜辺部45d間に右空隙仕切部49を介在させた。
これにより、支持部25に接触する取付部45の面積を小さく抑えられている。
このように、取付部45の面積を小さく抑えることで、取付部45の形状を手間をかけないで簡単に精度よく形成することができる。
図4〜図6に戻って、左空隙仕切部48および取付部45(具体的には、左前傾斜辺部45c)の境界に左下折線部(下折線部)67が形成されている。
左下折線部67がベース部35の左傾斜辺部(ロック機構22の外形)35dに沿って形成されている。
同様に、右空隙仕切部49および取付部45(具体的には、右前傾斜辺部45d)の境界に右下折線部(下折線部)68が形成されている。
右下折線部68がベース部35の右傾斜辺部(ロック機構22の外形)35eに沿って形成されている。
これにより、ロック機構22を組み付ける際に、ベース部35の左傾斜辺部35dを取付部45の左下折線部67に合わせるとともに、ベース部35の右傾斜辺部35eを取付部45の右下折線部68に合わせることで、ロック機構22を容易に位置決めできる。
これにより、ロック機構22を組み付ける際の組付け作業性を高めることができる。
さらに、前述したように、上接合部46の中央接合部53が取付部45の中央前辺部45aに直接接続されている。
よって、中央接合部53および中央前辺部45aの形状を、図3に示すように、側壁24および支持部25の境界における折曲部17aの近傍に倣わせることができる。
これにより、折曲部17aの近傍において、中央接合部53を側壁24に当接させるとともに、中央前辺部45aを支持部25に当接させることで、補強部材20をインナパネル17の下部18に対して精度よく位置決めすることができる。
図9は本発明に係る補強部材の左空隙仕切部を示す斜視図である。
左空隙仕切部48は、上接合部46の左側部54および取付部45の左前傾斜辺部45c間に介在され、左側部54の下端部および左前傾斜辺部45cを連結するように車体後方に向けて傾斜する平坦な部位である。
具体的には、左空隙仕切部48は、取付部45および上接合部46が交差する交差線65の延長方向(車幅方向)の中央部65a寄りの部位48aから左側部(外側部)45eの部位48bまで車体外側に向けて延出されている。
この左空隙仕切部48は、延出方向に向けて(すなわち、中央部65a寄りの部位48aから左側部45eの部位48bへ向けて)幅寸法W1が徐々に大きくなるように略三角形状に形成されるとともに平坦に形成されている。
左空隙仕切部48を延出方向に向けて幅寸法W1が徐々に大きくなるように形成することで、左空隙仕切部48および左側部54の境界に形成された左上折線部(上折線部)69を左空隙仕切部48の延出方向に向けて上り勾配に傾斜させることができる。
すなわち、左上折線部69は、中央部65a寄りの部位48aから左側部45eの部位48bに向けて上り勾配に傾斜されている。
左上折線部69を上り勾配に傾斜させた理由については図10で詳しく説明する。
また、左空隙仕切部48は略三角形状に形成されるとともに平坦に形成されている。
具体的には、左空隙仕切部48は、「左上折線部69」、「左下折線部67」および「左側部45eの部位48b」の3辺で略三角形状に形成されている。
また、左空隙仕切部48は、上接合部46の左側部54から取付部45の左前傾斜辺部45cに向けて下り勾配となるように傾斜状に形成されている。
よって、側壁24および支持部25間に左空隙仕切部48が傾斜状に設けられている。加えて、この左空隙仕切部48は平坦に形成されている。
これにより、側壁24および支持部25を左空隙仕切部48で支えることが可能になる。したがって、インナパネル17の下部18(側壁24および支持部25)の剛性を高めることができる。
このように、左空隙仕切部48を平坦に形成することで、左空隙仕切部48は、側壁24および支持部25を支える梁構造として兼用される。
さらに、前述したように、左空隙仕切部48は、「左上折線部69」、「左下折線部67」および「左側部45eの部位48b」の3辺で略三角形状に形成されている。
ここで、「左上折線部69」に隣接する左側部54は、側壁24に接合されている。
また、「左下折線部67」に隣接する取付部45(具体的には、左前傾斜辺部45c)は、支持部25に接合されている。
よって、左空隙仕切部48の3辺のうち、「左上折線部69」および「左下折線部67」の2辺が側壁24や取付部45で支えられている。
よって、左空隙仕切部48の剛性を高めることができ、側壁24および支持部25を支える梁構造としての役割をさらに高めることができる。
また、左空隙仕切部48は、前述したように傾斜状に形成されている。
よって、左空隙仕切部48は、インナパネル17の下部18の折曲部(具体的には、側壁24および支持部25の境界における折曲部)17aに対して非接触状態に設けられている。
これにより、左空隙仕切部48と折曲部17aとの間に左第1空隙(第1空隙)75が形成されている。
この左第1空隙75は、側面視で略三角形状に形成され(図7、図8も参照)、中央部65a寄りの部位48aから左側部45eの部位48bへ向けて空隙が徐々に大きくなるように形成されている。
左第1空隙75は、中央部65a寄りの部位48aにおいて左第2空隙62の下端部62aに連通されている。
さらに、左第1空隙75は、左側部45eの部位48bにおいて補強部材20の外側(すなわち、左側)に開口されている。
ここで、左第2空隙62は、上端部62bが補強部材20の外側(すなわち、上接合部46の上方)に開口されている。
図5、図6に戻って、右空隙仕切部49は、左空隙仕切部48と左右対称の部位である。
右空隙仕切部49は、上接合部46の右側部55および取付部45の右前傾斜辺部45d間に介在され、右側部55の下端部および右前傾斜辺部45dを連結するように車体後方に向けて傾斜する平坦な部位である。
具体的には、右空隙仕切部49は、取付部45および上接合部46が交差する交差線65の延長方向(車幅方向)の中央部65a寄りの部位49aから右側部(外側部)45fの部位49bまで車体外側に向けて延出されている。
この右空隙仕切部49は、左空隙仕切部48と左右対称の部位であり、以下詳しい説明を省略する。
この右空隙仕切部49を傾斜状に形成することで、右空隙仕切部49は、インナパネル17の下部18の折曲部(具体的には、側壁24および支持部25の境界における折曲部)17aに対して非接触状態に設けられている。
これにより、右空隙仕切部49と折曲部17aとの間に右第1空隙(第1空隙)76が形成されている。
右第1空隙76は、左第1空隙75と左右対称の空隙であり、以下詳しい説明を省略する。
ここで、左第1空隙75および左第2空隙62を設け、左第1空隙75を中央部65a寄りの部位48aから左側部45eの部位48bへ向けて空隙が徐々に大きくなるように形成した理由を図10に基づいて説明する。
なお、右第1空隙76および右第2空隙63は、前述したように、左第1空隙75および左第2空隙62と左右対称の空隙である。そこで、図10においては、左第1空隙75および左第2空隙62について説明して右第1空隙76および右第2空隙63の説明を省略する。
図10は本発明に係る左第1空隙および左第2空隙に塗料を導く例を説明する図である。
左第1空隙75が中央部65a寄りの部位48aにおいて左第2空隙62の下端部62aに連通されている。
左第2空隙62は、上端部62bが補強部材20の外側(すなわち、上接合部46の上方)に開口されている。
また、左第1空隙75は、左側部45eの部位48bにおいて補強部材20の外側(左側)に開口されている。
よって、左第1空隙75および左第2空隙62から閉塞部を除去することができる。
よって、テールゲート15を電着塗装するために塗料に浸漬した状態で、左第1空隙75の左側部75a側から左第2空隙62に向けて塗料を矢印Aの如く上向きに導くことができる。
さらに、導いた塗料を左第2空隙62の下端部62bから左第2空隙62に矢印Bの如く上向きに導くことができる。
これにより、テールゲート15を電着塗装する際に、左第1空隙75や左第2空隙62に塗料を円滑に導くことができる。
したがって、左第1空隙75を形成する面や左第2空隙62を形成する面に電着塗装を良好におこなうことができる。
ここで、前述したように、左空隙仕切部48を延出方向に向けて幅寸法W1が徐々に大きくなるように形成することで、左上折線部69が「中央部65a寄りの部位48a」から「左側部45eの部位48b」に向けて上り勾配に傾斜されている。
よって、左第1空隙75の気泡85に作用する浮力で、気泡85を左上折線部69に沿って左第1空隙75の左側部75aまで矢印Cの如く円滑に上昇させることができる。
これにより、左第1空隙75の左側部75aから気泡85を良好に排出させることができる。
したがって、気泡85による影響を受けることなく、左第1空隙75を形成する面に電着塗装を一層良好におこなうことができる。
なお、図10においては、塗料を左第1空隙75から左第2空隙62に向けて流す例について説明したが、塗料を左第2空隙62から左第1空隙75に向けて流すことも可能である。
さらに、左第1空隙75の左側部75aから気泡85を排出させる例について説明したが、左第2空隙62に導いて左第2空隙62の上端部62bから気泡85を排出させることも可能である。
図11は本発明に係る左空隙仕切部を梁構造として利用する例を説明する図である。
テールゲート15を矢印D方向に閉じる際に、例えば、ストライカ41にロック機構22のラッチ39が噛み合う。
ストライカ41にラッチ39が噛み合うことにより、側壁24に対してテールゲート15を閉じる方向に慣性力Fが作用し、さらに慣性力Fの反動が作用する。
ここで、左空隙仕切部48が平坦に形成され、この左空隙仕切部48が側壁24および支持部25間に傾斜状に設けられている。
よって、左空隙仕切部48は、側壁24および支持部25を支える梁構造としての役割を果たすことができる。
これにより、側壁24に対して作用する慣性力Fや、慣性力Fの反動を左空隙仕切部48で支えることができる。
したがって、側壁24が、側壁24および支持部25の折曲部17aを軸にして時計回り方向や反時計回り方向に変形することを防止できる。
なお、前記実施の形態では、ドアとしてテールゲート15を例示したが、これに限定するものではなく、例えばサイドドアに適用することも可能である。
この場合、ロック機構22はサイドドアの後部に取り付けられる。
また、前記実施の形態では、左右の空隙仕切部48,49を車体後方に向けて傾斜させ、かつ、平坦に形成した例を示したが、これに限定するものではなく、例えば湾曲状に形成することも可能である。
さらに、前記実施の形態では、左右の空隙仕切部48,49の全体を車体後方に向けて傾斜させ、かつ、平坦に形成することで梁構造の役割を果たす例について説明したが、これに限らないで、例えば、左右の空隙仕切部48,49の少なくとも一部の部位を車体後方に向けて傾斜させ、かつ、平坦に形成することで梁構造の役割を果たすことも可能である。
また、前記実施の形態では、左右の空隙仕切部48,49を三角形状に形成した例を示したが、これに限定するものではなく、例えば四角形などの他の形状に形成することも可能である。
さらに、前記実施の形態では、左右の空隙仕切部48,49を中央部寄りの部位から側部の部位へ向けて徐々に大きくなるように形成することで、左右の第1空隙75,76を中央部寄りの部位から側部の部位へ向けて徐々に大きくした例について説明したが、左右の空隙仕切部48,49や左右の第1空隙75,76の形状はこれに限定するものではない。
一例として、左右の空隙仕切部48,49を中央部寄りの部位から側部の部位へ向けて同じ幅寸法で形成することで、左右の第1空隙75,76を中央部寄りの部位から側部の部位へ向けて同じ大きさとすることも可能である。
また、前記実施の形態で示した補強部材20の取付部45や左右のビード部56,57、およびロック機構22のベース部35などの形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
本発明は、車体の開口部を開閉するドアに補強部材を介してロック機構を設け、ロック機構でドアを閉状態に保持する車両のドア構造を備えた自動車への適用に好適である。
本発明に係る車両のドア構造を示す斜視図である。 図1の2−2線断面図である。 図2のテールゲートからロック機構を外した状態を示す断面図である。 本発明に係るインナパネルに補強部材を取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明に係るインナパネルから補強部材を取り外した状態を示す分解斜視図である。 本発明に係るインナパネルにロック機構を取り付けた状態を示す斜視図である。 図4の7−7線断面図である。 図4の8−8線断面図である。 本発明に係る補強部材の左空隙仕切部を示す斜視図である。 本発明に係る左第1空隙および左第2空隙に塗料を導く例を説明する図である。 本発明に係る左空隙仕切部を梁構造として利用する例を説明する図である。
符号の説明
10…車両のドア構造、11…車体、13…開口部、15…テールゲート(ドア)、17…インナパネル(ドアパネル)、20…補強部材、22…ロック機構、24…側壁、25…支持部、35…ベース部、35d,35e…左右の傾斜辺部(ロック機構の外形)、45…取付部、45e,45f…左右の側部(外側部)、46…上接合部(接合部)、48,49…左右の空隙仕切部(空隙仕切部)、48a…交差線の延長方向の中央部寄りの部位、48b…左側部の部位、49a…交差線の延長方向の中央部寄りの部位、49b…左側部の部位、53…中央接合部、54,55…左右の側部(両側部)、56,57…左右のビード部(ビード部)、62,63…左右の第2空隙(第2空隙)、62a…左第2空隙の下端部(一端部)、62b…左第2空隙の上端部(他端部)、65…交差線、65a…交差線の延長方向の中央部、67,68…左右の下折線部(下折線部)、69…左上折線部(上折線部)、75,76…左右の第1空隙(第1空隙)、W1…幅寸法。

Claims (5)

  1. 車体の開口部を開閉するドアを備え、このドアの壁部をドアパネルで形成し、このドアパネルの側壁から支持部を折り曲げ、この支持部に補強部材を介してロック機構を設け、このロック機構で前記ドアを閉じた状態に保持する車両のドア構造であって、
    前記補強部材は、
    前記支持部に設けられた状態で前記ロック機構が取り付けられた取付部と、
    この取付部から前記側壁に沿って折り曲げられるとともに補強用のビード部が形成され、前記側壁に接合された接合部と、
    この接合部および前記取付部間に介在されて両部を連結し、前記ドアパネルに対して非接触状態に配置されることで前記ドアパネルとの間に第1空隙を形成する空隙仕切部と、
    を有し、
    前記補強用のビード部を前記側壁に対して離す方向に膨出させることで、前記補強用のビード部および前記側壁間に第2空隙が形成され、
    この第2空隙の一端部が前記第1空隙に連通されるとともに、第2空隙の他端部が前記補強部材の外側に開口されたことを特徴とする車両のドア構造。
  2. 前記補強部材のうち、前記取付部および前記接合部が交差する略水平な交差線の延長方向の中央部寄りの部位から外側部まで前記空隙仕切部が前記交差線に沿って延出され、
    この空隙仕切部および前記接合部の境界に形成された上折線部を、前記空隙仕切部の延出方向に向けて上り勾配に傾斜させたことを特徴とする請求項1記載の車両のドア構造。
  3. 前記空隙仕切部の少なくとも一部の部位が、
    前記接合部から前記取付部に向けて下り勾配となるように傾斜状に形成されるとともに平坦に形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両のドア構造。
  4. 前記接合部は、
    前記取付部および前記接合部が交差する略水平な交差線の延長方向の中央部において中央接合部が前記取付部に直接接続され、
    この中央接合部の両側部が前記空隙仕切部を介して前記取付部に連結されたことを特徴とする請求項1記載の車両のドア構造。
  5. 前記空隙仕切部および前記取付部の境界に下折線部が形成され、
    この下折線部が前記ロック機構の外形に沿って形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両のドア構造。
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