JP2010065605A - 内燃機関の可変バルブ機構制御装置 - Google Patents

内燃機関の可変バルブ機構制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より適切な時期に制御開始することのできる内燃機関の可変バルブ機構制御装置を提供する。
【解決手段】ECU21は、対応マップM1を用いて、可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づきオイル粘度を推定する。また、ECU21は、対応マップM2を用いて、内部のタイマを用いて推定したソーク時間及び油温センサ26によって計測した油温に基づき遅延時間T1を算出するとともに、対応マップM3を用いて、上記ソーク時間及び上記オイル粘度に基づき遅延時間T2を算出し、これら遅延時間T1及びT2を合算して遅延時間Tdを算出する。そして、ECU21は、エンジン11が始動してから経過した時間が遅延時間Td以上である場合に、可変バルブタイミング機構18を制御開始する。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方のバルブタイミングを油圧により制御する可変バルブ機構を備えた内燃機関の可変バルブ機構制御装置に関する。
内燃機関(以下、エンジンと記載)の吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方の開閉タイミングを運転状態に応じて変更する可変バルブ制御装置が知られている。一般に、油圧式の可変バルブ制御装置の場合、可変バルブ機構に供給する作動油(以下、オイルとも記載)の油圧を制御することで、エンジンのクランク軸と吸気バルブまたは排気バルブのカム軸との回転位相差を変化させて、バルブの開閉タイミングであるバルブタイミングを変更している。
ところで、このような油圧式の可変バルブ制御装置の場合、エンジンを停止し暫く時間が経過すると、可変バルブ機構の油圧室や、可変バルブ機構にオイルを供給する油圧回路等からオイルが抜けてしまう。このような状態でエンジンを始動しバルブタイミングを変更すると、可変バルブ機構の油圧室の油圧不足に起因して、上記回転位相差を規制するロックピンにひっかかりが生じ、可変バルブ機構が制御不能となってしまう。あるいは、目標進角量へ到達せず、MILが点灯してしまう。
このため、例えば特許文献1に記載の技術では、エンジン始動時には、一旦可変バルブ機構の油圧室(遅角室)に十分にオイルを供給してから、吸気バルブのバルブタイミングを変更する。なお、特許文献1に記載の技術では、エンジン始動時において、可変バルブ機構の油圧室(遅角室)に十分にオイルが供給されるまでの時間、つまり、エンジン始動時から可変バルブ制御機構の制御を開始することが可能となるまでの時間である遅延時間が油温を用いて推定されており、エンジン始動後の経過時間がこの遅延時間よりも長くなるとバルブタイミングが変更される。
特開2004−68809号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エンジン始動時にはオイルが抜けきっていることを前提に遅延時間が設定されている。そのため、オイルが抜けきる前にエンジンを始動した場合には、バルブタイミングの変更ができない期間、すなわち、可変バルブ制御機構の制御が開始されるまでの時間が必要以上に長くなり、可変バルブ制御機構の制御は適切な時期に開始されていない。
これに対し、エンジンが停止してから始動するまでの時間であるソーク時間を推定し、この推定したソーク時間に基づいて上記遅延時間を設定することが考えられる。ただし、このように改善したとしても、依然として改善の余地が残されている。詳しくは、上記ソーク時間が同一の場合であっても、使用されるオイルが劣化しているほど、エンジン始動時から可変バルブ制御機構の制御を開始することが可能となるまでに必要な時間が長くなる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、より適切な時期に制御開始することのできる内燃機関の可変バルブ機構制御装置を提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、供給される作動油の油圧によって、内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの少なくともいずれか一方のバルブタイミングを可変可能な可変バルブ機構と、前記可変バルブ機構に供給する作動油の油圧を制御する油圧制御手段とを備えた内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、前記内燃機関が始動してから経過した時間である経過時間を計測する経時手段と、前記作動油の劣化状態の程度を示す劣化度合を推定する劣化度合推定手段と、前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に基づいて、前記内燃機関が始動してから前記可変バルブ機構の制御を開始することが可能となるまでの時間である遅延時間を設定する遅延時間設定手段とを備え、前記油圧制御手段は、前記経時手段により計測された経過時間が、前記遅延時間設定手段により設定された前記遅延時間以上である場合に、前記可変バルブ機構を制御することを特徴とする。
内燃機関の可変バルブ機構制御装置としてのこのような構成では、劣化度合推定手段によって、作動油の使用状況に基づき作動油の劣化度合が推定され、遅延時間設定手段によって、劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に基づき上記遅延時間が設定され、さらに、経時手段によって、上記経時時間が計測される。そして、経時手段によって計測された経過時間が、遅延時間設定手段によって設定された遅延時間以上である場合には、油圧制御手段によって作動油の油圧が制御され、ひいては、可変バルブ機構が制御されるようになる。これにより、作動油の劣化度合が考慮されるため、より適切な時期に、可変バルブ機構の制御を開始することができるようになる。
劣化度合推定手段によって作動油の劣化度合を推定する方法としては、様々な方法が考えられる。例えば可変バルブ機構の使用回数が多くなるほど、作動油の劣化が進行すると考えられるため、例えば請求項2に記載の発明のように、前記作動油が交換されて以後の前記可変バルブ機構の使用回数をカウントし、前記劣化度合推定手段は、このカウントされた使用回数を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することとしてもよい。これにより、可変バルブ機構の使用回数をカウントするという簡単な方法で、作動油の劣化度合を定めることができるようになる。
こうした請求項2に記載の構成においては、さらに、請求項3に記載の発明のように、前記可変バルブ機構の使用回数と前記作動油の劣化度合との対応マップを記憶保持し、前記劣化度合推定手段は、この対応マップを用いて、前記可変バルブ機構の使用回数に基づいて前記作動油の劣化度合を推定するとよい。これにより、対応マップで照らし合わせるという簡単な演算により、可変バルブ機構の使用回数から作動油の劣化度合を推定することができるようになる。
他にも、例えば車両の走行距離が長いほど、作動油の劣化が進行すると考えられるため、例えば請求項4に記載の発明のように、前記作動油が交換されて以後の前記車両の走行距離を計測し、前記劣化度合推定手段は、この計測された走行距離を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することとしてもよい。これによっても、車両の走行距離を計測するという簡素な方法で、作動油の劣化度合を定めることができるようになる。
こうした請求項4に記載の構成においても、請求項5に記載の発明のように、前記車両の走行距離と前記作動油の劣化度合との対応マップを記憶保持し、前記劣化度合推定手段は、この対応マップを用いて、前記車両の走行距離に基づいて前記作動油の劣化度合を推定するとよい。これによっても、対応マップで照らし合わせるという簡単な演算により、車両の走行距離から作動油の劣化度合を推定することができるようになる。
また他にも、例えば可変バルブ機構の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと可変バルブ機構の制御を行う場合の目標バルブタイミングとの偏差の積算値が大きいほど、作動油の劣化が進行すると考えられるため、例えば請求項6の発明のように、前記可変バルブ機構の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと前記可変バルブ機構の制御を行う場合の目標バルブタイミングとの偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、前記作動油が交換されて以後のこれら基準バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差の積算値を算出する積算値算出手段をさらに備え、前記劣化度合推定手段は、前記積算値算出手段によって算出された積算値を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することとしてもよい。これによっても、作動油の劣化度合を定めることができるようになる。
さらに他にも、例えば可変バルブ機構の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと可変バルブ機構の制御を行う場合の実バルブタイミングとの偏差の積算値が大きいほど、作動油の劣化が進行すると考えられるため、例えば請求項7に記載の発明のように、前記可変バルブ機構の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと前記可変バルブ機構の制御を行う場合の実バルブタイミングとの偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、前記作動油が交換されて以後のこれら基準バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差の積算値を算出する積算値算出手段をさらに備え、前記劣化度合推定手段は、前記積算値算出手段によって算出された積算値を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することとしてもよい。
またさらに他にも、例えば可変バルブ機構の制御を行わない場合における油圧制御手段の基準制御値と可変バルブ機構の制御を行う場合における油圧制御手段の実制御値との偏差の積算値が大きいほど、作動油の劣化が進行すると考えられるため、例えば請求項8に記載の発明のように、前記可変バルブ機構の制御を行わない場合における前記油圧制御手段の基準制御値と前記可変バルブ機構の制御を行う場合における前記油圧制御手段の実制御値との偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、前記作動油が交換されて以後のこれら基準制御値と実制御値との偏差を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することとしてもよい。
ところで、作動油の劣化が進行していた(劣化度合が高い)としても、内燃機関の始動時における油温が高ければ、可変バルブ機構に作動油を短時間で供給することができるため、上記遅延時間を短くすることが望ましい。逆に、作動油がほとんど劣化していない(劣化度合が低い)としても、内燃機関の始動時における油温が低ければ、可変バルブ機構に作動油を短時間で供給することが難しいため、上記遅延時間を長くすることが望ましい。
その点、上記請求項1〜8のいずれかに記載の構成において、請求項9に記載の発明では、前記可変バルブ機構に供給される作動油の油温を検出する油温検出手段をさらに備え、前記遅延時間設定手段は、前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に加え、前記油温検出手段により前記内燃機関の始動時に検出された油温に基づいて、前記遅延時間を設定することとした。これにより、内燃機関の始動時に検出された油温も考慮されるため、より適切な時期に、可変バルブ機構の制御を開始することができるようになる。
また、内燃機関が停止してから始動するまでの時間であるソーク時間が長い場合、内燃機関の再始動時には可変バルブ機構から作動油が抜け切っており、可変バルブ機構に作動油が十分に供給された状態とするまでには時間が必要である。そのため、上記遅延時間を長くすることが望ましい。逆に、ソーク時間が短い場合、内燃機関の再始動時には可変バルブ機構に作動油が残っていることもあり、可変バルブ機構に作動油が十分に供給された状態とするまでに時間はそれほど必要とされない。
その点、上記請求項1〜8のいずれかに記載の構成において、請求項10に記載の発明では、前記内燃機関が停止してから始動するまでの時間であるソーク時間を推定するソーク時間推定手段をさらに備え、前記遅延時間設定手段は、前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に加え、前記ソーク時間推定手段により推定されたソーク時間に基づいて、前記遅延時間を設定することとした。これにより、ソーク時間も考慮されるため、さらに適切な時期に、可変バルブ機構の制御を開始することができるようになる。
ところで、作動油の劣化度合を考慮することで可変バルブ機構の制御をより適切な時期に開始することができるようになるといっても、劣化した作動油をそのまま使用し続けていては、上記遅延時間が長く設定されるだけに過ぎない。結局は、可変バルブ機構の制御が開始される時期が遅れ、遅れた時間分、エミッションは悪化する。
その点、請求項11に記載の発明のように、前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合が所定度合を超えるか否かを判断し、この所定度合を超えると判断する場合、前記作動油を交換する必要がある旨を報知する報知手段をさらに備えることとしてもよく、請求項12に記載の発明のように、前記遅延時間設定手段により設定された遅延時間が所定時間を超えるか否かを判断し、この所定時間を超えると判断する場合、前記作動油を交換する必要がある旨を報知する報知手段をさらに備えることとしてもよい。これにより、作動油を交換する必要がある旨を報知することで、作動油の交換をユーザに促すことができ、ひいては、劣化した作動油がそのまま使用し続けられることが低減されるようになる。すなわち、劣化した作動油がそのまま使用し続けられることに起因して遅れた時間分、エミッションの悪化を改善することができるようになる。
以下、本発明に係る内燃機関の可変バルブ機構制御装置の一実施の形態について、図1〜図11を参照しつつ説明する。なお、図1は、本実施の形態の内燃機関の可変バルブ機構制御装置1の全体構成を模式的に示す図である。この図1に示されるように、内燃機関の可変バルブ機構制御装置1は、吸気バルブの可変バルブタイミング制御装置として具体化されている。
この図1に示されるように、内燃機関(以下、エンジンと記載)11は、クランク軸12からの動力がタイミングチェーン13により各スプロケット14及び15を介して吸気側カム軸16と排気側カム軸17とに伝達されるようになっている。ただし、吸気側カム軸16には、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の進角量を調整する可変バルブタイミング機構18が設けられている。
吸気側カム軸16の外周側には、カム角センサ19が図示しないシグナルロータの外周部に対向するように設置されている。このカム角センサ19は、吸気側カム軸16(詳しくはシグナルロータ)の回転に伴って例えば180°CA毎にカム角信号を出力する。このカム角センサ19の出力信号は、エンジン制御回路(以下、ECUと記載する)21に入力され、このECU21によって気筒判別が行なわれる。また、クランク軸12の外周側には、クランク角センサ20が設置されており、このクランク角センサ20は所定のクランク角毎にクランク角信号を出力する。そして、このクランク角センサ20の出力信号はECU21に入力され、クランク角センサ20の出力パルスの周波数からエンジン回転速度が演算される。なお、これらカム角センサ19及びクランク角センサ20の出力信号はECU21にそれぞれ入力され、このECU21によって吸気バルブの実バルブタイミングが演算される。
エンジン運転状態を検出する各種センサ(エアフロメータ22、水温センサ23、スロットルセンサ24及び油温センサ26)の出力信号と、イグニッションスイッチ25の出力信号もECU21に入力される。そして、ECU21は、これら各種の入力信号に基づいて燃料噴射制御や点火制御を行うとともに、可変バルブタイミング制御を行う。
詳しくは、ECU21によって後述する許可フラグがセットされると、オイルポンプ28によって、オイルパン27内のオイルが可変バルブタイミング機構18の油圧回路に油圧制御弁29を介して供給され油圧が制御される。具体的には、油圧制御弁29の両端には、ソレノイド53及びスプリング54がそれぞれ両端に配置されており、ECU21によってソレノイド53に通電される通電量に応じて油圧制御弁29が図中で左右方向に変位する。油圧制御弁29が図中で左右方向に変位すると、オイルの流路が切り替えられる。こうして油圧回路の油圧が油圧制御弁29によって制御され、吸気側カム軸16の実進角量(実バルブタイミング)が制御される。ちなみに、本実施の形態では、吸気バルブの実バルブタイミング(吸気側カム軸16の実進角量)を目標バルブタイミング(目標進角量)に一致させるように、可変バルブタイミング機構18がフィードバック制御される。なお、ECU21、オイルパン27、オイルポンプ28、油圧制御弁29、ソレノイド53及びスプリング54が、特許請求の範囲に記載の油圧制御手段に相当する。
図2は、可変バルブタイミング機構18の側面断面図である。この図2に示されるように、可変バルブタイミング機構18のハウジング31は、吸気側カム軸16の外周に回動自在に支持されたスプロケット14にボルト32で締め付け固定されている。これにより、クランク軸12の回転がタイミングチェーン13を介してスプロケット14とハウジング31に伝達され、スプロケット14とハウジング31がクランク軸12と同期して回転されるようになっている。
吸気側カム軸16は、シリンダヘッド33とベアリングキャップ34により回動可能に支持され、この吸気側カム軸16の一端部に、ロータ35がストッパ36を介してボルト37で締め付け固定されている。このロータ35は、ハウジング31内に相対回転自在に収納されている。また、吸気側カム軸16は、シリンダヘッド33とベアリングキャップ34により回動自在に支持され、この吸気側カム軸16の一端部に、ロータ35がストッパ36を介してボルト37で締め付け固定されている。このロータ35は、ハウジング31内に相対回転自在に収納されている。
図3は図2中のA−A線に沿った断面図であり、図4は図2中のB−B線に沿った断面図である。これら図3及び図4に示すように、ハウジング31の内部には、複数の流体室40が形成され、各流体室40が、ロータ35の外周部に形成されたベーン41によって進角室42と遅角室43とに区画されている。そして、ロータ35の外周部とベーン41の外周部には、それぞれシール部材44が装着され、各シール部材44が板ばね45によって外周方向に付勢されている。これにより、ロータ35の外周面とハウジング31の内周面との隙間及びベーン41の外周面と流体室40の内周面との隙間がシール部材44でシールされている。
先の図2に示すように、吸気側カム軸16の外周部に形成された環状の進角溝46と遅角溝47が、それぞれ油圧制御弁29の所定ポートに接続され、エンジン11の動力でオイルポンプ28が駆動されることにより、オイルパン27から汲み上げたオイルが油圧制御弁29を介して進角溝46や遅角溝47に供給される。進角溝46に接続された進角油路48は、吸気側カム軸16の内部を貫通してロータ35の左側面に形成された円弧状進角油路49(図3参照)に連通するように形成され、この円弧状進角油路49が各進角室42に連通している。一方、遅角溝47に接続された遅角油路50は、吸気側カム軸16の内部を貫通してロータ35の右側面に形成された円弧状遅角油路51(図4参照)に連通するように形成され、この円弧状遅角油路51が各遅角室43に連通している。
進角室42と遅角室43に所定圧以上の油圧が供給された状態では、進角室42と遅角室43の油圧でベーン41が固定されて、クランク軸12の回転によるハウジング31の回転がオイルを介してロータ35(ベーン41)に伝達され、ロータ35と一体的に吸気側カム軸16が回転駆動される。エンジン運転中は、進角室42と遅角室43の油圧を油圧制御弁29で制御してハウジング31とロータ35(ベーン41)とを相対回動させることで、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の回転位相(以下「カム軸位相」という)を制御して吸気バルブのバルブタイミングを可変する。なお、スプロケット14には、進角制御時にロータ35を進角方向に相対回動させる油圧力をばね力で補助するねじりコイルばね55(図2参照)が収容されている。
また、図3及び図4に示すように、いずれか1つのベーン41の両側部には、ハウジング31に対するロータ35(ベーン41)の相対回動範囲を規制するストッパ部56が形成され、このストッパ部56によってカム軸位相の最遅角位相と最進角位相が規制されている。更に、ベーン41に形成されたロックピン収容孔57には、ハウジング31とロータ35(ベーン41)との相対回動をロックするためのロックピン58が収容され、このロックピン58がハウジング31に設けられたロック穴59(図2参照)に嵌り込むことで、カム軸の変位角が所定のロック位置でロックされる。このロック位置は、例えば、最遅角位置に設置する等、始動時に適した位置に設定されている。
図5及び図6に示すように、ロックピン58は、ロックピン収容孔57の内周に嵌合された円筒部材61内に摺動可能に挿入され、スプリング62によってロック方向(突出方向)に付勢されている。また、ロックピン58の中央外周部に形成された弁部63によって、円筒部材61とロックピン58との隙間が、ロック油圧室64とロック解除保持用の油圧室65とに区画されている。そして、ロック油圧室64とロック解除保持用の油圧室65に進角室42から油圧を供給するために、ベーン41には、進角室42に連通するロック油路66とロック解除保持用の油路67が形成されている。また、ハウジング31には、ロック穴59と遅角室43とを連通するロック解除油路68が形成されている。
図5に示すように、ロックピン58のロック時には、ロックピン58の弁部63がロック解除保持用の油路67を塞いで、ロック油路66をロック油圧室64に連通させた状態となる。これにより、進角室42からロック油圧室64に油圧が供給され、この油圧とスプリング62によってロックピン58がロック穴59に嵌まり込んだ状態に保持され、カム軸位相がロック位置でロックされる。
エンジン停止中は、ロック油圧室64の油圧(進角室42の油圧)が低下するが、スプリング62によってロックピン58がロック位置に保持される。したがって、エンジン始動は、ロックピン58がロック位置に保持された状態(ロック位置)で行われ、エンジン始動後に、ロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が高くなると、その油圧によって次のようにしてロックピン58のロックが解除される。エンジン始動後に、遅角室43からロック解除油路68を通してロック穴59に供給される油圧(ロック解除方向の力)が、ロック油圧室64の油圧(進角室42の油圧)とスプリング62のばね力との合力(ロック方向の力)よりも大きくなると、ロック穴59の油圧によってロックピン58がロック穴59から押し出されて図6のロック解除位置に移動し、ロックピン58のロックが解除される。
このロック解除状態では、図6に示すように、ロックピン58の弁部63がロック油路66を塞いで、ロック解除保持用の油路67をロック解除保持用の油圧室65に連通させた状態となる。これにより、進角室42からロック解除保持用の油圧室65に油圧が供給され、このロック解除保持用の油圧室65の油圧(進角室42の油圧)とロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)とによってロックピン58がスプリング62に抗してロック解除位置に保持される。
エンジン運転中は、進角室42と遅角室43のいずれかの油圧が高くなっているため、その油圧でロックピン58がロック解除位置に保持され、ハウジング31とロータ35とが相対回動可能な状態(つまりバルブタイミング制御が可能な状態)に保持される。
エンジン運転中は、エンジン制御回路21は、クランク角センサ20及びカム角センサ19の出力信号に基づいて吸気バルブの実バルブタイミングVT(吸気側カム軸16の実進角位置)を演算すると共に、エアフロメータ22、水温センサ23等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力に基づいて吸気バルブの目標バルブタイミングVTT(吸気側カム軸16の目標進角位置)を演算する。そして、吸気バルブの実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTTに一致させるように可変バルブタイミング機構18の油圧制御弁29をフィードバック制御する。このように、進角室42と遅角室43の油圧を制御してハウジング31とロータ35とを相対回動させることで、カム軸位相を変化させて吸気バルブの実バルブタイミングVTを目標バルブタイミングVTTに一致させる。
その後、エンジン11を停止させる際に、エンジン回転数が低下すると、オイルポンプ28の吐出圧が低下するため、進角室42や遅角室43の油圧が低下してくる。これにより、ロック解除保持用の油圧室65の油圧(進角室42の油圧)とロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が低下して、スプリング62のばね力がこれらの油圧に打ち勝つようになると、スプリング62のばね力によってロックピン58が突出してロック穴59に嵌まり込むようになる。ただし、ロックピン58がロック穴59に嵌まり込むには、両者の位置が一致していること、つまり、カム軸位相がロック位置に一致していることが条件となる。
エンジン11が停止する際には、エンジン回転数(オイルポンプ28の回転数)が低下して油圧が低下するため、吸気側カム軸16の負荷トルクによりカム軸位相が自然に遅角側に変化していき、その過程で、図5に示すように、ロックピン58をロック穴59に嵌まり込ませてカム軸位相をロック位置でロックする。
既述したように、エンジン始動は、ロックピン58がロック位置に保持された状態(ロック位置)で行われ、エンジン始動後に、ロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が高くなると、その油圧によってロックピン58のロックが解除される。ここで、従来構成のものは、エンジン始動時に、遅角室43に十分に作動油(エンジンオイル、以下オイルと記載)が供給されるまでの遅延時間を油温に基づいて推定を行い、この遅延時間経過後にバルブタイミングの変更が実行される。
以上のように構成された内燃機関の可変バルブ機構制御装置によって実行される処理について、図7及び図8を参照しつつ説明する。なお、図7は、本実施の形態によって実行されるオイル粘度推定処理の処理手順を示すフローチャートであり、図8は、可変バルブタイミング機構18の使用回数とオイル粘度との対応マップの一例を示す図である。
イグニッションスイッチ25がオン操作されて、図7に示すフローチャートが実行されると、ECU21は、ステップS11の処理として、エンジンオイルが交換されて以後の可変バルブタイミング機構18の使用回数を取得する。詳しくは、ECU21は、例えば図示しない回数カウンタ回路を有しており、この回数カウンタ回路にてイグニッションスイッチ25がオン操作される回数をカウントする。そして、ECU21は、例えば図示しないフラッシュメモリ等の記憶保持部を有しており、回数カウンタ回路にてカウントされた回数を可変バルブタイミング機構18の使用回数として記憶保持する。
可変バルブタイミング機構18の使用回数を取得すると、ECU21は、続くステップS12の処理として、可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づいてオイル粘度(劣化度合)を推定する。詳しくは、可変バルブタイミング機構18の使用回数が多いほど、すなわち、オイルの使用回数が多いほど、オイルは劣化し、その粘度が高くなる。一方、可変バルブタイミング機構18の使用回数が少ない場合、すなわち、オイルの使用回数が少ない場合、オイルはまだ劣化しておらず、その粘度は低くなる。図8に、こうした対応関係を捉えた対応マップM1の一例を示す。本実施の形態では、ECU21は、可変バルブタイミング機構18の使用回数とオイル粘度との対応マップM1を記憶保持部に記憶保持しており、この対応マップM1を用いて、可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づきオイル粘度を推定する。なお、このステップS12の処理が、特許請求の範囲に記載の劣化度合推定手段に相当する。
オイル粘度を推定すると、すなわち、オイル粘度推定値を取得すると、ECU21は、続くステップS13の判断処理として、このオイル粘度推定値が所定粘度よりも高いか否かを判断する。なお、本実施の形態では、上記所定粘度として、可変バルブタイミング機構18の進角制御に支障が生じないオイル粘度の上限値よりも小さい値を採用している。ここで、オイル粘度推定値が上記所定粘度よりも低いと判断される場合(ステップS13の判断処理で「No」)、オイルはそれほど劣化しておらず、交換する必要はないことを意味する。そのため、ECU21は、このオイル粘度推定処理をそのまま終了する。
一方、オイル粘度推定値が上記所定粘度よりも高いと判断される場合(ステップS13の判断処理で「Yes」)、オイルは劣化しており、交換する必要があることを意味する。そのため、ECU21は、続くステップS14の処理として、オイル交換を行なうよう警告する。詳しくは、ECU21は、例えば「オイル交換をして下さい」と言ったメッセージを、車両に備えられた適宜の表示部(図示略)にユーザが視認できるようにグラフィック表示する。なお、メッセージのグラフィック表示による警告に限らず、車両に例えばスピーカ等の音声出力部を備え、この音声出力部によって音声による警告を行なってもよい。ちなみに、このステップS14の処理が、特許請求の範囲に記載の報知手段に相当する。
ECU21は、続くステップS15の判断処理として、オイル交換が済んだか否かを判断する。詳しくは、オイル交換が済んでいない場合、車両に備えられた適宜の手動スイッチ(図示略)がユーザによって操作されず、オイル交換が済んだ旨を示す信号はECU21に送信されない。そのため、ECU21は、オイル交換が済んでいないと判断する。一方、オイル交換が済んでいる場合、ユーザによって上記手動スイッチが操作され、オイル交換が済んだ旨を示す信号がECU21に送信される。そのため、ECU21は、オイル交換が済んだと判断する。なお、本実施の形態では、ECU21は、ユーザによって上記手動スイッチが操作されることでオイル交換が済んだか否かを判断していたが、これに限らない。他に例えば、ECU21は、イグニッションスイッチ25がオン操作される都度オイル粘度を推定し、そのオイル粘度推定値を記憶保持部に記憶保持する。そして、ECU21は、イグニッションスイッチのオン操作時のオイル粘度推定値が前回のイグニッションスイッチ25のオン操作時のオイル粘度推定値よりも急激に低くなった場合、オイル交換が済んだと判断する一方、イグニッションスイッチ25のオン操作時のオイル粘度推定値が前回のイグニッションスイッチ25のオン操作時のオイル粘度推定値とほぼ同一であった場合、オイル交換が済んでいないと判断してもよい。
このステップS15の判断処理において、オイル交換が済んでいないと判断される場合(ステップS15の判断処理で「No」)、ECU21は、このオイル粘度推定処理をそのまま終了する。一方、オイル交換が済んでいると判断される場合(ステップS15の判断処理で「Yes」)、ECU21は、続くステップS16の処理として、上記回数カウンタ回路に記憶保持されていた回数をリセットする。このようにして、ECU21は、オイルが交換されて以後の可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づいて、オイル粘度を推定する。
次に、図9及び図10を参照しつつ説明する。なお、図9は、本実施の形態によって実行される可変バルブタイミング機構18の制御処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図10(a)は、エンジン11の始動時油温とソーク時間との対応マップM2の一例を示す図であり、図10(b)は、エンジン11の始動時油温とオイル粘度との対応マップM3の一例を示す図である。なお、ECU21は、図9に示す可変バルブタイミング機構18の制御処理を、先の図7に示したオイル粘度推定処理と並行して実行する。
イグニッションスイッチ25がオン操作されて、図9に示すフローチャートが実行されると、ECU21は、まず、ステップS21の処理として、可変バルブタイミング機構18に供給するオイルの温度(オイル油温)を検出する。本実施の形態では、可変バルブタイミング機構18に供給するオイルの油温を、例えば油圧回路に設けられた油温センサ26を用いて計測する。なお、油温センサ26によって計測するのではなく、オイルの油温を推定しても良い。具体的には、エンジン冷却水温度と可変バルブタイミング機構18の油圧回路の油温と間に相関関係があるため、水温センサ23により検出されたエンジン冷却水温度に基づいて、オイルの油温を推定しても良い。この場合、エンジン冷却水温度が高いほど、油圧回路の油温が高くなるようにマップ等を用いる。また他にも、外気温に基づいてオイルの油温を推定しても良い。
オイル油温を検出すると、ECU21は、続くステップS22の処理として、エンジン11が停止してから再始動するまでの時間であるソーク時間を推定する。本実施の形態では、例えばECU21内部のタイマを用いてエンジン停止時の時刻を上記記憶保持部に記憶保持しておき、エンジンの再始動時に、エンジン停止時の時刻とのエンジン始動時の時刻との差分によりソーク時間を推定する。なお、ECU21内部のタイマに限らず、他に例えば、カーナビゲーション装置でGPSから受信した信号(タイマ)を用いてエンジン停止時の時刻を上記記憶保持部に記憶保持しておき、エンジンの再始動時に、エンジン停止時の時刻とエンジン始動時の時刻との差分によりソーク時間を推定してもよい。また、エンジン停止時からの経過時刻をカウントする機能を備えている場合には、そのカウントされた時間を用いても良い。このステップS22の処理が特許請求の範囲に記載したソーク時間推定手段に相当する。
ソーク時間を推定すると、ECU21は、続くステップS23の処理として、エンジン11が始動してから経過した時間である経過時間を計測する。詳しくは、本実施の形態では、イグニッションスイッチ25がオン操作されてエンジン11が自立運転可能となったことをもってエンジン11の始動としており、エンジン11が自立運転可能となったか否かについての判断は、例えばエンジン回転速度が所定の閾値(例えば「150[rpm]」)以上となったか否かで判断する。なお、この所定の閾値として「150[rpm]」に限らず、クランキング時のエンジン回転速度以上、且つ、アイドル回転速度以下のエンジン回転速度であればよい。また、イグニッションスイッチ25がオン操作されたことをもってエンジン11の始動としてもよいし、エンジン回転速度が所定のエンジン回転速度に到達したことをもってエンジン11の始動としてもよい。ステップS23の処理が特許請求の範囲に記載した経時手段に相当する。
経時時間を計測すると、ECU21は、続くステップS24の処理として、エンジン11が始動してから可変バルブタイミング機構18の制御を開始することが可能となるまでの時間である遅延時間を設定する。
ここで、エンジン11の始動時における油温が高い場合、可変バルブタイミング機構18にオイルを短時間で供給することができるため、上記遅延時間を短くすることが望ましく、逆に、エンジン11の始動時における油温が低い場合、可変バルブタイミング機構18にオイルを短時間で供給することが難しいため、上記遅延時間を長くすることが望ましい。
また、エンジン11が停止してから始動するまでの時間であるソーク時間が長い場合、エンジン11の再始動時には可変バルブタイミング機構18からオイルが抜け切っており、可変バルブタイミング機構18にオイルが十分に供給された状態とするまでには時間が必要であるため、上記遅延時間を長くすることが望ましい。逆に、ソーク時間が短い場合、エンジン11の再始動時には可変バルブタイミング機構18にオイルが残っていることもあり、可変バルブタイミング機構18にオイルが十分に供給された状態とするまでに時間はそれほど必要とされないため、上記遅延時間を短くすることが望ましい。
さらに、オイルの粘度が高い場合、可変バルブタイミング機構18にオイルが十分に供給された状態とするまでには時間が必要であるため、上記遅延時間を長くすることが望ましい。逆に、オイルの粘度が低い場合、可変バルブタイミング機構18にオイルが十分に供給された状態とするまでに時間はそれほど必要とされないため、上記遅延時間を短くすることが望ましい。
こうした傾向を捉えた対応マップM2及びM3を図10(a)及び10(b)にそれぞれ示す。なお、対応マップM2は、始動時油温及びソーク時間により遅延時間を設定するためのものであり、上記記憶保持部に記憶保持されている。また、対応マップM3は、始動時油温及びオイル粘度により遅延時間を設定するためのものであり、上記記憶保持部に記憶保持されている。
ECU21は、ステップS24の処理として、先のステップS21の処理において検出したオイル油温及び先のステップS22の処理において推定した上記ソーク時間により、上記記憶保持部に記憶保持された対応マップM2を用いて遅延時間T1を算出する。また、ECU21は、このステップS24の処理として、先のステップS21の処理において検出したオイル油温及び先のステップS12の処理において推定した上記オイル粘度により、上記記憶保持部に記憶保持された対応マップM3を用いて遅延時間T2を算出する。そして、ECU21は、これら遅延時間T1及びT2を合算し、遅延時間Td(=T1+T2)を設定する。このステップS24の処理が、特許請求の範囲に記載の遅延時間設定手段に相当する。
遅延時間Tdを設定すると、ECU21は、続くステップS25の判断処理として、先のステップS23の処理にて計測する経過時間が、先のステップS24の処理にて設定する遅延時間Tdよりも長くなったか否かを判定する。つまり、ECU21は、ステップS25の判断処理として、可変バルブタイミング機構18の油圧室(遅角室)に十分にオイルが供給されているか否かを判定する。
ここで、上記経過時間が上記遅延時間Tdよりも経過したと判定される場合(ステップS25の判断処理で「Yes」)、ECU21は、続くステップS26の処理として、後述の許可フラグをセットする。これにより、オイルポンプ28及び油圧制御弁29等の油圧制御手段によって、要求に応じた可変バルブタイミング機構18の進角制御が実行開始される。一方、上記経過時間が上記遅延時間Tdよりも経過していないと判定される場合(ステップS25の判断処理で「No」)、ECU21は、続くステップS27の処理として、後述の許可フラグをリセットする。これにより、オイルポンプ28及び油圧制御弁29等の油圧制御手段によって、可変バルブタイミング機構18の遅角室にオイルが供給される。このように、ECU21は、許可フラグをセットことで可変バルブタイミング機構18の進角制御を実行する、あるいは、許可フラグをリセットすることで可変バルブタイミング機構18の遅角室にオイルを供給すると、そのままこの制御処理を終了する。
また、本実施形態では、バルブタイミングを遅角位置に制御する際にオイルを供給する側の可変バルブタイミング機構18の油圧室を遅角室としている。また、ステップS26の処理において、ECU21は、要求に応じて可変バルブタイミング機構18の進角制御を実行するようにしたが、要求に応じてバルブタイミングの位置が目標位置となるようにフィードバック制御しても良い。なお、このフィードバック制御では、運転状態に応じて吸気バルブの実バルブタイミング(吸気側カム軸の実進角量)を目標バルブタイミング(目標進角量)に一致させるように可変バルブタイミング機構18を制御する。
次に、可変バルブタイミング機構18の制御処理がECU21によって実行されるときのタイミングチャートを図11を参照して説明する。なお、図11において、(a)はイグニッションスイッチ25のオンオフ状態の推移を、(b)はエンジン回転速度の推移を、(c)は経時カウンタの推移を、それぞれ示すタイミングチャートである。また、図11(d)は、従来構成における許可フラグの推移を、(e)は、従来構成における目標値の推移及び実進角量の推移を、それぞれ示すタイミングチャートである。さらに、図11(f)は、本実施の形態における許可フラグの推移を、(g)は、本実施の形態における目標値の推移及び実進角量の推移を、それぞれ示すタイミングチャートである。
図11(a)に示されるように、例えば時刻t1において、イグニッションスイッチ25がオン操作されたとする。すると、図11(b)に示されるように、時刻t1以後、クランキングが行なわれ、例えば時刻t2において、エンジン回転速度が、エンジン11が自立運転可能となったか否かを判定する所定の閾値(本実施の形態では例えば「150[rpm]」)よりも大きくなると、エンジン11が自立運転可能となったと判定される。そして、図11(c)に示されるように、エンジン始動時からの経過時間が経時カウンタによってカウントされる。エンジン11が始動されると、可変バルブタイミング機構18の遅角室にオイルが供給される。
図11(d)に示されるように、従来構成では、例えば時刻t3において、エンジン始動時からの経過時間が、可変バルブタイミング機構18の遅角室に十分に供給されたか否かを判定する遅延時間Tよりも長くなり、可変バルブタイミング機構18の進角制御実行を許可する許可フラグがオンになる。つまり、時刻t3において、要求に応じて可変バルブタイミング機構18の進角制御を実行することが可能であると判断され、吸気バルブのバルブタイミングが所定の進角位置に制御開始される。
しかしながら、従来構成では、遅延時間Tは、オイル粘度(劣化度合)が考慮されることなく設定されている。そのため、可変バルブタイミング機構の油圧室に十分にオイルが供給されていない状態で、要求に応じて吸気バルブのバルブタイミング(実進角量)が所定の進角位置(目標値)に制御されてしまう。したがって、図11(e)に示すように、実進角量の挙動に遅れが発生、最悪、挙動が乱れるおそれがある。
その点、図11(f)に示されるように、本実施の形態では、例えば時刻t4において、エンジン始動時からの経過時間が、可変バルブタイミング機構18の遅角室に十分に供給されたか否かを判定する遅延時間Tdよりも長くなり、可変バルブタイミング機構18の進角制御実行を許可する許可フラグがオンになる。つまり、時刻t4において、要求に応じて可変バルブタイミング機構18の進角制御を実行することが可能であると判断され、吸気バルブのバルブタイミングが所定の進角位置に制御開始される。
本実施の形態では、遅延時間Tdは、オイル粘度及びオイル油温並びにソーク時間に基づき設定されている。そのため、可変バルブタイミング機構の油圧室に十分にオイルが供給された状態で、要求に応じて吸気バルブのバルブタイミング(実進角量)が所定の進角位置(目標値)に制御される。したがって、図11(g)に示すように、実進角量は、挙動が乱れることなく、目標値を追従して推移する。
以上説明したように、本実施形態では、オイル油温及びソーク時間に基づいて遅延時間T1を求めるとともに、オイル粘度及びオイル油温に基づいて遅延時間T2を求め、これら遅延時間T1及びT2を合算して遅延時間Tdを設定しているため、エンジン始動時において、可変バルブタイミング機構18の遅角室に十分にオイルを供給した後(遅延時間Td後)に、要求に応じて吸気バルブのバルブタイミングを所定の進角位置に制御することが可能となる。換言すれば、オイル粘度を考慮して遅延時間Tdを設定するため、より適切な時期に、可変バルブタイミング機構18の制御を開始することができるようになる。
本実施の形態では、可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づいて推定されたオイル粘度推定値が所定粘度よりも高いと判断される場合、オイル交換を行なうよう警告することとした。これにより、オイルの交換をユーザに促すことができ、劣化したオイルがそのまま使用し続けられることが低減されるようになる。そして、ひいては、劣化したオイルがそのまま使用し続けられなくなることで、使用し続けられた場合に生じたはずのエミッションの悪化を改善することができるようになる。
なお、本発明に係る内燃機関の可変バルブ機構制御装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
上記実施の形態では、エンジン始動時における吸気バルブに設定された可変バルブタイミング機構18の制御について説明した。ここで、上記実施の形態では、可変バルブタイミング機構18の油圧室(遅角室)に十分にオイルが供給されるまでの時間を遅延時間として設定したが、可変バルブタイミング機構18の油圧室の進角室及び遅角室に十分にオイルが供給されるまでの時間を遅延時間として設定しても良い。この場合、進角室及び遅角室に十分にオイルが供給された状態になると、要求に応じて可変バルブタイミング機構18のフィードバック制御を実行することが可能となる。また、その他に、ロックピンの解除を保持することが可能となるまでの時間を遅延時間として設定しても良い。
上記実施の形態を、排気バルブに設置された可変バルブタイミング機構にも適用することができる。例えば、エンジン始動時において、排気バルブのバルブタイミングを最進角位置から制御する場合は、エンジン始動時において、可変バルブタイミング機構の油圧室(進角室)に十分にオイルが供給されるまでの時間を遅延時間として設定すると良い。つまり、排気バルブに設置された可変バルブタイミング機構では、エンジン始動時からの経過時間が遅延時間に達するまでは、可変バルブタイミング機構の進角室にオイルを供給し、エンジン始動時からの経過時間が遅延時間以上になると、必要に応じて可変バルブタイミング機構の遅角制御またはフィードバック制御を実行すると良い。また、可変バルブタイミング機構の油圧室の進角室及び遅角室に十分にオイルが供給されるまでの時間を遅延時間として設定しても良い。この場合、進角室及び遅角室に十分にオイルが供給された状態になると、可変バルブタイミング機構のフィードバック制御を実行することが可能となる。また、その他に、ロックピンの解除を保持することが可能となるまでの時間を遅延時間として設定しても良い。
なお、上記実施の形態では、吸気バルブまたは排気バルブのバルブタイミングを進角位置に制御する際にオイルを供給する可変バルブタイミング機構の油圧室を進角室として、吸気バルブまたは排気バルブのバルブタイミングを遅角位置に制御する際にオイルを供給する可変バルブタイミング機構の油圧室を遅角室として、それぞれ定義した。
上記実施の形態を、吸気バルブまたは排気バルブに設置された可変バルブリフト機構に適用しても良い。例えば、カム切換機構に供給するオイルが十分に供給されるまでの時間を遅延時間として設定すると良い。
上記実施の形態では、可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づいて推定されたオイル粘度推定値が所定粘度よりも高いか否かを判断し、オイル粘度推定値が所定粘度よりも高いと判断される場合、オイル交換を行なうよう警告することとした(図7参照)が、これに限らない。図7中に示すステップS13の処理に対応する処理として図12中に示すステップS13aの処理のように、オイル粘度及びオイル油温並びにソーク時間に基づき設定される遅延時間Td(ステップS24の処理(図9参照))が所定時間を超えるか否かを判断し、この所定時間を超えると判断する場合、オイル交換を行なうよう警告することとしてもよい。あるいは、オイル粘度及びオイル油温に基づき設定される遅延時間T2が所定時間を超えるか否かを判断し、この所定時間を超えると判断する場合、オイル交換を行なうよう警告することとしてもよい。これら別例によっても、オイルを交換する必要がある旨を報知することで、ユーザに対し、オイルの交換を促すことができるようになる。
上記実施の形態では、オイル油温及びソーク時間に基づいて遅延時間T1を求めるとともに、オイル粘度及びオイル油温に基づいて遅延時間T2を求め、これら遅延時間T1及びT2を合算して遅延時間Tdを設定していたが、これに限らない。最終的な遅延時間Tdを設定するにあたり、ソーク時間を考慮しなくてもよい。すなわち、遅延時間T1及びT2を合算することなく、遅延時間T2を最終的な遅延時間Tdとして設定することとしてもよい。あるいは、最終的な遅延時間Tdを設定するにあたり、オイル油温を考慮しなくてもよい。さらには、オイル油温及びソーク時間を考慮することなく、最終的な遅延時間Tdを設定してもよい。要は、オイル粘度(作動油の劣化度合)を考慮して遅延時間tdを設定すればよい。
上記実施の形態では、可変バルブタイミング機構18の使用回数とオイル粘度との対応マップM1を記憶保持し、この対応マップM1を用いて、可変バルブタイミング機構18機構の使用回数に基づいてオイル粘度を推定していた(ステップS12の処理(図7)参照)が、これに限らない。他に例えば、対応マップM1を用いるのではなく、可変バルブタイミング機構18の使用回数をパラメータとする数式を、シミュレーションや実験等によって予め定めておき、この数式を用いてオイル粘度推定値を算出することとしてもよい。要は、可変バルブタイミング機構18の使用回数に基づいてオイル粘度を推定できれば、その方法については任意である。
上記実施の形態では、オイルの使用状況として、オイルが交換されて以後の可変バルブタイミング機構18の使用回数を用いてオイル粘度を推定していた(図7参照)が、これに限らない。図7中に示すステップS11の処理に対応する処理として図13中に示すステップS11aの処理のように、オイルが交換されて以後の当該装置が搭載される車両の走行距離を用いてオイル粘度を推定することとしてもよい。なお、車両の走行距離を用いてオイル粘度を推定するにあたり、先の図8に示す対応マップM1に対応する対応マップとして、図14に示す対応マップM1aを用いてもよく、対応マップM1aを用いるのではなく、当該装置が搭載される車両の走行距離をパラメータとする数式を、シミュレーションや実験等によって予め定めておき、この数式を用いてオイル粘度推定値を算出することとしてもよい。要は、当該装置が搭載される車両の走行距離に基づいてオイル粘度を推定できれば、その方法については任意である。
また、次のようにしてオイル粘度を推定してもよい。すなわち、ECU21は、可変バルブタイミング機構18の制御を行わない場合の基準バルブタイミング(基準進角量、図11(g)参照)と可変バルブタイミング機構18の制御を行う場合の目標バルブタイミング(目標値、図11(g)参照)との偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、オイルが交換されて以後のこれら基準バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差の積算する。そして、ECU21は、基準バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差の積算値に基づいてオイル粘度を推定してもよい。なお、基準バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差の積算値が大きいほど、オイルの劣化が進行していることを意味している。また、ECU21が特許請求の範囲に記載の積算値算出手段に相当する。
他にも次のようにしてオイル粘度を推定してもよい。すなわち、ECU21は、可変バルブタイミング機構18の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと可変バルブタイミング機構18の制御を行う場合の実バルブタイミング(実進角量、図11(g)参照)との偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、オイルが交換されて以後のこれら基準バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差を積算する。そして、ECU21は、基準バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差の積算値に基づいてオイル粘度を推定してもよい。なお、基準バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差の積算値が大きいほど、オイルの劣化が進行していることを意味している。
また他にも次のようにしてオイル粘度を推定してもよい。すなわち、ECU21は、可変バルブタイミング機構18の制御を行わない場合のソレノイド53への基準制御値(電流値)と可変バルブタイミング機構18の制御を行う場合の実制御値(電流値)との偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、オイルが交換されて以後のこれら基準制御値と実制御値との偏差を積算する。そして、ECU21は、基準制御値と実制御値との偏差の積算値に基づいてオイル粘度を推定してもよい。なお、基準制御値と実制御値との偏差の積算値が大きいほど、オイルの劣化が進行していることを意味している。
上記実施の形態(変形例を含む)では、オイルの使用状況として、オイルが交換されて以後の可変バルブタイミング機構18の使用回数を用いてオイル粘度を推定したり、オイルが交換されて以後の当該装置が搭載される車両の走行距離を用いてオイル粘度を推定したりしていたが、これに限らない。要は、オイルの使用状況に基づいて、オイル粘度を推定することができればよい。
本発明に係る内燃機関の可変バルブ機構制御装置の一実施の形態について、その全体構成を示す図。 上記一実施の形態を構成する可変バルブ機構について、その側面断面構造を示す図。 図2におけるA−A線に沿った断面構造を示す図。 図2におけるB−B線に沿った断面構造を示す図。 上記一実施の形態を構成するロックピンについて、そのロック状態を部分的に拡大して示す断面図。 上記一実施の形態を構成するロックピンについて、そのロック解除状態を部分的に拡大して示す断面図。 上記一実施の形態によって実行される粘度推定処理について、その処理手順を示すフローチャート。 可変バルブ機構の使用回数とオイル粘度との対応マップの一例を示す図。 上記一実施の形態によって実行される可変バルブ機構制御処理について、その処理手順を示すフローチャート。 (a)は、始動時油温及びソーク時間により遅延時間を設定するための対応マップの一例を示す図。(b)は、始動時油温及びオイル粘度により遅延時間を設定するための対応マップの一例を示す図。 (a)は、イグニッションスイッチのオンオフ状態の推移を示すタイミングチャート。(b)は、エンジン回転速度の推移を示すタイミングチャート。(c)は、タイムカウンタの推移を示すタイミングチャート。(d)は、従来構成における許可フラグの推移を示すタイミングチャート。(e)は、従来構成における目標値の推移及び実進角量の推移を併せ示すタイミングチャート。(f)は、上記一実施の形態における許可フラグの推移を示すタイミングチャート。(g)は、上記一実施の形態における目標値の推移及び実進角量の推移を併せ示すタイミングチャート。 粘度推定処理の変形例について、その処理手順を示すフローチャート。 粘度推定処理の他の変形例について、その処理手順を示すフローチャート。 当該装置が搭載される車両の走行距離とオイル粘度との対応マップの一例を示す図。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…クランク軸、13…タイミングチェーン、14、15…スプロケット、16…吸気側カム軸、17…排気側カム軸、18…バルブタイミング制御装置、19…カム角センサ、21…エンジン制御回路、22…エアフロメータ、23…水温センサ、24…スロットルセンサ、25…イグニッションスイッチ、26…油温センサ、27…オイルパン、28…オイルポンプ、29…油圧制御弁、31…ハウジング、32…ボルト、33…シリンダヘッド、34…ベアリングキャップ、35…ロータ、36…ストッパ、40…流体室、41…ベーン、42…進角室、43…遅角室、44…シール部材、45…板ばね、46…進角溝、47…遅角溝、48…進角油路、49…円弧状進角油路、50…遅角油路、51…円弧状遅角油路、55…コイルばね、56…ストッパ部、57…ロックピン収容孔、58…ロックピン、59…ロック穴、61…円筒部材、62…スプリング、63…弁部、64…ロック油圧室、65…油圧室、66…ロック油路、67…ロック解除保持用の油路、68…ロック解除油路。

Claims (12)

  1. 供給される作動油の油圧によって、内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブの少なくともいずれか一方のバルブタイミングを可変可能な可変バルブ機構と、
    前記可変バルブ機構に供給する作動油の油圧を制御する油圧制御手段とを備えた内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記内燃機関が始動してから経過した時間である経過時間を計測する経時手段と、
    前記作動油の劣化状態の程度を示す劣化度合を推定する劣化度合推定手段と、
    前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に基づいて、前記内燃機関が始動してから前記可変バルブ機構の制御を開始することが可能となるまでの時間である遅延時間を設定する遅延時間設定手段とを備え、
    前記油圧制御手段は、前記経時手段により計測された経過時間が、前記遅延時間設定手段により設定された前記遅延時間以上である場合に、前記可変バルブ機構を制御することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記作動油が交換されて以後の前記可変バルブ機構の使用回数をカウントし、
    前記劣化度合推定手段は、このカウントされた使用回数を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記可変バルブ機構の使用回数と前記作動油の劣化度合との対応マップを記憶保持し、
    前記劣化度合推定手段は、この対応マップを用いて、前記可変バルブ機構の使用回数に基づいて前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  4. 請求項1に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記作動油が交換されて以後の当該装置が搭載される車両の走行距離を計測し、
    前記劣化度合推定手段は、この計測された走行距離を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記車両の走行距離と前記作動油の劣化度合との対応マップを記憶保持し、
    前記劣化度合推定手段は、この対応マップを用いて、前記車両の走行距離に基づいて前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  6. 請求項1に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記可変バルブ機構の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと前記可変バルブ機構の制御を行う場合の目標バルブタイミングとの偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、前記作動油が交換されて以後のこれら基準バルブタイミングと目標バルブタイミングとの偏差の積算値を算出する積算値算出手段をさらに備え、
    前記劣化度合推定手段は、前記積算値算出手段によって算出された積算値を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  7. 請求項1に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記可変バルブ機構の制御を行わない場合の基準バルブタイミングと前記可変バルブ機構の制御を行う場合の実バルブタイミングとの偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、前記作動油が交換されて以後のこれら基準バルブタイミングと実バルブタイミングとの偏差の積算値を算出する積算値算出手段をさらに備え、
    前記劣化度合推定手段は、前記積算値算出手段によって算出された積算値を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  8. 請求項1に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記可変バルブ機構の制御を行わない場合における前記油圧制御手段の基準制御値と前記可変バルブ機構の制御を行う場合における前記油圧制御手段の実制御値との偏差を所定時間毎に繰り返し算出し、前記作動油が交換されて以後のこれら基準制御値と実制御値との偏差を前記作動油の使用状況として、前記作動油の劣化度合を推定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記可変バルブ機構に供給される作動油の油温を検出する油温検出手段をさらに備え、
    前記遅延時間設定手段は、前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に加え、前記油温検出手段により前記内燃機関の始動時に検出された油温に基づいて、前記遅延時間を設定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記内燃機関が停止してから始動するまでの時間であるソーク時間を推定するソーク時間推定手段をさらに備え、
    前記遅延時間設定手段は、前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合に加え、前記ソーク時間推定手段により推定されたソーク時間に基づいて、前記遅延時間を設定することを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記劣化度合推定手段により推定された作動油の劣化度合が所定度合を超えるか否かを判断し、この所定度合を超えると判断する場合、前記作動油を交換する必要がある旨を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変バルブ機構制御装置において、
    前記遅延時間設定手段により設定された遅延時間が所定時間を超えるか否かを判断し、この所定時間を超えると判断する場合、前記作動油を交換する必要がある旨を報知する報知手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関の可変バルブ機構制御装置。
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