JP2010063279A - 二次電池の充電方法、二次電池システム及び車両 - Google Patents

二次電池の充電方法、二次電池システム及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】 電池の劣化を防止可能な二次電池の充電方法を提供する。このような充電方法を用いた二次電池システム、この二次電池システムを搭載した電池搭載車両を提供する。
【解決手段】 外部電源PXを用いて二次電池10,101を充電する二次電池の充電方法は、充電の際に流す充電電流SA,CAよりも小さな微少電流MAの通電をし、このときの通電時電池電圧VHに基づいて、初期充電電流SAの大きさを設定する初期充電電流設定工程と、充電の際における電池抵抗BRの大きさに応じて、充電電流の大きさを変化させて、二次電池の充電を行う充電工程と、を備える。
【選択図】 図6

Description

本発明は、外部電源により充電可能な二次電池の充電方法、このような充電方法を用いた二次電池システム、この二次電池システムを搭載し、外部電源に接続可能な車両に関する。
近年、駆動源として二次電池を搭載し、外部電源から充電可能な、いわゆるプラグイン電気自動車など外部充電可能型の電気自動車や、駆動源として二次電池の他にエンジンをも搭載した、いわゆるプラグインハイブリッド電気自動車が実用化されている。
このような車両に用いられる二次電池は、通常、その温度により、その二次電池の内部抵抗(電池抵抗)の値が変動する。例えば、その温度が低い(例えば、0℃以下)場合には、二次電池の内部での化学反応が低温ほど鈍くなり、その二次電池の内部抵抗が常温のものより高くなる。
そこで、特許文献1では、電気自動車に搭載した動力用電池(二次電池)を充電するにあたり、その動力用電池(二次電池)の温度によって充電電流を変動させて充電する技術が開示されている。
特開平11−341698号公報
しかしながら、上述の特許文献1に示す技術では、二次電池の温度の高低から、その二次電池の電池抵抗値の大小を推定しているが、二次電池の温度だけでは、二次電池の実際の電池抵抗値を正しく推定することは困難である。
例えば、二次電池の電池抵抗値に影響する要因としては、二次電池の温度のほかに、その電池の劣化の程度が知られているが、特許文献1に示す技術では、電池の劣化による二次電池の電池抵抗値の変化について適切に推定することができない。即ち、劣化により電池抵抗の値が高くなった二次電池と、逆に電池抵抗の値の低い二次電池とが、同じ電池温度である場合、この技術では同じ電池抵抗値であると推定されてしまう。
また、後で詳述するが、本発明者らは、充電時における二次電池の電池抵抗値が大きいときに、過大な充電電流で充電すると、二次電池が劣化しやすいことを見出した。逆に、充電時の電池抵抗値が大きいときには、充電電流値を小さく設定することで、二次電池の劣化を防止することができる。
また、二次電池から放電させる場合も同様に、二次電池の電池抵抗値が大きいときに、過大な放電電流で放電させると、二次電池が劣化しやすいことも見出した。この場合でも、放電時の電池抵抗値が大きいときには、放電電流値を小さく設定することで、二次電池の劣化を防止できる。
かくして、二次電池を充放電する際に、その二次電池の電池抵抗値が大きいときには、その二次電池に流す電流を小さく設定することで、二次電池の劣化を防止できる。
本発明は、かかる知見に鑑みてなされたものであって、電池の劣化を防止可能な二次電池の充電方法を提供することを目的とする。また、このような充電方法を用いた二次電池システム、この二次電池システムを搭載した電池搭載車両を提供することを目的とする。
そして、その解決手段は、外部電源を用いて二次電池を充電する二次電池の充電方法であって、上記二次電池に上記充電の際に流す充電電流よりも小さな微少電流の通電をし、このときに上記二次電池に生じる通電時電池電圧に基づいて、上記充電電流のうち、上記外部電源による充電開始時の初期充電電流の大きさを設定する初期充電電流設定工程と、充電の際に上記二次電池に生じた電池抵抗の大きさに応じて、上記充電電流の大きさを変化させて、上記二次電池の充電を行う充電工程と、を備える二次電池の充電方法である。
本発明の二次電池の充電方法では、上述の初期充電電流設定工程と充電工程とを備える。このうち初期充電電流設定工程では、充電の際に流す充電電流よりも小さな微少電流を用いて、充電開始時の初期充電電流の大きさを設定する。このため、この初期充電電流設定工程において、大きな電流を流すことによる二次電池の劣化を防止することができる。
なお、通電とは、二次電池に電流を流すことを指し、二次電池に充電する場合も、二次電池を放電させる場合も含まれる。また、電池抵抗の大きさを検出する手法として、例えば、二次電池における電池抵抗の実測するほか、所定の大きさの充電電流を通電したときの電池電圧の変動分の大きさ(通電前の電池電圧と通電中の電池電圧との差分の大きさ)から算出する手法が挙げられる。
さらに、上述の二次電池の充電方法であって、前記初期充電電流設定工程は、前記微少電流の通電に先立ち、前記二次電池の電池温度を検知する温度検知工程と、検知した上記電池温度に基づいて、上記微少電流の大きさを設定する第1微少電流設定工程と、を含む二次電池の充電方法とすると良い。
本発明の二次電池の充電方法では、初期充電電流設定工程に上述の温度検知工程及び第1微少電流設定工程を含む。前述したように電池温度に応じてその二次電池の電池抵抗の大きさが変化するので、電池温度を基に、この電池温度に見合った、その二次電池を劣化させない微少電流の大きさを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定工程において、大きな電流を流すことによる二次電池の劣化を防止することができる。
または、前述の二次電池の充電方法であって、前記初期充電電流設定工程は、予め記憶しておいた前記二次電池の劣化度に基づいて前記微少電流の大きさを設定する第2微少電流設定工程を含む二次電池の充電方法とすると良い。
本発明の二次電池の充電方法では、初期充電電流設定工程に上述の第2微少電流設定工程を含む。二次電池の劣化が進むとその二次電池の電池抵抗の大きさが大きくなるので、劣化度を基に、この劣化度に見合った、その二次電池を劣化させない微少電流の大きさを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定工程において、大きな電流を流すことによる二次電池の劣化を防止することができる。
なお、劣化度としては、例えば、二次電池の抵抗増加率や二次電池の容量についての容量維持率などが挙げられる。このうち、抵抗増加率としては、例えば、この二次電池を搭載した車両の走行中、放電時或いは充電時の二次電池の電圧と、放電電流或いは充電電流の大きさから算出した電池抵抗値を、初期(使用開始時)における電池抵抗値で割った値が挙げられる。また、外部電源からの充電時における二次電池の電圧及び電流の大きさから算出した電池抵抗値を、初期の電池抵抗値で割った値を用いることもできる。
また、容量維持率としては、例えば、この二次電池を搭載した車両の走行中における二次電池の充電容量或いは放電容量を電流積算で求め、これを初期における電池容量(充電容量又は放電容量)で割った値が挙げられる。また、外部電源からの充電時における充電容量と、充電を開始したときの二次電池の電池容量とを足し合わせて、これを初期における電池容量で割った値を用いることもできる。
または、前述の二次電池の充電方法であって、前記初期充電電流設定工程は、前記二次電池に前記微少電流を通電する通電工程と、前記二次電池に上記微少電流を通電したときと、通電しないときに、この二次電池に生じる電池電圧の差分を検知する電圧差分検知工程と、上記差分が、所定範囲の大きさとなったか否かを判定し、上記差分が上記所定範囲の大きさより小さいときには、上記微少電流の大きさを増加させて設定し、上記通電工程と電圧差分検知工程とを再度行わせる判定工程と、を含む二次電池の充電方法とすると良い。
二次電池に流す電流(微少電流)が小さすぎると、通電前と通電中との電池電圧の差分が小さすぎて、適切に初期充電電流を設定できない虞がある。
これに対し、本発明の二次電池の充電方法では、初期充電電流設定工程に、上述の通電工程、電圧差分検知工程及び判定工程を含み、電池電圧の差分が所定範囲の大きさになるまで、微少電流を増加させる。このため、適切な大きさの微少電流を用いることができ、初期充電電流設定工程において、大きな電流を流すことによる二次電池の劣化を防止しつつ、適切に初期充電電流を設定することができる。
さらに、上述のいずれかの二次電池の充電方法であって、前記初期充電電流設定工程は、前記二次電池に前記微少電流を充電する二次電池の充電方法とすると良い。
本発明の二次電池の充電方法では、初期充電電流設定工程が二次電池に微少電流を充電するので、二次電池の充電に寄与できる。
さらに、他の解決手段は、外部電源を用いて二次電池を充電可能な二次電池システムであって、上記二次電池に上記充電の際に流す充電電流よりも小さな微少電流の通電をし、このときに上記二次電池に生じる通電時電池電圧に基づいて、上記充電電流のうち、上記外部電源による充電開始時の初期充電電流の大きさを設定する初期充電電流設定手段と、充電の際に上記二次電池に生じた電池抵抗の大きさに応じて、以降の充電電流の大きさを設定する充電電流設定手段と、を備える二次電池システムである。
本発明の二次電池システムでは、上述の初期充電電流設定手段と充電電流設定手段とを備える。このうち、初期充電電流設定手段によって、充電の際に流す充電電流よりも小さな微少電流を用いて、充電開始時の初期充電電流の大きさを設定する。このため、この初期充電電流の設定の際に大きな電流を流すことがなく、これによる二次電池の劣化を防止することができる二次電池システムとすることができる。
さらに、上述の二次電池システムであって、前記初期充電電流設定手段は、前記微少電流の通電に先立ち、前記二次電池の電池温度を検知する温度検知手段と、検知した上記電池温度に基づいて、上記微少電流の大きさを設定する第1微少電流設定手段と、を含む二次電池システムとすると良い。
本発明の二次電池システムでは、初期充電電流設定手段に上述の温度検知手段、及び、第1微少電流設定手段を含む。前述したように電池温度に応じてその二次電池の電池抵抗の大きさが変化するので、電池温度を基に、この電池温度に見合った、その二次電池を劣化させない微少電流の大きさを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定手段での初期充電電流の設定の際に大きな電流を流すことがなく、これによる二次電池の劣化を防止することができる二次電池システムとすることができる。
または、前述の二次電池システムであって、前記初期充電電流設定手段は、前記二次電池の劣化度を記憶する記憶手段と、上記劣化度に基づいて前記微少電流の大きさを設定する第2微少電流設定手段と、を含む二次電池システムとすると良い。
本発明の二次電池システムでは、初期充電電流設定手段に上述の記憶手段、及び、第2微少電流設定手段を含む。二次電池の劣化が進むとその二次電池の電池抵抗の大きさが大きくなるので、劣化度を基に、この劣化度に見合った、その二次電池を劣化させない微少電流の大きさを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定手段での初期充電電流の設定の際に大きな電流を流すことがなく、これによる二次電池の劣化を防止することができる二次電池システムとすることができる。
または、前述の二次電池システムであって、前記初期充電電流設定手段は、前記二次電池に前記微少電流を通電する通電手段と、前記二次電池に上記微少電流を通電したときと、通電しないときに、この二次電池に生じる電池電圧の差分を検知する電圧差分検知手段と、上記差分が、所定範囲の大きさとなったか否かを判定し、上記差分が上記所定範囲の大きさより小さいときには、上記微少電流の大きさを増加させて、上記通電工程と電圧差分検知工程とを再度行わせる判定手段と、を含む二次電池システムとすると良い。
本発明の二次電池システムでは、初期充電電流設定手段に、上述の通電手段、電圧差分検知手段及び判定手段を含み、電池電圧の差分が所定範囲の大きさになるまで、微少電流を増加させる。このため、適切な大きさの微少電流を用いることができ、初期充電電流設定手段での初期充電電流の設定の際に大きな電流を流すことがなく、これによる二次電池の劣化を防止しつつ、適切に初期充電電流を設定できる二次電池システムとすることができる。
さらに、上述のいずれかの二次電池システムであって、前記初期充電電流設定手段は、前記二次電池に前記微少電流を充電する二次電池システムとすると良い。
本発明の二次電池システムでは、初期充電電流設定手段が二次電池に微少電流を充電するので、二次電池の充電に寄与できる。
さらに、他の解決手段は、前述のいずれかの二次電池システムを搭載した車両であって、この車両の外部に設置されている前記外部電源に接続可能な端子部を備える外部充電可能型の電池搭載車両である。
本発明の車両は、前述の二次電池システムを搭載した外部充電可能型の電池搭載車両であるので、車載した二次電池システムにおいて、外部電源による充電にあたり、二次電池の劣化を抑制することができる。
なお、外部充電可能型の電池搭載車両としては、例えば、自身の外部に設置された家庭用電源のコンセントにプラグを差し込んで二次電池を充電するプラグインハイブリッド電気自動車、及び、プラグイン電気自動車の他に、外部に設置された充電器(外部電源装置)を用いて充電する電気自動車等が挙げられる。
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態1にかかる車両100について説明する。図1に車両100の斜視図を示す。
この車両100は、組電池10をなす、複数のリチウムイオン二次電池101(以下、電池101とも言う)の他に、プラグインハイブリッド自動車制御装置(以下、PHV制御装置とも言う)20、フロントモータ30、リアモータ40、エンジン50、ケーブル60、インバータ71、コンバータ72、車体90及びプラグ80Pを先端に配置したプラグ付ケーブル80を有するプラグインハイブリッド電気自動車である。
なお、この車両100は、上述の組電池10(電池101)、PHV制御装置20、コンバータ72、プラグ付ケーブル80(プラグ80P)、及び、後述の電池監視装置12で構成する二次電池システムM1を搭載している。
この車両100は、車両の作動中においては、電気自動車と同様にして、フロントモータ30及びリアモータ40を用いて走行することができるほか、ハイブリッド電気自動車と同様にして、エンジン50、フロントモータ30及びリアモータ40を併用して走行することができる。一方、車両の作動を終了した後には、二次電池システムM1を用いて、電気自動車と同様にして、車両100の外部に設置した外部電源XE(本実施形態1では一般家庭用のコンセント(AC100V))に、プラグ付ケーブル80のプラグ80Pを挿入して、組電池10中の複数の電池101に充電することができる。
車両100のPHV制御装置20は、図示しないCPU、ROM及びRAMを有し、所定のプログラムによって作動するマイクロコンピュータを含んでいる。そして、このPHV制御装置20は、フロントモータ30、リアモータ40、エンジン50、インバータ71、コンバータ72、及び、通信ケーブル12Bで接続した後述する電池監視装置12とそれぞれ通信可能となっており、各部の状況に応じて様々な制御を行う。例えば、車両100の走行状況に応じた、エンジン50の駆動力とモータ30,40の駆動力との組み合わせを制御したり、プラグ付ケーブル80(プラグ80P)を通じて、外部電源XEから組電池10(電池101)に充電する場合の充電制御を行う。
また、組電池10は、図2に示すように、組電池ケース11A中に複数の電池101を配置した電池部11と、電池監視装置12とを有する。このうち、電池監視装置12は、電池部11の複数の電池101のうち、数個の電池101の電池温度BTについて、サーミスタTLを用いて取得している。このサーミスタTLは、後述する電池ケース110における封口蓋112の上面112aに配置されており、その付近の電池温度BTがケーブルTLCを通じて計測可能となっている。
そのほか、電池101の個々の電圧に関するデータについても、図示しないセンシング線を用いて取得している。
また、電池部11は、矩形箱形の電池ケース110内に、発電要素120、電解液130を備える捲回形の電池101を100個収容している。なお、これら複数の電池101は、バスバ190とのボルト締結にて、互いに直列に接続されている(図2参照)。
各電池101の電池ケース110は、共にステンレス鋼製の電池ケース本体111及び封口蓋112を有する(図3参照)。このうち電池ケース本体111は有底矩形箱形であり、内側全面に図示しない樹脂からなる絶縁フィルムを貼付している。
封口蓋112は矩形板状であり、電池ケース本体111の開口部111Aを閉塞して、この電池ケース本体111に溶接されている(図3,4参照)。この封口蓋112では、発電要素120と接続している正極集電部材171及び負極集電部材172のうち、それぞれ先端に位置する正極端子部171A及び負極端子部172Aが、封口蓋112の上面112aから電池ケース110の外側に向けて突出している。これら正極端子部171A及び負極端子部172Aと封口蓋112との間には、それぞれ樹脂製の絶縁部材175が介在され、互いを絶縁している。また、封口蓋112には、矩形板状の安全弁177も封着されている。
また、発電要素120は、帯状の正極板121及び負極板122が、ポリエチレンからなる帯状のセパレータ123を介して扁平形状に捲回されてなる(図3参照)。なお、この発電要素120の正極板121及び負極板122はそれぞれ、クランク状に屈曲した板状の正極集電部材171又は負極集電部材172と接合されている。
なお、負極板122のうち銅箔が露出している負極リード部122fのおよそ半分の領域(図3中、上方)が負極集電部材172に密着して溶接されている。また、図示しないが、正極板121の正極リード部121fも、負極側と同様にして、正極集電部材171と溶接されている。
正極板121は、帯状のアルミ箔のうち、一方長辺に沿う正極リード部121fを残して、その両面に図示しない正極活物質層を担持してなる。この正極活物質層には、正極活物質のニッケル酸リチウム(LiNiO2)、導電剤のアセチレンブラック、及び、結着剤のポリテトラフルオロエチレン(PTFE),カルボキシルメチルセルロース(CMC)が含まれる。なお、正極活物質層におけるこれらの質量比は、LiNiO2が90wt%、アセチレンブラックが7wt%、PTFEが1wt%、CMCが2wt%である。
また、負極板122は、帯状の銅箔のうち、一方長辺に沿う負極リード部122fを残して、その両面に図示しない負極活物質層を担持してなる。この負極活物質層には、グラファイト及び結着剤が含まれる。
また、電解液130は、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、体積比でEC:EMC=3:7に調整した混合有機溶媒に、溶質としてLiPF6を添加し、リチウムイオンLHを1mol/Lの濃度とした有機電解液である。
ところで、本発明者らは、上述した電池101を充電する際、低温である、或いは、劣化しているなどによって、その電池101の電池抵抗値が大きい場合に、過大な充電電流で充電すると、電池101が劣化しやすいことを見出した。逆に、充電時の電池101の抵抗値が大きいときには、充電電流値を小さく設定することで、その電池101の劣化を防止することができる。
また、二次電池から放電する場合も同様に、二次電池の電池抵抗値が大きいときに、過大な放電電流で放電させると、二次電池が劣化しやすいことも見出した。
かくして、二次電池を充放電する際に、その二次電池の電池抵抗値が大きいときには、その二次電池に流す電流を小さく設定することで、二次電池の劣化を防止できる。
具体的には、初期(使用開始時)の電池Aと、初期の電池を高温(例えば、40℃)の恒温室内に所定期間静置して、電池の出力劣化を促進させた、即ち、電池抵抗値を増大させた電池Bとを用意する。このときの電池Bの抵抗値R2は、電池Aの抵抗値R1よりも高くなっている。
上述の電池A及び電池Bに対しサイクル試験を行った。具体的には、所定のサイクル数までは1Cの電流で充放電する1C充放電サイクル試験を、その後は、1Cよりも大きな電流値(5C)に変更した、5C充放電サイクル試験を、各電池A,Bについてそれぞれ施した。これにより、図5に示すような、各サイクル数における各電池A,Bの電池抵抗値を得た。
電流を1Cとした充放電サイクル試験においては、グラフ中の左側にある、複数のプロット点(5点)を結ぶ、電池Aのグラフの傾きと電池Bのグラフの傾きとが、ほぼ同じである。つまり、比較的小さな電流の1C充放電サイクル試験では、電池Aでも、劣化させた電池Bでも、サイクル数に対する抵抗値の増加率がほぼ同じであり、いずれの電池A,Bでも劣化が同様に進行していることが判る。
一方、相対的に大きな電流の5C充放電サイクル試験を行うと、グラフ中の右側のプロット点(4点)で示すように、電池Aのグラフの傾きと電池Bのものとは異なる。即ち、5C充放電サイクル試験では、劣化した電池Bの方が、電池Aよりも、サイクル数に対する抵抗値の増加率が高いことが判る。つまり、劣化して抵抗値が比較的大きくなった電池Bに、比較的大きな電流値(5C)で充電し、或いは、放電させると、劣化していない電池Aに比して、抵抗値がより増大してしまう。つまり、抵抗値の大きな電池Bの劣化が加速されることが判る。
また、1C充放電サイクル試験の結果を踏まえると、劣化した電池Bでも、比較的小さな電流値(5Cに対する1C)で充電し、或いは、放電させれば、その電池の抵抗値の増加率を抑制することができる、つまり劣化の進行を抑制できることが判る。
以上の知見を踏まえて、本実施形態1にかかる車両100では、以下のようにして、充電時における電池101の劣化の進行を抑制させる(図6参照)。
まず、車両100の作動を終了(KEY OFF)させると(ステップS1)、PHV制御装置20のCPU(図示しない)は、タイマ及び内部電池(図示しない)を用いて間欠起動を行い、コンバータ72に、プラグ付ケーブル80(プラグ80P)を通じて電圧が印加されたか否かを検知する(ステップS2)。
ここで、NO、即ちコンバータ72に電圧が印加されていない(プラグ付ケーブル80(プラグ80P)がコンセントXVに接続されていない)場合には、ステップS2を繰り返す。一方、YES、即ちコンバータ72に電圧が印加された場合には、ステップS3に進み、組電池10における、その外部端子(図示しない)に印加されていない、無負荷の無負荷時総電圧VGを測定する。
次いで、ステップS4では、微少電流MAを組電池10に通電する。具体的には、コンバータ72、プラグ付ケーブル80(プラグ80P)及びコンセントXVを用いて、組電池10に大きさIn=0.01Cの微少電流MAで充電する。
そして、ステップS5に進み、組電池10における、微少電流MAで充電している際の充電時総電圧VHを測定する。なお、この充電時総電圧VHは、微少電流MAで充電を開始して10秒後の組電池10の総電圧を言う。また、微少電流MAは上述したとおり充電電流であるので、負荷時総電圧VHは、前述の無負荷時総電圧VGよりも大きい(VH>VG)。
次いで、ステップS6では、PHV制御装置20において、上述の無負荷時総電圧VG及び負荷時総電圧VHの差分DV(DV=VG−VH)を算出する。そして、ステップS7で、その差分DVが、所定値SHよりも大きいか否かを判定する。
なお、この所定値SHは、後述するステップS11において、組電池10の総電圧(VH,VG)の計測時のばらつきを排除するために設けており、本実施形態1では、例えば、所定値SH=1.0Vとした。
ここで、YES、即ち、差分DVが所定値SHより大きい(DV>SH)場合、ステップS11に進む。
一方、NO、即ち、差分DVが所定値SH以下(DV≦SH)の場合には、ステップS8に進み、組電池10における微少電流MAによる通電(充電)を停止し、ステップS9で、微少電流MAの大きさInを5倍にした電流の大きさIn+1に代える。そして、ステップS10ではn+1をnに置き換えて、上述したステップS4に戻る。
なお、通電時の微少電流MAの大きさInと、ステップS6における差分DVと、電池抵抗BRとの間にはBR=DV/Inが成り立つ。このうち、微少電流MAの大きさInは決まった値であるので、差分DVと電池抵抗BRとは比例関係となる(DV=In×BR(Inは一定))。従って、組電池10の電圧である差分DVから、その組電池10の電池抵抗BRを推定することができる。
かくして、ステップS11では、ステップS6で検知(算出)した組電池10の差分DV(推定した電池抵抗BR)から、組電池10を充電する充電電流CAのうち、開始時の初期充電電流SAを設定する。具体的には、図7に示すように、微少電流MAがある大きさInの場合に、組電池10の差分DVと設定する初期充電電流SA(充電電流CA)とを規定したグラフ(対応マップ)を用いて、初期充電電流SAを設定する。なお、図7に示すグラフ(対応マップ)は、各微少電流MAの大きさInごとにそれぞれ作成され、PHV制御装置20のROM(図示しない)中に記憶されている。
ステップS13では、上述のようににして設定した初期充電電流SAで組電池10を充電する。具体的には、外部電源XV、プラグ付ケーブル80(プラグ80P)及びコンバータ72を用いて、初期充電電流SAで定電流充電を行い、組電池10を、例えば、満充電(SOC100%)を目標にして充電を開始する。
次いで、ステップS13では、組電池10の電池監視装置12が、その組電池10(電池101)の電池温度BTの値(T1)を検出する。具体的には、組電池10のうち電池監視装置12が、電池101の電池ケース110上に配置したサーミスタTLを通じて、電池101の電池温度BTを測定する(図2参照)。その後、検出した充電開始時の電池温度BTの値(T1)は、通信ケーブル12Bを通じてPHV制御装置20に送信されて、PHV制御装置20のRAM(図示しない)に記憶される。
そしてステップS14に進み、組電池10の充電が完了したか否かを判定する。具体的には、組電池10が上述した目標である満充電(SOC100%)に到達したか否かを、充電した電気量から判定する。ここで、YES、即ち、組電池10が満充電となった場合、ステップS18に進み、組電池10の充電を停止する。
一方、NO、即ち、組電池10が満充電に到達していない場合には、ステップS15に進み、さらに、その時点での組電池10(電池101)の電池温度BTの値(T2)が、充電開始時の電池温度BTの値(T1)から、5度以上上昇したか否かを判定する。具体的には、電池監視装置12が、組電池10(電池101)の電池温度BTの値(T2)を検出し、その電池温度BTの値(T2)をPHV制御装置20に送信して、記憶してあった電池温度BTの値(T1)と比較して判定する。
ここで、NO、即ち、温度上昇が5度未満(T2−T1<5)の場合には、ステップS14に戻る。
一方、YES、即ち、温度上昇が5度以上(T2−T1≧5)の場合には、ステップS16に進み、組電池10の電池抵抗BRを算出する。具体的には、現時点で流している初期充電電流SA(充電電流CA)の大きさIn(In+1)、その充電時の組電池10の負荷時総電圧VH、及び、一旦充電を停止させて、そのときの組電池10の無負荷時総電圧VGから電池抵抗BRを算出する。
続いて、ステップS17では、電池抵抗BRから、それに見合う充電電流CAを設定する。具体的には、図8に示すグラフ(対応マップ)を用いて、電池抵抗BRから充電電流CAを選択・設定する。なお、図8に示すグラフ(対応マップ)も、PHV制御装置20のROM(図示しない)中に記憶されている。
充電電流CAを設定後は、ステップS12に進み、新たな充電電流CAで組電池10を充電する。
なお、本実施形態1では、ステップS3〜S11が初期充電電流設定手段に、ステップS12〜S18が充電電流設定手段に、PHV制御装置20,コンバータ72,プラグ付ケーブル80(プラグ80P)が通電手段に、ステップS6が電圧差分検知手段に、ステップS7〜S10が判定手段に、それぞれ対応する。
以上より、本実施形態1の二次電池システムM1では、充電の際に流す充電電流CA,初期充電電流SAよりも小さな微少電流MAを用いて、充電開始時の初期充電電流SAの大きさを設定する。このため、初期充電電流SAの設定の際(ステップS11)に大きな電流を流すことなく、これによる電池101(組電池10)の劣化を防止できる二次電池システムM1とすることができる。
また、本実施形態1の二次電池システムM1では、組電池10の差分DAが所定値SHの大きさになるまで、微少電流MAを増加させる。このため、適切な大きさの微少電流MAを用いることができ、初期充電電流SAの設定の際(S11)に大きな電流を流すことなく、これによる電池101の劣化を防止しつつ、適切に初期充電電流SAを設定できる二次電池システムM1とすることができる。
また、本実施形態1の二次電池システムM1では、初期充電電流設定手段(ステップS3〜S11)が電池101(組電池10)に微少電流MAを充電するので、電池101(組電池10)の充電に寄与できる。
また、本実施形態1の車両100では、二次電池システムM1を搭載した外部充電可能型のプラグインハイブリッド電気自動車(電池搭載車両)であるので、二次電池システムM1において、コンセントXVによる充電にあたり、電池101の劣化を抑制することができる。
なお、図6中、ステップS12〜S18が充電工程に該当し、充電の際に組電池10(電池101)に生じた電池抵抗BEの大きさに応じて、充電電流CAの大きさを変化させて、組電池10(電池101)の充電を行う。
また、図6中、ステップS3〜S11が初期充電電流設定工程に該当する。具体的には、組電池10(電池101)に充電の際に流す充電電流CA(初期充電電流SA)の大きさよりも小さな微少電流MAの通電をし、このときに組電池10(電池101)に生じる負荷時総電圧VHに基づいて、充電電流CAのうち、コンセントVXによる充電開始時の初期充電電流SAの大きさを設定する。
また、図6中のステップS4が初期充電電流設定工程のうち通電工程に該当する。即ち、ステップS3による組電池10の総電圧Vの測定をした後、組電池10に電流値Inの微少電流MAを通電する。具体的には、コンバータ72、プラグ付ケーブル80(プラグ80P)及びコンセントXVを用いて、組電池10を大きさIn=0.01Cの微少電流MAで充電する。
また、図6中のステップS6が電圧差分検知工程に該当する。即ち、ステップS6では、組電池10(電池101)に微少電流MAを通電したときに生じた負荷時総電圧VHと、微少電流MAを通電しないときに生じている無負荷の無負荷時総電圧VGとの差分DVを検知する。具体的には、PHV制御装置20において、ステップS3で測定した無負荷の無負荷時総電圧VG、及び、ステップS5で測定した負荷時総電圧VHの差分DVを算出する。
さらに、図6中のステップS7〜S10が判定工程に該当する。具体的には、ステップS7で、上述の差分DVが、所定値SHよりも大きいか否かを判定し、その差分DVが所定値SHより小さいときには、ステップS8に進む。このステップS8では、組電池10における微少電流MAによる通電(充電)を停止し、ステップS9で、微少電流MAの大きさInを5倍にした電流の大きさIn+1とする。そして、ステップS10ではn+1をnに置き換えて、上述した通電工程(ステップS4)及び電圧差分検知工程(ステップS6)を再度行わせる。
本実施形態1の電池101(組電池10)の充電方法では、充電の際に流す充電電流CA(初期充電電流SA)の大きさ(値)よりも小さな微少電流MA(大きさIn)を用いて、充電開始時の初期充電電流SAの大きさを設定する。このため、初期充電電流設定工程(ステップS3〜S11)において、大きな電流を流すことによる電池101(組電池10)の劣化を防止することができる。
また、本実施形態1の電池101(組電池10)の充電方法では、電池電圧の差分DVが所定値SHの大きさになるまで、微少電流MAを増加させる。このため、適切な大きさの微少電流MAを用いることができ、初期充電電流設定工程(ステップS3〜S11)において、大きな電流を流すことによる電池101(組電池10)の劣化を防止しつつ、適切に初期充電電流SAを設定することができる。
なお、初期充電電流設定工程の通電工程(ステップS4)において、電池101(組電池10)に微少電流MAを充電するので、電池101(組電池10)の充電に寄与できる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図9,10を参照しつつ説明する。
本実施形態2の車両200に搭載した二次電池システムが前述の実施形態1と異なる。
即ち、図9に示すように、実施形態1と同様にステップS1〜S3まで行った後、ステップS21に進み、組電池10(電池101)の電池温度BTの値(T0)を検出する点で、実施形態1と異なる。
電池101(組電池10)は通常、その電池温度BTの変化に伴って、電池抵抗BRが変動する。そのため、例えば、既定値である微少電流を、極低温のために電池抵抗BRが大きくなっている電池に通電した場合、その電池が劣化してしまう虞がある。
これに対し、ステップS21では、具体的に、組電池10の電池監視装置12が、電池101の電池ケース110上に配置したサーミスタTLを通じて、電池101の電池温度BTを測定する(図2参照)。そして、測定(検出)した電池温度BTから、微少電流MAの大きさInを設定する(ステップS22)。具体的には、図10に示す、組電池10の電池温度BTと微少電流MAの大きさInとの相関を規定したグラフ(相関マップ)を用いて、微少電流MAの大きさInを設定する。なお、図10に示すグラフ(相関マップ)は、PHV制御装置20のROM(図示しない)中に記憶されている。
微少電流MAの設定した後は、実施形態1と同様のステップS4に進み、その後についても、実施形態1と同様の、ステップS5,S6,S11〜S18について行うので、説明を省略する。
なお、本実施形態2では、組電池10(電池101),電池監視装置12,PHV制御装置20,コンバータ72,プラグ付ケーブル80(プラグ80P)が二次電池システムM2(図1参照)に、ステップS3〜S6,S11,S21,S22が初期充電電流設定手段に、それぞれ対応する。また、ステップS21が温度検知手段に、ステップS22が第1微少電流設定手段に、それぞれ対応する。
以上より、本実施形態2の電池101の二次電池システムM2では、その電池温度BTに見合った大きさの微少電流MAの大きさInを設定して電池101(組電池10)に通電できる。前述したように電池温度BTに応じてその電池101の電池抵抗BRが変動するので、図10を用いて、電池温度BTを基に、この電池温度BTに見合った、その電池101を劣化させない微少電流MAの大きさInを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定手段(ステップS3〜S6,S11,S21,S22)での初期充電電流SAの設定の際に大きな電流を流すことなく、これによる電池101(組電池10)の劣化を防止できる二次電池システムM2とすることができる。
なお、実施形態1と同様、図9中、ステップS12〜S18が充電工程に該当する。また、図9中、ステップS3〜S6,S11,S21,S22が初期充電電流設定工程に該当する。また、図9中のステップS21が温度検知工程に該当する。さらに、図9中のステップS22が第1微少電流設定工程に該当する。
具体的には、初期充電電流設定工程は、微少電流MAの通電(ステップS4)に先立ち、組電池10(電池101)の電池温度BTを検知する温度検知工程と、その電池温度BTに基づいて、微少電流MAの大きさInを設定する第1微少電流設定工程とを含む。
このうち温度検知工程は、ステップS3による組電池10の総電圧Vの測定をした後、組電池10の電池温度BTを検知する。具体的に、電池監視装置12が、電池101上に配置したサーミスタTLを通じて、電池101の電池温度BTを測定する。
また第1微少電流設定工程は、温度検知工程で検出(測定)した電池温度BTから、微少電流MAの大きさInを設定する。具体的には、図10に示す、組電池10の電池温度BTと微少電流MAの大きさInとの相関を規定したグラフ(相関マップ)を用いて、微少電流MAの大きさInを設定する。
本実施形態2の電池101(組電池10)の充電方法では、その電池温度BTに見合った大きさの微少電流MAの大きさInに設定して電池101(組電池10)に通電することができる。前述したように電池温度BTに応じてその電池101の電池抵抗BRが変動するので、図10のグラフを用いて、電池温度BTを基に、この電池温度BTに見合った、その電池101を劣化させない微少電流MAの大きさInを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定工程(ステップS3〜S6,S11,S21,S22)において、大きな電流を流すことによる電池101の劣化を防止することができる。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について、図11〜13を参照しつつ説明する。
本実施形態3では、車両300に搭載した二次電池システムが前述の実施形態1と異なる。
即ち、図11に示すように、実施形態1で示したステップS1に先立って測定(入手)して記憶した組電池10(電池101)の抵抗増加率PXを(ステップS31)、ステップS32において判断する点で、実施形態1と異なる。
この抵抗増加率PXは、電池101における劣化度を示すものであり、電池101の電池抵抗値が、初期(使用開始時)における電池101の電池抵抗値からどれだけ増加したかを増加率で示したものである。具体的には、抵抗増加率PXは、車両300の走行中、放電時或いは充電時の電池101の電圧と放電電流或いは充電電流の大きさとから算出した電池抵抗値(BR1)を、初期(使用開始時)における電池抵抗値(BR0)で割った値である(PX=(BR1−BR0)/BR0)。なお、電池101において、電池抵抗BRと抵抗増加率PXとの相関を示したグラフを図12に示す。
そこで、ステップS31では、PHV制御装置20のRAM(図示しない)に、車両300の作動の終了直前における電池101の抵抗増加率PXを記憶しておく。具体的には、PHV制御装置20が、車両300の前回の走行中に、抵抗増加率PXを測定するルーチンを用いて、予め電池101の抵抗増加率PXを記憶しておく。
そして、実施形態1と同様、車両100の作動を終了させ(ステップS1)、PHV制御装置20が、コンバータ72に電圧が印加されたか否かを検知した後(ステップS2)、記憶してあった抵抗増加率PXから、微少電流MAの大きさInを設定する(ステップS32)。具体的には、電池101の抵抗増加率PXと電池抵抗BRとの相関を示したグラフ(図12参照)を基に作成した、組電池10の抵抗増加率PXと微少電流MAの大きさInとを規定したグラフ(対応マップ、図13参照)を用いて、微少電流MAの大きさInを設定する。なお、図13に示すグラフ(対応マップ)は、PHV制御装置20のROM(図示しない)中に記憶されている。
微少電流MAの設定した後は、実施形態1と同様のステップS4に進み、その後は、実施形態1と同様の、ステップS5,S6,S11〜S18を行うので、説明を省略する。
なお、本実施形態3では、組電池10(電池101),電池監視装置12,PHV制御装置20,コンバータ72,プラグ付ケーブル80(プラグ80P)が二次電池システムM3(図1参照)に、ステップS3〜S6,S11,S32が初期充電電流設定手段に、PHV制御装置20が記憶手段に、ステップS32が第2微少電流設定手段に、それぞれ対応する。
以上より、本実施形態3の電池101の二次電池システムM3では、その電池101の抵抗増加率PXに見合った大きさの微少電流MAの大きさInを設定して電池101(組電池10)に通電できる。電池101の劣化が進むと、その電池101の電池抵抗BRの大きさが大きくなるので、図13のグラフを用いて、抵抗増加率PXを基に、この抵抗増加率PXに見合った、その電池101を劣化させない微少電流MAの大きさInを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定手段(ステップS3〜S6,S11,S32)での初期充電電流SAの設定の際に大きな電流を流すことなく、これによる電池101(組電池10)の劣化を防止できる二次電池システムM3とすることができる。
なお、実施形態1と同様、図11中、ステップS12〜S18が充電工程に該当する。また、図11中、ステップS3〜S6,S11,S32が初期充電電流設定工程に該当する。さらに、図11中のステップS32がこの第2微少電流設定工程に該当する。
具体的には、初期充電電流設定工程は、予め記憶しておいた電池101の抵抗増加率PXに基づいて、微少電流MAの大きさInを設定する第2微少電流設定工程を含む。
このうち、第2微少電流設定工程は、車両300の作動の終了直前にPHV制御装置20のRAM(図示しない)に記憶した抵抗増加率PXから、微少電流MAの大きさInを設定する。具体的には、図13に示す、電池101(組電池10)の抵抗増加率PXと微少電流MAの大きさInとの相関を規定したグラフ(相関マップ)を用いて、微少電流MAの大きさInを設定する。
本実施形態3の電池101(組電池10)の充電方法では、その電池101の抵抗増加率PXに見合った大きさの微少電流MAの大きさInに設定して電池101(組電池10)に通電することができる。電池101の劣化が進むと、その電池101の電池抵抗BRの大きさが大きくなるので、図13のグラフを用いて、抵抗増加率PXを基に、この抵抗増加率PXに見合った、その電池101を劣化させない微少電流MAの大きさInを選択して通電できる。このため、初期充電電流設定工程(ステップS3〜S6,S11,S32)において、大きな電流を流すことによる電池101の劣化を防止することができる。
以上において、本発明を実施形態1、実施形態2及び実施形態3に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1では、電池を捲回形のリチウムイオン二次電池としたが、複数の正極板と複数の負極板とを、セパレータを介して交互に積層してなる積層型のリチウムイオン二次電池に適用しても良い。
また、実施形態1等では、ステップS15で電池(組電池)の電池温度BTにおいて、T1からT2が5度以上上昇したか否かを判定しているが、5度に限定されない。また、ステップS15における判定に、電池温度BTの変化量(T2−T1)を用いたが、例えば、電池温度BTの変化率((T2−T1)/T1など)や、充電開始から所定時期を経過したタイミング等を用いても良い。
また、実施形態1等では、組電池10(電池101)における充電の完了を満充電(SOC100%)に到達したか否かで判定したが、例えば、満充電以外の充電量(例えば、SOC95%)に到達したか否かで判定しても良い。
実施形態1,実施形態2,実施形態3にかかる車両の斜視図である。 実施形態1,実施形態2,実施形態3にかかる車両に搭載した組電池の説明図である。 実施形態1,実施形態2,実施形態3の電池の透過斜視図である。 実施形態1,実施形態2,実施形態3の電池の部分断面図である。 実施形態1の電池について、電流値の異なる充放電サイクル試験を施した場合のサイクル数と電池の抵抗値との関係を示すグラフである。 実施形態1のフローチャートである。 実施形態1のフローチャートで用いるグラフ(対応マップ)である。 実施形態1のフローチャートで用いるグラフ(対応マップ)である。 実施形態2のフローチャートである。 実施形態2のフローチャートで用いるグラフ(対応マップ)である。 実施形態3のフローチャートである。 実施形態3の電池について、抵抗増加率と電池抵抗との関係を示すグラフである。 実施形態3のフローチャートで用いるグラフ(対応マップ)である。
符号の説明
10 組電池(二次電池システム)
12 電池監視装置(二次電池システム)
20 PHV制御装置(二次電池システム,通電手段,記憶手段)
72 コンバータ(二次電池システム,通電手段)
80 プラグ付ケーブル(二次電池システム,通電手段)
80P プラグ(端子部,二次電池システム,通電手段)
100,200,300 車両
101 電池(二次電池)
BR 電池抵抗(の大きさ)
BT 電池温度
DV 差分
M1,M2,M3 二次電池システム
MA 微少電流
PX 抵抗増加率(劣化度)
SA 初期充電電流(の大きさ)
SH 所定値(所定の範囲の大きさ)
VH 充電時総電圧(通電時電池電圧)
XV コンセント(外部電源)

Claims (11)

  1. 外部電源を用いて二次電池を充電する二次電池の充電方法であって、
    上記二次電池に上記充電の際に流す充電電流よりも小さな微少電流の通電をし、このときに上記二次電池に生じる通電時電池電圧に基づいて、上記充電電流のうち、上記外部電源による充電開始時の初期充電電流の大きさを設定する初期充電電流設定工程と、
    充電の際に上記二次電池に生じた電池抵抗の大きさに応じて、上記充電電流の大きさを変化させて、上記二次電池の充電を行う充電工程と、を備える
    二次電池の充電方法。
  2. 請求項1に記載の二次電池の充電方法であって、
    前記初期充電電流設定工程は、
    前記微少電流の通電に先立ち、前記二次電池の電池温度を検知する温度検知工程と、
    検知した上記電池温度に基づいて、上記微少電流の大きさを設定する第1微少電流設定工程と、を含む
    二次電池の充電方法。
  3. 請求項1に記載の二次電池の充電方法であって、
    前記初期充電電流設定工程は、
    予め記憶しておいた前記二次電池の劣化度に基づいて前記微少電流の大きさを設定する第2微少電流設定工程を含む
    二次電池の充電方法。
  4. 請求項1に記載の二次電池の充電方法であって、
    前記初期充電電流設定工程は、
    前記二次電池に前記微少電流を通電する通電工程と、
    前記二次電池に上記微少電流を通電したときと、通電しないときに、この二次電池に生じる電池電圧の差分を検知する電圧差分検知工程と、
    上記差分が、所定範囲の大きさとなったか否かを判定し、上記差分が上記所定範囲の大きさより小さいときには、上記微少電流の大きさを増加させて設定し、上記通電工程と電圧差分検知工程とを再度行わせる判定工程と、を含む
    二次電池の充電方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の二次電池の充電方法であって、
    前記初期充電電流設定工程は、前記二次電池に前記微少電流で充電する
    二次電池の充電方法。
  6. 外部電源を用いて二次電池を充電可能な二次電池システムであって、
    上記二次電池に上記充電の際に流す充電電流よりも小さな微少電流の通電をし、このときに上記二次電池に生じる通電時電池電圧に基づいて、上記充電電流のうち、上記外部電源による充電開始時の初期充電電流の大きさを設定する初期充電電流設定手段と、
    充電の際に上記二次電池に生じた電池抵抗の大きさに応じて、以降の充電電流の大きさを設定する充電電流設定手段と、を備える
    二次電池システム。
  7. 請求項6に記載の二次電池システムであって、
    前記初期充電電流設定手段は、
    前記微少電流の通電に先立ち、前記二次電池の電池温度を検知する温度検知手段と、
    検知した上記電池温度に基づいて、上記微少電流の大きさを設定する第1微少電流設定手段と、を含む
    二次電池システム。
  8. 請求項6に記載の二次電池システムであって、
    前記初期充電電流設定手段は、
    前記二次電池の劣化度を記憶する記憶手段と、
    上記劣化度に基づいて前記微少電流の大きさを設定する第2微少電流設定手段と、を含む
    二次電池システム。
  9. 請求項6に記載の二次電池システムであって、
    前記初期充電電流設定手段は、
    前記二次電池に前記微少電流を通電する通電手段と、
    前記二次電池に上記微少電流を通電したときと、通電しないときに、この二次電池に生じる電池電圧の差分を検知する電圧差分検知手段と、
    上記差分が、所定範囲の大きさとなったか否かを判定し、上記差分が上記所定範囲の大きさより小さいときには、上記微少電流の大きさを増加させて、上記通電工程と電圧差分検知工程とを再度行わせる判定手段と、を含む
    二次電池システム。
  10. 請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の二次電池システムであって、
    前記初期充電電流設定手段は、前記二次電池に前記微少電流で充電する
    二次電池システム。
  11. 請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の二次電池システムを搭載した車両であって、
    この車両の外部に設置されている前記外部電源に接続可能な端子部を備える
    外部充電可能型の電池搭載車両。
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