JP2010060095A - 遊星歯車減速装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モジュールm1、歯数Z1の固定側遊星歯車10Aと、モジュールm2、歯数Z2の出力側遊星歯車10Bとの、モジュールと歯数の少なくともどちらかが異なる2段遊星歯車10を、間隔をおいて配置した2枚の入力側のキャリア8Aの間に回転自在に支持し、この2枚の入力側キャリア8Aの間の回転軸中心に、モジュールm1、歯数Z3の平歯車で形成された固定歯車11と、これと同軸上にモジュールm2、歯数Z4の平歯車で形成された出力歯車12を設け、前記2段遊星歯車10の固定側遊星歯車10Aを固定歯車11の外周に噛合させると共に、出力側遊星歯車10Bを出力歯車12の外周に噛合させて、2段遊星歯車10が公転・自転運動するように取付け、且つ歯数が0<|Z4−(Z3/Z1)・Z2|<1となるように設定したものである。
【選択図】 図1
Description
すでに考案されている不思議遊星歯車の組み合わせとして、以下がある。
太陽歯車 歯数 12 転位係数 +0.5688
遊星歯車 歯数 17 転位係数 +0.631
固定歯車 歯数 45 転位係数 +2.5736
出力歯車 歯数 48 転位係数 +0.62
減速比は76と大きいが、カミアイ率は、以下のように2箇所で1.2未満であり、良好な噛合いとは言えない。
太陽・遊星間 1.0996
遊星・固定間 0.9811
遊星・出力間 1.5175
1段当たりの減速比は最大でも12が限度であり、10以下が用いられることがほとんどであった。実際の減速機の用途として、3000rpm前後の高回転低トルクのモータ回転動を60rpm以下の低回転高トルクの回転動に減速して用いることは、産業機械の分野などで多数発生する。このような大きな減速比を普通遊星歯車減速機で得るためには、複数個を直列に接続して対応せざるを得ず、コスト的にもスペース的にもマイナスであった。
となるように設定されていることを特徴とするものである。
固定側遊星歯車10A m1 Z1(固定歯車噛み合い部)
出力側遊星歯車10B m2 Z2(出力歯車噛み合い部)
固定歯車11 m1 Z3
出力歯車12 m2 Z4
0<|Z4−(Z3/Z1)・Z2|<1
となるように設定されている。これは入力1回転あたりのずれ歯数を示す式である。
この関係について更に詳細に説明すると、一定時間に固定歯車11の周りを2段遊星歯車10が回ることにより、基準位置に対し、θ1の自転とθ3の公転が発生したとする。
θ1 /θ3=Z3/Z1 ……(1)
この時の出力側遊星歯車10B側の噛合うべき歯数は(θ1/360°)・Z2
これと同量の歯数が、出力歯車12においても発生していなければならないから、θ4を自転,公転により発生する出力歯車の必要噛合い角度とすると、
Z4:(θ1/360°)・Z2 =360°:θ4
内側、外側を掛け合わせることにより
θ4=(θ1 ・Z2)/Z4
更に(1)式から発生するѲ1の値を代入することにより次式を得る。
θ4/θ3=(Z3・Z2)/(Z1 ・Z4)……(2)
(i)θ4/θ3=(Z3・Z2)/(Z1・Z4)=1の場合
即ち、θ4=θ3であり、発生する必要噛合い角度と公転移動した角度が一致している。
この場合、停止状態の出力歯車の周りを遊星歯車が自転・公転していくだけである。
このことは全て同一モジュールで、Z1=Z2、Z3=Z4の時を考えれば、わかりやすい。
これは、不思議遊星歯車において、固定歯車と同歯数の出力歯車が用いられている場合に相当する。歯数差によるずれは発生しない。両歯車の歯型は規格上同一であり、遊星歯車は両歯車の山谷(山:歯先、谷:歯底)に嵌まり込むように進んでいき、出力歯車は回転動しない。
(ii)θ4/θ3=(Z3・Z2)/(Z1・Z4)<1の場合
θ4<θ3、即ち発生する必要噛合い角度が、公転角度より小さい場合である。
θ3−θ4分の差が発生する。出力歯車は回転動が可能である。このため遊星歯車の対応する歯に追いつくため、出力歯車はθ3−θ4分、公転方向と同じ向きにずれる。
(iii)θ4/θ3=(Z3・Z2)/(Z1・Z4)>1の場合
θ4>θ3、即ち発生する必要噛合い角度が、公転角度より大きい場合である。
θ4−θ3分の差が発生する。出力歯車は回転動が可能である。このため遊星歯車の対応する歯と噛合うため、出力歯車はθ4−θ3分、公転方向と逆向きにずれる。
(ii)、(iii)の出力歯車のずれ量を出力と見た場合、入力である公転量θ3との比率は公転と同じ向きを+側とすると、(2)式との関係から次のように計算される。
計算上、マイナスが出る場合には、公転方向と逆向きであることを示している。
(θ3−θ4)/θ3=1−(θ4/θ3)=1−{(Z3・Z2)/(Z1・Z4)}
逆数をとることで、減速比を得る。
減速比=1/[1−{(Z3・Z2)/(Z1・Z4)}] ・・・・・(3)
また(3)式の分子、分母にZ4を掛けることにより、
減速比=Z4/[Z4−{(Z3・Z2)/Z1}]
分母のZ4−(Z3/Z1)・Z2は2段遊星歯車の公転1回転あたりの出力歯車12のずれ歯数であり、これが0に近い程、大きな減速比を得易い。
このため本発明では下記(4)式の範囲に規定している。
0<|Z4−(Z3/Z1)・Z2|<1……(4)
ここで|Z4−(Z3/Z1)・Z2|を1未満に規定したのは、出力歯車歯数以上の減速比をとることで、少歯数の歯車でも大減速比が可能になり、大幅に小型化できるからである。
以上の検討により、請求項1が導かれる。
これまで述べてきた、高減速比を得る条件
(Z3・Z2)/(Z1・Z4)≒1・・・・・・・・(5)
の他に同一の中心間距離を有するためには、次の関係が必要である。
m1・(Z1+Z3≒m2・(Z2+Z4)・・・・・(6)
また、遊星歯車部の2箇所の歯車径に極端な差があると、デッドスペースがどうしても発生してしまい、小型化の面から好ましくない。従って
m1・Z1 ≒ m2・Z2
これを変形する事により、次式を得る。
Z2 ≒ (m1/m2)・Z1 ・・・・・・・(7)
(7)式と(5)式から
Z4 ≒ (m1/m2)・Z3 ・・・・・・・(8)
(7)、(8)式の関係があれば、(6)式は自然と成り立ち易くなる。
Z1〜Z4は自然数である。少歯数では、Z2、Z4は、計算値に最も近い自然数か、その隣りの自然数でないと、カミアイ率1.2以上を確保することは難しい。
以上の検討により、請求項2が導かれる。
この方法では、遊星歯車を標準化でき、固定歯車と出力歯車の歯数を選択的に変えることで、多様な減速比を与えることができる。
それらを改善したのが、次の方法である。
ここで、α、βは0や負の値を含む整数であるが、少なくとも一方は0でないものとする。この式を(3)式に代入することで、次式を得る。
減速比 ={Z1・(Z3+β)}/{(β・Z1)−(α・Z3)}・・・・(9)
大きな減速比を得たい場合には、分母を0でない且つ0に近い数にすることが有効である。
α、β、Z1、Z3はいずれも整数であり、分母もまた整数である。
従って |(β・Z1)−(α・Z3)|=1、2、3・・・・・・
のようにとることができる。
α、βは両方とも正か、両方とも負でないと、分母は小さな値をとれない。
ここで、|Z1−Z3|の値は1に近い程、分母は小になり、減速比は大きな値をとり易
い。小型化や慣性モーメントの点から、Z3>Z1でなければならない。
従って固定歯車と出力歯車を小さくすることで、むしろ高減速比にできることになる。通常の減速機には無い現象である。またZ3をZ1に近づけるためには、内歯車でなく、平歯車であることが必要である。
以上の検討により、請求項1、3で述べている構造が、小型で高減速比が得られ、内歯車を用いない遊星歯車機構を実現する有効な手段であることが導かれる。
また良好なカミアイ率を得るためには、太陽歯車歯数は、12未満をとることは難しい。以上から、少歯数の固定内歯車での対応は不可能である。
本発明による減速機での対応を述べる。
{Z1・(Z3+β)}/|(β・Z1)−(α・Z3)| >10・・・・(10)
ここで、Z1>0、Z3+β=Z4>0であるから、左辺分母の絶対値記号内の
(β・Z1)−(α・Z3)の値により、回転方向が決定される。
また、前述の、Z3>Z1から、 Z3/Z1>1 ・・・・・(11)
[a] 出力歯車が入力側キャリアの公転向きと同じ向きに回る場合
(β・Z1)−(α・Z3)>0、従って β・Z1>α・Z3
減速比が10を越える条件から、
{Z1・(Z3+β)}/{(β・Z1)−(α・Z3)}>10
まとめて整理すると、(Z1+10α)・Z3>9β・Z1
[a−1] ここで、Z1+10α>0ならば、Z3>9β・Z1/(Z1+10α)
[a−2] Z1+10α<0ならば、Z3<9β・Z1/(Z1+10α)
[b] 出力歯車が入力側キャリアの公転向きと逆向きに回る場合
(β・Z1)−(α・Z3)<0、従って β・Z1<α・Z3
減速比が−10未満の条件から、
{Z1・(Z3+β)}/{(β・Z1)−(α・Z3)}<−10
まとめて整理すると、(10α−Z1)・Z3<11β・Z1
[b−1] ここで、10α−Z1>0ならば、Z3<11β・Z1/(10α−Z1)
[b−2] 10α−Z1<0ならば、Z3>11β・Z1/(10α−Z1)
以上の検討を整理し、請求項3が導かれる。
≒ m1/m2 ・・・・・・・・・・・・・(12)
となるように、m1、m2を定める。完全に等号が成り立つように定めた場合には、標準歯車で対応できる。
ここで、{m2・(Z1+Z3+α+β)}/{m1・(Z1+Z3)}の比率が、どの程度なら、カミアイ率1.2以上が実現できるかについて述べる。
切り下げが発生しない歯数での最少歯数の組み合わせ例として以下があげられる。減速比は、−224を得る。比率が0.95の場合において、カミアイ率 1.214である。
尚、Z1〜Z4の基準圧力角は20°の場合である。これは、例えばJISB1701−1で決められており最も一般的に用いられている圧力角である。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 1 Z1 14 0
出力側遊星歯車10B m2 0.887 Z2 15 +0.479
固定歯車11 m1 1 Z3 15 −0.05
出力歯車12 m2 0.887 Z4 16 +0.4
また同様の組合せにおいて、比率1.05で、カミアイ率1.228を得る。
以上から、切り下げが発生しない歯数領域においては、以下の範囲にあれば、良好なカミアイ率を得る。
0.95≦{m2・(Z1+Z3+α+β)}/{m1・(Z1+Z3)}≦1.05
以上の検討から、請求項4が導かれる。
ここで固定歯車11と出力歯車12を同一中心軸で重ね合わせた状態を考える。遊星歯車数をKとし、K等分した各点での固定歯車11と出力歯車12の歯型の角度位置ずれ量(位相差)に着目する。
固定歯車11と出力歯車12は、K箇所の点すべてを、山−山若しくは谷−谷に合わせることができる。従って遊星歯車の固定側と出力側の歯型が、1箇所でも谷−谷若しくは山−山で重なる部分を設けることによって、K箇所全てに噛合わせることができる。
一度組立ててしまえば、後は同一量移動していくだけであり支障は無い。
ここで Z4=Z3+βであるので、Z3と|β|をKの倍数とすれば、Z4もKの倍数となり実現できる。
これにより請求項7が導かれる。
[B−1] 遊星歯車のずれ角度を変える方法
組立が可能になるように、遊星歯車の固定歯車噛み合い部と出力歯車噛み合い部の ずれ角度が異なる物を数種類用いる。一度組立ててしまえば、後は同一量移動していくだけである。3K型不思議遊星歯車では、太陽歯車があるため、採れない方法である。
太陽歯車レスとしたことで、可能になる。これにより、請求項6が導かれる。
図5に3種類の角度位相ずれ量の異なる遊星歯車を示している。
使用されている遊星歯車の数をK個とする。固定歯車と出力歯車がある基準位置において、双方の山同士が重なるように組立てられるものとする。ここで
Z3=K・L+ρ (但し L:自然数,ρ:0及び負の数を含む整数、ρ<K)
Z4=Z3+β=K・L+ρ+β
とすると、1枚あたりの角度ピッチは、それぞれ次ぎのようになる。
360°/Z3 = 360°/(K・L+ρ)
360°/Z4 = 360°/(K・L+ρ+β)
遊星歯車の噛合う位置は、以下で与えられる。
(360°/K)・n (n=1、2、・・・・K)
この位置は、歯数で表わせば、以下のようになる。
固定側{(360°/K)・n}/(360°/Z3)={(K・L+ρ)・n}/K
={L+(ρ/K)}・n
出力側{(360°/K)・n}/(360°/Z4)
={(K・L+ρ+β)・n}/K
= [L+{(ρ+β)/K}]・n
ここで、L・nは自然数である。1ピッチに対する位相のずれ量は、
固定側 (ρ/K)・nの端数部 ・・・・・・・(13)
出力側 {(ρ+β)/K}・nの端数部 ・・・・・・・(14)
である。ここで(ρ/K)・n、{(ρ+β)/K}・nが自然数ならば、山位置になり、自然数+0.5ならば、谷位置である。ρ=0、β=Kの時が、不思議遊星歯車機構の場合である。
Z1=K・P+τ (但しP:自然数,τ:0及び負の数を含む整数、τ<K)
Z2=K・P+τ+α
1枚あたりの角度ピッチは、それぞれ次ぎのようになる。
360°/Z1=360°/(K・P+τ )
360°/Z2=360°/(K・P+τ+α)
ここで、K分割した各点の位置は下記で与えられる。
(360°/K)・n (n=1、2、・・・・K)
この位置は、歯数で表わせば、以下のようになる。
固定側{(360°/K)・n}/(360°/Z1)=(KP+τ)・n}/K
={P+(τ/K)}・n
出力側{(360°/K)・n}/(360°/Z2)=(KP+τ+α)・n}/K
= [P+(τ+α)/K]・n
ここで、P・nは自然数である。1ピッチあたりの位相のずれ量は、
固定側 (τ/K)・n の端数部 ・・・・・・(15)
出力側 {(τ+α)/K}・nの端数部 ・・・・・・(16)
ここで遊星歯車は1種類で構成する方が、種類間バラツキによる不具合発生防止やコストの面から、望ましい。そのためには、固定歯車や出力歯車で発生する山の位相ずれと遊星歯車側で発生する谷の位相ずれが一致すれば良い。(13)〜(16)式から、次の場合にその条件を満たすことが明らかである。これは(13)〜(16)式において、n=1同士、n=2同士・・・・・・n=K同士という合せ方で組立てる場合である。
ρ=τ 従って Z3−Z1 = K・n(nは1以上の自然数)、
α=β(≠0)
これにより、請求項8が導かれる。
図6に、Z3−Z1=3、α=β=1の場合の、各歯車の歯の位置関係が示されている。
で組立てる場合もある。
(13)、(15)式において、n=1とn=K−1の組合せを考える。
(ρ・1)/K={τ・(K−1)}/K よってρ=τ・(K−1)・・・(17)
また、n=2とn=K−2の組合せを考える。
ρ・2)/K={τ・(K−2)}/K よって2ρ=τ・(K−2)・・・(18)
(18)式−(17)式より、 ρ=−τ ・・・・・・・(19)
同様に、(14)、(16)式において、n=1とn=K−1の組合せを考える。
{(ρ+β)/K}・1={(τ+α)/K}・(K−1)
よって、ρ+β=(τ+α)・(K−1)・・・・・・(20)
また、n=2とn=K−2の組合せを考える。
{(ρ+β)/K}・2={(τ+α)/K}・(K−2)
よって、2・(ρ+β)=(τ+α)・(K−2)・・・・・・(21)
(21)式−(20)式より、ρ+β=−(τ+α)
(19)式と合わせ、β=−α(≠0)
これにより、請求項9の条件を得る。
図7に、ρ=−1=−τ,β=−1=−αの場合の、各歯車の歯の位置関係が示されている。
しかし、この方法では、(10)式との関係から、歯数がある程度大きくないと、大きな減速比はとれない。固定歯車11と出力歯車12は、平歯車ではなく内歯車にした方が有利になる場合も発生する。
(実施例1)本発明をモータ用ギアヘッドとして用いた例を示す。各歯車のモジュールと歯数および転位係数は下記のように定めた。2段遊星歯車10は同一のものを等間隔で同一円周上に2個配置した。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 0.4 Z1 13 +0.1
出力側遊星歯車10B m2 0.3 Z2 17 +0.1
固定歯車11 m1 0.4 Z3 18 −0.1
出力歯車12 m2 0.3 Z4 24 +0.072
Z4−(Z3/Z1)・Z2=0.4615384となる。
その差+0.4615384分だけ公転向きと同じ向きに出力歯車12は、ずれて回転する。
Z3、Z4はいずれも、6の倍数であるから、遊星歯車数としては、2以外にも、3や6をとることが可能である。
また,(m1/m2)・Z1≒17.33であり、最も近い自然数は17である。
(m1/m2)・Z3=24であり、最も近い自然数は24そのものである。
カミアイ率は、固定側で1.479、出力側で1.502である。請求項1、2、5に該当する。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 0.4 Z1 13 +0.1
出力側遊星歯車10B m2 0.3 Z2 17 +0.1
固定歯車11 m1 0.4 Z3 32 −0.222
出力歯車12 m2 0.3 Z4 42 +0.247
Z4−(Z3/Z1)・Z2=0.154となる。
その差+0.154分だけ公転向きと同じ向きに出力歯車12は、ずれて回転する。
また、(m1/m2)・Z1≒17.33であり、最も近い自然数は17である。
(m1/m2)・Z3≒42.67であり、最も近い自然数は42である。
カミアイ率は、固定側で1.570、出力側で1.530である。請求項1、2、5に該当する。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 1.139 Z1 12 +0.15
出力側遊星歯車10B m2 1 Z2 14 0
固定歯車11 m1 1.139 Z3 13 +0.1
出力歯車12 m2 1 Z4 15 0
符号のマイナスは、入力方向と逆向きに回ることを示している。
{m2・(Z1+Z3+α+β)}/{m1・(Z1+Z3)}≒1.02
これは、0.95以上1.05以下に該当する。
減速比−90というのは、入力回転1回転(360°)に対し、4°づつ移動することを意味する。このため60°おき6分割や、36°おき10分割などをとることができ、搬送用ターンテーブルなどに対し有効である。カミアイ率は、固定側で1.338、出力側で1.472である。
遊星歯車数が2個にしろ3個にしろ、遊星歯車は1種類で対応することはできない。角度ずれ状態の異なる複数個が必要である。図5は遊星歯車数3の場合に、組立が可能になるように、3種類の位相ずれ量の異なる遊星歯車を作った状態を模式的に示したものである。固定歯車11と出力歯車12は、1ヶ所が谷−谷になるように対応させる。その位置に対し、山−山を一致させた位相一致遊星歯車を対応させる。
他の2ヶ所の遊星歯車噛合部に対し、残りの位相ずれ遊星歯車を噛合させることにより組立を可能にした。
請求項3、4、5、6に該当する。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 1.06 Z1 14 +0.076
出力側遊星歯車10B m2 1
Z2 15 0
固定歯車11 m1 1.06 Z3 17 0
出力歯車12 m2 1 Z4 18 0
符号のマイナスは、入力方向と逆向きに回ることを示している。
{m2・(Z1+Z3+α+β)}/{m1・(Z1+Z3)}≒1.004
これは、0.95以上1.05以下に該当する。
ここで、Z3−Z1=3=遊星歯車数3及びα=β=1が成り立っている。
図6は固定歯車11と出力歯車12が同一中心軸で組立られている状態と固定側遊星歯車10Aと出力側遊星歯車10Bとの各部での歯の位置関係を示した図である。固定歯車11と出力歯車12が1ヶ所だけ、谷−谷を合致させて組立られている。一方、遊星歯車は、1ヶ所だけ固定側遊星歯車10Aと出力側遊星歯車10Bの山−山が一致するように作られている。固定歯車11と出力歯車12の谷−谷一致位置に対し、120°、240°では、(2/3位相谷、谷)、(1/3位相谷、谷)である。遊星歯車10において、山−山一致位置に対し、120°、240°では、(2/3位相山、山)、(1/3位相山、山)となる。120°同士、240°同士で、山と谷の位相ずれの値は一致している。従って組立ることができる。請求項3、4、5、8に該当する。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 1 Z1 11 +0.2
出力側遊星歯車10B m2 0.8 Z2 14 +0.1
固定歯車11 m1 1 Z3 20 −0.2
出力歯車12 m2 0.8 Z4 25 −0.222
また、Z3も5の倍数である。
{m2・(Z1+Z3+α+β)}/{m1・(Z1+Z3)}≒1.006
これは、0.95以上1.05以下に該当する。
固定歯車11、出力歯車12は、5の倍数の歯を持ち、遊星歯車10は、山−山、若しくは谷−谷となるような箇所を作ることで、組立可能になる。
請求項3、4、5、7に該当する。
モジュール 歯数 転位係数
固定側遊星歯車10A m1 1 Z1 22 0
出力側遊星歯車10B m2 1 Z2 23 0
固定歯車11 m1 1 Z3 23 0
出力歯車12 m2 1 Z4 22 0
また、Z1=3・7+1=22 よって τ=+1
Z3=3・8−1=23 よって ρ=−1(=−τ)が成り立つ。
図7は固定歯車11と出力歯車12が同一中心軸で組立られている状態と固定側遊星歯車10Aと出力側遊星歯車10Bとの各部での歯の位置関係を示した図である。固定歯車11と出力歯車12が1ヶ所だけ、谷−谷を合致させて組立られている。一方、遊星歯車は、1ヶ所だけ固定側遊星歯車10Aと出力側遊星歯車10Bの山−山が一致するように作られている。固定歯車11と出力歯車12の谷−谷一致位置に対し、120°、240°では、(2/3位相谷、1/3位相谷)、(1/3位相谷、2/3位相谷)である。遊星歯車10において、山々が一致した位置に対し、120°、240°では、(1/3位相山、2/3位相山)、(2/3位相山、1/3位相山)となり、前述の固定歯車11と出力歯車12を重ねた位置の240°と120°と対応していることから、組立てられる。
請求項3、4、5、9に該当する。
2 太陽歯車
3 遊星歯車
4 固定内歯車
5 回転内歯車
6 出力軸
7 モータ出力軸
8A 入力側のキャリア
8B 出力側のキャリア
9 D穴
10 2段遊星歯車
10A 固定側遊星歯車
10B 出力側遊星歯車
11 固定歯車
12 出力歯車
14 モータ
15 回転軸
16 軸受孔
17 カバー
18 ケース
Claims (9)
- モジュールm1、歯数Z1の固定側遊星歯車と、モジュールm2、歯数Z2の出力側遊星歯車との、モジュールと歯数の少なくともいずれかが異なる歯車を有する2段遊星歯車を、間隔をおいて配置した2個の入力側キャリアの間に回転自在に支持し、この2個の入力側キャリアの間の回転軸中心に、モジュールm1、歯数Z3の平歯車で形成された回転不能な固定歯車と、これと同軸上にモジュールm2、歯数Z4の平歯車で形成された回転可能な出力歯車を設け、前記2段遊星歯車の固定側遊星歯車を固定歯車の外周に噛合させると共に、2段遊星歯車の出力側遊星歯車を出力歯車の外周に噛合させて、これら歯車の外周を2段遊星歯車が公転・自転運動するように取付け、且つ歯数が 0<|Z4−(Z3/Z1)・Z2|<1
となるように設定されていることを特徴とする遊星歯車減速装置。 - Z2を(m1/m2)・Z1に最も近い自然数若しくはその隣りの自然数、Z4を(m1/m2)・Z3に最も近い自然数若しくはその隣りの自然数、としたことを特徴とする請求項1記載の遊星歯車減速装置。
- モジュールm1、歯数Z1の固定側遊星歯車と、モジュールm2、歯数Z2の出力側遊星歯車との、モジュールと歯数の少なくともいずれかが異なる歯車を有する2段遊星歯車を、間隔をおいて配置した2個の入力側キャリアの間に回転自在に支持し、この2個の入力側キャリアの間の回転軸中心に、モジュールm1、歯数Z3の平歯車で形成された回転不能な固定歯車と、これと同軸上にモジュールm2、歯数Z4の平歯車で形成された回転可能な出力歯車を設け、前記2段遊星歯車の固定側遊星歯車を固定歯車の外周に噛合させると共に、2段遊星歯車の出力側遊星歯車を出力歯車の外周に噛合させて、これら歯車の外周を2段遊星歯車が公転・自転運動するように取付け、且つ、Z2=Z1+α、Z4=Z3+β(但しα、βは、0及び負の数を含む整数、且つαまたはβの少なくとも一方は0でないものとする)とした場合に、Z3/Z1>1に設定されていると共に、以下の関係が成立していることを特徴とする遊星歯車減速装置。
出力歯車が入力側キャリアの公転向きと同じ向きに回る場合
β・Z1>α・Z3であって、
Z1+10α>0、且つ、Z3>9β・Z1/(Z1+10α)
またはZ1+10α<0、且つ、Z3<9β・Z1/(Z1+10α)
出力歯車が入力側キャリアの公転向きと逆向きに回る場合
β・Z1<α・Z3であって、
10α−Z1>0、且つ、Z3<11β・Z1/(10α−Z1)
または10α−Z1<0、且つ、Z3>11β・Z1/(10α−Z1)
- 固定側遊星歯車と出力側遊星歯車、固定歯車および出力歯車の基準圧力角が20°の場合に、
0.95≦{m2・(Z1+Z3+α+β)}/{m1・(Z1+Z3)}≦1.05 に設定されていることを特徴とする請求項3記載の遊星歯車減速装置。
- 2段遊星歯車を同一構成として、これを固定歯車と出力歯車の外周に複数個、等間隔で取付けたことを特徴とする請求項1または2、もしくは3記載の遊星歯車減速装置。
- 遊星歯車の固定歯車噛合い部と出力歯車噛合い部の位相角度が異なる数種類の遊星歯車を用いたことを特徴とする請求項1または2、もしくは3記載の遊星歯車減速装置。
- 遊星歯車数をK個とした場合に、Z3と|β|をKの倍数としたことを特徴とする請求項3記載の遊星歯車減速装置。
- 遊星歯車数をK個とした場合に、(Z3−Z1)をKの倍数とし、α=β≠0とすることによって、1種類の遊星歯車で構成したことを特徴とする請求項3記載の遊星歯車減速装置。
- 遊星歯車数をK個とし、Z1=K・自然数+τ (但しτ:0及び負の数を含む整数、τ<K)、Z3=K・自然数+ρ (但しρ:0及び負の数を含む整数、ρ<K)とした場合に、ρ=−τ、β=−α≠0とすることで1種類の遊星歯車で構成したことを特徴とする請求項3記載の遊星歯車減速装置。
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