JP2010060064A - 動力伝達装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】油溜まりの一方を構成する第1の溝部や油溜まりから潤滑油を軸受面の軸方向に導くための供給溝を遊転歯車および軸部材に簡単に形成することができ、製造コストが増大するのを防止することができる動力伝達装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】ファーストドリブンギヤ42の製造工程において、ファーストドリブンギヤ42の内周部に開口部42aを形成する穴開け加工を施す際に、ファーストドリブンギヤ42の開口部42aの軸方向略中央部に油溜まり84の一方を構成する溝部83を形成する。また、アウトプットシャフトの製造工程において、アウトプットシャフトに出力ギヤの外歯をホブ切りする際に軸受面41aまでホブ切りを延長させて軸受面41aに供給溝81を形成し、軸受面41aの軸方向略中央部にアウトプットシャフトの周方向に延在する油溜まり84の他方を構成する溝部82を形成する。
【選択図】図4
【解決手段】ファーストドリブンギヤ42の製造工程において、ファーストドリブンギヤ42の内周部に開口部42aを形成する穴開け加工を施す際に、ファーストドリブンギヤ42の開口部42aの軸方向略中央部に油溜まり84の一方を構成する溝部83を形成する。また、アウトプットシャフトの製造工程において、アウトプットシャフトに出力ギヤの外歯をホブ切りする際に軸受面41aまでホブ切りを延長させて軸受面41aに供給溝81を形成し、軸受面41aの軸方向略中央部にアウトプットシャフトの周方向に延在する油溜まり84の他方を構成する溝部82を形成する。
【選択図】図4
Description
本発明は、動力伝達装置の製造方法に関し、特に、車両の手動変速機等に設けられた軸部材と軸部材に遊転自在に設けられた遊転歯車の間を潤滑することができるようにした動力伝達装置の製造方法に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載された同期噛合い式の手動変速機(動力伝達装置)では、出力軸上あるいは入力軸上に複数の変速歯車が回転自在に設けられており、出力軸上に遊転自在な遊転歯車がある場合、これらの遊転歯車は入力軸側の変速歯車に噛合され、入力軸の回転に伴い回転するようになっている。
また、出力軸上には、複数のハブがスプライン嵌合されており、ハブの外周にはスリーブが軸方向に摺動自在にスプライン嵌合されている。このスリーブの外周には溝部が形成されており、運転者のシフト操作に応じて軸方向に移動するシフトフォークがこの溝部に係合されている。
また、ハブおよび遊転歯車間には同期機構を構成するシンクロナイザリングが設けられており、スリーブがいずれの遊転歯車にも噛み合っていない場合には、各遊転歯車が出力軸上を空転(遊転)し、入力軸から出力軸への動力伝達が遮断される。
また、シフト操作に伴うシフトフォークの軸方向への移動がスリーブに伝達されると、このスリーブが同方向に移動する。この移動の過程で、シンクロナイザリングとの摩擦力によってギヤの回転速度がスリーブの回転速度に近づけられる(同期される)。
この同期した状態でスリーブが遊転歯車に噛み合わされると、入力軸の回転が、遊転歯車、スリーブ、ハブ等を介して出力軸に伝達される。そして、スリーブが異なる遊転歯車に噛み合わされると、動力伝達に関わるギヤの組み合わせが切換えられて変速が行われる。
ところで、遊転歯車は、入力軸または出力軸に遊転自在に設けられているため、遊転歯車と入力軸または出力軸との間に相対回転が生じてしまうため、遊転歯車と入力軸または出力軸との間に滑りが生じてしまい、それに伴ってダメージが蓄積されて遊転歯車と入力軸または出力軸との接触面に焼き付けが発生してしまう。
このため、遊転歯車と入力軸または出力軸の間にニードルベアリング等の軸受を介装して、遊転歯車と入力軸または出力軸との接触面に焼き付けが発生するのを防止するようにしている。
ところが、遊転歯車と入力軸または出力軸との接触面に焼き付けが発生するのを防止するために、遊転歯車と入力軸または出力軸との間に軸受を介装すると、軸受を設ける分だけ手動変速機の製造コストが増大してしまうことになる。
手動変速機の製造コストを低減するためには、軸受を廃止する必要があるが、軸受を廃止する代わりに、遊転歯車と入力軸または出力軸との間に十分な潤滑油を供給することにより、遊転歯車と入力軸または出力軸との接触面に焼き付けが発生するのを防止できることが知られている。
従来の潤滑構造としては、入力軸および出力軸の内部に入力軸および出力軸の軸方向に沿った供給孔を形成するとともに、この供給孔から入力軸および出力軸の放射方向に延在する放射孔を形成し、この放射孔の出口部を遊転歯車と入力軸または出力軸との接触面に開口することにより、遊転歯車と入力軸または出力軸との間に潤滑油を供給するようにしている。
そして、遊転歯車と入力軸または出力軸との間に潤滑油を十分な量だけ供給するために、遊転歯車と入力軸または出力軸との接触面に油溜まりを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−229457号公報
しかしながら、このような従来の動力伝達装置の製造方法にあっては、遊転歯車と入力軸または出力軸からなる軸部材との接触面の両方に油溜まり用の溝を後加工する必要があるため、遊転歯車および軸部材の加工コストが増大してしまう。
また、油溜まりに供給される潤滑油を軸部材の軸方向に導くと、軸部材と遊転歯車の接触面の潤滑を容易に行うことができるため、軸部材の接触面(軸受面)に油溜まりに供給される潤滑油を接触面の軸方向に導くためのホブ切りを行うことが効果的である。ところが、このホブ切りも後工程で形成することが考えられるため、軸部材の加工コストが増大してしまうことが考えられる。
したがって、折角、ニードルベアリングを廃止したものにかかわらず、動力伝達装置の製造コストが増大してしまうおそれがあった。
また、油溜まりに供給される潤滑油を軸部材の軸方向に導くと、軸部材と遊転歯車の接触面の潤滑を容易に行うことができるため、軸部材の接触面(軸受面)に油溜まりに供給される潤滑油を接触面の軸方向に導くためのホブ切りを行うことが効果的である。ところが、このホブ切りも後工程で形成することが考えられるため、軸部材の加工コストが増大してしまうことが考えられる。
したがって、折角、ニードルベアリングを廃止したものにかかわらず、動力伝達装置の製造コストが増大してしまうおそれがあった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、油溜まりの一方を構成する第1の溝部や油溜まりから潤滑油を軸受面の軸方向に導くための供給溝を遊転歯車および軸部材に簡単に形成することができ、製造コストが増大するのを防止することができる動力伝達装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る動力伝達装置の製造方法は、上記目的を達成するため、(1)回転駆動され、少なくとも1つ以上の外歯部が一体的に形成された軸部材と、前記歯車に隣接する前記軸部材の軸受面に遊転自在に装着された遊転歯車と、前記軸部材および前記遊転歯車の間に潤滑油を供給する潤滑油供給通路とを備えた動力伝達装置の製造方法であって、前記遊転歯車の製造工程においては、前記軸部材の周囲に装着される前記遊転歯車の内周部に穴開け加工を行う穴開け工程と、前記穴開け工程後に前記遊転歯車の内周部を研磨加工する研磨工程とを含み、前記穴開け工程で前記遊転歯車の内周部の軸方向略中央部に油溜まりの一方を構成する第1の溝部を形成し、前記軸部材の製造工程においては、前記軸部材に前記外歯部をホブ切りする際に前記軸受面までホブ切りを延長させて前記軸受面に潤滑油の供給溝を形成する供給溝形成工程と、前記軸受面の軸方向略中央部に前記軸部材の周方向に延在する油溜まりの他方を構成する第2の溝部を形成する溝切り工程と、出口部が前記第2の溝部に連通するように前記潤滑油供給通路を形成する潤滑油供給通路形成工程とを含んでなる。
この方法により、遊転歯車の内周部に穴開け加工を施す際に遊転歯車の内周部の軸方向略中央部に油溜まりの一方を構成する第1の溝部を形成するので、遊転歯車の成形に必須の穴開け加工を利用して第1の溝部を形成することができる。この後、遊転歯車の内周部に第1の溝部が無くならない程度の研磨工程を施す。
このため、遊転歯車に油溜まりの一方を構成する第1の溝部を後加工するのを不要にでき、遊転歯車の加工コストが増大するのを防止することができる。
また、軸部材を製造する際には、軸部材に外歯部をホブ切りする際に軸受面までホブ切りを延長させて軸受面に潤滑油の供給溝を形成し、軸受面の軸方向略中央部に軸部材の周方向に延在する油溜まりの他方を構成する第2の溝部を形成したので、軸部材に外歯部をホブ切りするのと同時に、軸部材の軸受面に油溜まりの他方を構成する第2の溝部に連通する潤滑油の供給溝を形成することができる。
このため、軸部材の軸受面に供給溝を簡単に形成することができ、軸部材の加工コストが増大するのを防止することができる。
このように遊転歯車および軸部材の加工コストが増大するのを防止することができるため、動力伝達装置の製造コストが増大するのを防止することができる。
本発明によれば、油溜まりの一方を構成する第1の溝部や油溜まりから潤滑油を軸受面の軸方向に導くための供給溝を遊転歯車および軸部材に簡単に形成することができ、製造コストが増大するのを防止することができる動力伝達装置の製造方法を提供することができる。
以下、本発明に係る動力伝達装置の製造方法の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図5は、本発明に係る動力伝達装置の製造方法の一実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、動力伝達装置を構成する手動変速機30は、ハウジング31に収納されたインプットシャフト32と、インプットシャフト32に取付けられたファーストドライブギヤ33、セカンドドライブギヤ34、サードドライブギヤ35、フォースドライブギヤ36、フィフスドライブギヤ37およびリバースドライブギヤ38とを備えている。
図1〜図5は、本発明に係る動力伝達装置の製造方法の一実施の形態を示す図である。
まず、構成を説明する。
図1において、動力伝達装置を構成する手動変速機30は、ハウジング31に収納されたインプットシャフト32と、インプットシャフト32に取付けられたファーストドライブギヤ33、セカンドドライブギヤ34、サードドライブギヤ35、フォースドライブギヤ36、フィフスドライブギヤ37およびリバースドライブギヤ38とを備えている。
ファーストドライブギヤ33およびセカンドドライブギヤ34は、インプットシャフト32に固定されており、インプットシャフト32と共に回転するようになっている。
また、サードドライブギヤ35、フォースドライブギヤ36およびフィフスドライブギヤ37はインプットシャフト32に対して空転(遊転)可能となっており、所定のシンクロ機構のスリーブ39、40をインプットシャフト32の軸方向(以下、単に軸方向という)にスライドさせることにより、インプットシャフト32と結合してインプットシャフト32と共に回転する。
また、サードドライブギヤ35、フォースドライブギヤ36およびフィフスドライブギヤ37はインプットシャフト32に対して空転(遊転)可能となっており、所定のシンクロ機構のスリーブ39、40をインプットシャフト32の軸方向(以下、単に軸方向という)にスライドさせることにより、インプットシャフト32と結合してインプットシャフト32と共に回転する。
また、インプットシャフト32は、クラッチを介して内燃機関であるエンジンに連結されており、インプットシャフト32は、エンジンからの駆動力によって回転する。
また、軸部材としてのアウトプットシャフト41は、インプットシャフト32と略平行に延在しており、このアウトプットシャフト41にはファーストドリブンギヤ42、セカンドドリブンギヤ43、サードドリブンギヤ44、フォースドリブンギヤ45およびフィフスドリブンギヤ46および外歯部としての出力ギヤ47が設けられている。
また、軸部材としてのアウトプットシャフト41は、インプットシャフト32と略平行に延在しており、このアウトプットシャフト41にはファーストドリブンギヤ42、セカンドドリブンギヤ43、サードドリブンギヤ44、フォースドリブンギヤ45およびフィフスドリブンギヤ46および外歯部としての出力ギヤ47が設けられている。
出力ギヤ47は、アウトプットシャフト41に固定されており、アウトプットシャフト41と共に回転する。また、アウトプットシャフト41にはそれぞれ外歯部を構成するスプライン41b、41c、41d、41eが形成されており、スプライン41c〜41eは、サードドリブンギヤ44、フォースドリブンギヤ45およびフィフスドリブンギヤ46にスプライン嵌合し、サードドリブンギヤ44、フォースドリブンギヤ45およびフィフスドリブンギヤ46は、アウトプットシャフト41と共に回転する。
また、ファーストドリブンギヤ42、セカンドドリブンギヤ43はアウトプットシャフト41に対して空転(遊転)可能であり、スリーブ48を軸方向にスライドさせることでスプライン41bを介してアウトプットシャフト41に噛み合ってアウトプットシャフト41と共に回転するようになっている。本実施の形態では、ファーストドリブンギヤ42が遊転歯車を構成している。
なお、本実施の形態では、アウトプットシャフト41およびファーストドリブンギヤ42の加工を工夫した手動変速機30の製造方法に関するものであり、後述するように手動変速機30を構成する部品の全ての製造方法についての説明は行わず、アウトプットシャフト41およびファーストドリブンギヤ42の加工方法についてのみ説明を行う。
また、スリーブ48の外周にはリバースドリブンギヤ49が取付けられており、リバースドライブギヤ38とリバースドリブンギヤ49の間にはリバースアイドラギヤ50が介装されている。
このリバースアイドラギヤ50は、車両の前進走行時においては、リバースドライブギヤ38およびリバースドリブンギヤ49の何れにも噛み合っていない。また、車両の後退時には、リバースアイドラギヤ50はリバースドライブギヤ38およびリバースドリブンギヤ49に噛み合い、インプットシャフト32の回転がリバースドライブギヤ38、リバースアイドラギヤ50およびリバースドリブンギヤ49を経由してアウトプットシャフト41に伝達される。
また、ファーストドライブギヤ33とファーストドリブンギヤ42が1速を構成し、セカンドドライブギヤ34とセカンドドリブンギヤ43が2速を構成し、サードドライブギヤ35とサードドリブンギヤ44が3速を構成し、フォースドライブギヤ36とフォースドリブンギヤ45が4速を構成し、フィフスドライブギヤ37とフィフスドリブンギヤ46が5速を構成している。
また、ファーストドライブギヤ33、セカンドドライブギヤ34、サードドライブギヤ35、フォースドライブギヤ36、フィフスドライブギヤ37、リバースドライブギヤ38、ファーストドリブンギヤ42、セカンドドリブンギヤ43、サードドリブンギヤ44、フォースドリブンギヤ45、フィフスドリブンギヤ46および出力ギヤ47は、はすば歯車から構成されており、各ドライブギヤ33〜38と各ドリブンギヤ42〜46とは、インプットシャフト32およびアウトプットシャフト41の軸方向に対して所定角度である45°のねじれ角で噛み合っている。また、出力ギヤ47とリングギヤ58もインプットシャフト32およびアウトプットシャフト41の軸方向に対して所定角度である45°のねじれ角で噛み合っている。
また、フォークシャフト51は、シフトフォーク52およびシフトフォーク53によって5速用のシンクロ機構のスリーブ40とリバースアイドラギヤ50とに接続されており、その長手方向にスライドすることにより、スリーブ40が5速用のシンクロ機構を作動させてフィフスドライブギヤ37をインプットシャフト32に接続するか、またはリバースアイドラギヤ50をリバースドライブギヤ38およびリバースドリブンギヤ49に噛み合わせる。
また、フォークシャフト54は、シフトフォーク55により3速および4速用のシンクロ機構のスリーブ39に接続されており、フォークシャフト54を長手方向にスライドさせることでスリーブ39が3速または4速用のシンクロ機構を作動させる。これにより、サードドライブギヤ35またはフォースドライブギヤ36の何れかがインプットシャフト32と共に回転する。
フォークシャフト56は、シフトフォーク57により1速および2速用のシンクロ機構のスリーブ48に接続されており、フォークシャフト56が長手方向にスライドすると、スリーブ48が1速または2速用のシンクロ機構に噛み合う。これによりファーストドリブンギヤ42またはセカンドドリブンギヤ43の何れかがアウトプットシャフト41と共に回転する。
これらフォークシャフト51、54、56は図示しないシフトレバーのシフト操作に伴う操作力を、シフトフォーク52、55、57を介してスリーブ39、40、48に伝達するとともに、スリーブ39、40、48を軸方向に摺動させて、シフト位置に応じてサードドライブギヤ35、フォースドライブギヤ36、フィフスドライブギヤ37、ファーストドリブンギヤ42およびセカンドドリブンギヤ43に噛合させるようになっている。
また、出力ギヤ47は差動装置のリングギヤ58と噛み合っており、このリングギヤ58はデフケース59に固定され、デフケース59とリングギヤ58が共に回転するようになっている。
また、デフケース59にはピニオンシャフト60によりピニオンギヤ61が自転可能かつ公転可能に保持されており、ピニオンギヤ61は1対のサイドギヤ62と噛み合っている。このサイドギヤ62にはスプラインにより出力部材63が接続されており、出力部材63から出力された回転力はドライブシャフトを通じて車輪に伝達される。
一方、インプットシャフト32およびアウトプットシャフト41は軸受部材としてのボールベアリング71を介して手動変速機30のハウジング31に回転自在に取付けられており、このボールベアリング71はインプットシャフト32およびアウトプットシャフト41の小径部に圧入嵌合されている。
アウトプットシャフト41には供給孔91がアウトプットシャフト41の軸方向に沿って延在しており、この供給孔91には図示しないオイルポンプから潤滑油が供給されるようになっている。
また、アウトプットシャフト41には放射孔92が形成されており、この放射孔92は、供給孔91に連通し、供給孔91から供給される潤滑油をアウトプットシャフト41の回転時の遠心力を利用してファーストドリブンギヤ42とアウトプットシャフト41の間に供給するようになっている。
図2、図4に示すように、出力ギヤ47に隣接するアウトプットシャフト41の軸受面41aにはファーストドリブンギヤ42が遊転自在に取付けられている。この軸受面41aには供給溝81が形成されており、この供給溝81は、アウトプットシャフト41の軸方向に対して45°のねじれ角になるようにホブ切り加工されている。
また、軸受面41aの軸方向略中央部には第2の溝部としての溝部82が形成されており、この溝部82は、アウトプットシャフト41の周方向に沿って延在している。また、この溝部82には放射孔92の出口部92aが開口しており、この出口部92aを通して放射孔92から潤滑油が吐出される。
また、図3に示すように、ファーストドリブンギヤ42の内周部には開口部42aが開口しており、この開口部42aの軸方向略中央部には第1の溝部としての溝部83が形成されているとともに、溝部83を除いた開口部42aにはスプライン41bに噛合するスプライン42bが形成されている。なお、開口部42aは、後述する穴開け加工により形成されるものである。
すなわち、図4に示すように、アウトプットシャフト41の軸受面41aに形成された溝部82およびファーストドリブンギヤ42の開口部42aに形成された溝部83は、油溜まり84を構成するものであり、溝部83が油溜まり84の一方を構成するとともに溝部82が油溜まりの他方を構成している。
この油溜まり84には放射孔92の出口部92aから吐出される潤滑油が一時的に貯留されるようになっており、この油溜まり84から供給溝81を通して軸受面41aの軸方向前後方向に広がることでファーストドリブンギヤ42と軸受面41aの間が潤滑されるようになっている。
本実施の形態では、供給孔91および放射孔92が潤滑油供給通路を構成している。また、油溜まり84は、アウトプットシャフト41およびファーストドリブンギヤ42の外部から供給される少量の潤滑油を補足するようになっている。アウトプットシャフト41およびファーストドリブンギヤ42の外部から供給される潤滑油は、ハウジング31の底部に貯留され、セカンドドリブンギヤ43、サードドリブンギヤ44、フォースドリブンギヤ45およびフィフスドリブンギヤ46によって掻き上げられるものである。
次に、アウトプットシャフト41およびファーストドリブンギヤ42の加工方法を説明する。
まず、ファーストドリブンギヤ42の製造工程においては、スプライン42bを有する母体が鍛造成形によって成形される。図5に示すように、この鍛造成形の段階で開口部42aの元となる破線で示す開口部42Aがある程度の大きさで形成される。
次いで、開口部42Aを切削することにより、開口部42Bを粗加工する。このときに、開口部42Bの軸方向の軸方向略中央部に溝部83を形成する。この開口部42Bの粗加工と溝部83の加工が穴開け工程に相当する。
まず、ファーストドリブンギヤ42の製造工程においては、スプライン42bを有する母体が鍛造成形によって成形される。図5に示すように、この鍛造成形の段階で開口部42aの元となる破線で示す開口部42Aがある程度の大きさで形成される。
次いで、開口部42Aを切削することにより、開口部42Bを粗加工する。このときに、開口部42Bの軸方向の軸方向略中央部に溝部83を形成する。この開口部42Bの粗加工と溝部83の加工が穴開け工程に相当する。
開口部42Bの粗加工および溝部83の加工が終了したときに、ファーストドリブンギヤ42の最終的な開口部42aを研磨加工する研磨工程を実行する。なお、研磨工程では、溝部83が無くならない程度の研磨を行う。図5では斜線で示す部分が研磨加工によって研磨される。また、このスプライン42bは、研磨加工前に形成しても研磨加工後に形成してもよい。
一方、アウトプットシャフト41の製造工程においては、出力ギヤ47の外周部に外歯をホブ切りし、外歯のホブ切りをアウトプットシャフト41の軸受面41aまで延長させることにより、軸受面41aに供給溝81を形成する(供給溝形成工程)。
次いで、軸受面41aの軸方向略中央部には溝部82を形成した後(溝切り工程)、アウトプットシャフト41の軸方向に供給孔91を形成する。次いで、出口部92aが溝部82に連通するようにアウトプットシャフト41に放射孔92を形成する(潤滑油供給通路形成工程)。なお、供給溝形成工程と溝切り工程の順番は逆であってもよい。
そして、このようにして形成されたアウトプットシャフト41の軸受面41aにファーストドリブンギヤ42を取付けることにより、アウトプットシャフト41の軸受面41aの溝部82にファーストドリブンギヤ42の開口部42aに形成された溝部83が対向することにより、油溜まり84が構成される。
そして、供給孔91に供給された潤滑油がアウトプットシャフト41の回転に伴う遠心力によって放射孔92の出口部92aから油溜まり84に吐出されると、油溜まり84に一時的に貯留される。本実施の形態の供給溝81は、アウトプットシャフト41の軸方向に対して45°のねじれ角になるようにホブ切り加工されているので、油溜まり84に一時的に貯留される潤滑油は、アウトプットシャフト41の回転に伴って供給溝81を通して軸受面41aの軸方向前後方向に広がることでファーストドリブンギヤ42と軸受面41aの間が潤滑される。
この結果、従来のようなニードルベアリングを廃止してファーストドリブンギヤ42とアウトプットシャフト41の軸受面41aの間に十分な潤滑油を供給することができ、ファーストドリブンギヤ42とアウトプットシャフト41の軸受面41aに焼き付けが発生するのを防止することができる。
この結果、従来のようなニードルベアリングを廃止してファーストドリブンギヤ42とアウトプットシャフト41の軸受面41aの間に十分な潤滑油を供給することができ、ファーストドリブンギヤ42とアウトプットシャフト41の軸受面41aに焼き付けが発生するのを防止することができる。
このように本実施の形態では、ファーストドリブンギヤ42の内周部に開口部42aを形成する穴開け加工を施す際に、ファーストドリブンギヤ42の開口部42aの軸方向略中央部に油溜まり84の一方を構成する溝部83を形成するので、ファーストドリブンギヤ42の成形に必須の穴開け加工を利用して溝部83を形成することができる。この後、ファーストドリブンギヤ42の開口部42aに溝部83が無くならない程度の研磨工程を施すので、ファーストドリブンギヤ42に溝部83を後加工するのを不要にでき、ファーストドリブンギヤ42の加工コストが増大するのを防止することができる。
また、本実施の形態では、アウトプットシャフト41を製造する際には、アウトプットシャフト41に出力ギヤ47の外歯をホブ切りする際に軸受面41aまでホブ切りを延長させて軸受面41aに供給溝81を形成し、軸受面41aの軸方向略中央部にアウトプットシャフト41の周方向に延在する油溜まり84の他方を構成する溝部82を形成したので、アウトプットシャフト41に外歯をホブ切りするのと同時に、溝部82に連通する供給溝81を形成することができる。
このため、アウトプットシャフト41の軸受面41aに供給溝81を簡単に形成することができ、アウトプットシャフト41の加工コストが増大するのを防止することができる。
このようにファーストドリブンギヤ42およびアウトプットシャフト41の加工コストが増大するのを防止することができるため、手動変速機30の製造コストが増大するのを防止することができる。
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上のように、本発明に係る動力伝達装置の製造方法は、油溜まりの一方を構成する第1の溝部や油溜まりから潤滑油を軸受面の軸方向に導くための供給溝を遊転歯車および軸部材に簡単に形成することができ、製造コストが増大するのを防止することができるという効果を有し、車両の手動変速機等に設けられた軸部材と軸部材に遊転自在に設けられた遊転歯車の間を潤滑することができるようにした動力伝達装置の製造方法等として有用である。
30 手動変速機(動力伝達装置)
41 アウトプットシャフト(軸部材)
41a 軸受面
41b、41c、41d、41e スプライン(外歯部)
42 ファーストドリブンギヤ(遊転歯車)
42a 開口部
47 出力ギヤ(外歯部)
81 供給溝
82 溝部(第2の溝部)
83 溝部(第1の溝部)
84 油溜まり
91 供給孔(潤滑油供給通路)
92 放射孔(潤滑油供給通路)
92a 出口部
41 アウトプットシャフト(軸部材)
41a 軸受面
41b、41c、41d、41e スプライン(外歯部)
42 ファーストドリブンギヤ(遊転歯車)
42a 開口部
47 出力ギヤ(外歯部)
81 供給溝
82 溝部(第2の溝部)
83 溝部(第1の溝部)
84 油溜まり
91 供給孔(潤滑油供給通路)
92 放射孔(潤滑油供給通路)
92a 出口部
Claims (1)
- 回転駆動され、少なくとも1つ以上の外歯部が一体的に形成された軸部材と、前記歯車に隣接する前記軸部材の軸受面に遊転自在に装着された遊転歯車と、前記軸部材および前記遊転歯車の間に潤滑油を供給する潤滑油供給通路とを備えた動力伝達装置の製造方法であって、
前記遊転歯車の製造工程においては、前記軸部材の周囲に装着される前記遊転歯車の内周部に穴開け加工を行う穴開け工程と、前記穴開け工程後に前記遊転歯車の内周部を研磨加工する研磨工程とを含み、前記穴開け工程で前記遊転歯車の内周部の軸方向略中央部に油溜まりの一方を構成する第1の溝部を形成し、
前記軸部材の製造工程においては、前記軸部材に前記外歯部をホブ切りする際に前記軸受面までホブ切りを延長させて前記軸受面に潤滑油の供給溝を形成する供給溝形成工程と、前記軸受面の軸方向略中央部に前記軸部材の周方向に延在する油溜まりの他方を構成する第2の溝部を形成する溝切り工程と、出口部が前記第2の溝部に連通するように前記潤滑油供給通路を形成する潤滑油供給通路形成工程とを含んでなることを特徴とする動力伝達装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008227011A JP2010060064A (ja) | 2008-09-04 | 2008-09-04 | 動力伝達装置の製造方法 |
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JP2008227011A JP2010060064A (ja) | 2008-09-04 | 2008-09-04 | 動力伝達装置の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2010060064A true JP2010060064A (ja) | 2010-03-18 |
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ID=42187082
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103671859A (zh) * | 2013-12-18 | 2014-03-26 | 重庆建设摩托车股份有限公司 | 一种发动机滑动齿轮的润滑结构 |
CN113187878A (zh) * | 2021-05-13 | 2021-07-30 | 凯博易控车辆科技(苏州)股份有限公司 | 一种中间轴滚针轴承甩油润滑结构 |
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2008
- 2008-09-04 JP JP2008227011A patent/JP2010060064A/ja active Pending
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CN113187878A (zh) * | 2021-05-13 | 2021-07-30 | 凯博易控车辆科技(苏州)股份有限公司 | 一种中间轴滚针轴承甩油润滑结构 |
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