JP2010058595A - 車両操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転舵輪用の懸架装置のキングピン軸のオフセットを極力大きくして前輪の軸力を低減させることができるが、ステアリング剛性が低下する。そこで、ステアリングダンパ装置1として発電機7を用いる。すなわち、車速に応じてステアリングダンパ装置1の発電機7の電機子コイルの両端子を接続/開放する制御を行う。高速時においてはPWMデューティを大きくし、長いON時間によって両端子を接続して発電機7に回生電力を発生させ、ステアリングホイール2にブレーキを加えてステアリング剛性を高める。低速時には両端子を開放して発電機7を動作させないでステアリング剛性を弱める。これによって、低速から高速まで最適な操舵フィーリングが得られる。
【選択図】図2
Description
転舵輪用の懸架装置においてキングピン軸のオフセットを極力大きくし、そのキングビン軸を中心にタイヤを公転させることにより、従来の操舵装置に比べて、前輪の操舵負荷を大きく低減(つまり、軸力を大きく低減)させることができる。しかし、軸力が大きく低減することによって、ステアリングホイール2の回動操作が軽くなるため、車両の走行時安定性やステアリング剛性に影響が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態の車両操舵装置では、既存の電動パワーステアリング装置とは異なる技術思想により構成されたステアリングダンパ装置及び前記転舵輪用の懸架装置を用い、該ステアリングダンパ装置では、電動パワーステアリング装置のステアリングモータであったものを発電機として作用させることにより、電子ステアリングダンパ機構のダンパ制御を行うようにしている。
すなわち、車速に応じて前記ステアリングモータの電機子コイルの両端子を接続/開放する制御を行い、該電機子コイルの両端子の接続時において、電動パワーステアリング装置ではステアリングモータとして作用するものを発電機として作用させることにより、ステアリング系のダンパ制御を行うようにしている。
これによって、低速から高速まで最適なステアリングホイール2の操舵フィーリングを得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明における車両操舵装置の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明の車両操舵装置は、キングピン軸のオフセットを極力大きくした転舵輪用の懸架装置と、発電機を備えるステアリングダンパ装置との構成のもと、従来とは異なる技術思想によって実現されるので、先ず、それぞれの構成について個別に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両操舵装置に適用される転舵輪用の懸架装置の概要図である。すなわち、この図は、左前輪のストラット式の懸架装置を後方側から見た概要図である。なお、以下の説明では、左側の前輪(転舵輪)31Lの懸架装置30を例に説明するが、右側の前輪(転舵輪)の懸架装置は、左側の前輪31Lの懸架装置30と左右対称に構成されている。
そして、ステアリングナックル35の下部側のナックルロアアーム部35cは、従来と異なり、図1に示すように、前輪31Lの幅よりも更に車両幅方向内側にまで延伸され、その端部がA形のロアアーム33の先端部分とでロアボールジョイント部34を構成し、上下方向に延びるキングピン軸AK回りに回動自在に接合されている。なお、キングピン軸AKとは、ベアリング31cの中心とロアボールジョイント部34の中心とを結ぶ仮想的な軸であり、前輪31Lの転舵の中心軸となるものである。
ちなみに、前輪31Lのドライブシャフト38は、前記の車軸アセンブリやハブ36を介して、アクスル中心軸AXCを回転軸として前輪31Lを駆動する。
また、マウント部31dには、ストラットアセンブリ31をボディ40に鉛直方向廻りに回動自在に連結するベアリング31cが内蔵されている。ベアリング31cの中心と前記ロアボールジョイント部34の中心を結ぶキングピン軸AK(図1参照)廻りに、ストラットアセンブリ31のダンパ31a及びコイルスプリング31bが、ステアリングナックル35と共に一体に回動可能となっている。
なお、ステアリングナックルアーム35bは、例えば、ダンパ保持部35aのキングピン軸AK近傍から後方内側に向けて短く延出しており、その端部にはタイロッド39の端部がネジで接続されている。
さらに、ストラットアセンブリ31に掛かる曲げモーメントが少ないので、マウント部31dに掛かる負荷が、従来の懸架装置30Aのストラットアセンブリ51のマウント部51dに掛かる負荷より少なくなる。
つまり、図2に示すラックアンドピニオン式の操舵機構の場合、ステアリング軸3につながるラック軸8を左右方向に駆動するピニオン軸4にかける軸力を低減することができる。その結果、電動パワーステアリング装置の電動機の駆動力も従来に比して小さいもので済むことになり、電動機7を小型化することができ、ひいては、車両の軽量化に寄与し、燃費低減や車両のコスト低減を図ることができる。
なお、トレッド面Tとは、左右のタイヤの中心間の面をいう。
そこで、本実施形態では、前記の懸架装置30をそのまま用いると共に、既存の電動ステアリング装置のステアリングモータを、ステアリングダンパ装置1においては発電機として転用してダンパ制御を行うことにより、軸力の低減によるステアリング系の不具合を解消している。以下、本実施形態に適用されるステアリングダンパ装置1について詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るステアリングダンパ装置1の全体構成図である。このステアリングダンパ装置1は、一般的な電動パワーステアリング装置と異なり、操舵トルクを検出するトルクセンサやステアリング系に補助トルクを加えるための電動機(ステアリングモータ)を備えていない。
したがって、ドライバの手動操舵力を軽減させるための操舵アシストは行わない。すなわち、本実施形態のステアリングダンパ装置1は、既存のステアリングモータは存在せず、発電機7が存在する。
運転者がステアリングホイール2を手動操作して生じる操舵トルクは、ステアリング軸3を介してピニオン軸4に伝達される。ピニオン軸4にはステアリング系に作用する操舵トルクを伝達するトルク伝達手段6が取り付けられており、トルク伝達手段6は、必要に応じてステアリング系にブレーキ力を加えるための発電機7に接続されている。なお、請求項で述べるステアリング系連結部材とは、ステアリング軸3、ピニオン軸4、及びラック軸8など、ステアリングホイール2の操舵力を駆動輪9(左側の前輪31Lおよび右側の前輪)へ伝達させるための要素である。
さらに、制御部10は、PWM波形のON時間中において発電機7の電機子コイルの両端子を接続して該発電機7に回生電力を発生させ、PWM波形のOFF時間において発電機7の電機子コイルの両端子を開放して該発電機7の発電作用を停止させる。
また、トルク伝達手段6は、発電機7からの回生制動トルク(回生電力の発生によるブレーキ力)を、発電機7の回動軸に連結されるウォームギア(図示せず)、このウォームギアに噛み合いステアリング軸3に連結されるホイールギア(図示せず)等を介してステアリング軸3へ伝達して、ステアリングホイール2に加わる回転力に対してダンパ制御を行っている。
なお、本実施形態では、ステアリング軸3に発電機7のブレーキ力をかけてダンパ制御を行う場合を例示しているが、ステアリング軸3でなくラック軸8に発電機7のブレーキ力をかけてダンパ制御を行う構成としてもよく、ステアリングホイール2と駆動輪9、9(左側の前輪31Lおよび右側の前輪)間の操舵力の伝達機構に発電機7のブレーキ力をかけてダンパ制御を行えば、その構成は適宜選択可能であり、限定されない。
なお、発電機7の回生電力は、バッテリへ蓄電されるか抵抗等によって消費される。ちなみに、同じ車速でも、発電機7の回転速度が速い場合の方が遅い場合よりも、発電機7の発電量が大きくなり、ステアリング系におけるより大きなブレーキ力が生じる。また、同じ発電機7の回転速度でも、車速が速い場合の方が遅い場合よりも、発電機7の発電量が大きくなり、ステアリング系におけるより大きなブレーキ力が生じる。
このような高速時において速いステアリング操作を行うと、発電機7の発電電力量がさらに増加してステアリング操作時のブレーキ力が増加する、一方、ゆっくりしたステアリング操作を行うと、発電機7の発電電力量が減少してステアリング操作時のブレーキ力が減少する。このように、高速走行時においては、ステアリングホイール2のステアリング操作の速さに応じてステアリング操作にブレーキがかかるようなダンパ制御が行われるので、運転者によるステアリングホイール2の操舵操作に安定感が増す。
その結果、発電機7がステアリングホイール2の回転にブレーキ力を作用させることはなくなるので、極低速時おいて軸力を低減させることができるため、速いステアリング操作を行うことができる。従って、極低速時においてもステアリング操作がし易くなる。
なお、発電機7の電機子コイルの両端子を開放状態のままにしておくと、無効電力の発生によって電機子コイルの両端子に極めて高い電圧が発生するおそれがあるので、電機子コイルの両端子は高抵抗で接続するか、サージ電圧吸収素子などを接続しておくことが望ましい。
次に、図2に示すステアリングダンパ装置1によるステアリング系のダンパ制御の流れについて、説明する。
図3は、本発明に係る車両操舵装置におけるステアリングダンパ装置1によるステアリング系のダンパ制御の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、先ず、制御部10は、車両が極低速であるか否かを判定する(ステップS1)。
車両が、極低速である場合は(ステップS1でYes)、制御部10は、発電機7の電機子コイルの両端子を非接続状態とし発電機出力を発生させず、ステアリング系にブレーキ力を作用させないでダンパ制御処理を終了する。
ステアリングホイール2の舵角>θ0である場合は(ステップS2でYes)、車両が旋回中であるので、制御部10は、発電機7の電機子コイルの両端子を非接続状態とし発電機出力を発生させず、ステアリング系にブレーキ力を作用させないでダンパ制御処理を終了する。
そして、発電機7の発電に伴う回生制動によってステアリング系にブレーキ力を作用させて、ダンパ制御を行う(ステップS5)。なお、ステップS5は、制御の結果として得られる効果を記載したものである。
すなわち、現車速が10km/h〜90km/hの範囲で変化した場合は、PWMデューティ=10%〜90%の範囲で発電機7の発電機出力が変化して、それぞれの発電機出力に相当するブレーキ力がステアリング系に作用してダンパ制御を行う。そのため、車速10km/h〜90km/hのいずれの速度においても最適な操舵フィーリングが得られる。言い換えると、制御部10は、車速が0km/hと100km/hの間では、そのときの車速に応じたPWMデューティにしたがって発電機出力(回生電力)を発生させて、発電機出力に相当するブレーキ力が、ステアリング系に作用してステアリングホイール2の回転ダンパ制御を行うので、各車速に応じて最適なステアリングホイール2の操舵フィーリングが得られる。
また、車速100km/hの走行時においては発電機7の電機子コイルは常に直結状態(接続状態)となっているので、車速100km/hの走行時に速いステアリング操作がなされた場合は、ステアリングホイールに大きな操舵抵抗が働くので、安定した操舵フィーリングが得られる。さらに、車速0km/hに近い走行時においては、図3のステップS1に示すように、発電機7の電機子コイルは常に開放状態となっているので、速いステアリング操作がなされようが遅いステアリング操作がなされようが、いずれも発電機7には回生制動力は働かないため、軽い操舵力でステアリング操作を行うことができる。
以上述べたように、本実施形態の車両操舵装置は、ステアリングダンパ装置1または電子制御ステアリングダンパのダンパ制御を、車速とステアリングホイール2の舵角に応じて変化させることにより、車両の直進性や適切なステアリングホイール2の回転時のステアリング剛性を確保すると同時に、車速が極低速での軸力低減を両立させている。
また、前記したような外乱タフネスに対するダンパ制御においては、トルクセンサにて外乱検知を行なってもよい。
2 ステアリングホイール
3 ステアリング軸(ステアリング系連結部材)
4 ピニオン軸(ステアリング系連結部材)
4A ピニオン(ステアリング系連結部材)
6 トルク伝達手段(ステアリング系連結部材)
7 発電機
8 ラック軸(ステアリング系連結部材)
8A ラック歯(ステアリング系連結部材)
9 駆動輪(タイヤ)
10 制御部
31L 前輪(タイヤ)
40 ボディ(車両)
AK キングピン軸
G タイヤ接地面(タイヤの接地面)
LOff KPオフセット
PW タイヤ接地点
PC キングピン軸延長点(キングピン軸の延長線のタイヤの接地面との交点)
T トレッド面
Claims (4)
- ステアリングホイールとタイヤとの間を連結するステアリング系連結部材と、
前記ステアリングホイールの操舵力を調整するように、前記ステアリング系連結部材に付設された発電機と、
前記発電機における電機子コイルの両端子の接続状態を車速に応じて制御する制御部とを備えることを特徴とする車両操舵装置。 - 前記ステアリングホイールの舵角が中立付近である場合、前記電機子コイルの両端子を接続状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の車両操舵装置。 - 前記タイヤのキングピン軸の延長線は、前記タイヤの接地面との交点が該タイヤのトレッド面よりも車両内方である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両操舵装置。 - 前記発電機における電機子コイルの両端子は、バッテリを介して接続状態とする
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の車両操舵装置。
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