JP2010054415A - 管板溶接部の欠陥検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】管板溶接部の欠陥を渦流探傷法によって精度良く、容易に検査する方法を提供すること。
【解決手段】伝熱管と管板の溶接部の欠陥を渦流探傷法で検査する方法において、導線を略円盤状に巻いて形成し、その内径が該伝熱管外径より大きく、該溶接部上に配置して走査する際に該溶接部に近接するように厚さが外周方向に大きくなっている励磁コイル、および検出コイルを有するプローブを管板溶接部上で回転走査して行うことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】伝熱管と管板の溶接部の欠陥を渦流探傷法で検査する方法において、導線を略円盤状に巻いて形成し、その内径が該伝熱管外径より大きく、該溶接部上に配置して走査する際に該溶接部に近接するように厚さが外周方向に大きくなっている励磁コイル、および検出コイルを有するプローブを管板溶接部上で回転走査して行うことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、管板溶接部の欠陥を検査する方法に関する。詳しくは、管板溶接部の欠陥を渦流探傷法によって精度良く、容易に検査する方法に関する。
金属材料の検査方法の一つとして渦流探傷法が挙げられる。渦流探傷法において、試験体の表面を走査して検査する場合、通常、走査面が平らな、いわゆる上置き型のプローブを用いて行われている(例えば、特許文献1参照。)。
渦流探傷法は、非破壊検査方法であり、開口していない欠陥でも検出が可能であり良い方法である。しかしながら、熱交換器などの伝熱管と管板との溶接部に発生した欠陥を、走査面が平らな上置き型のプローブを用いて検査する場合、欠陥が検出できないことがある。ペンシル型プローブを使用した場合、必然的にコイルの直径が小さくなり、励磁コイルも検出コイルも同形状であるため、局部的にしか渦電流を励起できない。また、コイルの直径が小さいため、使用できる周波数は高周波よりとなり渦電流の浸透深さは小さくなり、励起される渦電流のエネルギも小さくなる。従って欠陥が検出できないことがある。
特開平5−52815号公報
渦流探傷法は、非破壊検査方法であり、開口していない欠陥でも検出が可能であり良い方法である。しかしながら、熱交換器などの伝熱管と管板との溶接部に発生した欠陥を、走査面が平らな上置き型のプローブを用いて検査する場合、欠陥が検出できないことがある。ペンシル型プローブを使用した場合、必然的にコイルの直径が小さくなり、励磁コイルも検出コイルも同形状であるため、局部的にしか渦電流を励起できない。また、コイルの直径が小さいため、使用できる周波数は高周波よりとなり渦電流の浸透深さは小さくなり、励起される渦電流のエネルギも小さくなる。従って欠陥が検出できないことがある。
本発明は、管板溶接部の欠陥を渦流探傷法によって精度良く、容易に検査する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、熱交換器などの伝熱管と管板の溶接部に発生した欠陥を検査する方法について鋭意検討した結果、導線を円盤状に巻いて形成し、その内径が伝熱管外径より大きく、溶接部上に配置して走査する際に溶接部に近接するように厚さが外周方向に大きくなっている円盤状の励磁コイルを有するプローブを用いて行うことによって精度良く、容易に検査できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、伝熱管と管板の溶接部の欠陥を渦流探傷法で検査する方法において、導線を略円盤状に巻いて形成し、その内径が該伝熱管外径より大きく、該溶接部上に配置して走査する際に該溶接部に近接するように厚さが外周方向に大きくなっている励磁コイル、および検出コイルを有するプローブを管板溶接部上で回転走査して行うことを特徴とする管板溶接部の欠陥検査方法である。
本発明の方法によって、管板溶接部の欠陥を精度良く、容易に検査することが可能になる。
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施態様を示す断面模式図である。(A)は(B)のY−Y位置における平面図であり、(B)は(A)のX−X位置における側面図である。
管板2が溶接され伝熱管1の上端にプローブ3が配置されている。プローブは励磁コイル4、検出コイル5、ガイド7をケース6に取り付けて構成されている。
本発明において溶接部とは、伝熱管と管板の接合部位を言い、肉盛り部とこの近傍の伝熱管及び管板の部分を言う。
図1は本発明の一実施態様を示す断面模式図である。(A)は(B)のY−Y位置における平面図であり、(B)は(A)のX−X位置における側面図である。
管板2が溶接され伝熱管1の上端にプローブ3が配置されている。プローブは励磁コイル4、検出コイル5、ガイド7をケース6に取り付けて構成されている。
本発明において溶接部とは、伝熱管と管板の接合部位を言い、肉盛り部とこの近傍の伝熱管及び管板の部分を言う。
励磁コイルは、導線を円盤状に巻いて形成し、その内径が伝熱管外径より大きく、溶接部上に配置して走査する際に溶接部に近接するように厚さが外周方向に大きくなっている。また、その外径は、通常、隣接する伝熱管との中間までの大きさである。検出コイルは、図では2個設けられているが、1個で検出することも可能である。プローブには均一に回転走査するためにガイドを設け、これを伝熱管内に挿入し、プローブを回転させながら走査して欠陥の検出を行う。上記のとおり、プローブは伝熱管の先端部に配置して回転走査する。励磁コイルは伝熱管の周囲に、溶接部に近接して、全体を覆うように配置される。
図2は円盤状の励磁コイルの形状の例を示す断面模式図である。(A)は略三角形、(B)、(C)は階段状で、(C)の形状で欠陥の検出が十分可能であり、作製も容易で好ましく用いられる。このような励磁コイルはボビンに導線を巻いて形成される。プローブにはガイドを設けるのが好ましいが、その際にボビンが邪魔になることがあるので、通常、ボビンを除いて接着剤で固めて励磁コイルを得る。
図3は本発明における検査装置の例を示す模式図である。発信器8でプローブ3の励磁コイルを励磁し、ポローブを検査体10上で回転走査する。発信器から励磁コイルを励磁させる周波数としては、通常、約20〜200kHz、好ましくは約50〜150kHzで行われる。渦流探傷器9では、2個の検出コイル5のそれぞれのインピーダンスR1、R2と固有抵抗K1、K2とからなるブリッジ回路(図4)を形成する。走査して欠陥があると渦電流に乱れが生じ、それによるインピーダンス変化が渦流探傷器にリサージュ波形として表示される。リサージュ波形、またはそのラインデータ(X軸、Y軸の振幅信号)の形状から欠陥の有無、大きさを判定する。
本発明においては、励磁専用のコイルを溶接部全体を覆うように配置することによって、溶接線方向に平行に渦電流を励起することができるため、溶接線に直交した割れを検出しやすくなる。更に、大きなコイルを用いることができるため、試験体に励起できる渦電流の周波数範囲が広くできるとともにエネルギの大きな渦電流を励起できる。一方、検出コイルは小さなコイルを使用することによって、欠陥の検出性を高めることができる。
また、励磁コイルを階段状などの溶接部に近接する構造とすることによって、管板溶接部により均一な渦電流分布を得ることができる。これによって、欠陥の発生位置が溶接部上で変化しても欠陥の大きさに応じた欠陥信号出力が得られる。
また、励磁コイルを階段状などの溶接部に近接する構造とすることによって、管板溶接部により均一な渦電流分布を得ることができる。これによって、欠陥の発生位置が溶接部上で変化しても欠陥の大きさに応じた欠陥信号出力が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
6本の伝熱管と管板を溶接して作製した模擬検査体(SUS304製)について渦流探傷法で欠陥の検査を行った。模擬検査体にはスリット加工で表1に示す人工欠陥(きず)を設けた。
励磁コイル、検出コイルを下記のとおりに作製し、図1に示すようなプローブを作製した。
(励磁コイル)
図5に作成した励磁コイルの断面模式図を示す。階段状のコイルであって、0.1mmφの導線を順に、番号1から11、折り返して番号12から22、同様にして番号66まで巻き、次に同様にして外側の番号66から228まで巻いて作製した。図中の灰色部分はボビンで、コイルを巻いて接着剤で固めた後、ボビンを取り除いた。コイルの大きさは、内径が約34mmφ、外形が約50mmφ、厚さが約1.8mmである。
(励磁コイル)
図5に作成した励磁コイルの断面模式図を示す。階段状のコイルであって、0.1mmφの導線を順に、番号1から11、折り返して番号12から22、同様にして番号66まで巻き、次に同様にして外側の番号66から228まで巻いて作製した。図中の灰色部分はボビンで、コイルを巻いて接着剤で固めた後、ボビンを取り除いた。コイルの大きさは、内径が約34mmφ、外形が約50mmφ、厚さが約1.8mmである。
(検出コイル)
0.07mmφの導線を140巻きして、外径2.2mmφ、内径1.2mmφ、厚さ0.7mmの検出コイルを2個作製した。
0.07mmφの導線を140巻きして、外径2.2mmφ、内径1.2mmφ、厚さ0.7mmの検出コイルを2個作製した。
図3に示す検査装置で検査を行った。なお、渦流探傷器は、ロックインアンプ、オシロスコープ、パーソナルコンピュータを接続して構成した。2個の検出コイルのインピーダンスR1、R2を使用して図4に示すブリッジ回路を形成させた。発信器から周波数100kHzで励磁コイルを励磁し、プローブを回転走査して検査しリサージュ波形を得た。
結果を図6、図7および図8に示す。図6は管板面のきず、図7は肉盛り部のきず、図8は伝熱管のきずの結果であり、きず無しの結果と共に示している。
いずれのきずについても明確に検出されている。
結果を図6、図7および図8に示す。図6は管板面のきず、図7は肉盛り部のきず、図8は伝熱管のきずの結果であり、きず無しの結果と共に示している。
いずれのきずについても明確に検出されている。
1 伝熱管
2 管板
3 プローブ
4 励磁コイル
5 検出コイル
6 ケース
7 ガイド
8 発信器
9 渦流探傷器
10 検査体
2 管板
3 プローブ
4 励磁コイル
5 検出コイル
6 ケース
7 ガイド
8 発信器
9 渦流探傷器
10 検査体
Claims (2)
- 伝熱管と管板の溶接部の欠陥を渦流探傷法で検査する方法において、導線を略円盤状に巻いて形成し、その内径が該伝熱管外径より大きく、該溶接部上に配置して走査する際に該溶接部に近接するように厚さが外周方向に大きくなっている励磁コイル、および検出コイルを有するプローブを該溶接部上で回転走査して行うことを特徴とする管板溶接部の欠陥検査方法。
- 厚さが階段状に外周方向に大きくなっている励磁コイルであることを特徴とする請求項1記載の管板溶接部の欠陥検査方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008221080A JP2010054415A (ja) | 2008-08-29 | 2008-08-29 | 管板溶接部の欠陥検査方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2515425C1 (ru) * | 2012-10-25 | 2014-05-10 | Федеральное Государственное Унитарное Предприятие "Научно-Производственное Объединение "Техномаш" | Способ контроля качества неразъемных соединений |
JP7434194B2 (ja) | 2021-01-21 | 2024-02-20 | 株式会社Ihi検査計測 | 渦電流探傷プローブと渦電流探傷方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6370077U (ja) * | 1986-10-28 | 1988-05-11 | ||
JPH0634607A (ja) * | 1992-07-16 | 1994-02-10 | Osaka Gas Co Ltd | 渦電流探知試験装置及び渦電流探知試験方法 |
JP2007132667A (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-31 | Hitachi Eng Co Ltd | 配管溶接部の非破壊検査装置 |
-
2008
- 2008-08-29 JP JP2008221080A patent/JP2010054415A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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