JP5169983B2 - 磁性体管の欠陥検査方法。 - Google Patents
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Description
炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、フェライト相とオーステナイト相の二相からなる二相ステンレス鋼などの磁性体管の検査においては、非磁性体管の渦流探傷用プローブでは渦電流が表面しか流れないこと、透磁率の局部的な変動に起因するノイズが検出能に悪影響を及ぼすことから精度良く欠陥の探傷ができない。
このプローブを用いることによって二相ステンレス管などの弱磁性体管の渦流探傷は可能であるが、炭素鋼などの強磁性体管の小さい欠陥を探傷するには不十分であり、強磁性体管の小さい欠陥をもより精度良く検査できる方法が望まれている。
円柱状ヨーク1の中央部の周囲に永久磁石2が、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着されている。図では左側にN極、右側にS極になるように装着されている。
永久磁石2の両側のヨークの周囲に永久磁石3および永久磁石4が、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が永久磁石3および永久磁石4で異なるように装着されている。図では永久磁石3はヨーク側がS極、外側がN極、永久磁石4はヨーク側がN極、外側がS極になるように装着されている。
中央部の永久磁石2の上に検出コイル5が配置されている。その両側には内側励磁コイル6が配置されている。
プローブの両端部にはガイド7、8が設けられている。ヨーク1の略中心部に空気導入孔9、および両端部に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔10が設けられている。
なお、コイルの導線およびその取り出し孔は図示されていない。
永久磁石としては、例えば、ネオジム磁石などの高性能永久磁石が用いられる。中央部に装着する永久磁石2としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜10mmのリング状のものが用いられる。永久磁石2の両側に装着される永久磁石3および永久磁石4としては、ヨークの軸方向の長さが約5〜30mm、好ましくは約10〜30mmのリング状のものが用いられる。永久磁石3および永久磁石4は長い方が、探傷精度が向上するが、約30mmを超えてもそれに見合った効果は得られない。なお、永久磁石3および永久磁石4のヨークの半径方向の大きさ、厚さは探傷する磁性体管の大きさに合わせて変更される。
内側励磁コイルは、渦電流の導電範囲を欠陥近傍のみに抑制し、微小な欠陥のS/N比を改善し、管端近傍の影響を軽減するので、設けることが好ましい。
なお、空気噴射孔10は、例えば、孔径が約2mmφで、空気導入孔9から周方向に約6〜10本設けられる。
図3にプローブの回路図を示す。2個の検出コイルL1、L2および2個の内側励磁コイルL3、L4および4個の可変抵抗器R1、R2、R3、R4を、ロックインアンプに対して並列に接続し、検出コイルL1、L2と可変抵抗器R1、R2がホイストンブリッジ回路となるように、ロックインアンプの入力信号用の端子と接続している。
所定の試験周波数、例えば、実際の探傷で探傷感度が高い100kHz、印加電圧5vの時の検出コイルおよび内側励磁コイルのインピーダンスを測定し、可変抵抗器R1、R2の抵抗値を、その測定した抵抗値に調整する。またこのときの検出コイルと可変抵抗器の合成インピーダンスを測定し、内側励磁コイルに接続する可変抵抗器R3、R4の抵抗値を、その測定した抵抗値の前後に変化させて探傷し、最終的に検出感度が良い条件で探傷を行う。
プローブによる探傷速度は、約2〜50mm/秒であり、より小さい欠陥を精度良く検出するためには、約2〜10mm/秒が好ましい。
このような邪魔する信号を除去して渦流探傷の精度を向上させる方法として、検出コイルに2つ以上の周波数を加えて渦流探傷する多重周波数法が知られている。多重周波数法については、例えば、「非破壊検査シーリーズ 渦流探傷試験II」(平成14年10月5日 1995年版第6刷 社団法人日本非破壊検査協会発行)に記載されている。
バッフルが設けられている部分の欠陥の無い磁性体管をf1という周波数で探傷を行なうと(A)に示したようなバッフルの信号(リサージュ波形)が得られる(f1処理)。周波数をf2にして探傷すると、(B)に示したようなバッフルの信号が得られる(f2処理)。周波数f2で得られたバッフルの信号の振幅X、Yおよび位相θを回転させ、周波数f1で探傷した時に得られたバッフルの信号とできるだけ同じ振幅と傾きを持った信号になるように調整する(C)。周波数f2で得られた信号を調整して得られたのでこの処理をf2’とする。
f1処理の信号とf2’処理の信号の差をとる処理(f1−f2’)をすると、同じようなリサージュ波形形状になっているためバッフルの信号は相殺されて消える(D)。
ここで、上記と同じようにバッフル信号を除去するような処理(f1−f2’)を行ない、バッフル信号が除去された欠陥信号のみを取り出し(F)、(D)と比較して欠陥を検査する。
また、周波数f1とf2を別々に検出コイルに加えて走査し、その後、得られた信号を演算処理して欠陥を検出することもできる。
図1に示すと同様のプローブを作製した。使用した材料および形状を以下に示す。
ヨーク1:炭素鋼S15C焼鈍材
永久磁石2:ネオジウムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ25.5mm×内径φ21mm×長さ6.4mmのリング状
永久磁石3、4:ネオジムマグネット((株)アサヒコーポレーション製)
外径φ28mm×内径φ21mm×長さ30mmのリング状を四分割したも
の。
検出コイル5、内側励磁コイル6:
各コイルともに、線径φ0.08mmの銅線を使用し、寸法は幅1.0mm×
深さ1.0mm、巻数は70回、コイル間隔は0.8mmとした。
ガイド7、8:ポリアセタール(コポリマー)ジュラコン(登録商標)(ポリプラス
チック(株)製)、外径φ28.4mm
永久磁石をヨークに接着するための接着剤:
アクリル系接着剤ハードロック(登録商標)(電気化学工業(株)製)
なお、ロックインアンプは、LI5640((株)エヌエフ回路設計ブロック製)を、オシロスコープは、TDS3104B(日本テクトロニクス(株)製を、プローブを走査させるステージコントローラは、CAT-E(中央精機(株)製)を用いた。
探傷速度が30mm/秒の時の結果を図5に、探傷速度が4mm/秒でφ1.0mm、φ0.5mmの貫通孔について探傷した時の結果を図6に示す。
図中、内側励磁なし(2コイル)は、内側励磁コイルを生かさず、検出コイルのみで探傷したことを、150・・・500Ωは可変抵抗器R3、R4の抵抗値を表す。
実施例1で使用したプローブのヨークの軸方向の内部にφ4mmの空気導入孔、および永久磁石の両側(ガイド部)に空気導入孔から半径方向に延びるそれぞれ8本のφ2mmの空気噴射孔を設けた。
プローブの端部にばね秤を取り付け、実施例1と同じ強磁性体管に挿入し、レギュレーターで圧力を調整した空気を空気導入孔に供給し、空気噴射孔から噴出させながら一定速度となるように引張り、プローブが動き出す直前の引張り力を測定した。同じ条件で5回測定し、平均値を求めた。
結果を表1に示す。空気圧を高くして空気を多く噴射させることによって、引張り力が低下して走査が容易になっている。
強磁性体管(炭素鋼STB340、外径φ34mm×厚み2.3mm×長さ900mm)に、模擬欠陥として直径1mmφの貫通孔、外表面に幅5mm×長さ12.5mmで深さが厚みの25%である方形溝、外表面に幅5mm×長さ17.5mmで深さが厚みの50%である方形溝、幅が1.5mmで深さが厚みの20%の内側全周溝、幅が1.5mmで深さが厚みの70%の内側全周溝、幅が1.5mmで深さが厚みの50%の外側全周溝、幅が1.5mmで深さが厚みの80%の外側全周溝を設けた。
模擬バッフル(炭素鋼SS400、縦100mm×横100mm×厚み15mm、中央に直径34.4mmφの孔)の孔に強磁性体管を挿入し、実施例1と同じプローブおよび渦流探傷装置を用い、模擬バッフルの位置を変えて渦流探傷し、欠陥の検査を行った。
得られたデータを演算処理した。すなわち、f2処理で得られたバッフルの信号の振幅X、Yおよび位相θを回転させ、f1処理で得られたバッフルの信号とできるだけ同じ振幅と傾きを持った信号になるように処理(f2’処理)した。
f1処理の信号とf2’処理の信号との差をとる処理(f1−f2’)をし、欠陥を検査した。得られたリサージュ波形を図7〜図10に示す。図7の(1)は欠陥の無い部位、(2)は直径1mmφの貫通孔、図8の(3)は幅5mm×長さ12.5mmで深さが厚みの25%である方形溝、(4)は幅5mm×長さ17.5mmで深さが厚みの50%である方形溝、図9の(5)は幅が1.5mmで深さが厚みの20%の内側全周溝、(6)は幅が1.5mmで深さが厚みの70%の内側全周溝、図10の(7)は幅が1.5mmで深さが厚みの50%の外側全周溝、(8)は幅が1.5mmで深さが厚みの80%の外側全周溝について示す。
(1)と(2)〜(8)のリサージュ波形の比較から、外部に設けられたバッフル部分の磁性体管の欠陥が検出されていることが判る。
2 永久磁石
3 永久磁石
4 永久磁石
5 検出コイル
6 内側励磁コイル
7 ガイド
8 ガイド
9 空気導入孔
10 空気噴出孔
Claims (4)
- 円柱状ヨークの中央部の周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの軸方向になるように装着し、その両側のヨークの周囲に永久磁石を、その磁化方向がヨークの半径方向であって、ヨーク側の磁極が相異なるように装着し、中央部の永久磁石の上に検出コイルを配置してなるプローブを用いて、磁性体管内を渦流探傷することを特徴とする磁性体管の欠陥検査方法。
- 検出コイルの両側に内側励磁コイルを配置してなるプローブを用いることを特徴とする請求項1記載の磁性体管の欠陥検査方法。
- ヨークの軸方向の内部に空気導入孔、および両側の永久磁石の更に両側に空気導入孔から半径方向に延びる複数の空気噴射孔を有してなるプローブを用いることを特徴とする請求項1記載の磁性体管の欠陥検査方法。
- 多重周波数法によって渦流探傷することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁性体管の欠陥検査方法。
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