JP2011047716A - 渦流式検査装置、及び、渦流式検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】励磁コイル41・42・43と検出コイルブロック31・32・33が内部に配設された3個のリング状渦流センサ21・22・23と、リング状渦流センサ21・22・23に電気的に接続されるセンサ本体11とを備える渦流式検査装置10であって、リング状渦流センサ21・22・23のうち測定部Rを形成する部分の検出コイルブロック31・32・33が前記誘導磁場を検出する構成とした。
【選択図】図4
Description
しかし、この破壊検査による手法ではサンプルとして使用した鋼材が廃棄されるため、材料コストの上昇に繋がっていた。また、検査に要する時間が長くなる上に、インラインでの全数検査が不可能であるため、単発的に発生する不良を発見できずに次工程に搬出してしまう可能性があった。
渦流式検査は、前記鋼材の近くに交流電流を流した励磁コイルを接近させて交流磁場を発生させ、該交流磁場によって鋼材に渦電流を生じさせ、該渦電流により誘起された誘導磁場を検出コイルにより検出するものである。つまり、該渦流式検査により、鋼材を廃棄することなく、短時間で、かつ全数検査によって鋼材の焼入れ深さ及び硬度を定量的に測定することが可能となるのである。
前記渦流式検査は、上記の鋼材の焼入れ深さ及び硬度を測定するための焼入れ深さ/硬度測定試験のほか、検査対象物の表面に生じた割れ等の傷を検出するための探傷試験や、検査対象物に含まれる異物を検出するための異材判別試験等にも用いられている。
前記焼入れ深さ/硬度測定試験については、他の探傷試験や異材判別試験と比較して、ノイズ成分に対する検出する信号成分の比率が小さいため、より高い検出精度が求められる。しかし、プローブ型コイルは磁界が弱く、また鋼材との距離を精密に制御する必要があるため、探傷試験や異材判別試験には適用することができるものの、焼入れ深さ/硬度測定試験に採用することは困難であった。
しかし、貫通コイルの測定部分である内周の径は一定であるため、測定部位の貫通コイルに対する充填率(貫通コイルの内周横断面積に対する鋼材の測定部位における横断面積の割合)は、鋼材の測定部位における外径によって変化する。充填率が低くなると渦流式検査の検査精度は指数関数的に低下するため、前記従来技術によれば、測定部位ごとに外径が変化することにより、検査精度に差が発生するという問題があった。
さらに、検査対象物である鋼材は貫通コイルに挿通する必要があるため、外径がほぼ一定である軸物部品に限られていた。つまり、例えばクランクシャフトのように外径が大きく変化するような部品を検査対象物とすることは難しかったのである。
しかし、前記リング状コイルを組み合わせる構成では、リング状コイルにおける測定部近傍以外の部分が発生させる交流磁場によって鋼材に生じる渦電流に影響が出て、検査精度が低下するという問題があった。また、前記特許文献3に記載の技術は探傷試験を目的とするものであるため、焼入れ深さ/硬度測定試験に適用することには検査精度が不充分となる可能性があったのである。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
本発明の第一実施形態に係る渦流式検査装置の概要について、図1を用いて説明する。本実施形態においては、渦流式検査装置10の検査対象物は高周波焼入れをした鋼材Wであり、渦流式検査装置10は該鋼材Wにおける焼入れ深さ及び硬度を測定する、焼入れ深さ/硬度測定試験を行うものとする。ただし、本発明に係る渦流式検査装置は焼入れ深さ/硬度測定試験のみに適用されるものではなく、例えば検査対象物の表面に生じた割れ等の傷を検出するための探傷試験や、検査対象物に含まれる異物を検出するための異材判別試験等にも用いることが可能である。
本明細書においては便宜上、図1における左側を前方、右側を後方とし、同じく図1における紙面奥行方向を右側方、紙面手前方向を左側方として説明する。
また、図1においては検査対象物である鋼材Wとしてヨークシャフトを用いて説明するが、鋼材Wは短軸・長軸インボード等の軸物部材や、後述するようにクランクシャフトやカムシャフト等についても検査対象物とすることができる。
つまり、リング状渦流センサ21・22・23は棒状部材の両端を接続してリング状に形成したものであるといえ、該リング状渦流センサ21・22・23の内部には、長さ方向(円周方向)に沿ってリング状の励磁コイル41・42・43が配設されるとともに、長さ方向(円周方向)に沿って複数個の検出コイルブロック31・32・33が配設されている。
本実施形態においては、リング状渦流センサ21・22・23には、それぞれについて16個ずつの検出コイルブロック31・32・33が配設されている。検出コイルブロック31・32・33には、ソレノイドコイルやパンケーキコイル、プレーナコイル等のコイルが用いられる。
なお、前記治具15には、測定部Rに挿通された鋼材Wを、リング状渦流センサ21・22・23と鋼材Wとが略同軸状を保持するように支持する機能も併せて備えられている。
具体的には、例えば鋼材Wの一部に孔が開口されているために検出する誘導磁場に影響が出るような場合は、前記孔に該当する箇所における部分は無効コイルブロック31a・32a・33aとして、検出信号を前記センサ本体11で受信しない構成とすることができるのである。これにより、前記孔のような鋼材Wの形状によって検出結果にノイズ成分が出ることを防ぐことができるため、検査精度を向上させることが可能となるのである。
同様に、鋼材Wの焼入れ深さに対応して、無効コイルブロック31a・32a・33aと有効コイルブロック31b・32b・33bとを切替える構成にすることもできるのである。
一方、両端の焼入れ深さを高精度で測定する場合は、リング状渦流センサ21・22・23のうち、両端部であるリング状渦流センサ21・23の励磁周波数を、リング状渦流センサ22の励磁周波数よりも低く設定し、図6(b)に示す如く両端部の磁束の浸透深さを深くして測定するのである。また、一方、中央部の焼入れ深さを高精度で測定する場合は、リング状渦流センサ21・22・23のうち、中央部であるリング状渦流センサ22の励磁周波数を、リング状渦流センサ21・23の励磁周波数よりも低く設定し、図6(c)に示す如く中央部の磁束の浸透深さを深くして測定するのである。
上記ように構成することにより、鋼材Wにおいて必要な検査精度に応じて焼入れ深さを測定することが可能となるのである。
本実施形態に係る渦流式検査装置10においては、鋼材Wの径に応じてリング状渦流センサ21・22・23の相互の位置関係を変更することにより、測定部Rの大きさを変更可能に構成されている。このため、図7に示すような、複数のジャーナル部と、ジャーナル部よりも小径の複数のピン部と、をそれぞれアーム部で連結して構成されるクランクシャフトにおいても、測定部Rの大きさをジャーナル部又はピン部の径に応じて変更することにより、クランクシャフトの焼入れ深さ及び硬度を測定することが可能となるのである。
なお、検査対象物としてカムシャフト等他の部品についても本実施形態を適用する場合についても、同様である。
次に、本発明の第二実施形態に係る渦流式検査装置について、図8を用いて説明する。なお本実施形態において説明する渦流式検査装置において、前記実施形態と共通する部分についてはその説明を省略する。
つまり、U字状渦流センサ121・122・123は、長さ方向に沿って複数個の励磁コイルブロック141・142・143が配設されるとともに、長さ方向に沿って複数個の検出コイルブロック131・132・133が配設された棒状部材をU字状に形成したものであるといえる。
本実施形態においては、U字状渦流センサ121・122・123には、内周側に9個の励磁コイルブロック141・142・143が、外周側に同じく9個の検出コイルブロック131・132・133が配設されている。励磁コイルブロック141・142・143及び検出コイルブロック131・132・133には、ソレノイドコイルやパンケーキコイル、プレーナコイル等のコイルが用いられる。
また、U字状渦流センサ121・122・123のうち測定部Rと隣接しない部分の検出コイルブロック131a・132a・133a(以下、無効検出コイルブロック131a・132a・133aとする)からの検出信号は前記センサ本体で受信せずに、測定部Rと隣接する部分の検出コイルブロック131b・132b・133b(以下、有効検出コイルブロック131b・132b・133bとする)からの検出信号のみをセンサ本体で受信するのである。即ち、有効励磁コイルブロック141b・142b・143bのみが交流電流を流し、また、有効検出コイルブロック131b・132b・133bのみが前記誘導磁場を検出するように構成されているのである。
具体的には、例えば焼入れ深さを高精度で測定する部分は、励磁コイルブロック141・142・143の励磁周波数を、他の部分よりも低く設定して測定するのである。このように構成することにより、鋼材Wにおいて必要な検査精度に応じて焼入れ深さを測定することが可能となるのである。
21 リング状渦流センサ
22 リング状渦流センサ
23 リング状渦流センサ
31 検出コイルブロック
32 検出コイルブロック
33 検出コイルブロック
41 励磁コイル
42 励磁コイル
43 励磁コイル
Claims (11)
- 励磁コイルと検出コイルとが内部に配設された棒状の検査手段を複数個備え、
該複数個の検査手段を組み合わせて区画する部分のうち全ての前記検査手段に対して内側となる測定部に検査対象物を挿通した状態で、前記励磁コイルに交流電流を流すことにより前記測定部に交流磁場を発生させ、該交流磁場によって前記検査対象物に渦電流を生じさせ、該渦電流により誘起された誘導磁場を前記検出コイルにより検出する、渦流式検査装置であって、
前記検査対象物の径に応じて、前記複数個の検査手段における相互の位置関係を変更することにより、前記測定部の大きさが変更可能に構成されるとともに、
前記検出コイルは、前記検査手段の長さ方向に沿って複数個の検出コイルブロックを配設して構成され、
前記検査手段のうち前記測定部を形成する部分の検出コイルブロックが前記誘導磁場を検出するように構成される、
ことを特徴とする、渦流式検査装置。 - 前記複数個の検査手段として、3個のリング状渦流センサを備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の渦流式検査装置。 - 前記励磁コイルは、前記検査手段の長さ方向に沿って複数個の励磁コイルブロックを配設して構成され、
前記検査手段のうち前記測定部を形成する部分の励磁コイルブロックが前記交流電流を流すように構成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の渦流式検査装置。 - 前記検査対象物に同一方向の渦電流が生じるように、前記励磁コイルに交流電流を流す、
ことを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の渦流式検査装置。 - 前記検査対象物の、高精度に検査する部分について検出する検査手段においては、他の部分について検出する検査手段よりも、前記励磁コイルに流す交流電流の周波数を相対的に低く設定する、
ことを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の渦流式検査装置。 - 前記検査対象物は高周波焼入れをした鋼材であり、
前記検査対象物における焼入れ深さ及び硬度を測定する、
ことを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の渦流式検査装置。 - 励磁コイルと検出コイルとを内部に配設した複数個の検査手段を組み合わせて区画する部分のうち全ての前記検査手段に対して内側となる測定部に検査対象物を挿通した状態で、前記励磁コイルに交流電流を流すことにより前記測定部に交流磁場を発生させ、該交流磁場によって前記検査対象物に渦電流を生じさせ、該渦電流により誘起された誘導磁場を前記検出コイルにより検出する、渦流式検査方法であって、
前記検査対象物の径に応じて、前記複数個の検査手段における相互の位置関係を変更することにより、前記測定部の大きさを変更するとともに、
前記検出コイルを、前記検査手段の長さ方向に沿って複数個の検出コイルブロックを配設して構成し、
前記検査手段のうち前記測定部を形成する部分の検出コイルブロックが前記誘導磁場を検出する、
ことを特徴とする、渦流式検査方法。 - 前記励磁コイルを、前記検査手段の長さ方向に沿って複数個の励磁コイルブロックを配設して構成し、
前記検査手段のうち前記測定部を形成する部分の励磁コイルブロックが前記交流電流を流す、
ことを特徴とする、請求項7に記載の渦流式検査方法。 - 前記検査対象物に同一方向の渦電流が生じるように、前記励磁コイルに交流電流を流す、
ことを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の渦流式検査方法。 - 前記検査対象物の、高精度に検査する部分について検出する検査手段においては、他の部分について検出する検査手段よりも、前記励磁コイルに流す交流電流の周波数を相対的に低く設定する、
ことを特徴とする、請求項7から請求項9の何れか1項に記載の渦流式検査方法。 - 前記検査対象物は高周波焼入れをした鋼材であり、
前記検査対象物における焼入れ深さ及び硬度を測定する、
ことを特徴とする、請求項7から請求項10の何れか1項に記載の渦流式検査方法。
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