JP6550873B2 - 渦流探傷方法 - Google Patents

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本発明は、鋼管や鋼板等の被検査材に存在する欠陥を検出する渦流探傷方法に関する。特に、本発明は、被検査材の検査対象面に存在する欠陥を、検査対象面と反対側の面に対向するようにセンサコイルを配置して簡易に且つ精度良く検出することが可能な渦流探傷方法に関する。
従来より、鋼管や鋼板等の被検査材に存在する欠陥(きずや腐食など)を非破壊的に検出する方法として、渦流探傷法や漏洩磁束探傷法などの磁気探傷方法が知られている。
渦流探傷法は、センサコイルから被検査材に交流磁界を作用させた場合に、被検査材に誘起される渦電流を遮るような欠陥が存在すると、渦電流の経路が妨げられて、センサコイルのインピーダンスが変化することを利用する探傷方法である。
また、漏洩磁束探傷法(直流漏洩磁束探傷法)は、磁性体からなる被検査材に直流磁界を作用させて磁気飽和するまで磁化した場合に、被検査材に生ずる磁束の経路を妨げるような欠陥が存在すると、この欠陥が存在する部位で磁束が迂回して表面空間に漏洩するため、この漏洩磁束を感磁性センサで検出することで欠陥を検出する探傷方法である。
ここで、鋼管内面の検査は、オンラインで直流漏洩磁束探傷や超音波探傷を実施した後、欠陥が検出された箇所をオペレータが目視により再検査して手入れ要否判断や最終的な合否判定を行っている場合が多い。しかし、オンラインで欠陥が検出された箇所が鋼管の長手方向中央付近である場合、鋼管の端部から目視検査することが困難であり、欠陥の過検出や未検出の要因となっている。このため、オペレータが作業し易いように、オンライン装置と比較して軽量でハンドリングし易い装置を用いて、鋼管の外面側から内面を精度良く検査可能な方法の開発が望まれている。
上記鋼管の場合と同様に、鋼板についても、一方の面側から反対側の面を簡易に且つ精度良く検査可能な方法が必要とされる場合がある。
一般的な渦流探傷法では、表皮効果によって渦電流の浸透深さがセンサコイルを配置する側の面から一定の距離に制限される。このため、被検査材の一方の面(例えば、鋼管の外面)側にセンサコイルを配置して、被検査材の他方の面(例えば、鋼管の内面)を検査することは一般的に困難である。
また、直流漏洩磁束探傷法では、図1(a)に示すように、電磁石等の直流磁化手段1やホール素子等の感磁性センサ2を被検査材Sの一方の面S1側に配置し、他方の面S2を検査する際、他方の面S2に存在する欠陥Dを迂回する磁束Bが一方の面S1から漏洩する程度まで被検査材S全体を磁気飽和させる必要がある。このため、直流磁化手段1やこれをハンドリングするための装置が大型化し、簡易に検査することができない。
上記のような一般的な渦流探傷法や直流漏洩磁束探傷法の問題点を解決するため、一般的な渦流探傷法と同様にセンサコイルによって被検査材に交流磁界を付与すると共に、直流磁化手段で被検査材を磁化して、センサコイルのインピーダンス変化に基づき欠陥を検出する磁気飽和渦流探傷法(SLOFEC)と称される方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図1(b)に示すように、磁気飽和渦流探傷法は、被検査材Sに欠陥が存在しない場合に、直流磁化手段1によって被検査材S内に相応に磁束Bが分布するように磁化し、センサコイル3を配置する面S1側の被検査材Sの透磁率を、センサコイル3のインピーダンスで検出する方法である。図1(c)に示すように、センサコイル3を配置する面S1と反対側の面S2に欠陥Dが存在すると、磁束Bの経路が妨げられて面S1側に迂回するため、被検査材Sにおける面S1側の磁束密度が大きくなる。これにより、被検査材Sの面S1側の透磁率が低下し、被検査材Sの面S1と磁気回路を形成しているセンサコイル3のインピーダンスが変化する。これにより欠陥Dが検出される。
磁気飽和渦流探傷法は、直流磁化手段1で被検査材Sを磁化し、センサコイル3を配置する面S1と反対側の面S2に存在する欠陥Dによる面S1側の透磁率の低下を検出するものであるため、一般的な渦流探傷法のように表皮効果の影響によって面S2に存在する欠陥Dを検出できないという事態は生じない。
また、磁気飽和渦流探傷法で用いる直流磁化手段1の目的は、欠陥Dの存在しない部位と欠陥Dの存在する部位との間でセンサコイル3を配置する面S1側の透磁率の違いを生じさせてセンサコイルのインピーダンスを変化させることであり、直流漏洩磁束探傷法の場合と異なり、面S1から磁束Bを漏洩させるほどの強磁界を必要としない。このため、直流磁化手段1やこれをハンドリングするための装置を小型・軽量化することが可能であり、簡易に検査可能である。
さらに、直流漏洩磁束探傷法の探傷限界を超える厚みを有する被検査材S(被検査材Sの厚みが大きいため、漏洩磁束が生じるように被検査材S全体を磁気飽和させることができない)であっても、欠陥Dによる透磁率の変化が生じる限りにおいて、検出できる可能性がある。
以上のように、従来提案されている磁気飽和渦流探傷法によれば、従来の一般的な渦流探傷法や直流漏洩磁束探傷法に比べて、簡易に且つ精度良く、センサコイル3を配置する面S1と反対側の面S2に存在する欠陥Dを検出可能であることが期待できる。
しかしながら、図1(b)、(c)に示すように、直流磁化手段1及びセンサコイル3を単純に被検査材Sの検査対象面S2と反対側の面S1に配置しただけでは、検査対象面S2に存在する欠陥Dを精度良く検出できない場合がある。
特開2010−127854号公報
本発明は、以上に説明した従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、被検査材の検査対象面に存在する欠陥を、検査対象面と反対側の面に対向するようにセンサコイルを配置して簡易に且つ精度良く検出することが可能な渦流探傷方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、図1(b)、(c)に示すような直流磁化手段1及びセンサコイル3の配置では、欠陥Dが存在しない場合であっても、被検査材Sにおける検査対象面S2と反対側の面(センサコイル3の配置側の面)S1側の磁束密度が、検査対象面S2側の磁束密度よりも大きくなっていることが、欠陥Dを精度良く検出できない場合の原因であることを見出した。
より具体的に説明すれば、磁気飽和渦流探傷法は、前述のように、センサコイル3を配置する面S1と反対側の面S2に存在する欠陥Dによる面S1側の透磁率の低下を検出することで、欠陥Dを検出する方法である。したがい、欠陥Dを精度良く検出するには(欠陥Dの検出能を高めるには)、欠陥Dによって面S1側の透磁率が大きく低下する状態に被検査材Sが磁化されていることが有効である。換言すれば、被検査材Sにおける面S1側は、磁束Bが欠陥Dを迂回して面S1側の磁束密度が大きくなることで透磁率が大きく低下する状態(磁気飽和近傍領域の手前の状態)に磁化されていることが有効である。一方、被検査材Sにおける面S2側については、欠陥Dを迂回する磁束Bが多いほど面S1側の透磁率が大きく低下することから、磁気飽和近傍領域まで磁化されていることが有効である。
しかしながら、前述のように、図1(b)、(c)に示すような直流磁化手段1及びセンサコイル3の配置では、欠陥Dが存在しない場合に、検査対象面S2と反対側の面S1側の磁束密度(図1(b)に示す領域A1の磁束密度)が、検査対象面S2側の磁束密度(図1(b)に示す領域A2の磁束密度)よりも大きい。このため、面S1側では透磁率が大きく低下する状態(磁気飽和近傍領域の手前の状態)の磁束密度となるように磁化力(磁界強度)を設定した場合、検査対象面S2側では磁気飽和近傍領域の手前の状態よりも更に小さい磁束密度となり、前段落で説明した面S2側の有効な磁化状態、すなわち磁気飽和近傍領域に達しないのは明らかである。このため、欠陥Dを迂回する磁束Bが少なくなって、欠陥Dの検出感度が低下する。一方、検査対象面S2側の磁束密度が磁気飽和近傍領域になるように磁化力(磁界強度)を設定すると、これよりも大きい面S1側の磁束密度が先に磁気飽和に至るため、透磁率の変化が小さくなって、欠陥Dの検出感度が低下する。したがい、いずれにしても、欠陥Dを精度良く検出できない場合が生じてしまう。
本発明者らは、上記の原因から考えて、磁気飽和渦流探傷法によって欠陥Dを精度良く検出するには、欠陥Dが存在しない場合に、被検査材Sにおける検査対象面S2と反対側の面S1側の磁束密度が、検査対象面S2側の磁束密度よりも小さくなっていることが有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、被検査材が管材であり、該管材の検査対象面である内面と反対側の面である外面に対向するようにセンサコイルを配置すると共に、前記管材の外面に対向するように、前記管材の内面に沿った磁界を形成する電磁石又は永久磁石である直流磁化手段であって、各磁極端面の中心を結ぶ直線が、前記管材の内面又は前記管材の内面より内側を通る前記直流磁化手段を配置、前記センサコイルに交流電流を通電すると共に、前記材における面側の磁束密度が飽和磁束密度未満で且つ前記材における面側の磁束密度よりも小さくなるように、前記直流磁化手段によって前記材を磁化し、前記センサコイルのインピーダンス変化に基づき、前記管材の内面に存在する欠陥を検出することを特徴とする渦流探傷方法を提供する。
本発明によれば、被検査材(管材)における検査対象面(内面)と反対側の面(外面、センサコイルの配置側の面)側の磁束密度が飽和磁束密度未満で且つ被検査材における検査対象面側の磁束密度よりも小さくなるように直流磁化手段が配置され、被検査材が磁化される。このため、検査対象面と反対側の面側については、磁束密度が大きくなることで透磁率が大きく低下する状態(磁気飽和近傍領域の手前の状態)に磁化し、検査対象面側については、磁気飽和近傍領域まで磁化することが可能であり、欠陥の検出感度を高めて精度良く欠陥を検出することが可能である。
なお、本発明において、「検査対象面(管材における内面)側の磁束密度」とは、被検査材の磁化される領域における検査対象面寄りの領域の磁束密度を意味し、例えば、検査対象面から検査対象面と反対側の面との中間点までの領域の磁束密度を意味する。また、「検査対象面と反対側の面(管材における外面)側の磁束密度」とは、被検査材の磁化される領域における検査対象面と反対側の面寄りの領域の磁束密度を意味し、例えば、検査対象面と反対側の面から該反対側の面と検査対象面との中間点までの領域の磁束密度を意味する。
本発明における被検査材が鋼管や鋼板である場合に、その材料の磁化曲線(B−Hカーブ)から考えて、磁気飽和近傍領域まで磁化されている状態(欠陥を迂回する磁束が多くなる状態)は、例えば、飽和磁束密度の80%以上100%以下の磁束密度が得られるまで磁化されている状態であると考えることができる。また、磁気飽和近傍領域の手前の状態に磁化されている状態(磁束密度が大きくなることで透磁率が大きく低下する状態)は、例えば、飽和磁束密度の60%以上80%未満の磁束密度が得られるまで磁化されている状態であると考えることができる。
したがって、前記直流磁化手段は、前記材における面側の磁束密度が飽和磁束密度の60%以上80%未満となり、前記材における面側の磁束密度が飽和磁束密度の80%以上100%以下となるように、前記材を磁化することが好ましい。
なお、管材における面側の磁束密度が飽和磁束密度の60%以上80%未満となり、面側の磁束密度が飽和磁束密度の80%以上100%以下となるか否かは、例えば、材の形状・寸法・材質や、直流磁化手段(電磁石など)の形状・寸法・材質・配置・通電する電流値等をパラメータとした数値解析(有限要素解析など)を実施することによって評価可能であり、この評価結果を実際に探傷を行う際に用いる直流磁化手段の条件に反映させれば良い。
本発明では、前記被検査材が管材であり、前記検査対象面が管材の内面であり、前記直流磁化手段は、前記管材の外面に対向するように配置され、前記管材の内面に沿った磁界を形成する電磁石又は永久磁石であり、前記直流磁化手段の各磁極端面の中心を結ぶ直線が、前記管材の内面又は前記管材の内面より内側を通る
直流磁化手段によって形成される磁界のうち、直流磁化手段の各磁極端面の中心を結ぶ直線上の磁界強度が最も大きいと考えられる。
本発明によれば、直流磁化手段の各磁極端面の中心を結ぶ直線(この直線上の磁界強度が最も大きくなると考えられる)が、管材の内面又は管材の内面より内側(管材の中心側)を通るため、センサコイルを配置する管材の外面側の磁束密度を内面側の磁束密度よりも小さくすることが可能である。また、直流磁化手段及びセンサコイルの双方が管材の外面側に位置するため、ハンドリングし易く、検査が極めて簡易になるという利点も有する。
本発明によれば、被検査材の検査対象面に存在する欠陥を、検査対象面と反対側の面に対向するようにセンサコイルを配置して簡易に且つ精度良く検出することが可能である。
図1は、直流漏洩磁束探傷法と磁気飽和渦流探傷法との違いを説明するための模式図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。 図3は、0.25%炭素鋼の磁化曲線及び本実施形態に係る磁気探傷方法における被検査材の磁化状態の一例を示す図である。 図4は、0.25%炭素鋼の磁化曲線及び従来の磁気探傷方法における被検査材の磁化状態の一例を示す図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。 図6は、本発明の第3実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。 図7は、本発明の第4実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態に係る磁気探傷方法(渦流探傷方法)について説明する。

<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。
本実施形態に係る磁気探傷方法は、被検査材Sが板材である。
本実施形態に係る磁気探傷方法では、板材Sの検査対象面S2と反対側の面S1に対向するようにセンサコイル3を配置する。センサコイル3としては、一般的な過流探傷法で用いるものと同様の構成のセンサコイルを用いることが可能である。また、検査対象面S1に対向するように直流磁化手段(本実施形態では電磁石)1を配置する。電磁石1は、検査対象面S2に沿った磁界を形成可能である。そして、センサコイル3に交流電流を通電すると共に、電磁石1のコイルに直流電流を通電する。これにより、欠陥Dが存在しない場合に、板材Sにおける反対側の面S1側の磁束密度(図2に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度未満で且つ板材Sにおける検査対象面S2側の磁束密度(図2に示す領域A2の磁束密度)よりも小さくすることが可能である。そして、センサコイル3のインピーダンス変化に基づき、検査対象面S2に存在する欠陥Dを検出することができる。センサコイル3のインピーダンス変化の検出方法についても、一般的な過流探傷法で用いるものと同様の方法を用いることが可能である。
本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、電磁石1のコイルに通電する直流電流の電流値を調整することで、検査対象面S2と反対側の面S1側(図2に示す領域A1)については、磁束が欠陥Dを迂回して磁束密度が大きくなることで透磁率が大きく低下する状態(磁気飽和近傍領域の手前の状態)に磁化することができる。一方、検査対象面S2側(図2に示す領域A2)については、磁気飽和近傍領域まで磁化することが可能である。このため、欠陥Dの検出感度を高めて精度良く欠陥Dを検出することが可能である。
図3は、0.25%炭素鋼の磁化曲線及び本実施形態に係る磁気探傷方法における板材Sの磁化状態の一例を示す図である。
本実施形態の板材Sが鋼材である場合、図3に示すような磁化曲線(B−Hカーブ)から考えて、磁気飽和近傍領域まで磁化されている状態(欠陥Dを迂回する磁束が多くなる状態)は、例えば、飽和磁束密度Bmax(例えば、磁界強度が10000[A/m]のときに得られる磁束密度)の80%以上100%以下の磁束密度が得られるまで磁化されている状態であると考えることができる。したがって、板材Sにおける検査対象面S2側の磁束密度(図2に示す領域A2の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの80%以上100%以下の磁束密度となるように磁化することが好ましい。
また、磁気飽和近傍領域の手前の状態に磁化されている状態(磁束密度が大きくなることで透磁率が大きく低下する状態)は、例えば、飽和磁束密度Bmaxの60%以上80%未満の磁束密度が得られるまで磁化されている状態であると考えることができる。したがって、板材Sにおける反対の面S1側の磁束密度(図2に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの60%以上80%未満の磁束密度となるように磁化することが好ましい。
図4は、0.25%炭素鋼の磁化曲線及び従来の磁気探傷方法(図1(b)、(c)参照)における板材Sの磁化状態の一例を示す図である。
図1(b)、(c)を参照して説明した従来の磁気探傷方法では、欠陥Dが存在しない場合に、検査対象面S2と反対側の面S1側の磁束密度(図1(b)に示す領域A1の磁束密度)が、検査対象面S2側の磁束密度(図1(b)に示す領域A2の磁束密度)よりも大きい。このため、図4に示すように、面S1側(図1(b)に示す領域A1)では透磁率が大きく低下する状態(磁気飽和近傍領域の手前の状態)の磁束密度(例えば、飽和磁束密度Bmaxの60%以上80%未満の磁束密度)となるように磁化力(磁界強度)を設定した場合、検査対象面S2側(図1(b)に示す領域A2)では磁気飽和近傍領域の手前の状態よりも更に小さい磁束密度となり、前段落で説明した面S2側の有効な磁化状態、すなわち磁気飽和近傍領域(例えば、飽和磁束密度Bmaxの80%以上100%以下の磁束密度)に達しないのは明らかである。このため、欠陥Dを迂回する磁束Bが少なくなって、欠陥Dの検出感度が低下する。一方、検査対象面S2側の磁束密度が磁気飽和近傍領域になるように磁化力(磁界強度)を設定すると、これよりも大きい面S1側の磁束密度が先に磁気飽和に至るため、透磁率の変化が小さくなって、欠陥Dの検出感度が低下する。したがい、いずれにしても、欠陥Dを精度良く検出できない場合が生じてしまう。
本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、従来の磁気探傷方法と異なり、図3に示すような板材Sの磁化状態を実現可能であるため、欠陥Dの検出感度を高めて精度良く欠陥Dを検出することが可能である。また、直流漏洩磁束探傷法の場合と異なり、面S1から磁束を漏洩させるほどの強磁界を必要としないため、電磁石1やこれをハンドリングするための装置を小型・軽量化することが可能であり、簡易に検査可能である。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。
本実施形態に係る磁気探傷方法は、被検査材Sが管材である点が第1実施形態と異なる。
本実施形態に係る磁気探傷方法でも、第1実施形態と同様に、管材Sの検査対象面である内面S2と反対側の面である外面S1に対向するようにセンサコイル3を配置する。また、内面S2に対向するように電磁石1を配置する。電磁石1は、内面S2に沿った磁界を形成可能である。そして、センサコイル3に交流電流を通電すると共に、電磁石1のコイルに直流電流を通電する。これにより、欠陥Dが存在しない場合に、管材Sにおける外面S1側の磁束密度(図5に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度未満で且つ管材Sにおける内面S2側の磁束密度(図5に示す領域A2の磁束密度)よりも小さくすることが可能である。そして、センサコイル3のインピーダンス変化に基づき、内面S2に存在する欠陥Dを検出することができる。
管材Sにおける内面S2側の磁束密度(図5に示す領域A2の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの80%以上100%以下の磁束密度となるように磁化し、管材Sにおける外面S1側の磁束密度(図5に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの60%以上80%未満の磁束密度となるように磁化することが好ましい点は、第1実施形態と同様である。
本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、管材Sの内面S2に存在する欠陥Dを簡易に且つ精度良く検出することが可能である。
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。
本実施形態に係る磁気探傷方法は、直流磁化手段1が電流貫通棒である点が第2実施形態と異なる。
本実施形態に係る磁気探傷方法でも、第2実施形態と同様に、管材Sの検査対象面である内面S2と反対側の面である外面S1に対向するようにセンサコイル3を配置する。また、電流貫通棒1を管材Sの軸方向に挿通する。電流貫通棒1は、その周囲に(すなわち、管材Sの内面S2に沿った)磁界を形成可能である。そして、センサコイル3に交流電流を通電すると共に、電流貫通棒1に直流電流を通電する。これにより、欠陥Dが存在しない場合に、管材Sにおける外面S1側の磁束密度(図6に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度未満で且つ管材Sにおける内面S2側の磁束密度(図6に示す領域A2の磁束密度)よりも小さくすることが可能である。そして、センサコイル3のインピーダンス変化に基づき、内面S2に存在する欠陥Dを検出することができる。
管材Sにおける内面S2側の磁束密度(図6に示す領域A2の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの80%以上100%以下の磁束密度となるように磁化し、管材Sにおける外面S1側の磁束密度(図6に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの60%以上80%未満の磁束密度となるように磁化することが好ましい点は、第2実施形態と同様である。
本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、管材Sの内面S2に存在する欠陥Dを簡易に且つ精度良く検出することが可能である。特に、本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、管材Sの内面全体を検査するに際しては、電流貫通棒1は動かさずに、センサコイル3だけを管材Sの外面S1に沿って動かせばよいので、ハンドリングし易く、検査が極めて簡易になるという利点も有する。
<第4実施形態>
図7は、本発明の第4実施形態に係る磁気探傷方法を実行するための装置構成を模式的に示す図である。
本実施形態に係る磁気探傷方法は、電磁石1が管材Sの外面S1に対向するように配置されると共に、電磁石1の形状が異なる点が第2実施形態と異なる。
本実施形態に係る磁気探傷方法でも、第2実施形態と同様に、管材Sの検査対象面である内面S2と反対側の面である外面S1に対向するようにセンサコイル3を配置する。電磁石1は、前述のように外面S1に対向するように配置され、内面S2に沿った磁界を形成可能である。本実施形態の電磁石1は、第2実施形態と異なり、管材Sの外面S1に対向する各磁極端面1a、1bの中心を結ぶ直線L(この直線L上の磁界強度が最も大きくなると考えられる)が、管材Sの内面S2又は管材Sの内面S2より内側を通る(図7に示す例では内面S2より内側を通っている)形状とされている。そして、センサコイル3に交流電流を通電すると共に、電磁石1のコイルに直流電流を通電する。これにより、欠陥Dが存在しない場合に、管材Sにおける外面S1側の磁束密度(図7に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度未満で且つ管材Sにおける内面S2側の磁束密度(図7に示す領域A2の磁束密度)よりも小さくすることが可能である。そして、センサコイル3のインピーダンス変化に基づき、内面S2に存在する欠陥Dを検出することができる。
管材Sにおける内面S2側の磁束密度(図7に示す領域A2の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの80%以上100%以下の磁束密度となるように磁化し、管材Sにおける外面S1側の磁束密度(図7に示す領域A1の磁束密度)が飽和磁束密度Bmaxの60%以上80%未満の磁束密度となるように磁化することが好ましい点は、第2実施形態と同様である。
本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、管材Sの内面S2に存在する欠陥Dを簡易に且つ精度良く検出することが可能である。特に、本実施形態に係る磁気探傷方法によれば、電磁石1及びセンサコイル3の双方が管材Sの外面S1側に位置するため、ハンドリングし易く、検査が極めて簡易になるという利点も有する。
なお、第1、第2、第4実施形態では、直流磁化手段1として電磁石を用いており、被検査材Sに作用させる磁界強度を変更し易い点で好ましいものの、本発明はこれに限るものではなく、直流磁化手段1として永久磁石を用いることも可能である。
1・・・直流磁化手段
2・・・感磁性センサ
3・・・センサコイル
S1・・・検査対象面と反対側の面
S2・・・検査対象面
A1・・・検査対象面と反対側の面側
A2・・・検査対象面側
D・・・欠陥

Claims (2)

  1. 被検査材が管材であり、該管材の検査対象面である内面と反対側の面である外面に対向するようにセンサコイルを配置すると共に、前記管材の外面に対向するように、前記管材の内面に沿った磁界を形成する電磁石又は永久磁石である直流磁化手段であって、各磁極端面の中心を結ぶ直線が、前記管材の内面又は前記管材の内面より内側を通る前記直流磁化手段を配置
    前記センサコイルに交流電流を通電すると共に、前記材における面側の磁束密度が飽和磁束密度未満で且つ前記材における面側の磁束密度よりも小さくなるように、前記直流磁化手段によって前記材を磁化し、
    前記センサコイルのインピーダンス変化に基づき、前記管材の内面に存在する欠陥を検出することを特徴とする渦流探傷方法。
  2. 前記直流磁化手段は、前記材における面側の磁束密度が飽和磁束密度の60%以上80%未満となり、前記材における面側の磁束密度が飽和磁束密度の80%以100%以下となるように、前記材を磁化することを特徴とする請求項1に記載の渦流探傷方法。
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