JPH09274018A - 磁性金属体の探傷方法および装置 - Google Patents

磁性金属体の探傷方法および装置

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JPH09274018A
JPH09274018A JP8083506A JP8350696A JPH09274018A JP H09274018 A JPH09274018 A JP H09274018A JP 8083506 A JP8083506 A JP 8083506A JP 8350696 A JP8350696 A JP 8350696A JP H09274018 A JPH09274018 A JP H09274018A
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Junichi Yotsutsuji
淳一 四辻
Hiroharu Katou
宏晴 加藤
Akio Nagamune
章生 長棟
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 渦流探傷信号と漏洩磁束探傷信号の演算を行
うことにより、微小欠陥の検出ができるようにする。 【解決手段】 E型センサ12の中心のコイル12eに
より漏洩磁束信号と渦流信号が検出される。コイル12
eの出力を位相検波装置15およびバンドパスフィルタ
16に通すことで、渦流探傷信号を得ることができる。
また、コイル12eの出力を、適当なバンドパスフィル
タ17に通すことで、漏洩磁束探傷信号を得ることがで
きる。バンドパスフィルタ16、17の出力は、乗算器
18で乗算される。判定回路19は、乗算器18の出力
の大きさに応じて欠陥の有無と程度を判定する。乗算に
より、欠陥信号成分がノイズ成分に比して相対的に強め
られるので、微小な欠陥でもS/N比良く検出が可能で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性金属の内面あ
るいは表面に存在する介在物等の微小な欠陥を検出する
方法および装置、特に、漏洩磁束探傷法と渦流探傷法を
併用した磁性金属体の探傷方法および装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】金属材料などでは、内部、表面に欠陥が
あると強度などその品質に問題が生じる可能性があるた
め、品質管理上あるいは品質保証上、X線透過法、超音
波探傷法など様々な非破壊的な検査が行われている。た
とえば、鋼管溶接部の割れなどの検出には、X線透過
法、超音波探傷法が用いられている。一方、表面近傍の
欠陥の検出や薄い帯状材料の表面及び内部欠陥の検出に
関しては、特にオンラインでは、電磁気的な方法、すな
わち漏洩磁束探傷法や渦流探傷法がよく用いられる。
【0003】製缶材料用の極薄鋼板では、介在物などの
欠陥があると、製缶時にフランジクラックが発生するな
どの問題が生じる可能性がある。このような欠陥を検出
する方法として、漏洩磁束法などを用いたオンライン高
速欠陥検出器が開発されてきた。たとえば、特開平3ー
175352号公報には、図4に示すように、鋼板21
を挟んで、一方の側に鋼板を磁化するための磁化器22
を、他方の側に欠陥により生じる漏洩磁束を検出する磁
気センサアレイ23を幅方向に配し、それぞれを非磁性
ロール24、25の中に入れて探傷する方法が提案され
ている。このような方法によれば、センサ23と被検査
体である鋼板21の距離を小さく安定に保つことがで
き、鋼板21中の微小な欠陥が、感度良く高速に検出で
きる。
【0004】また、特開平5ー164745号公報に
は、鋼板などの表面に存在する孔食などを差分型プロー
ブを用いた渦流法により探傷する方法が提案されてい
る。これは、図5に示すようなE型のコアを用い、真中
の磁極32bに巻いたコイル32eを励磁用に、両端の
磁極32a,32cに巻いたコイル32d,32fを検
出用に使用し、コイル32dと32fの出力の差分信号
を処理することにより欠陥を検出するものである。差分
信号を処理することにより欠陥による渦流信号の微小な
変化を感度良く検出することができるので、欠陥が小さ
い場合、板が厚い場合等においても、欠陥を精度良く検
出することができる。
【0005】また、特開平5ー164745号公報に
は、一つのセンサで渦流信号に加え漏洩磁束信号を検出
する方法についても述べられている。それは、検出コイ
ルによって得られた信号から、適当なローパスフィルタ
を用いることで漏洩磁束信号を得るというものである。
その方法を使うと、渦流探傷法、あるいは漏洩磁束探傷
法のうち少なくともどちらかで一方で欠陥が検出できる
場合には、その検出できる方の信号から欠陥の有無など
を判断すればよいので、渦流探傷法、漏洩磁束探傷法の
どちらか一方だけで検出する場合よりも検出能は高くな
ることが期待できる。
【0006】更に、渦流探傷法と漏洩磁束探傷法の両者
を使って検出能を上げるという方法としては、鋼管、ス
ラブなどの磁性体表面の欠陥を検出する方法として、特
開昭63ー235854号公報に、複合磁場を用いた方
法が提案されている。これは、漏洩磁束探傷法は割れ状
欠陥に強く、また渦流探傷法はピット状欠陥に強いこと
を利用して、この2つの方法により同時に探傷できるよ
うに計測器を工夫することで、2つのタイプの欠陥を検
出できるようにしたものである。
【0007】即ち、図6に示されるように、隣接するコ
イル41とコイル42が同方向に励磁され、隣接するコ
イル42とコイル43は逆方向に励磁される。そして、
コイル41とコイル42からなる第1のコイル対により
被検査対象46の表面に平行な磁場47aが発生し、欠
陥により発生する磁場47aの漏洩磁束信号が磁気セン
サ44により検出される。一方、コイル42とコイル4
3からなる第2のコイル対より被検査対象46の表面に
垂直な磁場47bが発生し、この磁場47bにより発生
する渦電流が欠陥により妨げられることに起因する磁束
の変化が磁気センサ45により検出されるのである。こ
れも、特開平5ー164745号公報に記載されている
方法同様、少なくともどちらか一つで欠陥が検出できる
場合には、その検出できる方法の信号から欠陥の有無を
判断すればよいので、どれか一つだけの方法で検出する
場合よりも検出能は高くなることが期待できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記いずれの方法にお
いても、検出すべき欠陥が小さい場合や厚い金属帯の内
部欠陥を検出する場合には、欠陥信号が弱くなり、相対
的にS/N比が劣化して欠陥が検出しにくくなる。ノイ
ズとしては特に、被検査体に起因する地合ノイズが問題
になることが多い。地合ノイズは漏洩磁束探傷法や渦流
探傷法それぞれの測定条件を最適化することで小さくす
ることはできるが、信号が小さくなってくるにつれて地
合ノイズと信号は区別しにくくなり、欠陥の検出が困難
になってくる。また、漏洩磁束探傷法と渦流探傷法を併
用し、それぞれの検出しやすい欠陥を検出することでシ
ステム全体として検出能を上げる方法でも、両方の探傷
法において共にS/N比が悪くなるため十分な検出能が
得られない。
【0009】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたもので、渦流探傷法単独や漏洩磁束探傷法単
独、あるいは、それらの単なる併用だけでは十分に検出
できなかった微小欠陥の検出ができるようにすることを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題は、(1) 被検査
磁性金属体の検査部を磁化すると共に検査部に渦電流を
発生させる工程、(2) 磁性金属体の欠陥から発生する漏
洩磁束を磁気センサにより検出して漏洩磁束探傷信号を
得る工程、(3) 渦電流が磁性金属体の欠陥により乱れる
ことにより生ずる磁場を磁気センサで検出して渦流検出
信号を得て、これを位相検波して渦流探傷信号を得る工
程、(4) 少なくとも一つの測定条件における漏洩磁束探
傷信号と少なくとも一つの測定条件における渦流探傷信
号の、実質的に同一の検査部位から得られた信号波形同
士に対し、当該複数の信号波形中に共通して存在する欠
陥信号をノイズ信号に対して相対的に強調するような演
算を含む信号処理を行って得られる複合探傷信号を用い
て磁性金属体の欠陥を検出する工程、を備えたことを特
徴とする磁性金属体の探傷方法により解決される。
【0011】また、この方法は、(1) 被検査磁性金属体
を磁化する磁化装置、(2) E型形状の強磁性体で作られ
E型を成す3個の磁極の列が磁性金属体との相対的運動
方向に沿うように配置されたE型コア、およびE型コア
の3個の磁極にそれぞれ巻いた3個のコイルとを有して
なるE型磁気センサ、(3) 前記E型コアの3個のコイル
の内の両端のコイルに交流の励磁信号を印加するための
少なくとも一つの励磁信号発生装置、(4) 前記E型コア
の中央のコイルから検出信号を取り出し、この検出信号
から励磁信号と同じ周波数成分を除去して漏洩磁束探傷
信号を得るための漏洩磁束探傷信号用フィルタ、(5) 前
記E型コアの中央のコイルからの検出信号を位相検波し
て渦流探傷信号を得るための少なくとも一つの位相検波
器、(6) 実質的に同一の検査部位から得られた前記漏洩
磁束探傷信号と前記渦流探傷信号の波形中に共通して存
在する欠陥信号をノイズ信号に対して相対的に強調する
ような演算を含む信号処理を行って総合探傷信号を得る
ための総合探傷信号演算器、(7) 総合探傷信号演算器の
出力に基づいて磁性金属体の欠陥の有無または欠陥の等
級を判断するための判定回路、とを有してなる磁性金属
体探傷装置により実施することができる。
【0012】複数の信号波形中に共通して存在する欠陥
信号をノイズ信号に対して相対的に強調するような演算
を行って得られる複合探傷信号を用いて磁性金属体の欠
陥を検出するので、S/N比が改善され、微小な欠陥を
感度良く検出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】渦流検出信号としては、位相検波
における位相、励磁信号の周波数、探傷面(被検査磁性
金属帯の表裏面)の3つの測定条件のうち少なくとも1
条件が異なる複数の渦流探傷信号を組み合わせて用いる
ことができる。測定条件の異なる信号を使用して、その
出力を演算することにより、信号成分をノイズ成分に対
して相対的に強調することが可能になる。
【0014】演算が行われる漏洩磁束探傷信号の周波数
帯域と渦流探傷信号の周波数帯域をほぼ一致させるよう
にすれば、両信号の欠陥部での形が似たものとなり、欠
陥信号が強調されやすく、S/N比を改善しやすくな
る。
【0015】一つの磁気センサで漏洩磁束探傷信号と渦
流検出信号の一組を得るようにすれば、構成が簡単にな
ると共に、同一の部位から漏洩磁束探傷信号と渦流検出
信号を同時に得ることができ、信号処理が簡単になる。
【0016】本発明で「実質的に同一の場所」というの
は、2次元的(被検査磁性金属板の平面)な意味で同一
の場所をいい、漏洩磁束探傷を金属体のある面から行
い、渦流探傷をそれと反対の面から行う場合をも含むも
のである。このような探傷方法を採用することにより、
表面性状等に起因するノイズが表裏面で相殺されるの
で、S/N比を向上させることができる。
【0017】「複数の信号波形中に共通して存在する欠
陥信号をノイズ信号に対して相対的に強調するような演
算」として、少なくとも一つの漏洩磁束探傷信号M(x)
と少なくとも一つの渦流探傷信号E(x) (xは被検査磁
性金属板上の位置)との間で A(x) =M(x) *E(x) ……(1) なる演算を行わせる。ここで、*は、例えば乗算、自乗
和、M(x) とE(x) それぞれの絶対値の和、M(x) とE
(x) それぞれの絶対値の小さい方の値等を示す演算子で
ある。
【0018】欠陥による信号の変化は、渦流探傷法と漏
洩磁束探傷法で同じ位置にでることが期待されるが、ノ
イズについては両者が異なる現象を利用していること、
厚み方向のノイズ源の位置に関して両者の感度が異なる
ことなどから、両者におけるノイズは異なった波形とな
る。よって、乗算、自乗和、M(x) とE(x) それぞれの
絶対値の和の演算を行うことにより、信号成分は強調さ
れ、ノイズ成分は相殺されて、S/N比が向上する。ま
た、M(x) とE(x) のそれぞれの絶対値のうち小さい方
を取る演算では、欠陥部では渦流信号、漏洩信号とも大
きな値をとるため、小さい方を取るという演算の結果も
さほど小さくならないのに対し、ノイズ部はどちらか一
方が小さくなること場合があり、小さい方を取ること
で、演算結果はかなり小さくなる可能性がある。そのた
め、相対的には欠陥部がノイズ部に比べて強調される。
【0019】演算の方式については、渦流探傷法、漏洩
磁束探傷法の両者で似通った欠陥信号が強められ、一方
両者で必ずしも同じ位置、あるいは同じ波形として現れ
ないノイズが相対的に弱められる演算であればよい。演
算の方式については、ノイズや欠陥信号の性質に応じ
て、また、装置化する上での制約などに応じて、適宜選
択することが可能である。
【0020】また、前記説明においては、1種類の渦流
探傷信号と1種類の漏洩磁束探傷信号間の演算を例に取
り説明したが、1種類に限る必要はない。多くの、測定
条件の異なる信号を使用することで、信号は強調され、
ノイズは相対的に強調の程度が少なくなるという効果
が、増すことが期待できる。渦流法の場合には、測定条
件として、励磁周波数、位相検波の際の位相、薄い金属
帯の場合どちらの面から探傷するかなどがあり、測定条
件を変えることで信号とノイズの出方を変化させること
が可能である。漏洩磁束探傷法に関しても同様で、リフ
トオフ、どちらの面から探傷するかなど、測定条件を変
えたデータを使うことができる。たとえば、M1(x) 、
M2(x) を異なる条件でとった漏洩磁束探傷信号データ
とし、E1(x) 、E2(x) を異なる条件でとった渦流探
傷信号とすると、以下の(2)式に示すB(x) を、欠陥
の有無の判定に使用できる。 B(x) =abs[M1(x) ×E1(x) ×E2(x)]+abs[M2(x)] …… (2) ここで、abs[x]はx の絶対値をとる関数である。
【0021】また、ここでは渦流探傷信号、漏洩磁束探
傷信号のある一種類の演算結果を欠陥の有無の判定に使
用する場合について述べているが、これは一つに限ら
ず、2つ以上を使うことも可能である。たとえば、上記
A(x) とB(x) それぞれの判定結果を組み合わせて最終
的な判定をくだすことも可能である。また、従来の渦流
探傷信号単体and/or漏洩磁束探傷信号単体での判定をも
加えることができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明す
る。図1は、本発明にかかる装置の1例を示す図であ
る。図1において、11は鋼板、12はE型コアを用い
たセンサ(E型センサ)、12a、12b、12cはE
型センサの足(磁極)、12d、12e、12fは各足
に巻かれたコイル、13は直流磁化装置、14は励磁信
号発生装置、15は位相検波装置、16、17はバンド
パスフィルタ、18は総合探傷信号演算器である乗算
器、19は判定回路である。
【0023】鋼板11を挟んで、一方の側にE型センサ
12を、もう一方の側に直流磁化装置13を配置する。
この直流磁化装置13により、鋼板11の被検査部位は
飽和域まで磁化される。鋼板11は、E型センサ12と
磁化器13の間を移動するが、その移動方向に沿ってセ
ンサコアの3本の足12a,12b,12cが並んでい
る。その3本のうち、E型センサの中心の足12bに巻
いてあるコイル12eは磁気検出部として使用されてお
り、そのコイルに鎖交する磁束の時間微分値が計測され
ることにより、漏洩磁束信号、および渦流信号が検出さ
れる。コアがE型であるという構造上の特徴から、その
コイルに鎖交する磁束は、一方の端部の足12aと真中
の足12bを含む磁気的なループを通る磁束と、もう一
方の端部の足12cと真中の足12bを含む磁気的なル
ープを通る磁束との差分となる。そのため、両ループに
共通のノイズ成分などはキャンセルされ、両ループで共
通でない欠陥信号成分が選択的に検出されることにな
る。
【0024】一方、両端の2本の足に巻かれたコイル1
2d,12fは、励磁信号発生装置14により励磁さ
れ、渦流励磁用として使用される。両者の励磁の位相差
は様々なものを選択可能であるが、ここでは、一方の足
から出た磁束がもう一方の足に戻るような位相差(位相
差180度)を用いて、両者の足12a,12cから出
る磁束が作り出す渦電流がちょうど真ん中の検出用のコ
イル12eの真下で強められるようにしている。コイル
12eの出力を位相検波装置15およびバンドパスフィ
ルタ16に通すことで、渦流探傷信号を得ることができ
る。また、コイル12eの出力を、適当なバンドパスフ
ィルタ17に通すことで、漏洩磁束探傷信号(微分値)
を得ることができる。
【0025】バンドパスフィルタ16、17の出力は、
乗算器18で掛算される。判定回路19は、掛算器18
の出力の大きさに応じて欠陥の有無と程度を判定する。
【0026】図2に、図1の装置によって得られる信号
の波形の例を示す。図2において、(a) は渦流探傷信号
E(x) 、(b) は漏洩磁束探傷信号M(x) 、(c) はE(x)
×M(x) の波形を示す。横軸は、鋼板上の位置xを示
す。
【0027】渦流探傷信号E(x) においては、欠陥部で
信号が大きくなっているだけでなく、検査体に起因する
地合ノイズが大きく出ているため、S/N比は1.5程度
である。漏洩磁束探傷信号M(x) も、渦流探傷信号と同
じ位置に欠陥信号が出ているが、検査体に起因する地合
ノイズがあるため、S/N比はやはり1.5程度である。
【0028】E(x) ×M(x) においては、欠陥信号は、
両信号で現れる位置がほぼ同じであるため、かけ算をす
ることで、演算後の信号は大きくなる。一方、地合ノイ
ズの出方は、渦流探傷信号、漏洩磁束探傷信号で異なる
ため、両者の信号が、必ずしも同じ位置で大きくなると
は限らず、かけ算をしたとしても、演算後の信号は、欠
陥信号部同士の場合に比べて大きくならない。つまり、
欠陥信号部は、地合ノイズ部に比べ強調されるので、S
/N比は3.5 に向上している。
【0029】この例では、渦流励磁用コイルを持ったE
型センサを、渦流探傷用、漏洩磁束探傷用兼用のセンサ
として用いたが、兼用する必要は必ずしもなく、これら
は別々に設けることが可能である。ただし、同じ検査部
位からの信号同士が演算に使用されるように、信号相互
の時間差を考慮する必要がある。
【0030】また、渦流探傷法と漏洩磁束探傷法で、実
質的に同じ位置からの信号同士の演算を行うわけである
が、この位置というのは探傷面から見た場合の2次元的
な位置であり、たとえば薄い金属帯の場合で、表裏どち
ら側からでも探傷できる場合には、2次元的な位置が対
応していれば、図3に示すようにそれぞれのセンサ12
g,12hの置かれる側が鋼板11に対して表裏逆であ
ってもかまわない。欠陥信号が表裏から多少なりとも検
出できる場合には、渦流法と漏洩磁束法両者の計測原理
の違いによるノイズの出方の差に加えて、深さ方向の探
傷範囲の差による効果も加味されるため、渦流、漏洩両
信号のノイズの性質の違いをさらに強調することも可能
である。
【0031】また、演算をする際には、渦流探傷信号、
漏洩磁束探傷信号それぞれにバンドパスフィルタをかけ
ることが、S/N比向上の観点から効果的である。どの
周波数帯域を選択するかは、渦流探傷信号、漏洩磁束探
傷信号それぞれに独立に選ぶことが可能であるが、両者
で実質的に同じバンドパスフィルタを選択することで、
信号がよく強調されることがある。それは、同じバンド
パスフィルタを選ぶことで、欠陥部での渦流探傷信号と
漏洩磁束探傷信号の形が似たものとなり、欠陥信号が強
調されやすくなるからである。
【0032】ここでE型センサを使用したのは、E型セ
ンサが欠陥検出能力が高いだけでなく、渦流探傷信号と
漏洩磁束探傷信号両者を一つのセンサで計測できるとい
うメリットがあるからである。渦流、漏洩磁束両方の信
号を必要とする本発明においては、システムの簡略化が
図れるわけである。また、検査体の実質的に同じ位置か
らの信号は時間的に同時に得られるため、時間的をずら
すことなく、検査体の同じ位置からの信号同士を使った
演算が容易である。
【0033】
【発明の効果】本発明においては、1種類以上の漏洩探
傷信号と1種類以上の渦流探傷信号の、実質的に同一の
検査部位から得られた信号波形同士を演算して得られる
複合探傷信号を用いて欠陥の有無や有害度を判定してい
るので、従来の方法ではS/N比が十分取れず検出しに
くい欠陥を、S/Nよく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置の1実施例を示す図である。
【図2】 渦流信号と漏洩磁束信号、及びその積信号の
波形の例をを示す図である。
【図3】 薄い磁性金属帯を、渦流法、漏洩磁束法別々
のセンサで、表裏反対側から探傷する場合のセンサ配置
例を示す図である。
【図4】 従来技術の例を示す図である。
【図5】 従来技術の例を示す図である。
【図6】 従来技術の例を示す図である。
【符号の説明】
11 鋼板 12 E型センサ 13 直流磁化装置 14 励磁信号発生装置 15 位相検波装置 16、17 バンドパスフィルタ 18 乗算器 19 判定回路

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) 磁性金属体の検査部を磁化すると共
    に検査部に渦電流を発生させる工程、(2) 磁性金属体の
    欠陥から発生する漏洩磁束を磁気センサにより検出して
    漏洩磁束探傷信号を得る工程、(3) 渦電流が磁性金属体
    の欠陥により乱れることにより生ずる磁場を磁気センサ
    により検出して渦流検出信号を得、これを位相検波して
    渦流探傷信号を得る工程、(4) 少なくとも一つの測定条
    件における漏洩磁束探傷信号と少なくとも一つの測定条
    件における渦流探傷信号の、実質的に同一の検査部位か
    ら得られた信号波形同士に対し、当該複数の信号波形中
    に共通して存在する欠陥信号をノイズ信号に対して相対
    的に強調するような演算を含む信号処理を行って得られ
    る複合探傷信号を用いて、磁性金属体の欠陥を検出する
    工程、を備えたことを特徴とする磁性金属体の探傷方
    法。
  2. 【請求項2】 渦流検出信号が、位相検波における位
    相、励磁信号の周波数、探傷面の3つの測定条件のうち
    少なくとも1条件が異なる複数の渦流探傷信号であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の磁性金属体の探傷方
    法。
  3. 【請求項3】 演算が行われる漏洩磁束探傷信号の周波
    数帯域と渦流探傷信号の周波数帯域をほぼ一致させるよ
    うにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の磁性金属体の探傷方法。
  4. 【請求項4】 一つの磁気センサで漏洩磁束探傷信号と
    渦流検出信号の一組を得ることを特徴とする請求項1な
    いし請求項3のいずれか1項に記載の磁性金属体の探傷
    方法。
  5. 【請求項5】 漏洩磁束探傷を金属体のある面から行
    い、渦流探傷をそれと反対の面から行うことを特徴とす
    る請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の磁性
    金属体の探傷方法。
  6. 【請求項6】 複数の信号波形中に共通して存在する信
    号を強調するような演算が、少なくとも一つの漏洩磁束
    探傷信号と少なくとも一つの渦流探傷信号との乗算を含
    むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいず
    れか1項に記載の磁性金属体の探傷方法。
  7. 【請求項7】 複数の信号波形中に共通して存在する欠
    陥信号をノイズ信号に対して相対的に強調するような演
    算が、少なくとも一つの漏洩磁束探傷信号の絶対値と少
    なくとも一つの渦流探傷信号の絶対値との加算を含むこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか
    1項に記載の磁性金属体の探傷方法。
  8. 【請求項8】 複数の信号波形中に共通して存在する欠
    陥信号をノイズ信号に対して相対的に強調するような演
    算が、少なくとも一つの漏洩磁束探傷信号の自乗値と少
    なくとも一つの渦流探傷信号の自乗値との加算を含むこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか
    1項に記載の磁性金属体の探傷方法。
  9. 【請求項9】 複数の信号波形中に共通して存在する欠
    陥信号をノイズ信号に対して相対的に強調するような演
    算が、少なくとも一つの漏洩磁束探傷信号の絶対値と少
    なくとも一つの渦流探傷信号の絶対値のうち最も小さい
    もの選択するものであることを特徴とする請求項1ない
    し請求項8のうちいずれか1項に記載の磁性金属体の探
    傷方法。
  10. 【請求項10】 (1) 被検査磁性金属体を磁化する磁化
    装置、(2) E型形状の強磁性体で作られE型を成す3個
    の磁極の列が磁性金属体との相対的運動方向に沿うよう
    に配置されたE型コア、およびE型コアの3個の磁極に
    それぞれ巻いた3個のコイルとを有してなるE型磁気セ
    ンサ、(3) 前記E型コアの3個のコイルの内の両端のコ
    イルに交流の励磁信号を印加するための少なくとも一つ
    の励磁信号発生装置、(4) 前記E型コアの中央のコイル
    から検出信号を取り出し、この検出信号から励磁信号と
    同じ周波数成分を除去して漏洩磁束探傷信号を得るため
    の漏洩磁束探傷信号用フィルタ、(5) 前記E型コアの中
    央のコイルからの検出信号を位相検波して渦流探傷信号
    を得るための少なくとも一つの位相検波器、(6) 実質的
    に同一の検査部位から得られた前記漏洩磁束探傷信号と
    前記渦流探傷信号の波形中に共通して存在する欠陥信号
    をノイズ信号に対して相対的に強調するような演算を含
    む信号処理を行って総合探傷信号を得るための総合探傷
    信号演算器、(7) 総合探傷信号演算器の出力に基づいて
    磁性金属体の欠陥の有無または欠陥の等級を判断するた
    めの判定回路、とを有してなる磁性金属体探傷装置。
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