JP2010052725A - ステアリングコラム装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アウターチューブを介してステアリングコラムチューブのロック状態を強固に支持できるステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】車体23に固定されるアッパクランプ7の側板12,13が、アウターチューブ4を挟むように配置され、車両前後方向の両端部の内面側に突設されるクランプ突出端12a,13aを有し、アウターチューブ4が、車両上下方向の両端部の外面側に突設されるチューブ突出端33a〜33dを有し、クランプ突出端12a,13aおよびチューブ突出端33a〜33dにより構成される当接部T1〜T4を介して、アッパクランプ7にアウターチューブ4を支持する。
【選択図】図2

Description

本発明は、運転者の体型及び好みに合わせて最も運転し易いようにステアリングホイールの位置を調整できるチルトおよびテレスコ調整機能を備えたステアリングコラム装置に関する。
運転者の体格や運転姿勢等に応じて、ステアリングホイールの高さを調整するチルト調整機能と、ステアリングホイールをステアリングシャフトの軸方向に沿って前後位置を調整する、いわゆるテレスコピック(以下テレスコと呼ぶ)調整機能とを付加した、ステアリングコラム装置が知られている。
この種のステアリングコラム装置においては、図8に示すように、アウターチューブ101に固定配置された連結ブラケット(ディスタンスブラケット)102と、車体に固定され、連結ブラケット102を挟むように配置される一対の側板103a,103bを有するサポートブラケット(クランプ)103と、連結ブラケット102およびサポートブラケット103を貫通するクランプ用ボルト104と、このクランプ用ボルト104の軸部104a上に設けられる偏心カム105とを有している。上記構成において、クランプ用ボルト104をロック方向へ回転すると、ボルト104の締め込みによりサポートブラケット103を介して連結ブラケット102がボルト104のボルト軸方向の両側から挟圧されてチルト方向の回転動作およびテレスコ方向の伸縮動作が阻止され、同時に、偏心カム105でインナーチューブ106がアウターチューブ101に押付けられることにより両チューブ間のガタをなくすことができる。一方、クランプ用ボルト104をロック解除方向へ回転すると、ボルト104がゆるんで連結ブラケット102のボルト軸方向の挟圧状態が解除されてチルト方向の回転動作が可能となり、同時に、偏心カム105でインナーチューブ106がアウターチューブ101に押付けられる状態が解除されるのでテレスコ方向の伸縮動作も可能となる。(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来例は、図9に示すように、アウターチューブ111の下方に一体的に形成され、後述するクランプ用ボルト112のボルト軸方向と直交する方向に延びるスリット113を有するクランプ部(ディスタンスブラケット)114と、車体115に固定され、アウターチューブ111およびクランプ部114を挟むように配置される一対の側板116a,116bを有する車体取付けブラケット(クランプ)116と、および車体取付けブラケット116を貫通するクランプ用ボルト112とを有している。アウターチューブ111の左右の側面には、アウターチューブ111の軸心の近傍に位置し、車体取付けブラケット116の側板116a,116bに当接する当接面111a,111bが設けられ、各当接面111a,111bは軸方向に延設されている。クランプ部114の側面には、クランプ用ボルト112のボルト軸心の下方近傍に位置し、車体取付けブラケット116の側板116a,116bに当接する当接面114a,114bが設けられ、各当接面114a,114bは、軸方向へテレスコ位置調整範囲の全長にわたって延設されている。また、アウターチューブ111およびクランプ部114の左右の側面には、当接面111a,111bと当接面114a,114bとの間にそれぞれ位置する凹部117a,117bが設けられている。
上記構成において、クランプ用ボルト112をロック方向へ回転すると、ボルト112の締め込みにより車体取付けブラケット116を介してクランプ部114がボルト112の軸方向の両側から挟圧されるので、チルト方向の回転動作が阻止され、同時に、クランプ部114のスリット113の幅が狭まるので、クランプ部114でインナーチューブ118が保持されることによりテレスコ方向の伸縮動作が阻止される。このとき、アウターチューブ111の当接面111aおよびクランプ部114の当接面114aが車体取付けブラケット116の側板116aに当接するとともに、アウターチューブ111の当接面111bおよびクランプ部114の当接面114bが車体取付けブラケット116の側板116bに当接することにより、アウターチューブ111を車体取付けブラケット116の側板116a,116bで挟圧して強固に締付けることができる。一方、クランプ用ボルト112をロック解除方向へ回転すると、ボルト112がゆるんでクランプ部114のボルト軸方向の挟圧状態が解除されるので、チルト方向の回転動作が可能となり、同時に、クランプ部114によるインナーチューブ118の保持状態が解除されるので、テレスコ方向の伸縮動作も可能となる。(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−322552号公報 特開2007−223383号公報
ところで、特許文献1に記載の技術では、クランプ用ボルト104をロック方向へ締め込んでサポートブラケット103を介して連結ブラケット102をボルト104のボルト軸方向の両側から挟圧する際、サポートブラケット103の側面と連結ブラケット102の側面は平面状に形成されているが、表面の歪みが生じているため、チルトおよびテレスコポジションにおいてサポートブラケット103と連結ブラケット102とが意図しない部位で接触する場合があり、サポートブラケット103と連結ブラケット102の振動剛性が低下して連結ブラケット102を強固に保持することが難しいという問題があった。
また、特許文献2に記載の技術では、クランプ用ボルト112の締め込みで車体取付けブラケット116を介してクランプ部114をボルト112の軸方向の両側から挟圧する際、アウターチューブ111の当接面111a,111b、およびディスタンスブラケット114の当接面114a,114b、すなわち上部および下部を当接させるようにしたが、車体取付けブラケット116側では、側板116a,116bの表面(平面)に歪みが生じた状態で当接するので、アウターチューブ111の軸方向に関しては側板116a,116bの表面の状態に依存しており、テレスコポジションによって上記当接面の歪みがあるために意図しない部位で接触する場合があり、車体取付けブラケット116の振動剛性が低下するという問題があった。
本発明は、上記事情を考慮し、車体に固定されるクランプおよびアウターチューブの振動剛性を向上させるとともに、クランプでアウターチューブを介してステアリングコラムチューブのロック状態を強固に支持することができるステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、一端を車体に支持されるとともに、ステアリングシャフトを内部に回転自在に軸支するインナーチューブと、前記車体に固定されるクランプによって一端が支持されるとともに、前記ステアリングシャフトを内部に回転自在に軸支し、前記インナーチューブと嵌合して配置されるアウターチューブと、前記クランプおよび前記アウターチューブを貫通するクランプ用ボルトと、前記クランプ用ボルトと一体に回転する操作レバーとを備えたチルト調整またはテレスコ調整可能なステアリングコラム装置であって、前記クランプは、相対向するとともに前記アウターチューブを挟むように配置される一対の側板を有し、これら一対の側板に、該側板の車両前後方向の両端部の内面側に、且つ車両上下方向に沿って突設されたクランプ突出端と、前記アウターチューブに、該アウターチューブの車両上下方向の両端部の外面側に、且つ前記ステアリングシャフトの軸方向に沿って突設されたチューブ突出端とを備え、前記クランプ突出端と前記チューブ突出端とを当接配置することにより、前記クランプと前記アウターチューブとの当接部が、各側板について4箇所ずつ、計8箇所構成され、これら当接部を介して、前記クランプに前記アウターチューブを支持することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のステアリングコラム装置であって、前記当接部の内の前記各側板について2箇所ずつ、計4箇所を、前記ステアリングコラムチューブの軸心高さに、または軸心近傍から上方に配設したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のステアリングコラム装置であって、前記当接部の少なくとも一部を、前記クランプ用ボルトのボルト軸近傍に設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のステアリングコラム装置であって、前記クランプと前記アウターチューブとの間に、前記クランプの変形防止のカラーを設けたことを特徴とする。
請求項1の発明において、クランプ用ボルトの締め込みでクランプを介してアウターチューブをボルト軸方向の両側から挟圧する際、チルト調整またテレスコ調整のいずれの位置であってもクランプ突出端とチューブ突出端とが積極的に当接することにより、クランプおよびアウターチューブの車両上前後下方向の8箇所の限定した位置で当接部が形成されるので、この当接部にて確実にクランプとアウターチューブとが支持され、従来のように平面で当接する場合に比べて、クランプおよびアウターチューブの振動剛性を向上させることができる。また、クランプを車両上下方向および前後方向の点接触にてディスタンスブラケットと安定した状態で当接させることができる。これにより、クランプおよびアウターチューブの振動剛性を向上させるとともに、車体に固定されるクランプでアウターチューブを介してステアリングコラムチューブのロック状態を強固に支持することができる。
請求項2の発明において、当接部の少なくとも一部がステアリングシャフトの軸心高さ、または軸心近傍より上方に配設されることにより、クランプの車体への固定箇所に近いため、クランプおよびアウターチューブの振動剛性を向上させることができる。
請求項3の発明において、クランプおよびアウターチューブの当接部の少なくとも一部を、クランプ用ボルトのボルト軸近傍に設けたので、クランプ用ボルトをロック方向へ締込むと、クランプ用ボルトで上記少なくとも一部の当接部を介してアウターチューブが強く挟圧されるので、この点でも請求項1と同様に振動剛性を向上させるとともに、ステアリングコラムチューブのロック状態を強固に支持することができる。
請求項4の発明において、クランプ用ボルトに所定値以上の締付け力が加わったとき、クランプとアウターチューブとの間に設けたカラーが、過大な軸力を受けることによりクランプが破損することを抑制できる。
本発明の第1実施形態を示し、ステアリングコラム装置の正面図である。 本発明の第1実施形態を示し、図1のII−II矢視断面図である。 本発明の第1実施形態を示し、図1のIII−III矢視断面図である。 本発明の第2実施形態を示し、ステアリングコラム装置の断面図である。 本発明の第3実施形態を示し、ステアリングコラム装置の断面図である。 アッパクランプの突出端の変形例を示す断面図である。 アッパクランプの突出端の他の変形例を示す断面図である。 ステアリングコラム装置の従来例を示す断面図である。 ステアリングコラム装置の他の従来例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態のステアリングコラム装置の正面図、図2は図1のII−II矢視断面図、図3は図1のIII−III矢視断面図である。なお、図1は説明のため一部を取り除いた状態で示してある。
図1〜図3に示すように、本実施形態のステアリングコラム装置1は、ステアリングシャフト2を回動可能に支承するステアリングコラムチューブ3を備えている。ステアリングシャフト2は、軸方向上端(図1の右端)にステアリングホイール(不図示)が固定されるとともに、アッパシャフト2aとロアシャフト(不図示)からなり、軸方向に相対摺動可能に嵌合されている。
ステアリングコラムチューブ3は、軸方向に相対摺動可能に嵌合されたアウターチューブ4およびインナーチューブ5を備えている。これらのチューブ4,5は、内部にステアリングシャフト2を回動自在に支承している。
インナーチューブ5の軸方向下端部6は、ロアサポートブラケット21に溶接等にて固定されることで、チルト軸22などを介して車体23に支持されており、それにより、ステアリングコラムチューブ3の全体がチルト軸22の周りに回動可能となっている。
また、このステアリングコラム装置1は、ステアリングコラムチューブ3の更に軸方向上端側に配置されて車体23に固定された下向開放の略コ字形状を有するクランプとしてのアッパクランプ7と、ステアリングコラムチューブ3のアウターチューブ4と、アッパクランプ7およびアウターチューブ4の下端を貫通するクランプ用ボルト9と、そのボルト9の軸線回りに回動操作される操作レバー10と、その操作レバー10の回動に伴って回転し、インナーチューブ5をアウターチューブ4に対して押し付けるカム体11と、を備えている。ステアリングコラムチューブ3の軸心L1は図1のX方向、すなわち軸方向に延び、これに対してアッパクランプ7の中心線L2は図1のY方向に延びており、その間の角度θはロック解除時に可変である。
アッパクランプ7は、相対向する一対の側板12,13と、これらの側板12,13の上部を互いに連結する上板14とを有しており、取付ブラケット16によって車体23に固定されている。アッパクランプ7の両側板12,13には、車両上下方向に沿った円弧形状を有するチルト用長孔15が形成されている。一方の側板12には、側板12の車両前後方向の両端部にそれぞれ折り曲げられて内面側に突出する一対のクランプ突出端12aが設けられ、同様に、他方の側板13には、側板13の車両前後方向の両端部にそれぞれ折り曲げられて内面側に突出する一対のクランプ突出端13aが設けられ、各突出端12a、13aはアッパクランプ7の中心線L2の方向(図1のY方向)へチルト位置調整範囲の全長にわたって延設されている。
アウターチューブ4は、軸方向に延びてインナーチューブ5が挿入される大径孔31と、この大径孔31の下方に配置され、軸方向と直交するボルト軸方向に延びてクランプ用ボルト9が挿入される小径孔32とを有している。アウターチューブ4には、ステアリングコラムチューブ3の軸方向に沿って形成されるテレスコ用長孔34(孔部)と、側面の車両上下方向の両端部の外面側に、且つステアリングシャフト2の軸方向(図1のX方向)に沿ってテレスコ位置調整範囲の全長にわたって突設されるチューブ突出端33a,33b,33c,33dとを備えている。
これらのクランプ突出端12a,13aとチューブ突出端33a〜33dとを当接配置することにより、アッパクランプ7とアウターチューブ4との当接部T1〜T4が構成されている。これらのうちクランプ突出端12aおよびチューブ突出端33aからなる第1当接部T1と、クランプ突出端13aおよびチューブ突出端33cからなる第3当接部T3とは、ステアリングシャフト2の軸心L1近傍より上方で、かつ車両前後方向の2箇所に配設されている。一方、クランプ突出端12aおよびチューブ突出端33bからなる第2当接部T2と、クランプ突出端13aおよびチューブ突出端33dからなる第4当接部T4とは、クランプ用ボルト9のボルト軸近傍、且つ車両前後方向の2箇所に設けられている。また、アッパクランプ7の側板12,13とアウターチューブ4のクランプ用ボルト9が挿入された近傍の間には、金属製のカラー70が配設されている。通常、カラー70は、アウターチューブ4と側板12,13とは接触していないが、過大な軸力が加えられた場合、アウターチューブ4と側板12,13がカラー70と接触することで、軸力を受けることになり、アッパクランプ7の変形を防止することができる。
図2、図3に示すように、クランプ用ボルト9は、頭部9aおよび軸部9bからなり、アッパクランプ7の一方側から他方側へ向けて貫通している。頭部9aは、端部に六角穴9cを有するとともに、軸部9bは、先端にネジ部9eを有する。そして、ボルト9の先端のネジ部9eにナット9fが螺合されるとともに、ボルト9の頭部9aとナット9fとの間に、アッパクランプ7およびディスタンスブラケット8が挟持されている。
カム体11は、ボルト9の軸部9b上に設けられ、径方向の寸法が周方向に沿って次第に変化して、径方向へ偏心する樹脂製の偏心カムから構成されている。ロック時にカム体11は、アウターチューブ4に形成された貫通孔8aを介して大径孔31内に進入し、カム体11がインナーチューブ5に圧接係合(ロック)することにより、インナーチューブ5がディスタンスブラケット8に対して押付けられている。また、ロック解除時にカム体11は、大径孔31の外部へ後退してカム体11がインナーチューブ5より離脱することにより、インナーチューブ5がディスタンスブラケット8に対して押付けられた状態が解除されている。
次に作用を述べる。操作レバー10をロック位置に回動操作して、ボルト9を締め込むことにより、ボルト9の頭部9aとナット9f間にてアッパクランプ7とアウターチューブ4を相対移動不能に挟持することができて、ステアリングホイールのチルト調整(車両上下方向に揺動)およびテレスコ調整(軸方向に沿って摺動)を不能とすることができる。同時に、カム体11がロック方向へ回転してインナーチューブ5に圧接係合することにより、インナーチューブ5がディスタンスブラケット8に対して押付けられて、インナーチューブ5とディスタンスブラケット8のガタ(径方向の隙間)が取り除かれるとともに、ステアリングホイールのテレスコ調整も不能とすることができる。このとき、クランプ突出端12aがチューブ突出端33a,33bと当接するとともに、他のクランプ突出端13aが他のチューブ突出端33c,33dと当接することにより、アウターチューブ4をアッパクランプ7の側板12,13の8箇所で両側から挟圧して強固に締付けることができる。さらに、クランプ用ボルト9に所定値以上の締付け力(軸力)が加わったとき、アッパクランプ7の側板12,13と、アウターチューブ4のクランプ用ボルト9が挿入された近傍間に設けたカラー70がアウターチューブ4とアッパクランプ7の側板12,13と接触して軸力を受けることで、クランプ突出部12a,13aへの過大な荷重の入力を防ぐことができ、アッパクランプ7の変形を防止することができる。
また、操作レバー10をロック解除位置に回動操作して、ボルト9を緩めることにより、ボルト9の頭部9aとナット9f間にてアッパクランプ7とアウターチューブ4を相対移動可能とすることができて、ステアリングホイールのチルト調整を可能とすることができる。同時に、カム体11がロック解除方向へ回転することにより、インナーチューブ5がディスタンスブラケット8に対して押付けられる状態が解除されるので、インナーチューブ5に対してアウターチューブ4を小さな操作力にてテレスコ調整可能(軸方向摺動可能)とすることができる。
この実施形態によれば、クランプ用ボルト9の締め込みによりアッパクランプ7を介してアウターチューブ4をボルト軸方向の両側から挟圧する際、チルト調整およびテレスコ調整のいずれの位置であってもクランプ突出端12a,13aとチューブ突出端33a〜33dとが積極的に当接することにより、アッパクランプ7およびアウターチューブ4の車両上下前後方向の8箇所の限定した位置で当接部T1〜T4が形成されるので、従来のように平面で当接する場合に比べて、アッパクランプ7およびアウターチューブ4の振動剛性(すなわちコラム固有振動数)を向上させることができる。また、クランプ突出端12aおよびチューブ突出端33aからなる第1当接部T1と、クランプ突出端13aおよびチューブ突出端33cからなる第3当接部T3とが、ステアリングコラムチューブ3の軸心L1近傍より上方、すなわちアッパクランプ7の車体23への固定箇所に比較的近いため、この点でもアッパクランプ7およびアウターチューブ4の振動剛性を向上させることができる。さらに、アッパクランプ7およびアウターチューブ4の振動剛性を向上させるとともに、アッパクランプ7を車両上下方向および前後方向の四隅での点接触にてアウターチューブ4と安定した状態で当接させることができる。これにより、アッパクランプ7およびアウターチューブ4の振動剛性を向上させるとともに、車体23に固定されるアッパクランプ7でアウターチューブ4を介してステアリングコラムチューブ3のロック状態を強固に支持することができる。
また、この実施形態によれば、クランプ突出端12aおよびチューブ突出端33bからなる第2当接部T2と、クランプ突出端13aおよびチューブ突出端33dからなる第4当接部T4とが、クランプ用ボルト9のボルト軸近傍に設けられているので、クランプ用ボルト9をロック方向へ締込むと、クランプ用ボルト9で上記当接部T1〜T4を介してアウターチューブ4が強く挟圧されるため、この点でもアッパクランプ7およびアウターチューブ4の振動剛性を向上させるとともに、ステアリングコラムチューブ3のロック状態を強固に支持することができる。
また、この実施形態によれば、クランプ用ボルト9に所定値以上の締付け力が加わったとき、アッパクランプ7の側板12,13とアウターチューブ4との間に設けたカラー70によって、過大な軸力によりアッパクランプ7が破損することを抑制できる。
また、この実施形態によれば、ボルト9の上方にてアッパクランプ7がアウターチューブ4を受けるため、従来のようにボルト9の下方にて受ける平面が必要でないため、アウターチューブ4下方のコンパクト化を図ることができ、車室内のひざ下のスペースを有効に活用できる。
図4は本発明の第2実施形態を示し、ステアリングコラム装置の断面図である。
図4に示すように、本実施形態のステアリングコラム装置51は、ステアリングシャフト52を回動可能に支承するステアリングコラムチューブ53を備えている。ステアリングコラムチューブ53は、軸方向に相対摺動可能に嵌合されたアウターチューブ71およびインナーチューブ54を有し、内部にステアリングシャフト52を回動自在に支承している。なお、前述した図1〜図3に示す第1実施形態ではステアリングコラムチューブ3の下方にクランプ用ボルト9を配置したが、図4に示す本実施形態ではステアリングコラムチューブ53の上方にクランプ用ボルト58が配置されている。
インナーチューブ54の軸方向下端部は、ロアサポートブラケット(不図示)に溶接等にて固定されることで、チルト軸(不図示)などを介して車体55に支持されており、それにより、ステアリングコラムチューブ53の全体がチルト軸の周りに回動可能となっている。
また、このステアリングコラム装置51は、ステアリングコラムチューブ53の更に軸方向上端側に配置されて車体55に固定された下向開放の略コ字形状を有するクランプとしてのアッパクランプ56と、ステアリングコラムチューブ53のアウターチューブ71と、アッパクランプ56およびアウターチューブ71を貫通するクランプ用ボルト58と、そのボルト58の軸線回りに回動操作される操作レバー59と、その操作レバー59の回動に伴って回転し、インナーチューブ54をアウターチューブ71に対して押し付けるカム体60と、を備えている。
アッパクランプ56は、相対向する一対の側板61,62と、これらの側板61,62の上部を互いに連結する上板63とを有しており、取付ブラケット64によって車体55に固定されている。アッパクランプ56の両側板61,62には、車両上下方向に沿った円弧形状を有するチルト用長孔65が形成されている。さらに一方の側板61には、側板61の車両前後方向の両端部にそれぞれ折り曲げられて内面側に突出する一対のクランプ突出端61aが設けられ、同様に、他方の側板62には、側板62の車両前後方向の両端部にそれぞれ折り曲げられて内面側に突出する一対のクランプ突出端62aが設けられ、各突出端61a、62aはアッパクランプ56の中心線の方向へチルト位置調整範囲の全長にわたって延設されている。
アウターチューブ71は、軸方向に延びてインナーチューブ54が挿入される大径孔66と、この大径孔66の上方に配置され、軸方向と直交するボルト軸方向に延びてクランプ用ボルト58が挿入される小径孔67とを有している。アウターチューブ71の上方には、ステアリングコラムチューブ53の軸方向に沿って形成されるテレスコ用長孔69(孔部)と、側面には車両上下方向の両端部の外面側に、且つステアリングシャフト52の軸方向に沿って軸方向へテレスコ位置調整範囲の全長にわたって突設されるチューブ突出端68a,68b,68c,68dとを備えている。
これらのクランプ突出端61a,62aおよびチューブ突出端68a〜68dによって、アッパクランプ56とアウターチューブ71との当接部T51〜T54が構成されている。これらのうちクランプ突出端61aおよびチューブ突出端68aからなる第1当接部T51と、クランプ突出端62aおよびチューブ突出端68cからなる第3当接部T53とが、ステアリングシャフト52の軸心L3近傍より上方で、かつ車両前後方向の2箇所に配設されるとともに、クランプ用ボルト58のボルト軸近傍に設けられている。また、アッパクランプ56の側板61,62とアウターチューブ71のクランプ用ボルト58が挿入された近傍の間には、金属製のカラー72が配設されている。通常、カラー72は、アウターチューブ71と側板61,62とは接触していないが、過大な軸力が加えられた場合、アウターチューブ71と側板61,62とがカラー72と接触することで、軸力を受けることになり、アッパクランプ56の変形を防止することができる。
クランプ用ボルト58は、頭部58aおよび軸部58bからなり、アッパクランプ56の一方側から他方側へ向けて貫通している。頭部58aは、端部に六角穴58cを有するとともに、軸部58bは、先端にネジ部58dを有している。そして、ボルト58の先端のネジ部58dにナット58eが螺合されることにより、ボルト58の頭部58aとナット58eとの間に、アッパクランプ56およびディスタンスブラケット57が挟持されている。
カム体60は、ボルト58の軸部58b上に設けられ、径方向の寸法が周方向に沿って次第に変化する樹脂製の偏心カムから構成されている。ロック時にカム体60は、ディスタンスブラケット57に形成された貫通孔57aを介して大径孔66内に進入し、カム体60がインナーチューブ54に圧接係合(ロック)することにより、インナーチューブ54がアウターチューブ71に対して押付けられている。また、ロック解除時にカム体60は、大径孔66の外部へ後退してカム体60がインナーチューブ54より離脱することにより、インナーチューブ54がディスタンスブラケット57に対して押付けられた状態が解除されている。
次に作用を述べる。操作レバー59をロック位置に回動操作して、ボルト58を締め込むことにより、ボルト58の頭部58aとナット58e間にてアッパクランプ56とアウターチューブ71を相対移動不能に挟持することができて、ステアリングホイールのチルト調整(車両上下方向に揺動)およびテレスコ調整(軸方向に沿って摺動)を不能とすることができる。同時に、カム体60がロック方向へ回転してインナーチューブ54に圧接係合することにより、インナーチューブ54がディスタンスブラケット57に対して押付けられて、インナーチューブ54とディスタンスブラケット57のガタ(径方向の隙間)が取り除かれるとともに、ステアリングホイールのテレスコ調整も不能とすることができる。このとき、クランプ突出端61aがチューブ突出端68a,68bと当接するとともに、他のクランプ突出端62aがチューブ突出端68c,68dと当接することにより、アウターチューブ71をアッパクランプ56の側板61,62の8箇所で両側から挟圧して強固に締付けることができる。さらに、クランプ用ボルト58に所定値以上の締付け力(軸力)が加わったとき、アッパクランプ56の側板61,62と、アウターチューブ71のクランプ用ボルト58が挿入された近傍間に設けたカラー72がアウターチューブ71とアッパクランプ56の側板61,62と接触して軸力を受けることで、クランプ突出部61a,62aへの過大な荷重の入力を防ぐことができ、アッパクランプ56の変形を防止することができる。
また、操作レバー59をロック解除位置に回動操作して、ボルト58を緩めることにより、ボルト58の頭部58aとナット58e間にてアッパクランプ56とアウターチューブ71を相対移動可能とすることができて、ステアリングホイールのチルト調整を可能とすることができる。同時に、カム体60がロック解除方向へ回転することにより、インナーチューブ54がディスタンスブラケット57に対して押付けられる状態が解除されるので、インナーチューブ54に対してアウターチューブを小さな操作力にてテレスコ調整可能(軸方向摺動可能)とすることができる。
この実施形態によれば、クランプ用ボルト58の締め込みによりアッパクランプ56を介してアウターチューブ71をボルト軸方向の両側から挟圧する際、チルト調整およびテレスコ調整のいずれの位置であってもクランプ突出端61a,62aとチューブ突出端68a〜68dとが積極的に当接することにより、アッパクランプ56およびアウターチューブ71の車両上下前後方向の8箇所の限定した位置で当接部T51〜54が形成されるので、従来のように平面で当接する場合に比べて、アッパクランプ56およびアウターチューブ71の振動剛性を向上させることができる。また、クランプ突出端61aおよびチューブ突出端68aからなる第1当接部T51と、クランプ突出端62aおよびチューブ突出端68cからなる第3当接部T53とは、ステアリングシャフト52の軸心近傍より上方、すなわちアッパクランプ56の車体55への固定箇所に比較的近いため、この点でもアッパクランプ56およびアウターチューブ71の振動剛性を向上させることができる。さらに、アッパクランプ56を車両上下方向および前後方向の四隅での点接触(全体では8箇所)にてアウターチューブ71と安定した状態で当接させることができる。これにより、アッパクランプ56、およびアウターチューブ71の振動剛性を向上させるとともに、車体55に固定されるアッパクランプ56でアウターチューブ71を介してステアリングコラムチューブ53のロック状態を強固に支持することができる。
また、この実施形態によれば、クランプ突出端61aおよびチューブ突出端68aからなる第1当接部T51と、クランプ突出端62aおよびチューブ突出端68cからなる第3当接部T53とが、クランプ用ボルト58のボルト軸近傍に設けられているので、クランプ用ボルト58をロック方向へ回転させると、クランプ用ボルト58で上記当接部T51〜T54を介してディスタンスブラケット57が強く締付けられるため、この点でもアッパクランプ56およびアウターチューブ71の振動剛性を向上させるとともに、ステアリングコラムチューブ53のロック状態を強固に支持することができる。
また、この実施形態によれば、クランプ用ボルト58に所定値以上の締付け力が加わったとき、アッパクランプ56の側板61,62とアウターチューブ71との間に設けたカラー72により、過大な軸力が加わってもアッパクランプ56が破損することを抑制できる。
また、この実施形態によれば、ボルト58の上方にてアッパクランプ56がアウターチューブ71を受けるため、ボルト58の下方に受ける平面が必要でないため、アウターチューブ71のコンパクト化を図ることができ、車室内のひざ下のスペースを有効に活用できる。
図5は本発明の第3実施形態を示し、ステアリングコラム装置の断面図である。図5に示すように、第3実施形態のステアリングコラム装置1′は、第1実施形態とほぼ同様の構造であり、ステアリングシャフト2を回動可能に支承するステアリングコラムチューブ3を備えている。ステアリングコラムチューブ3は、軸方向に相対摺動可能に嵌合されたアウターチューブ4およびインナーチューブ5を有し、これらのチューブ4,5は、内部にステアリングシャフト2を回動自在に支承している。なお、図5において前述した図1〜図3に示す第1実施形態と同様の構成には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態と第1実施形態との構成で大きく異なる点は、当接部T1′〜T4′が設定された位置である。当接部T1′〜T4′を構成するクランプ突出端12a′,13a′、およびチューブ突出端33a′〜33d′について、クランプ突出端12a′,13a′は、第1実施形態と同様に形成されている。つまり、一方の側板12には、側板12の車両前後方向の両端部にそれぞれ折り曲げられて内面側に突出する一対のクランプ突出端12a′が設けられ、同様に、他方の側板13には、側板13の車両前後方向の両端部にそれぞれ折り曲げられて内面側に突出する一対のクランプ突出端13a′が設けられ、各突出端12a′、13a′はアッパクランプ7の中心線L2の方向(図1のY方向)へチルト位置調整範囲の全長にわたって延設されている。
チューブ突出端33a′〜33d′については、第1実施形態と一部が異なっている。つまり、チューブ突出端33b′,33d′が、アウターチューブ4の側面の車両上下方向の下端部の外面側に、且つステアリングシャフト2の軸方向(図1のX方向)に沿ってテレスコ位置調整範囲の全長にわたって突設される点については、第1実施形態と同様である。また、チューブ突出端33a′,33c′は、第1実施形態と異なり、アウターチューブ4の側面の車両上下方向のステアリングコラムチューブ3の軸心L4高さ位置の外面側に、且つステアリングシャフト2の軸方向(図1のX方向)に沿ってテレスコ位置調整範囲の全長にわたって突設されている。
そして、これらのクランプ突出端12a′,13a′とチューブ突出端33a′〜33d′とを当接配置することにより、アッパクランプ7とアウターチューブ4との当接部T1′〜T4′が構成されている。
これらのうちクランプ突出端12a′およびチューブ突出端33a′からなる第1当接部T1′と、クランプ突出端13a′およびチューブ突出端33c′からなる第3当接部T3′とは、ステアリングシャフト2の軸心L3高さ位置で、かつ車両前後方向の2箇所に配設されている。一方、クランプ突出端12a′およびチューブ突出端33b′からなる第2当接部T2′と、クランプ突出端13a′およびチューブ突出端33d′からなる第4当接部T4′とは、第1実施形態と同様に、クランプ用ボルト9のボルト軸近傍、且つ車両前後方向の2箇所に設けられている。また、アッパクランプ7の側板12,13とアウターチューブ4のクランプ用ボルト9が挿入された近傍の間には、金属製のカラー70が第1実施形態と同様に配設されている。
なお、この第3実施形態のステアリングコラム装置1′にあっても、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、アッパクランプ7の側板12,13よりクランプ突出端12a,13aを直角に折り曲げて側板12、13とアウターチューブ4との間に間隙を形成した場合を例示したが、図6に示すように、アッパクランプ7の側板13に段差部13bを設けて、側板13とアウターチューブ4との間に間隙を形成してもよく、さらに、図7に示すように、アッパクランプ7の側板13より折り曲げて突出端13cを形成して先端近傍を折返してもよい。なお、第2、第3実施形態でも同様である。
また、本実施形態では、アッパクランプ56を車両上下方向および前後方向の四隅でディスタンスブラケット57と当接させる構成であるが、例えばクランプ突出端の長さを調整する等して、3箇所で当接するように構成しても同様の作用効果が得られる。
さらに、本実施の形態では、チルト調整とテレスコ調整の両方が可能なステアリングコラム装置であるが、この構造に限定されることなくチルト調整のみ、テレスコ調整のみ可能なステアリングコラム装置であっても良い。
また、本実施の形態では、クランプ突出端およびチューブ突出端が、クランプおよびチューブに一体成形されているが、これに限定されることなく別体の突出端を固着させても良い。
1 ステアリングコラム装置
2 ステアリングシャフト
2a アッパシャフト
4 アウターチューブ
5 インナーチューブ
7 アッパクランプ(クランプ)
9 クランプ用ボルト
10 操作レバー
12,13 側板
12a,13a クランプ突出端
13b 段差部
13c 突出端
23 車体
33a〜33d チューブ突出端
51 ステアリングコラム装置
54 インナーチューブ
55 車体
56 アッパクランプ(クランプ)
58 クランプ用ボルト
59 操作レバー
61,62 側板
61a,62a クランプ突出端
68a〜68d チューブ突出端
70,72 カラー
71 アウターチューブ

Claims (4)

  1. 一端を車体に支持されるとともに、ステアリングシャフトを内部に回転自在に軸支するインナーチューブと、
    前記車体に固定されるクランプによって一端が支持されるとともに、前記ステアリングシャフトを内部に回転自在に軸支し、前記インナーチューブと嵌合して配置されるアウターチューブと、
    前記クランプおよび前記アウターチューブを貫通するクランプ用ボルトと、
    前記クランプ用ボルトと一体に回転する操作レバーとを備えたチルト調整またはテレスコ調整可能なステアリングコラム装置であって、
    前記クランプは、相対向するとともに前記アウターチューブを挟むように配置される一対の側板を有し、これら一対の側板に、該側板の車両前後方向の両端部の内面側に、且つ車両上下方向に沿って突設されたクランプ突出端と、
    前記アウターチューブに、該アウターチューブの車両上下方向の両端部の外面側に、且つ前記ステアリングシャフトの軸方向に沿って突設されたチューブ突出端とを備え、
    前記クランプ突出端と前記チューブ突出端とを当接配置することにより、前記クランプと前記アウターチューブとの当接部が、各側板について4箇所ずつ、計8箇所構成され、
    これら当接部を介して、前記クランプに前記アウターチューブを支持することを特徴とするステアリングコラム装置。
  2. 請求項1に記載のステアリングコラム装置であって、
    前記当接部の内の前記各側板について2箇所ずつ、計4箇所を、前記ステアリングコラムチューブの軸心高さに、または軸心近傍から上方に配設したことを特徴とするステアリングコラム装置。
  3. 請求項1または2に記載のステアリングコラム装置であって、
    前記当接部の少なくとも一部を、前記クランプ用ボルトのボルト軸近傍に設けたことを特徴とするステアリングコラム装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のステアリングコラム装置であって、
    前記クランプと前記アウターチューブとの間に、前記クランプの変形防止のカラーを設けたことを特徴とするステアリングコラム装置。
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