JP2010051624A - 緩衝材並びにこの緩衝材を具えたシューズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 要緩衝基材に組み込まれ、弾性変形することにより衝撃を緩衝する部材であって、踵圧部2と、この踵圧部2を中心とした扇形状に展開する要変形部3とを一体的に具えて成るものであり、要変形部3に対して、深さ方向に肉抜部5を形成することにより荷重を受けた際の変形度合いが調節されて成るものであり、且つ、肉抜部5は露見面30から透視可能に構成されていることを特徴として成るものであり、要変形部3が扇形状に展開する形状となっていることにより、荷重が加わった個所が沈み込んだ状態で変形した際に、その両側が持ち上がるように変形するため要変形部3の幅方向のバネ作用による緩衝作用が発揮される。またこのような要変形部3の変形状態を肉抜部5の変形として外部から視認することができる。
【選択図】図1
Description
このような要請に応えたものとして、例えば、本出願人の特許出願に係る発明が先行技術として存在する(特許文献1、2、3参照)。これら技術によって、高次元で緩衝性を発揮し、且つ視覚的にもその機能を確認することのできるシューズが市場に提供されている。
ところで既存の緩衝パーツは、着地時の緩衝作用や、踏み込み時、蹴り上げ時のふんばり力の付与等を主たる目的としたものであり、これら着地から蹴り上げに移行する途中での装着者の重心移動についてまでは追求されていなかった。
この発明によれば、要変形部が扇形状に展開する形状となっていることにより、荷重が加わった個所が沈み込んだ状態で変形した際に、その両側が持ち上がるように変形するため要変形部の幅方向のバネ作用による緩衝作用が発揮される。
またこのような要変形部の変形状態を肉抜部の変形として外部から視認することができる。
更にまた肉抜部を設けることにより、緩衝材の軽量化を図ることができるとともに、原材料の使用量を低減してコストダウンを実現することができる。
更にまた肉抜部の形態、位置を選択することにより、要変形部の変形状態をチューニングすることができる。
この発明によれば、着地時に扇形部の両端が持ち上がるように変形し、このとき踵圧部が前方に倒れ易くなるため、つま先方向への荷重移動を誘導することができる。
この発明によれば、要変形部の変形による緩衝作用を、より顕著なものとすることができ、更により一層の軽量化及びコストダウンを実現することができる。
この発明によれば、要変形部の変形を、肉抜部の変形としてより一層明確に視認することができる。
この発明によれば、要変形部の緩衝作用を多様化することができるとともに、要変形部の変形を、肉抜部に充填された素材の変形として視認することができる。
この発明によれば着地から蹴り上げに移行する途中での、踵からつま先方向への滑らかな重心移動を誘導することができる。
この発明によれば、シューズに対して、新たな緩衝作用及び視覚効果並びに重心移動の誘導機能を付与することができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
なお以下の実施例に対して、本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
そして前記要変形部3に対して図2(c)に示すように、深さ方向に非貫通状態の肉抜部5が形成されることにより、要変形部3の部位毎の柔軟性が調整されるものであり、荷重を受けた際の変形度合いが調節されている。
更に、前記肉抜部5は端面(側面または後面のいずれか一方または双方)から透視可能に構成されるものであり、このため少なくとも肉抜部5の周辺は透明乃至は半透明の素材により構成される。なお要変形部3の後端面あるいは側端面を露見面30と称するものである。
因みに前記肉抜部5を形成することにより、軽量化並びに材料削減によるコストダウンを実現することもできる。
具体的には、前記スリット31は一例として図6(b)に示すように、肉抜部5側から踵圧部2に向かうに従って切り込み深さが順次浅くなるように形成される。更にスリット31の切り込み深さは図6(c)に示すように部位によって異なるように形成されている。
一般的なチューニングの具体例が図6に示すように、要変形部3を横断する方向に形成したものであり、更に図6(c)に示すように露見面30に最も近い(最後部の)スリット31aは外側部分が最も深くなるように形成されており、更に踵圧部2に近いスリット31である程、最も深い個所が中央にシフトしてゆくものであり、スリット31dでは最も深い個所が中央になるように設定されている。
なお図6(a)中、仮想線で示すように、スリット31を、要変形部3を縦断する方向に形成するようにしてもよい。このようにした場合にも、スリット31の幅や間隔を調整することにより内側と外側での見かけ硬さを変化させることができる。また例えば注型成型を行う場合には材料の流れが良くなり、気泡ができてしまうのを回避することができる(エア抜けが良くなる)。
そして上記ゴム素材を、射出成型、注型成型等により無垢状態で硬化させることにより緩衝材1が形成されるものである。
なお緩衝材1は、露見面30の周辺が透明あるいは透明度が保たれる程度の着色が施されたものとするが、使用態様や顧客の要望に応じて、適宜着色して透明度を低下させるようにしてもよい。ここで着色とは、染料や顔料によって素材全体を着色する他、ラメ素材を素材中に分散させたような状態をも意味するものである。
なお前記発泡剤としては、各ゴム素材に適した公知のものを任意で採用される。また前記中空フィラーとしては、日本フィライト社製の「エクスパンセル(登録商標)551DE」等が採用されゴム素材100重量部に対して1〜3重量部程の配合割合で用いられる。
因みに前記ゴム素材に塩等の可溶性材料を混入し、成型後に可溶性材料を溶出させることにより発泡状態とするような手法を採ることもできる。
図1中、符号10で示すものが要緩衝基材の一例であるスポーツシューズであって、接地部材であるソール11に対してアッパー12が組み付けられて成る。そして前記ソール11に対して踵部付近に受入空間13が形成されるものであり、この受入空間13に緩衝材1が組み込まれた状態でソール11とアッパー12とが組み付けられる。なお図示は省略してあるが、前記緩衝材1上にはいわゆるインナーソールが設けられるものであり、装着者の足はこのインナーソールを介在させて緩衝材1上に位置することとなる。
またスポーツシューズ10と一体化された緩衝材1は、その端面である露見面30が露出した状態となる。
まず装着者の歩行動作における接地(着地)時にあっては、図4に示すように荷重が加わった個所が圧縮されて変形した際に、要変形部3の変形状態を肉抜部5の変形として露見面30を通じて外部から視認することができる。
特にこの肉抜部5を着色した場合あるいは肉抜部5に充填材50が充填されている場合には、図3(b)に示すように肉抜部5がはっきりと視認されるため、要変形部3の変形をより一層明確に視認することができる。
なお肉抜部5に充填材50が充填されている場合には、この充填材50自体も緩衝性を有するため、要変形部3の緩衝作用を多様化することができる。
具体的には着地時には最初にソール11の最後部が接地するため、図7(a)に示すように要変形部3における肉抜部5の周辺が荷重を受けて変形することとなる。なお図7においては装着者の重心Gを黒点で示すとともに、重心Gの移動の軌跡を一点鎖線で示している。
このため装着者の重心Gは、踵から土踏まずの外側に移行し、その後、図7(c)に示す状態を経て図7(d)に示す位置に移行することとなり、装着者は理想的な体重移動を行うことが可能となるものである。
以上のように本発明によれば、スポーツシューズ10に対して、新たな緩衝作用及び視覚効果並びに重心移動の誘導機能を付与することができる。
本発明は上述した実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて以下に示すような実施例を採ることもできる。
すなわち、上述した基本となる実施例においては全体的に略均一な厚さの平板状に形成された緩衝材1を示したが、厚さを不均一にするようにしてもよい。
まず第一の具体例としては図8に示すように、要変形部3における肉抜部5の周辺が隆起した形態が採り得るものであり、更に肉抜部5についても湾曲した長孔状とされ、且つ深さ寸法も不均一となるような形態が採り得る。なおこの実施例では、肉抜部5と踵圧部2との間に深さ寸法が均一な肉抜部5aを形成するようにした。
なおこれら要変形部3及び肉抜部5の形態は、緩衝材1が組み込まれる要緩衝基材たる靴の用途、例えばスポーツシューズ10であれば対象となる競技に応じて、あるい装着者の歩行の際の癖等に応じてこれを矯正するように適宜選択されるものである。
具体的には、要変形部3の平面形状を図9(b)に示すように踵圧部2の中心から約90〜180°の範囲にわたる扇形状に展開させたものとし、更にこの要変形部3の外縁部分を図9(c)のA−A断面図に示すように引き起こすようにして斜面を形成することにより、装着者の踵周辺を包み込むような包踵部32を形成するものである。
そしてこのような構成が採られた場合には、着地時に扇形部の両端が持ち上がるように変形するものであり、このとき、踵圧部3が前方に倒れ易くなるため、つま先方向への荷重移動を誘導することができるものである。
更に前記肉抜部5の肉抜き度合いは、扇形部の中心から両端に向かう程、少なくするのが好ましい。すなわち扇形部の両端側に形成される肉抜部5を、残肉部5bが厚くなるように形成することにより、その部分の見かけ硬度を高くすることができ、一方、扇形部の中心付近に形成される肉抜部5を、残肉部5bが薄くなるように形成することにより、その部分の見かけ硬度を低くすることができるため、要変形部3の部位毎の硬度を異ならせて、前述したような着地時の扇形部の両端が持ち上がるような要変形部3の変形を起こり易くすることができるものである。
因みにこのように肉抜部5を非貫通状態とした場合、例えば注型により成型が行われるときには、残肉部5bの形成個所が、未硬化状態の材料中に存在するエア(気泡)の抜け道となり、硬化後に気泡が残ってしまうような事態を回避し易くなる。
なお踵圧部2側を上方に形成する注型の場合、図9(c)中、仮想線で示すように残肉部5bの一部に傾斜部を持たせることにより、未硬化状態の材料中に存在するエア(気泡)の抜けをより確実に促すことができる。
2 踵圧部
3 要変形部
30 露見部
31 スリット
32 包踵部
33 突出端
5 肉抜部
5a 肉抜部
5b 残肉部
50 充填材
10 スポーツシューズ
11 ソール
12 アッパー
13 受入空間
Claims (7)
- 要緩衝基材に組み込まれ、弾性変形することにより衝撃を緩衝する部材であって、この部材は、踵圧部と、この踵圧部を中心とした扇形状に展開する要変形部とを一体的に具えて成るものであり、前記要変形部に対して、深さ方向に肉抜部を形成することにより荷重を受けた際の変形度合いが調節されて成るものであり、且つ、前記肉抜部は要変形部の端面である露見面から透視可能に構成されていることを特徴とする緩衝材。
- 前記要変形部は、装着者の踵周辺を包み込む形状であることを特徴とする請求項1記載の緩衝材。
- 前記肉抜部は、非貫通状態であることを特徴とする請求項1または2記載の緩衝材。
- 前記肉抜部は、要変形部の端面である露見面からの透視が良好に行われるための加工が施されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の緩衝材。
- 前記肉抜部には、要変形部とは異なる素材が充填されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の緩衝材。
- 前記要変形部には、重心移動を導くためのスリットが形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の緩衝材。
- 前記請求項1乃至6記載の緩衝材をソール部分に具えたことを特徴とするシューズ。
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