JP6117964B1 - シューズ用ソール構造およびそれを用いたシューズ - Google Patents

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Abstract

【課題】シューズ用ソール構造において、足の踵部におけるクッション性および安定性を保ちながら、各動作に応じて足の踵部を起点として体重移動をスムーズに行い得るようにする。【解決手段】ソール構造1は、第1突起部21の傾斜面21aとソール部5における第1貫通孔7の踵側の壁部との間に設けられた踵側間隙23により、第1突起部21が第1貫通孔7内で指先側に向かう方向に比べ踵部側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されている。【選択図】図5

Description

本発明は、シューズ用ソール構造およびそれを用いたシューズに関するものである。
従来から、例えばバレーボール、ハンドボール、バスケットボールなどのインドア用のスポーツシューズとして、例えば特許文献1のようなシューズが知られている。
特許文献1にはスポーツシューズのソール組立体が開示され、このソール組立体は、上層、中層および下層の3層から構成されており、上層および下層が軟質弾性部材で形成され、上層および下層の間に挟持される中層は、上層および下層よりも硬度が高い合成ゴム製または合成樹脂製のシートから構成されており、このシートは接地面側に突出する複数の突起を有し、下層は上下方向に延びる複数の貫通孔を有しており、これらの貫通孔に各突起が嵌入されている。そして、この突起は先端に向かうにしたがい徐々に小径となる円錐台形状を有しており、各突起の外周面と各貫通孔との間に隙間が形成されている。
特開2003−52404号公報
ところで、バレーボール、ハンドボール、バスケットボールなどのインドアスポーツに用いられる用途のスポーツシューズでは、近年、スポーツ選手におけるプレースタイルのハイスピード化を実現するために、特に足の踵部のクッション性と安定性を維持しつつ、足の踵部を起点としてスムーズに体重移動が可能な機能が求められている。具体的には、シューズを履いた使用者が運動中において、例えば前方にダッシュする動作、後方向に急停止する動作、左方向(右方向)に方向転換する動作など、足の踵部を起点として次の動作に素早く移ることができるようなシューズが求められている。
しかしながら、特許文献1のシューズでは、各突起の外周面と各貫通孔との間に周方向全体に亘り隙間が形成されており、全方向において各突起が各貫通孔内で変形しやすくなっている。このため、特許文献1のシューズを履いた使用者が例えば後方向に急停止しようとする場合において、接地の際に各突起が床面からの反力を受けることにより、各突起が各貫通孔内の指先側(前方)に向かう方向に弾性変形して必要以上にグリップ力が発生してしまう結果、急停止したときの使用者の感覚と実際の急停止のタイミングとの間にズレが生じ、使用者が次の動作に素早く移ることが困難になる場合があった。すなわち、特許文献1のシューズでは、前後方向における使用者の動作に応じてスムーズに体重移動を行わせることが困難な場合があった。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シューズ用ソール構造に改良を加えることにより、足の踵部におけるクッション性および安定性を保ちながら、前後方向における使用者の動作に応じて足の踵部を起点として体重移動をスムーズに行い得るようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の形態は、人体の足の踵部を支持し、足外甲側に第1貫通孔が上下方向に貫通するように形成されたソール部と、ソール部の上側に設けられ、基台部と、該基台部の下面に突設され、ソール部の第1貫通孔にそれぞれ挿通された第1突起部とを有する突起体と、を備えている。また、第1貫通孔の踵側の壁部と、第1貫通孔に挿通された第1突起部の後部との間には踵側間隙が形成されている。そして、第1突起部は、踵側間隙により、指先側に向かう方向に比べ踵部側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されていることを特徴とする。
この第1の形態では、第1突起部の後部と第1貫通孔の踵側の壁部との間に設けられた踵側間隙により、第1突起部が指先側に向かう方向に比べ踵部側に向かう方向に変形しやすいため、シューズを履いた使用者が例えばバレーボールやハンドボールなどの運動中に足を床に踏み込んで前方にダッシュしようとする場合において、足を床に踏み込んだ際に第1突起部がソール部の第1貫通孔内で踵部側にスムーズに変形することで第1突起部に弾性エネルギーが蓄えられ、ダッシュ時の体重移動に伴い第1突起部に蓄えられた弾性エネルギーが放出されるようになる結果、前方へのダッシュ力を高めることが可能となる。これとは逆に、この構造では、第1突起部が指先側に変形しにくいことから、ソール部の第1貫通孔内で指先側に向かう第1突起部の変形量が抑制される。これにより、シューズを履いた使用者が例えば後方向に急停止する場合において、急停止したときの使用者の感覚と実際の急停止のタイミングとの間にズレが生じるのを抑制することができるので、使用者は次の動作に素早く移ることが可能となる。
このように、第1の形態に係るシューズのソール構造では、ソール部により足の踵部におけるクッション性および安定性を保ちながら、第1突起部により前後方向における使用者の動作に応じて足の踵部を起点として体重移動をスムーズにすることができる。
第2の形態は、第1の形態において、第1突起部の後部には、下側に向かって指先側に向かうように傾斜した傾斜面が形成されていて、該傾斜面と第1貫通孔の踵側の壁部との間に踵側間隙が設けられていることを特徴とする。
この第2の形態では、第1突起部の後部に傾斜面を形成することにより、簡易な構成で第1貫通孔の踵側の壁部との間に踵側間隙を設けることができる。
第3の形態は、第1または第2の形態において、複数の第1貫通孔が前後方向に間隔をあけて並設されており、複数の第1突起部がそれぞれ第1貫通孔に挿通されていることを特徴とする。
この第3の形態では、複数の第1貫通孔が前後方向に間隔をあけて並設されており、複数の第1突起部が第1貫通孔にそれぞれ挿通されていることから、足全体の床に対する前方向へのグリップ力をより一層高めることができる。
第4の形態は、第1〜第3のいずれか1つの形態において、第1突起部は、下端部がソール部下面よりも下方に突出していることを特徴とする。
この第4の形態では、第1突起部が第1貫通孔に挿通された状態で、下端部がソール部下面よりも下方に突出していることから、足全体の床に対するグリップ力をより一層高めることができる。
第5の形態は、第1〜第4のいずれか1つに形態において、第1貫通孔および第1突起部は、左右方向に延びていることを特徴とする。
この第5の形態では、第1貫通孔および第1突起部は、左右方向に延びるように形成されていることから、足全体の床に対する前方向へのグリップ力をより一層高めることができる。
第6の形態は、第1〜第5のいずれか1つに形態において、ソール部は、足内甲側に第2貫通孔が形成されており、突起体は、第2貫通孔に挿通された第2突起部を有し、第2貫通孔の足内甲側の壁部と、第2貫通孔に挿通された第2突起部の足内甲側の側部との間には内甲側間隙が形成されており、第2突起部は、内甲側間隙により、足外甲側に向かう方向に比べ足内甲側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されていることを特徴とする。
この第6の形態では、足を床に踏み込んで左右いずれかの方向にダッシュしようとする場合において、足を床に踏み込んだ際に第2突起部がソール部の第2貫通孔内で足内甲側にスムーズに変形することで第2突起部に弾性エネルギーが蓄えられ、ダッシュ時の体重移動に伴って第2突起部に蓄えられた弾性エネルギーが放出されるようになる結果、左右いずれかの方向へのダッシュ力を高めることが可能となる。これとは逆に、この構造では、第2突起部が足外甲側に変形しにくいことから、ソール部の第2貫通孔内で足外甲側に向かう各第2突起部の変形量が抑制される。これにより、シューズを履いた使用者が例えば左右方向に急停止する場合において、急停止したときの使用者の感覚と実際の急停止のタイミングとの間にズレが生じるのを抑制することができるので、使用者は次の動作に素早く移ることが可能となる。
第7の形態は、第6の形態において、第2突起部は、下端部が前記ソール部下面よりも下方に突出していることを特徴とする。
第7の形態では、第2突起部が第2貫通孔に挿通された状態で、下端部がソール部下面よりも下方に突出していることから、足全体の床に対するグリップ力をより一層高めることができる。
第8の形態は、第1〜第7の形態のいずれか1つのシューズ用ソール構造を備える、シューズである。
この第8の形態では、上記第1〜第7の形態と同様の作用効果を奏するシューズを得ることができる。
以上説明したように、本発明によると、踵側間隙により第1突起部がソール部の第1貫通孔内で踵部側に変形しやすくなり、前方へのダッシュ力を高めることが可能となる一方、第1突起部が指先側に変形しにくいため、シューズを履いた使用者が例えば後方向に急停止する場合において、急停止したときの使用者の感覚と実際の急停止のタイミングとの間にズレが生じるのを抑制することができ、使用者は次の動作に素早く移ることが可能となる。このように、本発明に係るシューズ用ソール構造では、ソール部により足の踵部におけるクッション性を保ちながら、第1突起部により前後方向における使用者の動作に応じて足の踵部を起点として体重移動をスムーズにすることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るシューズを下方から見て示す斜視図である。 図2は、ソール構造の分解斜視図である。 図3は、ソール構造における踵部側を拡大して示す底面図である。 図4は、ソール部の底面図である。 図5は、図3のV−V線断面図である。 図6は、図3のVI−VI線断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1〜図6は、本発明の実施形態に係るシューズSを示し、このシューズSは、例えばバレーボール、ハンドボール、バスケットボールなどのインドア用のスポーツシューズとして使用される。ここで、シューズSは、左足用のシューズのみを例示している。右足用のシューズは、左足用シューズSと左右対称になるように構成されているので、以下の説明では左足用シューズSのみについて説明し、右足用シューズの説明は省略する。また、以下の説明において、上方(上側)および下方(下側)とはシューズSの上下方向の位置関係を表し、前方(前側)および後方(後側)とはシューズSの前後方向の位置関係を表し、左側および右側とはシューズSの左右方向の位置関係を表すものとする。
図1〜図3に示すように、シューズSにはソール構造1が設けられており、このソール構造1は、アウトソール部2、ミッドソール部3、波形プレート4、ソール部5、および突起体11を主たる要素部材として備えている。以下、各部材について詳細に説明する。
(アウトソール部)
アウトソール部2は、人体の足の土踏まず部分から指先側に至る範囲に設けられており、その下部には路面に接地する接地面2aが形成されている。このアウトソール部2は、後述するミッドソール部3よりも高硬度の硬質弾性部材で構成されており、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材が適している。また、アウトソール部2の前端側には、指先部分を保護するガード部2bが取り付けられている。
(ミッドソール部)
ミッドソール部3は、人体の足の指先側から踵部後側までの足裏面を支持するためのものである。具体的に、ミッドソール部3の上部は、人体の足の指先側から踵部後側までの足裏面を支持する足裏支持面3aが前後方向に延びるように形成されている。そして、ミッドソール部3は、その下部が接着剤などによってアウトソール部2の上部に固着され、上方に使用者の足を覆うアッパーA(甲被部)が設けられている。このミッドソール部3は、軟質の弾性材からなり、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材やその発泡体などが適している。
(波形プレート)
波形プレート4は、人体の足の土踏まず部分から踵部後側に至る範囲において側面視で上下に波打つように湾曲形成されており、その上部が接着剤などによってミッドソール部3の下部に固着されている。波形プレート4は、好ましくは硬質弾性部材から構成されており、具体的には、熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、またはエポキシ樹脂等や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂から構成されている。なお、炭素繊維やアラミド繊維、ガラス繊維等を強化用繊維とし、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化プラスチック(FRP)から構成するようにしてもよい。
この波形プレート4により、特に踵部におけるミッドソール部3の足裏支持面3aに鉛直上下方向の衝撃が生じてもミッドソール部3が局所的に大きく変形することがなく、歩行時または走行時における人体の足首が内側方向または外側方向に向かって過度に倒れ込むような状態を抑制して、より優れた安定性を保つことが可能となる。
(ソール部)
次に、ソール部5は、主に人体の足の踵部を支持するためのものであり、その上部が接着剤などにより波形プレート4の下部に固着されている。このソール部5は、例えばEVA(エチレンビニルアルコール樹脂)樹脂発泡体またはEVAラバー材からなり、クッション性を保ちながら足の踵部を安定的に支持することが可能となる。なお、ソール部5の材質については、耐磨耗性という観点からEVAラバー材の方がEVA樹脂発泡体よりも好ましい。
図4に示すように、このソール部5は、踵部の足外甲側を支持する外甲側支持部6と、踵部の足内甲側を支持する内甲側支持部8とを有している。外甲側支持部6および内甲側支持部8の各々は、前後方向において前部6a,8aおよび後部6b,8bにそれぞれ分けられており、前部6a,8aの後端部分と後部6b,8bの前端部分とが連結部10,10により互いに連結された状態で前後方向に延びている。そして、外甲側支持部6および内甲側支持部8は、前側および後側にそれぞれ配置された連結部10,10により互いに連結されている。
外甲側支持部6には、上下方向に貫通形成された複数の第1貫通孔7,7,…が前後方向に所定の間隔をあけて並設されている。具体的に、外甲側支持部6の前部6aには、2つの第1貫通孔7,7が前後方向に所定の間隔をあけて並設されており、足先側の第1貫通孔7が底面視で足先側に向かって先細る略三角形状に形成されている一方、踵部側の第1貫通孔7が底面視で左右方向に延びる略矩形状に形成されている。また、外甲側支持部6の後部6bには、3つの第1貫通孔7,7,…が前後方向に所定の間隔をあけて並設されており、各第1貫通孔7は底面視で左右方向に延びる略矩形状に形成されている。
また、内甲側支持部8には、上下方向に貫通形成された複数の第2貫通孔9,9,…が前後方向に所定の間隔をあけて並設されている。具体的に、内甲側支持部8の前部8aには、2つの第1貫通孔7,7が前後方向に所定の間隔をあけて並設されており、いずれも底面視で前後方向に延びる略矩形状に形成されている。また、内甲側支持部8の後部8bには、前後方向に延びる略矩形状の第2貫通孔9が1つだけ設けられている。
(突起体)
図2に示すように、突起体11は、前記ソール部5の外甲側支持部6および内甲側支持部8の上側に位置してそれらに組み合わされる部材であり、外甲側支持部6の前部6aに対応する外甲側前部突起体12と、内甲側支持部8の前部8aに対応する内甲側前部突起体13と、外甲側支持部6の後部6bおよび内甲側支持部8の後部8bにそれぞれ対応する後部突起体14とを有している。この突起体12,13,14の各々は、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、二トリルブタジエンゴム(NBR)、またはこれら2種以上のゴム材を混ぜ合わせた混合材により構成されている。
突起体12,13,14の各々は、前後方向に延びかつ断面視で指先側から踵部側に向かって上方に向かうように湾曲した板状の基台部15を有している。図5および図6にも示すように、各基台部15は、その上部が波形プレート4の下部に沿うように配置された状態で接着剤により波形プレート4の下部に固着されている。
図5にも示すように、外甲側前部突起体12における基台部15の下面には、下方に突出している複数(図示例では2つ)の第1突起部21,21が前後方向において互いに所定の間隔をあけて並設されている。この外甲側前部突起体12における足先側の第1突起部21は、底面視で足先側に向かって先細る略三角形状に形成されている一方、踵部側の第1突起部21は、底面視で左右方向に延びる略矩形状に形成されている。また、後部突起体14の基台部15における足外甲側の下面には、複数(図示例では3つ)の第1突起部21,21,…が前後方向において互いに所定の間隔をあけて並設されており、この各第1突起部21はいずれも底面視で左右方向に延びる略矩形状に形成されている。さらに、各第1突起部21が各第1貫通孔7に挿通された状態において、各第1突起部21の下端部が第1貫通孔7からソール部5下面よりも下方に突出するように形成されている。
また、各第1突起部21は、その前部が断面視で略垂直になるように上下方向に延びており、各第1突起部21が各第1貫通孔7に挿通された状態で、この前部が各第1貫通孔7における指先側の壁部に対して略隙間なく密着している。
さらに、各第1突起部21の後部には、各第1突起部21の下端部に向かって踵部側から指先側に向かうように傾斜した傾斜面21aが形成されている。そして、各第1突起部21が各第1貫通孔7に挿通された状態において、傾斜面21aと第1貫通孔7における踵部側の壁部との間に踵側間隙23が形成されている。この踵側間隙23により、各第1突起部21は、各第1貫通孔7に挿通された状態で指先側に向かう方向に比べ踵部側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されている。
次に、図2に示すように、内甲側前部突起体13の基台部15の下面には、下方に突出している複数(図示例では2つ)の第2突起部22,22が設けられている一方、後部突起体14の基台部15における足内甲側の下面には、1つの第2突起部22が設けられている。各第2突起部22は、底面視で前後方向に延びる略矩形状に形成されている。そして、第2突起部22は、前後方向において互いに所定の間隔をあけて並設されている。また、各第2突起部22が各第2貫通孔9に挿通された状態において、各第2突起部22は、その下端部が第2貫通孔9からソール部5下面よりも下方に突出するように形成されている。
図6に示すように、各第2突起部22は、足外甲側の側部が断面視で略垂直になるように上下方向に延びており、各第2突起部22が各第2貫通孔9に挿通された状態でこの側部が各第2貫通孔9における足外甲側の壁部に対して略隙間なく密着している。
また、各第2突起部22の足内甲側における側部には、各第2突起部22の下端部に向かって足内甲側から足外甲側に向かうように傾斜した傾斜面22aが形成されている。そして、各第2突起部22が各第2貫通孔9に挿通された状態において、傾斜面22aと第2貫通孔9における足内甲側の壁部との間に内甲側間隙24が形成されている。この内甲側間隙24により、各第2突起部22は、各第2貫通孔9に挿通された状態で足外甲側に向かう方向に比べ足内甲側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されている。
(実施形態の作用効果)
ここで、本発明の実施形態に係るシューズSを履いた使用者が例えばバレーボールやハンドボールなどの運動中において足を床に踏み込んで前方にダッシュしようとする場合に、足を床に踏み込んだ際の床からの反力F1が各第1突起部21に付与される。これにより、ソール部5の各第1貫通孔7内で各第1突起部21が踵部側にスムーズに変形するようになる(図5のf1参照)。そして、各第1突起部21には変形に基づく弾性エネルギーが蓄えられ、ダッシュ時の体重移動に伴い上記弾性エネルギーが放出されて前方へのグリップ力が生じるようになる。その結果、前方へのダッシュ力を高めることが可能となる。
また、上記の場合とは逆に、シューズSを履いた使用者が後方向に移動している状態から急停止するような場合、図5に示すように、床からの反力F2が各第1突起部21に付与される。この場合において、各第1突起部21が各第1貫通孔7内で指先側に変形しにくいことから、ソール部5の各第1貫通孔7内で指先側に向かう各第1突起部21の変形量が抑制される(図5のf2参照)。すなわち、シューズSを履いた使用者が後方向に急停止しようとする場合には、各第1貫通孔7内で各第1突起部21がほとんど変形せずに大きなグリップ力が生じないようになっていることから、急停止したときの使用者の感覚と実際の急停止のタイミングとの間にズレが生じるのを抑制することができる。その結果、使用者は次の動作に素早く移ることが可能となる。
このように、ソール部5により足の踵部におけるクッション性および安定性を保ちながら、第1突起部21により、前後方向における使用者の動作に応じて足の踵部を起点として体重移動をスムーズにすることができる。
他方、例えば反復横跳びなどの動作において、使用者が左足の踵部(特に足内甲側の踵部)を床に踏み込んで右方向(すなわち図6に示す左足の足内甲側の方向)に急に方向転換しようとする場合、図6に示すように、各第2突起部22には反力F3が付与される。これにより、各第2突起部22がソール部5の各第2貫通孔9内で足内甲側に変形するようになる(図6のf3参照)。そして、足を床に踏み込んだ際に各第2突起部22がソール部5の各第2貫通孔9内で足内甲側にスムーズに変形することで、各第2突起部22には弾性エネルギーが蓄えられる。その後、ダッシュ時の体重移動に伴い各第2突起部22に蓄えられた弾性エネルギーが放出されてグリップ力が生じる結果、左右いずれかの方向へのダッシュ力を高めることが可能となる。
また、本実施形態では、第1突起部21の後部に傾斜面21aを形成することにより、簡易な構成で第1貫通孔7の踵側の壁部との間に踵側間隙23を設けることができる。
また、本実施形態では、複数の第1貫通孔7,7,…が前後方向に間隔をあけて並設されており、複数の第1突起部21,21,…がそれぞれ第1貫通孔7,7,…に挿通されていることから、足全体の床に対する前方向へのグリップ力をより一層高めることができる。
また、本実施形態では、第1および第2突起部21,22の各々が第1および第2貫通孔7,9にそれぞれ挿通された状態で下端部が第1および第2貫通孔7,9からソール部5下面よりも下方に突出していることから、力F1および力F3を直接的に第1および第2突起部21,22の各々に作用させることが可能となり、その結果、足全体の床に対する前方向および左右方向へのグリップ力をより一層高めることができる。
また、本実施形態では、第1貫通孔7および第1突起部21は、左右方向に延びるように形成されていることから、力F1の作用を受けることが可能な領域を大きくすることが可能となり、その結果、足全体の床に対する前方向へのグリップ力をより一層高めることができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態のソール構造1では、アウトソール部2、ミッドソール部3、および波形プレート4を備える形態を示したが、この形態に限られない。例えば、ソール部5を人体の足の指先側から踵部後側までの足裏面を支持する足裏支持面を有しかつ踵部に外甲側支持部6および内甲側支持部8を有する構成とし、このソール部5の外甲側支持部6および内甲側支持部8に突起体11を組み合わせたソール構造1であってもよい。このような形態のソール構造1であれば、アウトソール部2、ミッドソール部3、および波形プレート4は不要である。
上記実施形態のソール構造1では、第1貫通孔7,7,…、第2貫通孔9,9,…、第1突起部21,21,…、および第2突起部22,22,…をそれぞれ複数備える形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、ソール構造1は、第1貫通孔7、第2貫通孔9、第1突起部21、および第2突起部22を一つずつ備える形態であってもよい。
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
本発明は、例えばバレーボール、ハンドボール、バスケットボールなどのインドア用のスポーツシューズとして産業上の利用が可能である。
S:シューズ
1:ソール構造
2:アウトソール部
3:ミッドソール部
4:波形プレート
5:ソール部
6:外甲側支持部
7:第1貫通孔
8:内甲側支持部
9:第2貫通孔
11:突起体
12:外甲側前部突起体
13:内甲側前部突起体
14:後部突起体
15:基台部
21:第1突起部
21a:傾斜面
23:踵側間隙
22:第2突起部
22a:傾斜面
24:内甲側間隙

Claims (8)

  1. 人体の足の踵部を支持し、足外甲側に第1貫通孔が上下方向に貫通するように形成されたソール部と、
    前記ソール部の上側に設けられ、基台部と、該基台部の下面に突設され、前記ソール部の第1貫通孔に挿通された第1突起部とを有する突起体と、を備え、
    前記第1貫通孔の踵側の壁部と、該第1貫通孔に挿通された前記第1突起部の後部との間には踵側間隙が形成されており、
    前記第1突起部は、前記踵側間隙により、指先側に向かう方向に比べ踵部側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されている、シューズ用ソール構造。
  2. 請求項1に記載のシューズ用ソール構造において、
    前記第1突起部の後部には、下側に向かって指先側に向かうように傾斜した傾斜面が形成されていて、該傾斜面と前記第1貫通孔の踵側の壁部との間に前記踵側間隙が設けられている、シューズ用ソール構造。
  3. 請求項1または2に記載のシューズ用ソール構造において、
    複数の前記第1貫通孔が前後方向に間隔をあけて並設されており、
    複数の前記第1突起部がそれぞれ前記第1貫通孔に挿通されている、シューズ用ソール構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシューズ用ソール構造において、
    前記第1突起部は、下端部が前記ソール部下面よりも下方に突出している、シューズ用ソール構造。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシューズ用ソール構造において、
    前記第1貫通孔および前記第1突起部は、左右方向に延びている、シューズ用ソール構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のシューズ用ソール構造において、
    前記ソール部は、足内甲側に第2貫通孔が形成されており、
    前記突起体は、前記第2貫通孔に挿通された第2突起部を有し、
    前記第2貫通孔の足内甲側の壁部と、該第2貫通孔に挿通された前記第2突起部の足内甲側の側部との間には内甲側間隙が形成されており、
    前記第2突起部は、前記内甲側間隙により、足外甲側に向かう方向に比べ足内甲側に向かう方向に変形しやすくなるように構成されている、シューズ用ソール構造。
  7. 請求項6に記載のシューズ用ソール構造において、
    前記第2突起部は、下端部が前記ソール部下面よりも下方に突出している、シューズ用ソール構造。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のシューズ用ソール構造を備える、シューズ。
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