JP2010051070A - 単相ステッピングモータ制御方法および制御装置 - Google Patents

単相ステッピングモータ制御方法および制御装置 Download PDF

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真朗 松原
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Abstract

【課題】起動を確実且つ簡単に行うことができると共に、起動から定速までの加速を速やかに行うことができる単相ステッピングモータ制御方法および制御装置を提供する
【解決手段】任意位置に無励磁で停止している状態から、順方向励磁してホールドトルクがゼロの位置へ移動させ、この状態で励磁を切って無励磁とし、ディテントトルクを作用させてディテントトルク特性のトルクがゼロの位置まで移動させて起動の準備を完了する。次に、トルク特性上、所定の回転方向になるように「逆方向励磁→順方向励磁→」と交互に励磁して加速し、所定の高速(定速)まで立ち上げる。
【選択図】図8

Description

本発明は、無励磁待機状態からの単相ステッピングモータ立ち上げ時の初期入力パルスのシーケンスに関し、特に、正しい回転方向にスムーズに起動できると共に、その後の高速回転域への加速もスムーズに行えるようにした単相ステッピングモータ制御方法および制御装置に関する。
最近、携帯電話器の振動発生用として単相ステッピングモータが用いられるようになってきている。この種の単相ステッピングモータは、携帯電話器内の狭い収納空間に収まるように、コイルは単相で、ロータ等に永久磁石を用いた簡単な構成になっている。このモータは体感的に効率的な振動発生のために偏心錘を約9000回転/分(r/min)程度で回転する必要がある。携帯電話器はバッテリを電源としている都合上、このような高速(定速)まで短時間で立ち上げるためには、起動に失敗することなく、できるだけ早く定速である約9000回転/分まで加速する起動制御特性が求められている。
従来は、無励磁の停止状態から駆動パルスを印加して起動していた。無励磁からの起動は、主に、(1)ディテントトルクがゼロ(以下、「“0”」と表す。)の位置から駆動パルスを印加して起動する方法と、(2)リセット位置、例えば、ホールド制御位置から駆動パルスを印加して起動する方法とがある。
上記(1)の方法の場合、非対称形状の極歯を有するステータに単相コイルの励磁巻線を設け、ロータに永久磁石を設け、起動トルクを簡単な構成により発生させるため、無励磁時における永久磁石の保持トルク(ディテントトルク)によりホールド位置と異なるディテント位置に停止させておき、その停止位置から励磁巻線に駆動パルスを印加し回転トルクを発生させる。
これに関し、例えば特許文献1には、「(段落)0077・・・駆動電流を切る(OFF)と、・・・この部位Pと磁気的に安定した状態になるようにロータマグネットはY5の段の位置まで距離F2だけ移動する。・・・、始動のためにステータコイルに駆動電流を流すと、ロータマグネットに図3(a)において右方向へ向かう始動トルクが働き、所定方向へ回転させることができる。」と記載され、一般的な、アンバランス形状の極歯によってディテント位置に移動させてから起動する駆動方法が示されている。
この方法では、停止時、無励磁状態で停止させるため、ディテントトルクで状態保持し待機している。ディテントトルクは、滑らかな回転をさせるためにはできるだけ小さくすることが必要となる。このため、待機時、ロータの磁極位置と立ち上げ時最初に励磁をする相の位置はほとんどの場合程度の差はあれどもずれている。従って、ロータの回転方向が定まらずロータが励磁相の回転に追従することができずに乱調を起こしてしまう問題がある。
この問題を特許文献1の起動および駆動制御の態様に基づいて説明する。特許文献1では、ステータに単相コイルの励磁巻線を設け、ロータに8極(45°/ステップ)の非対称形状(下記θ−T特性を満たす構成)の極歯を有する永久磁石を設け、起動トルクを簡単な構成により発生させるため、無励磁時における永久磁石の保持トルク(ディテントトルク)によりホールド位置と異なるディテント位置に停止させておき、その停止位置から励磁巻線に駆動パルスを印加し回転トルクを発生させている。
特許文献1の単相ステッピングモータのための駆動ステップは下記表1のステップのようになる。以下、ステップ順に説明する。
(1)ステップ1
このステップでの停止位置はディテントトルクがゼロ(“0”)の安定位置であり、図1のθ−T特性(機械角(θ)−トルク(T)特性)図の「1」の位置になる。図1は、ディテントトルク特性とディテントトルクが作用する角度範囲を示すθ−T特性図であり、横軸は機械角(θ)、縦軸はトルクで、ディテントトルク特性曲線は点線で表す。
(2)ステップ2
図2は、順方向励磁時のθ(機械角)−T(トルク)特性図であり、ホールドトルク(+)(順方向励磁時のホールドトルク)特性とディテントトルク特性を示し、順方向励磁したときにいずれのディテントトルクが“0”の位置「1」からでもホールドトルク(+)特性曲線上の「2」の位置へ進む(回転する)ことを示す図である。図2中、実線はホールドトルク(+)特性曲線、点線はディテントトルク特性曲線を表す。
ステップ2のように励磁するとホールドトルク(+)が発生する。ディテントトルク特性曲線とホールドトルク(+)特性曲線はトルク“0”で交差していないので無励磁時にディテントトルク“0”の4つのどの位置にロータが停止していてもトルクが発生する。
そのトルクは全て安定位置「2」に向かっているので、ロータは「2」に移動して停止する。ホールドトルク(+)は、励磁コイルのターミナルAを電源の「+」に接続し、ターミナルBを電源の「−」に接続したときに発生するトルクで、なだらかな傾き上の「2」の位置に移動し、停止する特性を有し、順方向励磁トルクという。
ホールドトルク(−)(逆方向励磁時のホールドトルク)は、各ターミナルに接続する電源の極性がホールドトルク(+)の場合と逆になり、ホールドトルク(+)特性と45度の位相差を有する。
ホールドトルク(+)特性曲線がトルク“0”より+側(上側)にあれば、図上では右方向(角度が増加する方向)へ進み、ホールドトルク(+)特性曲線がトルク“0”より−側(下側)にあれば、図上では左方向(角度が減少する方向)へ進む。この結果、いずれにしても「2」の位置へ進む。
(3)ステップ3
図11は、ホールドトルク(+)特性とホールドトルク(−)特性のθ−T特性図であり、両特性のトルク“0”を含む不感帯が重なることを示す。図11中、実線はホールドトルク(+)特性曲線、一点鎖線はホールドトルク(−)特性曲線、四角形枠は不感帯を表す。
トルクが「+」の順方向のホールドトルク(+)特性曲線上を機械角の増加と共にホールドトルク(+)特性曲線とホールドトルク(−)特性曲線が交差する付近(おおよそ60度近辺)まで進んだ段階でステップ3として示すように励磁を切り換えると、図11に示すホールドトルク(−)曲線上のトルク特性(トルクが「+」側の特性)に乗り移る。
このとき、モータ組み立て時の位置合わせのばらつきや、これに伴うトルク特性上の不感帯位置のばらつき等により、ホールドトルク(+)特性のトルク“0”の位置とホールドトルク(−)特性のトルク“0”の位置に重なりが生じたり、ホールドトルク(+)特性とホールドトルク(−)特性における「トルク“0”を含む不感帯領域」に重なりが生じたりすると、引き続き逆方向励磁パルスにて励磁しても、どちらにも進めない、すなわち、「2」の位置においてトルクが発生しない場合が生じ、起動不能となり脱調に至る。
更には、ステップ3のように、ホールドトルク(+)特性曲線とホールドトルク(−)特性曲線における「トルク“0”を含む不感帯領域」に重なりが生じ、図12の位相がずれたディテントトルク特性曲線上の右肩上がりの領域のトルク“0”の位置が前記不感帯領域に含まれる状況で、無励磁時に前記不感帯領域内に停止していると、引き続き順方向または逆方向のパルス信号にて励磁しても、また、無励磁でディテント位置へ変移させようとしても、結局どちらにも進めない状態に陥る。図12は図11のθ−T特性に位相が進んだディテントトルク特性が重なったθ−T特性図で、3特性曲線のトルク“0”を含む不感帯が重なる場合の例を示す。図12中、実線はホールドトルク(+)特性曲線、一点鎖線はホールドトルク(−)特性曲線、点線はディテントトルク特性曲線、四角形枠は不感帯を表す。
上記の、どちらにも進めない状態を解消するために、従来は、一般的には、ホールドトルクの安定位置から90度位相がずれた位置にディテントトルクの安定位置が来るように極歯や補極を設定している。これにより、第1パルス入力時にCW/CCWどちらに移動してもホールドトルク安定位置までの到達時間はほぼ等しくなるので、第2パルスへの切り換えタイミングが固定されても起動は安定する。
このような場合には、ロータを特定の位置に位置決めする必要がないため、加速から高速(定速)のパルスパターンで起動が可能となる。
しかしながら、ディテントトルク特性曲線上の右上がり曲線領域におけるトルク“0”の位置が、図12のようにホールドトルクの“0”付近(「“0”を含む不感帯領域」)に来るので、無励磁時にその位置に停止していると起動ができない場合が発生する。
以上述べた点が、上記「(1)ディテントトルクがゼロの位置から駆動パルスを印加して起動する方法」の主な問題点となる。
次に、上記(2)の方法の場合の問題点について説明する。
無励磁状態で待機をしている単相ステッピングモータの起動を行う場合、ロータの初期位置を決めるために、例えば、ホールド制御と呼ばれる、起動の最初に任意の相を一定時間連続励磁する制御を行う。もしもロータの初期位置を決めずにモータの立ち上げを開始すると、ロータの回転方向が定まらずロータが励磁の回転に追従することができずに乱調を起こしてしまう。そこでこのホールド制御を行うことにより、起動のためのロータの初期位置を決め、立ち上げ時にロータが乱調を起こすことを防止し、単相ステッピングモータの脱調を防止して安定な立ち上げを行うようにしている(特許文献2、特許文献3参照)。
しかし、上記ホールド制御のための駆動信号は、通常の駆動信号と異なる特殊な信号として形成しなければならず、そのための信号発生手段を別に必要とするものであった。
また、前記ホールド制御を行った時、ロータを任意の位置から初期位置まで回転させる距離は通常回転時の1ステップの移動距離よりも長くなることもある。そのためホールド期間に発生するロータの振動は比較的大きなものとなり、また、ロータの振動が収まるまでには比較的長い時間を必要とする。それを避けるために、安定したモータの立ち上げを実現するためにロータの振動が収まってからモータの立ち上げを開始すると、モータの立ち上げ時間は長くなってしまう問題があった。
これらの従来例の問題点を検討した結果、上記(1)の方法において、かならずディテントトルク特性のトルク“0”の位置に無励磁で停止するようにするために、任意位置に無励磁で停止している状態から、順方向励磁してホールドトルク特性のトルク“0”の位置へ移動させ、この状態で励磁を切って無励磁とし、ディテントトルクを作用させてディテントトルク特性のトルク“0”の位置まで移動させて起動の準備を完了する。次に、トルク特性上、所定の回転方向になるように「逆方向励磁→順方向励磁→」と交互に励磁して加速し、所定の高速まで立ち上げるように構成することが実用上最も簡単で最も可能性が高いという知見を得た。
この知見に部分的に関係するものとしては特許文献4が見いだされたが、本発明の知見はこの特許文献4記載の技術とは異なることを説明して、本発明の知見の技術的意義を説明する。
特許文献4は、コイルを順方向励磁→無励磁→逆方向励磁→無励磁→・・・と順次連続的に切り換えることでロータを一方向に回転させる駆動方法である。
(2)特許文献4の制御について:
図13は、特許文献4における励磁位置関係、特に、ステータ側の励磁コイルの磁束を透過する上下ヨーク21および23と、ロータ側の永久磁石の上面と下面に別々に設けられたN極磁極板のN凸極15とS極磁極板のS凸極16の励磁位置の関係を示す。上ヨーク21は、4個のクローポール形磁極片21aを有し、順方向励磁でN極となり、逆方向励磁でS極となる。また、下ヨーク23は、4個のクローポール形磁極片23aを有し、順方向励磁でS極となり、逆方向励磁でN極となる。N凸極15の左側が径方向外方への突出量の大きい大凸部15aであり、右側が突出量の小さい小凸部15bとなる。同様に、S凸極16の左側が径方向外方への突出量の大きい大凸部16aであり、右側が突出量の小さい小凸部16bとなる。各磁極片21aは90度間隔で設けられ、同じく、各磁極片23aも90度間隔で設けられている。磁極片21aと磁極片23aは円周上で相互に45度の間隔を有するように配置される。N凸極15とS凸極16は磁極片21aと磁極片23aの間隔に一致するように45度の間隔で位置決めされている。
この状態から、(1)順方向励磁を行うと、N凸極15とS極となる磁極片23aとが吸引しあい、S凸極16とN極となる磁極片21aとが吸引しあい、その位置で停止する。
次に(2)無励磁にする。永久磁石の磁力のみになるため、永久磁石の磁力は磁気抵抗の小さい経路、すなわち、大凸部15aが磁極片23aを介して磁路を形成し、大凸部16aは磁極片21aを介して磁路を形成して、ディテントトルクが“0”の位置を決める。この状態は励磁時よりロータの磁極の位置が回転方向にずれている。
次にこの状態から(3)逆方向励磁を行う。無励磁でずれていた位置からロータの凸極を吸引するため、N凸極15とS極となる磁極片21aとが吸引しあい、S凸極16とN極となる磁極片23aとが吸引しあい、その位置で停止する。
次にまた同じく(4)無励磁とし、ディテントトルクで大凸部が磁極片に対向するように回転方向に移動し停止する。以下、(1)、(2)、(3)を順に実行して回転する。この場合、順方向励磁→無励磁→逆方向励磁→無励磁→順方向励磁→・・・の順に励磁している。この励磁制御態様は、起動後の連続駆動している時のパルスパターンと考えられる。
この特許文献4には起動態様について言及されていないので、公報には「1方向に回転」と記載されているが、ディテント停止位置と励磁電流の向きによりCW/CCWどちらにも動く可能性があるので、第1パルスを印加したとき、必ずしも1方向に回転することにはならない。
また、駆動態様に「無励磁」を含む意味は、順方向または逆方向の励磁で回動しホールドトルクが“0”の位置に停止した後ディテントトルク“0”の位置に移動させる必要があるからで、その必要性は2つある。
1つは、トルク特性が毎回起動のための「無励磁」を必要とすることである。例えば、トルク特性が図14のようになることを意味する。図14は特許文献4のθ−T特性を示す。図14中、最も太い実線はホールドトルク(+)特性曲線、2番目に太い実線はホールドトルク(−)特性曲線、最も細い実線はディテントトルク特性曲線を表す。
図14において、停止していたディテントトルク“0”の位置aから順方向励磁すると実線矢印の経路で順方向のトルク“0”の位置bに停止する。無励磁にするとアンバランスな極歯構造のために位置cへ移動し停止する。次に逆方向励磁すると、実線矢印の経路で順方向のトルク“0”の位置dに移動し停止する。無励磁にすると位置eへ移動し停止する。以下、順次同様に行い歩進する。
もし順方向励磁で位置bまで進んだ時点で「無励磁」でなく逆方向励磁を行った場合には、点線矢印の経路を経て位置fへ戻ってしまう。
もう1つは、用途として、例えば時計の針を駆動する場合のように時間毎に針を表示位置に停止するように回転軸を所定角度毎に停止する必要がある場合である。いずれにしても、特許文献4は、トルク特性と用途が相互に関係するものとなる。
特開2006−074949号公報 特開2005−073441号公報 特開2005−261023号公報 特開昭64−005347号公報
以上の説明から明らかなように、まず特許文献4のものは励磁状態間で毎回無励磁状態を作る必要から、本発明のもののように高速駆動はできない。即ち、特許文献4のように「無励磁」状態を作る意味はモータが停止に近い状態で無励磁にすることで、ロータがホールド時の位置とは異なる位置に移動させるためであり、高速回転時のように連続駆動の場合には停止に近い状態が発生しないので無励磁状態でロータを移動させることは基本的に無理である。
また、振動モータに要求される回転数に関しては、一般的に9000回転/分程度が体感振動が良好とされているため、約9000回転/分で回転させる場合がほとんどになる。
また、特許文献4の回転数に関しては、実用上、ムーブメントがベースの駆動方法となるため約1回転/分程度であり、高速で回したとしても約10回転/分程度が考えられる限度となる。
また、振動モータ用の偏心錘等が負荷の場合、ディテントトルク“0”の位置で必ず停止することは望み得ない。従って、第1パルスを印加したとき、必ずしも一方向に回転することにはならない。
また、本発明の駆動制御に関しては、起動時間(立ち上がり時間)は、振動モータとしての要求から短いほど良いので最初ゆっくり回すということは基本的には行わない。このことは、起動から定速(高速)までの立ち上げを回転不能(脱調等)とならない程度の最高速度で立ち上げることを意味している。
また、携帯電話器でのON/OFF駆動に関しては、モータを停止させるときに電力を消費させたくないので、電源をOFFし惰性で止めている。なお、ターミナルAとBの接地(端子間ショート)が最も停止時間を短くできるので、端子間ショートが好ましい。
このため、従来は、起動時には、ロータの位置と電流の向きは必ずしも一定とはならず、最初のパルス入力で逆回転する場合もある。
この点は改良しなければならない点で、OFF時はディテントトルクが“0”の位置に停止するが、このディテントトルク“0”の位置に対向してホールド(+)特性とホールド(−)特性の不感帯以外の領域が存在しなければならず、これが本発明のθ−T特性の特徴となっている。
以上説明したように、本願発明と特許文献4の相違点は、(a)本願発明のものが定速での駆動態様として「無励磁」を含まないのに比べ、特許文献4のものが定速での駆動態様として「無励磁」を含む点、(b)本願発明のものが、「順方向励磁→無励磁」と起動準備し、「→逆方向励磁→順方向励磁→・・・」と起動から加速を連続的に行うのに対し、特許文献4のものは起動については開示していなく、更には、起動から加速への駆動態様を開示していない点、で相違する。
このことから、本願発明は、格別作成するものではなく、常時使用する順方向励磁信号および逆方向励磁信号を用い、「順方向励磁→無励磁」と起動準備し、「→逆方向励磁→順方向励磁→・・・」と起動から加速を連続的に行い、最終的に高速駆動することができるという格別な効果を奏する点で、そのような効果を奏しない特許文献3のものと顕著に相違する。
以上の検討結果から、本発明は、起動を確実且つ簡単に行うことができると共に、起動から高速(定速)までの加速を速やかに行うことができる単相ステッピングモータ制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
また、本発明の目的は、任意の位置に停止しているロータを通常のパルスパターンの信号で確実に起動させる単相ステッピングモータ制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、所定のθ−T特性(条件1)を備えた単相ステッピングモータを起動する際、このθ−T特性において、まず順方向励磁してホールドトルク(+)特性のトルク“0”の位置に位置決めし、次に無励磁に切り換え、逆励磁トルクが回転方向に働くホールドトルク(+)領域に対向すると共に不感帯領域外になるディテントトルク特性のトルク“0”の位置に移動させて(条件2)起動開始準備を完了する。
この後は、逆方向励磁→順方向励磁→逆方向励磁→・・・の順(条件3)で回転方向にトルクが働くように駆動パルスを連続して印加し、回転数を上げていって高速(定速)まで立ち上げるように制御する。
振動モータの用途の場合、励磁電流のON/OFFの繰り返しが基本動作となる。偏心錘を高速回転で駆動させている状況から停止させるとき、励磁してブレーキをかけると、ブレーキは電流を消費するので、省エネルギーの観点から、完全に停止するまでブレーキを掛けず、しかもできるだけ短い時間で停止させる。その後、再起動させる。制御はこのような停止と再起動の繰り返しであるが、停止したときのロータの特殊な位置制御を行わなくても、確実に起動させる必要がある。本発明は、普通に用いられるホールドトルクとディテントトルクのみを用いて、順方向励磁してホールドトルク(+)特性のトルク“0”の位置に位置決めし、次に無励磁に切り換え、逆励磁トルクが回転方向に働くホールドトルク(+)領域に対向すると共に不感帯領域外になるディテントトルク特性のトルク“0”の位置に移動させて(条件2)起動開始準備を完了する。
起動の最初の第1パルス幅を、ホールドトルクが“0”の停止位置に最も遠いディテント停止位置からの移動時間以上のパルス幅に設定する。これにより、すべてのホールドトルクが“0”の停止位置に対してどこであろうと必ず停止させることができる。
具体的には、以下のような解決手段をとる。
(1)単相ステッピングモータの制御装置は、ディテントトルク特性のトルク“0”の位置が、順方向励磁時の機械角対トルク特性および逆方向励磁時の機械角対トルク特性の不感帯領域に含まれない位置に離れている機械角対トルク特性を有する単相ステッピングモータの制御装置であって、
単相ステッピングモータへ最初の順方向励磁パルスを加えた後、励磁パルスを加えずに前記単相ステッピングモータを無励磁とし、前記無励磁の次に逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスをこの順に交互に加えるように動作する。
(2)単相ステッピングモータの制御装置は、前記無励磁としたとき、ディテントトルクを作用させて、ロータをディテントトルク特性のトルク“0”の位置まで移動させるようにする。
(3)単相ステッピングモータの制御装置は、前記無励磁の次に逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスの順に交互に加える逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスを、前記単相ステッピングモータの回転数が所定の高速の定速になるまで連続して単相ステッピングモータへ出力するように動作する。
(4)単相ステッピングモータの制御装置は、前記最初の順方向励磁パルス幅を、機械角対トルク特性において、すべてのディテントトルク特性のトルク“0”の位置から前記順方向励磁トルクが“0”の位置へ移動する時間のうち最長の時間よりも長いパルス幅とする。
(5)単相ステッピングモータの制御方法は、ディテントトルク特性のトルク“0”の位置が、順方向励磁時の機械角対トルク特性および逆方向励磁時の機械角対トルク特性の不感帯領域に含まれない位置に離れている機械角対トルク特性を有する単相ステッピングモータの制御方法であって、
単相ステッピングモータへ最初の順方向励磁パルスを加えた後、励磁パルスを加えずに前記単相ステッピングモータを無励磁とし、前記無励磁の次に逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスをこの順に交互に加えるように動作させる。
従来のものは、ホールドトルク(+)特性のトルク“0”とホールドトルク(−)特性のトルク“0”の位置に重なりが生じたり、ホールドトルク(+)のトルク特性とホールドトルク(−)のトルク特性における「トルク“0”を含む不感帯領域」に重なりが生じたりする条件(1)では、引き続き逆パルスにて励磁しても、どちらにも進めない、すなわち、「2」の位置においてトルクが発生しない場合が生じ、起動不能となり脱調に至る。従来例の特許文献1はこの条件(1)では同じように起動不能となる。
また、従来例の特許文献4の場合には、毎回、単相コイルを順方向励磁→無励磁→逆方向励磁→無励磁と順次切り換えることでロータを一方向に回転させているが、起動についての言及は無く、また、高速運転は不可能となる。
さらに、特許文献4は、無励磁のディテント位置から励磁して回転させることは記載されているが、本発明のトルク特性を前提とした起動制御を示すものではない。
これらに対し、本発明のものは、このθ−T特性(条件1)を備えた単相ステッピングモータを起動する際、まず順方向励磁してホールドトルク(+)特性のトルク“0”の位置に位置決めし、次に無励磁に切り換え、逆励磁トルクが回転方向に働くホールドトルク(+)領域に対向すると共に不感帯領域外になるディテントトルク特性のトルク“0”の位置に移動させて(条件2)起動開始準備を完了する。
この後は、逆方向励磁→順方向励磁→逆方向励磁→・・・の順(条件3)で回転方向にトルクが働くように駆動パルスを連続して印加し、回転数を上げていって高速(定速)まで立ち上げる。
これにより、起動を確実且つ簡単に行うことができると共に、起動から高速(定速)までの加速を速やかに行うことができるようになる。
また、任意の位置に停止しているロータを通常のパルスパターンの信号で確実に起動させることができる。
本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
本発明の単相ステッピングモータの制御装置について、以下の構成を有する例を実施例として説明する。
単相ステッピングモータは、単相コイルの励磁巻線と該励磁巻線を覆うように配置されるとともに非対称形状(下記θ−T特性を満たす構成)の極歯を有するステータを設け、ロータに該ステータの極歯と対向する8極(40°/ステップ)の永久磁石を設け、起動トルクを簡単な構成により発生させるため、無励磁時における永久磁石の保持トルク(ディテントトルク)によりホールド位置と異なるディテント位置に停止させておき、その停止位置から励磁巻線に駆動パルスを印加し回転トルクを発生させている。
θ−T特性は、(1)ホールドトルク(+)特性とホールドトルク(−)特性において、トルク“0”を含む不感帯領域が重なる場合を含み、(2)ディテントトルク特性のトルク“0”の位置は、不感帯に含まれない位置に離れている条件を満たす。
ドライビングプログラムは、表2のようになり、その各ステップは下記のようになる。
(1)ステップ 1
ディテントトルクのトルク“0”の位置(停止位置:安定位置)は、図1の「1」の位置にある。図1は、単相ステッピングモータにおけるディテントトルク特性とディテントトルクが作用する角度範囲を示すθ(機械角)−T(トルク)特性図である。
(2)ステップ 2
図2は、順方向励磁時のθ(機械角)−T(トルク)特性図である。
ステップ2のように励磁することでホールドトルク(+)が発生する。ディテントトルクとホールドトルク(+)はトルク“0”の位置で交差していないので、無励磁時にディテントトルク特性のどの位置にロータが停止していてもトルクが発生する。そのトルクは全て安定位置「2」に向かっているので、ロータは「2」に移動し停止する。
ホールドトルク(+)曲線がディテントトルク特性のトルク“0”より+側(上側)にあれば、図上では右方向(角度が増加する方向)へ進み、ホールドトルク(+)曲線がディテントトルク“0”より−側(下側)にあれば、図上では左方向(角度が減少する方向)へ進む。
(3)ステップ 3
図3は、無励磁時に、ホールドトルク(+)特性のトルク“0”の安定位置「2」からディテントトルクが作用しディテントトルク特性のトルク“0”の位置へ移動する動作を示す。図3中、実線はホールドトルク(+)特性曲線、点線はディテントトルク特性曲線を表す。
図3に示すように、ステップ3で無励磁とすることでロータに作用するトルクはディテントトルクに切り替わる。ステップ2の場合と同様にホールドトルク(+)特性とディテントトルク特性がトルク“0”の位置で交差していないので回転トルクが発生し、ロータは「2」から「3」に向かって移動し停止する。
(4)ステップ 4
図4は無励磁から逆方向励磁したときのθ−T特性図である。図4中、一点鎖線はホールドトルク(−)特性曲線、点線はディテントトルク特性曲線を表す。
ステップ4でステップ2と逆方向に励磁しロータに作用するトルクをホールドトルク(−)に切り換える。その結果、「4」のトルクが発生しロータは矢印の方向に向かって回転し始める。
(5)ステップ 5
図5は図4の状態から励磁を逆方向励磁から順方向励磁に切り換える経過を示すθ−T特性図である。図5中、実線はホールドトルク(+)特性曲線、一点鎖線はホールドトルク(−)特性曲線を表す。
「4」の位置より右方向に回転し始めたロータがおよそトルク“0”の位置「5」に移動したタイミングでロータに作用する回転トルクがホールドトルク(+)になるように励磁を切り換える。これにより、ロータの回転トルク特性はホールド(+)のトルク特性に切り替わり、更に右方向に回転する。
(不感帯)
θ−T特性グラフ上のトルクが(+)の値の場合、トルクTは角度θが増加する方向(左から右方向)に働いている。
また、トルクが(−)の値の場合、トルクTは角度θが減少する方向(右から左方向)に働いている。従って、トルクカーブ上の右下がりでトルク“0”と交差している位置が安定位置となる。なお、トルクカーブ上の右上がりでトルク“0”と交差している位置も理論上はロータが停止できる位置となる。
トルクが“0”の位置は、機械損等により停止することが予定される角度範囲の不感帯に含まれる。ホールドトルク(+)特性のトルク“0”の位置とホールドトルク(−)特性のトルク“0”の位置は一般的には角度が互いにずれている。
しかし、部品寸法精度のばらつきや組み立て精度のばらつき等の誤差により、各トルク特性カーブの位相にもばらつきによる誤差が発生するため、ホールドトルク(+)特性のトルク“0”の位置を含む不感帯とホールドトルク(−)特性のトルク“0”の位置を含む不感帯がずれた角度位置にあるとはいえない場合、すなわち、ホールドトルク(+)特性とホールドトルク(−)特性のトルク“0”の位置を含む不感帯が重なる角度位置になる場合がある。
この場合、不感帯内に停止した状態からでは励磁しただけでは起動トルクが発生しない。
θ−T特性上の条件としては、
(a)ホールド(+)特性とホールド(−)特性において、トルク“0”を含む不感帯領域が重なる場合を含むこと、
(b)ディテントトルク特性のトルク“0”の位置は、不感帯領域に含まれない位置に離れていること、
を満足させる必要がある。
図6は、条件(b)を示すθ−T特性図である。図6中、実線はホールドトルク(+)特性曲線、一点鎖線はホールドトルク(−)特性曲線、点線はディテントトルク特性曲線、4角形枠は不感帯を表す。
図6は、ホールドトルク(+)の不感帯とホールドトルク(−)の不感帯領域が重なり、ディテントトルク特性のトルク“0”の位置が前記重なった不感帯領域に含まれない位置に離れていることが示されている。
特許文献1および4には、上記(a)、(b)の条件を満たすことが明記されていない。
本発明の場合、
条件(a)は、どのような単相ステッピングモータのトルク特性でも満たすことになる。また、条件(b)は、極歯の構造が、ホールド磁束が主に透過する位置と、ディテント磁束が主に透過する位置が回転方向に極端に離れている構造になる。
図7は、本発明の単相ステッピングモータ1のステータとロータの構成で、条件(b)を満たす構成を示す。
単相ステッピングモータ1は、アウターロータ型で、ステータ2と、このステータ2を取り囲むように配置されたロータ3を有する。
ステータ2は、周縁に沿って複数の極歯4aを有する環状の第1のステータヨーク4と、この第1のステータヨーク4に対向配置され複数の極歯5aを有する環状の第2のステータヨーク5と、第1のステータヨーク4と第2のステータヨーク5の間に配置される単相のステータコイル6を有する。第1および第2のステータヨーク4、5の極歯4aと5aは相互に櫛歯状に配置される。
ロータ3は、第1のステータヨーク4と第2のステータヨーク5を取り囲むように配置された環状のマグネット7を有する。マグネット7は極性の異なる磁極7a、7bを交互に円環状に配置している。磁極7a、7bと極歯4a、5aには点線のように磁束9が透過する。
第1および第2のステータヨーク4、5の複数の極歯4a、5aのそれぞれと対向するマグネット7の磁極7a、7bとの間のギャップを回転方向に不均一にする。すなわち、極歯4a、5aの回転方向の幅中心から一方側の小ギャップ部8aのギャップ長を均一にし、且つ他方側の大ギャップ部8bのギャップ長を前記小ギャップ部8aから徐々に広げている。ギャップ長が小さい場所ほど磁気抵抗が小さく磁束密度が高くなり、ギャップ長が大きい場所ほど磁気抵抗が大きく磁束密度が低くなる。
ステータコイル6に電流を流し励磁すると、極歯4aまたは極歯5aに異なる磁極7a又は磁極7bがそれぞれ個別に対向するようにロータ3が移動する。この状態で、ステータコイル6の励磁電流をOFFすると、マグネット7の磁力のみによってロータ3が回転移動する。その際、ギャップ8bの部位よりもギャップ8aの部位の方が磁気抵抗が小さいので、磁極7a又は7bの回転方向の幅中心に極歯4a、5aの回転方向の幅中心よりもずれたギャップ8aの部位が対向するように回転移動して停止する。ギャップ8aの部位とギャップ8bの部位を極歯4a、5aの回転方向の両端方向に離して形成する。
この極歯構成により、上記θ−T特性上の条件(b)のディテントトルク特性におけるトルク“0”の位置が、ホールドトルクの不感帯に含まれない位置に離れる構成を満たすことができる。
本発明は、上記θ−T特性上の条件(a)、(b)を満たしながら、順方向励磁→無励磁→逆方向励磁→(順方向励磁)→・・・と励磁して、起動する。
発生した起動トルクによりロータは加速し次の不感帯を通り過ぎる。不感帯を通り過ぎるタイミングで励磁状態をホールド(+)、ホールド(−)と順に切り換え、順次短くなる時間間隔で駆動パルスを連続的に発生させ、回転速度を所定の高速、例えば、約9000回転/分に立ち上げる。
(単相ステッピングモータユニット)
図8は、本発明の単相ステッピングモータユニット10のブロック構成図およびその説明図である。
図8(a)は本発明の単相ステッピングモータユニット10のブロック構成図、図8(b)は本発明の単相ステッピングモータの回転速度特性およびパルス発生周波数特性、図8(c)は本発明の単相ステッピングモータの制御信号を作るためのメモリに記憶されている回転方向パターンテーブルの内容である。
単相ステッピングモータユニット10は、単相ステッピングモータ12と制御装置11が一体となったものとして構成される。
制御装置11は、単相の励磁コイルを励磁する励磁態様を制御する励磁制御装置13と、単相ステッピングモータ12に供給する電力を制御するドライブ回路14からなる。
励磁制御装置13は、1チップのマイクロコンピュータで構成される。
マイクロコンピュータは、図示しない、周知な、CPU(中央演算装置)、ROM、RAM,タイマ、出力ポートを含み、ドライブ回路14以外の制御装置11の部分をワンチップ化している。
励磁制御装置13は、制御信号発生手段15、動作指示手段16およびパルス発生手段17からなる。
制御信号発生手段15は、図示しないシステム制御部からの制御開始信号を入力して、予めプログラムした所定の単相励磁コイルの励磁態様を演算し、演算結果に基づいてS1〜S3の制御信号を出力する。
制御信号は、単相ステッピングモータ12の回転動作を開始させるための動作開始信号S1、単相ステッピングモータ12の回転方向を決定する信号S2、単相ステッピングモータ12の使用の許可又は禁止を設定する信号S3からなる。
信号S2を作るための回転方向パターンテーブルは図8(c)の形態でメモリに記憶されている。テーブルは単相励磁コイルへの給電態様を決めるターミナルAとターミナルBの極性パターンに応じて3パターン設ける。停止(無励磁)パターンはターミナルへの給電を行わない態様、順方向励磁パターンはターミナルAが+極、ターミナルBが−極の形態、逆方向励磁パターンは順方向励磁パターンの逆のパターンになる。パターンの切替はテーブルポインタの切替による。停止(無励磁)パターンは信号S2が出力されない。
動作指示手段16は、信号S1〜S3を入力し、この信号S1〜S3と対応付けてメモリに記憶されていた単相ステッピングモータ12の駆動信号S4を選択演算してこの単相ステッピングモータ12の駆動信号S4を出力する。
駆動信号S4は、所定の組み合わせパターンの信号(例えば、4つの出力信号(OUT0〜3))であり、入力信号S1〜S3と対応関係を有するように設定されてメモリに記憶されている。前記設定はプログラム可能である。駆動信号S4は、運転のためのデータを選択する信号であり、動作指示信号である。
パルス発生手段17は、駆動信号S4を入力し、この駆動信号S4に基づいて所定の演算を行い、指令パルス信号S5を作成し、ドライブ回路14に出力する。
指令パルス信号S5は、回転速度に応じたパルス発生周波数F(t)のパルス信号になっている。
ドライブ回路14は、指令パルス信号S5を入力し、この指令パルス信号S5に応じて単相ステッピングモータ12へ印加するパルス電流を制御する。このパルス電流は、PWM(パルス幅制御)信号となっている。
図8(b)に示されるように、パルス発生周波数が所定の速度特性に対応するように発生されるので、パルス電流は、そのパルス発生周波数の増加特性に従ってパルス周波数が増加する。これに従い、速度も同様に増加し最高速度(定速)に達する。この回転速度S特性は、単相ステッピングモータ12が脱調せずに定速(高速)に最も早く到達するパターンになっている。また、この回転速度S特性を達成するためのパルス発生周波数F(t)特性も回転速度S特性に対応した特性となる。
この回転速度S特性およびパルス発生周波数F(t)特性の、時間軸に対するシーケンスはメモリに予め記憶されている。
表2の本発明のドライビングプログラムでは、(ステップ1〜2)で起動前の準備のために、ロータ位置が自由になっている無励磁の状態から、ロータ位置の位置決めのために順方向に励磁する。
このとき、制御信号発生手段15では、無励磁の処理は、単相ステッピングモータ12の使用の許可又は禁止を選択するための関数を実行し、使用の許可又は禁止信号S3をローにして使用を禁止し、無励磁の状態にする。
この無励磁の状態から、次に、単相ステッピングモータ12の回転方向を選択する処理は、制御信号発生手段15で単相ステッピングモータ12の回転方向を選択する関数を実行し、信号S2のハイ、ローを切り替えて出力する。
なお、無励磁の状態では信号S2は出力されない。
また、制御信号発生手段15では、単相ステッピングモータ12を1ステップ回転させる処理は、単相ステッピングモータ12を1ステップ回転させる関数を実行し、信号S1を一瞬ハイにし、すぐにローに落として出力する。
動作指示手段16は、信号S1がローからハイになると単相ステッピングモータ12を1ステップ回転させる信号を出力する。
これにより、ロータ位置の位置決めのために順方向に励磁することができる。
本発明のドライビングプログラムでは、(ステップ3)で、ロータ位置をディテントトルク“0”位置移動するために無励磁にしている。
このとき、制御信号発生手段15では、単相ステッピングモータ12を1ステップ回転させた後に、ウエイト関数を実行し次のステップまでの待ち時間を設ける。
ウエイト時間は、すべての順方向励磁トルクが“0”の位置からディテントトルク特性のトルク“0”の位置へ移動する時間のうち最長の時間よりも長い時間とする。
本発明のドライビングプログラムでは、(ステップ4〜8)で起動、加速、定速(高速)運転している。
このとき、制御信号発生手段15では、速度特性に対応したパルス発生周波数に応じて、回転方向指示信号S2と動作開始信号S1を出力する。パルス発生周波数は、図8(b)に示すように、回転速度S特性に対応させて作成する。例えば、図示しない、基準パルス発生手段の基準パルスを図示しないカウント手段でカウントし、カウント値が所定時間t(但し、nは任意数)毎に図8(b)の時間tに対応するパルス発生周波数F(t)を演算により求め、そのパルス発生周波数F(t)のタイミングで各パルスの動作開始信号S1を出力する。上記演算は速度特性を直線で近似した方程式を用いてもよい。
なお、パルス発生周波数F(t)を求める手段としては、予め任意のサンプリング時間間隔で図8(b)のパルス発生周波数−時間特性からパルス発生周波数の値を抽出し、テーブルに記憶しておき、時間をパラメータとしてテーブルのパルス発生周波数を読み出すようにすることもできる。
図8(b)の特性図において、時間tは本発明のドライビングプログラムのステップ2の開始時間に相当し、時間tは同じくステップ4の開始時間に、時間tはステップ6の開始時間に、時間tはステップ9に、時間tはステップ10の開始時間に相当する。
表2の本発明のドライビングプログラムでは、(ステップ9、10)で停止指令を出して励磁をOFFにし、所定時間後に無励磁状態にしている。
このとき、制御信号発生手段15では、停止指令および無励磁の処理は、単相ステッピングモータの使用の許可又は禁止を選択するための関数を実行し、使用の許可又は禁止信号S3をローにして使用を禁止し、無励磁の状態にする。
以上の説明が表2のドライビングプログラムに従った処理態様であるが、起動前の位置決めのための第1パルスを、1つのパルスP1とする代わりに漸次パルス幅が減少する複数のパルスとするときも、以上の説明を援用する。
上記実施例では、励磁制御装置13は、1チップのマイクロコンピュータで構成したが、構成要素の手段毎に回路構成とすることもできる。
例えば、制御信号発生手段15はマイクロコンピュータで構成し、動作指示手段16はPLD(プログラマブルデバイス:(Programmable Logic Device)。プログラム可能な半導体デバイス)で構成し、パルス発生手段17はパルス発信器コントローラで構成する。これらの回路の動作および機能は前記1チップのマイクロコンピュータの例で説明したとおりなのでここでは説明を省略する。
パルス発生手段17の指令パルス信号S5は、基本ステップ角に応じた周波数となる。
この場合、
回転角度(度)=ステップ角(度)×パルス数
回転速度(回転数/分)=(ステップ角(度)/360度)×パルス発生周波数(Hz)×60
となる。但し、パルス発生周波数(Hz)は、電気的なパルス振動が単位時間(ヘルツの場合は一秒)当たりに繰り返される回数である。
モータの速度を変更するときは、パルス発生周波数を変化させる。
図10は励磁パルス信号の波形図である。図10(a)は基本的な励磁パルス信号の波形図、図10(b)は改良した励磁パルス信号の波形図である。
励磁パルス信号は、図10(a)に示すように、図示しない無励磁の停止位置から、単相ステッピングモータのターミナルAとBに図示極性の電源を順次経時的に印加する。
起動前の位置決めの第1パルスP1は順方向励磁パルス信号で、図2のディテントトルク“0”の位置1からホールドトルク(+)“0”の位置2へ進むのに十分な時間幅のパルス信号になっている。
次にP2の時間幅の間無励磁パルスにする(即ち、励磁パルスを印加しない)。
次にP3の時間幅の間、ターミナルAおよびBの極性がP1信号に比べ反転した逆方向励磁パルス信号P3を発生する。このパルス信号P3を駆動回路13へ印加することにより起動を開始する。
以下、順次モータの回転数を上げるように交互に極性が異なり、パルス幅が速度に比例して短くなったパルス信号P4、P5、P6、P7、・・・を順次印加する。これにより、起動から定速までの加速を行う。
図10(b)に示すように、第1パルスを漸次パルス幅が狭くなる複数のパルス信号によって構成すると、起動の前の位置合わせ時に、最初に大きなトルクで大きく動かし、その後、漸次作用するトルクを小さくしてオーバーシュート等を抑制し、短い時間で起動準備を完了させることができるので好ましい。
図9は、本発明の励磁制御装置13が行う励磁制御ステップを示す。
スタート
(1)停止(自由位置)(ステップS1):
無励磁の自由状態で停止している。
(停止指令が出たとき、励磁をOFFにし、惰性で回転させ、ディテントトルク等により自然に停止させているので、必ずしもディテントトルクが“0”の位置で停止しているとは云えない。なお、ターミナルAとBの接地(端子間ショート)が最も停止時間を短くできるので、端子間ショートが好ましい。)
(2)位置決め(順方向励磁(ホールドトルク(+)作用))(ステップS2):
励磁コイルを順方向励磁すると、ロータにはホールドトルク(+)が作用し、ロータをホールドトルク(+)が“0”の位置まで回転させ停止させる。
(3)無励磁(ディテントトルク作用)(ステップS3):
上記(2)の位置決め状態で励磁をOFFし、ディテントトルクを作用させて、ロータをディテントトルク“0”の位置まで移動させる。
(4)起動(逆方向励磁(ホールドトルク(−)作用))(ステップS4):
ディテントトルク“0”の位置で逆方向励磁してロータにホールドトルク(−)を作用させ、ロータをホールドトルク(−)が“0”の位置へ向かって回転させる。
(5)加速1 約10ms(順方向励磁(ホールドトルク(+)作用))(ステップS5):
ロータがホールドトルク(−)の“0”の位置に近づいたとき、励磁コイルを順方向励磁すると、ロータにはホールドトルク(+)が作用し、ロータをホールドトルク(+)が“0”の位置に向かって加速し回転させる。
(6)加速2 約10ms(逆方向励磁(ホールドトルク(−)作用))(ステップS6):
ロータがホールドトルク(+)の“0”の位置に近づいたとき、励磁コイルを逆方向励磁すると、ロータにはホールドトルク(−)が作用し、ロータをホールドトルク(−)が“0”の位置に向かって加速し回転させる。
以下、ロータの回転数が高速(定速)に達するまで必要なステップ数連続して加速する。
この間のステップの説明は、上記(5)および(6)のステップと同様なので、説明は省略する。
(7)定速1 約9000回転/分(逆方向励磁(ホールドトルク(−)作用))(ステップS7):
励磁コイルを逆方向励磁して、ロータにホールドトルク(−)を作用させ、ロータをホールドトルク(−)が“0”の位置に向かって加速し回転させる。このとき、励磁パルスの周波数は、高速(定速)に対応した周波数とする。
(8)定速2 約9000回転/分(順方向励磁(ホールドトルク(+)作用))(ステップS8):
続けて励磁コイルを順方向励磁して、ロータにホールドトルク(+)を作用させ、ロータをホールドトルク(+)が“0”の位置に向かって加速し回転させる。このとき、励磁パルスの周波数は、定速に対応した周波数を維持する。
(9)励磁をOFFし、ロータを惰性で回転させる(無励磁(ディテントトルク作用)(ステップS9)):
停止指令信号により、無励磁とし、ディテントトルク等の作用により減速させる。なお、ターミナルAとBの接地(端子間ショート)が最も停止時間を短くできるので、端子間ショートが好ましい。
(10)停止(自由位置)(ステップS10):
無励磁の自由状態で停止している。
ストップ
以上説明した励磁制御ステップにおいて、無励磁ステップは起動時と停止指令時に設ければよく、その他のそれぞれの励磁ステップは、基本ステップ角および所要時間等により必要数設ける。回転数の高い領域でトルクが低下しないようにモータへの給電電力を大きくするように制御信号を変更することも必要に応じて適宜行う。
単相ステッピングモータにおけるディテントトルク特性とディテントトルクが作用する角度範囲を示すθ−T特性図である。 順方向励磁時のθ(機械角)−T(トルク)特性図である。 図3は、無励磁時に、ホールドトルク(+)が“0”の安定位置「2」からディテントトルクが作用しディテントトルク“0”の位置へ移動する動作を示す。 無励磁から逆方向励磁したときのθ−T特性図である。 図4の状態から励磁を逆方向励磁から順方向励磁に切り換える経過を示すθ−T特性図である。 条件(b)を示すθ−T特性図である。 本発明のステータとロータの構成で、条件(b)を満たす構成を示す。 本発明の単相ステッピングモータユニットのブロック構成図およびその説明図である。 本発明の励磁制御ステップを示す。 本発明の励磁パルス信号の波形図である。 ホールドトルク(+)特性とホールドトルク(−)特性のθ−T特性図である。 図11のθ−T特性に、位相が進んだディテントトルク特性が重なったθ−T特性図である。 特許文献4における励磁位置関係図である。 特許文献4のθ−T特性を示す。
符号の説明
1 単相ステッピングモータ
2 ステータ
3 ロータ
4 第1のステータヨーク
4a 極歯
5 第2のステータヨーク
5a 極歯
6 ステータコイル
7 マグネット
7a、7b 磁極
8 ギャップ
8a 小ギャップ部
8b 大ギャップ部
9 磁束
10 単相ステッピングモータユニット
11 制御装置
12 単相ステッピングモータ
13 励磁制御装置
14 ドライブ回路
15 制御信号発生手段
16 動作指示手段
17 パルス発生手段

Claims (5)

  1. ディテントトルク特性のトルク“0”の位置が、順方向励磁時の機械角対トルク特性および逆方向励磁時の機械角対トルク特性の不感帯領域に含まれない位置に離れている機械角対トルク特性を有する単相ステッピングモータの制御装置であって、
    前記単相ステッピングモータへ最初の順方向励磁パルスを加えた後、励磁パルスを加えずに前記単相ステッピングモータを無励磁とし、前記無励磁の次に逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスをこの順に交互に加えるように動作することを特徴とする単相ステッピングモータの制御装置。
  2. 前記無励磁としたとき、ディテントトルクを作用させて、ロータをディテントトルク特性のトルク“0”の位置まで移動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の単相ステッピングモータの制御装置。
  3. 前記無励磁の次に逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスの順に交互に加える逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスを、前記単相ステッピングモータの回転数が所定の高速の定速になるまで連続して前記単相ステッピングモータへ出力するように動作することを特徴とする請求項1又は2記載の単相ステッピングモータの制御装置。
  4. 前記最初の順方向励磁パルス幅を、機械角対トルク特性において、すべてのディテントトルク特性のトルク“0”の位置から前記順方向励磁トルクが“0”の位置へ移動する時間のうち最長の時間よりも長いパルス幅としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の単相ステッピングモータの制御装置。
  5. ディテントトルク特性のトルク“0”の位置が、順方向励磁時の機械角対トルク特性および逆方向励磁時の機械角対トルク特性の不感帯領域に含まれない位置に離れている機械角対トルク特性を有する単相ステッピングモータの制御方法であって、
    前記単相ステッピングモータへ最初の順方向励磁パルスを加えた後、励磁パルスを加えずに前記単相ステッピングモータを無励磁とし、前記無励磁の次に逆方向励磁パルスと順方向励磁パルスをこの順に交互に加えるように動作させることを特徴とする単相ステッピングモータの制御方法。


















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JP2015050847A (ja) * 2013-09-02 2015-03-16 株式会社タムロン ステッピングモータの駆動装置、駆動システム、及び駆動方法、及びそれを有するレンズユニット、カメラ

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