JP2010045109A - リアクトル集合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数が少なく、組立作業性に優れるリアクトル集合体を提供する。
【解決手段】リアクトル集合体1Aは、巻線21wを巻回してなるコイル(インダクタ部)21と、このコイル21が配置される環状の磁性コア20とを有する平滑用リアクトル(第1のリアクトル)2Aと、巻線31wを巻回してなるコイル(インダクタ部)31と、このコイル31が配置される磁性コア30とを有する共振用リアクトル(第2のリアクトル)3Aとを具える。コイル21を構成する巻線21wの一端部210と、コイル31を構成する巻線31wの一端部310と、端子部材4Aとが一体に接合されている。端子部材4Aを両リアクトル2A,3Aで共通に利用することで、部品点数の削減、端子部材の取り付け作業の削減を実現する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される車載DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に好適なリアクトル集合体に関するものである。特に、部品点数が少なく、組立作業性に優れるリアクトル集合体に関する。
モータを駆動源や回生時の発電源に利用するハイブリッド自動車や電気自動車といった車両の車載部品として、モータと電源との間で昇圧動作や降圧動作を行う電力変換装置がある。電力変換装置は、一般に、直流電力の大きさを変えるコンバータと、直流電力と交流電力とを相互に変換させるインバータとを具える。
コンバータは、通常、ON/OFFのスイッチング動作を行うトランジスタといったスイッチング素子と、スイッチング動作により発生する交流電流を平滑化する平滑用リアクトルと、発生した交流電圧を平滑化するコンデンサとを具える。近年、ハイブリッド自動車などに具える電源は、高周波化による部品の小型化が検討されている。上記スイッチング動作は、高周波化するとスイッチング損失が増大するため、この損失を低減できるようにスイッチング損失が少ないソフトスイッチングが望まれる。そこで、ソフトスイッチングを行えるように共振回路を具えるコンバータが検討されている(特許文献1)。共振回路は、共振用スイッチング素子及び共振用リアクトルを具える直列回路であり、上記平滑用リアクトルに並列に接続される。
平滑用リアクトルとして、図6(A)に示すように磁性材料からなる環状コア100と、巻線111を巻回してなり、コア100の外周に配置されるコイル110とを具えるリアクトルLが代表的である。環状コア100とコイル110との組合体は、ケース120に収納され、ケース120内に充填されたポッティング樹脂130により一体に固定される(図6(B))。共振用リアクトル(図示せず)は、円環状コアと、このコアに巻き付けられた巻線からなるコイルとを具えるもの、円筒状に巻かれた巻線からなるコイルと、コイルがつくる円筒空間及びコイルの外周に配置されるE-E型コアやE-I型コアとを具えるものが挙げられる。
平滑用のリアクトルLのコイルを形成する巻線の各端部111e、及び共振用リアクトルLrのコイルを形成する巻線の各端部は、端子部材140a,140b,141a,141bが溶接により取り付けられる(図6(C))。各リアクトルL,Lrは、これら端子部材を介して電源などの外部装置に接続される。また、平滑用のリアクトルLの一方の端子部材(例えば、端子部材140b)と、共振用リアクトルLrの一方の端子部材(例えば、端子部材141b)とは、ボルトなどの固定部材を利用して接続される。
特開平7-241072号公報
上述のように複数のリアクトルを接続する場合、各リアクトルに具えるコイルを形成する巻線の端部に端子部材を取り付け、これら端子部材を介して接続する構成では、(1)巻線の全ての端部と端子部材とを溶接などにより接合する作業、(2)端子部材同士をボルトなどで接続する作業、が必要である。そのため、部品点数が多く、組立作業性が悪い、という問題がある。
そこで、本発明の目的は、複数のリアクトルを具えていながら、部品点数が少なく、組立作業性に優れるリアクトル集合体を提供することにある。
本発明は、複数のリアクトルのうち、一つのリアクトルに具える巻線の端部と、他の一つのリアクトルに具える巻線の端部とが一つの端子部材と共に接合された構成とすることで、上記目的を達成する。具体的には、本発明リアクトル集合体は、巻線からなるインダクタ部と、このインダクタ部が配置される磁性コアとを有する第1のリアクトル及び第2のリアクトルを具える。そして、第1のリアクトルに具えるインダクタ部を形成する巻線の一端部と、第2のリアクトルに具えるインダクタ部を形成する巻線の一端部と、これら2つのインダクタ部に電力を供給するための端子部材とが一体に接合された構成である。
本発明リアクトル集合体は、2つのリアクトルに具える巻線の一端部同士を直接接合すると共に、これら一端部同士を接合するときに、同時に一つの端子部材をも接合することで形成される。つまり、本発明リアクトル集合体は、2つのリアクトルが一つの端子部材を共用する構成である。この構成により、端子部材の数を4つから3つに減らせる上に、2つのリアクトルに対して端子部材の取り付け箇所を4つから3つに減らせるため、溶接などの取り付け作業も低減することができる。また、この構成によれば、2つのリアクトルを接続するに当たり、端子部材同士をボルトなどで接続する必要も無い上に、ボルトなども不要である。従って、本発明の構成によれば、複数のリアクトルが接続された構成でありながら、部品点数の削減、及び組立作業性の向上を図ることができる。
本発明リアクトル集合体においてインダクタ部は、インダクタンス成分として機能するものであり、巻線を巻回してなるコイルが代表的である。その他、インダクタ部は、巻線が巻回されず(ターン形成部を有せず)、線状に配置された形態でもよい。このインダクタ部が線状に配置された形態において磁性コアは、上記線状に配置された巻線が挿通される中空部を有する筒状とすることで、巻線をインダクタンス成分として機能させられる。
第1,2のリアクトルの巻線の一端部と端子部材とが一体に接合されるとは、両一端部と端子部材とが導通するように接合された状態を言う。両一端部間や一端部と端子部材との間に銀ロウや半田などの接合物を介在させて接合してもよいが、溶接を利用すると、接合作業性に優れて好ましい。溶接の場合、上記一端部同士及び端子部材は、直接接触して導通する。
本発明リアクトル集合体において第1のリアクトルを平滑用リアクトル、第2のリアクトルを共振用リアクトルとすることができる。
この構成によれば、昇圧動作や降圧動作に加えて、ソフトスイッチングを行うことができる。
本発明リアクトル集合体において第1のリアクトルと第2のリアクトルとは、一体に樹脂モールドされた形態とすることができる。
上記構成によれば、樹脂モールドにより、両リアクトルの相互の位置を固定することができるため、位置を固定するための部材を別途用意しなくてよく、部品点数の低減、及び固定作業の省略が可能である。また、一体に樹脂モールドできるように両リアクトルを近接して配置させると、設置スペースも低減できる。その他、この構成は、(1)複数のリアクトルを一体に取り扱えるため、ハンドリング性に優れる、(2)樹脂モールドされたリアクトル集合体を冷却ベースに固定することで両リアクトルが固定されるため、冷却ベースへの固定作業が容易である、(3)コアを補強したり、外部環境からコアやコイルを保護できる、(4)絶縁樹脂を用いることで、コイルと周囲の部材との間で絶縁を確保できる、(5)放熱性に優れる樹脂を用いることで、放熱性を高められる、といった種々の効果を奏することができる。更に、後述するケースを省略することで、小型化、設置スペースの低減を図ることができる。モールドに利用する樹脂は、絶縁性樹脂、例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。
本発明リアクトル集合体は、更に、第1のリアクトルと第2のリアクトルとが一つのケースに収納された形態とすることができる。
上述のように樹脂モールドのみの形態とすることもできるが、更に、両リアクトルをケースに収納することで、上記(1)〜(5)の効果に加えて、保護や補強の程度を高められたり、ケースを放熱経路に利用することで放熱性を高められる。また、(6)ケースに充填された樹脂と合わせることで、振動による騒音を抑制できるといった効果を奏することができる。ケースに充填する樹脂は、ポッティング樹脂として利用されているもの、例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂を利用することができる。
本発明リアクトル集合体において第1のリアクトル及び第2のリアクトルに具えるインダクタ部を形成する巻線は平角線が好ましい。
平角線同士を面接触させることで、導体に必要な接触面積や接合に必要な接触面積を確保することができる。従って、この構成によれば、両リアクトルの巻線を溶接により接合するに当たり、十分な接触面積を確保し易いため、接続抵抗を低減して所望の導電性を有することができ、かつ巻線同士を強固に接合できる。本発明リアクトル集合体において巻線の一端部同士と端子部材との接合には、溶接が好適に利用できる。
本発明リアクトル集合体は、部品点数が少なく、組立作業性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
<実施形態1>
図1(A),(B)は、本発明リアクトル集合体の概略斜視図であり、(A)は、コアとコイルとの組合体、(B)は、この組合体がケースに収納された状態を示し、図1(C)は、本発明リアクトル集合体の回路図であり、図2は、本発明リアクトル集合体の分解斜視図である。以下、図中の同一符号は同一名称物を示す。
リアクトル集合体1Aは、平滑用リアクトル(第1のリアクトル)2Aと、共振用リアクトル(第2のリアクトル)3Aとを具える。平滑用リアクトル2Aは、例えば、コンバータに具えるスイッチング素子のスイッチング動作により発生する交流電流を平滑化する。共振用リアクトル3Aは、上記スイッチング動作の損失を低減するためにソフトスイッチングに利用される。リアクトル集合体1Aの特徴とするところは、平滑用リアクトル2Aのコイル(インダクタ部)21を形成する巻線21wの一端部210と、共振用リアクトル3Aのコイル(インダクタ部)31を形成する巻線31wの一端部310とを直接接合していると共に、これら一端部210,310と一つの端子部材4Aとを接合しているところにある。以下、各構成をより詳細に説明する。
[平滑用リアクトル]
平滑用リアクトル2Aは、環状の磁性コア20と、磁性コア20のコイル巻回部に配置されるコイル21とを具える。
磁性コア20は、一対の直方体状のコイル巻回部と、コイル21が配置されない一対の端部コア20eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部を挟むように端部コア20eが配置されて閉ループ状に形成される。この磁性コア20は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなる磁性体部20mとアルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材(図示せず)とからなる。磁性体部20mは、複数のコア片を組み合わせて構成され、特に、コイル巻回部は、コア片とギャップ材とを交互に積層して構成される。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材は、インダクタンスの調整のためにコア片間に設けられる隙間に配置される部材である。これらコア片及びギャップ材は、接着剤などで一体に接合される。コア片の分割数やギャップ材の個数は、平滑用リアクトル2Aが所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。
コイル21は、1本の連続する巻線21wを巻回してなり、並列状態に配置された一対のコイル素子を具える。巻線21wは、銅製の平角線の表面にエナメル被覆を具える被覆線である。両コイル素子は、この巻線21wをエッジワイズ巻きにして形成されており、巻返し部21rにより連結されている。
コイル21を形成する巻線の両端側は、適宜屈曲及び延伸されている。この例では、コイル21の一方の端側において、ターン形成面(上面)からコイルの軸方向と直交方向(上下方向)上方に引き延ばした巻線21wを、上記軸方向であってターン形成部側に向かってフラットワイズ曲げして折り返し、コイル21の他方の端部側まで延伸させる。コイル21の他方の端部側で上記軸方向と直交方向(水平方向(左右方向))であって、ターン形成部から遠ざかる方向に巻線21wをエッジワイズ曲げして延伸させ、所望の位置で、上記直交方向(上下方向)上方にフラットワイズ曲げしている。特に、後述するようにケース5に平滑用リアクトル2A及び共振用リアクトル3Aを収納したとき、巻線21wの一端部210と巻線31wの一端部310と同一箇所に配置されるように巻線21wの一端側を取り回している。
磁性コア20とコイル21との組合体には、インシュレータ22も設けられている。インシュレータ22は、コイル巻回部の外周を覆う筒状部(図示せず)と、コイル21の端面(コイルのターンが環状に見える面)に当接される枠状部22fとを具える。筒状部は、半割れの角筒片同士を係合することでコイル巻回部の外周を容易に覆うことができる。枠状部22fは、筒状部の両端部に対向配置され、コイル21の端面に当接する一対の矩形枠である。インシュレータは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの絶縁材料が利用できる。これらの絶縁材料は、後述するインシュレータ32にも利用できる。
[共振用リアクトル]
共振用リアクトル3Aは、E-E型の磁性コア30と、磁性コア30のコイル巻回部(図示せず)に配置されるコイル31とを具える。
磁性コア30は、一対のE字状のコアを組み合わせて閉ループ状に形成され、中央部に位置する円柱状部がコイル巻回部である。この磁性コア30も軟磁性材料で構成される。特に、フェライト(酸化第二鉄を含む複合酸化物の焼結体)は、高周波における磁気特性に優れるため、10kHz以上、更に100kHz以上といった高周波数帯域においてコア損失が少なく、高周波回路の構成材料に好適に利用することができる。また、フェライトは、比較的安価であり、経済性にも優れる。コイル巻回部は、上記磁性材料からなる複数の円板状のコア片とアルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材とを交互に積層して構成される。コア片とギャップ材とは、接着剤などで一体に接合される。コア片の分割数やギャップ材の個数は、共振用リアクトル3Aが所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。ギャップ材が無くてもよい。コイル31は、1本の連続する巻線31wを中空円筒状に巻回してなる。巻線31wは、巻線21wと同様に銅製の平角線の表面にエナメル被覆を具える被覆線である。このコイル31を磁性コア30のコイル巻回部に配置して、E字状のコアを組み合わせると、コイル31の外周にもコアが存在する。
磁性コア30とコイル31との組合体には、インシュレータ32も設けられている。インシュレータ32は、円柱状のコイル巻回部の外周を覆う円筒状部(図示せず)と、円筒状部の周縁から外方に延びるフランジ部32fとを一体に具える。このインシュレータ32は、フランジ部が一体に形成された半割れの円筒状片を組み合わせて構成される。この構成により、コイル巻回部の外周を容易に覆うことができる。
[ケース]
平滑用リアクトル2Aを構成する磁性コア20とコイル21との組合体、及び共振用リアクトル3Aを構成する磁性コア30とコイル31との組合体は、アルミニウム製のケース5に収納される。ケース5内には、仕切壁5p(図2)が設けられており、この仕切壁5pにより、平滑用リアクトル2Aの組合体と共振用リアクトル3Aの組合体とがケース5内で隔離される。このケース5内には、絶縁性のポッティング樹脂(図示せず)が充填され、二つの組合体は、巻線21wの両端部210,211、及び巻線31wの両端部310,311を除いてポッティング樹脂に覆われる。なお、絶縁性のポッティング樹脂を用いると、磁性コア20,コイル21,磁性コア30,コイル31の間がこの樹脂により絶縁されるため、上記仕切壁を有していなくてもよい。
ケース5には、ボルトといった固定部材がねじ込まれるボルト穴5h(図2)を有する。磁性コア20の端部コア20eの上には、一対のステー部材6a,6bが配置される。ステー部材6a,6bに具えるボルト孔6hとケース5のボルト穴5hとにボルト(図示せず)がねじ込まれることで、平滑用リアクトル2Aの組合体がケース5に固定される。ステー部材6a,6bは、帯状材を]状に折り曲げて形成され、中間部が突出した構成であり、この突出部分により端部コア20eを押え付けられる構成である。なお、端部コア自体にボルト孔を具えて、コア自体をケースに固定する構成としてもよい。この場合、ステー部材6a,6bが不要であり、部品点数を少なくできる。一方、共振用リアクトル3Aの組合体は、上述したポッティング樹脂によりケース5に固定される。上述のようなステー部材などを用いて共振用リアクトル3Aの組合体をケース5に固定してもよい。
[端子部材]
平滑用リアクトル2Aのコイル21を形成する巻線の一端部210と、共振用リアクトル3Aのコイル31を形成する巻線の一端部310とが接合され、更に、これら一端部210,310に端子部材4Aが取り付けられる。また、巻線21wの他端部211及び巻線31wの他端部311にはそれぞれ端子部材4B,4Cが取り付けられる。
各端子部材4A,4B,4Cは、コイル21,31に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される導電部材である。端子部材4A,4B,4Cは、図3に示すように導電性板を適宜折り曲げてなる屈曲形状であり、一端側に巻線21w,31wが溶接される接合箇所40を有し、他端側にボルト孔4hの形成箇所を有する。溶接には、例えばTIG溶接などが好適に利用できる。ボルト孔4hには、外部装置に接続される配線(図示せず)の端子部を取り付けるためのボルト(図示せず)といった固定部材が挿通される。
これら端子部材4A,4B,4Cは、絶縁性樹脂からなる端子台7に一体化されている。端子台7は、端子部材4A,4B,4Cのボルト孔4hに適合する位置にそれぞれ、ボルトに螺合するナットを具えている。この端子台7は、ケース5の開口部の一部を覆うように配置され、ボルト7bによりケース5に固定される。
なお、端子部材は、端子台により一体化されずにポッティング樹脂により、ケース5に固定される構成としてもよいし、ボルト孔4hを具えず、溶接などにより配線の端子部が接合される構成としてもよい。また、端子部材を適宜延長して、巻線21w,31wの取り回し部分を短縮してもよい。更に、ケース5に対する端子台7の固定箇所は特に問わない。ケース5の側壁に端子台7を固定してもよいし、端子台7をケース5の外部に固定するようにしてもよい。
[リアクトル集合体の組立]
上記構成を具えるリアクトル集合体は、以下のようにして形成することができる。
まず、磁性コア20とコイル21との組合体、及び磁性コア30とコイル31との組合体を形成する。コア片やギャップ材を接着剤などで固定してコイル巻回部を形成し、この外周にインシュレータ(筒状部)を配置し、更にその外周にコイル21,31を配置する。コイル21,31は、巻線21w,31wを巻回して別途作製しておく。コイル21の端面をインシュレータ22の枠状部22f及び端部コア20eで挟むように、コイル21に枠状部22f及び端部コア20eを配置して、接着剤などで端部コア20eとコイル巻回部とを接合して、磁性コア20とコイル21との組合体を形成する。一方、各E字状のコアにおいてコイル巻回部及びコイル巻回部の両側に位置する外側コア片の端面を接着剤などで接合して、磁性コア30とコイル31との組合体を形成する。
次に、形成した2つの組合体をそれぞれケース5に収納する。この実施形態1では、平滑用リアクトル2Aのコイル21の軸方向と、共振用リアクトル3Aのコイル31の軸方向とが直交すると共に、平滑用リアクトル2Aの巻線の一端部210と、共振用リアクトル3Aの巻線の一端部310とが接触するように上記両組合体をケース5内に配置する。
次に、磁性コア20の端部コア20eの上にステー部材6a,6bを配置すると共にボルト(図示せず)により、ステー部材6a,6bをケース5に固定して、端部コア20eをケース5の底面側に押し付けるように固定する。
次に、上記2つの組合体を収納したケース5内にポッティング樹脂を充填する。このとき、巻線21w,31wの両端部210,211,310,311は、ポッティング樹脂から露出されるようにする。なお、ポッティング樹脂を充填する際、磁性コア30とコイル31との組合体をケース5側に押し付けておくと、脱気の際などで樹脂中に組合体が浮き上がることを防止することができる。
次に、ポッティング樹脂を充填した後、ボルト7bにより端子台7をケース5に取り付ける。
最後に、平滑用リアクトル2Aの巻線の一端部210と、共振用リアクトル3Aの巻線の一端部310と、端子部材4Aの接合箇所40との三者を重ね合わせて溶接により接合する。かつ、巻線21wの他端部211と端子部材4Bの接合箇所40、巻線31wの他端部311と端子部材4Cの接合箇所40も溶接により接合する。上記工程により、リアクトル集合体1Aが組み立てられる。
[効果]
上記構成を具えるリアクトル集合体1Aは、2つのリアクトル2A,3Aの巻線の一端部210,310が直接接合されると共に、2つのリアクトル2A,3Aに対して一つの端子部材4Aを共通に利用することで、部品点数を削減することができる(図1(C))。また、上記一端部210,310と端子部材4Aとを同時に接合することで、溶接などの端子部材の取り付け作業を低減することができ、組立作業性に優れる。
特に、リアクトル集合体1Aは、2つのリアクトル2A,3Aをソフトスイッチング回路の平滑用リアクトル及び共振用リアクトルにそれぞれ利用することができる。また、リアクトル集合体1Aは、2つのリアクトル2A,3Aの組合体の双方が一つのケース5に収納されることで、複数のリアクトルを一体に取り扱えるため、ハンドリング性に優れる。更に、リアクトル集合体1Aは、ポッティング樹脂により封止されることで、コアの補強、組合体の外部環境からの保護、コイルと周囲部材との間の絶縁性の向上、振動による騒音の低減、放熱性の向上、といった種々の効果を奏する。加えて、リアクトル集合体1Aは、インダクタ部を構成する巻線21w,31wが平角線であるため、接触面積(溶接面積)を十分に確保できる。更に、平滑用リアクトル2Aは、コイル素子の並列方向よりもコイル21の軸方向に長い形状であり、リアクトル集合体1Aは、上記並列方向に共振用リアクトル3Aを並べた配置としている。このため、ケース5におけるコイル21の軸方向の長さをコイル21の軸方向の長さとほぼ等しくすることができる。
<実施形態2>
図4は、別の本発明リアクトル集合体の概略斜視図であり、コアとコイルとの組合体を示す。この実施形態2に示すリアクトル集合体1Bは、平滑用リアクトル2Aと共振用リアクトル3Aの配置形態が実施形態1と異なり、その他の点は同様の構成である。以下、相違点を中心に説明する。
図4に示すように、リアクトル集合体1Bは、平滑用リアクトル2Aのコイル21の軸方向と共振用リアクトル3Aのコイル31の軸方向とが平行するように両リアクトル2A,3Aが配置されている。この構成により、実施形態1と比較して、平滑用リアクトル2Aの巻線21wの一端部210側を共振用リアクトル3Aの巻線31wの一端部310に近接して配置し易い。即ち、両一端部210,310を接合するにあたり、巻線21wの一端側の取り回し量を少なくできる。そのため、巻線21wの一端側の屈曲作業を軽減でき、リアクトル2Aの組立作業性に優れる。
<実施形態3>
実施形態1では、平滑用リアクトル2A及び共振用リアクトル3Aの双方がケース5に収納される構成を説明したが、ケース5を省略することができる。この場合、平滑用リアクトル2Aと共振用リアクトル3Aとを一体に樹脂モールドした構成とすると、両リアクトル2A,3Aを一体に取り扱える上に、両リアクトル2A,3Aの機械的保護や絶縁性の向上を図ることができる。また、ケース5を省略することにより、リアクトル集合体を小型にすることができる。或いは、平滑用リアクトルのみをケースに収納した構成や共振用リアクトルのみをケースに収納した構成とすることができる。
<実施形態4>
実施形態1では、用途の異なる2つのリアクトルを具えるリアクトル集合体を説明したが、同じ用途の複数のリアクトルを具える構成とすることができる。即ち、平滑用リアクトルの巻線の一端部同士を接合した構成としたり、共振用リアクトルの巻線の一端部同士を接合した構成とすることができる。
<実施形態5>
実施形態1では、共振用リアクトルとして、E-E型の磁性コアを具える構成を説明したが、図5に示すような円筒状の磁性コアと、線状に配置された巻線とを具える形態としてもよい。共振用リアクトル3Bは、筒状の磁性コア30Bと、直線状に配置される巻線31Bとを具える。この磁性コア30Bは、一方の開口部から他方の開口部に貫通した中空部を有する中空円筒状であり、一対の半円筒状(樋状)の半割れ片を組み合わせて円筒状に構成される。磁性コア30Bの大きさ(厚さ、長さ、外径、中空部の内径)は、所望の磁気特性が得られるように適宜選択することができる。一方の半割れ片の接合面にはアルミナ板からなるギャップ材(図示せず)を接合しており、半割れ片間にギャップ材が介在される構成である。
半割れ片は、絶縁性樹脂から構成されるコアケース33に収納されている。コアケース33は、上記各半割れ片の外形に沿った半円筒状の一対の分割体を具え、一方の半割れ片の接合面、及び他方の半割れ片に接合されたギャップ材を露出させ、その他の部分を露出させないように各片を収納する。また、このコアケース33は、開閉自在であり、ケース33の開閉に伴い、半割れ片も開閉する構成である。従って、コアケース33を開口させて、両分割体の凹部で巻線31Bを覆うように磁性コア30Bを配置した後、ケース33を閉じることで、巻線31Bの外周に磁性コア30Bを配置させられる。両分割体に係合部を設けておくと、接着剤を用いることなく、半割れ片同士を接合して、磁性コア30Bを筒状に保持できる。中空部には、銅製の平角線からなる巻線31Bが挿通される。この巻線31Bをインダクタンス成分として機能させることで、共振用リアクトル3Bが構成される。
上記構成を具える共振用リアクトル3Bを具えるリアクトル集合体は、上述した実施形態1のリアクトル集合体1Aと同様の効果を奏する。上述の効果に加えて、共振用リアクトル3Bの磁性コア30Bを筒状とし、インダクタ部を線状に配置した巻線31Bにより構成することで、巻線の巻回作業を削減でき、共振用リアクトルの組立作業性に優れる。また、磁性コア30Bを半割れ片の組合物とし、これら半割れ片を開閉自在なコアケース33に収納させたことで、磁性コア30Bの配置が容易であり、共振用リアクトルの組立作業性に優れる。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、実施形態1〜5の構成を適宜組み合わせた形態とすることができる。
本発明リアクトル集合体は、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に搭載されるコンバータといった電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。特に、本発明リアクトル集合体は、上記車両に具える双方向DC-DCコンバータにおいてソフトスイッチングが望まれる場合に好適に利用することができる。
(A),(B)は、実施形態1に示すリアクトル集合体の概略を示す斜視図であり、(A)は、コアとコイルとの組合体、(B)は、この組合体をケースに収納した状態を示し、(C)は、平滑用リアクトルと共振用リアクトルとの接続状態を説明する回路図である。 実施形態1に示すリアクトル集合体の組立手順を説明する分解斜視図である。 実施形態1に具える端子部材の概略を示す斜視図である。 実施形態2に示すリアクトル集合体において、コアとコイルとの組合体の概略を示す斜視図である。 筒状の磁性コアを具えるリアクトルの概略を示す斜視図である。 (A),(B)は、従来の平滑用のリアクトルの概略を示す斜視図であり、(A)は、コアとコイルとの組合体、(B)は、この組合体をケースに収納した状態を示し、(C)は、平滑用リアクトルと共振用リアクトルとの接続状態を説明する回路図である。
符号の説明
1A,1B リアクトル集合体 2A 平滑用リアクトル 3A,3B 共振用リアクトル
4A,4B,4C 端子部材 4h,6h ボルト孔 5 ケース 5h ボルト穴
5p 仕切壁 6a,6b ステー部材 7 端子台 7b ボルト
20,30,30B 磁性コア 20e 端部コア 20m 磁性体部 21,31 コイル
21w,31w,31B 巻線 210,211,310,311 巻線の端部 21r 巻返し部
22,32 インシュレータ 22f 枠状部 32f フランジ部 33 コアケース
40 接合箇所
100 環状コア 110 コイル 111 巻線 111e 巻線の端部
120 ケース 130 ポッティング樹脂 140a,140b,141a,141b 端子部材
L,Lr リアクトル

Claims (5)

  1. 巻線からなるインダクタ部と、このインダクタ部が配置される磁性コアとを有する第1のリアクトル及び第2のリアクトルを具え、
    前記第1のリアクトルに具えるインダクタ部を形成する巻線の一端部と、前記第2のリアクトルに具えるインダクタ部を形成する巻線の一端部と、これら2つのインダクタ部に電力を供給するための端子部材とが一体に接合されていることを特徴とするリアクトル集合体。
  2. 前記第1のリアクトルと前記第2のリアクトルとが一体に樹脂モールドされていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル集合体。
  3. 前記第1のリアクトルと前記第2のリアクトルとが一つのケースに収納されていることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル集合体。
  4. 前記第1のリアクトルは、平滑用リアクトルであり、第2のリアクトルは、共振用リアクトルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
  5. 前記第1のリアクトル及び前記第2のリアクトルに具えるインダクタ部を形成する巻線は、平角線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル集合体。
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