JP2010043320A - 水素環境下で長寿命である転動部品 - Google Patents

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【課題】 鋼材および転動部品の製造性が良好であり、水素侵入環境下での長寿命化の図れた転動部品例えば軸受部品を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1%、Mn:0.2〜1.6%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:1.5〜3%、N:0.004〜0.025%を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材から製造の転動部品であり、浸炭もしくは浸炭窒化処理と、該処理に続く少なくとも2回の焼入れ工程後の旧オーステナイト結晶粒度番号が12番以上であり、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物あるいは炭窒化物が少なくとも15個/100μm2以上存在することからなる水素環境下での寿命に優れる転動部品。
【選択図】 図2

Description

本発明は、転動部品用の鋼材から製造した部品を熱処理することにより水素環境下における寿命を長寿命とした軸受その他の転動部品に関する。
近年、自動車用部品をはじめとする動力伝達部品は環境負荷軽減を目指して小型軽量化が求められている。さらに、これらの部品には使用環境の過酷化とメンテナンスフリー化といった相反する問題に対応できる特性も同時に要求されている。特に、軸受を代表とする転動部品においては、例えば潤滑油中に水が浸入する環境で使用された場合、あるいは潤滑油の分解によって水素が発生した場合などで転動部品中に水素が侵入すると短期間で転動部品のはく離に至ることが知られている。したがって、水素侵入環境下での転動部品の長寿命化は重要な問題となっている。
この問題に対する従来の技術として、大量のTiもしくはAl添加によりTi炭化物・炭窒化物、Al窒化物を部品の表面近傍に分散析出させて、異物潤滑下とクリーン潤滑下において転動寿命を延長させている技術がある(例えば、特許文献1参照。)。また、Ti添加鋼を1150〜1350℃で溶体化することで、Ti炭化物およびTi炭窒化物を析出させて、異物潤滑下とクリーン潤滑下において転動寿命を延長させている技術がある(例えば、特許文献2参照。)。これらの技術は、微細に析出したTiもしくはAlの炭化物および炭窒化物が水素のトラップサイトとなることおよびこれらの炭化物・炭窒化物がオーステナイト結晶粒を細かくし、かつ硬度を上昇させることによって耐摩耗性を向上させ、長寿命を達成している。
しかしながら、上述した1件目の特許文献1のものでは、C:0.65〜1.20%の高炭素鋼をベースに、Ti:0.26〜0.40%、あるいはAl:0.11〜0.40%のうち少なくとも一種を含んだ鋼からなり、長寿命化に有効なTiもしくはAlの微細な炭化物および炭窒化物の他に、大型の炭化物および炭窒化物が多量に生成し、熱間加工性が低下するため、鋼材の圧延や部品へ鍛造する際の加工性に悪影響を及ぼす。さらに、部品を切削する際の工具寿命が低下するという問題点もある。これは、2件目の特許文献2のものでも同様である。さらに、1件目の特許文献1および2件目の特許文献2のものはともに残留オーステナイト量が20%以下であるため、さらに多量の残留オーステナイトを含有するはだ焼鋼と比較すると、異物が混入した場合の転動寿命が短いという問題があった。
特許第3591236号公報 特許第3728887号公報
本発明の解決しようとする課題は、鋼材および転動部品の製造性についても考慮して、水素侵入環境下での長寿命化を達成した転動部品、例えば軸受部品を提供するものである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1%、Mn:0.2〜1.6%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:1.5〜3%、N:0.004〜0.025%を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材から製造の転動部品であり、浸炭もしくは浸炭窒化処理と、該処理に続く少なくとも2回の焼入れ工程後の旧オーステナイト結晶粒度番号が12番以上であり、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物あるいは炭窒化物が少なくとも15個/100μm2以上存在することを特徴とする水素環境下での寿命に優れる転動部品である。
請求項2の発明では、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1%、Mn:0.2〜1.6%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:1.5〜3%、N:0.004〜0.025%を含み、さらにNb:0.01〜0.2%、B:0.0001〜0.005%、Ti:0.01〜0.05%、V:0.01〜0.5%、Ni:0.2〜2%、Mo:0.05〜0.3%のうち1種又は2種以上を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材から製造の転動部品であり、浸炭もしくは浸炭窒化処理と、該処理に続く少なくとも2回の焼入れ工程後の旧オーステナイト結晶粒度番号が12番以上であり、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物あるいは炭窒化物が少なくとも15個/100μm2以上存在することを特徴とする水素環境下での寿命に優れる転動部品である。
本願発明における鋼材の成分の限定理由について以下に説明する。なお、各成分における%は質量%を示す。
C:0.10〜0.35%
Cは、強度を付与するために必要な元素であるが、0.10%未満であると、浸炭後の芯部強度を確保することができず、0.35%を超えると靱性が低下するとともに素材の硬度が上昇して加工性が劣化する。そこで、Cは0.10〜0.35%とし、望ましくは0.14〜0.27%とする。
Si:0.35〜1%
Siは、鋼の脱酸に有効な元素であるとともに、鋼に必要な焼入性を付与し強度を高めるために有効な元素である。また、焼戻し軟化抵抗を向上するために潤滑不良状態での転動寿命にも有効な元素であるが、0.35%未満では、強度向上効果確保ができず、1%を超えると靱性が低下し、さらに素材硬度が上昇して加工性が劣化する。そこで、Siは0.35〜1%とし、望ましくは、0.40〜0.80%とする。
Mn:0.2〜1.6%
Mnは、鋼の焼入性を向上させる元素であるが、0.2%未満では焼入性の向上を確保することができず、また製造性を悪化し、1.6%を超えると素材の硬度が上昇して加工性が劣化する。そこで、Mnは0.2〜1.6%とする。
P:0.03%以下
Pは、粒界に偏析して靱性および疲労強度を低下させて部品強度を低下させる元素であるため、Pは、0.03%以下とする。
S:0.03%以下
Sは添加すると被削性に有効なMnSを形成するが、MnSは冷間加工性および靱性を劣化させる元素である。そこで、Sは、0.03%以下とする。
Cr:1.5〜3%
Crは、鋼に焼入性や強度向上を与え、さらに繰返し焼入れ時にCrを含有した微細な炭化物あるいは炭窒化物が生成するため、旧オーステナイト結晶粒を微細化するために有効な元素であり、さらにこの微細な炭化物あるいは炭窒化物は水素のトラップサイトとして極めて有効である。Crが1.5%未満ではこれらの効果は十分に得られず、3%を超えると硬さの上昇を招き加工性を劣化する。そこで、Crは、1.5〜3%とし、望ましくは、1.8〜2.5%とする。なお、1.5%以上のCrを添加することで、2回目の焼入時に微細なCr炭化物あるいは炭窒化物を析出させることが可能となる。これに対して1.5%未満のCr量では、繰返し焼入れを実施しても、微細な炭化物あるいは炭窒化物が析出しない。さらに、Cr炭化物あるいは炭窒化物の個数については、旧オーステナイト結晶粒微細化効果や水素トラップ効果を得るためには15個/100μm2以上は必要である。また、Cr炭化物あるいは炭窒化物の大きさについては、0.03〜1μmとする。この理由は、0.03μm未満の大きさでは上述の効果が十分に得られず、1μmを超えるとCr炭化物あるいは炭窒化物の個数が確保できないためである。
N:0.004〜0.025%
Nは、Nbと炭窒化物を生成し、結晶粒微細化および拡散性水素の無害化するために有効な元素であるが、0.004%未満ではその効果が得られず、0.025%を超えると効果が飽和する。そこで、Nは、0.004〜0.025%とする。ただし、後述のBを添加する場合は、Nが存在するとBNが生成してB添加の効果が無くなるため、Nの上限は0.015%とする。
Nb:0.01〜0.2%
Nbは、微細なNbの炭化物および炭窒化物を形成して浸炭時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制し、さらに繰返し焼入後の旧オーステナイト結晶粒微細化に寄与する。さらに、Nbの炭化物および炭窒化物は拡散性水素をトラップして水素の無害化にも有効な元素であるが、Nbが0.01%未満ではそれらの効果は十分でなく、Nbが0.2%を超えると、Nbの炭化物や炭窒化物が粗大化して結晶粒粗大化抑制効果が低下し、かつ、コストアップとなる。そこで、Nbは0.01〜0.2%とする。
B:0.0001〜0.005%
Bは、強度および焼入性の向上効果を確保するために有効な元素であるが、Bが0.0001%未満ではその効果は十分でなく、0.005%を超えてもその効果は飽和する。そこで、Bは0.0001〜0.005%とする。
Ti:0.01〜0.05%
Tiは、微細なTiの炭化物および炭窒化物を形成して浸炭時の結晶粒粗大化を抑制し、焼入後の結晶粒微細化に寄与する。また、Tiの炭化物および炭窒化物は拡散性水素をトラップして水素の無害化に有効である。さらに、Tiは、鋼中のフリーNと窒化物を生成するため、Bを添加する場合、BN生成防止によるBの強度および焼入性の向上効果を確保するために有効な元素である。これらの効果を確保するためには、Tiを0.01%以上必要とするが、0.05%を超えるとTi硫化物を生成して被削性に有効なMnSが減少し、さらに大型のTiの炭化物および炭窒化物を生成して被削性や鍛造性などの加工性の劣化を招く。そこで、Tiは0.01〜0.05%とする。
V:0.01〜0.5%
Vは、微細なVの炭化物および炭窒化物を形成して拡散性水素をトラップし、水素の無害化にも有効な元素であるが、Vが、0.01%未満ではそれらの効果は十分でなく、0.5%を超えると効果が飽和し、かつ、コストアップとなる。そこで、Vは0.01〜0.5%とする。
Ni:0.2〜2%
Niは、鋼の焼入性および靭性の向上に有効な元素で、Niが、0.2%未満ではこれらの効果は十分でなく、2%を超えると素材の硬度が上昇しすぎて加工性を劣化し、さらにコストアップとなる。そこで、Niは0.2〜2%とする。
Mo:0.05〜0.30%
Moは、鋼の焼入性および靭性の向上に有効な元素で、Moが、0.05%未満ではこれらの効果は十分でなく、0.30%を超えると素材の硬度が上昇しすぎて加工性を劣化し、さらにコストアップとなる。そこで、Moは0.05〜0.30%とする。
Nb、B、Ti、V、Ni、Moは上記のそれぞれの成分の範囲で1種又は2種以上を選択的に上記の他の鋼成分に含有できる。
本発明における鋼材への水素侵入時の短寿命はく離を抑制する理由の一つは、鋼材からなる転動部品の熱処理における2回目の焼入処理以降に存在する、Crを含有した微細炭化物が水素のトラップサイトとして有効に働くことが挙げられる。さらに、Crの炭化物は2回目の焼入処理の昇温段階においてオーステナイト変態の核生成サイトとして働き、また、オーステナイト結晶粒成長をピン止め効果により抑えるため、2回目の焼入後の旧オーステナイト結晶粒を微細化し、結晶粒度番号で12番以上に制御することができる。その結果、水素侵入環境での転動疲労によって転動部品の表面近傍に発生する針状き裂の長さを短く、かつ連結を抑制することが可能となり、結果的にはく離までの寿命を大幅に延長することが可能となる。本発明では、2回目の焼入れ後において、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物および炭窒化物が少なくとも15個/100μm2存在することで、上記の効果がより確実となる。
もちろん、上述のCrを含有する炭化物および炭窒化物の大きさおよび個数にかかわらず、従来の知見どおり鋼中にNb、Ti、Vなどの炭化物および炭窒化物を析出させることは水素トラップや結晶粒微細化に有効であり、これらを組合せて用いるとより効果は上昇する。
なお、焼入処理はトータル2回実施すれば良く、例えば浸炭後徐冷した場合にはその後に焼入処理を2回実施する必要があるが、一般的な浸炭後引続き焼入れ(浸炭焼入れ)を実施する場合は、その後に1回の焼入れ処理を実施するのみで良い。
また、焼入処理は2回よりも3回の方が結晶粒微細化において有利であるが、4回以上実施しても効果はほとんど飽和して向上しない。したがって、経済的な観点からは焼入回数はトータル2回で十分である。焼入処理の加熱手段としては加熱炉による方法で十分な効果が得られるが、高周波焼入れを用いると、さらなる結晶粒微細化が可能となり、より有効である。
上記の手段としたことで、従来の鋼材からなる転動部品の鋼材中に水素が侵入すると転動部品にの鋼材にはく離を生じるような水素環境下において、本発明による転動部品、例えば軸受部品は、鋼在中に水素が侵入してもはく離を生じることなく、したがって長寿命であり、かつ、本発明における鋼材は被削性も良好であるので、超硬工具の摩耗量が少なく、加工性に優れているなど、本発明は従来にない効果を奏する。
本発明の実施の形態について以下に説明する。表1に示す化学組成の各成分を含有する本発明の実施の形態における鋼(以下、「実施例鋼」という。)および比較用の鋼(以下、「比較例鋼」という。)を100kg真空溶解炉で溶製して鋼とした。次いで、これらの鋼を1250℃で熱間鍛造して直径32mmの棒鋼に製造し、925℃に90分間保持した後、空冷して焼ならし処理を行った。なお、表1の比較例鋼の網かけ部分は本発明の実施例鋼の成分範囲から外れることを示している。さらに、表1の実施例鋼の各成分元素の記載において、本願発明における鋼の成分元素の組成範囲に満たない範囲の値は、実操業上の不可避不純物として含有されているものである。
Figure 2010043320
その後、上記の棒鋼から、図1に示す厚さD:5.8mm、外径:φ60mm、内径:φ20mmである、スラスト型転動疲労試験片1の形状に加工した。
この加工した形状のスラスト型転動疲労試験片1を、図2の(a)に示す、930℃に加熱し、同温度で0.5時間の均熱と3.0時間の浸炭と2.5時間の拡散を行い、830℃に下げ、同温度に0.5時間保持した後、60℃に油中焼入れ(O.Q.)する浸炭焼入れ条件により、表面炭素濃度0.8〜0.9%を狙った浸炭焼入れを行った後、図2の(b)に示す、焼入れ条件にて840℃に0.5時間保持した後、60℃に油中焼入れする再焼入れを行い、浸炭焼入れしたスラスト型転動疲労試験片1に準備した。
さらにスラスト型転動疲労試験片1を、図2の(c)に示す、930℃に加熱し、同温度で0.5時間の均熱と3.0時間の浸炭と2.5時間の拡散を行い、830℃に下げ、同温度で0.5時間の浸炭窒化処理を施した後、60℃に油中焼入れする浸炭窒化焼入れ条件により、表面炭素濃度0.8〜0.9%を狙った浸炭窒化焼入れした後、さらに図2の(b)に示す、840℃に加熱して0.5時間保持した後、60℃に油中焼入れする再焼入れしたスラスト型転動疲労試験片1に準備した。
さらに、図2の(a)に示す浸炭焼入れ条件により、表面炭素濃度0.8〜0.9%を狙った浸炭焼入れを行った後、高周波焼入れによる再焼入を施したスラスト型転動疲労試験片1に準備した。
さらに比較のため、図2の(a)の浸炭焼入れのみで、図2の(b)の再焼入れを実施していないスラスト型転動疲労試験片1に準備した。
その後、これらの準備した全てのスラスト型転動疲労試験片1は180℃で1.5時間保持する焼戻し処理を行って仕上げ加工として表面を研磨して、スラスト型転動疲労試験片1に仕上げた。
水素侵入環境を模擬するために、転動試験前のスラスト型転動疲労試験片1に水素チャージを行なった。この水素チャージ条件は、濃度20%のチオシアン酸アンモニウム溶液に、比液250ml/枚、50℃で、スラスト型転動疲労試験片1を48時間保持するものとした。水素チャージを行った後、直ちにスラスト型転動疲労試験片1を洗浄してバフ研磨にて試験面の腐食生成物を除去した後、最大接触面圧5.3GPaにてスラスト型転動疲労試験機によって、試験片表面からのはく離までの転動疲労試験のサイクル数を求めた。スラスト型転動疲労試験片1のCrを含有する炭化物および炭窒化物の個数は、SEMにて10,000倍の写真を条件毎に10視野撮影して画像解析して求めた。
これらのスラスト型転動疲労試験片1の表面近傍の硬さと旧オーステナイト結晶粒度番号(G.S.)、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物および炭窒化物の個数、さらに転動疲労試験によるL50寿命、および、浸炭または浸炭窒化前の焼ならし状態での10分間切削後の、工具:超硬JIS P20、刃先R:0.4mm、周速:150m/min、切込み:0.5mm、送り:0.25mm/rev、切削油:無しとする各条件下での、旋削工具摩耗量を併せて表2に示した。なお、表2において、網掛けをしている部分は、旧オーステナイト結晶粒度番号(G.S.)で12番未満、0.03〜1μmの大きさのCrを含有する炭化物および炭窒化物の個数は15個/100μm2未満、水素チャージしたスラスト型転動疲労試験片1の転動疲労寿命L50は15×106サイクル未満、10分間超硬工具摩耗量は0.10mmを超えるものである。
Figure 2010043320
したがって、表2から、実施例鋼のNo.A〜No.Iは2回以上の焼入れによって、L50寿命は15×106サイクル以上の結果が得られ、かつ、超硬工具摩耗量も0.10mm以下であったため、長寿命と被削性とを両立している。なお、たとえ本発明の実施例鋼の組成範囲を成分を有するものであっても、表2のNo.BおよびNo.Cの中の焼入れ回数が1回であるものは、オーステナイト結晶粒度番号のG.S.が12番未満で、Crを含有する炭化物および炭窒化物の個数は15個/100μm2未満で、L50寿命が15×106サイクル未満であって、網かけで示すように、上記の長寿命の効果は得られていないものであり、備考で本発明の対象外と示した。また、実施例鋼のNo.AおよびNo.Eにおいて、1回目に浸炭窒化焼入れを施したものは、その他の1回目に浸炭焼入れを施したものと同等以上のL50寿命が得られた。実施例鋼のNo.Cで示すように、2回目の焼入れとして高周波焼入れを施した場合でも、通常の焼入れと同等以上のL50寿命が得られた。
比較例鋼のNo.J〜No.Sについては、No.NとNo.O以外は全てL50寿命が15×106サイクル未満の低サイクルではく離に至った。これらのはく離に至ったものは、旧オーステナイト結晶粒度番号が12番未満か、もしくは0.03〜1μmの大きさのCrを含有する炭化物・炭窒化物が15個/100μm2未満かの、どちらか一方、または両方であり、備考で本発明の対象外と記載した。さらに、比較例鋼のNo.NとNo.Oとは、L50寿命は優れるが、超硬工具摩耗量が多いもので、すなわち被削性が悪いために、部品の加工工程において問題が発生するので、備考で本発明の対象外とした。
スラスト型転動疲労試験片の形状を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。 熱処理パターンを示し、(a)は浸炭+焼入れ、(b)は再焼入れ、(c)は浸炭窒化+焼入れを示す図である。
符号の説明
1 スラスト型転動疲労試験片

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1%、Mn:0.2〜1.6%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:1.5〜3%、N:0.004〜0.025%を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材から製造の転動部品であり、浸炭もしくは浸炭窒化処理と、該処理に続く少なくとも2回の焼入れ工程後の旧オーステナイト結晶粒度番号が12番以上であり、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物あるいは炭窒化物が少なくとも15個/100μm2以上存在することを特徴とする水素環境下での寿命に優れる転動部品。
  2. 質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.35〜1%、Mn:0.2〜1.6%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:1.5〜3%、N:0.004〜0.025%を含み、さらにNb:0.01〜0.2%、B:0.0001〜0.005%、Ti:0.01〜0.05%、V:0.01〜0.5%、Ni:0.2〜2%、Mo:0.05〜0.3%のうち1種又は2種以上を含み、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼材から製造の転動部品であり、浸炭もしくは浸炭窒化処理と、該処理に続く少なくとも2回の焼入れ工程後の旧オーステナイト結晶粒度番号が12番以上であり、Crを含有する0.03〜1μmの炭化物あるいは炭窒化物が少なくとも15個/100μm2以上存在することを特徴とする水素環境下での寿命に優れる転動部品。
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