JP2010043016A - ペット用液状口腔用組成物 - Google Patents

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健司 辻
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Abstract

【解決手段】(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)デキストラナーゼ、(C)青葉アルコール、(D)水溶性高分子物質、及び(E)水を含有し、前記(A)成分を0.2〜1質量%、(C)成分を0.001〜0.1質量%配合してなるペット用液状口腔用組成物。
【効果】本発明のペット用液状口腔用組成物は、使用性(組成物の保形性、分散性、歯面の擦り易さ)に優れ、ペットの歯面や歯肉に上手く塗布、投与でき、かつデキストラナーゼが安定配合されて高いプラーク除去効果が発揮され、プラークの化学的除去効果と機械的除去効果とを兼備し、嗜好性にも優れる。よって、犬、猫等のペットの口腔内に適用し、歯周病や口臭の予防又は治療に有用である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペットの口腔内のプラーク除去効果、嗜好性、使用性(剤の保形性、歯面の擦り易さ、剤の分散性)に優れ、犬、猫等のペットの歯周病又は口臭を予防又は治療するのに有効なペット用液状口腔用組成物に関する。
犬や猫といったペットの口腔内トラブルの代表例が歯周病と口臭であり、特に3歳齢以上の犬及び猫の約80%は歯周病に罹患していると言われている(非特許文献1)。歯周病と口臭は口腔内細菌により形成されるプラーク(歯垢)が主な原因であると考えられる。従って、歯周病と口臭予防の観点から、犬や猫などのペットにおいてもヒト(人)と同様に歯面に蓄積したプラークを除去し、口腔内をできるだけ清潔にすることが重要である。しかし、ペットの歯を磨くなど口腔内を清掃することは、ペットが暴れたり逃げたりするため容易な作業ではないこともあり、従来のペット用歯磨剤では満足にプラーク除去することは困難であった。
プラークの除去方法としては、歯ブラシやカーゼ等の道具を使用したブラッシングによる機械的除去と、界面活性剤や酵素等を含有した歯磨剤の使用による化学的除去がある。しかし、ブラッシング等の機械的除去単独では狭い隙間に付着したプラークを完全に除去することは困難であり、従って、機械的除去と化学的除去の2つの方法の併用が効果的なケア法として望ましい。
ヒトのプラークを化学的作用により除去する方法として、デキストラナーゼを使用する技術が知られている(非特許文献2)。また、プラークを効果的に除去する方法として、デキストラナーゼと界面活性剤を併用する技術が知られている。しかし、一般的にデキストラナーゼ等の酵素は水分を多く含む系での安定性が低く、組成物、特に水分を多く含む液状の組成物中で長期間保管すると失活し、また、併用する界面活性剤の種類によっても酵素活性が大きく低下してしまう場合がある。
従って、製品としての品質を維持するためには、デキストラナーゼの安定性に対して影響が少ない界面活性剤を選択して使用することが重要であり、デキストラナーゼの安定性の点からノニオン性界面活性剤が良く用いられている。
例えば、口腔用組成物にポリグリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤や、アミノ酸系アニオン性界面活性剤などを配合することで、デキストラナーゼ等の酵素安定性や作用性が向上することが知られている(特許文献1,2参照)。ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤の併用が酵素安定に有効であることも提案され(特許文献3〜5参照)、出願人はこれら非イオン性界面活性剤を配合し、デキストラナーゼ安定性を向上させる技術を特願2007−159663号に提案した。更に、出願人は、デキストラナーゼ含有歯磨組成物にポリグリセリン脂肪酸エステル、水溶性ピロリン酸塩、アルキル硫酸塩を特定の割合で配合することにより、優れた使用感とプラーク除去効果を発揮できることを特願2007−201531号に提案した。
一方、ノニオン性界面活性剤は基材由来の味や臭いが好ましくなく、このためノニオン性界面活性剤を使用する場合には基材由来の味や臭いが少ない界面活性剤を選択したり、界面活性剤由来の苦味をマスキングするためにメントール等の香料成分やサッカリンナトリウム、ステビアエキス等の甘味剤を配合する必要がある上、このようなマスキング剤を配合した場合には、適正な種類や配合量を目的に合うように設定する必要がある。
また、ヒトが使用する歯磨剤等の口腔用組成物には、通常、メントールなどの香料成分が多く配合されているが、香味成分を多く含む組成物は、その香味や味からペットに嫌がられ、口腔内への適用が困難であるだけでなく、口腔内に飲み込まれた場合にペットの体への安全性も懸念される。
そこで、肉類風味又は魚介類風味の香味料などを吸着させた多孔質粒子を配合することで、ペットの好む香りや味を呈し、嗜好性を高めたペット用歯磨き剤が提案されている(特許文献6参照)。また、植物の葉から採取できる3−ヘキサノール、3−ヘキセノール等の香気成分を、歯磨き剤等の洗浄剤などのペット用品に含ませることで、ペットのストレス応答を抑制又は低減させる技術が提案されている(特許文献7参照)。
しかしながら、ペットの嗜好性と歯牙のプラーク除去効果や使用性を同時に満足させることは難しく、このため、犬、猫等のペットの口腔内のプラークに対する除去効果が高く、ペットの嗜好性を満足させ得ることができ、使用性にも優れたペット用の口腔用組成物の開発が望まれていた。
特開平08−12543号公報 特開平10−306018号公報 特開2005−41787号公報 特開2007−145740号公報 特開2008−143824号公報 特開平11−289900号公報 特開2006−87335号公報 ペットフード・ペットビジネスの動向(シーエムシー出版)、p183 Nippon Nogeikagaku kaishi、57(2)、p155−166、1983
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ペットの歯牙のプラーク除去効果が高く、かつ嗜好性に優れ、使用性(組成物の保形性、分散性、歯面の擦り易さ)にも優れたペット用液状口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)デキストラナーゼ、(C)青葉アルコール、(D)水溶性高分子物質、及び(E)水を含有し、前記(A)成分を0.2〜1質量%、(C)成分を0.001〜0.1質量%配合することにより、デキストラナーゼが安定配合されてプラーク除去効果に優れると共に、ペットの嗜好性を満足させる香味を有し、かつ組成物の保形性が良好で、使用性(適用時の分散性、歯面の擦り易さ)にも優れ、ペットの口腔内に容易に適用可能なペット用の液状口腔用組成物が得られることを見出した。
上記したように、口腔用組成物に適宜なノニオン性界面活性剤とメントール等の香料成分を併用することでデキストラナーゼを安定配合でき、ノニオン性界面活性剤等に由来する苦味等の味や臭いが改善され、ヒトにおいて優れた使用感とプラーク除去効果を発揮させることはできるものの、この組成ではペットの嗜好性に劣る。また、香料成分の選定や配合量が適当でない場合にはノニオン性界面活性剤等に由来する異味や臭いをマスキングすることが不十分であるために、ペットが適用を嫌がり、いずれにしてもペットへの適用は困難であった。このため、従来技術では、ペットの嗜好性を満足させつつ、デキストラナーゼ等の酵素を液状口腔用組成物に安定配合させ、使用性良く容易にペットの口腔内に適用させることは難しかった。
本発明によれば、デキストラナーゼに、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、青葉アルコールと、水溶性高分子物質と、水とを適当割合で併用して配合することによって、デキストラナーゼが失活することなく安定配合されて高いプラーク除去性が発揮されると共に、ヒト用に使用されているメントール等の香料成分を配合しなくてもペットの嗜好性を満足させる香味を有し、かつ組成物の保形性や分散性、適用時の歯面の擦り易さといった使用性にも優れ、プラークの化学的除去効果と機械的除去効果とを兼ね備え、ペット用として好適な液状口腔用組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
なお、特許文献7にはペットのストレス応答を抑制又は低減させることを目的に植物の葉から採取できる3−ヘキサノール、3−ヘキセノール等の香気成分を歯磨剤等のペット用品に配合する技術が提案されているが、これら香気成分の配合量や併用組成についての具体的な記載はなく、ましてや、本発明の課題は示されておらず、デキストラナーゼ等の酵素安定化や組成物の使用性向上に関しても記載されていない。また、3−ヘキサノール、3−ヘキセノールはヒト用の口腔用組成物の香料成分として知られているが、(A)〜(E)成分の併用によって、青葉アルコール(シス−3−ヘキセノール)を香料成分として単独で使用した場合においても、上記課題を解決できてペット用として有用な特性を有するものとなることは未だ知られておらず、本発明者らが新たに見出したものである。
従って、本発明は、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)デキストラナーゼ、(C)青葉アルコール、(D)水溶性高分子物質、及び(E)水を含有し、前記(A)成分を0.2〜1質量%、(C)成分を0.001〜0.1質量%配合してなることを特徴とするペット用液状口腔用組成物を提供する。
更に、上記組成物に、(F)スクラロースを0.005〜0.1質量%配合し、かつ(C)に対する(F)の質量比((F)/(C))を0.5〜10の範囲に設定することにより、嗜好性がより向上し、また、(G)水溶性ポリリン酸塩を配合することによりプラークの除去効果をより向上させることができる。
更には、(H)パラオキシ安息香酸メチル及び/又はパラオキシ安息香酸エチルを0.05〜0.3質量%配合し、かつ25℃における組成物のpHを6.5〜8.5の範囲に設定することにより、組成物のデキストラナーゼの経時における保存安定性と防腐力にも優れたものを得ることができる。
本発明組成物は、歯ブラシ、ガーゼ、シート剤から選ばれる適用用具又は人指によりペットの口腔内、特に歯及び/又は歯肉に適用されることが好ましい。
本発明のペット用液状口腔用組成物は、使用性(組成物の保形性、分散性、歯面の擦り易さ)に優れ、ペットの歯面や歯肉に上手く塗布、投与でき、かつデキストラナーゼが安定配合されて高いプラーク除去効果が発揮され、プラークの化学的除去効果と機械的除去効果とを兼備し、嗜好性にも優れる。更にデキストラナーゼの保存安定性と防腐力が良好となる。よって、犬、猫等のペットの口腔内に適用し、歯周病や口臭の予防又は治療に有用である。
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明のペット用液状口腔用組成物は、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)デキストラナーゼ、(C)青葉アルコール、(D)水溶性高分子物質、(E)水を含有する。
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、プラーク除去性とペットに対する嗜好性の点から炭素数8〜16、特に10〜14、とりわけ12〜14の脂肪酸と、平均重合度5〜12、とりわけ8〜10のポリグリセリンとのエステルが用いられる。脂肪酸の炭素数が8未満ではプラーク除去性、嗜好性が低下したり、パラベンを配合する場合に低温保存時の外観安定性が低下することがある。16を超えると嗜好性が低下する場合がある。また、平均重合度5未満では嗜好性が低下する場合があり、12を超えるとパラベンを配合する場合に低温保存時の外観安定性が低下することがある。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばカプリル酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、パルミチン酸ポリグリセリルなどが用いられるが、特にプラーク除去性、嗜好性、防腐力や保存安定性の点から、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリルが好ましく、特にラウリン酸ポリグリセリルが好ましい。
具体的には、太陽化学(株)製のカプリル酸デカグリセリル(サンソフトQ−10Y)、ラウリン酸デカグリセリル(サンソフトM−12J)、ラウリン酸デカグリセリル(サンソフトQ−12Y)、ミリスチン酸デカグリセリル(サンソフトQ−14Y)、ラウリン酸ペンタグリセリル(サンソフトA−12E)、ミリスチン酸ペンタグリセリル(サンソフトA−14E)、三菱化学フーズ(株)製のラウリン酸デカグリセリル(L−10D)、ミリスチン酸デカグリセリル(M−10D)、パルミチン酸デカグリセリル(P−8D)、日光ケミカルズ(株)製のモノラウリン酸デカグリセリル(NIKKOL Decaglyn 1−L)、モノミリスチン酸デカグリセリル(NIKKOL Decaglyn 1−M)、モノラウリン酸ヘキサグリセリル(NIKKOL Hexaglyn 1−L)、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル(NIKKOL Hexaglyn 1−M)などの市販品を使用でき、これらの1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、使用性(分散性、擦り易さ)、プラーク除去性およびペットに対する嗜好性の点から、組成物全体の0.2〜1%(質量%、以下同様。)、好ましくは0.3〜0.8%、より好ましくは0.4〜0.6%である。0.2%未満では、使用性(分散性、擦り易さ)、プラーク除去性が低下し、更にパラベンを配合する場合には低温保存時の外観安定性が低下することがある。1%を超えると嗜好性が低下し、使用時に泡立ち量が多くなり歯面を擦り難くなる。更に、デキストラナーゼの保存安定性が低下することもある。
(B)デキストラナーゼとしては、ケトミウム属、ペニシリウム属、アスペルギルス属、スピカリア属、ラクトバチルス属、セルビブリオ属等に属する公知のデキストラナーゼ生産菌より公知の方法により得られるデキストラナーゼの他、他の微生物より生産されたデキストラナーゼも使用することができ、市販品としては三菱化学フーズ(株)製のものなどを用いることができる。
デキストラナーゼの配合量は、例えば13,000単位/gのものを使用した場合には組成物全体の0.0154〜1.54%(2〜200単位/g)であり、0.0384〜0.384%(5〜50単位/g)が好ましく、0.0769〜0.384%(10〜50単位/g)が特に好ましい。0.0154%(2単位/g)未満では、十分なプラーク除去性が発揮されなくなり、1.54%(200単位/g)を超えると嗜好性が低下する場合がある。ここで、デキストラナーゼ1単位とは、デキストランを基質として反応を行った場合に、1分間あたりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量である。
(C)青葉アルコールは、植物の葉を溶媒抽出することにより得られる不飽和アルコールの1つであり、C612O(分子量100)、融点−61〜62℃のシス−3−ヘキセノールである。本発明では、青葉アルコールの配合により、特にポリグリセリン脂肪酸エステル等の他成分由来の苦味がマスキングされ、ペットにとって良好な嗜好性が得られる。
青葉アルコールとしては、植物の葉を溶媒抽出して得られる抽出物を使用してもよいが、例えば信越化学工業(株)製等の合成品を使用してもよい。
青葉アルコールの配合量は、組成物全体の0.001〜0.1%であり、好ましくは0.005〜0.05%、より好ましくは0.008〜0.02%である。0.001%未満ではポリグリセリン脂肪酸エステル等の他成分由来の味をマスキングする効果が十分に発揮されないために嗜好性に劣り、0.1%を超えるとマスキング効果は発揮されるものの、青葉アルコール由来の香味が強くなって嗜好性が低下してしまう。
(D)水溶性高分子物質としては、口腔用組成物に通常用いられるものを使用可能であり、例えばカラギーナン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カーボポール、ビーガム、ゼラチンなどが挙げられる。中でもアルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、特にアルギン酸ナトリウム、キサンタンガムを用いることが好ましい。これら水溶性高分子物質は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよいが、2種以上を併用する場合はアルギン酸ナトリウムとキサンタンガム、あるいはキサンタンガムとポリアクリル酸ナトリウムとの併用が、組成物の使用性(組成物の保形性、分散性、擦り易さ)と嗜好性の点から好ましい。
水溶性高分子物質の配合量は組成物全体の0.2〜5%、特に0.5〜3%が好ましい。0.2%未満では組成物の使用性(組成物の保形性、分散性、歯面への擦り易さ)、プラーク除去性、嗜好性に劣り、5%を超えても組成物の使用性(分散性、歯面への擦り易さ)、プラーク除去性、嗜好性に劣る場合がある。
(E)水の配合量は、組成物の使用性(特に分散性)、ペットに対する嗜好性、更にはデキストラナーゼの保存安定性や防腐力の点から、組成物全体の50〜90%、特に65〜85%が好ましい。50%未満では組成物の使用性(分散性)や嗜好性に劣り、90%を超えるとデキストラナーゼの保存安定性や防腐力に劣る場合がある。
本発明では、更に(F)スクラロース(正式名;4,1’,6’−トリクロロガラクトスクロース)を配合することがペットに対する嗜好性の向上効果の点から好ましい。スクラロースの配合量は、組成物全体の0.005〜0.1%、特に0.01〜0.05%、とりわけ0.02〜0.03%が好適である。0.005%未満では嗜好性が満足に向上しないことがあり、0.1%を超えるとスクラロース自体の香味が強くなって嗜好性が低くなることがある。
また、(C)青葉アルコールに対する(F)スクラロースの配合比率((F)/(C))は、質量比で0.5〜10、特に1.0〜6.0、とりわけ2.0〜4.0が好ましい。配合比(F)/(C)が0.5〜10の範囲外では、嗜好性の向上効果が十分に発揮されないことがある。
本発明では、更に(G)水溶性ポリリン酸塩を配合することで、よりプラーク除去性を向上させることができる。特に(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.3%以下及び/又は(B)デキストラナーゼの配合量が0.07%以下の場合には、プラーク除去性向上の点から水溶性ポリリン酸塩の配合が有効である。
水溶性ポリリン酸塩としては、下記一般式(1)
n+2n3n+1 (1)
(式中、MはNa又はKを示し、nは2又は3dである。)
で示される直鎖状のものが用いられる。例えば、重合度n=2のピロリン酸ナトリウム(太平化学産業(株)製、東北化学(株)製等)やピロリン酸カリウム(太平化学産業(株)製、東亜合成化学(株)製等)、n=3のトリポリリン酸ナトリウム(セントラル硝子(株)製、日本ビルダー(株)製、太平化学産業(株)等)やトリポリリン酸カリウム(太平化学産業(株)製等)などが挙げられ、中でもピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、特にトリポリリン酸ナトリウムが好ましい。
水溶性ポリリン酸塩を配合する場合、その配合量は組成物全体の0.1〜2%、特に0.3〜1.0%が好適である。0.1%未満ではプラーク除去性向上効果が十分発揮されず、2%を超えると使用感が低下して嗜好性に劣ったり、組成物の外観安定性に劣ることがある。
更に、(H)パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)を配合することが、組成物に防腐力を付与する効果の点から有効である。パラオキシ安息香酸エステルとしてはパラオキシ安息香酸メチル及び/又はパラオキシ安息香酸エチルが好適であり、具体的には上野製薬(株)、みどり化学(株)等の市販品を使用できる。
パラオキシ安息香酸エステルを配合する場合、その配合量は防腐力、デキストラナーゼの保存安定性の点から組成物全体の0.05〜0.3%、特に0.08〜0.2%、とりわけ0.1〜0.15%が好適である。0.05%未満では防腐効果が十分に発揮されず、0.3%を超えるとデキストラナーゼの保存安定性、嗜好性、組成物の外観安定性が低下する場合がある。
また、(G)水溶性ポリリン酸塩を併用し、かつ0.5%以上配合することにより、組成物に防腐力を付与する効果をより向上させることが可能である。
組成物の25℃におけるpHは6.5〜8.5、特に6.8〜8.0が好ましい。pHが上記範囲外ではデキストラナーゼが失活してプラーク除去効果が低下することがあり、pHが8.5を超えると組成物の外観安定性が低下する場合がある。pH調整剤を添加してpHを上記範囲に調整してもよく、pH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムやリン酸、クエン酸、ホウ酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、又はその塩等が挙げられ、中でも、水酸化ナトリウム、リン酸又はその塩、クエン酸又はその塩を用いることが好ましい。リン酸塩としては、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸三カリウム等が挙げられる。
組成物の25℃における粘度は、組成物の使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、嗜好性の点から、ブルックフィールド型粘度計(BH型粘度計、ローターNo.4〜7、回転数20rpm、回転3分後)を用いて測定した場合、2,000〜50,000mPa・s、特に8,000〜20,000mPa・sが好ましい。2,000mPa・s未満では、使用性(保形性、擦り易さ)に劣り、50,000mPa・sを超えると、使用性(分散性、擦り易さ)に劣ったり、使用後のベタツキが酷く、嗜好性が悪くなることがある。
本発明の液状口腔用組成物は、上記必須成分に加えて本発明の効果を損なわない範囲で任意成分としてその他の添加剤を必要に応じて配合できる。例えば研磨剤、界面活性剤、湿潤剤、甘味剤、防腐剤、有効成分、色素、香料、清掃助剤等を配合でき、これら成分と水とを混合し、通常の方法で製造できる。
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム2水和物、第2リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタン、結晶性ジルコニウムシリケート、ポリメチルメタアクリレート、不溶性メタリン酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損アパタイト、第3リン酸カルシウム、第4リン酸カルシウム、第8リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケートなどが挙げられる。これらの中で、デキストラナーゼの安定性の点からシリカ系研磨剤、水酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
研磨剤の配合量は、通常、組成物全体の0〜30%である。
界面活性剤としては、(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルに加え、その他の界面活性剤、例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤を添加できる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、ラウロイルサルコシン塩、ミリスチルサルコシン塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−ラウロイルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩等、両性界面活性剤としては、脂肪酸アミドプロピルベタイン、N−アシルグルタメート、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等、ノニオン性界面活性剤としては、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマ油等が挙げられる。
上記の他の界面活性剤は配合しなくてもよく、その配合量は組成物全体の0〜1.0%である。(A)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含めた界面活性剤の総配合量は、組成物全体の0.2〜2.0%が好ましい。
湿潤剤としては、多価アルコールを配合でき、グリセリン、ソルビット等の糖アルコール、プロピレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、エチレングリコール、還元でんぷん糖化物などの1種又は2種以上を使用できる。配合量は、通常、組成物全体の5〜40%、特に10〜30%が好適である。5%未満では組成物安定性が悪く、40%を超えると嗜好性が低くなる場合がある。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス等、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
各種有効成分としては、デキストラナーゼに加え、その他の有効成分、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1錫、フッ化ストロンチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素化合物、正リン酸のカリウム塩、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、ヒノキチオール、アスコルビン酸又はその塩、塩化ナトリウム、酢酸dl−トコフェロール、α−ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミッレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物、ポリフェノールオキシダーゼ(別名ラッカーゼ)、ムタナーゼ、塩化リゾチーム等のデキストラナーゼ以外の酵素などが挙げられる。有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
香料としては、青葉アルコールに加えて、その他の香料を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。
例えば、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及びこれら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料や、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1.2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール、イソアミルアルコール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、メチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料が挙げられる。上記香料の配合量は本発明の効果を妨げない範囲で、通常は組成物全体の0〜0.5%が好ましい。
着色剤としては、赤色2号、赤色3号、赤色225号、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色205号、青色1号、青色2号、青色201号、青色204号、緑色3号が例示される。
本発明組成物を収容する容器としては特に制限はなく、通常、口腔用組成物に適用される容器を用いることができる。容器として具体的には、ポリエチレン層、エチレンメタクリル酸共重合体層、ポリエチレンテレフタレート層、アルミニウム層、ガラス蒸着層、ポリビニルアルコール層、エチレンビニルアルコール共重合体層、アクリロニトリル共重合体層、紙、リサイクルプラスチック層等からなるラミネート容器や、ポリエチレン容器、ポリエチレンテレフタレート容器、ポリプロピレン容器等が使用でき、チューブ状容器、機械的又は差圧によるディスペンサー容器、ピロー包装等のフィルム包装容器等、口腔用組成物として通常使用される各種容器を使用可能である。好ましくはチューブ状容器、ディスペンサー容器である。
本発明の液状口腔用組成物は、ペット、特に犬又は猫の口腔内に適用されるもので、適用方法は、ペットやヒト用の歯ブラシ、適宜形状のガーゼ、シート剤等の用具を使用したり、あるいは飼育者の指を使用して、これら用具又は指の上に収容容器から排出させて、ペットの歯に適用して歯を磨いたり、歯肉に塗布したりする使い方や、液状組成物を先が細いノズルを取り付けた容器に収容して歯面や歯肉等の部位に直接投与し、歯磨きするなどといった使い方が可能である。犬又は猫の歯牙や歯茎を歯磨きする場合には、歯ブラシ、ガーゼ、シート剤等の用具を使用する方法が好ましい。
以下、実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
[実験例1]
表1に示す組成でポリグリセリン脂肪酸エステル、デキストラナーゼ、青葉アルコール、水溶性高分子物質(アルギン酸ナトリウム等)などを配合し、下記方法で液状組成物を調製した。製造直後品のpH及び粘度を下記方法で測定した。
また、得られた液状組成物50gを、最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなる直径26mmのラミネートチューブ(LDPE55/PET12/LDPE20/白LDPE60/EMAA20/AL10/EMAA30/LDPE20/LLDPE30(大日本印刷(株)製))に充填し、下記方法で使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、プラーク除去性、嗜好性を評価した。結果を表1に示す。
使用したラミネートチューブの層構成における略号と名称は下記の通りである。略号に続く数字は各層の厚み(μm)を示す。
LDPE:低密度ポリエチレン
白LDPE:白色低密度ポリエチレン
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン
AL:アルミニウム
EAA:エチレン・アクリル酸の共重合体樹脂
PET:ポリエチレンテレフタレート
EMAA:エチレン・メタクリル酸の共重合体樹脂
液状組成物の調製;
精製水に水溶性成分(リン酸塩、スクラロース、ポリリン酸塩、グリセリン、安息香酸塩等)を混合溶解しA相を調製した。必要に応じてDL−アラニンを添加した。また、プロピレングリコールに水溶性高分子物質(キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム等)、パラベン(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等)を混合分散し、B相を調製した。その後、撹拌しながらA相にB相を添加混合し、C相を得た。更に、ポリグリセリン脂肪酸エステル(必要に応じて、加熱して水に溶解)、デキストラナーゼ、青葉アルコール(予め、プロピレングリコールに溶解)の順に加え、更に減圧下(40mmHg)で撹拌し、液状組成物を得た。なお、製造にはみずほ式真空乳化釜を用いた。
代表的な使用原料は以下の通りである。
・ラウリン酸デカグリセリル;
太陽化学(株)製 サンソフトM−12J(HLB15.5)
・ミリスチン酸デカグリセリル;
太陽化学(株)製 サンソフトA−14Y(HLB16.7)
・カプリル酸デカグリセリル;
太陽化学(株)製 サンソフトQ−10Y(HLB17.3)
・デキストラナーゼ;三菱化学フーズ(株)製
・青葉アルコール;信越化学工業(株)製 シス−3−ヘキセノール
・アルギン酸ナトリウム;(株)キミカ製 キミカアルギンI−3
・キサンタンガム;ケルコ社製 エコーガムT
・ポリアクリル酸ナトリウム;日本純薬社製 レオジック250H
・スクラロース;三栄源エフエフアイ(株)製
・トリポリリン酸ナトリウム;太平化学産業(株)製
(1)pHの測定方法
試験液状組成物をガラス製容器に入れ、pH計(東亜電波工業(株)製、HM−30V)及びpH電極(東亜電波工業(株)製、GST−5421C)にて25℃における3分後の値を測定した。
(2)粘度の測定方法
試験液状組成物をガラス製スクリュー管瓶(100mL、マルエムNo.8)に移し、キャップにて密封した後、25℃の水浴中で30分間放置した。BH型粘度計(東機産業(株)製)を使用し、回転数20rpmで3分後の読み値から粘度(mPa・s)を算出し、以下の基準に従って評価した。なお、下記に示すように粘度範囲に応じて使用ローターを変えた。
ローターNo.3:
粘度が100〜5,000mPa・sの範囲
ローターNo.6:
粘度が5,000mPa・sを超えて40,000mPa・s以下の範囲
ローターNo.7:
粘度が40,000mPa・sを超えて160,000mPa・s以下の範囲
(3)使用性(保形性、分散性、歯面の擦り易さ)
使用性は、専門家パネラー10人を用いた官能試験により評価した。各パネラーが上記のチューブ容器に充填した試験用液状組成物1gを歯ブラシ、ガーゼ、指のそれぞれの上に押出し、各々について組成物の(a)保形性を下記基準で評価した。次に、下記組成の人工唾液で濡らしたモデル義歯を上記3種それぞれの適用方法で擦り洗いした場合の(b)分散性、(c)歯面の擦り易さを評価した。
10名の評価結果を平均し、以下の判定基準で判定し、◎又は○の場合を使用性良好と判定した。
人工唾液(pH8.0):
成分 濃度(mmol/L)
塩化カリウム 50
塩化カルシウム 1.0
リン酸二水素カリウム 1.0
塩化マグネシウム(6水和物) 0.1
人工唾液は、上記濃度になるように塩を900mLのイオン交換水に溶解し、水酸化カリウム水溶液にてpH8.0に調整後、全量が1,000mLになるようにイオン交換水を加えて調製した。
(a)保形性
3点:3種全てにおいて30秒間以上著しい型崩れが認められなかった。
2点:3種いずれかにおいて30秒間未満で著しい型崩れが認められた。
1点:3種全てにおいて30秒間未満で著しい型崩れが認められた。
(b)分散性
3点:3種全ての適用方法で、モデル義歯全体に組成物が容易に広がった。
2点:3種いずれかの適用方法で、モデル義歯全体に組成物が容易に広がらなかった。
1点:3種全ての適用方法で、モデル義歯全体に組成物が容易に広がらなかった。
(c)歯面の擦り易さ
3点:3種全ての適用方法で、モデル義歯の擦り洗いが容易にできた。
2点:3種いずれかの適用方法で、モデル義歯の擦り洗いが容易にできなかった。
1点:3種全ての適用方法で、モデル義歯の擦り洗いが容易にできなかった。
<判定基準>
◎:平均点が2.5点以上3.0以下
○:平均点が2.0点以上2.5未満
△:平均点が1.5点以上2.0点未満
×:平均点が1.5点未満
(4)プラークの除去性
プラークの調製;
実験用に飼育されたビーグル犬の歯面に付着した粘着性物質(プラーク)より分離した細菌パスツレラ カニス(Pasteurella canis)をTSB培地に接種し、37℃下で1日間静置培養し、前培養液を得た。6穴プレート(旭テクノグラス(株)製)の各ウェルに1%グルコースを含むTSB培地10mLを加え、上記の前培養液200μLを接種した。各ウェルの中に予めオートクレーブ(121℃、20分間)にて滅菌しておいたハイドロキシアパタイト板(以後、HA板と略記。)10個を接触しないように置き、37℃下で1日間培養した。培養後のHA板上に形成されたプラーク様物質をイオン交換水にて2回洗浄し、HA板上プラークを評価に使用した。
試験用液状組成物のプラークの除去性試験;
下記組成の対照品及び試験用液状組成物の各々を上記の人工唾液で2倍希釈したものをサンプルとして使用した。6穴プレートのウェルにサンプルを2g加えた後、サンプル上でプラークが付着したHA板表面を10秒間擦った(N=6)。別の6穴プレートのウェルに人工唾液10mLを加え、そこにサンプル処置したHA板6個を接触しないように置き、37℃下で18時間静置した。静置後、HA板を取り出し、イオン交換水にて2回洗浄した後、自然乾燥させた。各HA板を歯垢染色液(ライオン(株)製)の中に10秒間浸漬し、染色した。イオン交換水にて3回洗浄し、乾燥後、分光式色差計SE−2000(日本電色工業(株)製)にてΔa値を測定した。6個のHA板のΔa値の平均値を算出し、下記式によりプラーク除去率を算出した。
以下の判定基準で判定し、◎又は○の場合を良好なプラーク除去性と判断した。
除去率(%)=
〔1−(試験用組成物の平均Δa値)/(対照品の平均Δa値)〕×100
<判定基準>
◎:除去率80%以上
○:除去率60%以上80%未満
△:除去率40%以上60%未満
×:除去率40%未満
対照品の組成:
配合成分 配合量(%)
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2
香料A 0.01
キサンタンガム 1.0
アルギン酸ナトリウム 1.0
濃グリセリン 10
プロピレングリコール 4
リン酸一水素ナトリウム 0.5
リン酸二水素ナトリウム 0.1
水 バランス
合計 100.00
粘度 1,000mPa・s pH7.4
なお、香料Aは、下記組成である(以下、同様)。
香料Aの組成:
配合成分 配合量(%)
メントール 35
ペパーミント油 25
スペアミント油 5
アネトール 5
カルボン 5
アニス油 2
カシア油 2
ウィンターグリーン油 1
ユーカリ油 1
クローブ油 1
エタノール バランス
合計 100
(5)嗜好性
市販のペット用歯磨剤にて普段歯みがきをしている犬の飼い主(10名)が嗜好性を評価した。チューブ容器に充填した上記組成の対照品又は各試験用組成物を歯ブラシ又はガーゼ上に押出して載せ、犬の口を開けて、組成物を歯面に塗りつけるように擦った。その後、飼い主が犬の反応を観察した。まず1日目に対照品を2回試験し、2日目以降は試験用組成物1品のみを1日2回試験し、飼い主が犬の嗜好性を対照品使用時と比較して下記基準で評価した。また、10名の評点の平均点から以下の基準で◎又は○の場合を良好な嗜好性と判定した。
(嗜好性)
4点:嗜好性が非常に優れていた。
3点:嗜好性が少し優れていた。
2点:嗜好性が同じレベルであった。
1点:嗜好性が悪かった。
<判定基準>
◎:平均点が3.5点以上4.0点以下
○:平均点が3.0点以上3.5点未満
△:平均点が2.0点以上3.0点未満
×:平均点が1.0点以上2.0点未満
Figure 2010043016
Figure 2010043016
表1,2の結果から、本発明組成物(実施例)は、使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、プラークの除去性及び嗜好性の全てにおいて良好(○又は◎)であることがわかった。これに対して、本発明の必須要件のいずれかを満たさない組成物(比較例)は、いずれかの特性に劣っていた。
[実験例2]
表3に示す組成の液状組成物を上記方法に従って調製し、上記と同様の最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなるラミネートチューブに50g充填した。下記方法でデキストラナーゼ安定性及び防腐力を評価した。なお、製造直後品の物性(pH,粘度)、使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、プラークの除去性、及び嗜好性の評価は実験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
代表的な原料は実験例1と同様であり、パラオキシ安息香酸エステルは下記のものを使用した。
・パラオキシ安息香酸メチル及びパラオキシ安息香酸エチル;上野製薬(株)
(1)デキストラナーゼの保存安定性
各試験用組成物を上記の最内層が直鎖状低密度ポリエチレンからなるラミネートチューブに50g充填し、40℃で4週間保存した。保存後の各組成物0.6gを0.1mol/Lリン酸緩衝液15mLで懸濁し、その遠心上清を被検液とした。この被検液1mLを1%デキストラン溶液2mLに加え、40℃の恒温槽で正確に10分間反応させて生じた還元糖量を、ソモギーネルソン法を用いて測定した。デキストラナーゼ1単位は、1分間あたりにグルコース1μmolに相当する遊離還元糖を生じるデキストラナーゼの量とした。繰り返し3回の平均値を算出し、下記判定基準で◎又は○の場合を良好なデキストラナーゼの保存安定性を有すると判定した。
<判定基準>
◎:残存率80%以上
○:残存率60%以上80%未満
△:残存率40%以上60%未満
×:残存率40%未満
(2)防腐力
防腐力の評価は、供試菌として環境由来のグラム陰性細菌(桿菌)、酵母を用いて行った。それぞれを適当な培地で培養し、約108〜109個/mLとなるように菌懸濁液を調製した。評価試料20gに前記菌懸濁液0.2mLを添加し、十分に混合して、評価用混合液を調製した後、細菌は20℃、酵母は25℃でそれぞれ暗所に保存した。次に、保存1日後、4日後、7日後、14日後、及び28日後に、前記評価用混合液から1gを無菌的に採取し、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・レシチン・ポリソルベート80液体培地9mLにそれぞれ希釈混合した。得られた希釈混合液1mLをそれぞれシャーレに取り、細菌はソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・レシチン・ポリソルベート80寒天培地、酵母はグルコース・ペプトン・レシチン・ポリソルベート80寒天培地で混釈を行った。細菌は30℃で4日間、酵母は25℃で7日間培養を行い、前記試料中の生存菌数を測定した。添加した細菌又は酵母が検出限界以下(10個/g以下)になるまでの日数に基づき、下記基準で◎又は○の場合を良好な防腐力と判定した。
<判定基準>
◎:保存7日以内に検出限界以下となり、添加した菌の死滅が認められた。
○:保存8〜14日以内に検出限界以下となり、添加した菌の死滅が認められた。
△:保存15〜28日以内に検出限界以下となり、添加した菌の死滅が認められた。
×:保存28日以内では検出限界以下とならなかった。
Figure 2010043016
表3の結果から、本発明組成物(実施例)はデキストラナーゼ安定性及び防腐力に加えて、使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、プラーク除去性、嗜好性、デキストラナーゼの保存安定性、及び防腐力の全てにおいて良好(○又は◎)であった。
[実施例32]液状組成物
(A)ラウリン酸デカグリセリル(サンソフトM−12J) 0.4
(B)デキストラナーゼ(13,000単位/g) 0.06
(C)青葉アルコール 0.01
(D)キサンタンガム 1.5
(D)アルギン酸ナトリウム 0.4
(D)カルボキシメチルセルロースナトリウム* 0.2
(F)スクラロース 0.04
(G)トリポリリン酸ナトリウム 0.5
(H)パラオキシ安息香酸エチル 0.05
ショ等脂肪酸エステル 0.2
濃グリセリン 8.0
プロピレングリコール 5.0
リン酸一水素ナトリウム 0.6
リン酸二水素ナトリウム 0.1
DL−アラニン 0.4
安息香酸ナトリウム 0.15
パラオキシ安息香酸ブチル 0.03
(E)水 82.36
計 100.00%
*カルボキシメチルセルロースナトリウム;
ダイセル化学工業社製 CMCダイセル1290
(F)/(C)=4.0
実験例1,2と同様にして、上記液状組成物を調製し(pH7.7,粘度;12,000mPa・s)、ラミネートチューブに充填した。同様に評価した結果、使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、プラーク除去性、嗜好性、デキストラナーゼの保存安定性、防腐力の全ての項目に対して判定が(○又は◎)であった。
[実施例33]液状組成物
(A)ラウリン酸デカグリセリル(サンソフトM−12J) 0.3
(B)デキストラナーゼ(13,000単位/g) 0.16
(C)青葉アルコール 0.005
(D)キサンタンガム 0.8
(D)アルギン酸ナトリウム 1.2
(D)カラギーナン* 0.3
(F)スクラロース 0.02
(G)ピロリン酸ナトリウム 0.5
(H)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
濃グリセリン 15
プロピレングリコール 2.0
リン酸一水素ナトリウム 0.3
リン酸二水素ナトリウム 0.05
DL−アラニン 0.3
安息香酸ナトリウム 0.1
パラオキシ安息香酸プロピル 0.01
サッカリンナトリウム 0.005
(E)水 78.75
計 100.00%
*カラギーナン;CPケルコ社製シーピーガムFA
(F)/(C)=4.0
実験例1,2と同様にして、上記液状組成物を調製し(pH7.8,粘度;15,000mPa・s)、ラミネートチューブに充填した。同様に評価した結果、使用性(保形性、分散性、擦り易さ)、プラーク除去性、嗜好性、デキストラナーゼの保存安定性、防腐力の全ての項目に対して判定が(○又は◎)であった。

Claims (5)

  1. (A)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(B)デキストラナーゼ、(C)青葉アルコール、(D)水溶性高分子物質、及び(E)水を含有し、前記(A)成分を0.2〜1質量%、(C)成分を0.001〜0.1質量%配合してなることを特徴とするペット用液状口腔用組成物。
  2. 更に、(F)スクラロースを0.005〜0.1質量%含有し、(C)成分に対する(F)成分の質量比((F)/(C))が0.5〜10であることを特徴とする請求項1記載のペット用液状口腔用組成物。
  3. 更に、(G)水溶性ポリリン酸塩を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のペット用液状口腔用組成物。
  4. 更に、(H)パラオキシ安息香酸メチル及び/又はパラオキシ安息香酸エチルを0.05〜0.3質量%含有し、かつ組成物の25℃におけるpHが6.5〜8.5であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のペット用液状口腔用組成物。
  5. 歯ブラシ、ガーゼ、シート剤から選ばれる適用用具又は人指によりペットの口腔内に適用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペット用液状口腔用組成物。
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