JP2010041901A - 交流電動機の制御装置および制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】過変調モードおよび正弦波変調モードを選択的に適用する交流電動機のPWM制御において、制御モード切替が頻繁に繰返されるチャタリングの発生を防止する。
【解決手段】過変調モードでのPWM制御実行時に、ECUは、過変調モードから正弦波変調モードへの制御モード切替判定に用いる切替判定値を、インバータの現在のスイッチング状態に基づいて可変に設定する(S200)。そして、ECUは、電圧指令値から算出される変調度を切替判定値と比較して(S210)、正弦波変調モードへの切替(S220)および過変調モードの維持(S230)のいずれとするかを判定する。特に、正弦波変調モードへの切替後に、デッドタイム変化の影響によって即座に過変調モードへの切替が必要な電圧指令が生成されそうな状態であるときには、過変調モードから正弦波変調モードへの変更を妨げるように切替判定値を可変に設定する。
【選択図】図8

Description

この発明は、交流電動機の制御装置および制御方法に関し、より特定的には、正弦波変調モードおよび過変調モードを有するパルス幅変調(PWM)制御が適用される交流電動機の制御に関する。
直流電源を用いて交流電動機を駆動制御するために、インバータを用いた駆動方法が採用されている。インバータは、インバータ駆動回路によりスイッチング制御されており、たとえばPWM制御に従ってスイッチングされた電圧が交流電動機に印加される。
さらに、特開2008−11682号公報(特許文献1)には、交流電動機の駆動制御について、d軸およびq軸の電流偏差を補償するための電流フィードバック制御において、電圧指令が基準三角波の振幅以下である正弦波PWM制御(特許文献1の図2)と、電圧指令の振幅が基準三角波のピーク値を超える過変調PWM制御(特許文献1の図3)とを使い分けるPWM制御構成が開示されている。
特に、特許文献1による交流電動機の制御では、トルク偏差に応じて電圧位相が制御される矩形波電圧を交流電動機に印加する矩形波制御をさらに適用するとともに、矩形波制御と過変調PWM制御との間の制御モード切替を安定化するための技術が記載されている。
特開2008−11682号公報
特許文献1では、PWM制御における、正弦波PWM制御および、過変調PWM制御の間の切替判定については、交流電動機の必要電圧振幅としきい値電圧との比較に基づいて実行される。このしきい値は、代表的には、基準三角波電圧のピーク値の絶対値に相当することが記載されており、固定値であることが理解される。
しかしながら、特許文献1の図3からも理解されるように、過変調PWM制御では、インバータでのスイッチング回数を減らすことによって、交流電動機の印加電圧の基本波成分を高めている。また、通常の正弦波PWM制御が搬送波周波数を高周波数に固定する、いわゆる非同期PWMで実行されるのに対して、過変調PWM制御では、スイッチング回数の低減に伴って、交流電動機への印加電圧の正負が非対称とならないように、いわゆる同期PWM方式を適用して、交流電動機の回転速度に応じて搬送波周波数が可変制御されることがある。
また、インバータでのスイッチング制御では、同一相の上下アーム素子間での短絡電流を防止するために、スイッチング素子のオン・オフ切替(スイッチング)時には、当該相の上下アームの両方をオフさせるデッドタイムを設けることが実用上不可欠である。このデッドタイムの存在により、制御モード切替時にインバータでのスイッチング回数が大幅に変化すると、インバータ出力電圧、すなわち、交流電動機の印加電圧へのデッドタイムの影響が大幅に変化するおそれがある。
このような現象が発生すると、電圧指令が同等であっても制御モードの切替をトリガに交流電動機の印加電圧が大きく変化することになり、その変化の方向によっては、一旦切替えた制御モードが再び逆方向に切替えられる可能性がある。この結果、過変調PWM制御と正弦波PWM制御との間での制御モード切替が短期間に頻繁に実行される、いわゆるチャタリングが発生して制御が不安定となるおそれがある。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、過変調PWM制御(過変調モード)と正弦波PWM制御(正弦波変調モード)とを選択的に適用する交流電動機のPWM制御において、制御モード切替が頻繁に繰返されるチャタリングの発生を防止して制御の安定化を図ることである。
本発明による交流電動機の制御装置は、インバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御装置であって、パルス幅変調制御部と、モード切替判定部と、判定値設定部とを備える。パルス幅変調制御部は、交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御によって、インバータの制御指令を発生するように構成される。モード切替判定部は、パルス幅変調制御部によるパルス幅変調制御を、電圧指令信号の振幅が搬送波信号の振幅よりも大きい過変調モードと、電圧指令信号の振幅が搬送波信号の振幅以下である正弦波変調モードとのいずれによって実行するかを指示するように構成される。判定値設定部は、過変調モードによるパルス幅変調制御の実行時に、インバータによる電力変換動作の状態に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替を判定するための切替判定値を可変に設定するように構成される。さらに、モード切替判定部は、電圧指令信号に関連する値と切替判定値との比較に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替要否を判定する。
本発明による交流電動機の制御方法は、インバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御方法であって、交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御によってインバータを制御するステップと、パルス幅変調制御について、電圧指令信号の振幅が搬送波信号の振幅よりも大きい過変調モードと、電圧指令信号の振幅が搬送波信号の振幅以下である正弦波変調モードとのいずれを適用するかを選択するステップとを備える。そして、選択するステップは、過変調モードによるパルス幅変調制御の実行時に、インバータによる電力変換動作の状態に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替を判定するための切替判定値を可変に設定するステップと、切替判定値と電圧指令信号との比較に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替要否を判定するステップとを含む。
上記交流電動機の制御装置および制御方法によれば、過変調モードでの制御実行時におけるインバータの電力変換動作状態に応じて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定値を可変に設定することができる。この結果、正弦波変調モードへ切替えた際に、制御モード切替の影響によって再び過変調モードへの切替が発生することが懸念されるような電力変換動作状態であるか否かを反映して、切替判定値を適切に設定できる。この結果、過変調モードおよび正弦波変調モードの間で制御モード切替が頻繁に発生するハンチング現象を防止して、PWM制御を安定化することができる。
好ましくは、インバータは、パルス幅変調制御部からの制御指令に従ってオンオフされる電力用半導体スイッチング素子を含み、搬送波の周波数は、過変調モードでは、搬送波信号の周波数が交流電動機の回転周波数の整数倍となるように、交流電動機の回転速度に応じて制御される。そして、判定値設定部または設定するステップは、過変調モードにおける一定期間内での電力用半導体スイッチング素子のオンオフ回数に応じて、切替判定値を可変に設定する。さらに好ましくは、搬送波の周波数は、正弦波変調モードでは、インバータおよび交流電動機の動作状態に応じて、交流電動機の回転速度とは無関係に制御される。そして、判定値設定部または判定するステップは、一定期間内での電力用半導体スイッチング素子のオンオフ回数についての、過変調モードにおける現在値と、正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、切替判定値を可変に設定する。
このようにすると、非同期PWM制御が適用される過変調モード時におけるインバータでのスイッチング回数に応じて切替判定値を可変に設定できる。これにより、過変調モードからの制御モード切替によって生じるスイッチング回数変化の度合いを反映して、切替判定値を適切に設定することができる。
また好ましくは、搬送波の周波数は、過変調モードでは、搬送波信号の周波数が交流電動機の回転周波数の整数倍となるように、交流電動機の回転速度に応じて制御される。そして、判定値設定部または設定するステップは、過変調モードにおける搬送波の周波数に応じて、切替判定値を可変に設定する。さらに好ましくは、搬送波の周波数は、正弦波変調モードでは、インバータおよび交流電動機の動作状態に応じて、交流電動機の回転速度とは無関係に制御される。そして、判定値設定部または設定するステップは、搬送波の周波数についての、過変調モードにおける現在値と、正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、切替判定値を可変に設定する。
このようにすると、非同期PWM制御が適用される過変調モード時における搬送波周波数に応じて、切替判定値を可変に設定できる。これにより、簡易な構成により、過変調モードからの制御モード切替によって生じるスイッチング回数変化の度合いを反映して、切替判定値を適切に設定することができる。
あるいは好ましくは、判定値設定部または設定するステップは、パルス幅変調制御に従う制御指令に従ってインバータおよび交流電動機の間で授受される交流電力の過変調モードにおける力率に応じて、切替判定値を可変に設定する。さらに好ましくは、判定値設定部または設定するステップは、交流電力の力率についての、過変調モードにおける現在値と、正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、切替判定値を可変に設定する。
このようにすると、デッドタイムの存在が交流電動機の印加電圧に与える影響が、交流電動機の電圧および電流の位相によって変化する現象を反映して、切替判定値を適切に設定できる。
また好ましくは、判定値設定部または設定するステップは、所定の基準値と電力変換動作の状態に基づいて可変に設定される補正値との和に従って、切替判定値を設定し、この補正値は、過変調モードから正弦波変調モードへの遷移を妨げる方向の極性に限定して設定される。
このようにすると、理論的な切替判定値に対応する基準値を、過変調モードから正弦波変調モードへの切替を妨げる方向に限定して補正する態様で、切替判定値を可変設定できる。したがって、ハンチング防止の面から効果的な状況に限定して切替判定値を理論値から補正することになるので、制御の安定性を高めることができる。
好ましくは、電圧指令信号に関連する値および切替判定値は、インバータへの入力直流電圧に対する電圧指令信号の振幅の比によって与えられる。さらに好ましくは、入力直流電圧は、直流電源の出力電圧を可変制御するコンバータによって生成される。
このようにすると、インバータの直流リンク電圧の変動、あるいはコンバータによる可変電圧制御に対応させて、PWM制御における過変調モードと正弦波変調モードとの切替を適切に判定することができる。
本発明によれば、過変調モードおよび正弦波変調モードを選択的に適用する交流電動機のPWM制御において、制御モード切替が頻繁に繰返されるチャタリングの発生を防止して制御の安定化を図ることができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
(全体システム構成)
図1は、本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置および制御方法が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。
図1を参照して、モータ駆動制御システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流電動機M1と、制御装置30とを備える。
交流電動機M1は、たとえば、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動用電動機である。あるいは、この交流電動機M1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流電動機M1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。すなわち、本実施の形態において、「交流電動機」は、交流駆動の電動機、発電機および電動発電機(モータジェネレータ)を含むものである。
直流電圧発生部10♯は、直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、昇降圧コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置により構成される。直流電源Bが出力する直流電圧Vbおよび入出力される直流電流Ibは、電圧センサ10および電流センサ11によってそれぞれ検知される。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および電力線6の間に接続され、システムリレーSR1は、直流電源Bの負極端子およびアース線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。
昇降圧コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2は、電力線7およびアース線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、
電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラ
トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと電力線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、電力線7およびアース線5の間に接続される。
インバータ14は、電力線7およびアース線5の間に並列に設けられる、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17とから成る。各相上下アームは、電力線7およびアース線5の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン・オフは、制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
代表的には、交流電動機M1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
昇降圧コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)をインバータ14へ供給する。より具体的には、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のオン期間およびスイッチング素子のQ2のオン期間(または、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間)が交互に設けられ、昇圧比は、これらのオン期間の比に応じたものとなる。
また、昇降圧コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を介してインバータ14から供給された直流電圧VH(システム電圧)を降圧して直流電源Bを充電する。より具体的には、制御装置30からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間(または、スイッチング素子のQ2のオン期間)とが交互に設けられ、降圧比は上記オン期間のデューティ比に応じたものとなる。
平滑コンデンサC0は、昇降圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値を制御装置30へ出力する。
インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、平滑コンデンサC0から直流電圧が供給されると制御装置30からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流電動機M1を駆動する。また、インバータ14は、交流電動機M1のトルク指令値が零の場合(Trqcom=0)には、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流電動機M1を駆動する。これにより、交流電動機M1は、トルク指令値Trqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動制御システム100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時には、交流電動機M1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号S3〜S8に応答したスイッチング動作により、交流電動機M1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を平滑コンデンサC0を介して昇降圧コンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流電動機M1に流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流を制御装置30へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流電動機M1のロータ回転角θを検出し、その検出した回転角θを制御装置30へ送出する。制御装置30では、回転角θに基づき交流電動機M1の回転数(回転速度)および角速度ω(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ25については、回転角θを制御装置30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置を省略してもよい。
本発明の実施の形態における駆動制御装置に対応する制御装置30は、電子制御ユニット(ECU)により構成され、予め記憶されたプログラムに従うソフトウェア処理および/または電子回路によるハードウェア処理により、モータ駆動制御システム100の動作を制御する。
代表的な機能として、制御装置30は、入力されたトルク指令値Trqcom、電圧センサ10によって検出された直流電圧Vb、電流センサ11によって検出された直流電流Ib、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VHおよび電流センサ24からのモータ電流iv,iw、回転角センサ25からの回転角θ等に基づいて、後述する制御方式により交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、昇降圧コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。すなわち、昇降圧コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1〜S8を生成して、昇降圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
昇降圧コンバータ12の昇圧動作時には、制御装置30は、平滑コンデンサC0の出力電圧VHをフィードバック制御し、出力電圧VHが電圧指令値となるようにスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
また、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号S3〜S8を生成してインバータ14へ出力する。これにより、インバータ14は、交流電動機M1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇降圧コンバータ12へ供給する。
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号S1,S2を生成し、昇降圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流電動機M1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
(制御モードの説明)
制御装置30による交流電動機M1の制御についてさらに詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態によるモータ駆動システムにおける交流電動機M1の制御モードを概略的に説明する図である。
制御装置30による交流電動機M1の制御についてさらに詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態によるモータ駆動制御システムにおける交流電動機M1の制御モードを概略的に説明する図である。
図2に示すように、本発明の実施の形態によるモータ駆動制御システム100では、交流電動機M1の制御、すなわち、インバータ14における電力変換について、3つの制御モードを切替えて使用する。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御として用いられるものであり、各相上下アーム素子のオン・オフを、正弦波状の電圧指令と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティが制御される。周知のように、電圧指令の振幅が搬送波振幅以下の範囲に制限される正弦波PWM制御では、この基本波成分振幅をインバータの直流リンク電圧の約0.61倍程度までしか高めることができない。以下、本明細書では、インバータ14の直流リンク電圧(すなわち、システム電圧VH)に対する交流電動機M1への印加電圧(以下、単に「モータ印加電圧」とも称する)の基本波成分の振幅の比を「変調率」と称することとする。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流電動機印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、電圧指令の振幅が搬送波振幅より大きい範囲で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。特に、電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませることによって基本波成分を高めることができ、変調率を正弦波PWM制御モードでの最高変調率から0.78の範囲まで高めることができる。
交流電動機M1では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなるため、必要となる駆動電圧(モータ必要電圧)が高くなる。コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHはこのモータ必要電圧よりも高く設定する必要がある。その一方で、コンバータ12による昇圧電圧すなわち、システム電圧VHには限界値(VH最大電圧)が存在する。
したがって、モータ必要電圧がVH最大電圧より低い領域では、正弦波PWM制御または過変調PWM制御によるPWM制御モードが適用されて、ベクトル制御に従ったモータ電流のフィードバック制御によって、出力トルクがトルク指令値Trqcomに制御される。その一方で、モータ必要電圧がVH最大電圧に達すると、システム電圧VHをVH最大電圧に設定した上で矩形波電圧制御モードが適用される。矩形波電圧制御では、基本波成分の振幅が固定されるため、トルク実績値とトルク指令値との偏差に基づく、矩形波電圧パルスの位相制御によってトルク制御が実行される。
以下では、PWM制御モードのうち、過変調PWM制御が適用される制御モードを「過変調モード」と称し、正弦波PWM制御が適用される制御モードを「正弦波変調モード」と称することとする。
図3には、交流電動機M1の動作状態と上述の制御モードとの対応関係が示される。
図3を参照して、概略的には、低回転数域A1ではトルク変動を小さくするために正弦波変調モードが用いられ、中回転数域A2では過変調モード、高回転数域A3では、矩形波電圧制御モードが適用される。特に、過変調モードおよび矩形波電圧制御モードの適用により、交流電動機M1の出力向上が実現される。このように、図2に示した制御モードのいずれを用いるかについては、基本的には、実現可能な変調率の範囲内で決定される。
図4は、本発明の実施の形態による交流電動機の制御装置および制御方法によるモータ制御構成を説明するブロック図である。図4に示されたモータ制御のための各ブロックは、制御装置30によるハードウェア的あるいはソフトウェア的な処理によって実現される。
図4を参照して、PWM制御部200は、PWM制御モードの選択時に、交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、PWM制御に従ってインバータ14のスイッチング制御信号S3〜S8を生成する。PWM制御部200は、電流指令生成部210と、電圧指令生成部220と、PWM回路230と、搬送波発生回路250と、周波数制御部260とを含む。
矩形波電圧制御部300は、矩形波電圧制御モードの選択時に、交流電動機M1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するような電圧位相の矩形波電圧が発生されるように、インバータ14のスイッチング制御信号S3〜S8を生成する。矩形波電圧制御部300は、演算部305と、トルク検出部310と、電圧位相制御部320と、矩形波発生部330とを含む。
モード切替判定部400は、図3に示したPWM制御モードおよび矩形波電圧制御モード間のモード切替を判定する。さらに、上述のように、PWM制御モードが正弦波変調モードおよび過変調モードを含むので、モード切替判定部400は、PWM制御モード中での正弦波変調モードおよび過変調モードの切替を判定する機能を有する。過変調モード時には、制御信号OMがオンされる。切替判定値設定部450は、過変調モード選択時におけるインバータ14の電力変換動作状態(スイッチング条件)に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定値Fjdを可変に設定する。
切替スイッチ410は、モード切替判定部400によって選択される制御モードに従って、I側およびII側のいずれかに設定される。
PWM制御モードの選択時には、切替スイッチ410はI側に設定されており、PWM制御部200によって設定されたスイッチング制御信号S3〜S8に従い、擬似的な正弦波電圧が交流電動機M1に印加される。一方、矩形波電圧制御モードの選択時には、切替スイッチ410はII側に設定されており、矩形波電圧制御部300によって設定されたスイッチング制御信号S3〜S8に従い、インバータ14により矩形波電圧が交流電動機M1に印加される。
次に、各ブロックの機能の詳細を説明する。
PWM制御部200において、電流指令生成部210は、交流電動機M1がトルク指令値Trqcomを発生するための電流指令値を生成する。PWM制御における電流指令は、d−q軸の電流指令値IdcomおよびIqcomとして設定されることが一般的である。電流指令値Idcom,Iqcomに基づき、電流振幅|I|および電流位相φiを求めることができる。
電圧指令生成部220は、電流センサ24によって検出されたモータ電流MCRT(3相電流)を、ロータ回転角θを用いて3相−2相変換することによってd軸電流およびq軸電流を求める。さらに、電圧指令生成部220は、電流指令値Idcom,Iqcomに対する電流偏差を補償するフィードバック制御を行なうように、たとえば比例積分(PI)制御に基づいて、電圧指令値Vdcom,Vqcomを生成する。そして、電圧指令値Vdcom,Vqcomを、2相−3相に逆変換することによって、インバータ14の各相電圧指令Vu,Vv,Vwを生成する。電圧指令Vu,Vv,Vwは、PWM回路230へ送出される。
PWM回路230は、図5に示すように、搬送波発生回路250からの搬送波270と、電圧指令生成部220からの電圧指令280(Vu,Vv,Vwを包括的に示すもの)との比較に基づき、インバータ14の各相の上下アーム素子のオン・オフを制御することによって、交流電動機M1の各相に疑似正弦波電圧を生成する。
なお、制御信号OMがオンされる過変調モード時には、電圧指令Vu,Vv,Vwの振幅は、搬送波270の振幅よりも大きくなる。特に、電圧指令振幅については、フィードバック制御による本来の電圧指令値Vdcom,Vqcomに従う振幅を拡大するように設定することで、変調率が確保できるようにしている。
搬送波発生回路250は、周波数制御部260からの制御信号Vfcに応じて、搬送波270の周波数を制御する。たとえば、搬送波発生回路250は、電圧制御発振器(VCO)を含んで構成される。
周波数制御部260は、非同期PWMが適用される正弦波変調モードでは、交流電動機M1の回転速度(以下、単に「モータ回転速度」)とは無関係に、搬送波周波数を指示する制御信号Vfcを設定する。正弦波変調モードにおける搬送波周波数は、可聴周波数帯より高く、かつ、スイッチング損失が過大とならない範囲(たとえば、5〜10kHz程度)に設定される。また、スイッチング素子温度Tswの上昇時や交流電動機M1のロック時(トルク発生かつ極低速時)には、スイッチング損失を低減するために搬送波周波数を低下させる制御が実行される。
一方で、過変調モードでは同期PWMが適用されるので、周波数制御部260は、モータ回転速度に応じて搬送波周波数を制御する。すなわち、搬送波周波数が、モータ回転速度に従う電圧指令の周波数の整数倍(好ましくは、3・(2n−1)倍,n:自然数・)となるように、制御信号Vfcを設定する。そして、搬送波発生回路250は、電圧指令の位相と同期させて、制御信号Vfcに従う周波数の搬送波270を生成する。これにより、過変調モードでは、交流電動機M1の1回転(電気角360度)中のパルス数nが所定個数(好ましくは、3・(2n−1)個)に制御される。
このようにして、PWM制御部200によって、交流電動機M1のモータ電流MCRTを電流指令生成部210によって設定された電流指令と合致させるためのフィードバック制御が実行されることになる。
一方、矩形波電圧制御部300において、トルク検出部310は、交流電動機M1の出力トルクを検出する。トルク検出部310は、公知のトルクセンサを用いて構成することもできるが、下記(1)式に示す演算に従って出力トルクTqを検出するように構成することもできる。
Tq=Pm/ω
=(iu・vu+iv・vv+iw・vw)/ω …(1)
ここで、Pmは交流電動機M1に供給される電力を表わし、ωは交流電動機M1の角速度を表わす。また、iu,iv,iwは交流電動機M1の各相電流値を示し、vu,vv,vwは交流電動機M1に供給される各相電圧を表わす。vu,vv,vwにはインバータ14に設定される電圧指令Vu,Vv,Vwを用いてもよいし、実際の印加電圧をセンサにより検出した値を用いてもよい。また、出力トルクTqは、交流電動機M1の設計値で決まるものなので、電流の振幅および位相から推定してもよい。
演算部305は、トルク指令値Trqcomに対する、トルク検出部310によって検出された出力トルクTqの偏差であるトルク偏差ΔTqを演算する。演算部305により生成されたトルク偏差ΔTqは、電圧位相制御部320へ供給される。
電圧位相制御部320では、トルク偏差ΔTqに応じて電圧位相φvを生成する。この電圧位相φvは交流電動機M1に印加されるべき矩形波電圧の位相を示す。具体的には、電圧位相制御部320は、電圧位相φvを生成する際のパラメータとして、トルク偏差ΔTqとともにインバータ14の入力電圧VHや交流電動機M1の角速度ωを用い、それらを所定の演算式に代入して、あるいは等価の処理を施して、必要な電圧位相φvを生成する。
矩形波発生部330は、電圧位相制御部320からの電圧位相φvに従った矩形波電圧を発生するように、インバータ14のスイッチング制御信号S3〜S8を生成する。このようにして、矩形波電圧制御部300によって、交流電動機M1のトルク偏差に応じて矩形波電圧の位相を調整するフィードバック制御が実行されることになる。
(制御モード切替処理)
次に、図4のモータ制御構成における制御モード切替判定処理を説明する。
図4に示すように、モード切替判定部400は、電流センサ24によって検出されたモータ電流MCRT(iv,iw)、電圧センサ13によって検出されたインバータ14の入力電圧VH、電圧指令生成部220によって生成された電圧指令Vdcom,Vqcomに基づいて、モード切替判定を実行する。
たとえば、制御装置30が図6に示すフローチャートに従った制御処理を実行することにより、モード切替判定部400によるモード切替判定が実現される。
図6を参照して、まず制御装置30は、ステップS100により、現在の制御モードがPWM制御モードであるかどうかを判定する。そして、制御装置30は、現在の制御モードがPWM制御モードであるとき(S100のYES判定時)には、ステップS110により、PWM制御モードに従う電圧指令値Vdcom,Vqcomおよび、システム電圧VHに基づいて、インバータ14の入力電圧VHを、交流電動機M1へのモータ印加電圧指令(交流電圧)に変換する際の変調率を演算する。
たとえば、下記(2)式によって、変調率MFは算出される。
FM=(Vdcom2+Vqcom21/2/VH ・・・(2)
そして、制御装置30は、ステップS120により、ステップS110で求めた変調率が0.78以上であるかどうかを判定する。変調率≧0.78のとき(S120のYES判定時)には、PWM制御モードでは適切な交流電圧を発生することができないため、制御装置30は、処理をステップS150に進めて、矩形波電圧制御モードを選択するように制御モードを切替える。
一方、ステップS120のNO判定時、すなわち、ステップS110で求めた変調率が0.78未満であるときには、制御装置30は、ステップS140により、PWM制御モードを継続的に選択する。
一方、制御装置30は、現在の制御モードが矩形波電圧制御モードであるとき(S100のNO判定時)には、ステップS130により、インバータ14から交流電動機M1に供給される交流電流位相(実電流位相)φiの絶対値が、所定の切替電流位相φ0の絶対値よりも小さくなるか否かを監視する。なお、切替電流位相φ0は、交流電動機M1の力行時および回生時で異なる値に設定されてもよい。
制御装置30は、実電流位相φiの絶対値が切替電流位相φ0の絶対値よりも小さくなると(S130のYES判定時)、制御モードを矩形波電圧制御モードからPWM制御への切替を判定する。この際には、制御装置30は、ステップS140により、PWM制御モードを選択する。
一方、制御装置30は、ステップS110がNO判定のとき、すなわち実電流位相φiの絶対値が切替電流位相φ0の絶対値以上であるときには、ステップS150により、制御モードを矩形波電圧制御モードに維持する。
PWM制御モードの選択時(S140)には、制御装置30は、さらにステップS145により、正弦波変調モード(正弦波PWM制御)および過変調モード(過変調PWM制御)のいずれを適用するかを判定する。この判定の詳細は、後程説明する。
図7に示すように、図6のフローチャートに従う制御モード切替判定処理は、所定周期毎に制御装置30によって予め格納されたプログラムに従って、時刻t0,t1,t2・・・に実行される。この切替判定処理については、正弦波変調モード、過変調モード、あるいは、矩形波電圧制御モードの実行時において、それぞれの制御処理周期と合致させることができる。あるいは、各制御モードでの制御処理とは別に、これらを統合するメインルーチンの処理として、各制御モードによる制御処理よりも長い周期で切替判定処理を実行してもよい。
上述のように、図4に示した切替判定値設定部450は、各切替判定処理の実行時に合わせて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定処理に用いられる切替判定値Fjdを可変に設定する。たとえば、切替判定値設定部450は、時刻t1での切替判定処理では、前回の切替判定処理タイミングである時刻t0からt1の期間Taの間におけるインバータ14での電力変換状態(スイッチング状態)に基づいて、切替判定値Fjdを設定する。同様に、時刻t2における切替判定処理では、時刻t1〜t2間の期間Tbでの電力変換状態に基づいて、切替判定値Fjdが設定される。
次に、図8を用いて本発明の実施の形態による交流電動機の制御装置および制御方法における、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定処理について詳細に説明する。
図8は、図6中のステップS145における正弦波変調モード/過変調モードの判定のうちの、過変調モード実行時における処理ルーチンを説明するフローチャートである。
図8を参照して、制御装置30は、ステップS200では、過変調モード実行時、すなわち過変調PWM制御を実行している現在のスイッチング状態に基づき切替判定値Fjdを設定する。
さらに、制御装置30は、ステップS210により、ステップS200で設定された切替判定値と、上記(2)式により求められる変調率とを比較する。そして、変調率が切替判定値よりも低い場合(S210のYES判定時)には、制御装置30は、ステップS220へ処理を進めて、現在の過変調モードから正弦波変調モードへの切替を指示する。一方、変調率が切替判定値以上であるとき(S210のNO判定時)には、制御装置30はステップS230に処理を進めて、現在の過変調モードを維持する。
ここで、ステップS200による切替判定値Fjdの設定について詳細に説明する。
切替判定値Fjdは、上述した、インバータ14での各スイッチング素子のオン・オフ回数がモータ印加電圧に与える影響を反映するように、過変調PWM制御時における一定期間中(たとえば、交流電動機M1の1回転:電気角360度)でのインバータ14の各スイッチング素子のオン・オフ回数(以下、「インバータスイッチング回数」と称する)に基づいて決定される。たとえば、スイッチング制御信号S3〜S8に基づいて、インバータスイッチング回数の実績値を検知することができる。
非同期PWMである正弦波変調モードではインバータスイッチング回数が略一定であるのに対して、同期PWMである過変調モードでは、搬送波周波数が変化するためスイッチング回数が変化し易い。このため、過変調モードから正弦波変調モードへの移行時におけるインバータスイッチング回数の変化量は、過変調モードでの状態に応じて異なってくる。
特に、過変調モードでのインバータスイッチング回数が少ない場合には、正弦波変調モードへの切替に伴ってスイッチング回数が増大することによって、同一の電圧指令に対してもモータ印加電圧が低下する可能性がある。この現象が発生すると、モータ印加電圧の低下に伴って電流偏差(電流不足方向)が増大することによって、再び過変調モードが適用される変調率の領域まで、電圧指令値が上昇する可能性が高くなる。この結果、一旦、過変調モードから正弦波変調モードへ切替えた制御モードが、再び過変調モードへ切替えられることとなり、これをトリガにハンチングが発生するおそれがある。
このため、切替判定値Fjdは、過変調モード時のインバータスイッチング回数が相対的に少ない場合には、過変調モードから正弦波変調モードへの切替を妨げるように設定される。
具体的には、過変調モードでのインバータスイッチング回数に対する補正値ΔFのマップ(図示せず)を予め作成しておき、当該マップの参照により、ステップS200において、下記(3)に従って、切替判定値Fjdを設定することができる。
Fjd=Fstd−ΔF …(3)
ここで(3)式中において、Fstdは、電圧指令と搬送波との等しいときのPWM制御における、基本波成分の理論値0.61とすることができる。そして、ΔFは、インバータスイッチング回数が少なくなる程、正方向に増加するように設定される。
あるいは、補正値ΔFをより精密に設定するためには、下記(4)式を用いてもよい。
ΔF=K・(SNsn−SNom) …(4)
(4)式において、SNomは、過変調モードにおけるインバータスイッチング回数の実績値である。またSNsnは、正弦波変調モード適用時におけるインバータスイッチング回数の予測値である。SNsnについては、現在の状態で正弦波変調モードを適用したときに周波数制御部260によって設定される搬送波周波数、および、モータ回転速度に基づいて予測することができる。なお、Kは、インバータ14の特性に応じて適宜設定される調整係数である。
あるいは、より簡易にインバータ14でのスイッチング状態を反映するために、インバータスイッチング回数に代えて、搬送波周波数に基づいて切替判定値の補正値ΔFを算出してもよい。この場合には、過変調モードでの搬送波周波数が低くなる程、ΔFが正方向に増加するように構成されたマップの参照により、補正値ΔFを算出することができる。
あるいは、上記(4)式に代えて、下記(5)式を用いて補正値ΔFを求めることもできる。
ΔF=K・(CFsn−CFom) …(5)
(5)式において、CFomは、過変調モードでの現在の搬送波周波数を示し、CFsnは、制御モードが正弦波変調モードに切替えられたときに、周波数制御部260により適用される搬送波周波数の予測値を示す。
以上説明したように、本実施の形態によるモータ駆動制御システム100では、過変調モード適用下でのインバータ14のスイッチング状態(電力変換動作状態)に基づいて、過変調モードから正弦波変調モードへの切替時にインバータスイッチング回数の変化によってモータ印加電圧が変化する影響を盛り込んで、切替判定値を可変に設定することができる。
この結果、正弦波変調モードへの切替によってスイッチング回数の増加が顕著となり、デッドタイム変化の影響により、即座に過変調モードへの切替が必要な電圧指令が生成されそうな状態であるときには、過変調モードから正弦波変調モードへの変更を妨げるように切替判定値を可変に設定できる。その結果、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定を適切に行なって、両制御モード間でのハンチング発生を防止して、制御を安定化することができる。
(変形例1)
上述のように、インバータスイッチング回数が変化すると、デッドタイムの影響により、モータ印加電圧が変化する。ここで、モータ印加電圧が、振幅増大方向あるいは振幅減少方向のいずれに変化するかについては、モータ印加電圧およびモータ電流の位相が関連してくる。
図9(a)には、交流電動機M1の力行時における典型的な電圧電流波形が示される。図9(a)に示されるように、力行動作時には、電圧Vの位相に対して、電流Iの位相が遅れる状態となる。そして、インバータスイッチング回数の減少に起因するデッドタイムの変化によるモータ印加電圧の変動分(オフセットVoff)は、電流の極性によって変化する。すなわち、電流Iが正の期間では、Voffは負となり、その反対に電流Iが負のときにはVoffは正となる。このため、力行時には、インバータスイッチング回数の減少によるオフセットVoffは、モータ印加電圧の振幅を減少させる方向に作用する。
一方、図9(b)には、交流電動機M1の力行時における典型的な電圧電流波形が示される。図9(b)に示されるように、回生時には、電圧Vと電流Iの位相差が大きくなり、両者はほぼ逆位相となる。このため、回生時には、モータ印加電圧の振幅を増大させる方向にオフセットVoffが作用する。
このように、交流電動機M1の電圧Vおよび電流Iの位相差、すなわち力率に応じて電圧指令の変化特性が変化することになる。制御モード切替に伴うモータ印加電圧変化の特性が異なることが理解される。したがって、変形例1では、図8のステップS200による切替判定値Fjdの可変設定において、過変調PWM制御時の力率に応じて、補正値ΔFを決定する。
すなわち、力率が大きい(すなわち、電圧と電流の位相差が小さい)場合には、図9(a)に示したように、モータ印加電圧の振幅が減少する方向にデッドタイムの影響が発生するので、過変調モードから正弦波変調モードへの切替直後に、再び過変調モードへの切替判定がなされる可能性が高い。したがって、このような場合に、補正値ΔFが相対的に大きく設定されることによって、過変調モードから正弦波変調モードへの切替が妨げられるように切替判定値を低く設定することが好ましい。
反対に、図9(b)に示したような場合には、上記のような現象は発生しにくくなるため、基準値となる変調率=0.61に合わせて切替判定を行なっても支障はないと予想される。この結果、過変調モードによる現在のPWM制御における電圧・電流位相、すなわち力率に応じて補正値ΔFを設定するマップ(図示せず)を構成することができる。あるいは、下記(6)に示すように、力率についての、過変調モードでの実績値と、正弦波変調モードへの切替時の予測値との差に基づいて、補正値ΔFを決定することもできる。
ΔF=K・(PFsn−PFom) …(6)
(6)式中において、PFomは過変調モードによる現在のPWM制御による力率を示す。PFomは、電圧および電流の検出値から求めることも可能であるが、PWM制御に用いるd軸およびq軸の電圧指令値Vdcom,Vqcomおよび電流指令値Idcom,Iqcomからも求めることができる。たとえば、電圧指令値に従う電圧位相tan-1(Vqcom/Vdcom)および電流指令に従う電流位相tan-1(Iqcom/Idcom)の位相差φによって、力率(cosφ)電圧および電流の位相差を求めることができる。
一方、(6)式中のPFsnは、正弦波変調モードに移行した場合の力率の予測値を示す。この力率は、たとえば、そのときのモータ状態(トルク、回転数)や直前の電圧・電流指令に基づいて予測することが可能である。
以上説明した変形例1によれば、インバータ14から交流電動機M1へ供給される電圧および電流の位相差に応じて、デッドタイムがモータ印加電圧振幅に与える影響が変化する点を反映して、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定値Fjdを適切に設定することができる。
なお、本実施の形態およびその変形例1で説明したように、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定値Fjdの設定については、インバータ14によるスイッチング状態(電力変換動作状態)として、(i)スイッチング回数、(ii)キャリア周波数、あるいは(iii)力率(電圧電流位相差)が反映される。また、(i)〜(iii)のそれぞれに応じて補正値ΔFを算出するとともに、これらの少なくとも一部を組み合わせることによって、(3)式中の補正値ΔFを決定してもよい。その際の組合せについては、最小値の採用、最大値の採用あるいは平均値の採用等を適宜実行することができる。このように複数の要因を組み合わせることにより、インバータ14によるスイッチング状態(電力変換動作状態)をより適切に反映して、過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定を実行できる。
(変形例2)
過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定時にハンチングが問題となるのは、過変調モードから正弦波変調モードへの切替後、即座に過変調モードへの切替が判定されるケースである。このようなケースを避けるためには、過変調モードから正弦波変調モードへの切替を適切に妨げることが要求されることになる。
図10に示されるように、切替判定値Fjdは、所定の基準値Fstd(代表的には0.61)を、インバータ14によるスイッチング状態(電力変換動作状態)に応じて設定された補正値ΔFで補正することによって設定される。そして、変調率が切替判定値Fjdより低くなると、過変調モードから正弦波変調モードへ切替られる一方で、変調率が切替判定値Fjd以上のときは、過変調モードが維持される。
したがって、(4)〜(6)式やマップ参照による補正値ΔFの設定を、ΔF≧0に限定することによって、切替判定値Fjdが基準値Fstdより低く補正される方向、すなわち、過変調モードから正弦波変調モードへの切替を妨げる方向に限定して、切替判定値Fjdを可変に設定することができる。
このようにすると、ハンチング発生が懸念される状態のときには過変調モードから正弦波変調モードへの切替を妨げるようにした上で、それ以外のときには、理論値(基準値Fstd)に従って、制御モードを決定できるので、制御の安定性をさらに高めることができる。
なお、本実施の形態およびその変形例1,2では、制御モード切替判定が「変調率」を判定値と比較することにより実行される例を示したが、本発明の適用は、このような場合に限定されるものではない。すなわち、電圧指令に関連する変調率以外のパラメータを定義してその判定値を設定することによって、あるいは、印加電圧の振幅・位相等について直接判定値を設定することによって、制御モード切替判定を実行する制御構成においても、上述のように、過変調モードでの状態に応じて当該判定値を可変に設定することで、同様の効果を得ることが可能である。
また、本実施の形態では図示を省略した、正弦波変調モードから過変調モードへの切替判定については、ハンチングを防止するために、直前の正弦波変調モードへの切替時における切替判定値Fjdに対してヒステリシスを設けるように設定した判定値と、電圧指令に基づく変調率とを逐次比較して、変調率が判定値より高くなったときに過変調モードへの切替えるようにすればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に従う交流電動機の制御装置および制御方法が適用されるモータ駆動制御システムの全体構成図である。 本発明の実施の形態によるモータ駆動システムにおける交流電動機の制御モードを概略的に説明する図である。 交流電動機の動作状態と図2示した制御モードとの対応関係を説明する図である。 本発明の実施の形態による交流電動機の制御装置および制御方法によるモータ制御構成を説明するブロック図である。 PWM回路の動作を説明する波形図である。 図4に示したモータ制御構成における制御モード切替判定処理を説明するフローチャートである。 モード切替判定処理の実行タイミングを説明する概念図である。 過変調モードから正弦波変調モードへの切替判定処理の詳細を説明するフローチャートである。 交流電動機における力行時および回生時の典型的な電圧および電流波形を示す概念図である。 判定切替値の補正値設定の制限を説明する概念図である。
符号の説明
5 アース線、6,7 電力線、10,13 電圧センサ、10♯ 直流電圧発生部、11,24 電流センサ、12 昇降圧コンバータ、14 インバータ、15 U相上下アーム、16 V相上下アーム、17 W相上下アーム、25 回転角センサ、30 制御装置(ECU)、100 モータ駆動制御システム、200 PWM制御部、210 電流指令生成部、220 電圧指令生成部、230 PWM回路、250 搬送波発生回路、260 周波数制御部、270 搬送波、280 電圧指令、300 矩形波電圧制御部、305 演算部、310 トルク検出部、320 電圧位相制御部、330 矩形波発生部、400 モード切替判定部、410 切替スイッチ、450 切替判定値設定部、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1〜D8 逆並列ダイオード、Fjd 切替判定値、Idcom,Iqcom 電流指令値、iu,iv,iw、MCRT モータ電流、L1 リアクトル、M1 交流電動機、MCRT モータ電流、OM 制御信号(過変調モード)、Q1〜Q8 電力用半導体スイッチング素子、S1〜S8 スイッチング制御信号、SR1,SR2 システムリレー、Trqcom トルク指令値、Tsw スイッチング素子温度、Vdcom,Vqcom 電圧指令値(d−q軸)、Vfc 制御信号(搬送波周波数)、VH システム電圧(インバータDCリンク電圧)、Voff オフセット、Vu,Vv,Vw 各相電圧指令、ΔF 補正値(切替判定値)、θ ロータ回転角、ω 角速度。

Claims (20)

  1. インバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御装置であって、
    前記交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御によって、前記インバータの制御指令を発生するパルス幅変調制御部と、
    前記パルス幅変調制御部による前記パルス幅変調制御を、前記電圧指令信号の振幅が前記搬送波信号の振幅よりも大きい過変調モードと、前記電圧指令信号の振幅が前記搬送波信号の振幅以下である正弦波変調モードとのいずれによって実行するかを指示するモード切替判定部と、
    前記過変調モードによる前記パルス幅変調制御の実行時に、前記インバータによる電力変換動作の状態に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへの切替を判定するための切替判定値を可変に設定する判定値設定部とを備え、
    前記モード切替判定部は、前記電圧指令信号に関連する値と前記切替判定値との比較に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへの切替要否を判定する、交流電動機の制御装置。
  2. 前記インバータは、前記パルス幅変調制御部からの前記制御指令に従ってオンオフされる電力用半導体スイッチング素子を含み、
    前記パルス幅変調制御部は、前記搬送波信号の周波数を制御する周波数制御部を含み、
    前記周波数制御部は、前記過変調モードでは、前記搬送波信号の周波数が前記交流電動機の回転周波数の整数倍となるように、前記交流電動機の回転速度に応じて前記搬送波信号の周波数を制御し、
    前記判定値設定部は、前記過変調モードにおける一定期間内での前記電力用半導体スイッチング素子のオンオフ回数に応じて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項1記載の交流電動機の制御装置。
  3. 前記周波数制御部は、前記正弦波変調モードでは、前記インバータおよび前記交流電動機の動作状態に応じて、前記交流電動機の回転速度とは無関係に前記搬送波信号の周波数を制御し、
    前記判定値設定部は、前記一定期間内での前記電力用半導体スイッチング素子のオンオフ回数についての、前記過変調モードにおける現在値と、前記正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項2記載の交流電動機の制御装置。
  4. 前記パルス幅変調制御部は、前記搬送波信号の周波数を制御する周波数制御部を含み、
    前記周波数制御部は、前記過変調モードでは、前記搬送波信号の周波数が前記交流電動機の回転周波数の整数倍となるように、前記交流電動機の回転速度に応じて前記搬送波信号の周波数を制御し、
    前記判定値設定部は、前記過変調モードにおける前記搬送波の周波数に応じて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項1記載の交流電動機の制御装置。
  5. 前記周波数制御部は、前記正弦波変調モードでは、前記インバータおよび前記交流電動機の動作状態に応じて、前記交流電動機の回転速度とは無関係に前記搬送波信号の周波数を制御し、
    前記判定値設定部は、前記搬送波の周波数についての、前記過変調モードにおける現在値と、前記正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項4記載の交流電動機の制御装置。
  6. 前記判定値設定部は、前記パルス幅変調制御部からの前記制御指令に従って前記インバータおよび前記交流電動機の間で授受される交流電力の前記過変調モードにおける力率に応じて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項1記載の交流電動機の制御装置。
  7. 前記判定値設定部は、前記交流電力の力率についての、前記過変調モードにおける現在値と、前記正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項6記載の交流電動機の制御装置。
  8. 前記判定値設定部は、所定の基準値と前記電力変換動作の状態に基づいて可変に設定される補正値との和に従って、前記切替判定値を設定し、
    前記補正値は、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへの遷移を妨げる方向の極性に限定して設定される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の交流電動機の制御装置。
  9. 前記電圧指令信号に関連する値および前記切替判定値は、前記インバータへの入力直流電圧に対する前記電圧指令信号の振幅の比によって与えられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の交流電動機の制御装置。
  10. 前記入力直流電圧は、直流電源の出力電圧を可変制御するコンバータによって生成される、請求項9記載の交流電動機の制御装置。
  11. インバータによって印加電圧が制御される交流電動機の制御方法であって、
    前記交流電動機を動作指令に従って動作させるための正弦波状の電圧指令信号と搬送波信号との比較に基づくパルス幅変調制御によって前記インバータを制御するステップと、
    前記パルス幅変調制御について、前記電圧指令信号の振幅が前記搬送波信号の振幅よりも大きい過変調モードと、前記電圧指令信号の振幅が前記搬送波信号の振幅以下である正弦波変調モードとのいずれを適用するかを選択するステップとを備え、
    前記選択するステップは、
    前記過変調モードによる前記パルス幅変調制御の実行時に、前記インバータによる電力変換動作の状態に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへの切替を判定するための切替判定値を可変に設定するステップと、
    前記切替判定値と前記電圧指令信号との比較に基づいて、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへの切替要否を判定するステップとを含む、交流電動機の制御方法。
  12. 前記インバータは、前記パルス幅変調制御に従う制御指令に従ってオンオフされる電力用半導体スイッチング素子を含み、
    前記搬送波の周波数は、前記過変調モードでは、前記搬送波信号の周波数が前記交流電動機の回転周波数の整数倍となるように、前記交流電動機の回転速度に応じて制御され、
    前記設定するステップは、前記過変調モードにおける一定期間内での前記電力用半導体スイッチング素子のオンオフ回数に応じて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項11記載の交流電動機の制御方法。
  13. 前記搬送波の周波数は、前記正弦波変調モードでは、前記インバータおよび前記交流電動機の動作状態に応じて、前記交流電動機の回転速度とは無関係に制御され、
    前記設定するステップは、前記一定期間内での前記電力用半導体スイッチング素子のオンオフ回数についての、前記過変調モードにおける現在値と、前記正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項12記載の交流電動機の制御方法。
  14. 前記搬送波の周波数は、前記過変調モードでは、前記搬送波信号の周波数が前記交流電動機の回転周波数の整数倍となるように、前記交流電動機の回転速度に応じて制御され、
    前記設定するステップは、前記過変調モードにおける前記搬送波の周波数に応じて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項11記載の交流電動機の制御方法。
  15. 前記搬送波の周波数は、前記正弦波変調モードでは、前記インバータおよび前記交流電動機の動作状態に応じて、前記交流電動機の回転速度とは無関係に制御され、
    前記設定するステップは、前記搬送波の周波数についての、前記過変調モードにおける現在値と、前記正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項14記載の交流電動機の制御方法。
  16. 前記設定するステップは、前記パルス幅変調制御に従う制御指令に従って前記インバータおよび前記交流電動機の間で授受される交流電力の前記過変調モードにおける力率に応じて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項11記載の交流電動機の制御方法。
  17. 前記設定するステップは、前記交流電力の力率についての、前記過変調モードにおける現在値と、前記正弦波変調モードへ移行したときの予測値との差に基づいて、前記切替判定値を可変に設定する、請求項16記載の交流電動機の制御方法。
  18. 前記設定するステップは、所定の基準値と前記電力変換動作の状態に基づいて可変に設定される補正値との和に従って、前記切替判定値を設定し、
    前記補正値は、前記過変調モードから前記正弦波変調モードへの遷移を妨げる方向の極性に限定して設定される、請求項11〜17のいずれか1項に記載の交流電動機の制御方法。
  19. 前記電圧指令信号に関連する値および前記切替判定値は、前記インバータへの入力直流電圧に対する前記電圧指令信号の振幅の比によって与えられる、請求項11〜18のいずれか1項に記載の交流電動機の制御方法。
  20. 前記入力直流電圧は、直流電源の出力電圧を可変制御するコンバータによって生成される、請求項19記載の交流電動機の制御方法。
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