JP2010038874A - スキャンテスト回路、その論理接続情報生成方法及びプログラム - Google Patents

スキャンテスト回路、その論理接続情報生成方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】IRドロップの発生を抑えることができたが、スキャンテストのテスト時間が増加してしまうという課題があった。
【解決手段】スキャンサブチェーンと、スキャンチェーン選択回路と、スキャンシフト入力端子とを具備するスキャンテスト回路によって解決することができる。スキャンサブチェーンは、同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンのそれぞれが、異なるスキャンシフト入力端子に接続され、かつ、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンが、一のスキャンシフト入力端子に並列に接続されている。スキャンチェーン選択回路は、同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、スキャンサブチェーンを制御する。同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンの全てが同時にスキャン動作しても、IRドロップの許容値が満たされている。
【選択図】図12

Description

本発明は、半導体装置のスキャンテスト回路、その論理接続情報生成方法及びプログラムに関する。
半導体集積回路のスキャンテスト時に、スキャンフリップフロップの同時動作によって、通常動作時に比べて過大な電流が流れる。そのため電源ラインの電圧降下(以下、IRドロップと称す)が発生し、良品を不良品と誤判定する問題が発生している。また、近年は、半導体集積回路の規模拡大によってスキャンテスト時間が増加し、テストコストの増加が問題となっている。そこで、IRドロップによる誤判定を防止し、且つスキャンテストの時間を短縮する技術が求められている。
特開2006−066825号公報(特許文献1参照)には、「半導体集積回路テスト設計支援装置」の発明が記載されている。特許文献1における図1を引用する図1は、その発明の構成と動作を説明するブロック図である。半導体集積回路テスト設計支援装置100の構成を説明する。図1において、半導体集積回路テスト設計支援装置100は、自動配置配線部2と、電源RCネットワーク解析部4と、スキャン回路グルーピング部6と、IRドロップ解析部8と、スキャンチェーン挿入部11と、スキャンチェーン生成用リピート部13とを備えている。
自動配置配線部2は、半導体集積回路をテストするためスキャンフリップフロップ群を直列に接続して構成したスキャンテスト回路情報が挿入された論理接続情報1を入力として、スキャンテスト回路情報を含むマスクレイアウトパターン3を出力する。電源RCネットワーク解析部4は、マスクレイアウトパターン3に基づいて、電源電圧を供給する配線の物理的形状、電源供給源からの距離、電源系統を解析し、電源RCネットワーク解析結果5を出力する。スキャン回路グルーピング部6は、電源RCネットワーク解析結果5に基づいて、スキャンフリップフロップをグルーピングし、スキャン回路グループ情報7を出力する。
IRドロップ解析部8は、マスクレイアウトパターン3と、スキャン回路グループ情報7と、各スキャンフリップフロップの動作回数を示した動作率情報17に基づいて、配線上に生じるIRドロップを解析し、IRドロップによる各スキャンフリップフロップの誤動作が発生するか否かを判定する。スキャンチェーン挿入部11は、スキャン回路グループ情報7に基づいて、論理接続情報1のスキャンテスト回路を変更する。スキャンチェーン生成用リピート部13は、IRドロップ解析部8により各スキャンフリップフロップの誤動作が発生しないと判定されるまで、自動配置配線部2、電源RCネットワーク解析部4、スキャン回路グルーピング部6、IRドロップ解析部8、およびスキャンチェーン挿入部11の一連の機能を自動的に繰り返し実行する。
半導体集積回路テスト設計支援装置100の動作を説明する。論理接続情報1が自動配置配線部2に入力されると、自動配置配線部2からレイアウトパターン3が出力される。電源RCネットワーク解析部4は、レイアウトパターン3の入力を受け、電源RCネットワーク解析結果5を出力する。電源RCネットワーク解析結果5には、スキャンチェーン情報、電源ネットの物理的形状(配線幅)、電源供給源からの距離、電源系統情報が含まれる。電源系統情報は、スキャンフリップフロップが接続されている電源端子と供給されている電源電圧の情報を含む。
スキャン回路グルーピング部6は、電源RCネットワーク解析結果5を入力として、同時に動作させることが可能なフリップフロップ群をグルーピングし、スキャン回路グループ情報7を出力する。グルーピングの方法は、例えば、スキャンチェーン情報、電源系統情報、電源ネットの物理的形状、電源供給源からの距離の順で優先順位を設定する。最初に、スキャンチェーン情報から、同一スキャンチェーン上のスキャンフリップフロップ群が同じグループとなるようにグルーピングする。次に、それらのグループ毎に、電源系統情報を用いて、同一電源供給源を持つスキャンフリップフロップ群が同じグループとなるようにグルーピングする。次に、それらのグループ毎に、各スキャンフリップフロップが配置されている電源ネットの物理的形状(配線幅)と所定の基準値との大小比較に基づいて、グルーピングを行う。さらに、それらのグループ毎に、各スキャンフリップフロップが配置されている電源ネットの電源供給源からの距離より、配線導体の抵抗値を算出する。その抵抗値と所定の基準値との大小比較に基づいて、グルーピングを行う。
なお、フリップフロップ群のグルーピングは、これら全ての情報を用いなくても、いずれか1つ以上の情報を用いて行っても良い。また、スキャン回路グルーピング部6は、既存の機能により出力される各スキャンフリップフロップのクロックドメイン情報16を、グルーピングに用いることもできる。
グルーピングの結果は、各々のスキャンフリップフロップをインスタンスとして登録したスキャンフリップフロップ情報ファイル中のスキャンフリップフロップ情報に、グループ毎のキーワードを付加する等の方法により保存する。また、グループプロパティ情報として、各グループが含まれていたスキャンパスの情報、電源供給源、電源ネットの配線幅、電源供給源の距離より算出された配線導体の抵抗値を管理する。
スキャン回路グループ情報7には、同じグループのスキャンフリップフロップは、必ず同時に動作するといった情報を含む。また、スキャン回路グルーピング部6にIRドロップ解析結果9が入力される場合には、同時に動作させてもよい、または同時に動作させることができないグループの情報も含まれる。
次に、IRドロップ解析部8は、スキャン回路グループ情報7と、IRドロップ解析のためのスキャンフリップフロップ群の動作率情報17との入力を受け、IRドロップ解析結果9を出力する。IRドロップ解析部8は、同一グループのスキャンフリップフロップはスキャンテスト動作中、一斉に動作するものとして解析し、IRドロップが発生するか否かを解析結果として出力する。また、複数のグループを組み合わせ、それらのグループに含まれるスキャンフリップフロップが一斉に動作した場合のケースの解析も行う。
次に、IRドロップ解析結果判定部10は、IRドロップ解析結果9と、所定の判定値18とを比較し、IRドロップによる各スキャンフリップフロップの誤動作が発生するか否かを判定する。判定値18は、電圧値、電流値を問わず、また電圧値をもとにした遅延計算結果を入力とするタイミング解析による判断値としてもよい。その結果、誤動作が発生すると判定された場合には、再度、スキャン回路グルーピング部6において、電源RCネットワーク解析結果5と、IRドロップ解析結果9とを入力情報として、フリップフロップ群のグルーピングを行う。スキャン回路グルーピング部6は、IRドロップ解析結果9に基づいて、前回グルーピングしたグループを、IRドロップが発生しないようにさらにグルーピングする。
例えば、レイアウトパターン3において、近隣に位置する2つのスキャンフリップフロップが同時に動作した場合には判定値18の条件を満たさないが、一方のスキャンフリップフロップのみが動作した場合には判定値18の条件を満たすのであれば、2つのスキャンフリップフロップは、それぞれ別のグループに分類される。これにより、グルーピングしたスキャンフリップフロップ群毎に、スキャンチェーンを構成することが可能となる。スキャンテスト時に、各スキャンフリップフロップに入力されるクロック信号に従って、スキャンフリップフロップから他のスキャンフリップフロップへデータが順次シフトするスキャンシフト動作と、スキャンフリップフロップがデータ端子からデータを取り込むキャプチャ動作とを繰り返すスキャンテスト動作時に、IRドロップによる誤動作が発生しないスキャンチェーンを生成することができる。
IRドロップ解析結果判定部10において、スキャンフリップフロップの誤動作が発生しないと判定された場合には、スキャンチェーン挿入部11は、スキャン回路グループ情報7に基づいて、論理接続情報1にスキャンチェーンの変更、挿入を行い、論理接続情報12を出力する。また、スキャンチェーン挿入部11は、スキャンチェーンと共に、スキャンモード信号制御回路またはスキャンクロック信号制御回路の構成情報を挿入することができる。なお、スキャンモード信号制御回路およびスキャンクロック信号制御回路の構成情報は外部から指定入力するものでもよいし、スキャンチェーン挿入部11によって自動生成するようにしてもよい。信号制御回路を自動生成する場合、スキャンチェーン挿入部11は、スキャン回路グループ情報7からグループ数を認識し、信号制御回路の出力端子数とすることができる。
特許文献1における図4を引用する図2は、スキャンモード信号制御回路が挿入された半導体集積回路の概念図である。スキャン入力端子SI_1〜SI_5、スキャン出力端子SO_1〜SO_5、スキャンフリップフロップFFから構成される半導体集積回路に、スキャンモード信号制御回路72が挿入されている。スキャンモード信号制御回路72において、Dはスキャンモード信号を入力するための入力端子、Y1〜Y4は出力端子、C1〜C3は、出力端子Y1〜Y4に対し、スキャンモード信号を出力するかディスエーブル(disable)信号を出力するかを制御するコントロール信号の入力端子である。スキャンモード信号は、スキャンフリップフロップFFのスキャンシフト動作とキャプチャ動作とを制御する信号である。スキャンモード信号制御回路72は、スキャンモード端子に入力されていたスキャンモード信号を制御している。
特許文献1における図5を引用する図3は、スキャンモード信号制御回路72の真理値表の例を示す図である。電源のIRドロップによる誤動作が発生しないようにスキャンチェーンを構成した回路に対し、複数のスキャンチェーンが同時にスキャンテスト動作しないようなテストパターンが示されている。
図1において、スキャンチェーン生成用リピート部13は、自動配置配線部2、電源RCネットワーク解析部4、スキャン回路グルーピング部6、IRドロップ解析部8、IRドロップ解析結果判定部10、スキャンチェーン挿入部11の一連の機能を自動的に繰り返し実行する。これにより、スキャンテスト時に発生するIRドロップが原因となる誤動作を無くすようにする。スキャンチェーンの配置配線の変更箇所を必要最小限にすることを優先に考えて、電源ネットを自動で修正する機能と、グルーピングおよびスキャンフリップフロップの接続順序を変更する機能の選択を可能としている。
自動テストパターン生成部14は、論理接続情報12とスキャン回路グループ情報7を入力として、LSI(Large Scale Integration)内部の故障を検出するためのスキャンテストパターン15を生成する。このとき、自動テストパターン生成部14は、論理接続情報12中のスキャンモード信号制御回路72の存在有無を判定し、存在する場合には、スキャンフリップフロップグループ情報中のスキャンチェーングループ情報に基づいて、IRドロップが発生するために同時に動作させてはいけないスキャンチェーンに対し、スキャンテスト動作させないテストパターンを自動生成する。スキャンテスト動作させないスキャンチェーンのスキャンイン端子へ入力するテストパターンは、スキャンテスト動作中「H」値または「L」値を継続するテストパターンとする。
特許文献1における図8Aを引用する図4に、図2と図3に示す回路に対応した、スキャンテストパターン15の例を示す。図4において、スキャンモード信号は、スキャンシフトサイクルとキャプチャサイクルとを交互に切り替える信号である。図中、CNTL1=H,CNTL2=H,CNTL3=Lのとき、図3の真理値表に基づいて、Y1が選択されるので、SO_1にスキャンシフトパターンが表われ、SO_2〜SO_5にマスクパターンが表われている。CNTL1=H,CNTL2=L,CNTL3=Lのとき、Y2が選択されるので、SO_2にスキャンシフトパターンが表われ、SO_1,SO_3〜SO_5にマスクパターンが表われている。CNTL1=L,CNTL2=H,CNTL3=Hのとき、Y3が選択されるので、SO_3にスキャンシフトパターンが表われている。
特開2006−066825号公報
上述した通り、公知文献記載の技術は、IRドロップの発生を抑え、良品を不良品と判定するのを防止できる技術である。一般的に、スキャン入力端子を複数設けたスキャンテスト回路では、並列かつ同時に全てのスキャン入力端子へスキャンパターンを入力することで、テスト時間の短縮を行う。しかし、特許文献1記載の技術では、IRドロップの発生を抑える為に、複数のスキャン入力端子の中で、1本のみを動作させ、その他のスキャン入力端子は動作させないように、「H」値または、「L」値を継続して入力するスキャンテストパターンを生成する。従って、複数あるスキャン入力端子ごとに、スキャンテストを実施していく必要が生じ、並列かつ同時に全てのスキャン入力端子へスキャンパターンを入力する場合と比較すると、テスト時間が増加してしまうという課題がある。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の一つ目のアスペクトによるスキャンテスト回路は、スキャンサブチェーン(A1〜A3,B1〜B3,C1〜C3)と、スキャンチェーン選択回路(YA,YB,YC)と、スキャンシフト入力端子(SI_1,SI_2,SI_3)とを具備する。スキャンサブチェーン(A1〜A3,B1〜B3,C1〜C3)は、スキャンテストするスキャンフリップフロップ(FF)群における一部のスキャンフリップフロップを接続したものである。スキャンチェーン選択回路(YA,YB,YC)は、スキャンサブチェーン(A1〜A3,B1〜B3,C1〜C3)のスキャン動作を制御する。スキャンシフト入力端子(SI_1,SI_2,SI_3)は、スキャンテストパターンを入力する。スキャンサブチェーン(A1〜A3,B1〜B3,C1〜C3)は、同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンのそれぞれが、異なるスキャンシフト入力端子に接続され、かつ、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンが、一のスキャンシフト入力端子に並列に接続されている。スキャンチェーン選択回路(YA,YB,YC)は、同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、スキャンサブチェーン(A1〜A3,B1〜B3,C1〜C3)を制御する。第1種のグループ(A,B,C)は、同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンの全てが同時にスキャン動作しても、IRドロップの許容値を満たすように、スキャンフリップフロップ(FF)群を分割して得られたグループである。
本発明の二つ目のアスペクトによるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法は、解析すること(S01)と、第1種のグループに分割すること(S02,S03)と、第2種のグループに分割すること(S04)と、スキャンサブチェーンの論理接続情報(D10)を作成する(S04)ことと、スキャンテスト回路の論理接続情報(D11)を作成すること(S05)と、スキャンチェーン選択回路を挿入すること(S06)とを具備する。解析すること(S01)においては、半導体装置の論理接続情報(D01)に基づいて、半導体装置におけるIRドロップを解析する。第1種のグループに分割すること(S02,S03)においては、解析されたIRドロップに基づいて、半導体装置の論理接続情報(D01)におけるスキャンフリップフロップ群を、IRドロップの許容値を満たすように、第1種のグループに分割する。第2種のグループに分割すること(S04)においては、第1種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群を、更に、第1種のグループそれぞれの中で、所定数の第2種のグループに分割する。スキャンサブチェーンの論理接続情報(D10)を作成すること(S04)においては、第2種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群ごとに、スキャンサブチェーンの論理接続情報(D10)を作成する。スキャンテスト回路の論理接続情報(D11)を作成すること(S05)においては、一のスキャンシフト入力端子に対して、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンを並列に接続したスキャンテスト回路の論理接続情報(D11)を作成する。スキャンチェーン選択回路を挿入すること(S06)においては、スキャンテスト回路の論理接続情報(D11)に、同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、スキャンサブチェーンを制御するスキャンチェーン選択回路を挿入する。
本発明の三つ目のアスペクトによるスキャンテスト回路の論理接続情報生成プログラムは、解析する手順と、第1種のグループに分割する手順と、第2種のグループに分割する手順と、スキャンサブチェーンの論理接続情報を作成する手順と、スキャンテスト回路の論理接続情報を作成する手順と、スキャンチェーン選択回路を挿入する手順とをコンピュータ装置(F10,F11)に実行させるためのプログラムである。解析する手順においては、半導体装置の論理接続情報に基づいて、半導体装置におけるIRドロップを解析する。第1種のグループに分割する手順においては、解析されたIRドロップに基づいて、半導体装置の論理接続情報におけるスキャンフリップフロップ群を、IRドロップの許容値を満たすように、第1種のグループに分割する。第2種のグループに分割する手順においては、第1種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群を、更に、第1種のグループそれぞれの中で、所定数の第2種のグループに分割する。スキャンサブチェーンの論理接続情報を作成する手順においては、第2種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群ごとに、スキャンサブチェーンの論理接続情報を作成する。スキャンテスト回路の論理接続情報を作成する手順においては、一のスキャンシフト入力端子に対して、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンを並列に接続したスキャンテスト回路の論理接続情報を作成する。スキャンチェーン選択回路を挿入する手順においては、スキャンテスト回路の論理接続情報に、同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、スキャンサブチェーンを制御するスキャンチェーン選択回路を挿入する。
本発明によれば、IRドロップの発生を抑えると共に、スキャンテストの時間が増加することを回避することができる。
本発明を実施するための最良の形態のいくつかについて、図面を用いて詳細に説明する。図5は、これらの実施の形態を適用できるシステムの構成説明図である。本実施の形態は、いずれも、コンピュータ装置F10,F11,・・・と、サーバF14と、記録媒体F15と、ネットワークF16とを用いて実施することができる。
記録媒体F15は、実行プログラムの提供に供されるサーバF14に接続されている。サーバF14は、インターネットなどのネットワークF16を介して、エンジニアリングワークステーションなどのコンピュータ装置F10,F11,・・・に接続される。記録媒体F15に格納されている実行プログラムは、ネットワークF16を介してコンピュータ装置F10,F11,・・・にダウンロードされる。ダウンロードされたプログラムは、コンピュータ装置F10,F11,・・・のローカルなハードディスク或はメモリなどにストアされて、実行処理を行う構成になっている。
図6は、本発明を実施するための一つ目の最良の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を説明するフローチャートである。図6において、各ステップS01〜S07は、コンピュータ装置F10,F11,・・・の演算装置が、実行プログラムの対応モジュールを実行することによって、処理される。このとき、コンピュータ装置F10,F11,・・・は、各ステップS01〜S07の処理を行う機能を有する物(解析部(S01)、計算部(S02)、グループ分け部(S03)など)として動作する。また、各情報D01〜D14は、コンピュータ装置F10,F11,・・・の記憶装置に格納される。このとき、記憶装置は、各情報D01〜D14によって特徴付けられるデータ構造を有する物として動作する。なお、予め必要となる情報D01〜D05,D09は、実行プログラムの一部として、サーバF14からコンピュータ装置F10,F11,・・・にダウンロードすることが可能である。
図6において、最初に、IRドロップ解析ステップS01にて、半導体装置の論理接続情報D01と、配置配線情報D02と、クロック情報D03と、動作率情報D04と、プロセス固有情報D05とを読み込み、IRドロップ分布図D06を出力する。次に、グループ分割数計算ステップS02にて、IRドロップ分布図D06を読み込み、グループ分割情報D07を出力する。次に、同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS03にて、論理接続情報D01と、配置配線情報D02と、クロック情報D03と、グループ分割情報D07とを読み込み、スキャン対象の全てのスキャンフリップフロップを第1種のグループに分割する処理を実施し、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08を出力する。
次に、スキャンサブチェーン作成ステップS04にて、論理接続情報D01と、配置配線情報D02と、クロック情報D03と、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08と、スキャンシフト入力端子数D09とを読み込み、スキャンシフト入力端子数に合わせて第2種のグループへの分割を行い、第2種のグループ毎にスキャンサブチェーンを作成し、スキャンサブチェーンの論理接続情報D10を出力する。次に、スキャンサブチェーン並列接続ステップS05にて、論理接続情報D10を読み込み、第2種のグループ分割で作成したスキャンサブチェーンを、一のスキャンシフト入力端子に並列に接続した論理接続情報D11を出力する。
次に、動作対象スキャンサブチェーン選択回路挿入ステップS06にて、論理接続情報D11を読み込み、スキャン動作させるスキャンサブチェーンを選択する回路の挿入を行い、シフト動作制御タイミング情報D12と、選択回路を挿入した論理接続情報D13とを出力する。最後に、スキャンテストパターン生成ステップS07にて、シフト動作制御タイミング情報D12と、論理接続情報D13とを読み込み、動作させるスキャンサブチェーンを選択するタイミング情報を含めたスキャンテストパターンD14を出力する。これにて、スキャンテスト回路の論理接続情報生成と、スキャンテストパターン生成とのフローを終了する。
図6のフローチャートにおける各ステップでの処理について詳細に説明する。IRドロップ解析ステップS01が入力する情報について説明する。論理接続情報D01は、半導体装置の論理接続情報である。配置配線情報D02は、チップ上のスキャンフリップフロップの配置情報や、電源配線情報を含む。クロック情報D03は、各スキャンフリップフロップのクロックドメイン情報とスキャンテストで使用するクロック周波数情報を含む。動作率情報D04は、スキャンテスト時の動作率情報である。プロセス固有情報D05は、IRドロップの許容電圧、論理素子の消費電力、電源供給方式、電源配線網の抵抗など、IRドロップ解析に必要なプロセス固有情報を含む。IRドロップ解析ステップS01では、スキャンフリップフロップに接続されている論理素子が、スキャンフリップフロップと同時に動作する領域のIRドロップの許容電圧を超えているかを解析する。
IRドロップ解析ステップS01が出力するIRドロップ分布図D06について説明する。図7は、IRドロップ分布図D06について説明する出力例である。図7のIRドロップ分布図D06は、半導体チップ上において、例えばIRドロップが40mV以下、40mV〜60mV、60mV〜75mV、75mV〜90mVのそれぞれの領域の境界を等電圧線で表している。
グループ分割数計算ステップS02では、IRドロップ分布図D06を入力とする。IRドロップの最も大きな領域において、計算式1を行うことで、第1種のグループへのグループ分割数を得る。グループ分割情報D07を出力する。
グループ分割数=IRドロップ値÷IRドロップ許容値・・・・計算式1
例えば、IRドロップ許容値を30mVとする。図7の例において、IRドロップが最も大きな領域は、IRドロップが75〜90mVの領域である。この領域のグループ分割数を、計算式1を用いて計算すると、
グループ分割数=90mV÷30mV=3
となり、グループを3つに分割する情報を得る。グループ分割数計算ステップS02では、このようにして得られるグループ分割数の情報D07を出力する。
同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS03では、論理接続情報D01の接続関係と、配置配線情報D02と、クロック情報D03と、グループ分割情報D07とを入力する。スキャン対象となる全てのスキャンフリップフロップに対して、第1種のグループへの分割を実施する。第1種のグループへの分割は、同時にスキャン動作させても、IRドロップの許容値をオーバーするIRドロップが発生しないような分割をいう。
この第1種のグループへの分割によって、図8の出力例に示すような、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08が得られる。図8は、図7のIRドロップ分布図D06上に、スキャンフリップフロップが第1種のグループAと、第1種のグループBと、第1種のグループCとに3分割された状態を表している。図8において、例えば、第1種のグループAのスキャンフリップフロップだけを全て同時に動作した場合、IRドロップ許容値を満足できる。一方、例えば、第1種のグループAのスキャンフリップフロップと、第1種のグループCのスキャンフリップフロップとを同時に動作させると、IRドロップ許容値をオーバーするIRドロップが発生する。後者では、スキャンテストで良品を不良品と誤判定する問題が起こる。同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS03では、スキャンフリップフロップを第1種のグループに分割した場合の、インスタンス名(論理接続情報D01内の素子を特定する為に付ける固有の名称)情報を、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08として出力することができる。
スキャンサブチェーン作成ステップS04では、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08と、スキャンシフト入力端子数D09と、論理接続情報D01と、配置配線情報D02と、クロック情報D03とを入力する。第1種のグループに分割したスキャンフリップフロップを、更に、第2種のグループに分割する。第2種のグループへの分割は、同一クロックドメイン、半導体装置上の配置、接続関係の近いものが同一グループになるように、スキャンシフト入力端子数D09に定義された数値に従って行う。スキャンシフト入力端子数D09が持つ数値は、スキャンテストとして使用可能な端子本数と、使用するLSIテスタのスキャンチェーン数制限およびスキャンテストパターン生成ツールのスキャンチェーン数制限の範囲内である。第2種のグループに分割した後、第2種のグループ単位のスキャンフリップフロップにて構成されるスキャンチェーンをスキャンサブチェーンとする。スキャンサブチェーンの先頭のスキャンフリップフロップの入力にスキャンシフト入力端子を接続し、末尾のスキャンフリップフロップの出力にスキャンシフト出力端子を接続し、スキャンサブチェーンの論理接続情報D10を出力する。
図9は、第1種のグループに分割されたスキャンフリップフロップを、更に第2種のグループに分割したイメージ図である。図9の分割は、スキャンシフト入力端子数D09を3本とした場合の例である。スキャンシフト入力端子数D09が3本なので、第1種のグループA、B、Cは、それぞれ3つの第2種のグループに分割される。すなわち、第1種のグループAは第2種のグループA1、A2、A3の3つに、第1種のグループBは第2種のグループB1、B2、B3の3つに、第1種のグループCは第2種のグループC1、C2、C3の3つにそれぞれ分割される。
図10に、論理接続情報D10におけるスキャンサブチェーン回路の構成例を示す。図10は、図9に示した第1種のグループそれぞれについて、スキャンフリップフロップを更に第2種のグループに分割すると共に、スキャンフリップフロップを第2種のグループ単位で接続して、スキャンサブチェーンを作成した例を示している。
スキャンサブチェーン並列接続ステップS05では、スキャンサブチェーン作成ステップS04で作成されたスキャンサブチェーンを、並列に接続する。第1種のグループそれぞれから1本ずつスキャンサブチェーンを抽出し、これらを、一のスキャンシフト入力端子に並列接続する。スキャンサブチェーンを並列に接続した論理接続情報D11を出力する。
図11に、論理接続情報D11におけるスキャンサブチェーン回路の並列接続構成例を示す。図11に示すように、図10に示した第1種のグループAにおけるスキャンサブチェーンA1のスキャンシフト入力端子SI_A1と、第1種のグループBにおけるスキャンサブチェーンB1のスキャンシフト入力端子SI_B1と、第1種のグループCにおけるスキャンサブチェーンC1のスキャンシフト入力端子SI_C1とを、図11のスキャンシフト入力端子SI_1に並列に接続している。同様に、図10に示した第1種のグループAにおけるスキャンサブチェーンA2のスキャンシフト入力端子SI_A2と、第1種のグループBにおけるスキャンサブチェーンB2のスキャンシフト入力端子SI_B2と、第1種のグループCにおけるスキャンサブチェーンC2のスキャンシフト入力端子SI_C2とを、図11のスキャンシフト入力端子SI_2に並列に接続している。また、図10に示した第1種のグループAにおけるスキャンサブチェーンA3のスキャンシフト入力端子SI_A3と、第1種のグループBにおけるスキャンサブチェーンB3のスキャンシフト入力端子SI_B3と、第1種のグループCにおけるスキャンサブチェーンC3のスキャンシフト入力端子SI_C3とを、図11のスキャンシフト入力端子SI_3に並列に接続している。
動作対象スキャンサブチェーン選択回路挿入ステップS06では、論理接続情報D11を読み込み、スキャンフリップフロップのスキャンクロックドメインを、第1種のグループ単位で作成する。スキャンクロックドメイン毎に、クロックゲーティング回路を一つずつ接続する。クロックゲーティング回路の入力には、スキャンクロック入力端子と、クロックイネーブル端子とを接続する。選択回路を挿入した論理接続情報D13が出力される。第2種のグループに基づくスキャンサブチェーンは、それぞれの第1種のグループ内で作成している。よって、第1種のグループ単位で、スキャンクロックが供給されるスキャンサブチェーンと、スキャンクロックが供給されないスキャンサブチェーンとを選択できる構成とする。すなわち、クロックゲーティング回路のクロックイネーブル端子により、第1種のグループ単位で、スキャンクロックが供給されてスキャンシフト動作を行うスキャンサブチェーンと、スキャンクロックが供給されずに現在の値を保持したまま停止するスキャンサブチェーンとを切り換えるようにする。
図12に、図6のフローチャートにおいて、動作スキャンサブチェーン選択回路挿入ステップS06から出力される論理接続情報D13の回路構成の一例を示す。スキャンシフト入力端子SI_1には、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1と、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1と、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1とが並列接続されている。スキャンシフト入力端子SI_2には、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA2と、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB2と、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC2とが並列接続されている。スキャンシフト入力端子SI_3には、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA3と、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB3と、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC3とが並列接続されている。
図12において、三つのスキャンサブチェーンA1、A2、A3を同一のクロックドメインとする。スキャンサブチェーンA1、A2、A3のスキャンフリップフロップのクロック端子は、クロックゲーティング回路YAの出力に接続されている。クロックゲーティング回路YAは、クロックCLKをクロックソースとし、クロックイネーブル入力端子SEL_Aを入力している。同様に、三つのスキャンサブチェーンB1、B2、B3を同一のクロックドメインとする。スキャンサブチェーンB1、B2、B3のスキャンフリップフロップのクロック端子は、クロックゲーティング回路YBの出力に接続されている。クロックゲーティング回路YBは、クロックCLKをクロックソースとし、クロックイネーブル入力端子SEL_Bを入力している。また、三つのスキャンサブチェーンC1、C2、C3を同一のクロックドメインとする。スキャンサブチェーンC1、C2、C3のスキャンフリップフロップのクロック端子は、クロックゲーティング回路YCの出力に接続されている。クロックゲーティング回路YCは、クロックCLKをクロックソースとし、クロックイネーブル入力端子SEL_Cを入力している。図12の構成例により、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cの信号を制御することで、第1種のグループ別に、スキャンクロックの供給や停止を選択することが可能になる。
図12の回路動作について説明する。例えば、クロックCLKへスキャンクロックを入力し、クロックイネーブル入力端子SEL_A=”1”、クロックイネーブル入力端子SEL_B=”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_C=”0”に設定したとする。この場合、第1種のグループAのスキャンサブチェ−ンA1、A2、A3は、スキャンシフト動作を行う。一方、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3と、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1、C2、C3とは、スキャンクロックが供給されないので、現在の値を保持する。
また、例えば、クロックCLKへスキャンクロックを入力し、クロックイネーブル入力端子SEL_A=”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_B=”1”、クロックイネーブル入力端子SEL_C=”0”に設定したとする。この場合、第1種のグループBのスキャンサブチェ−ンB1、B2、B3は、スキャンシフト動作を行う。一方、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1、A2、A3と、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1、C2、C3とは、スキャンクロックが供給されないので、現在の値を保持する。
また、例えば、クロックCLKへスキャンクロックを入力し、クロックイネーブル入力端子SEL_A=”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_B=”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_C=”1”に設定したとする。この場合、第1種のグループCのスキャンサブチェ−ンC1、C2、C3は、スキャンシフト動作を行う。一方、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1、A2、A3と、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3とは、スキャンクロックが供給されないので、現在の値を保持する。
すなわち、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cへの制御信号を用いて、第1種のグループA、B、Cの中のいずれか一つのグループのスキャンサブチェーンだけを選択して、スキャンシフト動作させることができる。残りの二つの第1種のグループは、スキャンサブチェーンのスキャンフリップフロップに設定された値を保持させたままスキャンシフト動作を停止させることができる。そのため、同時動作するスキャンフリップフロップの数を、IRドロップの許容値を満足するように抑制しながら、並列にシフト動作を実行することができる。
動作対象スキャンサブチェーン選択回路挿入ステップS06では、シフト動作制御タイミング情報D12と、論理接続情報D13とが出力される。論理接続情報D13を用いれば、クロックゲーティング回路のクロックイネーブル入力端子により、スキャンシフト動作させるスキャンサブチェーンを選択し、スキャンテストを実行することが可能になる。この際、論理接続情報D13とは別の情報を用いて、各スキャンサブチェーンを構成するスキャンフリップフロップの個数を把握し、各スキャンサブチェーンがシフト動作を終えてから、次にスキャンテストを実行するスキャンサブチェーンを選択する要請がある。この要請に応えるため、シフト動作制御タイミング情報D12には、第1種のグループ単位で、シフト動作を完了するために必要なクロック数をカウントし、次にシフト動作を開始するスキャンサブチェーンを選択する適切なタイミングを記述している。
図6において、スキャンテストパターン生成ステップS07では、論理接続情報D13を読み込み、スキャンテストを実施する為のスキャンシフト入力データと、スキャンキャプチャ動作の後にスキャンシフト出力される期待値とを生成する。さらに、シフト動作制御タイミング情報D12を読み込み、シフト動作するスキャンサブチェーンを選択するためにクロックゲーティング回路のクロックイネーブル入力端子を切り換えるタイミングを生成する。スキャンテストパターンD14が出力される。
図13は、図12に示した論理接続情報D13の回路構成に対応したスキャンテストパターンを説明するタイミングチャートである。すなわち、図13は、図6に示したスキャンテスト回路の論理接続情報生成フローチャートにおいて、スキャンテストパターン生成ステップS07から出力されるスキャンテストパターンD14の説明図である。図13において、信号SMは、スキャンテストのスキャンシフト動作とスキャンキャプチャ動作とを切り替える信号であり、SM=”0”のときスキャンシフト動作となり、SM=”1”のときスキャンキャプチャ動作となる。図13に示すように、タイミングT0で、クロックイネーブル入力端子SEL_Aだけを”1”に設定し、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1,A2,A3のみをスキャンシフト動作させる。図12の回路構成では、第1種のグループAにおけるスキャンサブチェーンA1、A2、A3のスキャンフリップフロップはそれぞれ2個なので、図13におけるタイミングT0では、第1種のグループAのスキャンシフト動作に必要なクロック数は2クロックとなる。
タイミングT1では、クロックイネーブル入力端子SEL_Bだけを”1”に設定し、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3のみをスキャンシフト動作させる。図7の回路構成では、第1種のグループBにおけるスキャンサブチェーンB1、B2、B3のスキャンフリップフロップはそれぞれ3個なので、タイミングT1において、第1種のグループBのスキャンシフト動作に必要なクロック数は3クロックである。また、タイミングT1では、第1種のグループAのスキャンサブチェーンに対してはクロックCLKが供給されない。そのため、スキャンサブチェーンA1、A2、A3のスキャンフリップフロップは、タイミングT0のスキャンシフト動作により入力した値を保持したまま停止している。
タイミングT2では、クロックイネーブル入力端子SEL_Cだけを”1”に設定し、第1種のグループCにおけるスキャンサブチェーンC1、C2、C3のみをスキャンシフト動作させる。図7の回路構成では、第1種のグループCにおけるスキャンサブチェーンC1、C2、C3のフリップフロップはそれぞれ4個なので、タイミングT2において、第1種のグループCのスキャンシフト動作に必要なクロック数は4クロックである。また、タイミングT2では、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1、A2、A3と、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3とに対してはクロックCLKが供給されない。そのため、スキャンサブチェーンA1、A2、A3、B1、B2、B3のスキャンフリップフロップは、タイミングT0又はタイミングT1のスキャンシフト動作により入力した値を保持して停止している。
タイミングT3では、SMを”1”に設定して、スキャンシフト動作からスキャンキャプチャ動作への切り替えを行っている。同時に、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cを全て”1”にセットして、全てのスキャンフリップフロップへのクロック供給を可能として、スキャンキャプチャ動作を行っている。
タイミングT4では、SMを”0”に設定して、スキャンキャプチャ動作からスキャンシフト動作への切り替えを行っている。同時に、クロックイネーブル入力端子SEL_Aのみを”1”にしたまま、クロックイネーブル入力端子SEL_B、SEL_Cを”0”にセットすることにより、第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1,A2,A3に、クロックゲーティング回路YAを介して、クロックCLKを供給している。そのため、スキャンサブチェーンA1,A2,A3は、タイミングT3のスキャンキャプチャ動作の結果を、スキャンシフト出力端子SO_A1、SO_A2、SO_A3からシフトアウトする。同時に、次のスキャンテストパターンの値が、スキャンシフト入力端子SI_1、SI_2,SI_3から入力される。第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3と、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1、C2、C3とは、それぞれクロックゲーティング回路YB、YCからクロックCLKが供給されないため、タイミングT3のスキャンキャプチャ動作の結果を保持して、停止している。
タイミングT5では、クロックイネーブル入力端子SEL_Bを”1”にセットし、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_Cを”0”にセットするので、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1,B2,B3に、クロックゲーティング回路YBを介して、クロックCLKが供給される。そのため、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3は、タイミングT3のスキャンキャプチャ動作の結果をスキャンシフト出力端子SO_B1、SO_B2、SO_B3からシフトアウトする。同時に、次のスキャンテストパターンの値が、スキャンシフト入力端子SI_1、SI_2,SI_3から入力される。第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1、A2、A3は、クロックゲーティング回路YAを介してクロックCLKが供給されないので、タイミングT4でのスキャンシフト動作により入力された値を保持して停止している。第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1、C2、C3は、クロックゲーティング回路YCを介してクロックCLKが供給されないので、T3のスキャンキャプチャ動作により入力された値を保持して停止している。
タイミングT6では、クロックイネーブル入力端子SEL_Cを”1”にセットし、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_Bを”0”にセットするので、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1,C2,C3に、クロックゲーティング回路YCを介して、クロックCLKが供給される。そのため、第1種のグループCのスキャンサブチェーンC1、C2、C3は、タイミングT3のスキャンキャプチャ動作の結果をスキャン出力端子SO_C1、SO_C2、SO_C3からシフトアウトする。同時に、次のスキャンテストパターンの値がスキャンシフト入力端子SI_1、SI_2,SI_3から入力される。第1種のグループAのスキャンサブチェーンA1、A2、A3と、第1種のグループBのスキャンサブチェーンB1、B2、B3とは、クロックCLKが供給されないので、それぞれタイミングT4とタイミングT5のスキャンシフト入力で設定された値を保持して停止している。
タイミングT7では、SMを”1”にセットし、スキャンシフト動作からスキャンキャプチャ動作への切り替えを行っている。スキャンキャプチャ動作を有効にすると同時に、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cを”1”にセットする。そのため、全てのスキャンサブチェーンへクロックCLKが供給され、スキャンキャプチャ動作が行われる。T8〜T11の動作は、それぞれ、T4〜T7の動作と同様である。
以上説明した図6のフローチャートによって、スキャンテスト回路の論理接続情報D13が生成される。続いて、この論理接続情報D13に基づいて、図12の回路図に示すようなスキャンテスト回路を組み込んだ半導体装置を製造することができる。製造された半導体装置に対して、図13に示すようなスキャンテストパターンを与えると、良品か不良品かの判定が可能になる。
第一の実施の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法は、IRドロップ解析結果から同時動作可能な最大のスキャンフリップフロップ数を求めて、同時動作可能なスキャンフリップフロップ数に合わせてスキャン対象となる全スキャンフリップフロップを第1種のグループに分割する。第1種のグループに分割された複数のフリップフロップ群をそれぞれスキャンシフト入力端子の端子数に合わせて第2種のグループに分割する。第2種のグループに分割された複数のフリップフロップ群にてそれぞれスキャンチェーンを構成し、スキャン動作させるスキャンチェーンを第1種のグループに同期して選択することにより、スキャンテスト実行時のIRドロップを許容値内に抑え、且つ、全てのスキャンシフト入力端子からスキャンテストパターンを同時に並行して入力することが可能となっている。よって、スキャンテスト実行時のIRドロップを許容値内に抑えるために、複数のスキャンシフト入力端子に対して、順次に一つずつスキャンテストパターンを入力することしかできないために、テスト時間が増大してしまうという課題を解決することができる。
課題解決のメカニズムを更に詳述する。特許文献1記載の発明では、例えば、図2に示したように、5端子のスキャンシフト入力端子SI−1、SI−2、SI−3、SI−4、SI−5を有していた場合、それぞれのスキャンシフト入力端子に接続されているスキャンチェーンは独立した1本のみである。且つ、スキャンシフト入力端子SI−1、SI−2、SI−3、SI−4、SI−5を一つずつ選択することで、スキャンテスト実行時のIRドロップを許容値内に抑える構成である。よって、スキャンシフト入力端子SI−1、SI−2、SI−3、SI−4、SI−5の全てに対して、同時に並行してスキャンテストパターンを入力することはできない。しかし、本発明による第一の実施の形態では、例えば、図7に示すように、3端子のスキャン入力端子SI_1、SI_2、SI_3を有している場合、全てのスキャンシフト入力端子SI_1、SI_2、SI_3から同時にスキャンテストパターンを入力しても、スキャンクロックCLKが供給されるスキャンチェーンは、第1種のグループA、B、Cのいずれか一つのみが選択される。これにより、スキャンテスト実行時のIRドロップを許容値内に抑えている。すなわち、スキャンシフト入力端子SI_1、SI_2、SI_3の全てに対して同時に並行してスキャンテストパターンを入力することができるので、テスト時間を削減することが可能であり、テスト時間が増大してしまうという課題を解決することができる。
図14は、本発明を実施するための二つ目の最良の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を説明するフローチャートである。図14に示す第二の実施の形態におけるフローチャートは、図6に示す第一の実施の形態におけるフローチャートに対し、動作対象スキャンサブチェーン選択回路挿入ステップS06の後に、出力端子削減回路挿入ステップS20が付加されている点が異なっている。出力端子削減回路挿入ステップS20は、出力端子削減情報D21と、論理接続情報D13とを読み込み、出力端子削減回路を挿入した論理接続情報D22を出力する。更に、出力端子削減回路挿入ステップS20の次に行われるスキャンテストパターン生成ステップS23では、出力端子削減回路を挿入した論理接続情報D22と、シフト動作制御タイミング情報D12とを入力し、スキャンテストパターンD14を出力している。
図14において、第二の実施の形態におけるフローチャートで付加した出力端子削減回路挿入ステップS20、及び変更したスキャンテストパターン生成ステップS23は、コンピュータ装置F10,F11,・・・の演算装置が、実行プログラムの対応モジュールを実行することによって、処理することができる。また、図14のフローチャートで追加した出力端子削減情報D21、及び論理接続情報D22は、コンピュータ装置F10,F11,・・・の記憶装置に格納される。予め必要となる出力端子削減情報D21は、実行プログラムの一部として、サーバF14からコンピュータ装置F10,F11,・・・にダウンロードすることが可能である。なお、図14のフローチャートにおけるステップS20,S23、情報D21,D22以外のステップ及びデータは、第一の実施の形態におけるフローチャートのものと同様である。以下、第一の実施の形態と異なる部分について詳述する。
図14において、出力端子削減回路挿入ステップS20は、出力端子削減情報D21と、論理接続情報D13とを入力する。スキャンシフト入力端子に並列接続された各スキャンサブチェーンの最終段のスキャンフリップフロップの出力を入力とした出力端子削減回路を挿入し、出力端子削減回路の出力を一つのスキャンシフト出力端子とする。スキャンシフト出力端子数を、スキャンシフト入力端子数と同じ本数に削減した論理接続情報D22を出力する。
図15に、出力端子削減回路を挿入した論理接続情報D22の回路構成例を示す。図15において、スキャンシフト入力端子SI_1に並列接続されたスキャンサブチェーンA1、B1、C1のそれぞれの最終段のスキャンフリップフロップの出力は、出力端子削減回路M1の入力端子DA、DB、DCへ入力されている。また、出力端子削減回路M1は、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cから供給される制御信号によって選択される一のシフト出力を、スキャンシフト出力端子SO_1へ出力する。
また、スキャンシフト入力端子SI_2に並列接続されたスキャンサブチェーンA2、B2、C2のそれぞれの最終段のスキャンフリップフロップの出力は、出力端子削減回路M2の入力端子DA、DB、DCへ入力されている。また、出力端子削減回路M2は、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cから供給される制御信号によって選択される一のシフト出力を、スキャンシフト出力端子SO_2へ出力する。
それから、スキャンシフト入力端子SI_3に並列接続されたスキャンサブチェーンA3、B3、C3のそれぞれの最終段のスキャンフリップフロップの出力は、出力端子削減回路M3の入力端子DA、DB、DCへ入力されている。また、出力端子削減回路M3は、クロックイネーブル入力端子SEL_A、SEL_B、SEL_Cから供給される制御信号によって選択される一のシフト出力を、スキャンシフト出力端子SO_3へ出力する。
例えば、クロックCLKから、スキャンクロックを供給し、クロックイネーブル入力端子SEL_Aを”1”、クロックイネーブル入力端子SEL_Bを”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_Cを”0”に設定したとする。この場合、スキャンサブチェーンA1、A2、A3が選択され、これらがスキャンシフト動作を行う。また、スキャンサブチェーンA1のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M1を介して、スキャンシフト出力端子SO_1から出力される。スキャンサブチェーンA2のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M2を介して、スキャンシフト出力端子SO_2から出力される。スキャンサブチェーンA3のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M3を介して、スキャンシフト出力端子SO_3から出力される。
また、例えば、クロックCLKから、スキャンクロックを供給し、クロックイネーブル入力端子SEL_Aを”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_Bを”1”、クロックイネーブル入力端子SEL_Cを”0”に設定したとする。この場合、スキャンサブチェーンB1、B2、B3が選択され、これらがスキャンシフト動作を行う。また、スキャンサブチェーンB1のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M1を介して、スキャンシフト出力端子SO_1から出力される。スキャンサブチェーンB2のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M2を介して、スキャンシフト出力端子SO_2から出力される。スキャンサブチェーンB3のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M3を介して、スキャンシフト出力端子SO_3から出力される。
それから、例えば、クロックCLKから、スキャンクロックを供給し、クロックイネーブル入力端子SEL_Aを”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_Bを”0”、クロックイネーブル入力端子SEL_Cを”1”に設定したとする。この場合、スキャンサブチェーンC1、C2、C3が選択され、これらがスキャンシフト動作を行う。また、スキャンサブチェーンC1のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M1を介して、スキャンシフト出力端子SO_1から出力される。スキャンサブチェーンC2のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M2を介して、スキャンシフト出力端子SO_2から出力される。スキャンサブチェーンC3のスキャンシフト出力は、出力端子削減回路M3を介して、スキャンシフト出力端子SO_3から出力される。
第二の実施の形態においては、図14のフローチャートによって、スキャンテスト回路の論理接続情報D22が生成される。続いて、この論理接続情報D22に基づいて、図15に示すようなスキャンテスト回路を組み込んだ半導体装置を製造することができる。製造された半導体装置に対して、図14における情報D14のスキャンテストパターンを与えると、良品か不良品かの判定が可能になる。
第二の実施の形態によれば、出力端子削減回路を付加したスキャンテスト回路の論理接続情報を生成することが可能となるので、スキャンテストに必要な出力端子数を削減できる。これにより、端子数の少ない半導体装置に対しても、本発明を適用できるようになるという効果がある。
図16は、本発明を実施するための三つ目の最良の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を説明するフローチャートである。図16に示す第三の実施の形態におけるフローチャートは、図6に示す第一の実施の形態におけるフローチャートに対し、以下の点が異なっている。一つは、グループ分割数計算ステップS02を、IRドロップの大きい領域のグループ分割数計算ステップS30に置き換えている点である。更に、同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS03を、IRドロップの大きい領域の同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS31に置き換えている点である。それから、グループ分割情報D07を、IRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30に置き換え、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08を、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D31に置き換えている点である。
図16において、第三の実施の形態におけるフローチャートで置換したIRドロップの大きい領域のグループ分割数計算ステップS30、及びIRドロップの大きい領域の同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS31は、コンピュータ装置F10,F11,・・・の演算装置が、実行プログラムの対応モジュールを実行することによって、処理することができる。また、図16のフローチャートで置換したIRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30、及び同時動作可能なフリップフロップグループ情報D31は、コンピュータ装置F10,F11,・・・の記憶装置に格納される。なお、図16のフローチャートにおけるステップS30,S31、情報D30,D31以外のステップ及びデータは、図6に示した第一の実施の形態におけるフローチャートのものと同様である。以下、第一の実施の形態と異なる部分について詳述する。
図16において、IRドロップの大きい領域のグループ分割数計算ステップS30は、IRドロップ分布図D06を入力する。IRドロップの小さい領域のスキャンフリップフロップのIRドロップの量を考慮して、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップを第1種のグループに分割するためのグループ分割数を計算する。IRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30を出力する。
例えば、半導体チップ上において、IRドロップが20mV以下、20mV〜30mV、30mV〜60mVの3つの領域が存在することが求められ、かつ、IRドロップ許容値が35mVであったとする。この場合、IRドロップが30mV以下の領域のスキャンフリップフロップを第1種のグループに分割する対象とせず、30mV〜60mVの領域のスキャンフリップフロップを第1種のグループに分割する対象とする。ただし、IRドロップが30mV以下の領域のスキャンフリップフロップも同時に動作するため、IRドロップが30mV以下の領域のスキャンフリップフロップによるIRドロップを加算して計算を実施する。仮に、IRドロップが30mV以下の領域のスキャンフリップフロップが同時に動作することによるIRドロップが20mVと計算されたときには、IRドロップが30mV〜60mVの領域を第1種のグループに分割する際のグループ分割数は、上述した計算式1によって求まる。
グループ分割数=(60mV+20mV)÷35mV=2.29
すなわち、IRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30の出力として、3分割するという情報が得られる。
IRドロップの大きい領域の同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS31では、論理接続情報D01と、配置配線情報D02と、クロック情報D03と、IRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30とを入力する。IRドロップの大きい領域にあるスキャンフリップフロップに対して、IRドロップが小さい領域のスキャンフリップフロップによるIRドロップの量を考慮して、第1種のグループへの分割を実施する。同時動作可能なフリップフロップグループ情報D31を出力する。
図17は、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D31の説明図である。図17において、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップが3つの第1種のグループX、Y、Zに分割されている。図中、IRドロップの小さい領域のスキャンフリップフロップに対しては、第1種のグループへの分割が実施されていない。図17では、半導体装置のイメージに、IRドロップが20mV以下、20〜30mV、30〜60mVのそれぞれの領域の境界を示す等電圧線を重ね合わせて、グループ分割を説明している。
図17は、IRドロップの大きい領域の同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS31の説明図にもなっている。図17の例は、ステップS31で、IRドロップが30〜60mVの領域のスキャンフリップフロップを3つに分割することを示すIRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30を入力していること、IRドロップが30〜60mVの領域にあるスキャンフリップフロップを、第1種のグループXと、第1種のグループYと、第1種のグループZとの3つに分割していること、IRドロップが30mV以下の領域のスキャンフリップフロップQを、第1種のグループへの分割を実施しないスキャンフリップフロップとしていること、などを説明している。
図18に、第三の実施の形態における論理接続情報D13の回路構成例を示す。図18は、スキャンシフト入力端子数D09を4本とした場合の例である。4本のスキャンシフト入力端子のうち2本を、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップに割り当て、残りの2本のスキャンシフト入力端子を、IRドロップの小さな領域のスキャンフリップフロップに割り当てている。図18において、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップのスキャンサブチェーンの並列接続回路と、クロックゲーティング回路の基本的構成は、第一の実施の形態のものと同様である。IRドロップの小さい領域のスキャンフリップフロップQで構成されるスキャンチェーンのクロック入力は、クロックCLKを直接入力している。
よって、第1種のグループXと、第1種のグループYと、第1種のグループZは、それぞれ排他的に動作し、スキャンフリップフロップQは常に動作する。上述したように、第1種のグループX、Y、Zのいずれか一つと同時に動作するスキャンフリップフロップQのIRドロップを予め考慮して、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップを第1種のグループに分割している。そのため、IRドロップ許容値を満足したスキャンテストを実行できる。
第三の実施の形態においては、図16のフローチャートによって、スキャンテスト回路の論理接続情報D13が生成される。続いて、この論理接続情報D13に基づいて、図18に示すようなスキャンテスト回路を組み込んだ半導体装置を製造することができる。製造された半導体装置に対して、図16における情報D14のスキャンテストパターンを与えると、良品か不良品かの判定が可能になる。
第三の実施の形態では、IRドロップの小さい領域のスキャンフリップフロップのIRドロップの量を考慮して、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップに対して第1種のグループへの分割を実施する。そのため、クロックゲーティング回路の接続を、第1種のグループに分割したスキャンフリップフロップのみに限定できる。IRドロップの大きい領域以外のスキャンフリップフロップにクロックゲーティング回路を接続しないため、クロック配線が容易となり、配置配線領域の少ない半導体装置にも、本発明を適用できるようになるという効果がある。
本実施の形態における第1の効果は、スキャンテスト実行時にIRドロップを許容値内に抑えながら、公知文献例に比べてスキャンテスト実行時間を短縮することを可能としたことである。その理由は、IRドロップ解析結果から同時動作可能な最大のスキャンフリップフロップ数を求め、この数に合わせて、スキャン対象となる全スキャンフリップフロップを第1種のグループに分割すると共に、第1種のグループに分割された複数のフリップフロップ群を、それぞれスキャンシフト入力端子の端子数に合わせて第2種のグループに分割する。そして、第2種のグループに分割された複数のフリップフロップ群にて、それぞれスキャンサブチェーンを構成し、スキャン動作させるスキャンサブチェーンを第1種のグループに同期して選択することにより、全てのスキャンシフト入力端子からスキャンテストパターンを同時に並行して入力することができるからである。
本実施の形態における第2の効果は、端子数の少ない半導体集積回路にも適用できることである。その理由は、動作対象スキャンサブチェーン選択回路挿入ステップS06の後に、出力端子削減情報D21と論理接続情報D13とを読み込み、出力端子削減回路を挿入した論理接続情報D22を出力する出力端子削減回路挿入ステップS20を付加しているので、出力端子削減回路を付加したスキャンテスト回路の論理接続情報を生成することが可能となり、スキャンテストに必要な出力端子数を削減できるためである。
本実施の形態における第3の効果は、配置配線領域の少ない半導体装置にも適用できることである。その理由は、グループ分割数計算ステップS02をIRドロップの大きい領域のグループ分割数計算ステップS30へ置き換え、同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS03を、IRドロップの大きい領域の同時動作可能フリップフロップグループ分けステップS31へ置き換え、グループ分割情報D07をIRドロップの大きい領域のグループ分割情報D30へ置き換え、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D08を、同時動作可能なフリップフロップグループ情報D31へ置き換えることにより、IRドロップの小さい領域のスキャンフリップフロップのIRドロップの量を考慮して、IRドロップの大きい領域のスキャンフリップフロップに対して第1種のグループへの分割を実施するので、第1種のグループの分割を実施していないスキャンフリップフロップには、クロックゲーティング回路を接続する必要がなく、クロック配線が容易になるからである。
公知文献記載の半導体集積回路テスト設計支援装置のブロック図。 公知文献記載のスキャンモード制御回路が挿入された半導体集積回路の概念図。 公知文献記載のスキャンモード信号制御回路の真理値表の例を示す図。 公知文献記載のスキャンテストパターンのタイミングチャート。 本実施の形態を適用できるシステムの構成説明図である。 本発明による第一の実施の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を説明するフローチャート。 IRドロップ分布図D06の説明図。 スキャンフリップフロップを第1種のグループへ分割することの説明図。 更に、第2種のグループへ分割することの説明図。 スキャンサブチェーン回路の例を示す図。 更に、スキャンサブチェーン回路を並列接続した回路図。 更に、スキャンサブチェーン回路の選択回路を挿入した回路図。 図12の回路動作を説明するスキャンテストパターンのタイミングチャート。 本発明による第二の実施の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を説明するフローチャート。 第二の実施の形態における論理接続情報D22を説明する回路構成図。 本発明による第三の実施の形態におけるスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を説明するフローチャート。 スキャンフリップフロップを第1種のグループに分割することの説明図。 第三の実施の形態における論理接続情報D13を説明する回路構成図。
符号の説明
1 論理接続情報
2 自動配置配線部
3 レイアウトパターン
4 電源RCネットワーク解析部
5 電源RCネットワーク解析結果
6 スキャン回路グルーピング部
7 スキャン回路グループ情報
8 IRドロップ解析部
9 IRドロップ解析結果
10 IRドロップ解析結果判定部(IRドロップ解析部)
11 スキャンチェーン挿入部
12 論理接続情報
13 スキャンチェーン生成用リピート部
14 自動テストパターン生成部
15 スキャンテストパターン
16 クロックドメイン情報
17 動作率情報
18 判定値
72 スキャンモード信号制御回路
100 半導体集積回路テスト設計支援装置
F10,F11 コンピュータ装置
F14 サーバ
F15 記録媒体
F16 ネットワーク
S01 IRドロップ解析
S02 グループ分割数計算
S03 同時動作可能フリップフロップグループ分け
S04 スキャンサブチェーン作成
S05 スキャンサブチェーン並列接続
S06 動作対象スキャンサブチェーン選択回路挿入
S07 スキャンテストパターン生成
S20 出力端子削減回路挿入
S23 スキャンテストパターン生成
S30 IRドロップの大きい領域のグループ分割数計算
S31 IRドロップの大きい領域の同時動作可能フリップフロップグループ分け
D01,D10,D11,D13 論理接続情報
D02 配置配線情報
D03 クロック情報
D04 動作率情報
D05 プロセス固有情報
D06 IRドロップ分布図
D07 グループ分割情報
D08 同時動作可能なフリップフロップグループ情報
D09 スキャンシフト入力端子数
D12 シフト動作制御タイミング情報
D14 スキャンテストパターン
D21 出力端子削減情報
D22 出力端子削減回路を挿入した論理接続情報
D30 IRドロップの大きい領域のグループ分割情報
D31 同時動作可能なフリップフロップグループ情報
A,B,C,X,Y,Z 第1種のグループ
FF,Q スキャンフリップフロップ
YA,YB,YC,YX,YY,YZ クロックゲーティング回路
M1,M2,M3 出力端子削減回路

Claims (10)

  1. スキャンテストするスキャンフリップフロップ群における一部のスキャンフリップフロップを接続したスキャンサブチェーンと、
    前記スキャンサブチェーンのスキャン動作を制御するスキャンチェーン選択回路と、
    スキャンテストパターンを入力するスキャンシフト入力端子とを具備し、
    前記スキャンサブチェーンは、
    同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンのそれぞれが、異なるスキャンシフト入力端子に接続され、かつ、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンが、一のスキャンシフト入力端子に並列に接続され、
    前記スキャンチェーン選択回路は、
    同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、前記スキャンサブチェーンを制御し、
    前記第1種のグループは、
    同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンの全てが同時にスキャン動作しても、IRドロップの許容値を満たすように、前記スキャンフリップフロップ群を分割して得られたグループである
    スキャンテスト回路。
  2. スキャンシフト出力端子と、
    前記一のスキャンシフト入力端子に並列に接続されたスキャンサブチェーンの出力側を、一のスキャンシフト出力端子に接続すると共に、前記スキャンチェーン選択回路によって選択されたスキャンチェーンの出力を選択し、選択した出力のみを前記一のスキャンシフト出力端子へ出力する出力端子削減回路とを更に具備する
    請求項1記載のスキャンテスト回路。
  3. 前記スキャンサブチェーンは、
    前記第1種のグループのいずれかに属するスキャンサブチェーンと、前記第1種のグループのいずれにも属さないスキャンサブチェーンとを含み、
    前記いずれかに属するスキャンサブチェーンは、
    前記スキャンフリップフロップ群の中で、IRドロップが所定の閾値を超える領域に存在するスキャンフリップフロップを接続したものであって、同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンのそれぞれが、異なるスキャンシフト入力端子に接続され、かつ、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンが、一のスキャンシフト入力端子に並列に接続され、
    前記いずれにも属さないスキャンサブチェーンは、
    前記スキャンフリップフロップ群の中で、IRドロップが所定の閾値を超える領域に存在しないスキャンフリップフロップを接続したものであり、
    前記第1種のグループは、
    前記いずれにも属さないスキャンサブチェーンが同時にスキャン動作するとした場合に、同一の第1種のグループに属するスキャンサブチェーンの全てが同時にスキャン動作したとしても、IRドロップの許容値が満たされるように、前記スキャンフリップフロップ群の中で、前記いずれかに属するスキャンサブチェーンに係るものを分割して得られたグループである
    請求項2記載のスキャンテスト回路。
  4. 半導体装置の論理接続情報に基づいて、前記半導体装置におけるIRドロップを解析することと、
    解析されたIRドロップに基づいて、前記半導体装置の論理接続情報におけるスキャンフリップフロップ群を、IRドロップの許容値を満たすように、第1種のグループに分割することと、
    前記第1種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群を、更に、前記第1種のグループそれぞれの中で、所定数の第2種のグループに分割することと、
    前記第2種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群ごとに、スキャンサブチェーンの論理接続情報を作成することと、
    一のスキャンシフト入力端子に対して、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンを並列に接続したスキャンテスト回路の論理接続情報を作成することと、
    前記スキャンテスト回路の論理接続情報に、同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、スキャンサブチェーンを制御するスキャンチェーン選択回路を挿入することとを具備する
    スキャンテスト回路の論理接続情報生成方法。
  5. 前記スキャンテスト回路の論理接続情報に、前記一のスキャンシフト入力端子に対して、並列に接続したスキャンサブチェーンの出力を、一のスキャンシフト出力端子に接続する出力端子削減回路を挿入することを更に具備する
    請求項4記載のスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法。
  6. 前記第1種のグループに分割することにおいては、
    前記半導体装置の論理接続情報におけるスキャンフリップフロップ群の中で、IRドロップが所定の閾値を超える領域に存在するものを分割の対象とし、IRドロップが所定の閾値を超える領域に存在しないスキャンフリップフロップ群が同時にスキャン動作したとしても、前記IRドロップの許容値が満たされるように、第1種のグループへの分割を行うことを含む
    請求項5記載のスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法。
  7. 請求項4〜6いずれか1項に記載のスキャンテスト回路の論理接続情報生成方法を使用して、スキャンテスト回路の論理接続情報を生成することと、
    生成されたスキャンテスト回路の論理接続情報に基づいて、スキャンテスト回路を製造することとを具備する
    スキャンテスト回路の製造方法。
  8. 半導体装置の論理接続情報に基づいて、前記半導体装置におけるIRドロップを解析する手順と、
    解析されたIRドロップに基づいて、前記半導体装置の論理接続情報におけるスキャンフリップフロップ群を、IRドロップの許容値を満たすように、第1種のグループに分割する手順と、
    前記第1種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群を、更に、前記第1種のグループそれぞれの中で、所定数の第2種のグループに分割する手順と、
    前記第2種のグループに分割されたスキャンフリップフロップ群ごとに、スキャンサブチェーンの論理接続情報を作成する手順と、
    一のスキャンシフト入力端子に対して、異なる第1種のグループに属するスキャンサブチェーンを並列に接続したスキャンテスト回路の論理接続情報を作成する手順と、
    前記スキャンテスト回路の論理接続情報に、同時にスキャン動作するスキャンサブチェーンが、いずれかの第1種のグループに属するものとなるように、スキャンサブチェーンを制御するスキャンチェーン選択回路を挿入する手順とをコンピュータ装置に実行させるための
    スキャンテスト回路の論理接続情報生成プログラム。
  9. 前記スキャンテスト回路の論理接続情報に、前記一のスキャンシフト入力端子に対して、並列に接続したスキャンサブチェーンの出力を、一のスキャンシフト出力端子に接続する出力端子削減回路を挿入する手順を更にコンピュータ装置に実行させるための
    請求項8記載のスキャンテスト回路の論理接続情報生成プログラム。
  10. 前記第1種のグループに分割する手順は、
    前記半導体装置の論理接続情報におけるスキャンフリップフロップ群の中で、IRドロップが所定の閾値を超える領域に存在するものを分割の対象とし、IRドロップが所定の閾値を超える領域に存在しないスキャンフリップフロップ群が同時にスキャン動作したとしても、前記IRドロップの許容値が満たされるように、第1種のグループへの分割を行う手順を含む
    請求項9記載のスキャンテスト回路の論理接続情報生成プログラム。
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