本発明の請求項1に記載の冷蔵庫は、複数の断熱区画により構成された複数の貯蔵室を有する断熱箱体と、前記複数の貯蔵室の中で食品の温度を検知する非接触センサーが設置された貯蔵室と、前記非接触センサーが設置された貯蔵室の前記非接触センサーを始点として前記非接触センサーの検知する方向の投影線上に隣接する隣接貯蔵室とを備え、前記非接触センサーが設置された貯蔵室に冷気を供給する第一の吐出口と、前記隣接貯蔵室に冷気を供給すると第二の吐出口とは、同一の吐出ダクトを共有して冷気を供給しているものである。
これによって、非接触センサーの検知方向側に隣接する貯蔵室が高い温度であることによる高温の熱影響による非接触センサーの誤検知を防止することができ、非接触センサーと隣接貯蔵室の仕切り壁との間に食品や食品収納容器のような介在物が存在しない場合に隣接貯蔵室との仕切り壁の温度を検知した場合であっても、貯蔵室と同温度付近を検知するので、非接触センサーが高い温度の食品が投入されたといった誤検知を行うことを抑えることができる。
また、特に引き出し式の貯蔵室の場合には、扉を開けた場合には必ず非接触センサーと隣接貯蔵室の仕切り壁との間に食品や食品収納容器のような介在物が存在しない構成となるが、その場合であっても非接触センサーは貯蔵室と同温度付近もしくは貯蔵室よりも低温度を検知するので、扉開閉時に誤検知を抑えることができる。
請求項2に記載の冷蔵庫は、請求項1に記載の発明に加えて、第一の吐出口と第二の吐出口の流量は各貯蔵室の負荷量比率によって分配されたものである。
これによって、非接触センサーが設置された貯蔵室に冷気を供給する第一の吐出口と、前記隣接貯蔵室に冷気を供給すると第二の吐出口とは、同一の吐出ダクトを共有して冷気を供給しているが、吐出冷気の流量は各貯蔵室の負荷量比率によって分配しているため、簡単な構成で各貯蔵室の温度をほぼ同温度帯とすることができる。このように、各貯蔵室の所定温度の温調は吐出する冷気の吐出量を制御して行う場合、少なからずとも上限温度と下限温度との平均温度で所定温度を維持するので、本発明のように同一温度の吐出冷気で非接触センサーが設置された貯蔵室と、隣接貯蔵室との両方を温調することができる。
請求項3に記載の冷蔵庫は請求項1または2に記載の発明に加えて、第一の吐出口と第二の吐出口とは同じタイミングで冷気の供給がおこなわれているものである。
これによって、非接触センサーが設置された貯蔵室に冷気を供給する第一の吐出口と、前記隣接貯蔵室に冷気を供給すると第二の吐出口とは、同じタイミングで冷気の供給がおこなわれていることによって、簡単な構成で各貯蔵室の温度をほぼ同温度帯とすることができる。このように、各貯蔵室の所定温度の温調は吐出する冷気の吐出量を制御して行う場合、少なからずとも上限温度と下限温度との平均温度で所定温度を維持するので、本発明のように同一温度の吐出冷気で非接触センサーが設置された貯蔵室と、隣接貯蔵室との両方を温調することができる。
請求項4に記載の冷蔵庫は、請求項1から3のいずれかに記載の発明に加えて、第一の吐出口と第二の吐出口とのいずれか一方が冷却器からの距離が最も短い吐出口であり、もう一方が冷却器からの距離が2番目に近い吐出口であるものである。
これによって、冷却器から出たばかりの熱損失が少ない故に最も低温となる冷気が第一の吐出口と第二の吐出口から吐出されるので、より冷却効率が高く、また第一の吐出口と第二の吐出口でほぼ同一温度の冷気が吐出されるものである。
請求項5に記載の冷蔵庫は、請求項1から4に記載の発明に加えて、隣接貯蔵室の温度帯が冷凍温度帯であるものである。
これによって、非接触センサーの検知方向側に隣接する隣接貯蔵室が確実に低い温度帯となることで、高い温度であることによる高温の熱影響による非接触センサーの誤検知を防止することができ、非接触センサーと隣接貯蔵室の仕切り壁との間に食品や食品収納容器のような介在物が存在しない場合に隣接貯蔵室との仕切り壁の温度を検知した場合であっても、貯蔵室と同温度付近もしくは貯蔵室よりも低温度を検知するので、非接触センサーが高い温度の食品が投入されたといった誤検知を行うことを抑えることができる。
また、特に引き出し式の貯蔵室の場合には、扉を開けた場合には必ず非接触センサーと隣接貯蔵室の仕切り壁との間に食品や食品収納容器のような介在物が存在しない構成となるが、その場合であっても非接触センサーは貯蔵室と同温度付近もしくは貯蔵室よりも低温度を検知するので、扉開閉時に誤検知を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の正面図である。図2は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の側面断面図である。図3は本発明の実施の形態1による上段冷凍室の一部拡大側面断面図である。
図1から図3に示すように、冷蔵庫本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱124と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱125と、外箱124と内箱125の間に発泡充填されたウレタン断熱材126からなる断熱箱体で、この本体の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105で構成されている。上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106の前面部はそれぞれ引き出し式の扉103a,104a,105a,106aにより開閉自由に閉塞されると共に、冷蔵室102の前面は、観音開き式の図示しない扉102aにより開閉自由に閉塞される。
冷蔵室102は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃の冷蔵温度帯で設定されている。野菜室106は冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれば葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。上段冷凍室103は冷凍保存のために通常−22から−18℃の冷凍温度帯で設定されているが、使用者の好む冷凍保存状態によっては、解凍等の調理の手間が省ける−7℃前後のソフト冷凍温度帯に設定することも可能であり、さらに冷凍保存状態の向上のために、通常の冷凍温度帯である−22から−18℃よりもさらに低いたとえば−30から−25℃の低温冷凍温度帯で設定されることもある。下段冷凍室105は冷凍保存のために通常−22から−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、通常の冷凍温度帯である−22から−18℃よりもさらに低いたとえば−30から−25℃の低温冷凍温度帯で設定されることもある。
冷蔵室102や野菜室106は庫内をプラス温度で設定されるので、冷蔵温度帯を呼ばれる。また、上段冷凍室103や下段冷凍室105や製氷室104は庫内をマイナス温度で設定されるので、冷凍温度帯と呼ばれる。
冷蔵庫本体101の天面部は、冷蔵庫本体101の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室119があり、第一の天面部と第二の天面部で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機117と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ118と、冷却器107とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。前記冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室内に配設することも出来る。
また、冷蔵室102と製氷室104および上段冷凍室103とは第一の断熱仕切り部110で区画されている。
また、製氷室104と上段冷凍室103とは第二の断熱仕切り部111で区画されている。
また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部112で区画されている。
第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112は、冷蔵庫本体101の発泡後組み立てられる部品であるため、通常断熱材として発泡ポリスチレン126が使われるが、断熱性能や剛性を向上させるために硬質発泡ウレタンを用いてもよく、更には高断熱性の真空断熱材を挿入して、仕切り構造のさらなる薄型化を図ってもよい。
また、扉フレームの稼動部を確保して第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の形状の薄型化や廃止を行うことで、冷却風路を確保でき冷却能力の向上を図ることもできる。また、第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の中央部をくりぬき、風路とすることで材料の低減につながる。
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の仕切り部113で区画されている。
冷蔵庫本体101の背面には冷却室123が設けられ、冷却室123内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成する冷却器107が断熱仕切壁である第二および第三の仕切り部111、112の後方領域を含めて下段冷凍室105の背面に上下方向に縦長に配設されている。また、冷却器107の材質は、アルミや銅が用いられる。
冷却器107の近傍(例えば上部空間)には強制対流方式により冷蔵室102,製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器107で生成した冷気を送風する冷気送風ファン116が配置され、冷却器107の下部空間には冷却時に冷却器107や冷気送風ファン116に付着する霜を除霜する除霜装置としてのガラス管製のラジアントヒータ134が設けられている。除霜装置は特に指定するものではなく、ラジアントヒータ134の他に、冷却器107に密着したパイプヒータを用いても良い。
冷気送風ファン116は、内箱125に直接配設されることもあるが、発泡後に組み立てられる第二の仕切り部111に配設し、部品のブロック加工を行うことで製造コストの低減を図ることもできる。
次に非接触センサーである赤外線センサー128を取り付けている上段冷凍室103の構成について説明する。
図3に示すように、上段冷凍室103の天井面である第一の断熱仕切り部110には、食品121の温度を検知する赤外線センサー128が検知する面の投影面上の隣接貯蔵室がある方向(本実施例の場合は下方向)に向かって設置してある。上段冷凍室103の背面上部には冷却器107で生成された冷気が吐出される吐出口(図示せず)と、上段冷凍室103内を循環した冷気が、再び冷却室123に戻るための戻り口(図示せず)が設けてある。本実施例のように、赤外線センサー128を断熱仕切り部内に設置することで、吐出口から吐出される冷気の風の影響を受けにくくできるため、検知精度の向上を図ることができる。さらに、赤外線センサー128先端部を断熱仕切り部の表面よりも内側もしくは同一面とすることで貯蔵室内に食品121を大量に入れられた場合や、清掃時でも赤外線センサー128の検知部に異物が付着することが無いため検知の誤動作を招かない。さらに庫内への突出による清掃時の引っかかりがないため過剰な力の加重による部品の欠落や検知方向のズレ等を防止することができる。また庫内に突出していないので庫内容量が減少せず、容量の確保をすることができる。
また、赤外線センサー128が検知する貯蔵室内のケース127には、赤外線センサー128が検知できる範囲である視野範囲内であることを示す目印133が設けられており、お客様にとって食品121の置き場がわかりやすい配慮がされている。また、目印133は赤外線センサー128が検知する視野範囲よりも小さい範囲で設けることで、食品121の収納時には確実に温度検知が行えるように配慮されている。特に赤外線センサー128は検知する範囲の中心部が最も赤外線の検知強度が強く検知範囲の端に行くほど弱くなるので、検知精度を高めるためにも中心を基準として目印133をつけると良い。
この目印は本実施の形態のように引き出し式の扉を備えた貯蔵室である上段冷凍室103の天面側に赤外線センサー128が備えられる場合には、引き出し式の扉103aを開けた状態で食品を投入する際に使用者がどの位置に食品を置けばいいのかわかりにくいため、目印が133あることでより使用者の食品載置が的確となり、赤外線センサー128の検知精度を高めることが可能である。
次に、本実施の形態で使用した赤外線センサー128について説明する。
赤外線センサー128は、検知する面の範囲から発せられる赤外線量を先端のサーモパイル129で検出し、電気信号に変換している。サーモパイル129の周囲には赤外線センサー128の検知範囲を絞る集光部材であるプローブ130があり、さらに基板部分に配置されている基準温度であるサーミスタ131の電圧と比較することによって検知した対象物の温度を算出することで温度検知を行っている。この赤外線センサー128は検知範囲の円内部において、中心が最も赤外線検知強度が強く、端に行くほど検知強度が弱くなる。そのためサーモパイル129の視野角度をより絞ることで検知物の赤外線量の強度を上げることができ、対象物温度を確実に検出することができるが、視野角度の一部がプローブ130の先端部に重なるため先端部温度の影響を受け誤検知の要因となることにより、本実施の形態ではサーモパイルの視野角を55°以下としている。
本実施の形態に用いた赤外線センサー128は、シリコン基板上に形成された多数の熱電対で構成されたサーモパイル129を用いた。さらにプローブ130部分の材質は熱伝導性に優れたアルミナ粉末を用いた成型物であるが、熱伝導性に優れた材質であれば、例えばマグネシア粉末や窒化アルミニウム粉末などのセラミック粉末を分散させた成型物でも良い。また、赤外線センサー128の検知応答性において樹脂タイプのプローブ130を用いると応答性に遅れが生じるものの、比重が低減できるため重量低減に効果がある。樹脂タイプのプローブ130において厚みを薄くすることで若干の応答性向上を図ることができ、体積低減も行えるため省材料で環境負荷の低減も行うことができる。薄肉化は、熱伝導性に優れた金属製の材質でも同様である。
このように、赤外線センサー128の検知精度を高めるために検知する範囲をより絞る赤外線集光部材であるプローブ130を備えるとより視野角度が狭くなるが、それによって検知精度を向上させることができる。
また、赤外線センサー128の検知面は蓄冷機能を有するもので形成するので、検知面そのものの温度変動が少なくなるため、温かい食品が投入された場合にはより正確に検知することが可能な構成である。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
例えば冷蔵室102が外気からの熱侵入および扉開閉などにより、庫内温度が上昇して冷蔵室センサ(図示せず)が圧縮機117の起動温度以上になった場合に、圧縮機117が起動し庫内の冷却が開始される。圧縮機117から吐出された高温高圧の冷媒は、最終的に機械室119に配置されたドライヤ(図示せず)まで到達する間、特にコンデンサー(図示せず)や外箱124に設置される放熱パイプ(図示せず)において、外箱124の外側の空気や庫内のウレタン断熱材126との熱交換により、冷却されて液化する。
次に液化した冷媒はキャピラリーチューブ118で減圧されて、冷却器107に流入し冷却器107周辺の庫内空気と熱交換する。熱交換された冷気は、近傍の冷気送風ファン116により庫内に冷気が送風され庫内を冷却する。この後、冷媒は加熱されガス化して圧縮器117に戻る。庫内が冷却されて冷凍室センサ(図示せず)の温度が停止温度以下になった場合に圧縮機117の運転が停止する。
上記のような運転サイクルを繰り返すことで冷蔵庫は冷却運転を行っている。このとき赤外線センサー128の検知は引き出し式の扉103aが閉塞しているときには、上段冷凍室103の天面に取り付けられているサーモパイル129から上段冷凍室内にあるケース127の温度もしくは食品121の温度を検知している。
しかしながら食品121の投入もしくは検知している食品121以外のものを取り出すときなどや、貯蔵している食品121を確認する際などで、扉を開放した場合には、赤外線センサー128の検知はケース127表面や目的の食品121の検知面から外れ、赤外線センサー128の検知する方向の投影線上にある貯蔵室と赤外線センサー128が備えられた貯蔵室とを仕切る仕切り壁である第三の断熱仕切り部112の温度を検知することとなる。従来のように赤外線センサー128が検知する面の投影面上すなわち赤外線センサー128の検知する方向の投影線上にある隣接する貯蔵室が冷凍温度帯よりも20℃以上高い温度帯である冷蔵温度帯の場合、第三の断熱仕切り部112の表面は熱伝導により温度差ができるため赤外線センサー128の検知温度は急激に高めに変化することとなり、温かい食品が入れられたといった誤検知を行うことになる。
しかしながら、本実施の形態では第三の断熱仕切り部112を挟んだ貯蔵室の温度帯を同温度帯もしくは貯蔵室よりも低い温度帯としているので、検知している温度の変化量が小さくなり検知がずれて不要な冷却能力が必要となり圧縮機117の回転数を上昇させたり、冷気送風ファン116の回転数を上昇させたりといった無駄なエネルギーを消費することを防ぐことが可能となる。
特に、本実施の形態のように非接触センサーが引き出し式の貯蔵室であった場合には、扉を開けた場合に非接触センサーは投影面側の壁面である第三の断熱仕切り部112を検知するので、貯蔵室と同温度付近もしくは貯蔵室よりも低温度を検知するので、扉開閉時に隣接貯蔵室が高い温度となることはなく、温かい食品が投入されたと非接触センサーが誤検知を行うことを抑制することができる。
また従来では扉スイッチを取り付けてスイッチとの連動を行うことで扉の開閉時の状況を把握し、扉スイッチが起動した場合には赤外線センサー128は検知できない仕様とすることで誤検知防止を行うこともあったが、扉スイッチを設けて制御と連動させることによってより複雑な構成となるので、故障や動作不良の可能性が増えることに加え、この扉スイッチおよびそれと連動させるための配線等を含めた制御機構の追加によって世界的な原材料の不足による部品高騰の中でコストUPの要因となることから実売への価格UPを引き起こすことも想定される。
しかしながら本実施では例えば扉が閉まっており食品121が入っているときには周囲の温度よりも高い食品の温度を検知するとともに、扉が開いている状態では赤外線センサーが備えられている貯蔵室よりも低温度帯もしくは同温度帯である冷凍温度を検知するので、例えば扉の開放に伴って一時的に温度が上昇した場合であっても、実際に温かい食品が投入されていない場合には、その後に急激な温度低下を検知できるため、一定時間内の温度勾配を算出し、閾値を設けることで閾値以上であった場合のみ自動での急速冷凍を開始すると判断することも可能である。これによると、扉スイッチをつける事がなく簡単な構造で制御仕様の設定のみでの外乱による温度上昇であるかどうかの検知が可能である。これにより、上述のように、より高い信頼性でかつ材料の省資源化や部品の組み立て時の取り付けミス等を防止できる効果がある。
また、日本独特の多湿気候条件では、扉を開けた場合に外気の暖湿気が庫内へ流入するが、赤外線センサー128の表面に結露するとサーモパイル129は結露水の温度を検知することとなる。さらに扉が閉されて庫内の冷却運転が開始されると結露した水は氷結するため、氷結した水滴が昇華するまでサーモパイル129は食品の温度を検知しにくくなる。そのため本実施の形態では赤外線センサー128の配置を、隣接する貯蔵室の温度よりも高いほうの保存室と仕切る断熱仕切り部に配置することで結露防止の効果を得るため冷蔵室側に設置すると共に、さらに断熱仕切り部の温度分布の中で、最も温度の高い部分である扉側寄りに配置している。従来例のように結露防止の対応としてシャッター機構を搭載することもできるが、扉開閉と連動する必要があるため複雑な機構が必要となってしまう。
また、貯蔵室内に対して周囲の温度よりも平均して温度が高い部分に赤外線センサー128を設置することで、経年劣化の原因となる水分の付着がしにくい設計となるので製品寿命を延ばすことに効果がある。
また、本実施の形態においては、赤外線センサー128によって食品121の温度を検知することを目的としているが、赤外線センサー128は食品121の温度を検知すると同時に赤外線センサー128の視野範囲内にあるものの温度をすべて検知するので、貯蔵室の壁面や貯蔵室内に収納される食品121から放射される赤外線量を検出している。よって、扉の開閉に伴う暖気の流入によって、赤外線センサー128の検知面の温度が上昇すると、赤外線センサー128の食品121の温度検知に対する検知精度は低下するので、赤外線センサー128の検知面の温度が一定であることが望ましく、本実施の形態では蓄冷機能を有するものとした。このように、検知面が蓄冷機能を有していると、検知範囲内における庫内壁面等はより一定温度を維持することができるので、食品121の投入以外の、いわゆる外乱による温度上昇である暖気の流入等によって食品が投入されたと誤検知し、その誤検知によって自動で急速冷却を開始することで貯蔵室を過度に冷却しすぎて無駄なエネルギーを消費することを防止することができる。
また、このように自動で急速冷却を開始する際には食品の投入による温度変動と、それ以外の外乱による温度変動を区別することが出来ないため、外乱による温度変動を食品が投入されたと誤検知する可能性があるので、この外乱による検知を防止するようために、食品投入の有無は確実に検知する外乱検知手段として、食品の投入を判別するための判別時間を設け、温かい温度を検知した場合にはそれ以降一定の判別時間の温度変動を監視することによって確実な判別を行い、判別時間中に常に高い温度を検知した場合にのみ自動で急速冷却を開始するものとすることでより確実に食品投入の有無を判別できる。また、この判別時間を温かい温度が検知された時から一定時間後から開始することも可能であり、特に暖気の流入のみによる温度上昇の場合には速やかに温度が低下するので、一定時間後に再度温度検知を行い、そこで高い温度を検知した場合にのみ自動で急速冷却を開始するものとすることでより確実に食品投入の有無を判別できる。
このような外乱検知手段を設けることで誤検知によって自動で急速冷却を開始することで貯蔵室を過度に冷却しすぎて無駄なエネルギーを消費することを防止することができる。
また、貯蔵室内に赤外線センサー128を設置する際、本実施の形態では断熱仕切り部の表面以下にセンサープローブの表面が配置するように配慮してある。これにより、背面の冷気吐出口からの冷気がプローブ先端部を過度に冷却しないようにして検知の温度変動を低減するのに加えて、食品収納量以上に収納された場合の食品の引っかかりや異物の付着、清掃時に赤外線センサー128の先端が指や清掃物であるタオル等に引っかかったりして過度な力作用での部品欠落や外れを抑える働きがある。
また、赤外線センサー128は自身の温度を検知するサーミスタ131が過度な温度変動を起こすと誤検知するため、熱変動のある部分から温度影響を受けない程度に離すことが望ましい。冷蔵庫では放熱用及び表面結露防止用に銅もしくは鉄等の金属材料を主体としたパイプを配設しているためパイプからの距離を本実施の形態では15mm以上離している。
赤外線センサー128先端部の結露及び氷結防止の対応として、ヒータ熱を利用する方法がある。この場合、基板上にチップ抵抗をつける方法で行うと低コストでの対応が可能である。チップ抵抗の容量としては、本実施の形態の赤外線センサー128であれば0.25W程度の容量を5Vの電圧で約20分/日の通電率であれば十分にプローブ先端の温度上昇を確保できる。さらに長期で使用される冷蔵庫において1日毎でなくても1ヶ月に1回等の頻度で確実に結露や氷結を除去し定期的にリフレッシュする方法も製品寿命を延ばす上で効果的である。
近年の冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されている。この、炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。仮に、圧縮機117の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器107から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があるが、赤外線センサー128を配置した上段冷凍室103は、冷却器107より上方に設置されているため、漏洩しても上段冷凍室103には漏洩することがない。また、仮に上段冷凍室103に漏洩したとしても、冷媒は空気より重いため貯蔵室下部に滞留する。よって、赤外線センサー128が貯蔵室天面に設置されているため、赤外線センサー128付近が可燃濃度になることは極めて低い。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の一部拡大側面断面図である。
なお、本実施の形態においては、実施の形態1で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
本実施の形態は、上記実施の形態1の構成において、図4に示すように、上段冷凍室203にそなえられた赤外線センサー228が検知する面が容器227のみであって、その下方側に位置していた第三の断熱仕切り部212をなくしたものである。本実施の形態においても食品載置面の赤外線センサー228が最も精度よく温度検知可能な箇所に目印133を設けている。
すなわち、上段冷凍室203と下段冷凍室205とがほぼ同じ温度帯となることで、扉開時には下段冷凍室205の温度を検知した場合でも、上段冷凍室203とほぼ同じ温度帯であるため検知温度の温度変動をさらに抑制することができるといった効果がある。
加えて、上段冷凍室203の食品が載置された食品載置面を下段冷凍室205を冷却する冷気で下側からも冷却することができるため、食品載置面は上下両方から低温冷気によって冷却されるので、より食品載置面の上方側と下方側の空間での温度差が低減されるので、赤外線センサーによる検知温度の温度変動をさらに抑制することができるといった効果があることに加え、第三の断熱仕切り部212がある場合に加えて格段に冷却スピードを向上することが可能となる。また、食品221は凍結時に0℃〜−5℃の最大氷結晶生成帯を短時間で通過すると細胞の破壊が少ないことが知られているため、第三の断熱仕切り部212をなくし食品221を上下から冷却することは食品保存にとって非常に効果的である。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の一部拡大側面断面図である。
なお、上記実施の形態で説明した技術と同一構成もしくは同一の技術思想が適用できる部分については説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
図5において、赤外線センサー328を上段冷凍室303を引き出す扉部分に取り付けたものであり、扉開閉時には無線によって検知温度等を冷蔵庫本体301の制御部分に送信させたものである。
これによって、食品321取り出しの際などで扉を開けた場合でも、ケース327内の食品321の温度を確実に検知できるため、食品321の冷却速さや凍結状態を確認するのに有効である。なお、本実施の形態では引き出し扉のため無線によるデータ送信方法を記載したが、開き扉の場合は扉開閉の作用部分に送信用配線を配設することで無線回路の削減を図ることができる。
(実施の形態4)
図6は本発明の実施の形態4による冷蔵庫の正面図である。図7は本発明の実施の形態4による冷蔵庫の側面断面図である。図8は本発明の実施の形態4による上段冷凍室の一部拡大側面断面図である。
なお、上記実施の形態で説明した技術と同一構成もしくは同一の技術思想が適用できる部分については説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
図6から図8に示すように、冷蔵庫本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱124と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱125と、外箱124と内箱125の間に発泡充填されたウレタン断熱材126からなる断熱箱体で、この本体の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105で構成されている。上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106の前面部は引き出し式の図示しない扉により開閉自由に閉塞されると共に、冷蔵室102の前面は、例えば観音開き式の図示しない扉により開閉自由に閉塞される。
冷蔵室102は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。野菜室106は冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれば葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。上段冷凍室103は冷凍保存のために通常−22から−18℃の冷凍温度帯で設定されているが、使用者の好む冷凍保存状態によっては、解凍等の調理の手間が省ける−7℃前後のソフト冷凍温度帯に設定することも可能であり、さらに冷凍保存状態の向上のために、通常の冷凍温度帯である−22から−18℃よりもさらに低いたとえば−30から−25℃の低温冷凍温度帯で設定されることもある。下段冷凍室105は冷凍保存のために通常−22から−18℃の冷凍温度帯で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30から−25℃の低温冷凍温度帯で設定されることもある。
冷蔵室102や野菜室106は庫内をプラス温度で設定されるので、総称として冷蔵温度帯を呼ばれ、上段冷凍室103や下段冷凍室105や製氷室104は庫内をマイナス温度で設定されるので総称として冷凍温度帯と呼ばれる。
冷蔵庫本体101の天面部は、冷蔵庫本体101の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室119があり、第一の天面部と第二の天面部で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機117と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ118と、冷却器107とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。前記冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室内に配設することも出来る。
また、冷蔵室102と製氷室104および上段冷凍室103とは第一の断熱仕切り部110で区画されている。
また、製氷室104と上段冷凍室103とは第二の断熱仕切り部111で区画されている。
また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部112で区画されている。
第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112は、冷蔵庫本体101の発泡後組み立てられる部品であるため、通常断熱材として発泡ポリスチレン126が使われるが、断熱性能や剛性を向上させるために硬質発泡ウレタンを用いてもよく、更には高断熱性の真空断熱材を挿入して、仕切り構造のさらなる薄型化を図ってもよい。
また、扉のフレームの稼動部を確保して第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の形状の薄型化や廃止を行うことで、冷却風路を確保でき冷却能力の向上を図ることもできる。また、第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の中央部をくりぬき、風路とすることで材料の低減につながる。
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の仕切り部113で区画されている。
冷蔵庫本体101の背面には冷却室カバー122で覆われた冷却室123が設けられ、具体的には上段冷凍室103もしくは下段冷凍室105の背面に設けられている。冷却室123内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成する冷却器107が断熱仕切壁である第二および第三の仕切り部111、112の後方領域を含めて下段冷凍室105の背面に上下方向に縦長に配設されている。また、冷却器107の材質は、アルミや銅が用いられる。
冷却器107の近傍(例えば上部空間)には強制対流方式により冷蔵室102、製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器107で生成した冷気を送風する冷気送風ファン116が配置され、冷却器107の下部空間には冷却時に冷却器107や冷気送風ファン116に付着する霜を除霜する除霜装置としてのガラス管製のラジアントヒータ136が設けられている。除霜装置は特に指定するものではなく、ラジアントヒータ136の他に、冷却器107に密着したパイプヒータを用いても良い。
冷却室カバー122内には、冷気送風ファン116からの冷気を各貯蔵室内へ送風するダクトを備えており、上段冷凍室103と下段冷凍室105へ同一の吐出ダクト434を通じて冷却器107の冷気を直接送風している。
また、この吐出ダクト434は各貯蔵室へ冷気を送る風路の中でも、冷却器107と最も近くに位置している。
冷却室カバー122の前面には、上段冷凍室103と下段冷凍室105へ各々冷気を吐出する第一の吐出口432と第二の吐出口433を備えており、第一の吐出口432と第二の吐出口433の流量は二部屋の負荷量比率によって分配している。本実施の形態では、上段冷凍室103の吐出面積は約3000mm2であり、下段冷凍室105の吐出面積は約6000mm2であるため上段冷凍室103の流量と下段冷凍室105の流量比率は約1:2とすることで同温度帯を構成している。さらに冷却器107で生成された冷気を送風する冷気送風ファン116の出口と、上段冷凍室103の第一の吐出口432と下段冷凍室105の第二の吐出口433との距離を同一ダクトを通じて同等としている。本実施の形態では100mmとしており、各々の吐出冷気を同温度とすることを行っている。
また、第一の吐出口432と第二の吐出口433が冷却器107からも距離が最も短い吐出口と2番目に近い吐出口であるので、冷却器107から出たばかりの熱損失が少ない故に最も低温となる冷気が第一の吐出口432と第二の吐出口433から吐出されるので、より冷却効率が高く、また第一の吐出口432と第二の吐出口433とでほぼ同一温度の冷気が吐出されるものである。
冷気送風ファン116は、内箱125に直接配設されることもあるが、発泡後に組み立てられる第二の仕切り部111に配設し、部品のブロック加工を行うことで製造コストの低減を図ることもできる。
次に赤外線センサー128を取り付けている上段冷凍室103の構成について説明する。
図8に示すように、上段冷凍室103の天井面である第一の断熱仕切り部110には、食品121の温度を検知する非接触センサーである赤外線センサー128が、検知する面の投影面上の隣接貯蔵室がある方向(本実施例の場合は下方向)に向かって設置してある。上段冷凍室103の背面上部には冷却室カバー122から庫内へ冷気を吐出する第一の吐出口432と、上段冷凍室103内を循環した冷気が、再び冷却室123に戻るための戻り口(図示せず)が設けてある。なお、赤外線センサー128を断熱仕切り部内に設置することで、第一の吐出口432から吐出される冷気の風の影響を受けにくくできるため、検知精度の向上を図ることができる。さらに、赤外線センサー128先端部を断熱仕切り部の表面よりも内側もしくは同一面とすることで貯蔵室内に食品121を大量に入れられた場合や、清掃時でも赤外線センサー128の検知部に異物が付着することが無いため検知の誤動作を招かない。さらに庫内への突出による清掃時の引っかかりがないため過剰な力の加重による部品の欠落や検知方向のズレ等を防止することができる。また庫内に突出していないので庫内容量が減少せず、容量の確保をすることができる利点がある。
なお、赤外線センサー128が検知する貯蔵室内のケース127の検知精度が良い箇所を中心に、その視野範囲内であることを示す目印137を設けておくと、お客様にとって食品121の置き場がわかりやすく、加えて目印137を赤外線センサー128が検知する視野範囲よりも小さい範囲で設けることで、食品121の収納時には確実に温度検知が行える。特に赤外線センサー128は検知する範囲の中心部が最も赤外線の検知強度が強く検知範囲の端に行くほど弱くなるので、検知精度を高めるためにも中心を基準として目印137をつけると良い。
次に、本実施の形態で使用した赤外線センサー128について説明する。
赤外線センサー128は、検知する面の範囲から発せられる赤外線量を先端のサーモパイル129で検出し、電気信号に変換している。サーモパイル129の周囲にはプローブ130があり、さらに基板部分に配置されている基準温度であるサーミスタ131の電圧と比較することによって検知した対象物の温度を算出することで温度検知を行っている。この赤外線センサー128は検知する範囲の円内部において、中心が最も赤外線検知強度が強く、端に行くほど検知強度が弱くなる。そのためサーモパイル129の視野角度をより絞ることで検知物の赤外線量の強度を上げることができ、対象物温度を確実に検出することができるが、視野角度の一部がプローブ130の先端部に重なるため先端部温度の影響を受け誤検知の要因となることにより、本実施の形態ではサーモパイルの視野角を50°としている。
本実施の形態に用いた赤外線センサー128は、シリコン基板上に形成された多数の熱電対で構成されたサーモパイル129を用いた。さらにプローブ130部分の材質は熱伝導性に優れたアルミナ粉末を用いた成型物であるが、熱伝導性に優れた材質であれば、例えばマグネシア粉末や窒化アルミニウム粉末などのセラミック粉末を分散させた成型物でも良い。また、赤外線センサー128の検知応答性において樹脂タイプのプローブ130を用いると応答性に遅れが生じるものの、比重が低減できるため重量低減に効果がある。樹脂タイプのプローブ130において厚みを薄くすることで若干の応答性向上を図ることができ、体積低減も行えるため省材料で環境負荷の低減も行うことができる。薄肉化は、熱伝導性に優れた金属製の材質でも同様である。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
例えば冷蔵室102が外気からの熱侵入および扉開閉などにより、庫内温度が上昇して冷蔵室センサ(図示せず)が圧縮機117の起動温度以上になった場合に、圧縮機117が起動し庫内の冷却が開始される。圧縮機117から吐出された高温高圧の冷媒は、最終的に機械室119に配置されたドライヤ(図示せず)まで到達する間、特にコンデンサー(図示せず)や外箱124に設置される放熱パイプ(図示せず)において、外箱124の外側の空気や庫内のウレタン断熱材126との熱交換により、冷却されて液化する。
次に液化した冷媒はキャピラリーチューブ118で減圧されて、冷却器107に流入し冷却器107周辺の庫内空気と熱交換する。熱交換された冷気は、近傍の冷気送風ファン116により庫内に冷気が送風され庫内を冷却する。この後、冷媒は加熱されガス化して圧縮器117に戻る。庫内が冷却されて冷凍室センサ(図示せず)の温度が停止温度以下になった場合に圧縮機117の運転が停止する。
上記のような運転サイクルを繰り返すことで冷蔵庫は冷却運転を行っている。このとき赤外線センサー128の検知は扉が閉しているときには、上段冷凍室103の天面に取り付けられているサーモパイル129から上段冷凍室内にあるケース127の温度もしくは食品121の温度を検知している。しかしながら食品121の投入もしくは検知している食品121以外のものを取り出すときなどや、貯蔵している食品121を確認するときなどで扉を開けた場合には、赤外線センサー128の検知はケース127表面や目的の食品121の検知面から外れ、赤外線センサー128が備えられた貯蔵室とその隣接貯蔵室を仕切る第三の断熱仕切り部112の温度を検知することとなる。従来のように赤外線センサー128が検知する面の投影面上にある隣接する貯蔵室が冷蔵温度帯の場合、第三の断熱仕切り部112の表面は熱伝導により温度差ができるため検知温度は急激に高めに変化することとなる。本実施の形態では上段冷凍室103と下段冷凍室105は同一の吐出ダクト434を通じて吐出される同一温度の吐出冷気で冷却し、吐出冷気の流量は上段冷凍室103と下段冷凍室105の負荷量比率によって分配しているため、上段冷凍室103と下段冷凍室105の温度は同温度帯となる。これによって、扉を開けた場合に赤外線センサー128の検知部となる第三の断熱仕切り部112は扉を閉めているときに検知している部分と同等温度となり、扉開閉に伴う食品121投入の有無の誤検知が抑制される。例えば、上段冷凍室103と下段冷凍室105の所定温度の温調は吐出する冷気の吐出量を制御して行う場合、少なからずとも上限温度と下限温度との平均温度で所定温度を維持するので、本発明のように同一温度の吐出冷気で上段冷凍室103と下段冷凍室105ともに温調する場合は、上段冷凍室103の上限温度と下限温度が下段冷凍室105のそれと差が出にくくなる。これにより、上段冷凍室103と下段冷凍室105とで温調に伴う上限温度および下限温度もほぼ同一温度となり、より赤外線センサー128の誤検知を抑制できるので、扉を開けた場合でも赤外線センサー128が検知している温度の変化量が小さくなり検知がずれて不要な冷却能力が必要となり圧縮機117の回転数を上昇させたり、冷気送風ファン116の回転数を上昇させたりして庫内温度の誤検知を引き起こすことは無い。
また、上段冷凍室103の第一の吐出口432は赤外線センサーが検知する面に沿って庫内を冷気が流れるように正面方向に向かうように設置し、第一の吐出口432の下方側には冷気が下方向きに流れるように調節した下向吐出口435も開口している。これにより、赤外線センサー128の検知部分とサーミスタ131部分の温度差を低減できるため検知範囲内にある食品121以外の周囲温度の影響を受けにくくなるので精度良く食品温度を検知できる。赤外線センサー128が検知する温度は、食品121のみならず、検知面内の赤外線量を検知して温度に換算するためサーミスタ131との温度差があると食品121以外の部分の温度も検知することとなる。本実施の形態では食品121以外の検知面の温度とサーミスタ131との温度差が軽減できるため、食品121の赤外線量を精度良く検知し、食品121の温度も精度良く検知できる。またさらに本実施の形態では、冷却室カバー122の表面を吐出冷気が流れるようにしたため、赤外線センサー128の検知精度向上のほかに、扉開閉による高湿な外気の流入で冷却室カバー122の表面に付着した霜を、冷却器107で生成と除湿された湿度の低い冷気で昇華促進も行うことができる。
また、従来では扉スイッチを取り付けてスイッチとの連動を行うことで扉の開閉時の状況を把握し、扉スイッチが起動した場合には赤外線センサー128は検知しない仕様とすることで誤検知防止を行うこともあったが、この構成では扉スイッチやそれに伴う制御機構が追加で必要となるため、より故障の可能性を高めるとともに世界的な原材料の不足による部品高騰の中でコストUPの要因となることから実売への価格UPを引き起こすこともある。
しかしながら本実施では例えば扉が閉まっており食品121が入っているときには周囲の温度よりも高い食品の温度を検知するとともに、扉が開いている状態では赤外線センサーが備えられている貯蔵室よりも低温度帯もしくは同温度帯である冷凍温度を検知するので、例えば扉の開放に伴って一時的に温度が上昇した場合であっても、実際に温かい食品が投入されていない場合には、その後に急激な温度低下を検知できるため、一定時間内の温度勾配を算出し、閾値を設けることで閾値以上であった場合のみ自動での急速冷凍を開始すると判断することも可能である。これによると、扉スイッチをつける事がなく簡単な構造で制御仕様の設定のみでの外乱による温度上昇であるかどうかの検知が可能である。これにより、上述のように、より高い信頼性でかつ材料の省資源化や部品の組み立て時の取り付けミス等を防止できる効果がある。
なお、日本独特の多湿気候条件では、扉を開けた場合に外気の暖湿気が庫内へ流入することに伴い赤外線センサー128の表面に湿気が結露する場合があるが、このように結露水が赤外線センサー128の表面に付着するとサーモパイル129は結露水の温度を検知することとなる。さらに扉が閉塞されて庫内の冷却運転が開始されると結露した水は氷結するため、氷結した水滴が昇華するまでサーモパイル129は食品の温度を検知しにくくなる。そのため赤外線センサー128の配置を設計する場合には、隣接する貯蔵室の温度よりも高いほうの保存室と仕切る断熱仕切り部に配置する配慮を施しておくことで結露防止の効果を得ることができる。本実施の構成では冷蔵室側に設置すると良い。さらに断熱仕切り部の温度分布の中で、最も温度の高い部分である扉側寄りに配置するとなお良い。従来例のように結露防止の対応としてシャッター機構を搭載することもできるが、扉開閉と連動する必要があるため複雑な機構が必要となってしまうので故障の可能性も高まり実際の冷蔵庫に搭載するのは難しい。
加えて、貯蔵室内に対して周囲の温度よりも平均して温度が高い部分に赤外線センサー128を設置することで、経年劣化の原因となる水分の付着がしにくい設計となるので製品寿命を延ばすことに効果がある。
また、貯蔵室内に赤外線センサー128を設置する際、本実施の形態では断熱仕切り部の表面以下にセンサープローブの表面が配置するように配慮してある。これにより、背面の第一の吐出口432からの冷気がプローブ130先端部を過度に冷却しないようにして検知の温度変動を低減するのに加えて、食品収納量以上に収納された場合の食品の引っかかりや異物の付着、清掃時に赤外線センサー128の先端が指や清掃物であるタオル等に引っかかったりして過度な力作用での部品欠落や外れを抑える働きがある。
この赤外線センサー128の貯蔵室側にはできるだけ検知範囲内に延出しないようなカバー部材を備えるとよい。この場合にはカバー部材内に暖気が滞留しなくかつ使用者の指が赤外線センサー128の表面に触れないようにするのが望ましい。
また、赤外線センサー128は自身の温度を検知するサーミスタ131が過度な温度変動を起こすと誤検知するため、熱変動のある部分から温度影響を受けない程度に離すことが望ましい。冷蔵庫では放熱用及び表面結露防止用に銅もしくは鉄等の金属材料を主体としたパイプを配設しているためパイプからの距離を本実施の形態では15mm以上離している。
赤外線センサー128先端部の結露及び氷結防止の対応として、ヒータ熱を利用する方法がある。この場合、基板上にチップ抵抗をつける方法で行うと低コストでの対応が可能である。チップ抵抗の容量としては、本実施の形態の赤外線センサー128であれば0.25W程度の容量を5Vの電圧で約20分/日の通電率であれば十分にプローブ先端の温度上昇を確保できる。さらに長期で使用される冷蔵庫において1日毎でなくても1ヶ月に1回等の頻度で確実に結露や氷結を除去し定期的にリフレッシュする方法も製品寿命を延ばす上で効果的である。
近年の冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されている。この、炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。仮に、圧縮機117の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器107から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があり、冷却器107の前方側で連通している貯蔵室には特に漏洩しやすいが、赤外線センサー128を配置した上段冷凍室103は、冷却器107より上方に設置されているため、漏洩しても上段冷凍室103には漏洩することがない。また、仮に上段冷凍室103に漏洩したとしても、冷媒は空気より重いため貯蔵室下部に滞留する。よって、赤外線センサー128が貯蔵室天面に設置されているため、赤外線センサー128付近が可燃濃度になる可能性は極めて低いので、十分に安全な配置構成である。
また、食品121の温度をさらに精度良く検知するために、食品投入されたあとに食品121の面積を検知し、食品121の面積に応じて赤外線センサー128の検知視野角度を調整することで精度の向上を図ることができる。特に食品121の投入後に、周囲と温度差が異なる部分を検知対象として視野角度の調整を行うことができれば、食品面積を検知するよりもコストパフォーマンスが高い検知精度の向上を行うことができる。
なお、本実施の形態では、上段冷凍室103の第一の吐出口432は赤外線センサーが検知する面に沿って庫内を冷気が流れるように正面方向に向かうように設置し、第一の吐出口432の下方側には冷気が下方向きに流れるように調節した下向吐出口435も開口しているものとしたが、正面方向に向かうように設置した第一の吐出口432はより前方へ延出して上段冷凍室103の前方側を中心に冷却を行い、下向吐出口435が後方側を中心に冷却を行うように配置してもよく、その場合には上段冷凍室103内がより均一に冷却することが可能となる。また、第一の吐出口432と下向吐出口435との2箇所の吐出口を設けずに一箇所とする場合には、第一の吐出口432を正面よりもやや下方側に向けて配置することで冷気がより食品載置面に流れやすくなり、赤外線センサー128の検知範囲内の温度をより低温化することができるので、新たな食品が投入された場合の検知精度をより高めることが可能となる。
(実施の形態5)
図9は、本発明の実施の形態5における冷蔵庫の一部拡大側面断面図である。
なお、上記記載の実施の形態と同一構成および同一の技術思想が適用できる部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
図9において、非接触センサーである赤外線センサー128が検知する面221の下方側に断熱仕切り部をなくすことで、扉開時には下段冷凍室105の温度を検知するため検知温度の温度変動をさらに抑制することができる効果がある。すなわち、赤外線センサー128が設置された貯蔵室である上段冷凍室103と、上段冷凍室103の非接触センサーである赤外線センサー128を始点として赤外線センサー128の検知する方向の投影線上に隣接する隣接貯蔵室である下段冷凍室105とを備え、上段冷凍室103と前記下段冷凍室105は同温度帯として、同じ吐出ダクト434を共有して同一温度帯の冷気を供給している。よって、上段冷凍室103には第一の吐出口432を通して吐出ダクト434の冷気が供給され、下段冷凍室105には第二の吐出口433を通して吐出ダクト432の冷気が供給される。
また、第一の吐出口432と第二の吐出口433が冷却器107からも距離が最も短い吐出口と2番目に近い吐出口であるので、冷却器107から出たばかりの熱損失が少ない故に最も低温となる冷気が第一の吐出口432と第二の吐出口433から吐出されるので、より冷却効率が高く、また第一の吐出口432と第二の吐出口433とでほぼ同一温度の冷気が吐出されるものである。
さらに、この第一の吐出口432と第二の吐出口433とは同じタイミングで冷気の供給がおこなわれている。
こういった構成によって、赤外線センサー128が設置された貯蔵室である上段冷凍室103と隣接貯蔵室である下段冷凍室105とはほぼ同一温度となるため、扉を開けた場合であっても、非接触センサーの検知部となる断熱仕切り部は扉を閉めているときに検知している部分と同等温度となるので、扉開閉に伴う食品投入の有無の誤検知が抑制される。
例えば、貯蔵室と隣接貯蔵室の所定温度の温調は吐出する冷気の吐出量を制御して行う場合、少なからずとも上限温度と下限温度との平均温度で所定温度を維持するので,本発明のように同一温度の吐出冷気で貯蔵室と隣接貯蔵室ともに温調する場合は、貯蔵室の上限温度と下限温度が隣接貯蔵室のそれと差が出にくくなる。これにより、貯蔵室と隣接貯蔵室とで温調に伴う上限温度および下限温度もほぼ同一温度となり、より非接触センサーの誤検知を抑制できる。
また、上段冷凍室103の食品121を下段冷凍室105を冷却する冷気で上方向からに加えて下方向からも冷却することができるため第三の断熱仕切り部212がある場合に加えて格段に冷却スピードを向上することが可能となる。食品221は凍結時に0℃〜−5℃の最大氷結晶生成帯を短時間で通過すると細胞の破壊が少ないことが知られているため、上段冷凍室103と下段冷凍室105との間に断熱仕切り部を有さずに同じ温度帯することによって食品121を上下から冷却することは冷凍時の保鮮性が大幅に向上するので実際の冷蔵庫における食品保存にとって非常に効果的な構成であると言える。
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の一部拡大側面断面図である。
なお、本実施の形態においては、上記実施の形態で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
図10において、吐出ダクト434内の一部に他の部分よりも断面積が大きい箇所を設けたものであり、除霜時の暖気を滞留させて庫内への流入を抑制したものである。
これによって、赤外線センサー328の検知部の結露および着霜による検知ズレを防止できると共に、庫内温度の上昇を抑制することで食品321の保存状態を保つことができる。なお、本実施の形態では吐出ダクト434内の断面積の大きい箇所を冷却器307の上方に配置し、かつ、上段冷凍室303の吐出口332よりも上方に配置することで暖気の庫内流入を更に低減した。庫内流入を抑制すると、冷却室323内での除霜効率が上昇するため、除霜時間の短縮を図ることができ、消費電力量の低減も図ることができる。更に、庫内の冷却停止時間も短縮できるため食品321の温度上昇も抑制できる効果がある。