以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる冷蔵庫の一例の概略正面図である。図2は、図1に示す冷蔵庫の横断面図である。図3は、図1に示す冷蔵庫のブロック図である。なお、以下の説明において、前後方向、上下方向及び左右方向等方向を示す場合があるが、この場合、図1に示す状態を基準とするものとする。また、手前側(前側)、奥側(後側)と説明する場合には、図2に示す状態を基準とし、図2において、左側を手前側(前側)、右側を奥側(後側)として説明する。なお、図1、図2の矢印は、冷気の流れを示している。
図1、図2に示すように、冷蔵庫Rfは手前側が開口し、発泡断熱材が充填された壁体に囲まれた断熱箱体100を有している。断熱箱体100は内部を上下に仕切る仕切棚101が設けられている。また、断熱箱体100の下部の後側には、機械室102が備えられている。機械室102は、断熱箱体100の物品を収納する空間と発泡断熱材が充填された壁体で分離されている。機械室102には、冷蔵庫Rfの各貯蔵室を冷却するための冷却装置の一部が配置されている。冷蔵庫Rfでは、圧縮機Compと、制御部Cont(図3参照)とが配置されている。また、これら以外の機器が配置される場合もある。
仕切棚101は、他の壁体と同様に、発泡断熱材が充填されており、断熱箱体100の物品を収納する空間を上下に分割している。なお、ここでは、仕切棚101の下側を第1空間1、上側を第2空間2とする。冷蔵庫Rfにおいて、第1空間1は、物品を確実に冷凍させることができる温度(例えば、−18℃以下)に維持される貯蔵室が設けられる。第2空間2には、外部よりも低い温度で、且つ、物品が凍りにくい温度(例えば、約0℃〜約8℃)で維持される貯蔵室が設けられる。
図1、図2に示すように、第1空間1には、下段冷凍室11と、上段冷凍室12と、製氷室13とが設けられている。下段冷凍室11及び上段冷凍室12は貯蔵物を冷凍保存する(例えば、−18℃以下で保存する)ための貯蔵室である。製氷室13は氷を製造し、貯蔵しておく貯蔵室である。冷蔵庫Rfにおいて、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13は1つのまとまった断熱領域である。
図1に示すように、下段冷凍室11は、第1空間1の下部に設けられている。下段冷凍室11は、第1収納ケース111と、第2収納ケース112と、第3収納ケース113と、扉114とを備えている。扉114は、前後に移動することで開閉する引出扉である。第1収納ケース111は、下段冷凍室11の最も容量が大きい収納ケースであって、下段冷凍室11の最も下部に配される。第1収納ケース111は、扉114と一体的に移動する。また、第2収納ケース112は第1収納ケース111の上方に、第3収納ケース113は第2収納ケース112の上方に配されている。
扉114が開かれているとき、第2収納ケース112及び第3収納ケース113は、第1収納ケース111と独立して、前後方向に移動可能となっている。なお、下段冷凍室11では、扉114を開閉するとき、第2収納ケース112及び第3収納ケース113は、第1収納ケース111と一緒に移動する。
第1空間1の下段冷凍室11の上部は左右に分割されており、分割された右側が上段冷凍室12であり、左側が製氷室13である。上段冷凍室12は、扉121と、収納ケース122とを備えている。扉122は、前後に移動することで開閉する引出扉である。収納ケース122は、扉121と一体的に移動する。
製氷室13は、扉131と、収納ケース132と、製氷機133とを備えている。扉131は、前後に移動することで開閉する引出扉である。収納ケース132は、扉131と一体的に移動する。製氷機133は、不図示の水タンクから供給された水を冷凍させて、氷を製造する装置である。製氷機133は、収納ケース132の上方に配されており、製造した氷は、収納ケース132に落下する。
図2に示すように、第1空間1の奥側には、隔壁14が設けられている。隔壁14と、第1空間1の奥側の壁面との間には、下段冷凍室11、上段冷凍室12及びを冷却する冷気が流れる冷気流路3が設けられる。図1に示すように、断熱箱体100の第1空間1は中央部分に上下に延びる溝が設けられており、隔壁14が溝の正面を覆う。そして、隔壁14と溝の間の隙間が、冷気通路3である。
冷気通路3は、仕切り部材30で前後に仕切られている。仕切り部材30の後側が冷気発生部31であり、前側が冷気ダクト32である。冷気発生部31には、冷蔵庫Rfの冷却器である蒸発器5と、冷凍ファン33とが設けられている。蒸発器5は、内部で冷媒が蒸発するときに周囲の空気から熱を奪うことで、周囲の空気を冷却する。蒸発器5の詳細については、後述する。冷凍ファン33は、冷気通路3に空気の流れ(気流)を発生させる送風機である。冷凍ファン33は蒸発器5の上方に配置されている。冷凍ファン33を動作することで、冷気発生部31内に上昇する気流を発生させる。すなわち、冷凍ファン33を動作することで、蒸発器5を気流が通過する。冷蔵庫Rfでは、冷却装置が冷却動作を行っているときに冷凍ファン33が動作する。
冷気発生部31は、上部で冷気ダクト32と接続されている。冷気発生部31で発生した冷気は、冷気ダクト32に流入する。冷気ダクト32は、下段冷凍室11及び上段冷凍室12に冷気を供給するための風路である。冷気ダクト32には、隔壁14に形成された貫通孔である吐出口321、322、323及び324が設けられている。吐出口321、322、323はそれぞれ、下段冷凍室21の第1収納ケース111、第2収納ケース112及び第3収納ケース113に冷気を流入させる位置に設けられている。また、吐出口324は、上段冷凍室12に流入させる位置に設けられている。なお、冷蔵庫Rfでは、製氷室13には、上段冷凍室12から冷気を流入させているが、製氷室13に冷気を流入させる吐出口が設けられていてもよい。
下段冷凍室11、上段冷凍室12に流入し、第1空間1の内部を冷却した冷気は、冷凍戻りダクト34を介して、冷気発生部31に戻る。冷凍戻りダクト34は、第1収納ケース111の下方に設けられており、蒸発器5の下方で冷気発生部31と接続している。すなわち、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13を冷却した冷気は、戻りダクト34を通過して、冷気発生部31に戻る。なお、この戻りダクト34に戻る冷気を、冷凍戻り冷気と称する場合がある。
図1、図2に示すように、第2空間2には、上部から、冷蔵室21と、チルド室22と、野菜室23とが備えられる。なお、冷蔵室21は、物品の劣化を抑制することができる低温(例えば、3℃〜5℃)に維持される。また、チルド室22は、冷蔵室21よりも低く、物品が凍りにくい温度(例えば、0℃〜1℃)に維持される。野菜室23は、野菜の鮮度の低下を抑制する温度(例えば、7℃〜8℃)に維持される。なお、これらの貯蔵室及びその維持温度は、一例であり、物品が凍りにくい温度の範囲であってもよいし、これらとは別の温度の貯蔵室を備えていてもよい。
第2空間2の正面側は開口しており、正面側には冷蔵扉27が開閉可能に設けられている。冷蔵扉27は、断熱箱体100に枢支されて、支軸を中心に回転することで、第2空間2の開口を開閉する。なお、冷蔵扉27は、第2空間2の開口を1つの部材(扉)で閉じることができるものであってもよいし、2以上の部材(扉)で閉じることができるものであってもよい。ここでは、第2空間2の開口を1枚で封鎖できる冷蔵扉27である。
冷蔵庫Rfでは、冷蔵扉27を開くことで、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23に物品を貯蔵する、又は、貯蔵されている物品を取り出すことができる。冷蔵扉27の内側には、ビン、缶、紙パック等の立てて貯蔵する物品を貯蔵するドアポケット271が設けられている。
冷蔵室21には、空間を上下に仕切ることができる可動棚24が設けられている。図1、図2に示すように、可動棚24は3個設けられている。可動棚24は、冷蔵室21の内壁から突出した凸部(不図示)に係合させることで、棚として利用される。そして、可動棚24は、冷蔵室21内での高さ方向の位置を変更可能である。可動棚24の位置を変更することで、形状(例えば、大きさ、高さ)の異なる多種多様な物品を収納可能である。冷蔵室21の最下段は、断熱箱体100の内壁に固定される固定棚25が取り付けられている。
そして、固定棚25の下方に一定の間隔をあけて、断熱箱体100の内壁に固定される固定棚26が取り付けられている。そして、固定棚25と固定棚26とにはさまれる部分がチルト室22であり、固定棚26と仕切棚101とにはさまれる部分が野菜室23である。チルド室22は、収納ケース221を備えている。収納ケース221は、前後に摺動可能に設けられている。そして、収納ケース221の前面には、チルド室22の前面を開閉する前扉部222を備えている。なお、前扉部222又はチルド室22の内面の少なくとも一方には、パッキンが設けられている。収納ケース221が奥に収納されることで、前扉部222はチルド室22前面の開口を閉じる。また、チルド室22は、空気の流通が制限されており、冷蔵室21とは異なる温度になる。
野菜室23もチルド室22と同様の構成を有しており、収納ケース231と、前扉部232とを備えている。野菜室23は、チルド室22とは異なり、空気が流入することができる程度の隙間が形成される。これにより、後述する冷蔵室21及びチルド室22を冷却した冷気を野菜室23に流入させることができる。野菜室23の奥側には、後述する冷蔵戻りダクト44の戻り開口441が設けられている。戻り開口441から流入した冷気は、冷気が冷蔵戻りダクト44に流入する。
図2に示すように、第2空間2の奥には、隔壁28が設けられている。隔壁28と、第2空間2の奥側の壁面との間には、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23を冷却する冷気が流れる冷気流路4が設けられる。図1に示すように、断熱箱体100の第2空間2は中央部分に上下に延びる溝が設けられており、隔壁28が溝の正面を覆う。そして、隔壁28と溝の間の隙間が、冷気流路4になる。
冷気流路4は、ダンパ41と、冷蔵ファン42と、吐出口43と、冷蔵戻りダクト44とを備えている。ダンパ41は、仕切棚101に設けられた貫通孔103を必要に応じて開閉し、冷気通路3からの冷気の流入を調整する。冷蔵ファン42は、ダンパ41の開によって流入した冷気を押し流すための送風機である。冷蔵ファン42の動作によって、冷気は、冷気流路4内を上昇する。吐出口43は、隔壁28に設けられた貫通孔である。冷蔵庫Rfにおいて、吐出口43が5個備えられているが、これに限定されるものではなく、これ以上であってもよいし、これ以下であってもよい。少なくとも、冷蔵室21と、チルド室22に冷気を流入させる位置に設けられていればよい。
冷気流路4を流れた冷気は、吐出口43を介して、冷蔵室21及びチルド室22に流入する。なお、野菜室23は、冷蔵室21やチルド室22に比べて貯蔵温度が高い。そのため、野菜室23には、冷蔵室21やチルド室22で物品から熱を奪って昇温された冷気を流入させて、野菜室23を冷却している。野菜室23を冷却した冷気は、冷蔵戻りダクト44を通過して、蒸発器5が設けられた冷気発生部31に戻される。野菜室23を冷却して、冷蔵戻りダクト44に流入した冷気を冷蔵戻り冷気と称する場合がある。
冷蔵戻りダクト44は、野菜室23の奥側から第1空間1の奥側に下方に延びている。冷蔵戻りダクト44は、戻り開口441と、戻り口442とを備えている。冷蔵戻りダクト44は冷気流路4と同様に、溝と隔壁28とで挟まれた空間に形成されている。戻り開口441は、隔壁28を貫通する貫通孔である。戻り開口441から流入した冷蔵戻り冷気は、冷蔵戻りダクト44内を下方に流れる。そして、図1に示すように、蒸発器5の下方の右側から、冷気通路3の冷気発生部31に戻る。
本発明にかかる冷蔵庫Rfの冷却装置では、1つの蒸発器5で、すべての貯蔵室を冷却する構成となっている。そして、冷気通路3と冷気流路4とは、仕切棚101の貫通孔103で連通されており、ダンパ41の開閉によって、冷気通路3で発生した冷気の冷気流路4への流入量が調整されている。すなわち、ダンパ41が閉じた状態で冷却装置が動作している場合、冷気発生部31で発生した冷気は、第1空間1を循環する。また、ダンパ41が開いた状態で、冷却装置が動作している場合、冷気は、第1空間1及び第2空間2の両方を循環する。つまり、ダンパ41は、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23お冷却するときにだけ開かれる。
冷蔵庫Rfの冷却装置について説明する。冷却装置は、冷凍サイクルを利用している。冷凍装置は、圧縮機Compと、凝縮器(不図示)と、膨張器(不図示)と、蒸発器5とを配管(不図示)で接続した構成を有し、内部に冷媒が充填されている。冷凍装置では、圧縮機で冷媒を圧縮し、凝縮器で凝縮する。凝縮された冷媒を膨張器で膨張した後、蒸発器5で蒸発させる。そして、冷媒の蒸発による気化熱を空気から奪うことで、冷気を生成している。なお、冷却装置については、周知の技術を利用しているものであるため、詳細は省略する。
次に、蒸発器5について図面を参照して説明する。図4は蒸発器の概略構成を示す図である。図4に示すように、蒸発器5は、パイプ51と、フィン52とを備えている。図4に示すように、パイプ51は上部に冷媒が流入する流入部と流出部とを備えている。パイプ51は、下部に向かって左右に蛇行し、下端部で、蛇行方向と交差する方向(図4では、紙面奥行き方向)に折り返し、再度、上部に向かって左右に蛇行している。
フィン52は平板である。フィン52は、複数枚設けられており、横方向に平行に配列されている。パイプ51はフィン52を貫通しており、パイプ51とフィン52とは、接続されている。パイプ51及びフィン52は、熱伝導率が高い材料(例えば、アルミ、銅等の金属材料)で形成されている。なお、フィン52の間を流れる空気が、パイプ51の内部を流れる冷媒と熱交換されて、冷気となる。
上述したように、蒸発器5で発生した冷気は、冷蔵庫Rfの各貯蔵室を冷却した後に、蒸発器5の下方から蒸発器5が設けられている冷気発生部31に戻る。この戻ってきた冷気を戻り冷気とすると、戻り冷気は、冷蔵庫Rfの各貯蔵室で内部の物品や空気から熱を受け取ることで、内部を冷却している。そのため、戻り冷気は、冷気発生部31で発生したときよりも温度が高くなっている。そして、戻り冷気は、蒸発器5内を上方に通過するときに、再度冷却されて、冷気として、各貯蔵室に送られる。
例えば、扉ののべ開時間が長かったり、温度が高い又は水分が蒸発しやすい物品が貯蔵されていたりすると、戻り冷気の湿度が上昇する。そして、湿度が高い戻り冷気が、蒸発器5内を流通するときに冷却されると、戻り冷気に含まれる水分が蒸発器5の表面で霜となって付着する。霜の付着によってフィン52が目つまりし、フィン52の間に空気が流れにくくなり、冷却効率が低下する。そこで、冷蔵庫Rfでは、蒸発器5を加熱して、霜を融かす除霜運転が行われる。
次に除霜運転に必要な構成について説明する。除霜運転を行うために、蒸発器5の温度を測定する第1温度センサ61(第1温度測定部)と、第2温度センサ62(第2温度測定部)と、除霜運転時に蒸発器5を加熱するガラス管ヒータ7(加熱装置)とを備えている。第1温度センサ61は、蒸発器5の上部に設けられている。第2温度センサ62は、蒸発器5の下部に設けられている。なお、蒸発器5には、下方から戻り冷気が流入した後に蒸発器5内を上方に通過する構成となっている。
第2温度センサ62に戻り冷気が直接吹き付けられると、蒸発器5の正確な温度を検知することが難しい。そのため、第2温度センサ62は、蒸発器5の下端部(空気流通方向の上流端)よりも上部(下流方向)にずれた位置の温度を測定することが好ましい。また、下端部の場合、戻り冷気や霜が融けた水も流れ落ちてくるので、これらの影響も受けやすい。これらのことからも、下端部ではない方がよい。
ガラス管ヒータ7は、蒸発器5の下方に配置されている。ガラス管ヒータ7は、電流が流されることで、輻射熱で周囲の空気及び蒸発器5を加熱する。除霜運転によって、蒸発器5に付着した霜が融けると、下方に水が落下する。その水が、直接ガラス管ヒータ7に付着すると、故障や、破損の原因になる場合がある。そのため、ガラス管ヒータ7の上方には、水をよけるためのヒータカバーが設けられている。また、ガラス管ヒータ7の下方には、除霜運転時に発生する水を受けるための除霜水受け53が設けられている。なお、除霜水は、除霜水受け53で集められたのち、不図示の蒸発皿に流入する。
また、第2温度センサ62が下端に設けられている場合には、ガラス管ヒータ7の熱を直接検知してしまう場合があり、この場合も蒸発器5の正確な温度の測定が困難である。このことからも、第2温度センサ62は、蒸発器5の下端部よりも上部にずれた位置の温度を測定することが好ましい。
次に、冷蔵庫Rfの電気的な構成について説明する。図3に示すように、本発明にかかる冷蔵庫Rfでは、ダンパ41、冷蔵ファン42、冷凍ファン33、第1温度センサ61、第2温度センサ62、ガラス管ヒータ7及び圧縮機Compは制御部Contに接続されている。また、Contには、記憶部Memと、計時部CLとが接続されている。制御部Contは、記憶部Memに常時アクセスすることが可能であり、記憶部Memに情報を記憶することが可能であるとともに、記憶部Memから情報を読み出すことが可能である。記憶部Memは、ROMやRAM等の半導体メモリを含む構成を有している。また、これら以外にも、フラッシュメモリ等の可搬性を有するメモリやハードディスクを利用してもよい。また、記憶部Memに制御プログラムを記憶させておき、必要に応じて必要な制御プログラムを起動させて、制御を行ってもよい。
計時部CLは、時間を測定する回路である。計時部CLは、現在の時刻、所定の時点からの経過時間等を計測することができる。制御部Contは、計時部CLにアクセス可能であり、計測した時間情報を取得することができる。
制御部Contは、各部を制御して除霜運転を行っている。除霜運転は、蒸発器5を氷が融ける温度よりも高い温度に加熱し、蒸発器5に付着した霜を溶かしている。そのため、制御部Contは、除霜運転時には、圧縮機Compを停止して、蒸発器5内での冷媒の蒸発を抑制している。また、除霜運転時には、蒸発器5の周囲の空気も暖められる。そのため、制御部Contは、冷蔵ファン42及び冷凍ファン33を停止し、ダンパ41を閉じる。これにより、暖められた空気の各貯蔵室への流入を制限して、各貯蔵室の温度上昇が抑制される。
冷蔵庫Rfでは、長期間安定した冷却能力を確保するために、一定期間ごとに除霜運転が行われる。また、着霜でフィン52が目つまりすると、蒸発器5の熱交換効率が低下するため、各貯蔵室の冷却が悪化する、すなわち、温度が低下しにくくなる場合がある。冷凍装置が駆動している(圧縮機Compが駆動している)にもかかわらず、貯蔵室の温度が下がらない場合に、除霜運転を行うこともある。以下の説明では、制御部Contが定期的に除霜運転を行うものとして説明する。
除霜運転について詳しく説明する。着霜量が異なるときの除霜運転時の蒸発器5の第1温度センサと第2温度センサの温度差について図面を参照して説明する。図5は、着霜量が少ないときの除霜運転時における第1温度センサで測定された温度と第2温度センサで測定された温度の関係を示す図である。図6は、着霜量が多いときの除霜運転時における第1温度センサで測定された温度と第2温度センサで測定された温度の関係を示す図である。
図5、図6では、横軸が時間で縦軸が温度(℃)である。そして、第1温度センサ61で測定された温度を破線で、第2温度センサ62で測定された温度を実線で示している。また、下段冷凍室11の温度と冷蔵室21の温度も示している。そして、時間が0のときに、除霜運転を開始しており、除霜運転開始10分前からの温度変化を示している。時間が0よりも前の部分は、冷却装置が通常の冷却運転を行っているものとする。
図5に示すように、蒸発器5の着霜量が少ない場合、冷却運転時の第1温度センサ61の測定温度h1は、第2温度センサ62の測定温度h2よりも低くなっている。これは、以下のことが原因である。冷蔵庫Rfにおいて、冷凍戻り冷気及び冷蔵戻り冷気は、冷凍戻りダクト34及び冷蔵戻りダクト44を介して、蒸発器5の下方に流入する。冷凍戻り冷気及び冷蔵戻り冷気は、各貯蔵室で昇温されている。そして、冷凍戻り冷気及び冷蔵戻り冷気は、蒸発器5のフィン52の間を上昇するときに、冷却される。このとき、蒸発器5は、冷気から熱を奪うことで昇温されるため、より多くの熱量を取得する下部が上部に比べて高温になる。
なお、図5に示すグラフでは、測定温度h1と測定温度h2の温度差は、2℃〜3℃である。そして、ガラス管ヒータ7が駆動されて除霜運転がONになると、測定温度h1及び測定温度h2は、ほぼ同じ温度となって上昇する。そして、ほぼ同じタイミングで、測定温度h1及び測定温度h2は、0℃に達する。測定温度h2は、少し勾配が緩くなり、その後、また温度が急激に上昇する。また、測定温度h1は、一定の時間0℃を維持し、測定温度h2に遅れて温度が急激に上昇し始める。
測定温度h1の方が0℃あたりで停滞する時間が長いのは、蒸発器5の上部(第1温度センサ61の周囲)が下部(第2温度センサ62の周囲)に比べてガラス管ヒータ7から距離が離れているためである。
一方、図6に示すように、蒸発器5の着霜量が多い場合、冷却運転時の第1温度センサ61の測定温度h1と第2温度センサ62の測定温度h2とはあまり差がない。これは以下のことが原因である。蒸発器5に霜が付着して、フィン52の間の隙間が埋まってしまうと、冷凍戻り冷気及び(又は)冷蔵戻り冷気は、フィン52の間を通過できない。そのため、蒸発器5で空気と冷媒の熱交換が十分に行われなくなる。これにより、蒸発器5は冷気から熱を受け取りにくく、蒸発器5の上部と下部とで温度差が小さくなる。
そして、ガラス管ヒータ7が駆動されて除霜運転がONになると、測定温度h1及び測定温度h2は、ほぼ同じ温度となって上昇する。そして、ほぼ同じタイミングで、測定温度h1及び測定温度h2は、0℃に達する。測定温度h2は、短時間0℃を維持し他の地、少し勾配が緩くなり、その後、また温度が急激に上昇する。また、測定温度h1は、着霜量が少ないときよりも長い時間0℃を維持し、測定温度h2に遅れて温度が急激に上昇し始める。
測定温度h2は、急激に温度が上昇した後に、一定の温度で維持されている。これは、ガラス管ヒータ7から蒸発器5に供給される熱量と、蒸発器5の上方で除霜に用いられる潜熱とが釣り合っているためである。つまり、第2温度センサ62の測定温度h2が一定の温度に上昇したことからでは、蒸発器5の霜を取り除くために十分な熱量が供給されたか確認することは難しい。そのため、着霜量が多い場合においては、ガラス管ヒータ7から遠く、熱が伝わりにくい第1温度センサ61の測定温度h1が10℃になるまで、ガラス管ヒータ7を駆動し続けている。
以上のことから、冷却装置を冷却運転している状態において、蒸発器5の着霜量が異なると、上部と下部の温度差が異なる。本発明にかかる冷却庫Rfの除霜運転では、蒸発器5の上部と下部の温度差に基づいて、蒸発器5の着霜状態(着霜量)を判定し、着霜状態に基づいて除霜運転を行っている。以下に、本発明にかかる冷蔵庫Rfの除霜運転の詳細について図面を参照して説明する。図7は、本発明にかかる冷蔵庫の除霜運転を表すフローチャートである。
制御部Contは、冷却装置が冷却運転を行っている間、所定の間隔(例えば、数十秒間に1回)で、第1温度センサ61と、第2温度センサ62との温度を測定し、その測定結果を、記憶部Memに記憶している。そして、冷蔵庫Rfでは、一定時間(例えば、24時間)ごとに、除霜運転を行っている。すなわち、除霜開始の時刻はあらかじめ決められており、制御部Contは、計時部CLからの時間情報に基づいて除霜運転の開始の時刻になったことを確認するとガラス管ヒータ7の動作を開始する(ステップS101)。
制御部Contは、除霜運転開始とともに記憶部Memから、除霜開始時刻よりも所定時間T0前に第1温度センサ61が測定した第1温度H1と、第2温度センサ62が測定した第2温度H2を受け取る(ステップS102)。ここでは、第1温度H1、第2温度H2として、除霜開始時刻よりも所定時間前の測定値としているが、これに限定されない。例えば、所定時間T0前から10回の測定結果の総和又は平均であってもよい。なお、除霜運転開始後も、第1温度センサ61及び第2温度センサ62による、温度の測定は継続される。また、所定時間T0は、「0」であってもよい。所定時間T0が「0」のとき、第1温度H1及び第2温度H2は、除霜運転開始直前の第1温度センサ61及び第2温度センサ62で測定された温度である。
制御部Contは、第1温度H1と、第2温度H2の差分値D1(=|H2−H1|)を算出する(ステップS103)。なお、冷却装置を通常運転しているときの蒸発器5では、上述のとおり、下部の温度である第2温度H2が、上部の温度である第1温度H1よりも高い。しかしながら、逆転する可能性もあるため、ここでは、差分と表現し、第2温度H2から第1温度H1を引いた値の絶対値として表示している。
上述のとおり、蒸発器5の上部と下部の温度差は、蒸発器5の着霜量と関連している。そこで、蒸発器5の着霜量を判断するために、制御部Contは、ステップS103で算出した差分値D1を、第1閾値Th1と比較する(ステップS104)。差分値D1が第1閾値Th1よりも大きい場合(ステップS104でYesの場合)、蒸発器5の上部と下部の温度差が大きいことから、制御部Contは、蒸発器5の着霜量が少量であると判断し、制御部Contは、蒸発器5の下部の温度を測定している第2温度センサ62の測定温度h2が、所定の温度a1を超えたか否か確認する(ステップS105)。なお、着霜量が少ない場合、図5に示す温度差(約3℃〜4℃)が発生するため、第1閾値Th1はこの数値よりも小さい値(例えば、2℃)を挙げることができる。図5は一例であるため、第1閾値Th1も一例であり、これには限定されない。
制御部Contは、第2温度センサ62の測定温度h2が所定の温度a1を超えるまで(ステップS105でYesになるまで)、ガラス管ヒータ7による蒸発器5の加熱を継続する。第2温度センサ62の測定温度h2が所定の温度a1を超えた場合(ステップS105でYesの場合)、制御部Contは、ガラス管ヒータ7を停止し、除霜運転を終了する(ステップS106)。通常、除霜運転停止直後は、下段冷凍室11、上段冷凍室12、製氷室13、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23の温度は上昇している。制御部Contは、各貯蔵室の温度に応じて、必要な貯蔵室の冷却を再開する。
また差分値D1が第1閾値Th1以下の場合(ステップS104でNoの場合)、蒸発器5の上部と下部の温度差が小さいことから、制御部Contは、蒸発器5の着霜量が多いと判断する。
除霜は、蒸発器5に付着した霜を融かして水にして、蒸発器5から取り除く動作である。そして、霜を水に融解するときに潜熱が必要である。着霜量が多いと大きな潜熱が必要となり、蒸発器5を加熱した後の余熱だけでは、十分な潜熱を霜に供給することが困難な場合が多い。また、図6に示すように、ガラス管ヒータ7から供給される熱と、霜を融かすときの潜熱とが拮抗すると、ガラス管ヒータ7から熱を供給しても、下側の温度(第2温度センサ61の測定温度h2)が変化しない場合もある。そのため、着霜量が多い場合には、蒸発器5の上側の温度を測定する第1温度センサ61の測定温度1に基づいて、ガラス管ヒータ7の動作を制御する。
つまり、制御部Contは、通常の運転時に低温になる蒸発器5の上部の温度を測定している第1温度センサ61の測定温度h1が、所定の温度a2を超えたか否か確認する(ステップS107)。制御部Contは、第1温度センサ61の測定温度h1が所定の温度a2を超えるまで(ステップS107でYesになるまで)、ガラス管ヒータ7による蒸発器5の加熱を継続する。第1温度センサ61の測定温度h1が所定の温度a2を超えた場合(ステップS107でYesの場合)、制御部Contは、ガラス管ヒータ7を停止し、除霜運転を終了する(ステップS106)。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫Rfでは、除霜開始時刻よりも所定時間前の蒸発器5の上部の温度である第1温度H1と、下部の温度の温度である第2温度H2の差分に基づいて、着霜量を判定している。そして、その着霜量に応じて、着霜量が少ない場合には、蒸発器5の下部の温度である第2温度センサ62の測定温度h2に基づいて除霜運転を終了し、着霜量が多い場合には、蒸発器5の下部の温度である第1温度センサ61の測定温度h1に基づいて除霜運転を終了する制御を行っている。これにより、着霜量が多いときには、ガラス管ヒータ7の駆動時間を長くして確実な除霜運転を行うことができる。また、着霜量が少ないときには、ガラス管ヒータ7の駆動時間を短くして、消費電力を低減することができるとともに、除霜運転時の各貯蔵室の温度上昇を抑制することができる。
第1温度センサ61及び第2温度センサ62が一定の間隔で常に温度測定を行っているものとしているが、これに限定されない。制御部Contは、次の除霜開始の時期をあらかじめ認識しており、その除霜開始の時期よりも一定時間前の時期から測定を開始してもよい。この一定時間は、上述した所定時間よりも前の時間である。例えば、24時間に1回除霜運転を行うとすると、前回の除霜運転から23時間経過後から第1温度センサ61と第2温度センサ62とで一定期間(例えば、30秒)ごとに測定温度h1、h2の測定を行う。そして、時間Toとして30分とすると、測定開始から30分経過後の第1温度センサ61と第2温度センサ62の測定温度を第1温度H1、第2温度H2としてもよい。
また、第1閾値Th1、所定の温度a1、所定の温度a2については、冷蔵庫Rfをいくつかの条件で運転し、各条件での蒸発器5への着霜状態、除霜運転を行ったときの除霜状態を観察して、決定される値である。なお、所定の温度a1と所定の温度a2は別の温度であってもよいし、同じ温度であってもよい。
(第2実施形態)
本発明にかかる冷蔵庫の他の例について図面を参照して説明する。本実施形態では、除霜運転開始時の第1温度H1と第2温度H2の測定の時期が異なるだけである。そのため、以下の説明では、第1実施形態で説明した冷蔵庫Rfを参照する。
蒸発器5の下部には、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13を通過して戻る冷凍戻り冷気と、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23を通過して戻る冷蔵戻り冷気とが流入する。そのため、冷凍戻り冷気は、冷蔵戻り冷気に比べて温度が低く、蒸発器5から発生した冷気と冷凍戻り冷気の温度差は、蒸発器5から発生した冷気と冷蔵戻り冷気の温度差に比べて小さい。そして、蒸発器5の着霜量が少ないときの上部と下部の温度差は、戻り冷気の温度が高いほうが大きくなる。
冷蔵庫Rfでは、ダンパ41が開いているときに、冷蔵戻り冷気が冷凍戻り冷気とともに、蒸発器5に戻る構成となっている。そのため、蒸発器5に着霜量が少ないとき、ダンパ41が開いているときの方が、ダンパ41が閉じているときよりも蒸発器5の上部と下部の温度差が大きくなる。なお、蒸発器5の着霜量が多いときには、戻り冷気が蒸発器5に流れにくいので、ダンパ41の開又は閉に関係なく、上部と下部の温度差が発生しにくい。そこで、本実施形態にかかる冷蔵庫Rfでは、ダンパ41が開いているときに蒸発器5の上部と下部の温度差が大きくなる特性を利用している。つまり、前回(直近)のダンパ41が開いたときの蒸発器5の上部と下部の温度差に基づいて、蒸発器5の着霜量を判定している。これにより、ダンパ41が閉じているときの蒸発器5の上部と下部の温度差を利用する場合に比べて、蒸発器5の着霜量の判定の精度を高めることができる。
本実施形態にかかる冷蔵庫Rfにおいて、制御部Contは、冷蔵室21の温度が一定の温度(例えば、5℃)を超えると、ダンパ41を開くとともに、冷蔵ファン42を駆動して、冷気流路4に冷気を流入させる。これにより、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23が冷却される。なお、ここでは、冷蔵室21の温度に基づいて、ダンパ41を開くものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、これとは別に又はこれに加えて、チルド室22の温度に基づいてダンパ41を開くように、制御してもよい。また、野菜室23の温度に基づいてダンパ41を開くようにしてもよい。
ダンパ41が開くと、冷蔵戻り冷気が蒸発器5に流入する。そのため蒸発器5は上部と下部とで温度差が大きくなる。そこで、制御部Contは、ダンパ41が開かれて一定時間経過した後に、第1温度センサ61の測定温度h1と、第2温度センサ62の測定温度h2を、それぞれ、第1温度H11、第2温度H21として、記憶部Memに記憶しておく。なお、ダンパ41が開かれた直後は、冷気が循環しているわけではなく、冷蔵室21の空気が冷蔵戻りダクト44を介して、蒸発器5に流入しているため蒸発器5の下部の第2温度H21が正確な値ではない場合が多い。
一定時間経過して、冷気の循環が安定したころに、第1温度H11、第2温度H21の測定を行うことで、第1温度H11及び第2温度H21に対して、着霜の影響が表れやすくなる。なお、第1温度H11、第2温度H21は、1回の測定の温度であってもよいし、複数回の測定結果の総和であってもよい。また、複数回の測定結果の平均であってもよい。
冷蔵庫Rfでは、以上のように、ダンパ41が開状態のときの第1温度H11及び第2温度H21を記憶部Memに記憶している。冷蔵庫Rfの除霜運転について図面を参照して説明する。図8は、本発明にかかる冷蔵庫の除霜運転を表すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS102〜ステップS104を、ステップS202〜S205に置き換えたものである。そのため、以下の説明では、図7のフローチャートと異なる部分を主に説明する。
制御部Contは、計時部CLからの時間情報に基づいて除霜運転の開始の時刻になったことを確認するとガラス管ヒータ7の動作を開始する(ステップS101)。制御部Contは、前回のダンパ41の開から、現在の時刻までの時間が、時間T1よりも長いか否か確認する(ステップS202)。前回のダンパ41の開から現在までの時間が時間T1よりも長い場合(ステップS202でNoの場合)、制御部Contは、第1温度H1と第2温度H2の取得を行う(図7のステップS102)。その後、図7に示したフローチャートの流れに沿って制御が行われる。
前回のダンパ41の開から現在までの時間が時間T1よりも短い場合(ステップS202でYesの場合)、制御部Contは、前回のダンパ41の開のときの第1温度H11及び第2温度H21を取得する(ステップS203)。
制御部Contは、第1温度H11と、第2温度H21の差分値D2=(|H21−H11|)を算出する(ステップS204)。演算方法は、第1実施形態と同じである。制御部Contは、ステップS204で算出した差分値D2を、第2閾値Th2と比較する(ステップS205)。差分値D2が第2閾値Th2よりも大きい場合(ステップS205でYesの場合)、蒸発器5の上部と下部の温度差が大きいことから、制御部Contは、蒸発器5の着霜量が少量であると判断する。なお、第2閾値Th2は、第1閾値Th1と同じ値であってもよいが、ダンパ41を開いた時の蒸発器5の上部と下部の温度差は、閉じているときよりも大きくなることが多いので、第2閾値Th2は、第1閾値Th1よりも大きくてもよい。
蒸発器5の着霜量が少量の場合には、制御部Contは、蒸発器5の下部の温度を測定している第2温度センサ62の測定温度h2が、所定の温度a1を超えたか否か確認する(ステップS105)。その後、図7に示すフローチャートと同じ動作で除霜運転が終了する。
また差分値D2が第2閾値Th2以下の場合(ステップS205でNoの場合)、蒸発器5の上部と下部の温度差が小さいことから、制御部Contは、蒸発器5の着霜量が多いと判断する。
着霜量が多い場合、制御部Contは、通常の運転時に低温になる蒸発器5の上部の温度を測定している第1温度センサ61の測定温度h1が、所定の温度a2を超えたか否か確認する(ステップS107)。その後、図7に示すフローチャートと同じ動作で除霜運転が終了する。
このように、除霜運転開始時に前回のダンパ41が開になったときの蒸発器5の上部と下部の温度差(第1温度H11と第2温度H21の差分値D2)を利用することで、ダンパ41が閉じているときには、蒸発器5の上部と下部の温度差が付きにくい場合でも、大きな温度差を取得することができる場合がある。このようにすることで、蒸発器5の着霜状態をより正確に取得することができ、除霜に要する時間を削減することが可能である。
なお、本実施形態では、ダンパ41が開いた時の第1温度H11と第2温度H21との差分値D2と第2閾値Th2とを比較しているが、これに限定されるものではない。例えば、ダンパ41が開かれたときの差分値D2と、ダンパ41が閉じられているときの差分値D1との比率を算出し、その比率を比較するようにしてもよい。
(変形例)
本実施形態では、ダンパ41が開かれたときの蒸発器5の上部と下部の温度差を測定している。そこで、第2温度センサ62を図9に示すように、冷蔵戻りダクト44の戻り口442の近傍に設けられていてもよい。図9は、蒸発器の概略正面図である。図9に示す蒸発器5では、冷蔵庫Rfでは、蒸発器5の下部の右側と対面する位置に、戻り口442が設けられている。そこで、蒸発器5の下部の右側に、第2温度センサ62bが設けられている。第2温度センサ62bは、戻り口442の近傍ではあるが、冷蔵戻り冷気が直接当たらない位置に設置されている。これにより、蒸発器5の温度を正確に測定する。第2温度センサ62bは、温度が高い冷蔵戻り冷気が吹き付けられる部分の近傍の温度を測定する。そのため、第1温度H11と第2温度H21との差分値D2を大きな値にすることができる。これにより、蒸発器5の着霜状態の判定の精度を高めることができる。
また、これら以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
本発明にかかる冷蔵庫の除霜運転の他の例について図面を参照して説明する。図10は本発明にかかる冷蔵庫の除霜運転の他の例を示すフローチャートである。図10に示すフローチャートは、一部が異なる以外、図7に示すフローチャートと同じであり、同じ部分の動作についての詳細な説明は省略する。また、本実施形態の冷蔵庫Rfは、除霜運転に特徴を有しており、第1実施形態及び第2実施形態の冷蔵庫Rfと同じ構成を有している。
第1実施形態及び第2実施形態では、一定時間(例えば、24時間)経過するごとに除霜運転を行っていた。しかしながら、冷蔵庫Rfの扉114、扉121、扉131、冷蔵扉27が開閉されない場合、冷蔵庫Rfの各貯蔵室に外部の高温の空気が流入しない。これにより、冷却装置を長期間運転したとしても、蒸発器5に着霜が発生しにくい。これ以外にも、冷蔵庫Rfに収納されている物品によっては、戻り空気の湿度が上昇しにくい場合もある。このような場合も、蒸発器5に着霜が発生しにくい。
そこで本実施形態の冷蔵庫Rfでは、定期的な除霜運転、すなわち、一定時間ごとに除霜運転を行うとともに、蒸発器5の第1温度センサ61と第2温度センサ62とで測定した、測定温度h1、測定温度h2に基づいて、除霜運転を行うようになっている。蒸発器5の上部と下部の温度差が小さいときには、蒸発器5の着霜量が多いと判断して、除霜運転を行う。また、除霜開始時刻に到達している場合であっても、蒸発器5の上部と下部の温度差が大きいときには、着霜量が少ないと判断して、除霜開始を遅延させる。本実施形態の冷蔵庫Rfでは、このような条件で除霜運転を行っている。
本実施形態の冷蔵庫Rfにおいて、一定期間(例えば、1分)ごとに、第1温度センサ61は測定温度h1を、第2温度センサ62は測定温度h2を測定して、記憶部Memに記憶している。制御部Contは、直近に測定された測定温度h1と測定温度h2を取得する(ステップS301)。制御部Contは、測定温度h1と測定温度h2の差分値d3(=|h2−h1|)を算出する(ステップS302)。制御部Contは、現在異国が、除霜開始予定時刻よりも前の時刻であるか否か確認する(ステップS303)。
現在、除霜開始予定時刻よりも前の時刻である場合(ステップ303でYesの場合)、定期的な除霜は行われず、制御部Contは、差分値d3が第3閾値th3よりも小さいか否か確認する(ステップS304)。差分値d3が閾値th3以上の場合(ステップS304でNoの場合)、蒸発器5の着霜量は少ないと判断し、制御部Contは、ステップS301に戻って、直近の測定温度h1と測定温度h2を取得する。
差分値d3が閾値th3よりも小さい場合(ステップS304でYesの場合)、制御部Contは、蒸発器5の除霜が必要と判断し、定期的な除霜の予定時刻の前であっても、ガラス管ヒータ7を駆動して除霜運転を開始する(ステップS305)。着霜量が多い場合、制御部Contは、通常の運転時に低温になる蒸発器5の上部の温度を測定している第1温度センサ61の測定温度h1が、所定の温度a2を超えたか否か確認する(ステップS107)。その後、図7に示すフローチャートと同じ動作で除霜運転が終了する。
除霜開始時刻になったか又は除霜開始時刻を過ぎている場合(ステップS303でNoの場合)、制御部Contは、差分値d3が第4閾値th4よりも大きいか否か確認する(ステップS306)。差分値d3が第4閾値th4よりも大きい場合(ステップS306でYesの場合)、蒸発器5の着霜量が非常に少なく除霜は不要であると判断し、制御部Contは、ステップS301に戻って、直近の測定温度h1と測定温度h2を取得する。
差分値d3が第4閾値th4以下の場合(ステップS306でNoの場合)、制御部Contは、差分値d3が第1閾値Th1より大きいか否か確認する(ステップS307)。差分値d3が第1閾値Th1より大きい場合(ステップS307でYesの場合)、蒸発器5の着霜量が少ないと判断する。その後、ガラス管ヒータ7を駆動する(ステップS308)。着霜量が少ない場合、制御部Contは、蒸発器5の下部の温度を測定している第2温度センサ62の測定温度h2が、所定の温度a1を超えたか否か確認する(ステップS105)。その後、図7に示すフローチャートと同じ動作で除霜運転が終了する。
以上のように、本実施形態の冷蔵庫Rfでは、定期的な除霜運転を行う設定を有しつつ、蒸発器5の上部と下部の温度差によって、除霜開始の時期を前倒しにする(早める)か又は遅延させる(遅くする)かを決定している。また、除霜運転を行う場合でも、蒸発器5の温度にもとづいて、着霜量を判定し、第1温度センサ61を基準として、長時間の除霜運転を行うか、第2温度センサ62を帰陣として、短時間の除霜運転を行うか判断している。
なお、本実施形態の冷蔵庫Rfでは、制御部Contは、除霜運転が行われると、除霜運転が行われたことを記憶し、その後、予め決められた時間経過後(24時間経過後)を次の除霜開始時刻とすればよい。また、定期的な除霜以外のタイミングで除霜運転を行った場合には、その除霜運転の開始のタイミングが、定期的な除霜時刻よりも前のタイミングの場合、蒸発器5に着霜しやすい状態であると判断し、除霜の間隔を短く変更してもよい。また、定期的な除霜のタイミングよりも後のタイミングで除霜運転を行った場合、蒸発器5に着霜しにくい状態であると判断して、除霜の間隔を長く変更してもよい。
このような除霜運転を行うことで、蒸発器5への着霜によって冷却装置の能力の低下を抑制する。また、不要不急の除霜運転を行わないようにして、無駄な電力消費を抑制することができる。
また、本実施形態では、定期的な除霜運転に加えて、蒸発器5の上部と下部の温度差によって、除霜運転を前倒し(定期的な除霜運転の時刻になる前に除霜運転を行う)又は遅延(定期的な除霜運転の時刻になっても除霜運転を後回しにする)の両方を行っている。しかしながら、いずれか一方だけでもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。