以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる冷蔵庫の一例の概略正面図である。図2は、図1に示す冷蔵庫の扉を省略した概略正面図である。図3は、図2に示す冷蔵庫をIII−III線で切断した断面図である。図4は、図2に示す冷蔵庫をIV−IV線で切断した断面図である。なお、以下の説明において、前後方向、上下方向及び左右方向等方向を示す場合があるが、この場合、図1及び図2に示す状態を基準とするものとする。また、手前側(前側)、奥側(後側)と説明する場合には、図3及び図4に示す状態を基準とし、図3及び図4において、左側を手前側(前側)、右側を奥側(後側)として説明する。
図2〜図4に示すように、冷蔵庫Rfは手前側が開口し、発泡断熱材が充填された壁体に囲まれた断熱箱体100を有している。断熱箱体100は内部を上下に仕切る断熱仕切棚101が備えられている。
断熱仕切棚101は、断熱箱体100の内部空間を上下に分割している。そして、断熱仕切棚101で分割された下部の空間は、上下方向中間部にさらに断熱仕切棚102が備えられている。さらに、断熱仕切棚101と断熱仕切棚102とで挟まれた空間は、断熱壁103で左右に分割されている。そして、断熱壁103の左側に形成された空間は、仕切棚104にて上下に分割されている。冷蔵庫Rfにおいて、断熱仕切棚102の下方の空間及び断熱仕切棚101の下方で断熱壁103の左側の空間を冷凍区画1、その他の部分を冷蔵区画2とする。
冷蔵庫Rfにおいて、冷凍区画1は、物品を確実に冷凍させることができる温度(例えば、−18℃以下)に維持される貯蔵室を含む。冷蔵区画2には、外部よりも低い温度で、且つ、物品が凍りにくい温度(例えば、約0℃〜約8℃)で維持される貯蔵室を含む。なお、少なくとも、断熱仕切棚101、断熱仕切棚102及び断熱壁103は、断熱箱体100の他の壁体と同様に、発泡断熱材が充填されている。
また、断熱箱体100の下部の後側には、機械室107が備えられている。機械室107は、断熱箱体100の物品を収納する空間と発泡断熱材が充填された壁体で分離されている。機械室107には、冷蔵庫Rfの各貯蔵室を冷却するための冷却装置の一部が配置されている。冷蔵庫Rfでは、圧縮機Compが配置されている(図3参照)。また、これら以外の機器が配置される場合もある。
図2〜図4に示すように、冷凍区画1は、下段冷凍室11と、上段冷凍室12と、製氷室13とを備える。下段冷凍室11及び上段冷凍室12は貯蔵物を冷凍保存する(例えば、−18℃以下で保存する)ための貯蔵室である。製氷室13は氷を製造し、貯蔵しておく貯蔵室である。冷蔵庫Rfにおいて、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13は1つのまとまった断熱領域である。
図1に示すように、下段冷凍室11は、冷凍区画1の下部に配置されている。下段冷凍室11は、第1収納ケース111と、第2収納ケース112と、第3収納ケース113と、扉110とを備えている。扉110は、前後に移動することで開閉する引出扉である。第1収納ケース111は、下段冷凍室11の最も容量が大きい収納ケースであって、下段冷凍室11の最も下部に配される。第1収納ケース111は、扉110の移動とともに一体的に移動する。また、第2収納ケース112は第1収納ケース111の上方に、第3収納ケース113は第2収納ケース112の上方に配されている。
扉110が開かれているとき、第2収納ケース112及び第3収納ケース113は、第1収納ケース111と独立して、前後方向に移動可能となっている。
冷凍区画1の下段冷凍室11の上部は左右に分割されており、分割された左側が上段冷凍室12であり、さらにその上段が製氷室13である。上段冷凍室12は、扉120と、収納ケース121とを備えている。扉120は、前後に移動することで開閉する引出扉である。収納ケース121は、扉120の移動と共に一体的に移動する。
製氷室13は、扉130と、収納ケース131と、製氷機(不図示)とを備えている。扉130は、前後に移動することで開閉する引出扉である。収納ケース131は、扉130の移動と共に一体的に移動する。製氷機は、不図示の水タンクから供給された水を冷気で冷凍させて、氷を製造する装置である。製氷機で製造された氷は、収納ケース131に落下し、収納ケース131に蓄積される。
図3に示すように、冷凍区画1の奥側には、整流板14が備えられている。整流板14の奥には仕切り部材30がさらに備えられている。整流板14と、仕切り部材30との間には、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13を冷却する冷気が流れる冷気ダクト32が備えられる。図2に示すように、断熱箱体100の冷凍区画1には上下に延びる溝が備えられており、整流板14及び仕切り部材30が溝を覆う。そして、整流板14及び仕切り部材30と溝の間の隙間が、冷気ダクト32である。
仕切り部材30と冷凍区画1の奥側の壁面との間の隙間が冷気流路3である。冷気流路3には蒸発器室31が備えられ、冷却運転時に冷蔵庫Rfを冷却するための冷気を生成する。なお、冷蔵庫Rfでは、下段冷凍室11の背面側に蒸発器室31が配置されている。
蒸発器室31には、冷蔵庫Rfの冷却器である蒸発器5と、冷凍ファン33とが備えられている。蒸発器5は、内部で冷媒が蒸発するときに周囲の空気から熱を奪うことで、周囲の空気を冷却する。蒸発器5の詳細については、後述する。冷凍ファン33は、冷気流路3に空気の流れ(気流)を発生させる送風機である。冷凍ファン33は蒸発器5の上方に配置されている。冷凍ファン33を動作することで、蒸発器室31内に上昇する気流を発生させる。すなわち、冷凍ファン33を動作することで、蒸発器5を気流が流れる。冷蔵庫Rfでは、冷却を行うときに冷凍ファン33が動作する。
冷気流路3は、上部で冷気ダクト32と接続されている。蒸発器室31で発生した冷気は、冷気ダクト32に流入する。冷気ダクト32は、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13に冷気を供給するための風路である。冷気ダクト32には、整流板14に形成された貫通孔である吐出口321、322、323、324及び325が備えられている。吐出口321、322、323はそれぞれ、下段冷凍室11の第1収納ケース111、第2収納ケース112及び第3収納ケース113に冷気を流入させる位置に備えられている。図1に示すように、容量が大きい第1収納ケース111に冷気を流入させる吐出口321は、左右2箇所に設けられている。これにより、第1収納ケース111に流入する冷気の量を他の収納ケースよりも多くすることが可能である。また、吐出口324は、上段冷凍室12に冷気を流入させる位置に備えられており、吐出口325は、製氷室13に冷気を流入させる位置に備えられている。
下段冷凍室11、上段冷凍室12に流入し、冷凍区画1の内部を冷却した冷気は、冷凍戻りダクト34を介して、蒸発器室31に戻る。冷凍戻りダクト34は、第1収納ケース111の下方に備えられており、蒸発器5の下方で蒸発器室31と接続している。すなわち、下段冷凍室11、上段冷凍室12及び製氷室13を冷却した冷気は、戻りダクト34を流れて、冷気流路3に入り、蒸発器室31に戻る。
次に冷蔵区画2に含まれる貯蔵室について説明する。図2〜図4に示すように、冷蔵区画2には、上部から、冷蔵室21と、チルド室22と、野菜室23とが備えられる。なお、冷蔵室21は、物品の劣化を抑制することができる低温(例えば、3℃〜5℃)に維持される。また、チルド室22は、冷蔵室21よりも低く、物品が凍りにくい温度(例えば、2℃〜−1℃)に維持される。野菜室23は、野菜の低温障害を抑制する温度(例えば、5℃〜8℃)に維持される。なお、これらの貯蔵室及びその維持温度は、一例であり、物品が凍る温度の範囲であってもよいし、これらとは別の温度の貯蔵室を備えていてもよい。
冷蔵室21及びチルド室22の正面側は開口しており、正面側には冷蔵扉211、212が開閉可能に備えられている。冷蔵扉211、212は、断熱箱体100に枢支されて、支軸を中心に回転することで、冷蔵室21及びチルド室22の開口を開閉する。なお、本実施形態では、左右に支軸を備え中央部から左右それぞれに回転して開く2枚の冷蔵扉211、212を備えているがこれに限定されず、1枚の扉であってもよい。
冷蔵庫Rfでは、冷蔵扉211、212を開くことで、冷蔵室21及びチルド室22に物品を貯蔵する、又は、貯蔵されている物品を取り出すことができる。チルド室22の正面側には、後述する扉220が備えられている。チルド室22に扉220を備えることで、チルド室22の冷気が冷蔵室21に移動するのを抑制している。
冷蔵室21には、空間を上下に仕切ることができる可動棚24が備えられている。図2〜図4に示すように、可動棚24は3個備えられている。可動棚24は、冷蔵室21の内壁から突出した凸部(不図示)に係合させることで、棚として利用される。そして、可動棚24は、冷蔵室21内での高さ方向の位置を変更可能である。可動棚24の位置を変更することで、形状(例えば、大きさ、高さ)の異なる多種多様な物品を収納可能である。冷蔵室21の最下段は、断熱箱体100の内壁に固定される固定棚25が取り付けられている。
そして、固定棚25と断熱仕切棚101とにはさまれる部分がチルド室22である。チルド室22は、扉220と、収納ケース221とを備える。扉220は横方向に延びる回転軸に軸支されており、下部が回転軸回りに回転することで、開閉される。また、扉220を開くことで、収納ケース221を、前後に移動可能となる。なお、扉220は、開いた状態を維持することが可能な構成を有しており、収納ケース221の移動の邪魔にならない位置で退避可能な構成を有する。
なお、扉220又はチルド室22の内面の少なくとも一方には、パッキンが備えられている。収納ケース221が奥に収納されることで、扉220を閉じることで、チルド室22は、空気の流通が制限されて、冷蔵室21とは異なる温度になる。
そして、断熱仕切棚101、断熱仕切棚102で挟まれた空間で、断熱壁103の右側の空間が野菜室23である。野菜室23は、扉230と、下段ケース231と、上段ケース232とを備える。扉230は、前後に移動することで開閉する引出扉である。下段ケース231は、扉230の移動と共に一体的に移動する。また、上段ケース232は、扉230の開閉と共に、下段ケース231と共に開閉可能である。また、上段ケース232は、扉230が引き出されている状態のときに、下段ケース231とは独立して野菜室23の内部に移動可能である。
図2に示すように、冷蔵室21及びチルド室22の奥には、整流板27が備えられている。整流板27と、冷蔵区画2の奥側の壁面との間には、冷気が流れる冷気ダクト4が備えられる。図2に示すように、断熱箱体100の冷蔵区画2は中央部分に上下に延びる溝が備えられており、整流板27が溝の正面を覆う。そして、整流板27と溝の間の隙間が、冷気ダクト4になる。
冷気ダクト4は、ダンパ41と、冷蔵ファン42と、吐出口43と、開口45とを備えている。冷気ダクト4は、断熱仕切棚101に備えられた貫通孔105を介して、冷気流路3と連通されている。ダンパ41は、断熱仕切棚101に備えられた貫通孔105を必要に応じて開閉し、冷気流路3からの冷気の流入を調整する。冷蔵ファン42は、ダンパ41の開によって流入した冷気を押し流すための送風機である。冷蔵ファン42の動作によって、冷気は、冷気ダクト4内を上昇する。開口45は、整流板27に備えられた貫通孔である。冷気ダクト4とチルド室22とをつなぐ。開口45から冷気が流入することで、チルド室22及びチルド室22の内部の収納物が冷却される。開口45は、左右2箇所に設けられている。
吐出口43は、整流板27に備えられた貫通孔である。冷蔵庫Rfにおいて、吐出口43が4個備えられているが、これに限定されるものではなく、これ以上であってもよいし、これ以下であってもよい。少なくとも、冷蔵室21と、チルド室22に冷気を流入させる位置に備えられていればよい。
冷気ダクト4を流れた冷気は、吐出口43を介して、冷蔵室21に流入する。吐出口43から流出された冷気は、冷蔵室21の内部に収納された収納物を冷却する。なお、冷蔵室21の収納されている収納物を冷却した冷気は、収納物から熱奪って昇温される。そして、断熱仕切棚101の冷蔵室21と野菜室23との境界部分には、貫通孔106が備えられており、冷蔵室21で収納物を冷却して昇温された冷気が、野菜室23の内部に流入する。上述のとおり、野菜室23の室温は、冷蔵室21の室温よりも高い。そのため、冷蔵室21の内部で昇温された冷気で、野菜室23を冷却できる。
野菜室23を冷却した冷気は、冷蔵戻りダクト44を流れて、冷気流路3に戻り、蒸発器5が配置された蒸発器室31へ誘導される。冷蔵区画2を冷却して、冷蔵戻りダクト44に流入した冷気を冷蔵戻り冷気と称する場合がある。
冷蔵戻りダクト44は、野菜室23から下方に延びている。冷蔵戻りダクト44は、流入口441と、流出口442とを備えている。流入口441は、断熱仕切棚102に備えられて野菜室23に通じる貫通孔である。貫通孔106から流入した冷気は、野菜室23の内部を流動して、流入口441から冷蔵戻りダクト44に流入する。流入口441から流入した冷蔵戻り冷気は、冷蔵戻りダクト44内を下方に流れる。そして、図2に示すように、冷蔵戻りダクト44を流れる冷気が、下端部右側から蒸発器室31に戻る。
本発明にかかる冷蔵庫Rfの冷却装置では、1つの蒸発器5で、すべての貯蔵室を冷却する構成となっている。そして、冷気流路3と冷気ダクト4とは、断熱仕切棚101の貫通孔105で連通されており、ダンパ41の開閉によって、冷気流路3で発生した冷気の冷気ダクト4への流入量が調整されている。すなわち、ダンパ41が閉じた状態で冷却装置が動作している場合、蒸発器室31で発生した冷気は、冷凍区画1を循環する。また、ダンパ41が開いた状態で、冷却装置が動作している場合、冷気は、冷凍区画1及び冷蔵区画2の両方を循環する。つまり、ダンパ41は、冷蔵室21、チルド室22及び野菜室23を冷却するときにだけ開かれる。
冷蔵庫Rfの冷却装置について説明する。冷却装置は、冷凍サイクルを利用している。冷凍サイクル装置は、圧縮機Compと、凝縮器(不図示)と、膨張器(不図示)と、蒸発器5とを配管(不図示)で接続した構成を有し、内部に冷媒が充填されている。冷凍サイクル装置では、圧縮機で冷媒を圧縮し、凝縮器で凝縮する。凝縮された冷媒を膨張器で膨張した後、蒸発器5で蒸発させる。そして、冷媒の蒸発による気化熱によって蒸発器5周辺を流れる空気から熱を奪うことで、冷気を生成している。なお、冷却装置については、周知の技術を利用しているものであるため、詳細は省略する。
次に、蒸発器5について図面を参照して説明する。図5は、蒸発器及び除霜装置が配置された蒸発器室の概略構成を示す図である。図5に示すように、蒸発器5は、パイプ51と、フィン52とを備えている。パイプ51は上部に冷媒が流入する流入部と流出部とを備えている。パイプ51は、下部に向かって左右に蛇行し、下端部で、蛇行方向と交差する方向(図4では、紙面手前方向)に折り返し、再度、上部に向かって左右に蛇行している。また、パイプ51の流出部と圧縮機Compに接続される配管との間には、冷媒の気液を分離するアキュムレータ53が備えられている。
フィン52は平板である。フィン52は、複数枚備えられており、横方向に平行に配列されている。パイプ51はフィン52を貫通しており、パイプ51とフィン52とは、接続されている。パイプ51及びフィン52は、熱伝導率が高い材料(例えば、アルミ、銅等の金属材料)で形成されている。なお、フィン52の間を流れる空気が、パイプ51の内部を流れる冷媒と熱交換されて、冷気となる。
上述したように、蒸発器5で発生した冷気は、冷蔵庫Rfの各貯蔵室を冷却した後に、蒸発器5の下方から蒸発器5が配置された蒸発器室31に戻る。この戻ってきた冷気を戻り冷気とすると、戻り冷気は、冷蔵庫Rfの各貯蔵室で内部の物品や空気から熱を受け取っている。そのため、戻り冷気は、蒸発器室31で発生したときよりも温度が高くなっている。そして、戻り冷気は、蒸発器5内を上方に流れるときに、再度冷却されて、冷気として、各貯蔵室に送られる。
蒸発器5の上方に冷凍ファン33が備えられており、蒸発器5では、冷凍ファン33によって空気が吸い上げられているため、空気は下方から上方に向かって流れる。そのため、冷蔵戻りダクト44の流出口442は蒸発器5の下方に開口している。
冷気は、各貯蔵室で物品や空気から熱を奪い昇温するときに、食品や庫内の水分を蒸発させる場合がある。そのため、戻り冷気は、蒸発器5で発生した冷気に比べて水蒸気を多く含む場合がある。このような、戻り冷気が蒸発器5で再度冷却されると、飽和水蒸気量を超えて含まれている水蒸気が、パイプ51やフィン52で凝集する。上述のとおり、蒸発器5からの冷気は冷凍区画1を冷凍温度(例えば、−18℃以下)に維持できる温度であり、そして、冷気を生成するパイプ51やフィン52はさらに低い温度となっている。そのため、パイプ51やフィン52に凝集した水分は凝固され霜として付着する。
そして、継続して運転している時間が長くなると、霜の付着量が多くなり、霜によってフィン52の目つまりが発生する。フィン52が目つまりすると、蒸発器5を空気が流れにくくなり、冷却効率が低下する。そこで、冷蔵庫Rfでは、蒸発器5を加熱して、霜を融かす除霜運転が行われる。冷蔵庫Rfでは、長期間安定した冷却能力を確保するために、一定期間ごとに、すなわち、定期的に除霜運転が行われる。
蒸発器5の下方には、除霜運転時に蒸発器5を加熱するヒータ6(除霜装置)が備えられている。ヒータ6は、通電により発熱し、周囲の空気及び蒸発器5を加熱する。除霜運転によって、蒸発器5に付着した霜が融けると、融けた水(以下、除霜水と称する場合がある)が、下方に落下する。その水が、直接、ヒータ6に付着すると、故障や、破損の原因になる場合がある。そのため、ヒータ6の上方で蒸発器5との間の空間に、ヒータカバー7が備えられている。また、ヒータ6の下方には、除霜運転時に発生する水を受けるための除霜水受け8が備えられている。
ヒータ6の詳細について説明する。図6は、本発明にかかる除霜装置に備えられるヒータの電気的な接続を示す図である。図7は、PTC素子の温度と抵抗値の関係を示すグラフである。図6に示すように、ヒータ6は、抵抗加熱ヒータ61と、PTCヒータ62とを備えている。抵抗加熱ヒータ61は、発熱体として、例えば、金属抵抗やセラミック抵抗等の温度による電気抵抗値が変化しない又は変化しにくい抵抗発熱体を利用するヒータである。また、PTCヒータ62は発熱体であるとともに、温度上昇と共に抵抗値が急上昇する特性を有しているPTC(Positive Temperature Coefficient)素子を利用するヒータである。
PTCヒータ62の抵抗値の変動について説明する。図7に示すグラフの縦軸は、抵抗値であり、横軸は温度である。なお、図7の縦軸は対数目盛であり、片対数のグラフである。図7に示すように、PTCヒータ62は、一定の温度に達するまでは温度変化に伴う抵抗値の変化が小さく、一定の温度に到達すると、温度上昇と共に抵抗値が急上昇する特性を有している。そして、PTC素子において、抵抗値が急激に変化する温度をキュリー温度Tcと称する。
図6に示すとおり、ヒータ6では、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62とが直列に接続されて、電源PWに接続されている。そして、本実施形態では、電源PWからヒータ6には、一定の電圧Vが印加されるものとする。ここで、抵抗加熱ヒータ61の抵抗値をR1とし、PTCヒータ62の抵抗値をRxとする。抵抗加熱ヒータ61の抵抗値R1は温度変化に伴う変動が無いものとする。
ヒータ6は、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62とを直列に接続している。そのため、ヒータ6の合成抵抗Rhは、Rh=R1+Rxとなる。このときヒータ6に流れる電流値Ihは、Ih=V/Rh=V/(R1+Rx)となる。
PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tc以下の場合、抵抗値Rxの変動が小さい。そのため、キュリー温度Tc以下のPTCヒータ62の抵抗値Rx≒R2とすると、Ih=V/(R1+R2)となる。また、PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tc以下の場合、ヒータ6の発熱量Whは、Wh=V2/(R1+R2)となる。
一方、PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcを超えた場合、抵抗値Rxは急激に増大する(急上昇する)。PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcを超えた温度のときの抵抗値Rx=R3とすると、抵抗値R3>>R2となる。この時の電流値Idは、Id=V/(R1+R3)となる。このとき、Ih>>Idとなり、ヒータ6の発熱量Wdは、Wd=V2/(R1+R3)となる。このことから、Wh>>Wdとなる。
ヒータ6に電圧(定電圧)が印加されると、PTCヒータ62がキュリー温度Tc以上の温度になるまで、抵抗加熱ヒータ61は、電流値Ihによる発熱を継続して、抵抗加熱ヒータ61の温度は上昇している。また、PTCヒータ62の温度は、PTCヒータ62自体の発熱と抵抗加熱ヒータ61からの熱とによって上昇する。
そして、PTCヒータ62がキュリー温度Tcを超えると、PTCヒータ62の抵抗値RxがR2からR3に急上昇し、ヒータ6を流れる電流値は、IhからIdに急激に減少する。ヒータ6を流れる電流が減少することで、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の両方の発熱量がWhからWdに抑えられる。これにより、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の温度が低下する。そして、PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tc以下になることで、PTCヒータ62の抵抗値RxがR3からR2に急激に減少し、電流値がIdからIhに増加する。電流値の増加によって、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の発熱量がWdからWhに増加し、再び、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の温度が上昇する。すなわち、PTCヒータ62の温度の変動によって、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の発熱量が制御される。
ヒータ6において、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62とは、別部品であるため、PTCヒータ62は、抵抗加熱ヒータ61に加熱される構成にできる。ヒータ6において、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62との配置(例えば、距離、相対高さ、位置等)によって、PTCヒータ62がキュリー温度Tcを超えたときの抵抗加熱ヒータ61の温度、すなわち、上限温度を調整可能である。
このように調整したヒータ6に定電圧を印加することで、抵抗加熱ヒータ61は、PTCヒータ62の温度変動によって電流値が制限されて、予め決めた温度(上限温度)を超えないように制御される。すなわち、ヒータ6は、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62とを直列に接続し、且つ、抵抗加熱ヒータ61からの熱でPTCヒータ62を加熱する構成とし、定電圧を印加することで、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の温度をそれぞれの上限温度を超えないように制御可能である。
以上のことから、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62とを直列につないだヒータ6において、PTCヒータ62はそれ自体、霜を融かすヒータとしての役割を果たすとともに、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の温度が所定の温度以上に上がるのを抑制するコントローラとしての役割も果たす。また、PTCヒータ62は、キュリー温度Tcで抵抗加熱ヒータ61の温度を制御している。そのため、キュリー温度Tcは、抵抗加熱ヒータ61の発熱量を制御する制御温度Tcでもある。
ヒータ6は、このような特性を利用して、蒸発器5の除霜運転を行う。ヒータ6では、例えば、抵抗加熱ヒータ61が、可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度のときに、PTCヒータ62がキュリー温度Tcを超えるように設定されている。換言すると、PTCヒータ62がキュリー温度Tcを超えたときに、抵抗加熱ヒータ61が可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度に到達するように設定されている。これにより、ヒータ6では、抵抗加熱ヒータ61の上限温度が、可燃性冷媒の着火点以下に制御される。なお、キュリー温度Tcは、可燃性冷媒の着火点よりも低い温度である。
冷蔵庫Rfの設置状況によっては、供給される電圧が一定の範囲でばらつく場合がある。上述のとおり、抵抗加熱ヒータ61の温度は一定の温度を超えないように制御されている、すなわち抵抗加熱ヒータ61にかかる電圧はヒータ6に供給される電圧に関わらず略一定となる。したがって、ヒータ6において、例えば、常温(例えば、20℃)における、抵抗加熱ヒータ61の抵抗値に対するPTCヒータ62の抵抗値の比率が小さい場合は、ヒータ6に供給される電圧の変動割合に対するPTCヒータ62に印加される電圧の変動割合が大きくなる。PTCヒータに印加される電圧の変動割合が大きくなると、PTCヒータが破損する虞がある。
一般的に、PTCヒータを用いる場合、定格の1.5倍の電圧を印加して試験することが規格で決められている。また、一般的な冷蔵庫では、ヒータ6に供給される電圧、すなわち商用電源が、10%ばらつくことを許容していることが多い。そこで、PTCヒータ62は、ヒータ6に供給される電圧が1.1倍となった場合に、1.5倍までの電圧を印加することが可能であるものとした。そして、ヒータ6に印加される電圧が10%増えたときに、PTCヒータ62の電圧の変化が1.5倍以内に収まるようにするため、ヒータ6では、抵抗加熱ヒータ61の抵抗値に対するPTCヒータ62の常温における抵抗値の比率は25%(抵抗加熱ヒータ61:PTCヒータ62=4:1)以上であることが好ましい。
一方で、抵抗加熱ヒータ61の抵抗値に対するPTCヒータ62の常温における抵抗値の比率は、PTCヒータ62に印加される電圧が最大となった場合でも、PTCヒータ62自体の発熱でキュリー温度Tcに達しない比率でもある。これにより、PTCヒータ62自体の発熱でPTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcに達することで電流を制限してしまい、抵抗加熱ヒータ61が十分に発熱できなくなることを抑制している。
次に、ヒータ6の具体的な構成について説明する。図8は、本発明にかかる除霜装置であるヒータの概略図である。図8に示すように、ヒータ6は、ガラス管63と、キャップ64、641と、導線651、652、653と、を備えている。ガラス管63は、軸方向に延びる管であり、軸方向の両端が開口している。ガラス管63の内部には、抵抗加熱ヒータ61が挿入される。ガラス管63は、内部に水分が侵入するのを抑制している。
そして、抵抗加熱ヒータ61が挿入されたガラス管63の両端には、キャップ64、641が取り付けられる。キャップ64、641は、例えば、シリコーン等の絶縁性有するとともに耐熱性が高い材料で形成される。キャップ64、641がガラス管63の両端に取り付けられることで、ガラス管63の内部への水分の侵入が抑制される。すなわち、キャップ64、641は、ガラス管63を水密に閉じる。これにより、ガラス管63の内部への水分の侵入によるショート等が抑制される。キャップ64、641には、ガラス管63に対向する部分に端子が備えられる。端子は、抵抗加熱ヒータ61と電気的に接続される。また、キャップ64を導線651が貫通しており、導線651は端子と電気的に接続される。
また、キャップ641の一方のガラス管63に取り付けられる部分と軸方向反対側には、PTCヒータ62が取り付けられている。PTCヒータ62は、一部がキャップ641の内部に挿入されて固定されている。そして、PTCヒータ62のキャップ641に挿入されている部分は、キャップ641の内部に配された導線652を介して端子と接続されている。PTCヒータ62のキャップ641から突出している部分は、別の導線653が接続されている。そして、導線651と導線653が、電源PWに接続される。
図8に示すヒータ6において、左側に抵抗加熱ヒータ61が配置されており、右側にPTCヒータ62が配されている。なお、本実施形態では、PTCヒータ62のみ示しているが、実際には、アルミニウム、銅等の導電性が高いケースに収納されて、キャップ641に取り付けられる。
以上のように形成されたヒータ6は、蒸発器5の下方に配置される。ここで、ヒータ6の配置について説明する。蒸発器室31の右下部には、冷蔵室戻りダクト44の流出口442が接続されている。そのため、蒸発器室31に配置された蒸発器5は右下、すなわち、流出口442の近傍部分に、湿った暖められた冷蔵戻り空気が吹き付けられる。そのため、流出口442の近傍部分では、着霜しやすく、着霜量も多く、また、除霜時に霜がなくなるまで時間がかかる。
ヒータ6は、霜が付着しやすい流出口442の近傍に、PTCヒータ62が位置するように、蒸発器室31の内部に配置される(図8参照)。すなわち、PTCヒータ62は、霜が多く付着する部分、又は、その近傍に配置される。蒸発器5に霜が付着した場合、PTCヒータ62の周囲にも霜が付着する。この状態で蒸発器5の除霜を行うために、ヒータ6への通電を開始する(除霜運転を開始する)。
除霜運転のためにヒータ6への通電を開始した直後において、PTCヒータ62は、霜で十分に冷やされており、PTCヒータ62の温度はキュリー温度Tc以下である。そのため、ヒータ6の通電開始時には、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の両方が発熱する。これにより、抵抗加熱ヒータ61が発熱してガラス管63から外部に熱を放出して蒸発器5を加熱する。PTCヒータ62からの熱は、PTCヒータ62の周囲の霜を直接加熱して、霜を融かす。
このとき、PTCヒータ62は、霜を融かすととともに霜により冷却され、温度が高くなりにくい。PTCヒータ62は、キュリー温度Tcに到達せず、抵抗値が急上昇しない。そのため、PTCヒータ62の発熱で、霜の付着量が多い部分の霜を確実に融かすことができる。また、PTCヒータ62の周りに霜が付着している間は、PTCヒータ62の抵抗値が急上昇しないため、抵抗加熱ヒータ61に流れる電流が制限されず、抵抗加熱ヒータ61の発熱が制限されない。そのため、抵抗加熱ヒータ61は、予め決められた出力、例えば、設計上、許容される最大の発熱量で動作することができる。このことから、ヒータ6は、除霜時間を短縮することができる。
PTCヒータ62の周囲の霜が融けて減少すると、融けた霜によるPTCヒータ62の冷却が行われない、又は、行われにくくなる。PTCヒータ62は、PTCヒータ62自体の熱と抵抗加熱ヒータ61からの熱とによって、加熱される。PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcを超えると、PTCヒータ62の抵抗値が急上昇する。これにより、ヒータ6全体の抵抗値が急上昇し、ヒータ6に流れる電流が小さくなる。さらに、電流の減少によって抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の発熱量が減少する。上述したように、抵抗加熱ヒータ61の温度が可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度に上昇したとき、PTCヒータ62がキュリー温度Tcを超える。そのため、ヒータ6では、抵抗加熱ヒータ61が可燃性冷媒の着火点以上の温度にならないように制御しつつ、蒸発器5に付着した霜を確実かつ効果的に融かす(除霜する)ことが可能である。
また、抵抗加熱ヒータ61のガラス管63表面の温度が一定の温度になったときに、PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcになるような特性のPTCヒータ62を利用してもよい。これにより、抵抗加熱ヒータ61の温度の過剰な上昇を抑制できる。なお、このときの、ガラス管63表面の温度は、可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度である。
ヒータカバー7は、蒸発器5からの除霜水がヒータ6に直接滴下し蒸発音が発生することを防ぎ、また、ヒータ6の表面が汚れたり劣化することを防止する。このとき、ヒータカバー7には、蒸発器5からの除霜水が落下し、ヒータカバー7は除霜水で冷却される。これにより、蒸発器5に多量の霜がついている場合には、ヒータカバー7は、ヒータ6による加熱と除霜水による冷却とがバランスし一定又は略一定の温度になる。また、ヒータカバー7が冷却されることで、抵抗加熱ヒータ61からヒータカバー7に伝達される熱量が増加する。これにより、間接的に抵抗加熱ヒータ61(ガラス管63)も冷却され、抵抗加熱ヒータ61(ガラス管63)も一定又は略一定の温度になる。
その後、蒸発器5の着霜量が減少すると、ヒータカバー7に落下する除霜水の量が減少する。除霜水によるヒータカバー7の冷却が弱くなることで、ヒータカバー7の温度が上昇する。ヒータカバー7の温度上昇に合わせてガラス管63の表面温度も上昇する。
従来の除霜装置では、蒸発器の周囲の温度に基づく蒸発器に霜があるかないかの判断結果や、除霜開始から終了までの時間に基づいてヒータを制御している。例えば、時間で制御される場合、蒸発器5に付着している霜を完全に取りきるため、必要な加熱時間よりも長い時間加熱するように制御することがある。また、蒸発器の周囲の温度が氷点を上回ったと判断した場合も、同様に、所定時間さらに加熱するように制御することがある。
従来の抵抗加熱ヒータだけを用いた除霜装置では、蒸発器に付着した霜がなくなった後、ヒータが冷却されなくなることがあり、ヒータ(ガラス管)の温度が急激に上昇し、ヒータ(ガラス管)の温度が可燃性冷媒の着火点以上になったり、ヒータを劣化させてしまう虞がある。そのため、従来の除霜装置では、ガラス管の温度を検出する検出部と、ガラス管の温度が一定の温度を超えないように、印加電圧又は電流を制御する制御部を備えていた。
一方、本願発明の除霜装置に用いられるヒータ6の場合には、PTCヒータ62の周りに霜が無くなると、PTCヒータ62自身の発熱に、抵抗加熱ヒータ61からの熱が加わることによってPTCヒータ62が加熱される。PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcを超えるとPTCヒータ62の抵抗値が急激に上昇し、ヒータ6に流れる電流が制限され、抵抗加熱ヒータ61の発熱量が抑制される。このことにより、抵抗加熱ヒータ61(ガラス管63)の温度が許容温度よりも高温になる又は可燃性冷媒の着火点を超えるのを抑制できる。
以上のことを総合すると、ヒータ6は、PTCヒータ62の周囲に霜がある間は、PTCヒータ62自体の発熱によって直接霜を加熱して、霜を融かす。すなわち、PTCヒータ62の周囲に霜が付着している場合において、PTCヒータ62は主にヒータとしての役割を果たす。これにより、PTCヒータ62は、周囲に付着した霜を確実に融かす。また、周囲の霜が融けているとき、PTCヒータ62は、融けた霜によって冷却される。また、抵抗加熱ヒータ61からの熱も霜の融解に利用されるためPTCヒータ62に届きにくい。そのため、PTCヒータ62がキュリー温度Tcまで上昇しない又はしにくい。そのため、PTCヒータ62の周囲に霜があるときには、PTCヒータ62の抵抗値は低い状態で維持されるため、ヒータ6の電流が制限されない(減少しない)。そのため、抵抗加熱ヒータ61は、大出力(設計上の最大出力)で動作する。また、抵抗加熱ヒータ61(ガラス管63)は、落下する除霜水によってヒータカバー7が冷却されることで、間接的に冷却されるため、一定又は略一定の温度で安定する。
そして、PTCヒータ62の周囲の霜が融けると、PTCヒータ62自体の発熱と抵抗加熱ヒータ61からの熱で、PTCヒータ62が加熱される。PTCヒータ62の温度がキュリー温度Tcを超えた後、PTCヒータ62の抵抗値が急上昇し、ヒータ6の電流が制限される。これにより、抵抗加熱ヒータ61の発熱量も制限される。すなわち、PTCヒータ62の周囲の霜がなくなった後のヒータ6の動作において、PTCヒータ62は、抵抗加熱ヒータ61(ガラス管63)が、抵抗加熱ヒータ61(ガラス管63)の許容温度及び可燃性冷媒の着火点以上の温度にならないように、ヒータ6に流れる電流を制限するコントローラとしての役割を果たす。
すなわち、PTCヒータ62は、周囲に霜が付着しているときには、ヒータとしての役割を果たし、周囲の霜が無くなると、ヒータ6を流れる電流を制限して、抵抗加熱ヒータ61及びPTCヒータ62の発熱量を制限するするコントローラとしての役割を果たす。
なお、本実施形態のように、PTCヒータ62を着霜量が多い、すなわち、霜が融けにくい、冷蔵戻りダクト44の流出口442の近傍に配置することで、PTCヒータ62の周囲の霜は、蒸発器5のその他の部分の霜と同時または若干早く融かすようにすることができる。これにより、蒸発器5の霜がとけたときにPTCヒータ62の周囲の霜がまだ残っていてPTCヒータ62の温度が上昇せず、PTCヒータ62の抵抗値の急上昇による電流制限が発生しなくなる虞を防止できる。なお、PTCヒータ62の周囲の霜が蒸発器5のその他の部分の霜とほぼ同時に融けるように、PTCヒータ62と抵抗加熱ヒータ61との割合を設定することが好ましい。これにより、抵抗加熱ヒータ61を長期間、大出力(例えば、設計上の最大出力)で動作させることが可能である。これにより、除霜時間を減らし、冷蔵庫Rfの消費電力を減らすとともに、冷却効率の低下を抑制できる。
また、ヒータ6では、抵抗加熱ヒータ61からの熱量が、PTCヒータ62からの熱量よりも大きい。しかしながら、抵抗加熱ヒータ61は、ガラス管63に収納されている。抵抗加熱ヒータ61がガラス管63を加熱し、加熱されたガラス管63から外部に熱が放出される。そのため、抵抗加熱ヒータ61の発熱開始からガラス管63の外面の温度が一定の温度に上昇するまでに一定の時間がかかる。一方、PTCヒータ62では、外部に露出した部分から直接熱が放出される。そのため、加熱開始直後において、PTCヒータ62の方が素早く霜を融かし始める。すなわち、ヒータ6では、抵抗加熱ヒータ61の加熱をPTCヒータ62で補完するといえる。
本実施形態にかかる除霜装置のヒータ6の場合、PTCヒータ62をガラス管63に取り付けられるキャップ641に配置している。そのため、ヒータ6の外形は、既存の冷蔵庫のヒータと同じ又は略同じである。これにより、ヒータ6を既存の冷蔵庫の除霜用のヒータと置き換えて用いることが可能である。
つまり、ヒータ6は、既存の冷蔵庫に取り付けることが可能であるし、既存の構成(設計)を変更することなく、消費電力が低く、冷却効率の低下を抑制できる冷蔵庫を製造することも可能である。また、本発明にかかる除霜装置では、ヒータ6を用いることで、定電圧を印加するだけでよい。そのため、ヒータ6の温度を検知するセンサや印加する電圧及び(又は)電流を変更するための回路が不要となり、それだけ、除霜装置の構成を簡略化することが可能である。これにより、製造コストを抑制できる。また、ヒータ6に印加する電圧及び(又は)電流を変更するといった高度な制御が不要であるため汎用性が高い。
(第2実施形態)
本発明にかかる除霜装置の他の例について図面を参照して説明する。図9は、本発明にかかる除霜装置であるヒータの他の例を示す概略図である。本実施形態のヒータ6Bは、抵抗加熱ヒータ61b及びPTCヒータ62bが異なる以外、第1実施形態のヒータ6と同じ構成を有する。そのため、本実施形態のヒータ6Bにおいて、実質上、第1実施形態のヒータ6と同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図9に示すように、ヒータ6Bでは、内部に抵抗加熱ヒータ61bが配置されたガラス管63の両端をキャップ64で塞ぐ。なお、キャップ64は、全く同じ形状であってもよいし、設置場所等の要求に応じて、異なる形状であってもよい。
また、PTCヒータ62bは、抵抗加熱ヒータ61bと離れた位置に配置されている。PTCヒータ62bは、ヒータカバー7のヒータ6と対向する面に接触させて配置されている。なお、抵抗加熱ヒータ61bとPTCヒータ62bは、第1実施例と同じ特性(抵抗値、キュリー温度等)を有しており、ヒータ6Bにおいて、抵抗加熱ヒータ61bとPTCヒータ62bとは電気的に直列に接続される。
上述のとおり、蒸発器5の除霜は、ヒータ6Bからの熱で加熱されたヒータカバー7からの輻射熱で蒸発器5が加熱される。そのため、ヒータカバー7の温度を素早く上げることで、蒸発器5の除霜時間を短縮することが可能となる。本実施形態のように、PTCヒータ62bをヒータカバー7に接触して配置させることで、ガラス管63の温度が低いとき(例えば、加熱開始時や電流制限されて温度が下がった後)に、ヒータカバー7をPTCヒータ62bで直接加熱する。これにより、ヒータカバー7が、蒸発器5の除霜に必要な温度に昇温されるまでの時間を短くすることが可能である。
また、PTCヒータ62bは、ヒータカバー7がヒータ6Bによる加熱と除霜水による冷却がバランスした温度になったときに、PTCヒータ62bも、自己発熱及び抵抗加熱ヒータ61bからの熱で昇温されるとともに、ヒータカバー7に熱を伝達する。これにより、ヒータカバー7の温度は一定に保たれる。なお、このときの抵抗加熱ヒータ61bの温度は、可燃性冷媒の着火点以下である。そして、PTCヒータ62bもヒータカバー7の除霜水による冷却によって間接的に冷却される。このとき、抵抗加熱ヒータ61bからの発熱量を調整する(抵抗加熱ヒータ61bからの距離を調整する)ことで、PTCヒータ62bも一定又は略一定の温度になる。
ヒータ6Bにおいて、PTCヒータ62bは、ヒータカバー7の温度が一定に保たれるときの、PTCヒータ62bの温度よりも高いキュリー温度TcのPTCヒータ62bを採用してもよい。これにより、ヒータカバー7がヒータ6Bによる加熱と除霜水による冷却がバランスした温度になったときに、PTCヒータ62bがヒータ6Bの電流を制限しないので、抵抗加熱ヒータ61bは、大きな熱量(例えば、設計上最大の熱量)で駆動できる。
また、落下する除霜水が減少し、すなわち、蒸発器5に付着している霜の量が減少したときには、ヒータ6Bによる加熱が除霜水による冷却よりも強くなり、ヒータカバー7の温度が上昇する。このとき、ヒータカバー7によるPTCヒータ62bを間接冷却する効果も減少するため、PTCヒータ62bも昇温される。さらに、PTCヒータ62bの温度がキュリー温度Tcを超えると、ヒータ6Bの電流が制限されて、抵抗加熱ヒータ61bの発熱が制限される。
このように、PTCヒータ62bをヒータカバー7に取り付けた場合、ガラス管63の温度が低いときには、PTCヒータ62bは、ヒータカバー7を昇温するヒータとしての役割を果たす。また、蒸発器5に多くの霜が付着して、ヒータカバー7が十分に冷却される場合には、自己発熱と抵抗加熱ヒータ61bからの熱をヒータカバー7に供給し、補助ヒータとしての役割を果たす。さらに、蒸発器5に付着している霜が減少して、落下する除霜水が減少すると、PTCヒータ62bは、ヒータカバー7を加熱する補助ヒータとしての役割を果たしつつ、抵抗加熱ヒータ61bの過熱を抑制するために、電流を制限するコントローラとしての役割も果たす。
なお、抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)の過剰な温度上昇、すなわち、可燃性冷媒の着火点以上の温度への上昇を抑制するため、抵抗加熱ヒータ61bの熱によって、PTCヒータ62bが速やかに昇温されることが好ましい。そのため、PTCヒータ62bは、抵抗加熱ヒータ61bと対向する部分、ここでは、ヒータカバー7の抵抗加熱ヒータ61bと対向する面に配置されている。PTCヒータ62bが抵抗加熱ヒータ61bの熱で昇温されるため、ヒータカバー7よりも先にPTCヒータ62bが昇温される。これにより、PTCヒータ62bの温度上昇とガラス管63の温度上昇の時間差が少なくなる。そのため、ガラス管63が過剰に昇温される前に、PTCヒータ62bが電流を制限する。ガラス管63は、例えば、許容温度以下で、且つ、可燃性冷媒の着火点に以下の温度に制御される。
しかしながら、PTCヒータ62bの配置場所としては、ヒータカバー7の抵抗加熱ヒータ61bと対向する面に限定されるものではない。PTCヒータ62bの配置場所は、自己発熱でヒータカバー7を昇温でき、除霜水によってヒータカバー7の温度が安定しているときには温度が安定し、霜が減少したときには、抵抗加熱ヒータ61bからの熱で速やかに加熱される場所を広く採用することが可能である。
以上示したように、本実施形態のヒータ6Bを用いることで、蒸発器5に直接熱を輻射させるヒータカバー7を速やかに昇温させることができるため、除霜時間を短くすることが可能である。なお、ヒータカバー7にPTCヒータ62bを取り付ける場合に、ヒータカバー7の流出口442の近傍に取り付けることが好ましい。このようにすることで、PTCヒータ62bは、流出口442に付着した霜を融かす役割も果たす。なお、PTCヒータ62bのキュリー温度Tcを、抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)の温度が、抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)の許容温度又は可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度に到達したときのPTCヒータ62の温度よりも低い温度としてもよい。これにより、抵抗加熱ヒータ61が、許容温度よりも高温になる又は可燃性冷媒の着火点を超えるのを抑制できる。
これ以外の特徴については、第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
本発明にかかる除霜装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図10は、本発明にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。本実施形態の除霜装置のヒータ6Cは、PTCヒータ62cの配置が異なる以外、第2実施形態のヒータ6Bと同じ構成を有する。そのため、本実施形態のヒータ6Cにおいて、実質上、第2実施形態のヒータ6Bと同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図10に示すように、ヒータ6Cは、PTCヒータ62cをヒータカバー7よりも蒸発器5に近接した位置に配置している。PTCヒータ62cは、蒸発器5の冷蔵戻りダクト44の流出口442と近接している部分の近傍に配置される。このように配置することで、着霜量が多く、霜が融けにくい流出口442の近傍の霜をPTCヒータ62cで融かすため、除霜の効率が高く、除霜時間を低減できる。
これ以外の特徴については、第1実施形態及び第2実施形態と同じである。
なお、PTCヒータ62cは、周囲の霜が除去された後に、PTCヒータ62c自体の発熱及び抵抗加熱ヒータ61bからの熱で加熱される。このとき、抵抗加熱ヒータ61bとPTCヒータ62cとの間に、ヒータカバー7が介在する。そのため、ヒータ6Cでは、抵抗加熱ヒータ61bからの熱がPTCヒータ62cに伝わりにくい。そこで、PTCヒータ62cとして、キュリー温度Tcが、ヒータ6Bで用いられるPTCヒータ62bよりも低いものを採用してもよい。このようにすることで、抵抗加熱ヒータ61bが、許容温度よりも高温になる又は可燃性冷媒の着火点を超えるのを抑制できる。
(第4実施形態)
本発明にかかる除霜装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図11は、本発明にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。本実施形態の除霜装置のヒータ6Dは、PTCヒータ62dの配置が異なる以外、第2実施形態のヒータ6Bと同じ構成を有する。そのため、本実施形態のヒータ6Dにおいて、実質上、第2実施形態のヒータ6Bと同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
蒸発器5において、アキュムレータ53の直下は温度が低く、着霜しやすく、除霜されにくい部分である。そして、蒸発器5では、抵抗加熱ヒータ61bを蒸発器5の下方に配置されるため、抵抗加熱ヒータ61bからの熱が伝わりにくい。そのため、図11に示すように、ヒータ6Dは、PTCヒータ62dを蒸発器5の最上部で、アキュムレータ53の直下に配置している。
このように配置することで、PTCヒータ62d自体の発熱によって周囲の霜が融かされる。このとき、PTCヒータ62dは、霜によって冷却されるため、温度の上昇が抑制される。また、蒸発器5の下方に配置した抵抗加熱ヒータ61bからの熱で、蒸発器5に付着した霜は、下部から融かされる。そして、蒸発器5に付着した霜がなくなった又は略無くなったときに、PTCヒータ62dと抵抗加熱ヒータ61bとの間に介在した霜もなくなる。これにより、PTCヒータ62dは、抵抗加熱ヒータ61bからの熱で昇温される。
ヒータ6Dの構成によると、抵抗加熱ヒータ61bの熱によって、霜が融けにくい場所(温度が、他の場所よりも低くなる場所)の霜が融け始める前に、PTCヒータ62dでその周囲の霜を融かし始める。そのため、蒸発器5の全体の霜を融かすのに要する時間が短くなる。
なお、PTCヒータ62dは、囲まれた霜を融かしているとき、一定又は略一定の温度で安定する。PTCヒータ62dは、キュリー温度Tcが安定化したときの温度よりも高い材料を利用することで、少なくとも、PTCヒータ62dが霜に囲まれているときにはキュリー温度Tcを超えないので、ヒータ6Dの電流が制限されない。そして、抵抗加熱ヒータ61bとPTCヒータ62dとの間に霜がなくなると、抵抗加熱ヒータ61bの熱でPTCヒータ62dが昇温される。そして、PTCヒータ62dがキュリー温度Tcを超えると、電流が制限されて、ヒータ6Dの温度が下がる。
なお、PTCヒータ62dのキュリー温度Tcは、抵抗加熱ヒータ61bとPTCヒータ62dとの間に霜がない状態で、抵抗加熱ヒータ61bの温度が抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)の許容温度又は可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度のいずれか低い方に到達したときのPTCヒータ62dの温度よりも低い温度とする。これにより、抵抗加熱ヒータ61bの温度が抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)が許容温度よりも高温になる又は可燃性冷媒の着火点を超えるのを抑制できる。
これ以外の特徴については、第1実施形態〜第3実施形態と同じである。
PTCヒータ62dは、PTCヒータ62cよりも、抵抗加熱ヒータ61bから離れて配置されている。そのため、PTCヒータ62dは、PTCヒータ62cよりも抵抗加熱ヒータ61bの熱で昇温されにくい。このことから、PTCヒータ62dのPTC素子のキュリー温度Tcは、PTCヒータ62cのキュリー温度Tcよりも低く設定されている。
(第5実施形態)
本発明にかかる除霜装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図12は、本発明にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。本実施形態の除霜装置のヒータ6Dは、抵抗加熱ヒータとしてシーズヒータ66を用いているとともに、PTCヒータ62eの配置が異なる。それ以外の部分については、第2実施形態のヒータ6Bと同じ構成を有する。そのため、本実施形態のヒータ6Eにおいて、実質上、第2実施形態のヒータ6Bと同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図12に示すように、ヒータ6Eは、抵抗加熱ヒータであるシーズヒータ66と、PTCヒータ62とを備えている。図示を省略しているが、シーズヒータ66とPTCヒータ62とは、電気的に直列に接続されている。シーズヒータ66は、金属製の筒に抵抗発熱体を挿入した構成を有するヒータである。そして、図12に示すように、シーズヒータ66は、蒸発器5のフィン52の各段の間に挿入して配置されている。シーズヒータ66は、蒸発器5の広い範囲に熱を伝わらせることができる。そして、シーズヒータ66を備えることで、蒸発器5の下方に配された抵抗加熱ヒータ及びヒータカバーは取り除かれる。
ヒータ6Eを用いて除霜を行う場合、蒸発器5自体は、シーズヒータ66によって直接加熱される。蒸発器5をシーズヒータ66で直接加熱する場合、蒸発器5に付着していた霜が融けるが、ある程度の霜が融けると、霜が固体のまま除霜水受け8に落下する場合がある。除霜水受け8は、落下した水を集合させるために、傾斜がつけられており、傾斜の最も下の部分には、除霜水を流すための溝が設けられている。落下した霜が溝や溝の周辺に付着すると、霜によって除霜水が冷却されて凝固してしまい、溝が詰まる。溝が詰まると、蒸発器5から落下した除霜水が流れなくなり、除霜水の処理(例えば、別途設けられたドレン蒸発皿に流入させる処理)ができなくなる。
そこで、本実施形態のヒータ6Eでは、PTCヒータ62eを除霜水受け8に取り付けている。このように、PTCヒータ62eを除霜水受け8に取り付けることで、除霜水が除霜水受け8で凝固されるのを抑制し、除霜水の処理を確実に行うことができる。
このとき、固体の霜を融かすとともに、除霜水受け8には、除霜水が断続的に落下するため、PTCヒータ62eは、一定の温度又は略一定の温度に保たれる。そして、蒸発器5の霜がすべて取り除かれた後には、シーズヒータ66の熱でPTCヒータ62eは加熱される。このとき、PTCヒータ62eがキュリー温度Tcを超えると、ヒータ6Eの電流が制限される。これにより、シーズヒータ66の過熱を抑制することが可能である。また、PTCヒータ62eがキュリー温度Tcを超えたときのシーズヒータ66の温度は、可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度である。このように設定することで、ヒータ6Eでは、シーズヒータ66が可燃性冷媒の着火点よりも高くなるのを抑制できる。
以上のように、ヒータ6Eでは、シーズヒータ66を使用した場合に、霜の落下による除霜水受け8の溝の詰まりを抑制できる。
なお、その他の特徴については、第1実施形態〜第4実施形態と同じである。
(第6実施形態)
本発明にかかる除霜装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図13は、本発明にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。本実施形態の除霜装置のヒータ6Fは、面状のPTCヒータ67を用いている。それ以外の部分については、第2実施形態のヒータ6Bと同じ構成を有する。そのため、本実施形態のヒータ6Fにおいて、実質上、第2実施形態のヒータ6Bと同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図13に示すように、ヒータ6Fでは、面状のPTCヒータ67を用いている。なお、ヒータ6Fでは、面状のPTCヒータ67を、蒸発器5のアキュムレータ53の近傍に配置している。面状のPTCヒータ67は、所定の面積を有しており、所定領域を加熱可能である。
このように、面状のPTCヒータ67を用いることで、蒸発器5の広い範囲にPTCヒータ67からの熱を伝達させることができる。これにより、除霜効率を高め、除霜時間を短縮することができる。
これ以外の特徴は、第1実施形態〜第4実施形態と同じである。
(変形例1)
図14は、本実施形態にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。図14に示すように、蒸発器5bが、厚み方向に分割可能であるとき、ヒータ6F2は、フィン52の間の隙間の面状のPTCヒータ67bを配置する。このように、フィン52の間の隙間に面状のPTCヒータ67bを配置することで、PTCヒータ67bの自己発熱による、除霜効率を高くすることが可能である。
(変形例2)
図15は、本実施形態にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。図15に示す、ヒータ6Gは、面状の抵抗加熱ヒータ68と、面状のPTCヒータ67cとを備える。面状の抵抗加熱ヒータ68は、2つのブロックに分割されており、各ブロックの面状の抵抗加熱ヒータ68及び面状のPTCヒータ67cは、導線654で直列に接続される。このように、抵抗加熱ヒータ68及びPTCヒータ67cが面状であることで、蒸発器5の広い範囲を加熱することが可能である。
本実施形態においても、第1実施形態〜第4実施形態と同じく、面状のPTCヒータ67cは着霜しやすく、除霜されにくい部分に配置することが好ましい。これにより、もっとも霜が最後まで残る部分をPTCヒータ67cで加熱することにより効率よく除霜を行うことが可能となる。
(第7実施形態)
本発明にかかる除霜装置のさらに他の例について図面を参照して説明する。図16は、本発明にかかる除霜装置であるヒータのさらに他の例を示す概略図である。冷蔵庫Rfにおいて、ヒータカバー7に取り付けられるPTCヒータ62b(図9参照)と、アキュムレータ53の近傍のPTCヒータ62d(図11参照)との両方を使用することも可能である。
このとき、抵抗加熱ヒータ61b、PTCヒータ62b及びPTCヒータ62dをすべて直列で接続した場合、PTCヒータ62b及びPTCヒータ62dの一方がキュリー温度Tcを超えると、ヒータの電流が制限される。例えば、蒸発器5に付着している霜に偏りがあり、PTCヒータ62bの上部にあまり霜が無かった場合、アキュムレータ53の近傍に霜が残っているにもかかわらず、電流が制限されて、抵抗加熱ヒータ61b、PTCヒータ62b及びPTCヒータ62dの発熱量が低減され、効率よく除霜が困難になる虞がある。そのため、図16に示すように、PTCヒータ62b及びPTCヒータ62dを並列接続とし、並列接続されたPTCヒータ62b及びPTCヒータ62dを抵抗加熱ヒータ61bと直列に接続する。
このような接続にすることで、PTCヒータ62b及びPTCヒータ62dの両方がキュリー温度を超えたときに、ヒータに流れる電流が制限されるようにすることが可能である。このようにすることで、ヒータカバー7を素早く加熱することができるとともに、蒸発器5の霜が残りやすい部分の霜を落とすまでの時間を短くすることが可能である。また、例えば、蒸発器5の霜が融けにくい異なる場所の各々にPTCヒータを配置する場合も同様の配線を行うことで、各々の霜が融けるまで電流の制限がかからないようにできる。
なお、本実施形態では、PTCヒータを2個備えるヒータを例に説明しているが、これに限定されない。3個以上のPTCヒータを備えてもよい。この場合、3個以上のPTCヒータの全てを、並列に接続してもよい。また、抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)が所定の温度に上昇されたときには、除霜の状態にかかわらず、加熱を抑制することが好ましい。このような場合において、抵抗加熱ヒータ61bの近傍に、PTCヒータを配置しておき、このPTCヒータは、他のPTCヒータとは別に、それ自体で抵抗加熱ヒータ61bと直列になるように接続してもよい。いずれの場合であっても、電流が制限されるときの、抵抗加熱ヒータ61bの温度は、可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度である。
すなわち、抵抗加熱ヒータと、抵抗加熱ヒータの近傍に配置されたPTCヒータと、複数のPTCヒータが並列接続されたものとを直列に接続するようにしてもよい。このようにすることで、抵抗加熱ヒータ61b(ガラス管63)の温度の過剰な上昇、及び、可燃性冷媒の着火点以上の温度になるのが抑制される。
以上説明した本発明にかかる除霜装置は、通電によって蒸発器に付着した霜を除去する除霜を行い、発熱体として抵抗発熱体を用いる抵抗加熱ヒータと、発熱体としてPTC素子を用いるPTCヒータと、を備え、前記抵抗加熱ヒータと前記PTCヒータとが、電気的に直列接続されている。
この構成によると、抵抗加熱ヒータ61とPTCヒータ62とを直列接続とすることで、PTCヒータ62はそれ自体発熱するヒータとしての役割を果たすとともに、抵抗加熱ヒータ61の温度検出を行う温度検出部としての役割も果たす。PTCヒータ62は抵抗加熱ヒータ61とは別部品のため、PTCヒータ62と抵抗加熱ヒータ61の配置によって、抵抗加熱ヒータ61の温度の上限を自在に設定できる。
例えば、抵抗加熱ヒータ61の温度が可燃性冷媒の着火点以下で、且つ、安全性を確保できる範囲で可燃性冷媒の着火点に近い温度になったとき、PTCヒータの温度が制御温度を超えるように設定する。これにより、PTCヒータの特性(制御温度)にかかわらず、抵抗加熱ヒータ61が許容温度よりも高温になる又は可燃性冷媒の着火点を超えるのを抑制できる。
さらに、PTCヒータを霜が比較的多く付着する部分に配置する。これにより、PTCヒータの周りに霜が付着した状態ではPTCヒータが霜を融かすとともに、霜によりPTCヒータの温度が高くならないため、制御温度(キュリー温度)に到達せず、抵抗加熱ヒータの発熱を制限しない。PTCヒータの周りの霜がPTCヒータや抵抗加熱ヒータにより融けたときは、PTCヒータが抵抗加熱ヒータからの加熱により高温となり、PTCヒータが制御温度(キュリー温度)に到達した場合は、抵抗加熱ヒータの発熱を制限する。
したがって、霜が比較的多く付着する部分の霜を確実に融かしつつ、抵抗加熱ヒータが可燃性冷媒の着火点よりも高くならないようにすることができる。これにより、簡単な構成で、蒸発器の除霜運転を効率的かつ安全に行うことが可能である。
上述した除霜装置において、前記PTCヒータは、前記抵抗加熱ヒータによって加熱可能な位置に配置されてもよい。このように構成することで、PTCヒータが霜を融かしているときには、PTCヒータは霜に冷却される。このとき、PTCヒータは電流を制限しないため、PTCヒータと直列に接続された抵抗加熱ヒータは、PTCヒータが霜を融かしている間、大きな出力(例えば、設計上最大の発熱量)で動作する。また、PTCヒータが霜を融かさなくなったときには、PTCヒータが抵抗加熱ヒータによって加熱されるため、PTCヒータがキュリー温度に達しやすく、電流の制限が実行されやすくなる。これにより、発熱量が制限され、抵抗加熱ヒータ及びPTCヒータの温度の過剰な上昇を抑制する。
上述した除霜装置において、前記抵抗加熱ヒータは、前記蒸発器の下方に配置され、前記PTCヒータは、除霜時において、前記蒸発器の他の部分に比べて霜が融けにくい部分の近傍に配置されてもよい。
上述した除霜装置において、前記蒸発器が配置されている空間は、空気が戻る戻り口を備えており、前記PTCヒータは、前記蒸発器の前記戻り口と面する部分の近傍に配置されてもよい。
上述した除霜装置において、耐熱性を有する筒体と、前記筒体の軸方向の両端を塞ぐ閉塞部材と、を有し、前記抵抗加熱ヒータが前記筒体の内部に配されるとともに、前記PTCヒータが前記閉塞部材に配されていてもよい。
上述した除霜装置において、前記抵抗加熱ヒータが前記蒸発器の下方に配置されており、前記抵抗加熱ヒータと前記蒸発器との間には、ヒータカバーが備えられており、前記PTCヒータは、前記ヒータカバーの前記抵抗加熱ヒータ部と対向する面に取り付けられていてもよい。
上述した除霜装置において、前記PTC素子が面状であり、前記PTCヒータは、前記PTC素子が前記蒸発器に配列された複数個のフィンに隣接して配置されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。