以下、添付の図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。本開示では、重複する説明については適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の各実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形およびあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の冷蔵庫1の正面図である。図2は、実施の形態1の冷蔵庫1の内部構造を示す縦断面図である。本実施の形態では、原則として、冷蔵庫1が使用可能な状態に設置されたときを基準として、各方向を定義する。
冷蔵庫1は、例えば、家庭用のものである。なお、冷蔵庫1は、家庭用のものに限られず、業務用等のものであってもよい。また、図1および図2によって示される冷蔵庫1を構成する各部材の寸法、位置関係および形状等は、実際のものとは必ずしも完全に一致しない場合がある。冷蔵庫1の構成は、図1および図2によって示されるものに限定されるものではない。
本実施の形態の冷蔵庫1は、冷蔵庫本体の一例として、断熱箱体1aを備えている。断熱箱体1aは、外箱、内箱および断熱材によって構成される。外箱は、例えば、鋼鉄製である。内箱は、例えば、樹脂製である。内箱は、外箱の内側に配置される。断熱材は、例えば、発泡ウレタン、真空断熱材等である。断熱材は、外箱と内箱との間の空間に充填されている。
断熱箱体1aの正面は、開口している。断熱箱体1aの内部には、貯蔵空間が形成されている。貯蔵空間は、食品等の被貯蔵物が収納される空間である。断熱箱体1aの内部に形成された貯蔵空間は、1つまたは複数の部材によって、食品等を収納保存するための複数の貯蔵室に区画されている。
一例として、断熱箱体1aの内部には、複数の貯蔵室として、冷蔵室10、冷凍室20および野菜室30が形成されている。冷蔵室10は、食品等を冷蔵保存するための空間である。冷凍室20は、食品等を冷凍保存するための空間である。野菜室30は、主に野菜および容量の大きなペットボトル等を収納するための空間である。上記の各貯蔵室は、断熱箱体1a内において、上下方向に3段構成となって配置されている。断熱箱体1aの内部に形成された各貯蔵室は、断熱性を有する部材によって仕切られている。
本実施の形態において、冷蔵室10は、断熱箱体1aの内部の上部に形成される。図2に示すように、冷蔵室10の内部には、一例として、複数の棚板が設けられている。冷蔵室10の内部は、これらの棚板によって、上下方向に複数の空間に仕切られている。冷蔵室10内の最下段の棚板の下側の空間は、チルド室11になっている。チルド室11は、肉および魚等の生鮮食品を主に収納するための空間である。
本実施の形態において、冷凍室20は、断熱箱体1aの内部の下部に形成される。冷凍室20は、冷蔵室10の下方に配置される。また、野菜室30は、冷凍室20の下方に形成されている。野菜室30は、断熱箱体1a内の最下段に配置されている。
冷蔵室10の正面部には、当該冷蔵室10を開閉するための冷蔵室扉12が設けられている。冷蔵室扉12は、回転式の扉である。また、冷凍室20および野菜室30は、一例として、それぞれ、引出し式の扉によって開閉される。これらの引出し式の扉は、各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに沿って、冷蔵庫1の奥行方向にスライドできるようになっている。
また、本実施の形態の冷蔵庫1は、アイスディスペンサ機能を有するものである。アイスディスペンサ機能とは、使用者の要求に応じて氷を吐出する機能である。アイスディスペンサ機能付きの冷蔵庫1内には、製氷室40および貯氷室50が設けられている。また、アイスディスペンサ機能を有する冷蔵庫1は、ディスペンサ部60を備えている。
製氷室40は、氷を生成するための空間である。貯氷室50は、製氷室40で生成された氷を貯めておくための空間である。製氷室40および貯氷室50は、断熱性を有する部材によって区切られている。ディスペンサ部60は、貯氷室50に貯められた氷を、冷蔵庫1の外部へ吐出する機構である。
一例として、製氷室40は、図2に示すように、断熱箱体1a内の最上段に設けられている。貯氷室50は、製氷室40の下方に設けられている。貯氷室50は、冷蔵室扉12の内側に設けられている。ディスペンサ部60は、貯氷室50の下方に設けられている。ディスペンサ部60は、本実施の形態において、冷蔵室扉12に設けられている。冷蔵室扉12の表側は、ディスペンサ部60によって開放している。
また、冷蔵室扉12の内側には、図2に示すように、氷搬送路51が設けられている。氷搬送路51は貯氷室50内の氷をディスペンサ部60まで搬送するための通路である。ディスペンサ部60は、氷搬送路51を介して、貯氷室50に繋がっている。氷搬送路51の上端部は、貯氷室50の下部に通じている。氷搬送路51の下端部は、ディスペンサ部60の上部に通じている。
冷蔵室10の下部には、図2に示すように、給水タンク41が設けられている。給水タンク41は、チルド室11の1つ上の段に設けられている。給水タンク41には、製氷室40での製氷に使うための水が貯められる。
なお、断熱箱体1aの内部に形成される貯蔵室の数、種類および配置は、上記した例に限定されない。また、断熱箱体1aの内部に形成された各空間を開閉するための扉の構造等も、上記した例に限定されない。製氷室40、給水タンク41、貯氷室50、氷搬送路51およびディスペンサ部60の配置も、上記した例に限定されるものではない。
本実施の形態の冷蔵庫1は、図2に示すように、空気を冷却するための冷却手段として、圧縮機2および冷却器3等を備える。圧縮機2および冷却器3は、図示を省略している凝縮器および絞り装置等と、冷凍サイクル回路を構成している。
圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を、圧縮して吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって、空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側の下部に配置される。
冷蔵庫1は、冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へ冷気を供給するための送風機4を備える。また、冷蔵庫1には、冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へ冷気を供給するための風路5が形成されている。風路5は、例えば、冷蔵庫1の背面側に配置されている。冷凍サイクル回路を構成している冷却器3は、この風路5内に設置される。また、送風機4も、この風路5内に設置されている。
送風機4が動作すると、冷却器3で冷却された空気、すなわち冷気が、風路5を通って、冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へ送られる。冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へ送られた空気は、冷却器3が設置されている風路5内へと戻される。風路5内へと戻された空気は、再び冷却器3によって冷却され、冷蔵庫1内を循環する。
また、風路5から冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へと通じる中途の箇所には、図示しないダンパが設けられている。冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へ供給される冷気の風量は、各ダンパの開閉状態が変化することで調節される。また、冷蔵室10、冷凍室20、野菜室30、製氷室40および貯氷室50へ供給される冷気の温度は、圧縮機2の運転が制御されることで調節される。
また、冷蔵庫1は、図1および図2に示すように、操作パネル6を備えている。操作パネル6は、使用者が冷蔵庫1を操作するためのものである。使用者は、操作パネル6を操作することで、例えば、各貯蔵室の保冷温度等の設定をすることができる。また、使用者は、操作パネル6を操作することで、冷蔵庫1に、ディスペンサ部60から氷を吐出させることができる。操作パネル6は、各貯蔵室の温度等の各種情報を使用者に対して表示するものでもある。操作パネル6は、一例として、冷蔵室扉12の外側表面に設けられている。
冷蔵庫1は、外気温測定手段の一例として、外気温センサ7を備えている。外気温センサ7は、冷蔵庫1の周囲の外気温を測定可能なセンサである。冷蔵庫1の周囲の外気温は、冷蔵庫1の運転能力の調整に必要な情報の1つである。一例として、外気温センサ7は、図1および図2に示すように、操作パネル6に内蔵されている。なお、操作パネル6および外気温センサ7の位置は、上記した例、すなわち冷蔵室扉12の外側表面に限られない。また、操作パネル6と外気温センサ7とは、それぞれ別の場所に設けられていてもよい。
冷蔵庫1は、当該冷蔵庫1の動作を制御するための制御手段の一例として、制御装置70を備える。制御装置70は、例えば、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側の上部に設けられる。制御装置70は、例えば、断熱箱体1aに内蔵される。制御装置70には、冷蔵庫1の動作を制御するための処理回路等が備えられている。
制御装置70は、操作パネル6に接続される。制御装置70は、例えば、各貯蔵室内の温度の情報を含む信号および操作パネル6によって入力された信号等に基づいて、風路5に設けられたダンパ、圧縮機2および送風機4の動作を制御する。各貯蔵室内の温度は、それぞれの貯蔵室に設置されたサーミスタにより検知することができる。このサーミスタは、制御装置70に接続される。
なお、制御装置70は、スマートフォン等の外部機器と通信可能に構成されていてもよい。例えば、制御装置70は、スマートフォン等の外部機器から入力された情報に基づいて、各貯蔵室の保冷温度等の設定を変更してもよい。また、制御装置70は、スマートフォン等の外部機器から入力された指示に基づいて、冷蔵庫1内の状態の情報を当該外部機器へ送信してもよい。
図3は、実施の形態1の製氷室40、貯氷室50およびディスペンサ部60周辺の構造を拡大して示す縦断面図である。図3を参照し、製氷室40、貯氷室50およびディスペンサ部60周辺の構成について、より具体的に説明する。なお、図1から図3は、冷蔵庫1を模式的に示すものであり、実際の外観および構造とは必ずしも完全には一致していない。また、図2と図3とは、それぞれ異なる断面を示しているものである。
図3に示すように、製氷室40には、製氷機構42が設置されている。製氷機構42は、水から氷を生成する機構である。また、製氷機構42には、一例として、製氷皿42aが含まれる。製氷皿42aは、水を貯める事が可能な皿状の部材である。
製氷室40と給水タンク41との間には、給水管43が設けられている。給水管43は、給水タンク41内の水を製氷室40内の製氷機構42に供給するためのものである。給水タンク41内の水は、図示しないポンプにより、給水管43を通って製氷室40へと送られる。給水管43は、例えば、冷蔵室10の背面に沿うように配置されている。製氷室40へ送られた水は、製氷機構42の製氷皿42a内へ供給されて凍結し、氷となる。
図3に示すように、冷蔵室扉12が閉じた状態で、貯氷室50は、製氷室40の下方に配置される。例えば、貯氷室50の上面は開放されており、製氷室40で生成された氷は、当該製氷室40から落下して貯氷室50に移される。貯氷室50には、製氷室40で生成された氷が保存される。
貯氷室50の下面部には開口が形成されている。貯氷室50の下面部の開口には、氷搬送路51の上端部が接続されている。また、貯氷室50の下面部には、上記の開口を開閉する第一仕切り52が設けられている。
上記したように、氷搬送路51の下端部は、ディスペンサ部60の上部に通じている。ディスペンサ部60の上部には、開口が形成されている。氷搬送路51とディスペンサ部60とは、この開口を介して通じている。そして、ディスペンサ部60の上部には、この開口を開閉する第二仕切り53が設けられている。
図3に示すように、ディスペンサ部60は、飲料入り容器80を設置可能に構成されている。飲料入り容器80とは、飲料が入った容器である。本開示において、飲料には、例えば、冷水、コーヒーまたはスープ等が該当する。また、本開示において、容器には、コップだけでなく、おわん等も該当する。そして、容器には、紙製のもの、木製のもの、ガラス製のもの、陶磁器等、各種の材料のものが該当する。
ディスペンサ部60の底面には、例えば、飲料入り容器80の設置位置を示すマーキングが設けられていてもよい。また、例えば、ディスペンサ部60の奥の壁面に接した状態で飲料入り容器80を設置するように、冷蔵庫1の取扱説明書等に記載されていてもよい。ディスペンサ部60における飲料入り容器80の設置位置は、ディスペンサ部60から飲料入り容器80への氷の供給が適切に行われるように、設定される。
また、図3に示すように、本実施の形態の冷蔵庫1は、カメラ61、測距センサ62および赤外線センサ63を備えている。カメラ61、測距センサ62および赤外線センサ63は、ディスペンサ部60に設けられている。
カメラ61は、ディスペンサ部60に設置された飲料入り容器80を撮像可能に設置される。カメラ61は、ディスペンサ部60に設置された飲料入り容器80を撮像する撮像手段の一例である。測距センサ62は、ディスペンサ部60に設置された飲料入り容器80内の飲料の高さを検知可能に設置される。測距センサ62は、例えば、超音波式の機器である。測距センサ62は、ディスペンサ部60に設置された飲料入り容器80内の飲料の高さを検知する距離検知手段の一例である。赤外線センサ63は、ディスペンサ部60に設置された飲料入り容器80内の飲料の温度を検知可能に設置される。赤外線センサ63は、ディスペンサ部60に設置された飲料入り容器80内の飲料の温度を検知する温度検知手段の一例である。
図4は、実施の形態1の制御装置70の機能を示すブロック図である。上記したように、操作パネル6は、制御装置70に接続される。また、図4に示すように、カメラ61、測距センサ62、赤外線センサ63および外気温センサ7も、制御装置70に接続される。制御装置70は、操作パネル6、カメラ61、測距センサ62、赤外線センサ63および外気温センサ7から出力された各種の情報に応じて動作する。また、上記したように、制御装置70は、各貯蔵室に設置された図示しないサーミスタにも接続されている。制御装置70は、このサーミスタが検知した温度の情報に応じて動作する。
図4に示すように、制御装置70は、第一仕切り52および第二仕切り53に接続される。制御装置70は、第一仕切り52および第二仕切り53の動作を制御する。また、上記したように、制御装置70は、図4においては図示を省略している風路5に設けられたダンパ、圧縮機2および送風機4にも接続されている。制御装置70は、風路5に設けられたダンパ、圧縮機2および送風機4の動作を制御する。
本実施の形態において、操作パネル6は、使用者からの操作に応じてディスペンサ部60から氷を吐出させるための信号を制御装置70へ出力することができる。使用者は、飲料入り容器80をディスペンサ部60に設置した状態で操作パネル6を操作して、ディスペンサ部60から氷を吐出させるための信号を制御装置70へ出力させる。
制御装置70は、ディスペンサ部60から氷を吐出させるための信号が入力されると、第一仕切り52を開く。この時、第二仕切り53は閉じている。第一仕切り52が開くことで、ある特定の量の氷が貯氷室50から氷搬送路51へ落下する。制御装置70は、第一仕切り52を一定時間開いた後に閉じる。第一仕切り52が閉じた後に、制御装置70は、第二仕切り53を開く。これにより、ディスペンサ部60から飲料入り容器80へ向けて氷が吐出される。
なお、貯氷室50からディスペンサ部60までに設けられる仕切りは必ずしも2つでなくてもよい。貯氷室50からディスペンサ部60までに設けられる仕切りは、第一仕切り52および第二仕切り53のどちらか一方でもよい。
本実施の形態においては、貯氷室50からディスペンサ部60までに、第一仕切り52と第二仕切り53との両方が設けられている。第二仕切り53は、第一仕切り52が閉じてから開くように構成されている。これにより、貯氷室50へ侵入する暖気の量を低減させることができる。
また、ディスペンサ部60には、例えば、ディスペンサ部60から氷を吐出させるためのスイッチが設けられていてもよい。制御装置70は、飲料入り容器80によってこのスイッチが押されると、第一仕切り52および第二仕切り53を順次開くように構成されていてもよい。
ディスペンサ部60から吐出される氷の量は、第一仕切り52および第二仕切り53が開いている時間によって調整される。本実施の形態における第一仕切り52および第二仕切り53は、ディスペンサ部60から吐出される氷の量を調節する調節機構の一例である。なお、本開示に係る調節機構は、第一仕切り52および第二仕切り53以外にも、例えば、スクリューコンベヤのような機構として構成されていてもよい。調節機構は、任意の機構として構成することが可能である。
本実施の形態の制御装置70は、図4に示すように、制御手段の一例として、仕切り制御部70aを有する。仕切り制御部70aは、調節機構の一例である第一仕切り52および第二仕切り53を制御する機能を有するものである。
また、制御装置70は、設定温度を設定する飲料温度設定手段の一例として、飲料温度設定部70bを有する。飲料温度設定部70bは、ディスペンサ部60から氷が供給された後の飲料入り容器80内の飲料の温度の設定値を設定する機能を有するものである。この設定値を、本開示では設定温度とも称する。
本実施の形態において、使用者は、操作パネル6を操作することで、ディスペンサ部60から氷が供給された後の飲料入り容器80内の飲料の温度の目標値を設定することができる。この目標値を、本開示では「目標温度」とも称する。操作パネル6は、使用者からの操作に応じて目標温度を入力する飲料温度入力手段の一例である。飲料温度設定部70bは、設定温度を、使用者が操作パネル6を操作することで入力した目標温度に設定する機能を有している。
また、制御装置70は、図4に示すように、氷供給量設定手段の一例として、氷供給量設定部70cを有している。氷供給量設定部70cは、ディスペンサ部60から吐出される氷の量を設定する機能を有するものである。
より具体的には、氷供給量設定部70cは、飲料入り容器80に氷を入れた後の当該飲料入り容器80内の飲料の温度が設定温度になるように、ディスペンサ部60から吐出される氷の量を設定する。そして、仕切り制御部70aは、この氷供給量設定部70cによって設定された量の氷がディスペンサ部60から吐出されるように、第一仕切り52および第二仕切り53を制御する。
また、制御装置70は、図4に示すように、熱容量算出手段の一例として、熱容量算出部70dを有している。熱容量算出部70dは、飲料入り容器80および当該飲料入り容器80内の飲料の熱容量を算出する機能を有するものである。そして、氷供給量設定部70cは、この熱容量算出部70dによって算出された熱容量を用いて、ディスペンサ部60から吐出される氷の量を設定する。
熱容量算出部70dは、撮像手段の一例であるカメラ61と距離検知手段の一例である測距センサ62と温度検知手段の一例である赤外線センサ63とから出力された情報を用いて、熱容量の算出を行う。より具体的には、熱容量算出部70dは、カメラ61によって撮像された画像データによる画像認識の結果を用いて、熱容量の算出を行う。本実施の形態の制御装置70は、カメラ61によって撮像された画像データに基づいて画像認識を行う画像認識手段の一例として、画像認識部70eを有している。
また、本実施の形態において、熱容量算出部70dは、飲料入り容器80の温度の推定値を用いて熱容量を算出する。制御装置70は、飲料入り容器80の温度を推定する推定手段の一例として、温度推定部70fを有している。温度推定部70fは、赤外線センサ63の検知結果および外気温センサ7の検知結果から、飲料入り容器80の温度を推定する。なお、熱容量算出部70dによる熱容量の算出方法のより詳細な具体例は、後述する。
また、制御装置70には、一例として、あらかじめ設定された情報等を保持する記憶部70gおよび制御に必要な時間を計測するタイマ部70hも設けられている。
図5は、実施の形態1の制御装置70の機能を実現する構成の例を示す図である。制御手段の一例である制御装置70の各機能は、例えば、図5に示すように、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア71であってもよい。処理回路は、プロセッサ72およびメモリ73を備えていてもよい。処理回路は、一部が専用ハードウェア71として形成され、更にプロセッサ72およびメモリ73を備えていてもよい。図5は、処理回路の一部が専用ハードウェア71として形成され、当該処理回路が更にプロセッサ72およびメモリ73を備えている場合の例を示している。
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア71である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ72および少なくとも1つのメモリ73を備える場合、制御装置70の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ73に格納される。プロセッサ72は、メモリ73に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
プロセッサ72は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ73には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御装置70の各機能を実現することができる。
図6は、実施の形態1の冷蔵庫1の制御動作を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、冷蔵庫1および制御装置70の制御動作の具体例を説明する。熱容量算出部70dによる熱容量の算出方法の具体例についても、以下で示す。
冷蔵庫1の使用者は、まず、飲料入り容器80をディスペンサ部60に設置する(ステップS101)。飲料入り容器80をディスペンサ部60に設置した使用者は、操作パネル6を操作して、目標温度の入力を行う。飲料温度設定部70bは、設定温度を、この目標温度に設定する(ステップS102)。ステップS102で設定された設定温度を、以下では、Torderとする。
次に、飲料入り容器80の各種の情報の設定が行われる。具体的には、飲料入り容器80の材質と厚みの情報の設定が行われる(ステップS103)。飲料入り容器80の材質と厚みの情報の設定は、カメラ61によって撮像された飲料入り容器80の画像データおよび測距センサ62の検知結果を用いて行われる。例えば、記憶部70gには、予め、材質、高さおよび厚みが異なる多様の容器の画像データが記憶されている。画像認識部70eは、カメラ61によって撮像された飲料入り容器80の画像データと記憶部70gに予め記憶された画像データとを比較する画像認識を行い、飲料入り容器80の材質を推定する。そして、飲料入り容器80の材質のこの推定結果から、飲料入り容器80の材質の情報が設定される。画像認識部70eは、例えば、容器の色、透明度、および光沢などの情報から材質の推定を行う。画像認識部70eによる画像認識には、例えば、ディープラーニング等が用いられる。
また、画像認識部70eは、カメラ61によって撮像された飲料入り容器80の画像データおよび測距センサ62によって検知された飲料の高さのデータとから、飲料入り容器80の厚みを推定する。そして、飲料入り容器80の厚みのこの推定結果から、飲料入り容器80の厚みDcupの情報が設定される。
また、飲料入り容器80内の飲料の各種の情報の設定が行われる。具体的には、飲料の高さと面積と温度との情報の設定が行われる(ステップS104)。ステップS104における各情報の設定には、赤外線センサ63によって測定された飲料の温度のデータも用いられる。飲料の高さHdrinkは、測距センサ62によって検知された高さから飲料入り容器80の厚みDcupを差し引いた値として設定される。また、飲料の水平面への投影面積Adrinkは、カメラ61が撮像した画像データから、画像認識部70eによって設定される。飲料の温度Tdrinkは、赤外線センサ63による測定結果から設定される。
次に、飲料入り容器80の容器温度Tcup情報の設定が行われる(ステップS105)。飲料入り容器80は、当該飲料入り容器80内の飲料と外気との双方に接している。そこで、本実施の形態では、一例として、容器温度Tcupは飲料と外気との中間温度であるとみなすこととする。容器温度Tcupは、次の(1)式で示すように、冷蔵庫1周囲の外気温度Tairの測定値と飲料の温度Tdrinkとの中間温度として推定される。冷蔵庫1周囲の外気温度Tairは、外気温センサ7によって測定される。容器温度Tcupの推定は、温度推定部70fによって行われる。
次に、上記のステップS102からステップS103で設定された各種の情報から、飲料入り容器80内の飲料の温度が設定温度になるように、ディスペンサ部60から吐出される氷の量として、体積Viceが設定される。ディスペンサ部60から吐出される氷の体積Viceの設定は、氷供給量設定部70cによって行われる。
より具体的には、飲料入り容器80内の飲料の温度が設定温度になるために必要な、飲料入り容器80および当該飲料入り容器80内の飲料の冷却量Qdrink+Qcupが算出されてから、体積Viceが算出される(ステップS106)。この体積Viceは、体積Viceの氷がすべて融解した場合に、飲料の温度がTorderになるものとして算出される。
冷却量Qdrink+Qcupおよびディスペンサ部60から吐出される氷の体積Viceの算出は、一例として、以下の(2)式から(6)式によって行われる。なお、各式における記号は、それぞれ、ρは重量密度、πは円周率、Aは面積、Cは熱容量、Cpは比熱、Dは厚み、Hは高さ、Lは氷の融解時の潜熱、Tは温度、Qは熱量、そしてVは体積を意味する。また、各添字は、それぞれ、airは外気、cupは飲料入り容器80、drinkは飲料入り容器80内の飲料、iceは氷、orderは設定値を意味している。本実施の形態において、熱容量算出部70dは、1つの具体例として、以下の各式に示すようにして、飲料入り容器80の熱容量Ccupおよび当該飲料入り容器80内の飲料の熱容量Cdrinkを算出する。
次に、上記のようにして算出および設定された体積Viceの氷がディスペンサ部60から吐出されるために必要な時間として、第一仕切り52および第二仕切り53を開いておく時間Timeopenが算出される。この時間Timeopenは第一仕切り52および第二仕切り53が開閉する開口の大きさ、氷搬送路51の設計寸法等に基づき、Viceを変数とした値として算出することが可能である(ステップS107)。ステップS107の処理は、例えば、仕切り制御部70aによって行われる。
上記のTimeopenが算出されると、仕切り制御部70aによって第一仕切り52が開かれる(ステップS108)。これにより、貯氷室50から氷搬送路51へ氷が送られる。ステップS108で第一仕切り52が開かれると、第一仕切り52が開いてからの経過時間Timecntがタイマ部70hによって計測される。仕切り制御部70aは、経過時間TimecntがTimeopenに達したか否か判定する(ステップS109)。
第一仕切り52は、TimecntがTimeopenに達するまで開いた状態で維持される。第一仕切り52が開いている間、貯氷室50から氷搬送路51へ氷が送られ続ける。仕切り制御部70aは、TimecntがTimeopenに達すると、第一仕切り52を閉じる(ステップS110)。これにより、氷搬送路51内に体積Viceの氷が溜まる。
ステップS110で第一仕切り52を閉じた後、仕切り制御部70aは、第二仕切り53を開く(ステップS111)。これにより、氷搬送路51に溜まった氷がディスペンサ部60から飲料入り容器80へ吐出される。
ステップS111で第二仕切り53が開かれると、第二仕切り53が開いてからの経過時間Timecntがタイマ部70hによって計測される。仕切り制御部70aは、経過時間TimecntがTimeopenに達したか否か判定する(ステップS112)。第二仕切り53は、TimecntがTimeopenに達するまで開いた状態で維持される。第二仕切り53が開いている間、ディスペンサ部60から氷が吐出され続ける。仕切り制御部70aは、TimecntがTimeopenに達すると、第二仕切り53を閉じる(ステップS113)。これにより、ディスペンサ部60からの氷の吐出が終了する。
なお、本実施の形態においては、一例として、第一仕切り52を開いておく時間と第二仕切り53を開いておく時間とを同じTimeopenとしているが、それぞれ異なっていてもよい。例えば、第二仕切り53を開いておく時間は、氷搬送路51に溜まった全ての氷が確実に吐き出されるように、第一仕切り52を開いておく時間よりも長く設定されてもよい。
上記の実施の形態に係る冷蔵庫1は、カメラ61と測距センサ62と赤外線センサ63とから出力された情報を用いて飲料入り容器80の熱容量Ccupおよび当該飲料入り容器80内の飲料の熱容量Cdrinkを算出する熱容量算出部70dを備えている。また、冷蔵庫1は、熱容量算出部70dによって算出された飲料入り容器80の熱容量Ccupおよび当該飲料入り容器80内の飲料の熱容量Cdrinkを用いて、飲料入り容器80に氷を入れた後の飲料の温度が設定温度Torderになるようにディスペンサ部60から吐出される氷の体積Viceを設定する氷供給量設定部70cを備えている。そして、冷蔵庫1は、氷供給量設定部70cによって設定された体積Viceの氷がディスペンサ部60から吐出されるように第一仕切り52および第二仕切り53を制御する仕切り制御部70aを備えている。上記のように構成された冷蔵庫1であれば、飲料入り容器80の種類に依らずに、飲料入り容器80内の飲料の温度を安定的に設定温度に到達させることが可能である。
家庭において、飲料の温度および量は多様である。すなわち、飲料の熱容量は多様である。また、飲料を入れる容器の種類も多様である。例えば、容量が500mlである紙コップと陶器製のコップとの間では、熱容量に30倍近い差があることもある。また、容器の熱容量は、材質が同じであっても、その体積によっても変化する。上記のように構成された本実施の形態の冷蔵庫1によれば、飲料入り容器80の材質および体積と、当該飲料入り容器80内の飲料の温度および体積とに応じて、この飲料の温度を安定的に設定温度に到達させることが可能である。
また、上記の実施の形態に係る冷蔵庫1は、使用者からの操作に応じて目標温度を入力する操作パネル6を備えている。そして、冷蔵庫1は、設定温度を、操作パネル6によって入力された目標温度に設定する飲料温度設定部70bを備えている。上記のように構成された冷蔵庫1であれば、使用者は、飲料入り容器80内の飲料を、希望の温度に冷却することができる。
なお、本開示において、設定温度は、例えば、固定値として予め設定されるものであってもよい。設定温度の情報は、例えば、記憶部70gに予め記憶されていてもよい。換言すると、本開示に係る冷蔵庫1には、飲料温度入力手段および飲料温度設定手段を備えていないものも含まれ得る。また、設定温度は、例えば、カメラ61が撮像した画像データおよび赤外線センサ63の測定データに基づいて、飲料の種類および温度Tdrink等に合わせて自動的に設定されてもよい。換言すると、本開示に係る冷蔵庫1には、飲料温度設定手段は備えているが飲料温度入力手段は備えていないものが含まれ得る。
上記の実施の形態においては、容器温度Tcupは、飲料と外気との中間温度として推定されている。容器温度Tcupは、例えば、赤外線センサ63とは別に設けられたセンサ等によって実測されてもよい。また、容器温度Tcupは、複眼式に構成された赤外線センサ63とカメラ61とを併用することで計測されてもよい。複眼式に構成された赤外線センサ63は、カメラ61が撮像した画像データから特定される飲料入り容器80の縁位置の温度を検知可能に構成される。
また、ディスペンサ部60から吐出される氷の量は、上記の実施の形態で示した体積Viceと完全に一致していなくてもよい。例えば、ディスペンサ部60は、体積Vice以上の量の氷を吐出してもよい。これにより、飲料の温度を設定温度以下に低下させることができる。また、ディスペンサ部60から吐出される氷の量は、例えば、外気温等の使用環境に基づいて補正されてもよい。
また、製氷機構42は、第一寸法の氷および当該第一寸法より大きい第二寸法の氷を生成可能に構成されていてもよい。例えば、製氷機構42には、複数種類の製氷皿42aが設けられる。そして、貯氷室50は、製氷機構42によって生成された第一寸法の氷と第二寸法の氷とを分けて貯めることができるように構成される。貯氷室50には、例えば、第一寸法の氷が貯められる空間と第二寸法の氷が貯められる空間とを分ける仕切りが設けられる。
そして、貯氷室50および第一仕切り52は、第一寸法の氷と第二寸法との氷とを選択的に氷搬送路51へ送ることができるように構成されてもよい。これにより、ディスペンサ部60は、第一寸法の氷と第二寸法との氷とを選択的に吐出可能となる。
例えば、ディスペンサ部60は、赤外線センサ63が検知した温度Tdrinkと設定温度との温度差に応じて、第一寸法の氷と第二寸法との氷とを選択的に吐出する。例えば、ディスペンサ部60は、上記の温度差が予め設定された基準値より大きい場合には第一寸法の氷を吐出する。また、ディスペンサ部60は、上記の温度差が予め設定された基準値より小さい場合には第二寸法の氷を吐出する。上記の基準値は、例えば、5Kから10K程度の値として予め設定される。
飲料を急速に冷却したい場合には、集団全体の表面積が大きく融解速度が速い小さい氷の集団を利用するとよい。具体的には、例えば、温度Tdrinkが90℃で設定温度が60℃の場合には、急いで冷やすことが必要であると考えられるため、小さい氷、すなわち第一寸法の氷がディスペンサ部60から吐出されるとよい。
飲料の温度を長時間低温で維持したい場合には、集団全体の表面積が大きく融解速度が遅い大きい氷の集団を利用するとよい。例えば、温度Tdrinkが冷蔵温度相当の3℃で設定温度が0℃等の場合には、使用者は飲料の温度を長時間低温で維持することを希望していると考えられるため、大きい氷、すなわち、第二寸法の氷がディスペンサ部60から吐出されるとよい。
また、氷搬送路51には、例えば、氷を破砕可能なブレード等によって構成された氷破砕機構が設けられてもよい。氷破砕機構は、赤外線センサ63が検知した温度Tdrinkと設定温度との温度差に応じて、駆動する。具体的には、氷破砕機構は、上記の温度差が予め設定された基準値より大きい場合には駆動して、上記の温度差が予め設定された基準値より小さい場合には停止する。これにより、赤外線センサ63が検知した温度Tdrinkと設定温度との温度差が大きい場合には、氷破砕機構によって破砕された細かい氷の集団がディスペンサ部60から吐出可能となる。また、赤外線センサ63が検知した温度Tdrinkと設定温度との温度差が小さい場合には、氷破砕機構によって破砕されていない大きな氷の集団がディスペンサ部60から吐出可能となる。上記のように動作する氷破砕機構が設けられている場合にも、ディスペンサ部60が第一寸法の氷と第二寸法との氷とを選択的に吐出可能となっている場合と同様の効果が得られる。