以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される冷蔵庫の構成を図1乃至図3に基づいて説明する。図1は冷蔵庫の正面外観図であり、図2は図1の縦断面を示す断面図であり、図3は図1に示す冷蔵庫の庫内の背面内部の構成を示す正面図である。尚、図2においては製氷室の断面は示されていない。
図1、及び図2において、冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、製氷室(冷凍室の一部である)3及び上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6を有する。ここで、製氷室3と上部冷凍室4は、冷蔵室2と下部冷凍室5との間に左右に並べて設けている。一例として、冷蔵室2はおよそ+3℃、野菜室6はおよそ+3℃〜+7℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。尚、図示していないが、製氷室3と上部冷凍室4と間には縦方向に配置された仕切壁が設けられており、この仕切壁を境に製氷室3と上部冷凍室4とが並置されている。また、上部冷凍室4は下部冷凍室5より容積が小さく形成されており、少量の食品が冷凍、貯蔵されるものである。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6は夫々引き出し式の製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。
また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うように磁石が内蔵されたパッキン(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、鉄板で形成された冷蔵庫外箱のフランジや各仕切り鉄板に密着し貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気の漏れを抑制する構成とされている。
ここで、図2に示すように冷蔵庫本体10の下部には機械室11が形成され、この中に圧縮機12が内蔵されている。冷却器収納室13と機械室11には水抜き通路14によって連通され、凝縮水が排出できるようになっている。
図2に示すように、冷蔵庫本体10の庫外と庫内は、内箱と外箱との間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体15により隔てられている。また冷蔵庫本体10の断熱箱体15は複数の真空断熱材16を実装している。冷蔵庫本体10は、上側断熱仕切壁17aにより冷蔵室2と上部冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが区画され、下側断熱仕切壁17bにより下部冷凍室5と野菜室6とが区画されている。
また、下部冷凍室5の上部には横仕切部18を設けている。横仕切部18は、製氷室3及び上部冷凍室4と下部冷凍室5とを上下方向に仕切っている。ただ、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は流体的につながれているので、同じ冷気が供給されている。また、横仕切部18の上部には、製氷室3と上部冷凍室4との間を左右方向に仕切る縦仕切部を設けている。
横仕切部18は、下側断熱仕切壁17bの前面及び左右側壁前面と共に、下部冷凍室扉5aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)と接触する。製氷室扉3aと上部冷凍室扉4aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)は、横仕切部18、縦仕切部、上側断熱仕切壁17a及び冷蔵庫本体1の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での冷気の移動をそれぞれ抑制している。
図2に示すように、上部冷凍室4、下部冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aが取り付けられている。また、上部冷凍室4には上部冷凍貯蔵容器41が収納、配置され、下部冷凍室5には上段冷凍貯蔵容器61、下段冷凍貯蔵容器62が収納、配置されている。更に、野菜室6には上段野菜貯蔵容器71、下段野菜貯蔵容器72が収納、配置されている。
そして、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、製氷貯蔵容器3b(図示せず)、上部冷凍貯蔵容器41、下段冷凍貯蔵容器62、下段野菜貯蔵容器72が引き出せるようになっている。
詳しくは、下段冷凍貯蔵容器62は冷凍室扉内箱に取り付けられた支持アーム5dに下段冷凍貯蔵容器62の側面上部のフランジ部が懸架されており、冷凍室扉5aを引き出すと同時に下段冷凍貯蔵容器62のみが引き出される。上段冷凍貯蔵容器61は冷凍室5の側面壁に形成された凹凸部(図示しない)に載置されており前後方向にスライド可能になっている。
下段野菜貯蔵容器72も同様にフランジ部が野菜室扉6aの内箱に取り付けられた支持アーム6dに懸架され、上段野菜貯蔵容器71は野菜室側面壁の凹凸部に載置されている。また、この野菜室6には断熱箱体15に固定された電熱ヒーター6Cが設けられており、この電熱ヒーター6Cによって野菜室6の温度が冷やし過ぎにならないように、野菜の貯蔵に適した温度になるようにしている。尚、この電熱ヒーター6Cは必要に応じて設けられれば良いものであるが、本実施例では野菜の貯蔵がより上手く行えるように電熱ヒーター6Cを設けるようにしている。
次に冷蔵庫の冷却方法について説明する。冷蔵庫本体1には冷却器収納室13が形成され、この中に冷却手段として冷却器19を備えている。冷却器19(一例として、フィンチューブ熱交換器)は、下部冷凍室5の背部に備えられた冷却器収納室13内に設けられている。また、冷却器収納室13内であって冷却器19の上方には送風手段として送風ファン20(一例として、プロペラファン)が設けられている。
冷却器19で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器19で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風ファン20によって冷蔵室送風ダクト21、冷凍室送風ダクト22、及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯の冷蔵室2への送風量を制御する第一の送風制御手段(以下、冷蔵室ダンパ23という)と、冷凍温度帯の冷凍室4、5への送風量を制御する第二の送風量制御手段(以下、冷凍室ダンパ24という)とにより制御される。ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、及び野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫本体1の各貯蔵室の背面側に設けられている。具体的には、冷蔵室ダンパ23が開状態、冷凍室ダンパ24が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト21を経て多段に設けられた吹き出し口25から冷蔵室2に送られる。
また、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた冷蔵室戻り口26から冷蔵室−野菜室連通ダクト27を経て、下側断熱仕切壁18の下部右奥側に設けた野菜室吹き出し口28から野菜室6へ送風される。野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁18の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口29から野菜室戻りダクト30を経て、野菜室戻りダクト出口から冷却器収納室13の下部に戻る。尚、別の構成として冷蔵室−野菜室連通ダクト27を野菜室6へ連通せずに、図3において冷却器収納室12の上面から見て、右側下部に戻す構成としてもよい。この場合の一例として、冷蔵室−野菜室連通ダクト27の前方投影位置に野菜室送風ダクトを配置して、冷却器19で熱交換した冷気を、野菜室吹き出し口28から野菜室6へ直接送風するようになる。
図2、図3に示すように、冷却器収納室13の前方には、各貯蔵室と冷却器収納室12との間を仕切る仕切部材31が設けられている。仕切部材31には、図3にあるように上下に一対の吹き出し口32a、32b、33a、33bが形成されており、冷凍室ダンパ24が開状態のとき、冷却器19で熱交換された冷気が送風ファン20により図示を省略した製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクト34を経て吹き出し口32a、32bからそれぞれ製氷室3、上部冷凍室4へ送風される。また、下段冷凍室送風ダクト35を経て吹き出し口、33a、33bから下部冷凍室5へ送風される。尚、下部冷凍室5には必要に応じて吹き出し口を増設しても良いものである。
また、冷蔵庫本体10の天井壁上面側にCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御装置が設けられており、外気温度センサ(図示せず)、冷却器温度センサ(図示せず)、冷蔵室温度センサ(図示せず)、野菜室温度センサ(図示せず)、冷凍室温度センサ(図示せず)、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機12のON、OFF等の制御、冷蔵室ダンパ23及び冷凍室ダンパ24を個別に駆動するそれぞれのアクチュエータの制御、送風ファン20のON/OFF制御や回転速度制御、扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行うようになっている。
図1に戻って、冷蔵室扉2aには入力制御部40が設けられており、この入力制御部40は上述した制御装置に接続されている。したがって、入力制御部40からの入力によって冷蔵庫1の各貯蔵室の温度を設定できるようになっている。例えば圧縮機12の回転数、送風ファン20の回転数、冷蔵室ダンパ23及び冷凍室ダンパ24の開閉や開閉量等を制御することで各貯蔵室の温度を制御するものである。
以上のような構成の冷蔵庫において、特許文献1にあるように、赤外線センサを使用する場合は、測定対象である食品を視野範囲に含むことが必要になり、製品設計上の観点から設計自由度が制限されるという課題があった。したがって、設計自由度を確保する観点から、赤外線センサを使用しないで自動的に急速冷凍モードの制御を行なうことが求められている。このような背景から、赤外線センサの代わりにサーミスタのような温度センサを用い、しかも食品の収納の有無を正確に検出できる適切な位置に温度センサを配置して食品の収納状態を検出することが要請されている。次に本発明の実施形態について図4乃至図10を用いて説明する。
図4は冷凍室の要部拡大断面を示し、図5は温度センサ付近の要部拡大断面を示している。図4において、製氷室3と上部冷凍室4を仕切る縦仕切部(真空断熱材を備えていない仕切構成材である)53の奥行側端面にはサーミスタ等から構成された第1の温度センサ50が取り付けられている。また、下部冷凍室5の上側付近の背面壁51には、これもサーミスタ等から構成された第2の温度センサ52が配置されている。
本実施形態では、第1の温度センサ50は食品温度に左右される空間の温度を測定し、第2のセンサ52は食品温度に左右されない空間の温度を測定するものである。したがって、この2個の温度センサの出力信号の変動状態から、上部冷凍室4や下部冷凍室5に冷凍室温度より高い温度の食品が収納されたかどうかを判断するものである。ここで、第2の温度センサ52は、既に従来から設けられている温度センサであるので、ここでは詳細な構成についての説明は省略する。
さて、本実施形態の特徴となっている第1の温度センサ50は、図5に示している通り、横仕切部18に直交するように設けた縦仕切部53の下端に設けられている。縦仕切部53の奥行方向下端部分54には第1の温度センサ50が配置されており、第1の温度センサ50の信号線55は、縦仕切部53の内部を通って外部に接続されるようにコネクタ56に接続されている。尚、第1の温度センサ50、信号線55の一部はセンサカバー57で覆われており、このセンサカバー57は、縦仕切部53に一体化されるようにねじ、接着剤、溶着等の固定手段で縦仕切部53に固定されている。
ここで、縦仕切部53には、第1の温度センサ50、信号線55、出力信号を外部に伝送するコネクタ56、センサカバー57が事前に組み込まれて組立体として構成されており、この縦仕切部53の組立体を上側断熱仕切壁17aにねじによって固定することで、縦仕切部53を組み込むことができる。尚、上側断熱仕切壁17aの下側の縦仕切部53が位置する領域には、制御装置に繋がるコネクタ(図示せず)が固定されている。
したがって、縦仕切部53を組み込むことによって、第1温度センサ50のコネクタ56と接続することができる構成である。また、下部冷凍室5には、下方から下段冷凍貯蔵容器62、上段冷凍貯蔵容器61、最上段冷凍貯蔵容器63が配置されている。
このような構成において、例えば上部冷凍室4の上部冷凍貯蔵容器41や、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63に生肉や調理済みの食品が収納されたとする。(一般的に、生肉や料理済みの食品は、上部冷凍室4の上部冷凍貯蔵容器41や下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63に収納されることが多い。)
この時、第1の温度センサ50は、上部冷凍室4の上部冷凍貯蔵容器41や、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63に近接して配置されているので、収納された食品の温度の影響を受け易くなっている。つまり、第1の温度センサ50は食品温度に左右される空間の温度を測定しているものである。
一方、第2の温度センサ52は、上部冷凍室4の上部冷凍貯蔵容器41や、下部冷凍室5の最上段冷凍貯蔵容器63から離れて配置されているので、収納された食品の温度の影響を受け難くなっている。つまり、第2のセンサ52は食品温度に左右されない空間の温度を測定するものである。したがって、第1の温度センサ50の出力と第2の温度センサ52の時系列的な出力信号の変動状態を比較することで、食品が収納されたかどうかが判断できるようになる。
このように、本実施形態では、赤外線センサの代わりに温度センサを用いると共に、この温度センサを下部冷凍室と上部冷凍室を仕切る仕切構成材に設けるようにしたので、赤外線センサのような視野範囲が制限されるといった制約がなく、製品設計の自由度を向上することができるようになる。
また、上側断熱仕切壁17aに第1の温度センサ50を設けないので、上側断熱仕切壁17aに真空断熱材を広く貼り付けられ、上側断熱仕切壁17aからの冷熱の漏洩を抑制することができる。特許文献1のように、赤外線センサを用いると、このセンサの配置部分で真空断熱材を貼り付けできなくなり、冷凍室から冷蔵室に冷熱が漏れるという不具合を生じることが無いものである。
また、本実施形態においては、縦仕切部53に、第1の温度センサ50、信号線55、コネクタ56、センサカバー57を事前に組み込んでいるので、冷蔵庫への組み付けが容易となり、作業効率を向上することができる。
次に、食品の収納の有無を判別する判別方法について説明する。図6は判別を実行した時の圧縮機と送風ファンの動作状態を示し、図7はその制御フローを示している。
図6において、或る時刻で対象となる冷凍室の扉が開かれて、生肉等の食品が貯蔵容器に収納され、時刻t1で閉じられたとする。この状態で圧縮機は、通常冷却モードとして低回転で運転され、同様に送風ファンも低回転で運転されている。
この時刻t0において、第1の温度センサ50と第2の温度センサ52で周囲の温度を検出し、その差分(扉が閉じられた時の差分であり、以下、初期差分値という)を求める。第1の温度センサ50の出力はV10であり、第2の温度センサ50の出力はV20であり、その初期差分値はΔV0である。この時は、冷凍室の扉は閉じられた直後なので、第1の温度センサ50の出力と第2の温度センサ52の出力の差分値はさほど大きくない。この初期差分値ΔV0は次のタイミングで求めた差分値(以下、N回差分値という)の更に差分(以下、差分変化値という)を求めるのに使用される。
求められた差分変化値は所定の差分閾値と比較されるものである。この差分閾値より差分変化値が小さいと、食品が収納されていないと判断される。したがって、この状態では、圧縮機と送風ファンは通常の冷却運転を継続するものである。逆に、この差分閾値より差分変化値が大きいと、食品が収納されていると判断される。したがって、この状態では、圧縮機と送風ファンは通常の冷却運転を継続するものである。
次に、所定時間毎にプログラムが実行され、時間が経過して或る時刻t1において、第1の温度センサ50と第2の温度センサ52で周囲の温度を検出し、その差分を求める。この時の第1の温度センサ50の出力はV11であり、第2の温度センサ52の出力はV21であり、そのN回差分値はΔV1である。
食品が収納された場合は、この食品付近の冷気の温度は、食品の温度の影響を受けて低下し難いので、第1の温度センサ50の出力は大きくなる。一方、第2の温度センサ52は収納された食品と離れているので、食品の温度の影響を受け難く、第2の温度センサ50の出力は小さいものである。
このため、第1の温度センサ50の出力と第2の温度センサ52の出力のN回差分値ΔV1は大きくなり、初期差分値ΔV0とこのN回差分値ΔV1の間の差分変化値は大きくなる。したがって、この差分変化値は差分閾値より大きいので、食品が収納されていると判断される。この状態では、圧縮機と送風ファンの回転は高回転とされ通常の冷却運転から急速冷却モードに移行される。
ただ、食品が収納されていない時は、第1の温度センサ50の出力と第2の温度センサ52の出力の差はさほど大きくないので、差分変化値が差分閾値より小さくなって食品が収納されていないと判断される。したがって、この状態では、圧縮機と送風ファンは通常の冷却運転を継続するものである。
次に、所定時間毎にプログラムが実行され、時間が経過し或る時刻t2において、第1の温度センサ50と第2の温度センサ52で周囲の温度を検出し、その差分値を求める。つまり、食品が収納された場合であっても、時刻t2から急速冷却モードが実行されているので、食品は通常の冷却運転に比べて急速に冷却されている。そして、この時刻t3において、第1の温度センサ50と第2の温度センサ52で周囲の温度を検出し、その差分値を求める。第1の温度センサ50の出力はV12であり、第2の温度センサ50の出力はV22であり、そのN回差分値はΔV2である。
この時は、食品は充分冷却されているので、第1の温度センサ50の出力と第2の温度センサ52の出力の差はさほど大きくなく、初期差分値ΔV0とこのN回差分値ΔV2の間の差分変化値は小さくなる。したがって、この状態では、差分変化値が差分閾値より小さいので、食品が充分冷却されたと判断され、圧縮機と送風ファンは、急速冷却モードから通常冷却モードに移行されるものである。
次に、上述したタイムチャートを実現する制御フローの考え方について図6、図7を用いて簡単に説明する。
先ず、ステップS10で通常冷却モードを実行しているが、ここで、使用者によって冷凍室扉が開けられたことをステップS11で検出する。ステップS11で冷凍室扉5が開けられると、スッテプS12で圧縮機12の運転を継続した状態で、送風ファン20の運転を停止する。
次に、使用者によって冷凍室扉が閉じられたことをステップS13で検出すると、いままで運転を停止されていた送風ファン20の運転をステップS14で再開する。次にステップS15に進み、第1の温度センサ50と第2の温度センサ52で冷凍室5内の温度を検出し、検出された温度から差分値ΔVを求める。ここで、冷凍室扉5が開かれて閉じられた時に求められた差分値ΔVを初期差分値ΔV0として記憶する。尚、次のタイミングで求められた差分値はN回差分値ΔVNとしてこれも記憶されていく。
次に、時刻t2において、ステップS14で今回の差分値である差分値ΔV1と、初期差分値ΔV0との差分変化値を算出する。差分変化値が求められると、ステップS17において、予め定めた差分閾値と差分変化値が比較される。この比較結果によって、差分変化値の方が大きいと判断されると、食品が収納されていると見做される。一方、差分変化値の方が小さいと判断されると、食品が収納された後に冷却が完了したか、或いは食品が収納されていないと見做される。
ステップS17で差分変化値の方が差分閾値より小さいと判断されるとステップS18に進み、急速冷却モードフラグが「1」になっているか判断される。急速冷却モードフラグは後述するが、急速冷却モードが実行されると、このフラグが「1」になるものである。フラグが「1」でないとステップS19に進み、冷凍室扉5が閉じられた後から所定時間T1を経過したかどうかが判断される。ステップS19で所定時間T1を経過していないと判断されると、再びステップS15に戻り、同様の処理を実行する。
ステップS19で所定時間T1を経過している判断されると、食品が収納されていないと最終的に判断して、ステップS20に進んで通常冷却モードを継続して、エンドに抜けてこの処理を終了する。
次にステップS17に戻り、本ステップS17で差分変化値の方が差分閾値より大きいと判断されるとステップS21に進む。ステップS21では、急速冷却モードフラグが「1」になっているか判断される。急速冷却モードフラグが「0」であれば急速冷却モードが実行されていないとしてステップS22に進み、急速冷却モードフラグが「1」であれば急速冷却モードを実行中としてステップS23に進む。
ステップS17で差分変化値の方が大きいと判断され、またステップS21で急速冷却モードが実行されていないと判断されると、食品が収納され、急速冷却モードが未実行であると見做されるので急速冷却モードが必要と判断される。このためステップS22では急速冷却モードに移行し、圧縮機12と送風ファン20の回転を大きくして冷気を多量に冷凍室に送り込む。これによって、食品は急速に冷却されていくことになる。急速冷却モードが実行されると、ステップS24で急速冷却モードフラグは「1」にセットされる。
急速冷却モードフラグがセットされると、次にステップS25に進むが、このステップS25では所定時間T2を経過したかどうかが判断される。この所定時間T2は必要以上に急速冷却モードを実行しないようにするものであり、これによって電力の消費を抑えるようにしている。尚、ステップS25で所定時間T2を経過していないと判断されると、再びステップS15に戻り同様の処理を実行する。ただ、この場合はステップS21で急速冷却モードフラグが「1」であると判定されるので、ステップS23に進んで急速冷却モードを継続し、その後、ステップS25に戻ることになる。
そして、所定時間T2の時間内に、ステップS17の判断によって差分変化値が差分閾値より小さくなったと判断されると、ステップS18に進む。このステップS17の判断は、食品が急速に冷却されていることを判断している。このため、無用な急速冷却モードを行なわないで、通常冷却モードに戻す必要がある。そこで、ステップS18では急速冷却モードフラグが「1」になっているかどうかが判断される。
この場合はステップS22で急速冷却モードが実行されているので、急速冷却モードフラグは「1」である。したがって、ステップS26に進み、急速冷却モードから通常冷却モードに移行して、圧縮機12や送風ファンの回転数を減少させて電力の消費を少なくする。ステップS26で通常冷却モードに戻されると、ステップS27で急速冷却モードフラグを「0」にクリアして、エンドに抜けるものである。
また、ステップS25で所定時間T2の時間内に食品を冷却できないと判断した場合は、電力の消費を抑えるためにステップS26に進んで、強制的に通常冷却モードに移行させるようにしている。
このようにして、2個の温度センサを用いて食品の収納の有無を判断して、急速冷却モードの実行を制御することができるようになる。このように、温度センサを用いることによって、赤外線センサのように取り付け位置が制限されないので、冷蔵庫の製品設計の観点から設計自由度を向上することができる。尚、第1の温度センサは食品に近い位置に設け、第2の温度センサは食品から離れた位置に設けることが必要である。
次に、第1の温度センサの取り付け位置の他の実施形態を図8乃至図10に基づき説明する。尚、同じ参照番号は同じ構成部品を示しているので、詳細な説明が必要な場合に説明し、これ以外は省略する。
図8においては、第1の温度センサ50は上部冷凍室4と下部冷凍室5の間に設けてある横仕切部18の下面に設けられている。この横仕切部18は、上部冷凍室4と下部冷凍室5の間を分離するものではなく、上部冷凍室4や製氷室3を支える仕切構成材である。
横仕切部18は上部冷凍室4と下部冷凍室5の間に設けてあるので、真空断熱材は設けられていないものである。そして、本実施形態の場合は、横仕切部18の下側の上段冷凍貯蔵容器61に食品が収納されたことを検出するものである。ただ、この場合も温度センサを使用しているため、横仕切部18の下面の位置は、赤外線センサのように制限されないものである。この構成によれば、上側断熱仕切壁17aに温度センサを設けないので、上側断熱仕切壁17aに真空断熱材を広く貼り付けられ、上側断熱仕切壁17aからの冷熱の漏洩を抑制することができる。
図9においては、第1の温度センサ50は上部冷凍室4と下部冷凍室5の間に設けてある横仕切部18aの下面に設けられている。この横仕切部18aは図8とは異なり、上部冷凍室4と下部冷凍室5の間を分離するものである。ただ、上部冷凍室4や製氷室3を支える仕切構成材であることは同様である。
横仕切部18aは上部冷凍室4と下部冷凍室5の間に設けてあるので、真空断熱材は設けられていないものである。そして、本実施形態の場合も、横仕切部18aの下側の上段冷凍貯蔵容器61に食品が収納されたことを検出するものである。ただ、この場合も温度センサを使用しているため、横仕切部18aの下面の位置は、赤外線センサのように制限されないものである。この構成によれば、上側断熱仕切壁17aに温度センサを設けないので、上側断熱仕切壁17aに真空断熱材を広く貼り付けられ、上側断熱仕切壁17aからの冷熱の漏洩を抑制することができる。
図10においては、第1の温度センサ50は上部冷凍室4と冷蔵室2の間に設けてある上側断熱仕切壁17aの下面に設けられている。この上側断熱仕切壁17aは上部冷凍室4と冷蔵室2の間を熱的に仕切る仕切構成材であることは同様である。
そして、本実施形態の場合は、上側断熱仕切壁17aの下側の上部冷凍貯蔵容器41に食品が収納されたことを検出するものである。この場合も温度センサを使用しているため、上側断熱仕切壁17aの下面の位置は、赤外線センサのように制限されないものである。また、第1の温度センサ50を断熱仕切壁17aの下側の表面より外側に露出させて取り付ければ、真空断熱材を上側断熱仕切壁17aに真空断熱材を広く貼り付けられ、上側断熱仕切壁17aからの冷熱の漏洩を抑制することができる。
以上述べた通り、本発明は、下部冷凍室の上側に設けられ、下部冷凍室と上部冷凍室或いは上部冷蔵室を仕切る仕切構成材に第1の温度センサを設け、更に第1の温度センサから離れた下部冷凍室に第2の温度センサを設け、これらの温度センサの出力信号を用いて急速冷凍モードの実行を制御する、ものである。これによれば、赤外線センサのように取り付け位置が制限されないので、冷蔵庫の製品設計の観点から設計自由度を向上することができる。
また、下部冷凍室の上側に設けられ、下部冷凍室と上部冷凍室を仕切る、真空断熱材を備えていない仕切構成材に第1の温度センサを設け、更に第1の温度センサから離れた下部冷凍室に第2の温度センサを設け、これらの温度センサの出力信号を用いて急速冷凍モードの実行を制御する、ものである。これによれば、断熱仕切壁に温度センサを設けないので、断熱仕切壁に真空断熱材を広く貼り付けられ、断熱仕切壁からの冷熱の漏洩を抑制することができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。