近年、冷蔵庫の庫内の食品の有無や収納場所を検知することで省エネルギー化を図る方法として、圧力センサーを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
図6は従来の冷蔵庫の一実施例を示す冷蔵庫の開扉した正面図、図7は冷蔵庫内の要部の側面断面図である。
図6に示す冷蔵庫本体1には、断熱壁を介して設けた内箱25内に、上方から冷蔵室2、製氷室4、野菜室6、冷凍室14が配設され、製氷室4の側方には室内を多温度に切り替えることができる切替室9を併設している。
最も貯蔵品出し入れの使用頻度が高く収納容量も大きい冷蔵室3は、両側をヒンジで枢支した観音開き式の回転扉8でその前面開口を閉塞し、製氷室4、切替室9、野菜室6および冷凍室14には、それぞれ引出し式の扉を設けている。また、冷蔵庫1の主制御部33はマイクロコンピュータで構成され、冷蔵庫本体1の背面に配設されている。
冷蔵室2は、冷蔵温度に保持された室内を適当間隔で設けた複数の棚15によって上下に区画し、その底部には製氷室4内に製氷用水を供給する給水タンクやチルド温度に保持する低温室34を設けている。
棚15は、合成樹脂材を射出成形した矩形の板状体であって、冷蔵室2を形成する内箱25の側壁に前後方向に亙って凸形成された棚受けビード22に側縁部を載置して保持されており、この各棚15下面の隅部に対応する位置には、図6に示すように、圧力センサー20を配置している。
この圧力センサー20は、棚受けビード22上に固着されており、幅7mm×5mmで厚みが3mm程度の大きさからなる単結晶シリコンで形成され、受圧膜であるダイアフラム上に、ゲージ抵抗である拡散抵抗と鋼球からなる球状の感知部を配置し、加圧によりダイアフラムが受ける応力によってもたらされる拡散抵抗の抵抗変化を電気変換することで、棚15上に掛かる重量負荷を検出するものである。
そして、棚15下面の隅部に対応する位置に、圧力センサー20他の球状感知部を当接させて設置することで、棚15上に載置された微小荷重を高精度で検出することができるものであり、各隅部の検出値により、食品21が棚15面にあるかを特定するものである。
次に、制御構成を説明する。圧力センサー20は増幅器を介して主制御部33に接続されており、食品21を棚15上に載置した際の圧力(重量)による読み取りデータを主制御部33に入力し管理する。
主制御部33には、圧力センサー20による圧力値の読み取り装置、冷蔵室2の回転扉8や各引出し式扉の開閉を検知する扉スイッチを統括する扉開閉検出部などの情報の入力装置を具備している。
さらに、この主制御部33は、データを記憶するためのメモリーを備えている。
しかして、圧力センサー20で読み取った検出データ値は、主制御部33のメモリーに記憶させるものであり、棚受けビード22上に棚15を載置した状態を「0」として、棚上に食品21を置いた際の圧力(重量)を、圧力センサー20が読み取り、棚上に食21を置いた際の圧力(重力)値から食品の重量がわかるとともに、それをメモリーに記憶させているため、庫外への取り出しやその都度の圧力(重力)変化をチェックすることでその増減の差から残量を算出できるものである。
すなわち、載置されていた食品21が取り除かれた場合には圧力値がなくなるので、「食品がない」と言う情報になり、バターや調味料のように使用されて量が減少した場合には値が減るので残量が検知できるものである。
圧力センサー20によるデータの検出は、上記のように開扉時におこなう。すなわち、食品21の出し入れには回転扉8の開閉動作をともなうため、扉開閉検出部で回転扉8の開閉を検出し、開扉時に圧力センサー20のデータを検出することで、合理的に正確なデータを検出できるものである。
また、閉扉時には、圧力センサー20の情報をリセットして0点補正するとともに、それまでの情報を主制御部33に記憶させていることで、該開閉扉前までの情報データとの比較により、継続して棚15上に載置されている食品21の有無や残容量の状態、および新たに収納された食品21の有無を、各圧力センサー20のデータ値の増減を分析することで判別する。
このようにして、食品21の位置を検知して、どこに食品21が存在しているかを推定することで、開扉による熱漏洩を低減している。
第1の発明は、扉を有する貯蔵室と、前記貯蔵室に設けられた食品検知手段と、温度検知手段と、前記貯蔵室を冷却する風量を調節する冷却量調節手段とを備え、前記食品検知手段で検知した信号に対応して前記冷却量調節手段で冷却量を調節し、前記温度検知手段は非接触の赤外線センサーであり、前記赤外線センサーの検知温度に対して閾値温度以下であれば冷却量を低減する冷蔵庫において、前記赤外線センサーは前記貯蔵室の1つである冷蔵室の天井面扉開口部側に設置するとともに、各棚の背面部で前記冷蔵室の戻り風路側にも設置したものである。
これによって、食品投入があった場合には、投入された食品を集中的に冷却することが可能であり、また、食品投入がない場合でも既存の食品の温度を検知することによって庫内への冷却量を落とすことができるため、最適な冷却量を庫内に当てることによって冷蔵庫の省エネルギー化を行うことが出来る。
また、食品の温度に対して検知の温度が高ければ通常の冷却運転を行い、検知の温度が低ければ食品の温度が低いと判断し冷却量を落とすことで、貯蔵室内の負荷量に応じて冷却量調整を行うことができるため冷蔵庫の冷却運転時間を低減でき、省エネルギー化を図ることが出来る。また、投入された食品だけでなく既存の食品に対しても同様の冷却量制御ができるため扉開閉時の食品投入だけでなく熱マスの大きい食品に対しても有効である。
また、食品を購入してきてから食品を投入する際に、収納する位置として多い手前部を主に検知することができるため、食品の温度や投入判断を精度よく行うことが出来る。さらに通常、冷蔵庫の手前部は奥部に対して高い温度分布となっており、比較的温度の高い手前部の温度を管理することで庫内の温度分布の均一化や冷え遅れの抑制を図ることが出来る。また、赤外線センサーを冷蔵室の最も温度の高い部分であるドア側の天井面扉開口部側と各棚の背面部で冷蔵室の戻り風路側に設置することにより、赤外線センサー表面の結露防止効果を向上させることができる。
第2の発明は、赤外線センサーのサーモパイルで検知した温度が、閾値に対して乖離がもっとも多い棚を優先的に冷却運転するようにしたものである。これによって、冷却運転が必要な棚を優先的に冷却運転することができるため、冷却効率の向上が図れると共に、食品を早く冷却することができるため、鮮度劣化の抑制が可能である。さらに冷凍温度帯の貯蔵室においては、食品の鮮度劣化に関係のある最大氷結晶生成帯である−1℃〜−5℃の通過時間を短縮することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成及び差異がない部分については、詳細な説明を省略する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の正面図である。図2は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の側面断面図である。図3は本発明の実施の形態1による冷蔵室内部の一部拡大側面断面図である。図4は本発明の実施の形態1による冷蔵室内の風路概略図である。
図1から図4に示すように、冷蔵庫本体101は、前方に開口する金属製(例えば鉄板)の外箱124と硬質樹脂製(例えばABS)の内箱125と、外箱124と内箱125の間に発泡充填されたウレタン断熱材126からなる断熱箱体で、この本体の上部に設けられた冷蔵室102と、冷蔵室の下に設けられた上段冷凍室103と、冷蔵室102の下で上段冷凍室103に並列に設けられた製氷室104と、本体下部に設けられた野菜室106と、並列に設置された上段冷凍室103及び製氷室104と野菜室106の間に設けられた下段冷凍室105で構成されている。上段冷凍室103と製氷室104と下段冷凍室105と野菜室106の前面部は引き出し式の図示しない扉により開閉自由に閉塞されると共に、冷蔵室102の前面は、例えば観音開き式の図示しない扉により開閉自由に閉塞される。
冷蔵室102は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。野菜室106は冷蔵室102と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。低温にすれば葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。上段冷凍室103と下段冷凍室105は冷凍保存のために通常−22から−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30から−25℃の低温で設定されることもある。
冷蔵室102や野菜室106は庫内をプラス温度で設定されるので、冷蔵温度帯を呼ばれる。また、上段冷凍室103や下段冷凍室105や製氷室104は庫内をマイナス温度で設定されるので、冷凍温度帯を呼ばれる。
冷蔵庫本体101の天面部は、冷蔵庫の背面方向に向かって階段状に凹みを設けて機械室119があり、第一の天面部と第二の天面部で構成されている。この階段状の凹部に配置された圧縮機117と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、コンデンサ(図示せず)と、放熱用の放熱パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ118と、冷却器107とを順次環状に接続してなる冷凍サイクルに冷媒を封入し、冷却運転を行う。前記冷媒には近年、環境保護のために可燃性冷媒を用いることが多い。なお、三方弁や切替弁を用いる冷凍サイクルの場合は、それらの機能部品を機械室内に配設することも出来る。
また、冷蔵室102と製氷室104および上段冷凍室103とは第一の断熱仕切り部110で区画されている。
また、製氷室104と上段冷凍室103とは第二の断熱仕切り部111で区画されている。
また、製氷室104および上段冷凍室103と、下段冷凍室105とは第三の断熱仕切り部112で区画されている。
第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112は、冷蔵庫本体101の発泡後組み立てられる部品であるため、通常断熱材として発泡ポリスチレン126が使われるが、断熱性能や剛性を向上させるために硬質発泡ウレタンを用いてもよく、更には高断熱性の真空断熱材を挿入して、仕切り構造のさらなる薄型化を図ってもよい。
また、ドアフレームの稼動部を確保して第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の形状の薄型化や廃止を行うことで、冷却風路を確保でき冷却能力の向上を図ることもできる。また、第二の断熱仕切り部111および第三の断熱仕切り部112の中央部をくりぬき、風路とすることで材料の低減につながる。
また、下段冷凍室105と野菜室106とは第四の仕切り部113で区画されている。
冷蔵庫本体101の背面には冷却室123が設けられ、冷却室123内には、代表的なものとしてフィンアンドチューブ式の冷気を生成する冷却器107が断熱仕切壁である第二および第三の仕切り部111、112の後方領域を含めて下段冷凍室105の背面に上下方向に縦長に配設されている。また、冷却器107の材質は、アルミや銅が用いられる。
冷却器107の近傍(例えば上部空間)には強制対流方式により冷蔵室102,製氷室104、上段冷凍室103、下段冷凍室105、野菜室106の各貯蔵室に冷却器107で生成した冷気を送風する冷気送風ファン116が配置され、冷却器107の下部空間には冷却時に冷却器107や冷気送風ファン116に付着する霜を除霜する除霜装置としてのガラス管製のラジアントヒータが設けられている。除霜装置は特に指定するものではなく、ラジアントヒータの他に、冷却器107に密着したパイプヒータを用いても良い。
冷気送風ファン116は、内箱125に直接配設されることもあるが、発泡後に組み立てられる第二の仕切り部111に配設し、部品のブロック加工を行うことで製造コストの低減を図ることもできる。
次に赤外線センサー128を取り付けている冷蔵室102の構成について説明する。
図3に示すように、冷蔵室102の天井面である内箱125には、食品121の温度を検知する赤外線センサー128が、検知する延長線上の食品収納スペースがある方向(本実施例の場合は下方向)に向かって設置してある。また、冷蔵室内の各棚の背面部には各棚の食品温度を検知する赤外線センサー128が、冷蔵庫背面の内箱125に斜め上部より各棚底面を向くように、かつ、食品121が直接触れないように棚の背面に設置してある。
冷蔵室背面には図4に示すように、冷却器107で生成された冷気が吐出される各棚の吐出口134と、冷蔵室102内を循環した冷気が、再び冷却室123に戻るための戻り口である戻りダクト135、および吐出口と戻り口とを構成したダクト136が設けてある。ダクト136部分には、冷却器107から庫内への冷気を送風する量を調節する冷気ダンパ132が設けてあり、冷気ダンパ132の開度率を調節することで冷蔵庫内への風量を調節し、冷却を行っている。また、ダクト136内には冷蔵室102の各棚への冷気を導く風路が構成されており、各棚への風路面積は冷蔵室最上段のような経路の長くなるほど面積を大きくとっている。即ち、本実施の形態では、冷蔵室102の庫内は1段目から4段目まであるがダクト136の風路面積は、1段目>2段目>3段目>4段目というような順で構成している。これはダクト136の風路面積比によって冷蔵室上段部へのダクト面積を大きくとるようにしたことで、冷蔵室内において比較的温度の高い上段部へと導くダクト面積の方を大きくとることで、冷蔵室内の風量分布の向上が図れ、温度分布の向上を行うことができるため、ムラなく食品121の保存をすることができ鮮度劣化の抑制と可能とすることができるためである。
また、ダクト136の風路面積比について、冷蔵室1段目のようにダクト経路の長い方の面積を大きくとるようにすることで、ダクト経路が長いとダクト内を通過する時に冷気の冷却量は低下するが、ダクト面積を大きくし風量を大きくとることで冷蔵室内への冷却量を維持することができる。
また、ダクト136を通過した風量は、冷蔵室各棚にある吐出口134から冷蔵室内へと冷気が吐出され、冷蔵室内の冷却および食品121を冷却するが、吐出口134には冷気吐出の向きを調節する風向調節装置133が設けてある。これによって、冷蔵室内の食品121が保存されている各棚に対して、赤外線センサー128で検知した温度の中で温度の高い食品121に向かって冷気の向きを調節し食品121を集中して冷却できると共に、食品121の温度が規定温度に達するまでの冷却速さの向上が図れる。特に冷却速さの向上は、他の食品121への温度影響による鮮度劣化を緩和するのに効果がある。さらに、温度の高い食品121を集中して冷却することができるため、従来のように冷蔵室内全体を冷却する場合に比べ、冷却量を低減することが可能であるため、冷却運転時間を低減でき、省エネルギー化を図ることにも効果がある。
なお、風向調節装置133において、風向調節を左右方向のみでなく上下方向も可能とすることで、例えば、冷蔵室2段目の食品121の温度が高い場合に、3段目の吐出口134からも冷却し2段目と3段目の上下での集中冷却を行うことによって、更なる冷却時間短縮と他の食品121への熱影響での鮮度劣化抑制と運転時間短縮による省エネルギー化を行うことにも効果がある。
なお、風向調節装置133において、風向板の向きを変えて吐出口134のそれぞれを独立に閉じるようにすることで、各棚に吐出する風量を調節すると、更に各吐出口の風量調節が可能となる。これにより、庫内や食品121の冷却したい部分のみに冷気を与えることができるため、更に効率的に冷却することと省エネルギー化を行うことができる。
本実施例のように、赤外線センサー128を内箱断熱部内に設置することで、吐出口134からの冷気の風の影響を受けにくくできるため、検知精度の向上を図ることができる。さらに、センサー先端部を内箱断熱部の表面よりも内側とすることで冷蔵室内に食品121を大量に入れられた場合や、清掃時でも赤外線センサー128の検知部に異物が付着することが無いため検知の誤動作を招かない。さらに庫内への突出による清掃時の引っかかりがないため過剰な力の加重による部品の欠落や検知方向のズレ等を防止することができる。また庫内に突出していないので庫内容量が減少せず、容量の確保をすることができる。
次に、本実施の形態で使用した赤外線センサー128について説明する。
赤外線センサー128は、検知する面の範囲から発せられる赤外線量を先端のサーモパイル129で検出し、電気信号に変換している。サーモパイル129の周囲にはプローブ130があり、さらに基板部分に配置されている基準温度であるサーミスタ131の電圧と比較することによって検知した対象物の温度を算出することで温度検知を行っている。この赤外線センサー128は検知する範囲の円内部において、中心が最も赤外線検知強度が強く、端に行くほど検知強度が弱くなる。そのためサーモパイル129の視野角度をより絞ることで検知物の赤外線量の強度を上げることが出来、対象物温度を確実に検出することができるが、視野角度の一部がプローブ130の先端部に重なるため先端部温度の影響を受け誤検知の要因となることにより、本実施の形態ではサーモパイルの視野角を39°以上としている。
本実施の形態に用いた赤外線センサー128は、シリコン基板上に形成された多数の熱電対で構成されたサーモパイル129を用いた。さらにプローブ130部分の材質は熱伝導性に優れたアルミナ粉末を用いた成型物であるが、熱伝導性に優れた材質であれば、例えばマグネシア粉末や窒化アルミニウム粉末などのセラミック粉末を分散させた成型物でも良い。また、赤外線センサー128の検知応答性において樹脂タイプのプローブ130を用いると応答性に遅れが生じるものの、比重が低減できるため重量低減に効果がある。樹脂タイプのプローブ130において厚みを薄くすることで若干の応答性向上を図ることができ、体積低減も行えるため省材料で環境負荷の低減も行うことができる。薄肉化は、熱伝導性に優れた金属製の材質でも同様である。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
例えば冷蔵室102や冷凍室103,105等が外気からの熱侵入およびドア開閉などにより、庫内温度が上昇して冷蔵室センサ(図示せず)や冷凍室センサ(図示せず)が圧縮機117の起動温度以上になった場合に、圧縮機117が起動し庫内の冷却が開始される。圧縮機117から吐出された高温高圧の冷媒は、最終的に機械室119に配置されたドライヤ(図示せず)まで到達する間、特にコンデンサー(図示せず)や外箱124に設置される放熱パイプ(図示せず)において、外箱124の外側の空気や庫内のウレタン断熱材126との熱交換により、冷却されて液化する。
次に液化した冷媒はキャピラリーチューブ118で減圧されて、冷却器107に流入し冷却器107周辺の庫内空気との熱交換をする。熱交換された冷気は、近傍の冷気送風ファン116により庫内に冷気が送風され庫内を冷却する。この後、冷媒は加熱されガス化して圧縮器117に戻る。庫内が冷却されて冷凍室センサ(図示せず)の温度が停止温度以下になった場合に圧縮機117の運転が停止する。
上記のような運転サイクルを繰り返すことで冷蔵庫は冷却運転を行っている。
このとき赤外線センサー128の検知は、冷蔵室102のドアが閉しているときには、冷蔵室102の天面や各棚背面に取り付けられているサーモパイル129が冷蔵室内にある食品温度もしくは棚の温度を検知している。周囲に対して、検知している食品温度が高い場合には、冷蔵室背面にある各吐出口134より吐出される冷気で温度の高い食品を集中して冷却することで、効率よく食品の温度を下げることが可能である。特に他の食品への過冷却を抑えて温度の高い食品のみを冷却するため、従来の冷蔵室内の全体を冷却する場合に比べ冷却時間を短くすることできるので省エネルギー化が可能である。また、吐出冷気により温度の高い食品を集中して冷却できるため周囲の食品に冷気の当てすぎ、すなわち過剰冷却による凍結や、それによる品質劣化の懸念を払拭することが出来る。一方、冷蔵室102のドアが閉しているときで、赤外線センサー128が検知している食品温度も周囲に対して高くなく基準温度程度である場合には、冷蔵室102の冷却時間を従来に対して短くし、庫内の温度を食品の品質劣化に影響のない程度(例えば+2k程度)に上昇させて冷蔵庫の温度制御を行うことで、圧縮機117の運転時間や、冷蔵室内の冷却時間を短縮することが出来るため省エネルギー化を行うことが出来る。夜間などのドア開閉が少ないとき、また、食品収納物の少ないときには赤外線センサー128の検知温度をマイコンにより判断し自動で庫内の温度を上昇させることで、お客様の手を煩わせることなく省エネ化を行うことが出来る。
冷蔵室内は、冷蔵室センサーの温度によって、ダクト内にある冷気ダンパ132を動作させ、ダンパを開閉することで冷却器107で生成された冷気を庫内へと送り冷却している。
また、ドアを開けて外気に触れた食品121を投入した場合には、庫内との温度差が著しく分かるため、ドアスイッチがない状態でも食品121の温度検知によりドアが開されて食品121の投入がされたと判断できる。これにより、世界的な原材料の不足による部品高騰の中でコストUPの要因となるドアスイッチと、ドアスイッチに関連する周囲の結線をコストダウンすることが可能であるため、材料の省資源化や部品の組み立て時の取り付けミス等を防止できる効果がある。
さらに食品の温度の高いところを中心に、吐出冷気により食品を冷却できるため周囲の食品に冷気の当てすぎ、すなわち過剰冷却による凍結や、それによる品質劣化の懸念を払拭することが出来る。
また、冷蔵室1段目の赤外線センサー128は冷蔵室天面のドア開口部側に下方奥向きに向かって設置してあるため、食品投入頻度の多い冷蔵室開口手前側に置かれた食品を中心に検知できるため、検知精度の向上を図ることができる。さらに、冷蔵庫庫内の背面側に向かって検知範囲をとっているため食品121の置かれる棚全体を検知するように配慮されている。これにより、更なる検知精度の向上が図ることが出来る。
なお、日本独特の多湿気候条件では、ドアを開けた場合に外気の暖湿気が庫内へ流入するが、赤外線センサー128の表面に結露するとサーモパイル129は結露水の温度を検知することとなる。さらにドアが閉されて庫内の冷却運転が開始されると結露した水は、冷蔵庫背面にある吐出冷気の影響で氷結する可能性があり、氷結した場合は、氷結した水滴が昇華するまでサーモパイル129は食品121の温度を検知しにくくなる。そのため本実施の形態では冷蔵室内の温度分布の中で、最も温度の高い部分であるドア側寄りに配置している。更に各棚を検知する赤外線センサー128については、庫内の中でも比較的に温度の高い戻り風路側に設置している。例えば結露防止の対応としてシャッター機構を搭載することもできるが、ドア開閉と連動する必要があるため複雑な機構が必要となってしまう。冷蔵室内に対して周囲の温度よりも平均して温度が高い部分に赤外線センサー128を設置することで、経年劣化の原因となる水分の付着がしにくい設計となるので製品寿命を延ばすことにも効果がある。
なお、貯蔵室内に赤外線センサー128を設置する際、本実施の形態では内箱断熱部の表面以下にセンサープローブ130の表面が配置するように配慮してある。これにより、背面の冷気吐出口からの冷気がプローブ先端部を過度に冷却しないようにして検知の温度変動を低減するのに加えて、食品収納量以上に収納された場合の食品の引っかかりや異物の付着、清掃時に赤外線センサー128の先端が指や清掃物であるタオル等に引っかかったりして過度な力作用での部品欠落や外れを抑える働きがある。
なお、赤外線センサー128は自身の温度を検知するサーミスタ131が過度な温度変動を起こすと誤検知するため、熱変動のある部分から温度影響を受けない程度に離すことが望ましい。冷蔵庫では放熱用及び表面結露防止用に銅もしくは鉄等の金属材料を主体としたパイプを配設しているためパイプからの距離を本実施の形態では15mm以上離している。また、冷蔵室背面の赤外線センサー128については、ダクト吐出部から断熱材(本実施の形態においては発泡スチロール)を介し、吐出冷気の影響を回避している。
なお、赤外線センサー先端部の結露及び氷結防止の対応として、ヒータ熱を利用する方法がある。この場合、基板上にチップ抵抗をつける方法で行うと低コストでの対応が可能である。チップ抵抗の容量としては、本実施の形態の赤外線センサー128であれば0.25W程度の容量を5Vの電圧で約20分/日の通電率であれば十分にプローブ先端の温度上昇を確保できる。さらに長期で使用される冷蔵庫において1日毎でなくても1ヶ月に1回等の頻度で確実に結露や氷結を除去し定期的にリフレッシュする方法も製品寿命を延ばす上で効果的である。
また、近年の冷凍サイクルの冷媒としては、地球環境保全の観点から地球温暖化係数が小さい可燃性冷媒であるイソブタンが使用されている。この炭化水素であるイソブタンは空気と比較して常温、大気圧下で約2倍の比重である(2.04、300Kにおいて)。仮に、圧縮機117の停止時に冷凍システムから可燃性冷媒であるイソブタンが漏洩した場合には、空気よりも重いので、下方に漏洩することになる。特に、冷媒の滞留量が多い冷却器107から漏洩する場合には、漏洩量が多くなる可能性があるが、赤外線センサー128を配置した冷蔵室102は、冷却器107より上方に設置されているため、漏洩しても冷蔵室102には漏洩することがない。
また、仮に冷蔵室102に漏洩したとしても、冷媒は空気より重いため冷蔵室下部に滞留する。よって、赤外線センサー128が冷蔵室天面に設置されているため、赤外線センサー128付近が可燃濃度になることは極めて低い。なお、冷凍室103,105に設置した場合も同様に考えることができる。
本実施の形態のように、特に、家庭用冷蔵庫のような、多種多様な食品が収納される可能性がある場合に、従来に比して精度よく食品の収納状況を検知でき省エネ効果を発揮しやすい。
(実施の形態2)
本実施の形態は実施の形態1に加え、さらに冷蔵室においても食品検知手段である温度検知手段を備えたものであり、実施の形態1で説明した構成と組合わせて実現することが可能なものである。
図5は本発明の実施の形態2による冷凍室内部の一部拡大側面断面図である。
赤外線センサー128を取り付けている冷凍室の構成について説明する。
図5に示すように、冷凍室103の天井面である第一の断熱仕切り部110には、食品の温度を検知する赤外線センサー128が、検知する延長線上の食品収納スペースがある方向(本実施例の場合は下方向)に向かって設置してある。
冷凍室背面には冷却器107で生成された冷気が吐出される吐出口(図示せず)と、冷蔵室102内を循環した冷気が、再び冷却室123に戻るための戻り口(図示せず)、および吐出口と吸い込み口とを構成したダクト(図示せず)が設けてある。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用について説明する。
例えば冷蔵室102や冷凍室103,105等が外気からの熱侵入およびドア開閉などにより、食品が投入された場合には、冷蔵室102と冷凍室103,105のどちらの温度検知手段のほうが、予め設定した閾値に対して乖離が大きいか、すなわちそれぞれの貯蔵室に予め設定した閾値よりも温度差が大きいかを判定し、乖離がもっとも多い貯蔵室を優先的に冷却運転するようにすることで、冷却運転が必要な貯蔵室を優先的に冷却運転する。
これによって、複数の貯蔵室間においてもさらに適切な貯蔵室をまずは集中して冷却を行うことができ、従来に比して精度よく食品の収納状況を検知でき省エネ効果を発揮しやすい。
このように、赤外線センサー128のサーモパイル129で検知した温度に対して、閾値を設け一定温度以下である判断を行うことで、例えば、食品の温度に対して検知の温度が高ければ通常の冷却運転を行い、検知の温度が低ければ食品の温度が低いと判断し冷却量を落とすことで、貯蔵室内の負荷量に応じて冷却量調整を行うことができるため冷蔵庫の冷却運転時間を低減でき、省エネルギー化を図ることが出来る。
また、投入された食品だけでなく既存の食品に対しても同様の冷却量制御ができるため扉開閉時の食品投入だけでなく熱マスの大きい食品に対しても有効である。
また、赤外線センサー128のサーモパイル129で検知した温度に対して、設けた閾値に対して乖離がもっとも多い貯蔵室を優先的に冷却運転するようにすることで、冷却運転が必要な貯蔵室を優先的に冷却運転することができるため、冷却効率の向上が図れると共に、食品を早く冷却することができるため、鮮度劣化の抑制が可能である。