以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、本発明は、以降に示す各実施の形態のあらゆる組み合わせを含むものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫の外観を示す正面図である。図2は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫の側面断面図であり、図1中のA−A線断面図である。図1および図2に示すように、本実施の形態1の冷蔵庫1000の本体すなわち筐体は、複数の貯蔵室である冷蔵室100、製氷室200、切替室300、冷凍室400および野菜室500を有する。一番上に冷蔵室100が配置され、その下に製氷室200および切替室300が配置され、その下に冷凍室400が配置され、その下に野菜室500が配置されている。冷蔵室100、製氷室200、切替室300、冷凍室400および野菜室500には、各々の前面開口部を開閉する扉が個別に設けられている。冷蔵室100の扉は観音開きになっている。製氷室200、切替室300、冷凍室400および野菜室500は、当該室の個別の扉とともに、冷蔵庫1000の手前側に引き出し得るように形成されている。
図2に示すように、冷蔵室100の内部の最下段にチルド室110が設けられている。チルド室110は、チルドケース111により構成される。チルドケース111は、レール等の案内具(図示省略)により、冷蔵室100の扉の方へ引き出し得るように形成されている。
冷蔵庫1000の本体には、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する冷凍サイクル回路が設置されている。また、冷蔵庫1000の本体の内部には、この冷凍サイクル回路によって冷却された冷却空気を各貯蔵室へ供給するための風路が形成されている。
冷凍サイクル回路は、圧縮機1001、圧縮機1001から吐出された冷媒を凝縮させる凝縮器(図示省略)、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる絞り装置(図示省略)、および、絞り装置で膨張した冷媒によって各貯蔵室へ供給する空気を冷却する冷却器(蒸発器)1002等を有する。この冷凍サイクル回路は、一般的に知られている周知の冷凍サイクル回路でも良い。
本実施の形態1では、圧縮機1001は、冷蔵庫1000の本体の背面側の下部に配置されている。冷却器1002は、後述する冷却風路1010に設けられている。また、冷却風路1010には、冷却器1002で冷却された冷却空気を各貯蔵室へ送るための送風装置1003が設けられている。換言すると、送風装置1003は、冷蔵庫1000の本体の内部で冷却空気を循環させるものである。
この冷凍サイクル回路によって冷却された冷却空気を各貯蔵室へ供給するための風路は、冷却風路1010、戻り風路1020、冷蔵室戻り風路101、および野菜室戻り風路501等から構成されている。本実施の形態1では、冷却風路1010は、冷蔵庫1000の本体の背面部に形成されている。冷却風路1010は、冷却器1002にて冷却された冷却空気を各貯蔵室に送る通風路である。冷蔵庫1000は、各貯蔵室への冷却空気の流入量すなわち吹出風量を制御する吹出風量制御装置を有する。本実施の形態1では、冷蔵室100への冷却空気の吹出風量を制御する吹出風量制御装置としての冷蔵室ダンパ102が冷却風路1010内に設けられている。冷蔵室ダンパ102の開率を小さくすると冷蔵室100への冷却空気の吹出風量が低下し、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくすると冷蔵室100への冷却空気の吹出風量が増加する。図2では、吹出風量制御装置として冷蔵室ダンパ102のみを示すが、冷蔵庫1000は、冷蔵室100以外の各貯蔵室への冷却空気の吹出風量を制御する例えばダンパ等の吹出風量制御装置(図示省略)を更に備える。
戻り風路1020は、各貯蔵室を冷却した冷却空気を冷却器1002へ送る通風路である。冷蔵室戻り風路101は、冷蔵室100およびチルド室110を冷却した冷却空気を野菜室500へ送る通風路である。冷蔵室100およびチルド室110を冷却した冷却空気は、野菜室500を冷却した冷却空気と野菜室戻り風路501にて混合され、冷却器1002へ送風される。
冷蔵庫1000には、冷蔵室100の扉の開閉を検出する扉開閉検出手段8が設けられている。後述する制御装置1004は、扉開閉検出手段8により冷蔵室100の扉の開閉を検出し、この扉が開いたままになっている状態が予め設定された制限時間以上持続した場合に、扉が開いたままであることを使用者に報知するように制御しても良い。この制限時間は、例えば1分としても良いし、1分超でも良いし、1分未満でも良い。この制限時間を使用者が任意に設定できるものとしても良い。また、扉開閉検出手段8は、冷蔵室100以外の他の貯蔵室の扉の開閉を検出するように設けられていても良い。また、冷蔵庫1000は、冷蔵庫1000のすべての貯蔵室に対して扉開閉検出手段8を備えていても良い。
冷蔵庫1000は、操作パネル1を有する。図2では、冷蔵室100の扉に操作パネル1が設置されている。後述するように、操作パネル1は入力手段9および表示手段10を有する。操作パネル1の設置位置は、冷蔵室100の扉に限るものではない。操作パネル1は、他の貯蔵室の扉に設置されていても良いし、冷蔵庫1000の本体の側面に設置されても良い。また、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して別体として設けられても良い。その場合、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して着脱自在になっていても良いし、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に装着できない構造でも良い。操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して別体として設けられた場合には、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方は、制御装置1004と有線または無線によって通信を行う。
冷蔵庫1000の本体の背面には、制御装置1004が設置されている。制御装置1004は、予め記憶されたプログラムに基づき、圧縮機1001の動作、送風装置1003の動作、および、冷蔵室ダンパ102を含む各貯蔵室の吹出風量制御装置の動作を制御する。以下の説明では、冷蔵室ダンパ102を含む各貯蔵室の吹出風量制御装置を総称するときおよび冷蔵室100以外の吹出風量制御装置を指すときは「吹出風量制御装置」または「ダンパ」と称する。また、冷蔵室100の吹出風量制御装置すなわち冷蔵室ダンパ102のみを指すときは「冷蔵室ダンパ102」と称する。
図3は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫1000の機能ブロック図である。図3に示すように、操作パネル1は、使用者の情報入力操作を受け付ける入力手段9と、情報を表示する表示手段10とを有する。使用者は、各貯蔵室の設定温度に関する情報と、使用者のスケジュールに関する情報であるスケジュール情報とを入力手段9に入力することができる。制御装置1004は、記憶手段2および制御手段3を有する。記憶手段2は、制御手段3と通信可能である。また、記憶手段2は、扉開閉検出手段8の検出信号を受信する。更に、記憶手段2は、操作パネル1の入力手段9および表示手段10と通信可能に接続されている。記憶手段2は、入力手段9にて入力された各貯蔵室の設定温度に関する情報(例えば、各貯蔵室の設定温度)および使用者のスケジュール情報を受信し、それらの情報を記憶する。表示手段10は、各貯蔵室の現在の温度情報と、記憶手段2にて記憶された使用者のスケジュール情報とを表示することができる。
制御手段3は、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の各々と電気的に接続されている。制御手段3は、記憶手段2から使用者のスケジュール情報を受信する。制御手段3は、記憶手段2から受信した使用者のスケジュール情報に基づき、各貯蔵室の室内温度を制御するために必要な制御信号を、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置に送る。制御手段3は、使用者のスケジュール情報と、予め記憶されたプログラムとに基づき、各貯蔵室の冷却を促進または抑制するように、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置を制御する。
記憶手段2は、扉開閉検出手段8にて検出された扉の開閉の情報を記憶する。また、記憶手段2は、扉開閉検出手段8にて検出された扉の開閉の過去の履歴に関する情報を記憶する。これらの情報を以下「扉開閉情報」と称する。記憶手段2は、扉開閉情報を制御手段3に送信する。本実施の形態1では、制御手段3は、使用者のスケジュール情報と扉開閉情報とに基づいて、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置を制御する。ただし、本発明では、扉開閉情報を併用せずに使用者のスケジュール情報に基づいて圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置を制御しても良い。
図4から図6は、本実施の形態1の冷蔵庫1000において、使用者のスケジュール情報を表示する表示手段10の表示画面の一例を示す図である。記憶手段2は、入力手段9にて入力された使用者のスケジュール情報を記憶するとともにそのデータを管理する。図4から図6は、記憶手段2にて記憶および管理されたスケジュール情報のデータに基づいて操作パネル1の表示手段10が表示する画面を模擬したものである。
図4は月表示のスケジュール画面であり、図5は週表示のスケジュール画面であり、図6は日表示のスケジュール画面である。図4から図6では、使用者として、一般的な共働き家庭の4人家族を想定している。この4人家族は、父:太郎、母:花子、長女:和美、および、長男:一夫を含む。
図4の月表示において、使用者全員の予定ありマーク11aは、使用者全員の予定があることを示すマークである。父(太郎)の予定ありマーク11bは、父である太郎の予定があることを示すマークである。母(花子)の予定ありマーク11cは、母である花子の予定があることを示すマークである。長女(和美)の予定ありマーク11dは、長女である和美の予定があることを示すマークである。長男(一夫)の予定ありマーク11eは、長男である一夫の予定があることを示すマークである。
図5の週表示において、マーク12a〜12gは、予定の内容を示すマークである。旅行予定マーク12aは、旅行の予定があることを示す。出張予定マーク12bは、出張の予定があることを示す。ゴルフ予定マーク12cは、ゴルフの予定があることを示す。外食予定マーク12dは、外食の予定があることを示す。水泳(習い事)予定マーク12eは、習い事である水泳の予定があることを示す。ピアノ(習い事)予定マーク12fは、習い事であるピアノの予定があることを示す。サッカー(習い事)予定マーク12gは、習い事であるサッカーの予定があることを示す。
図6の日表示において、現在時刻マーク13は、現在時刻を示すマークである。マーク14a,14bは、使用者の不定期な外出の予定の時間帯を示す。出張(不定期な予定)による外出時間帯マーク14aは、不定期な外出である出張の予定の時間帯を示す。図6では、父太郎が一日中出張する予定であることが示される。外食(不定期な予定)による外出時間帯マーク14bは、不定期な外出である外食の予定の時間帯を示す。図6では、母花子、長女和美および長男一夫が18:00から21:00まで外食に行っている予定であることが示される。マーク15a,15bは、使用者の定期的な外出の予定の時間帯を示す。仕事(定期的な予定)による外出時間帯マーク15aは、定期的な外出である仕事の予定の時間帯を示す。図6では、母花子が8:00から18:00まで仕事に行っている予定であることが示される。学校(定期的な予定)による外出時間帯マーク15bは、定期的な外出である学校の予定の時間帯を示す。図6では、長女和美が8:00から18:00まで学校に行っている予定であることが示され、長男一夫が8:00から15:00まで学校に行っている予定であることが示される。睡眠時間帯マーク16は、使用者が睡眠をとる予定の時間帯を示す。図6では、母花子が23:00から6:00まで睡眠をとる予定であることが示され、長女和美が23:00から7:00まで睡眠をとる予定であることが示され、長男一夫が22:00から7:00まで睡眠をとる予定であることが示される。上述した例では、使用者が睡眠をとる予定の時間帯および使用者の定期的な外出の予定の時間帯が、使用者の生活パターンに関する情報に相当する。
次に、図1から図6を用いて、本実施の形態1の冷蔵庫1000の動作の一例について説明する。図2において、冷却器1002で冷却された冷却空気が、送風装置1003により、冷却風路1010を経由して各貯蔵室へ送風される。そして、各貯蔵室を冷却した後の戻り空気が戻り風路1020を経由して再度冷却器1002に戻る周回風路が形成される。このとき、冷却器1002で冷却された冷却空気が各貯蔵室に分配されて各貯蔵室を冷却する。冷蔵室ダンパ102を含む複数のダンパの開閉制御により、各貯蔵室への冷却空気の流入量すなわち吹出風量が制御されることにより、各貯蔵室に対して個別の温度設定が行われる。ここで、冷却器1002で冷却された冷却空気は、例えば、−30℃〜−25℃の温度帯である。
例えば、最も低温設定となる冷凍室400(例えば、−22℃〜−16℃)のダンパはほぼ全開とし、最も高温設定となる野菜室500(例えば、3℃〜9℃)のダンパはほぼ全閉としている。そして、野菜室500より設定温度の低い冷蔵室100(例えば、0℃〜6℃)およびチルド室110(例えば、0℃〜2℃)を冷却した戻り空気で野菜室500を間接冷却するなどして、各貯蔵室の設定温度を制御している。
ここで、各貯蔵室の冷却過剰または冷却不足に対応して、各貯蔵室の設定温度は±2℃〜±3℃程度の調整が可能である。例えば、冷凍室400の設定温度は−25℃〜−13℃程度の範囲で設定変更が可能であり、冷蔵室100の設定温度は−2℃〜9℃程度の範囲で設定変更が可能である。特定の貯蔵室内が冷却不足となった場合には、その貯蔵室の設定温度を低くすることにより冷却を促進させる制御が行われる。例えば、冷蔵室100のみ冷却を促進する場合には、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくすることによって、冷蔵室100への冷却空気の流入量すなわち吹出風量を増加させる。また、複数の貯蔵室の冷却を促進する必要がある場合には、冷凍サイクルの冷却能力を上昇させるために、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方を増加させる。その結果として、冷蔵庫1000の消費電力は増加する。
逆に、特定の貯蔵室が冷却過剰となった場合には、その貯蔵室の設定温度を高くすることにより冷却を抑制する、すなわち冷却を弱める。この場合には、その貯蔵室に対するダンパの開率が小さくされ、冷却空気の流入量すなわち吹出風量を減少させる。また、複数の貯蔵室の冷却を抑制する場合には、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方を減少させるので、冷蔵庫1000の消費電力は減少する。
冷蔵庫1000の消費電力は、ルームエアコンおよびIHクッキングヒータなどの他の家電機器に比べて小さい。しかしながら、冷蔵庫1000は、飲食物を貯蔵しているため、冷却を停止、すなわち電源OFFすることができない。そのため、冷蔵庫1000の節電運転を実施するためには、使用者の使用状況および飲食物の貯蔵状況に応じて、各貯蔵室の設定温度を上昇させる必要がある。例えば急冷運転の原因となる扉開閉の頻度が少ないとき、または、貯蔵室内の飲食物の量が少ない場合などには、設定温度を上昇させても、飲食物の保存品質を損なうことなく節電運転することが可能となる。
そこで、本実施の形態1では、図3に示したように、操作パネル1にて入力された使用者のスケジュール情報を記憶手段2が記憶し、制御手段3がそのスケジュール情報に基づいて圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置を制御することにより、各貯蔵室の設定温度を変更することが可能である。
図4から図6に示した使用者のスケジュール情報に基づいて、例えば次のように制御する。まず、数日単位の制御例を説明する。図4の月表示および図5の週表示から、5月3日から5月6日までの間は使用者全員が旅行で外出して不在となる予定である。すなわち、5月3日から5月6日までの間は、冷蔵庫1000内の飲食物が増加しないこと、および、冷蔵庫1000の扉が開閉されないことが確実である。そのため、制御手段3は、5月3日から5月6日までの間、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方を通常運転時に比べて減少させる冷却抑制制御を行う。これにより、飲食物の保存品質を維持したうえで、より高い節電量が得られる節電運転を実施することが可能となる。また、使用者全員が不在となる日だけでなく、一部の使用者が不在となる日にも、同様の冷却抑制制御すなわち節電運転を行っても良い。その場合、不在になる使用者の人数が多い場合ほど、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方の減少幅を大きくしても良い。
次に、1日単位の制御例を説明する。図6の日表示において、8:00〜15:00および18:00〜21:00は使用者全員が外出して不在となる予定の時間帯であり、23:00〜6:00は使用者全員が睡眠する予定の時間帯である。これらの時間帯においては、突発的な事例を除いて、冷蔵庫1000の扉は開閉されない。突発的な事例とは、例えば、使用者が外出先で病気になり途中で帰宅する事例、使用者が夜中に起きだして飲料を取り出す事例などである。制御手段3は、使用者全員が外出して不在となる予定の時間帯および使用者全員が睡眠する予定の時間帯には、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方を通常運転時に比べて減少させる冷却抑制制御を行う。これにより、飲食物の保存品質を維持したうえで、より高い節電量が得られる節電運転を実施することが可能となる。また、使用者全員が外出または睡眠する時間帯だけでなく、一部の使用者が外出または睡眠する時間帯にも、同様の冷却抑制制御すなわち節電運転を行っても良い。その場合、外出または睡眠する使用者の人数が多い場合ほど、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方の減少幅を大きくしても良い。
上述したように、使用者のスケジュール情報を冷蔵庫1000の冷却制御に反映することにより、使用者の生活パターンに適合した、時間単位のより高い節電量が得られる節電運転が可能となる。
また、飲食物を保存する冷蔵庫1000では、記憶手段2が冷却制御に反映する生活パターンとして、定常的な外出、就寝および起床などの各使用者の個人的な行為の他に、使用者世帯の買い物パターンすなわち飲食物購入予定情報が重要な制御因子となる。使用者世帯が飲食物の買い物をすると、その買って来た飲食物を冷蔵庫1000に収納する際に冷蔵庫1000の扉が開かれるので、貯蔵室内の温度が上昇し、急冷運転の原因となる。
そこで、本実施の形態1では、図4から図6に示した使用者の個人的なスケジュール情報に加えて、使用者世帯の買い物パターンをスケジュール情報として記憶手段2にて記憶する。共働きの家庭は、週末にまとめ買いをする場合が多い。専業主婦がいる家庭は、毎日買い物をする場合が多い。記憶手段2は、入力手段9に入力される情報に基づき、例えば、週末にまとめて買い物をするパターン、毎日買い物をするパターン、または、一週間より短い周期(たとえば1日置き)で買い物をするパターンなどを買い物パターンとして記憶する。上記のような複数の買い物パターンの選択肢を記憶手段2が予め記憶しており、それらの選択肢から使用者が入力手段9にて買い物パターンを選択するようにしても良い。
使用者世帯の買い物パターンが週末にまとめて買い物をするパターンである場合には、週末に、冷蔵庫1000の扉の開閉が頻発するとともに飲食物の収納量が多くなるので、週末に冷却を促進することが望ましい。そこで、制御手段3は、使用者世帯の買い物パターンが週末にまとめて買い物をするパターンである場合には、週末に各貯蔵室の設定温度を平日に比べて低くすることにより冷却を促進する。一方、平日には買い物がされないので、冷蔵庫1000の扉の開閉頻度は低い。そこで、制御手段3は、平日には各貯蔵室の設定温度を週末に比べて高くすることにより冷却を抑制する。これにより、飲食物の保存品質を維持しつつ節電できる。また、平日には、週末に近づくにつれて、冷蔵庫1000内に収納されている飲食物が減っていき、飲食物の冷却負荷が減少する。そこで、制御手段3は、平日には、週末に近づくにつれて、各貯蔵室の設定温度を徐々に高く変更する。これにより、飲食物の保存品質を維持しつつ更に節電できる。
また、使用者世帯の買い物パターンが一週間より短い周期で買い物をするパターンである場合には、制御手段3は、買い物が予定される日には他の日に比べて各貯蔵室の設定温度を低くすることにより冷却を促進する。以上のように、冷蔵庫1000の扉開閉頻度および飲食物の収納量を使用者世帯の買い物パターンに基づき推定できるので、使用者世帯の買い物パターンに基づき冷却制御を変更することにより、冷却過剰および冷却不足を防止し、効率的な冷却が可能となり、無駄のない冷却運転をすることができるため高い節電効果が得られる。
図7は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫1000の制御を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートを参照して、本実施の形態1の動作について説明する。
ステップS10において、冷蔵庫1000は、通常冷却運転モードにあり、通常の冷却運転を行っている。この通常の冷却運転中、制御手段3は、記憶手段2に記憶されたスケジュール情報に基づき、現時点が、使用者が定期的に外出する予定の時間帯または使用者が睡眠する予定の時間帯にあるかどうかを判定する(ステップS11)。使用者が定期的に外出する予定の時間帯を以下「定期外出時間帯」と称し、使用者が睡眠する予定の時間帯を以下「睡眠時間帯」と称する。なお、本実施の形態1では、制御手段3は、使用者全員の定期外出時間帯または睡眠時間帯が重なっている時間帯に現時点が該当する場合に、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当すると判定するものとする。ただし、本発明では、一部の使用者の定期外出時間帯または睡眠時間帯に現時点が該当する場合に、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当すると判定しても良い。
制御手段3は、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当しないと判定した場合には、最初のステップS10に戻り、通常の冷却運転を継続する(ステップS11のNO)。
一方、制御手段3は、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当すると判定した場合(ステップS11のYES)には、ステップS12に進む。ステップS12で、制御手段3は、冷蔵庫1000の扉の閉状態の持続時間が予め設定された時間に達したかどうかを判定する。予め設定された時間を以下「所定時間」と称する。換言すれば、制御手段3は、ステップS12で、扉開閉情報に基づき、冷蔵庫1000の扉の開閉が過去所定時間内にないかどうかを判定する。
ステップS12で、制御手段3が、冷蔵庫1000の扉の閉状態の持続時間が所定時間に達していないと判定した場合、すなわち、過去所定時間内に冷蔵庫1000の扉が開閉された履歴があると判定した場合には、最初のステップS10に戻り、通常の冷却運転を継続する(ステップS12のNO)。
一方、ステップS12で、制御手段3が、冷蔵庫1000の扉の閉状態の持続時間が所定時間に達したと判定した場合、すなわち、過去所定時間内に冷蔵庫1000の扉が開閉された履歴がないと判定した場合(ステップS12のYES)には、冷蔵庫1000の貯蔵室の冷却を抑制するように圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の少なくとも一つを制御する冷却抑制制御モードを設定する(ステップS13)。ここでの所定時間は、例えば30分間であるが、30分より短くても長くてもよく、使用者が任意に設定できるものである。
冷却抑制制御モードは、特定の一つの貯蔵室を対象とする場合にはその貯蔵室の吹出風量制御装置であるダンパの開率を小さくして、冷却空気の流入量、すなわち、吹出風量を減少させる。また、複数の貯蔵室を対象とする場合には、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量の一方または両方を減少させるので、冷蔵庫1000の消費電力は減少することになる。これら圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置は、すべて同時に制御されても良いし、それぞれが個別に制御されても良い。
具体的な制御としては、例えば、通常冷却運転モードの場合の冷蔵室100の設定温度が3℃とすると、冷却抑制制御モードの設定温度を5℃にして、冷蔵室100の設定温度を高温化する。次に、冷蔵室ダンパ102の開率を小さくして、冷却空気の流入量を減少させる。または、圧縮機1001の回転速度を減少させたり送風装置1003の送風量を減少させたりして、冷蔵室100に流入する冷却空気を減少させても良い。冷蔵室100に流入する冷却空気の減少により、冷蔵室100の室内温度は上昇し、冷却抑制制御モードの間は、5℃の設定温度にて安定するように制御する。
また、複数の貯蔵室の室内温度を上昇させる場合においても、同様に圧縮機1001の回転速度を減少させたり、送風装置1003の送風量を減少させたり、吹出風量制御装置の開率を小さくしたりして、複数の貯蔵室の室内温度を上昇させる制御を行う。
次に、制御手段3は、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯であるかどうかを再度判定する(ステップS14)。制御手段3は、現時点がまだ定期外出時間帯または睡眠時間帯にあると判定した場合には、冷却抑制制御モードを継続する(ステップS14のYES)。一方、制御手段3は、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯でないと判定した場合、すなわち定期外出時間帯または睡眠時間帯が終了した場合(ステップS14のNO)には、冷却抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開する(ステップS15)。ステップS15では、冷却抑制制御モードの制御開始前の貯蔵室の設定温度に戻す。
上述したように、定期外出時間帯または睡眠時間帯には、貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御を行う。これにより、冷蔵庫1000の扉の開閉頻度がゼロまたは低いと予測される時間帯の冷却を抑制することで電力消費を抑制することができるため、飲食物の保存品質を維持しつつ高い節電効果を得ることができる。また、使用者が自分で節電設定を考えて設定をする必要がなく、使用者は自分のスケジュールを入力するだけで、そのスケジュール情報にしたがって自動で節電運転を行うことができるため、使用者の節電設定を考えて入力する煩雑さが解消され、簡単な入力だけで高い節電効果を得ることができる。
図8は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫1000の変形例1の制御を示すフローチャートである。図8のフローチャートを参照して、本実施の形態の変形例1について説明する。
ステップS20において、冷蔵庫1000は、通常冷却運転モードにあり、通常の冷却運転を行っている。次に、制御手段3は、記憶手段2に記憶されたスケジュール情報に基づき、現時点が、使用者が不定期に外出する予定の時間帯にあるかどうかを判定する(ステップS21)。使用者が不定期に外出する予定の時間帯を以下「不定期外出時間帯」と称する。なお、本実施の形態1では、制御手段3は、使用者全員の不定期外出時間帯が重なっている時間帯に現時点が該当する場合に、現時点が不定期外出時間帯に該当すると判定するものとする。ただし、本発明では、一部の使用者の不定期外出時間帯に現時点が該当する場合に、現時点が不定期外出時間帯に該当すると判定しても良い。
この判定の結果、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯に該当しないと判定した場合には、最初のステップS20に戻り、通常の冷却運転を継続する(ステップS21のNO)。
一方、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯に該当すると判定した場合(ステップS21のYES)には、ステップS22に進む。ステップS22で、制御手段3は、貯蔵室の冷却を促進する冷却促進制御モードを設定する。ここでの冷却促進制御モードは、上述の冷却抑制制御モードとは逆の制御を行う。すなわち、冷却促進制御モードでは、貯蔵室の設定温度を低下させ、この低下された設定温度に向けて貯蔵室の室内温度を低下させる制御を行う。具体的には、例えば、貯蔵室の設定温度を通常冷却運転モードの設定温度よりも2℃低下させる。また、この設定温度を低下させる幅は2℃を超えても2℃未満でも良く、各貯蔵室の予め決められた設定温度の範囲内であれば良い。
冷却促進制御モードにより貯蔵室の設定温度が低くなる。制御手段3は、貯蔵室の室内温度が、低下された設定温度に到達したかどうかを判定する(ステップS23)。
この判定の結果、低下された設定温度に貯蔵室の室内温度が到達していない場合には、制御手段3は、冷却促進制御モードを継続して、貯蔵室の室内温度を低下された設定温度に近づけるように、貯蔵室の冷却を促進する(ステップS23のNO)。
一方、貯蔵室の室内温度が、低下された設定温度に到達した場合(ステップS23のYES)には、ステップS24に進む。ステップS24で、制御手段3は、扉開閉情報に基づき、貯蔵室の室内温度が設定温度に到達した時点から起算した扉の閉状態の持続時間が所定時間に達したかどうかを判定する(ステップS24)。ここでの所定時間は、例えば30分間であるが、30分より短くても長くてもよく、使用者が任意に設定できるものである。
この判定の結果、上記持続時間が所定時間に達しない場合、すなわち、貯蔵室の室内温度が設定温度に到達した時点から所定時間が経過する前に扉が開かれた場合には、制御手段3は、最初の通常冷却運転モード(ステップS20)に戻り、通常運転を再開する(ステップS24のNO)。
一方、上記持続時間が所定時間に達した場合、すなわち、貯蔵室の室内温度が設定温度に到達した時点から所定時間内に扉の開閉がなかった場合(ステップS24のYES)には、制御手段3は、冷却抑制制御モードを設定する(ステップS25)。制御手段3は、冷却抑制制御モードでは、貯蔵室の設定温度を上昇させて、この上昇された設定温度に向けて室内温度を上昇させる。ここでの冷却抑制制御モードは、上述の冷却抑制制御モードと同様の制御を行うこととし、例えば、設定温度の上昇は通常運転時の設定温度に対して2℃上昇させたものとする。
次に、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯であるかどうかを再度判定する(ステップS26)。制御手段3は、現時点がまだ不定期外出時間帯に該当すると判定した場合には、冷却抑制制御モードを継続して、貯蔵室の設定温度を高いまま維持し冷蔵庫1000の節電を図る(ステップS26のYES)。
一方、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯に該当しないと判定した場合、すなわち不定期外出時間帯が終了した場合(ステップS26のNO)には、冷却抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開する(ステップS27)。すなわち、ステップS27では、貯蔵室の設定温度を通常運転時の設定温度に戻す。
上述したように、上記の変形例1では、不定期外出時間帯には、冷却促進制御を一時的に行うことにより、不定期な外出の予定が中止になったために家にいることになった使用者が冷蔵庫1000を使用する場合にも、扉の開閉が頻発する前に貯蔵室内を低温化しているため、貯蔵室内の飲食物の保存品質をより確実に維持することができる。また、扉の開閉が頻発して貯蔵室の室内温度が上昇してから冷却促進制御を行うよりも、貯蔵室の室内温度が上昇する前に冷却促進制御を行う方が、冷却促進制御によって低下する温度差が小さいため、圧縮機1001および送風装置1003を含む冷凍サイクルの負担が軽減され、結果として冷蔵庫1000の消費電力の低減につながり、節電効果が得られる。
図9は、本発明の実施の形態1の冷蔵庫1000の変形例2の制御を示すフローチャートである。図9のフローチャートを参照して、本実施の形態の変形例2について説明する。
ステップS30において、冷蔵庫1000は、通常冷却運転モードにあり、通常の冷却運転を行っている。次に、制御手段3は、記憶手段2に記憶されたスケジュール情報に基づき、現時点が不定期外出時間帯であるかどうかを判定する(ステップS31)。
この判定の結果、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯に該当しないと判定した場合には、最初のステップS30に戻り、通常の冷却運転を継続する(ステップS31のNO)。
一方、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯に該当すると判定した場合(ステップS31のYES)には、ステップS32に進む。ステップS32で、制御手段3は、貯蔵室の冷却を促進する冷却促進制御モードを設定する。ここでの冷却促進制御モードは、上述の冷却促進制御モードと同様の制御を行う。すなわち、冷却促進制御モードでは、貯蔵室の設定温度を低下させ、この低下された設定温度に向けて貯蔵室の室内温度を低下させる制御を行う。具体的には、例えば、貯蔵室の設定温度を通常冷却運転モードの設定温度よりも2℃低下させる。また、この設定温度を低下させる幅は2℃を超えても2℃未満でも良く、各貯蔵室の予め決められた設定温度の範囲内であれば良い。
冷却促進制御モードにより貯蔵室の設定温度が低くなる。制御手段3は、貯蔵室の室内温度が、低下された設定温度に到達したかどうかを判定する(ステップS33)。
この判定の結果、低下された設定温度に貯蔵室の室内温度が到達していない場合には、制御手段3は、冷却促進制御モードを継続して、貯蔵室の室内温度を低下された設定温度に近づけるように、貯蔵室の冷却を促進する(ステップS33のNO)。
一方、貯蔵室の室内温度が、低下された設定温度に到達した場合(ステップS33のYES)には、ステップS34に進む。ステップS34で、制御手段3は、扉開閉情報に基づき、冷却促進制御モードが開始された時点から起算した扉の閉状態の持続時間が所定時間に達したかどうかを判定する(ステップS34)。ここでの所定時間は、例えば30分間であるが、30分より短くても長くてもよく、使用者が任意に設定できるものである。
この判定の結果、上記持続時間が所定時間に達しない場合、すなわち、冷却促進制御モードが開始された時点から所定時間が経過する前に扉が開かれた場合には、制御手段3は、最初の通常冷却運転モード(ステップS30)に戻り、通常運転を再開する(ステップS34のNO)。
一方、上記持続時間が所定時間に達した場合、すなわち、冷却促進制御モードが開始された時点から所定時間内に扉の開閉がなかった場合(ステップS34のYES)には、制御手段3は、冷却抑制制御モードを設定する(ステップS35)。制御手段3は、冷却抑制制御モードでは、貯蔵室の設定温度を上昇させて、この上昇された設定温度に向けて室内温度を上昇させる。ここでの冷却抑制制御モードは、上述の冷却抑制制御モードと同様の制御を行うこととし、例えば、設定温度の上昇は通常運転時の設定温度に対して2℃上昇させたものとする。
次に、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯であるかどうかを再度判定する(ステップS36)。制御手段3は、現時点がまだ不定期外出時間帯に該当すると判定した場合には、冷却抑制制御モードを継続して、貯蔵室の設定温度を高いまま維持し冷蔵庫1000の節電を図る(ステップS36のYES)。
一方、制御手段3は、現時点が不定期外出時間帯に該当しないと判定した場合、すなわち不定期外出時間帯が終了した場合(ステップS36のNO)には、冷却抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開する(ステップS37)。すなわち、ステップS37では、貯蔵室の設定温度を通常運転時の設定温度に戻す。
上記変形例2によれば、上記変形例1と同様の効果が得られる。また、上記変形例2では、上記持続時間の起算時点が冷却促進制御モード開始時点であるので、冷却抑制制御モードを開始するまでの時間が上記変形例1に比べて短縮され、冷却抑制制御の時間が長くなることで、節電効果が上記変形例1に比べて更に向上する。
また、図1および図2に示した操作パネル1の表示手段10には、入力された使用者のスケジュール情報以外に、各貯蔵室の現在の室内温度情報、設定温度情報、および、冷凍サイクル装置の負荷情報すなわち運転情報を表示することが可能である。さらに、使用者のスケジュール情報に基づいて変更された制御内容(例えば圧縮機1001の運転率)などを、操作パネル1の表示手段10に併せて表示することができる。また、使用者のスケジュール情報に基づいて変更された制御である冷却抑制制御すなわち節電運転における節電情報(例えば消費電力の削減量)も併せて表示手段10に表示することができる。
使用者のスケジュール情報と、それに対応した制御内容を表示手段10に表示することにより、使用者が自動制御内容を確認できるだけでなく、最適な冷却運転および節電運転に寄与する設定温度などの使用方法を、使用者に啓蒙することが可能になるという効果が得られる。
本実施の形態1では、使用者がスケジュール情報を入力するだけで、このスケジュール情報に基づいて、冷蔵庫1000の最適な節電運転を制御することができる。また、使用者のスケジュール情報に基づいていることにより、電力消費のピーク時間帯等の決められた時間だけではなく、使用者のスケジュール情報を反映させて、節電が可能な時間に自動的に節電運転を行うため、より高い節電効果を得ることができる。また、節電運転に対して、使用者が節電計画を考えたり設定したりする煩雑な作業をなくすことができる。このことにより、使用者は、冷蔵庫1000に対して容易な作業で、より高い節電効果を得ることができる。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2の冷蔵庫の側面断面図である。なお、本実施の形態2で特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図10に示す本実施の形態2の冷蔵庫1000は、実施の形態1の冷蔵庫1000の構成に加えて、温度検出手段である貯蔵室内温度検出装置5と、貯蔵室内の圧力を検出する貯蔵室内圧力検出装置6とを有する。貯蔵室内温度検出装置5は、冷蔵室100の扉の裏面に設置されている。貯蔵室内温度検出装置5は、冷蔵室100内の扉側の上方の温度を検出する。貯蔵室内圧力検出装置6は、冷蔵室100の天井面に設置されている。後述するように、貯蔵室内圧力検出装置6は、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)に収納された物品すなわち飲食物の体積に関する情報を推定する体積推定手段として機能し得る。貯蔵室内温度検出装置5および貯蔵室内圧力検出装置6は、冷蔵室100以外の他の貯蔵室に設置されていても良く、また、すべての貯蔵室に設置されていても良い。
図11は、本発明の実施の形態2の冷蔵庫1000の機能ブロック図である。図11に示すように、制御装置1004は、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)に収納された物品すなわち飲食物の冷却負荷を推定する冷却負荷推定手段7を有する。貯蔵室内温度検出装置5と貯蔵室内圧力検出装置6は、冷却負荷推定手段7に接続されている。冷却負荷推定手段7は、貯蔵室内温度検出装置5で検出される冷蔵室100内の扉側上方温度と、貯蔵室内圧力検出装置6で検出される冷蔵室100内の圧力とに基づいて、冷蔵室100に収納された物品すなわち飲食物の冷却負荷を推定し、この推定結果を記憶手段2に送信する。記憶手段2は、冷却負荷推定手段7から受信した飲食物の冷却負荷の推定結果を記憶し、制御手段3に送信する。
なお、冷却負荷推定手段7は、貯蔵室内温度検出装置5で検出される温度および貯蔵室内圧力検出装置6で検出される圧力に代えて、扉開閉検出手段8で検出される扉開閉情報に基づいて、冷却負荷を推定しても良い。また、冷却負荷推定手段7は、貯蔵室内温度検出装置5で検出される温度および貯蔵室内圧力検出装置6で検出される圧力に加えて、扉開閉検出手段8で検出される扉開閉情報に基づいて、冷却負荷を推定しても良い。
制御手段3は、使用者のスケジュール情報と、飲食物の冷却負荷推定結果とに基づいて、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の少なくとも一つを制御する制御信号を、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の少なくとも一つに送る構成となっている。
また、扉開閉検出手段8は、実施の形態1と同様に記憶手段2に扉開閉情報を送る構成となっているが、冷却負荷推定手段7に扉開閉情報を送信しても良い(図示省略)。この場合、扉開閉検出手段8によって検出された扉開閉情報から冷却負荷推定手段7が冷却負荷を推定する。すなわち、扉の開閉頻度が高いほど冷却負荷が大きく、扉の開閉頻度が低いほど冷却負荷が小さいと推定することができる。
次に、図11を用いて動作の一例について説明する。動作についても、実施の形態1と同一の箇所については説明を割愛する。
冷蔵庫1000に飲食物を保管する場合、飲食物の品質を維持するためには、貯蔵室内の低温状態をなるべく維持する必要がある。貯蔵室内の飲食物が多い場合すなわち飲食物の冷却負荷が高い場合には、飲食物が冷えにくいため、貯蔵室の設定温度を高くすると、飲食物が品質劣化する直接の原因となる。このため、貯蔵室内の飲食物が多い場合すなわち飲食物の冷却負荷が高い場合には、貯蔵室の設定温度を低くすることが望まれる。これに対し、貯蔵室内の飲食物が少ない場合すなわち飲食物の冷却負荷が低い場合には、飲食物が容易に冷えるため、設定温度が比較的高くても、飲食物の品質は維持され易い。したがって、貯蔵室内の設定温度の変更については、飲食物の収納量すなわち冷却負荷量を反映させることが望ましい。そこで、本実施の形態2では、貯蔵室の代表として冷蔵室100内の飲食物の冷却負荷を冷却負荷推定手段7により推定する。
図12から図17は、本発明の実施の形態2の冷蔵庫1000の冷蔵室100内の温度の履歴、および、冷蔵室100の内外差圧の履歴を示す実測データの一例である。冷蔵室100の内外差圧とは、冷蔵室100内の圧力と、冷蔵庫1000外の圧力すなわち大気圧との差である。貯蔵室に収納された飲食物の体積が当該貯蔵室の容積に対して占める割合を以下「収納容積占有率」と称する。図12および図13は、収納容積占有率が0%の場合を示し、図14および図15は収納容積占有率が40%の場合を示し、図16および図17は収納容積占有率が70%の場合を示す。図12から図17のデータ計測では、まず、冷蔵室100の扉を1分間全開にした後に24時間運転し、冷蔵室100内の各位置の温度、消費電力、および、貯蔵室内圧力検出装置6により検出される冷蔵室100内の圧力を実測した。そして、冷蔵室100内の圧力の実測値と大気圧との差から冷蔵室100の内外差圧を算出した。
図12、図14および図16において、(a)は冷蔵室100内の主要温度および消費電力を示し、(b)は冷蔵室100内の棚温度を示す。図13、図15および図17において、(c)は冷蔵室100内の扉棚温度を示し、(d)は冷蔵室100の内外差圧を示す。
図12、図14および図16の(a)において、18は冷蔵室100の天井面の平均温度、19は冷蔵室100の背面の平均温度、20は冷蔵室100の背面に設置された吹出口から供給される冷却空気の平均温度、21は冷蔵庫1000全体の消費電力である。
図12、図14および図16の(b)において、22a〜22dは、冷蔵室100内の棚板によって4段に仕切られた冷蔵室100内の各棚の平均温度である。より詳しくは、22aは、冷蔵室100の棚の最上段の平均温度、22bは、冷蔵室100の棚の2段目の平均温度、22cは、冷蔵室100の棚の3段目の平均温度、22dは、冷蔵室100の棚の最下段の平均温度である。
図13、図15および図17の(c)において、23a〜23cは、冷蔵室100の扉の裏面に設置された3段の各扉棚の平均温度である。より詳しくは、23aは、冷蔵室100の扉棚の上段の平均温度、23bは、冷蔵室100の扉棚の中段の平均温度、23cは、冷蔵室100の扉棚の下段の平均温度である。
図13、図15および図17の(d)において、24は、冷蔵室100の内外差圧である。なお、データ計測に際し、冷蔵室100に収納する飲食物として袋入りインスタントラーメンを用いた。また、上記(b)に示される冷蔵室100の棚の平均温度22a〜22dの測定位置は、当該飲食物より背面側に配置した。
図12から図17のデータが示すとおり、収納容積占有率が高いほど、飲食物より背面側の冷蔵室100の棚の平均温度22a〜22dは低温になり、飲食物より扉側に位置する冷蔵室100の扉棚の平均温度23a〜23cは高温になる。これは、冷却空気の扉側への供給が飲食物によって阻害されていることを示している。
特に、図16および図17に示す収納容積占有率が70%の場合には、冷蔵室100内の下方の棚温度である、冷蔵室100の棚の3段目の平均温度22c、および冷蔵室100の棚の最下段の平均温度22dが0℃以下まで低下している。一方、冷蔵室100内の上方の扉棚温度である、冷蔵室100の扉棚の上段の平均温度23aは、13℃〜14℃を維持している。13℃〜14℃は、冷蔵温度帯から外れており、飲食物の劣化を促進させる温度環境となる。
収納容積占有率が0%、40%、70%のいずれの場合にも、消費電力21の最大値は50W程度を維持している。しかしながら、圧縮機1001を停止して送風装置1003のみで運転されている期間が、収納容積占有率が高いほど減少する。そのため、収納容積占有率が高いほど、消費電力量は増加することが示されている。
ここで、図13、図15および図17の(d)に示されているように、継続的に実施される冷蔵室ダンパ102の開閉による冷却空気の流入量の増減に伴って、冷蔵室100の内外差圧24も変動する。冷蔵室100の内外差圧24の変動幅は、収納容積占有率が高いほど大きくなっている。
具体的には、図13に示す収納容積占有率が0%の場合では、冷蔵室100の内外差圧24は、概ね0.5Pa〜0.8Paの間で変動し、変動幅Δは0.3Paである。図15に示す収納容積占有率が40%の場合では、冷蔵室100の内外差圧24は、概ね0.1Pa〜1.1Paの間で変動し、変動幅Δは1.0Paである。図17に示す収納容積占有率が70%の場合では、冷蔵室100の内外差圧24は、概ね−0.4Pa〜1.5Paの間で変動し、変動幅Δは1.9Paである。このように、収納容積占有率が高いほど、すなわち冷蔵室100内の余剰容積が小さいほど、冷却空気の供給時における冷蔵室100の内外差圧24の最大値が増加するとともに、冷却空気の停止時に冷蔵室100の内外差圧24の最小値が減少していることが示されている。このように、冷蔵室100の内外差圧24の変動幅および絶対値は、収納容積占有率と相関がある。すなわち、冷蔵室100の内外差圧24の変動幅および絶対値は、冷蔵室100に収納された飲食物の体積と相関がある。したがって、貯蔵室内圧力検出装置6により検出される冷蔵室100の内外差圧24の変動幅または絶対値に基づいて、冷蔵室100に収納された飲食物の体積を推定することが可能となる。冷却負荷推定手段7は、そのようにして推定される冷蔵室100内の飲食物の体積または収納容積占有率が大きいほど、飲食物の冷却負荷が高いと推定する。
また、冷蔵室100内の温度、特に冷蔵室100の扉棚の上段の平均温度23aに示されているように、収納容積占有率による変化が大きい位置における温度を測定することにより、冷却のしにくさが推定できる。このため、冷却負荷推定手段7は、貯蔵室内温度検出装置5により検出される扉側上方温度が高いほど、飲食物の冷却負荷が高いと推定する。
冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が大きい場合には、冷蔵室100の設定温度を上昇させると、冷蔵室100内の飲食物の温度が上昇し易く、当該飲食物の保存品質が損なわれ易い。このため、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が大きい場合には、冷蔵室100の冷却を抑制する制御を避けることが望ましい。そこで、本実施の形態2では、制御手段3は、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が予め設定された高負荷判定値より大きく、かつ、使用者のスケジュール情報に基づく冷却抑制制御の実行要求を記憶手段2から受信した場合には、冷蔵室100の冷却を抑制する制御に代えて、冷蔵室100以外の貯蔵室である製氷室200、切替室300、冷凍室400および野菜室500の少なくとも一つの冷却を抑制する制御を行う。この場合に冷蔵室100に代わって冷却を抑制する対象となる貯蔵室を以下「他の貯蔵室」と称する。すなわち、本実施の形態2では、製氷室200、切替室300、冷凍室400および野菜室500の少なくとも一つが他の貯蔵室に相当する。圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置のうちの一つまたは二つ以上を制御することにより、他の貯蔵室の冷却量を変化させることができる。このため、本実施の形態2では、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置のうちの一つまたは二つ以上が、他の貯蔵室の冷却量を可変にする他貯蔵室冷却量可変手段に相当する。
制御手段3は、他の貯蔵室の設定温度を上昇させることにより、他の貯蔵室の冷却を抑制する。制御手段3は、冷蔵室100に代えて他の貯蔵室の冷却を抑制する場合には、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量を減少させる信号を送信し、他の貯蔵室の設定温度を上昇させる。これにより、消費電力レベルを低減することが可能となる。また、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくすることにより、冷蔵室100を優先的に冷却し、冷蔵室100内に収納された飲食物の保存品質を維持することができる。本実施の形態2の制御の詳細な動作について、図18に示すフローチャートを参照して、以下に詳細に説明する。
図18は、本発明の実施の形態2の冷蔵庫1000の制御を示すフローチャートである。ステップS40において、制御手段3は通常冷却運転モードにあり、各貯蔵室に対して通常の冷却運転を行っている。この通常の冷却運転中において、制御手段3は、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が予め設定された高負荷判定値よりも大きいかどうかを判定する(ステップS41)。このステップS41では、制御手段3は、例えば、冷蔵室100内が過負荷状態で、設定温度を1℃でも上昇することができない場合かどうかを判定する。ここで1℃とした設定温度上昇幅の閾値は、1℃を超えても、1℃未満でも良いことは言うまでもない。
冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が高負荷判定値より小さいと制御手段3が判定した場合(ステップS41のNO)には、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき、冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御を行う。この場合の使用者のスケジュール情報に基づく冷蔵室100の冷却抑制制御は、例えば実施の形態1の図7から図9と同様の方法で行うことができるため、ここでは説明を省略する。
一方、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が高負荷判定値より大きいと制御手段3が判定した場合(ステップS41のYES)には、制御手段3は、ステップS42に進む。ステップS42で、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき、冷却抑制制御すなわち節電運転の実行要求の有無を判定する。このステップS42では、制御手段3は、例えば、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当する場合には冷却抑制制御の実行要求が有ると判定し、現時点が定期外出時間帯および睡眠時間帯のいずれにも該当しない場合には冷却抑制制御の実行要求が無いと判定する。
制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が無いと判定した場合には、最初のステップS40に戻り、通常の冷却運転を継続する(ステップS42のNO)。
一方、制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が有ると判定した場合(ステップS42のYES)には、他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定する(ステップS43)。他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードは、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の少なくとも一つ(他貯蔵室冷却量可変手段)を制御することにより、他の貯蔵室の設定温度を上昇させて、この上昇された設定温度に向けて他の貯蔵室の室内温度を上昇させる制御を行うものである。
図18には図示されていないが、ステップS42のYESの場合において、他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定する前に、冷蔵庫1000の扉の開閉が過去所定時間内にないかどうかを判定しても良い。ここでの所定時間とは、例えば30分間として、扉が30分間開閉しなければ、ステップS43に進み、他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定する。また、扉の開閉を判定する時間は30分より短くても長くてもよく、使用者が任意に設定できるものである。
さらに、図18には図示されていないが、ステップS42のYESの場合において、他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定する前に、他の貯蔵室の冷却負荷を推定しても良い。他の貯蔵室の冷却負荷が所定値よりも高い場合には、冷蔵室100および他の貯蔵室以外のさらに別の貯蔵室の冷却負荷を判定する。このようにして、冷蔵庫1000の各貯蔵室の冷却負荷を順次推定し、推定された冷却負荷が所定値よりも小さい貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定しても良い。これにより、冷却負荷を各貯蔵室で判定できるため、貯蔵室内の飲食物の保存品質をより確実に維持しながら、節電運転を実施することができる。
ステップS43の次に、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき、冷却抑制制御の実行要求の有無を再度判定する(ステップS44)。このステップS44では、制御手段3は、例えば、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当する場合には冷却抑制制御の実行要求が有ると判定し、現時点が定期外出時間帯および睡眠時間帯のいずれにも該当しない場合には冷却抑制制御の実行要求が無いと判定する。
制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が有ると判定した場合は、他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを継続する(ステップS44のYES)。一方、制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が無いと判定した場合(ステップS44のNO)は、他の貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開する(ステップS45)。ステップS45では、各貯蔵室の設定温度を冷却抑制制御モードの開始前の温度に戻す。
上述したように、特定の貯蔵室(冷蔵室100)の冷却負荷が高く、特定の貯蔵室の冷却抑制制御すなわち節電運転を実施することができない場合であっても、特定の貯蔵室とは異なる他の貯蔵室に対して冷却抑制制御を実施することにより、冷却負荷が高い場合においても節電運転を実施することができ、節電効果が得られる。
図19は、本発明の実施の形態2の冷蔵庫1000の変形例の制御を示すフローチャートである。図19に示すフローチャートを参照して、本実施の形態2の変形例について、以下に詳細に説明する。
冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が小さい場合、例えば冷蔵室100に収納された飲食物が少なく、飲食物の熱容量が小さい場合には、冷蔵室100の設定温度を上昇させても、冷蔵室100内の飲食物の温度が上昇しにくく、当該飲食物の保存品質が損なわれにくい。そこで、本実施の形態2の変形例では、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御を実行するとき、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が予め設定された低負荷判定値より小さい場合には、当該冷却負荷がこの低負荷判定値より大きい場合に比べて、冷蔵室100の冷却をさらに抑制する高抑制制御を行う。例えば、制御手段3は、冷蔵室100の高抑制制御では、冷蔵室100の通常の冷却抑制制御に比べて、冷蔵室100の設定温度の上昇幅をさらに大きくする。これにより、大幅な節電効果を得ることができる。
図19のステップS50において、制御手段3は通常冷却運転モードにあり、各貯蔵室に対して通常の冷却運転を行っている。この通常の冷却運転中において、制御手段3は、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が予め設定された低負荷判定値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS51)。
冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が低負荷判定値より大きいと制御手段3が判定した場合(ステップS51のNO)には、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき、冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御を行う。この場合の使用者のスケジュール情報に基づく冷蔵室100の冷却抑制制御は、例えば実施の形態1の図7から図9と同様の方法で行うことができるため、ここでは説明を省略する。このステップS51のNOの場合の冷蔵室100の冷却抑制制御を以下「通常の冷却抑制制御」と称する。
一方、冷却負荷推定手段7で推定された冷蔵室100の冷却負荷が低負荷判定値より小さいと制御手段3が判定した場合(ステップS51のYES)には、制御手段3は、ステップS52に進む。ステップS52で、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき、冷却抑制制御すなわち節電運転の実行要求の有無を判定する。このステップS52では、制御手段3は、例えば、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当する場合には冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御の実行要求が有ると判定し、現時点が定期外出時間帯および睡眠時間帯のいずれにも該当しない場合には冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御の実行要求が無いと判定する。
制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が無いと判定した場合には、最初のステップS50に戻り、通常の冷却運転を継続する(ステップS52のNO)。
一方、制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が有ると判定した場合(ステップS52のYES)には、ステップS51のNOの場合の冷蔵室100の冷却抑制制御に比べて冷蔵室100の冷却をさらに抑制する高抑制制御モードを設定する(ステップS53)。この高抑制制御モードでは、制御手段3は、圧縮機1001、送風装置1003および冷蔵室ダンパ102の少なくとも一つを制御して、冷蔵室100の冷却を通常の冷却抑制制御よりもさらに抑制する。例えば、通常の冷却抑制制御では冷蔵室100の設定温度を2℃上昇させる設定の場合には、高抑制制御では冷蔵室100の設定温度を3℃上昇させる。すなわち、通常の冷却抑制制御の設定温度に対して、高抑制制御では1℃高い設定温度を設定することになる。また、設定温度の上昇幅は、予め設定されている温度範囲であれば、何℃でも良い。通常の冷却抑制制御に対する高抑制制御の設定温度の上昇幅も、1℃を超えても、1℃未満でも良い。
また、図19には図示されていないが、ステップS52のYESの場合において、高抑制制御モードを設定する前に、冷蔵庫1000の扉の開閉が過去所定時間内にないかどうかを判定しても良い。ここでの所定時間とは、例えば30分間として、扉が30分間開閉しなければ、ステップS53に進み、高抑制制御モードを設定する。また、扉の開閉を判定する時間は30分より短くても長くてもよく、使用者が任意に設定できるものである。
ステップS53の次に、制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づき、冷却抑制制御の実行要求の有無を再度判定する(ステップS54)。このステップS54では、制御手段3は、例えば、現時点が定期外出時間帯または睡眠時間帯に該当する場合には冷却抑制制御の実行要求が有ると判定し、現時点が定期外出時間帯および睡眠時間帯のいずれにも該当しない場合には冷却抑制制御の実行要求が無いと判定する。
制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が有ると判定した場合は、高抑制制御モードを継続する(ステップS54のYES)。一方、制御手段3は、冷却抑制制御の実行要求が無いと判定した場合(ステップS54のNO)は、高抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開する(ステップS55)。ステップS55では、冷蔵室100の設定温度を高抑制制御モードの開始前の温度に戻す。
上述したように、使用者のスケジュール情報に基づく冷却抑制制御の実行要求があるとき、貯蔵室(冷蔵室100)の冷却負荷が低い場合には、貯蔵室(冷蔵室100)の冷却を通常の冷却抑制制御モードよりもさらに抑制する高抑制制御モードを設定することにより、より高い節電効果を得ることができる。
また、本実施の形態2の他の実施例としては、記憶手段2から設定温度の低下、すなわち急冷指示を受信した際、冷却負荷推定手段7において、例えば冷蔵室100内の冷却負荷が大きいと判定された場合には、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくして冷蔵室100を優先的に冷却したうえで、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量を増加させる信号を送信することにより、消費電力レベルの増加を必要最小限に抑制することが可能となる。
逆に、冷却負荷推定手段7において冷却負荷が小さいと判定された場合、例えば貯蔵室内の収納容積占有率が高くても低温状態が維持されている場合には、記憶手段2が指示した圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量まで増加させなくても、すなわち過剰な冷却運転を行うことなく、目標とする低温環境を形成することが可能となる。
図10および図11では、貯蔵室内に貯蔵室内温度検出装置5および貯蔵室内圧力検出装置6を設置し、扉側上方温度および貯蔵室内圧力に基づき、冷却負荷推定手段7において、貯蔵室内の飲食物の冷却負荷を判定している。しかしながら、図12から図17に示されているように、扉側上方温度および貯蔵室内圧力のどちらか一方だけでも、貯蔵室内の飲食物の冷却負荷が推定できる。このため、冷蔵庫1000は、貯蔵室内温度検出装置5および貯蔵室内圧力検出装置6のいずれかを備えなくてもよい。貯蔵室内温度検出装置5および貯蔵室内圧力検出装置6のいずれかを省略した場合も、制御手段3に飲食物の冷却負荷を反映できるので、低コストで冷却負荷を反映させる上述の効果が得られる。
また、図10および図11において、冷却負荷推定手段7が貯蔵室内の飲食物の冷却負荷を判定する場合、一時的な貯蔵室内温度上昇の要因となる扉開閉履歴を反映するのが望ましい。冷蔵庫1000には扉の開閉を検出するマグネット式の開閉スイッチなどの扉開閉検出手段8が一般的に設置されている。また、扉の開閉によって貯蔵室内の圧力が変化するので、貯蔵室内圧力検出装置6によっても扉開閉を検知することができる。このため、特別に検知装置を追加することなく、扉開閉履歴データを入手することができる。したがって、扉開閉による一時的な温度上昇または圧力低下の影響を考慮して、より精度良く飲食物の冷却負荷を判定することが可能となる。
また、図10および図11では、操作パネル1にて入力され、記憶手段2において管理される使用者のスケジュール情報、および冷却負荷推定手段7から受信した飲食物の冷却負荷をもとに、制御手段3が圧縮機1001、送風装置1003、および冷蔵室ダンパ102に制御信号を送る構成となっている。使用者が在宅しているか外出すなわち不在であるか、使用者の生活パターン、使用者世帯の買い物パターン(飲食物購入予定情報)などの使用者のスケジュール情報は、冷蔵庫1000の扉開閉、貯蔵室に収納された飲食物の量、および貯蔵室の室内温度に反映される。このため、冷蔵庫1000の扉の開閉に関する情報の履歴、貯蔵室に収納された飲食物の体積に関する情報(例えば収納容積占有率)の履歴、および貯蔵室の室内温度に関する情報の履歴のうちの少なくとも一つに基づいて、制御手段3が使用者のスケジュールを推定することが可能である。
例えば、使用者が不在の場合は扉が開閉されない。共働き家庭などでは、買い物が集中する週末に、貯蔵室に収納された飲食物の体積が増加する傾向が表れる。このため、貯蔵室内温度検出装置5により検出される温度、貯蔵室内圧力検出装置6により検出される収納容積占有率、および、貯蔵室内圧力検出装置6または扉開閉検出手段8により検出される扉開閉情報の少なくとも一つに基づいて、操作パネル1にて入力せずに、使用者のスケジュールを推定することが可能となる。また、制御手段3は、冷蔵庫1000の扉の開閉に関する情報の履歴、貯蔵室に収納された飲食物の体積に関する情報(例えば収納容積占有率)の履歴、および貯蔵室の室内温度に関する情報の履歴のうちの少なくとも一つを反映させて、記憶手段2に記憶された使用者のスケジュール情報を更新すなわち修正しても良い。例えば、制御手段3は、冷蔵庫1000の扉の開閉頻度、貯蔵室に収納された飲食物の体積(収納容積占有率)、または貯蔵室の室内温度が週末に上昇する傾向があることを検知した場合には、記憶手段2に記憶された買い物パターンの情報が、週末にまとめて買い物をするパターンになるように更新すなわち修正することができる。
また、実施の形態1と同様に、操作パネル1の表示手段10には、入力された使用者のスケジュール、記憶手段2の指示により変更された制御内容の他に、冷却負荷推定手段7によって推定された、貯蔵室内の冷却負荷情報も併せて表示することができる。使用者のスケジュールと、それに対応した制御内容と、そのときの冷却負荷状況とを表示することにより、使用者が自動制御内容を確認できるだけでなく、使用者に冷却負荷と消費電力の相関を明示することができ、収納方法に関する節電行動を啓蒙することが可能になるという効果が得られる。
本実施の形態2では、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して別体として設けられても良い。その場合、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して着脱自在になっていても良いし、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に装着できない構造でも良い。操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して別体として設けられた場合には、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方は、制御装置1004と有線または無線によって通信を行う。この場合、使用者は、遠距離から冷蔵庫1000の運転情報および異常状態を確認できるだけでなく、例えば買い物中に過負荷状態を確認できるため、保管できない買い物を抑制するなどの利便性が向上するという効果も得られる。
なお、本実施の形態2では、冷蔵室100に貯蔵室内温度検出装置5および貯蔵室内圧力検出装置6を設置する構成を例に説明したが、これらの構成を適用する貯蔵室は任意であり、複数の貯蔵室に適用してもよい。どの貯蔵室の冷却負荷を判定しても同様の効果が得られ、特にすべての貯蔵室の冷却負荷を反映できれば、より精度の高い冷却運転制御が可能となるうえ、各貯蔵室の冷却負荷を個別に検知することができるので、例えば冷凍室400は扉開閉がなく、冷却負荷の変動もほとんどないが、野菜室500の冷却負荷変動が大きいなどの履歴から、使用者の生活パターンまたは買い物パターンを、より詳細に推定することができるという効果が得られる。
以上のことより、本実施の形態2では、貯蔵室内の冷却負荷を推定する冷却負荷推定手段を設けたことで、使用者のスケジュール情報と冷却負荷の両方を考慮して、貯蔵室の節電運転を制御することができるため、貯蔵室内の飲食物の保存品質を維持しながら、高い節電効果を得ることができる。なお、実施の形態1にて奏する効果は、本実施の形態2においても、同様に奏することは明らかである。
実施の形態3.
図20は、本発明の実施の形態3の宅内システム(冷蔵庫管理システム)2000の構成図である。なお、本実施の形態3で特に記述しない項目については実施の形態1または実施の形態2と同様とし、同一の機能または構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図20に示すように、宅内システム(冷蔵庫管理システム)2000は、冷蔵庫1000と、この冷蔵庫1000が設置される住宅で用いられる1または複数の他の電気機器と、電力計測装置2002と、宅内コントローラ2004とを有する。図20では、冷蔵庫1000が設置される住宅で用いられる他の電気機器として、ルームエアコン3001、給湯器3002、IHクッキングヒータ3003および電子レンジ3004の4つを例示するが、本発明の冷蔵庫管理システムは冷蔵庫1000が設置される住宅で用いられる他の電気機器を少なくとも一つ備えれば良い。以下の説明では、冷蔵庫1000、ルームエアコン3001、給湯器3002、IHクッキングヒータ3003および電子レンジ3004を総称する場合、便宜上、各家電機器1000,3001〜3004と呼ぶ。各家電機器1000,3001〜3004および電力計測装置2002は、電力線を介して系統電源2001と接続され、系統電源2001から電力を供給されている。
電力計測装置2002は、各家電機器1000,3001〜3004に供給される電力(具体的には、消費電力)の情報、および系統電源2001から供給される全電力情報を、例えば、CT(Current Transformer:計器用変流器)などの電力計測端子2003によって計測し、履歴を保存することができる。
また、各家電機器1000,3001〜3004および電力計測装置2002には、宅内コントローラ(単にコントローラとも呼ぶ)2004と有線または無線で双方向通信するための通信手段4が、内蔵され、または外部に接続されている。通信手段4は、有線で通信する場合は、例えば、シリアルインターフェースまたはドライバ、無線で通信する場合は、例えば、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの通信モジュールが具備されている。
宅内コントローラ2004は、電力計測装置2002から受信した各家電機器1000,3001〜3004の消費電力および系統電源2001の供給電力の情報と、各家電機器1000,3001〜3004から受信した運転状態の情報とを管理する。宅内コントローラ2004は、その管理した情報に基づいて、各家電機器1000,3001〜3004に対して制御変更指示を送信することが可能である。
図21は、本発明の実施の形態3の冷蔵庫1000および宅内コントローラ2004の機能ブロック図である。図21において、冷蔵庫1000の制御装置1004は、記憶手段2および制御手段3と共に、図20に示した通信手段4を有する。通信手段4は、記憶手段2、入力手段9および宅内コントローラ2004と接続されている。通信手段4は、冷蔵庫1000の運転状態(例えば、消費電力情報)を宅内コントローラ2004に送信する。また、通信手段4は、宅内コントローラ2004からの他の家電機器3001〜3004の電力情報(例えば、消費電力情報)、または、冷蔵庫1000の制御を変更する制御変更指示を受信して、記憶手段2を経由して、操作パネル1の表示手段10に電力情報を送信し、制御手段3に制御変更指示を送信することが可能な構成となっている。
なお、操作パネル1(入力手段9および表示手段10を含む)は、冷蔵室100の扉または他の貯蔵室の扉に設置されるものに限らず、冷蔵庫1000の本体に対して別体として設けられても良い。その場合、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に対して着脱自在になっていても良いし、操作パネル1の入力手段9および表示手段10の両方または一方が冷蔵庫1000の本体に装着できない構造でも良い。操作パネル1は、例えば、通信手段4を介して無線で通信可能なタブレット端末でも良い。さらに、操作パネル1の入力手段9と表示手段10とを別体とし、入力手段9および表示手段10のいずれか一方が冷蔵庫1000の本体に設置され、他方が冷蔵庫1000の本体とは別体に設けられていても良い。
次に、図20および図21を用いて動作の一例について説明する。動作についても、実施の形態1または実施の形態2と同一の箇所については説明を割愛する。
図20において、各家電機器1000,3001〜3004は、系統電源2001から電力を供給されて運転を実施し、継続的に、あるいは要求があった際に、通信手段4によって、有線または無線通信にて宅内コントローラ2004に運転状態の情報を送信する。冷蔵庫1000における運転状態の情報としては、例えば、各貯蔵室の設定温度、実際の貯蔵室内温度の履歴、製氷運転または急冷運転の有無などの運転モード、給水タンクの空状態、扉の開状態などのアラート情報等がある。
このとき、電力計測端子2003によって、各家電機器1000,3001〜3004に供給されている電流を測定し、電力計測装置2002において、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力および系統電源2001の供給電力を算出し、通信手段4によって、有線または無線通信にて宅内コントローラ2004に電力情報を送信する。
宅内コントローラ2004は、電力計測装置2002から受信した各家電機器1000,3001〜3004の消費電力および系統電源2001の供給電力の情報と、各家電機器1000,3001〜3004から受信した運転状態の情報とを管理する。また、宅内コントローラ2004は、それらの情報に基づいて、各家電機器1000,3001〜3004に対して制御変更指示を送信する。
例えば、宅内コントローラ2004は、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が、系統電源2001の供給容量に迫っている場合には、特に消費電力の大きい家電機器に対して節電指示を送信する。また、宅内コントローラ2004は、冷蔵庫1000に関しては、貯蔵室の設定温度と実際の貯蔵室内温度履歴とから、冷却過剰と判断された場合に、設定温度の上昇を指示することができる。
図20および図21に示した冷蔵庫1000単体としては、実施の形態1と同様に、記憶手段2が、操作パネル1の入力手段9にて入力された使用者のスケジュール情報に基づいて、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置を制御する制御手段3に制御変更指示を送ることにより、各貯蔵室の設定温度を変更することが可能である。
さらに、本実施の形態3では、冷蔵庫1000の制御装置1004は、通信手段4を介して、宅内コントローラ2004から、電力計測装置2002より受信した、宅内システム2000内の各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の情報および運転情報、並びに系統電源2001の供給電力などの情報を受信することが可能な構成となっている。
図22から図24は、本発明の実施の形態3の宅内システム2000における各家電機器1000,3001〜3004の消費電力レベルを示す履歴データの一例である。
図22から図24は、図20に示した宅内システム2000において、電力計測装置2002が計測した各家電機器1000,3001〜3004の消費電力レベルおよび宅内システム2000の合計消費電力レベルの1日の履歴データを模擬したものである。すなわち、図22(a)は宅内システム2000の合計、図22(b)は冷蔵庫1000、図23(c)はルームエアコン3001、図23(d)は給湯器3002、図24(e)はIHクッキングヒータ3003、図24(f)は電子レンジ3004、にそれぞれ対応する。
図22から図24において、17a,17bは、電力計測装置2002が計測した消費電力レベルの履歴の模擬データである。より詳しくは、17aは、通常運転時の消費電力レベルの履歴であり、17bは、冷蔵庫1000の冷却制御変更後の消費電力レベルの履歴である。なお、宅内システム2000は、図4から図6と同様に、共働き家庭の住居に設置され、昼間(8:00〜18:00)は宅内が不在となることを想定している。
図24に示すように、調理に使用されるIHクッキングヒータ3003および電子レンジ3004の消費電力レベルは、朝食時(6:00〜8:00)および夕食時(18:00〜20:00)に突発的に上昇する。
図23(c)に示すように、ルームエアコン3001は、朝食時と重なる起床時、および夕食時と重なる帰宅時に起動して消費電力レベルが急激に大きくなり、その後は比較的低い消費電力レベルで定常運転を継続する。図23(d)に示すように、給湯器3002の消費電力レベルは、夜間の入浴時に若干上昇する。それ以外に、給湯器3002は、深夜時間帯に沸き上げを行って貯湯することで消費電力レベルが高くなる。
図22(b)に示すように、冷蔵庫1000は、朝食時および夕食時には扉開閉が頻発するので、温度上昇を回避するために急冷運転し、通常運転時の消費電力レベル17aは上昇する。以上のようなことから、図22(a)に示すように、通常運転時の宅内システム2000の合計の消費電力レベル17aは、朝食時および夕食時に集中的に上昇することになる。
さらに、図22(b)では、冷蔵庫1000において、霜取運転が夜間(21:00〜23:00)に実施されることを想定しているが、霜取運転が朝食時あるいは夕食時に重なった場合、供給電力を逼迫する可能性が高くなる。
このとき、宅内コントローラ2004は、電力計測装置2002から各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報および系統電源2001の供給電力情報を受信し、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が系統電源2001の供給容量に迫っている場合に、通信手段4を介して、各家電機器1000,3001〜3004に対して節電指示を送信する。
例えば、朝食時および夕食時においては、調理を実施しているIHクッキングヒータ3003および電子レンジ3004は、節電指示を受け入れることは困難であるが、その時間帯に高消費電力運転をする必然性のない、冷蔵庫1000およびルームエアコン3001は節電運転を実施することが可能である。
そこで、冷蔵庫1000においては、例えば、朝食時または夕食時に冷蔵室100の扉開閉が頻発した場合に、制御手段3から、急冷運転を解除して冷却抑制制御運転に移行し、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくし、冷蔵室100とは異なる他の貯蔵室のダンパの開率を小さくし、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量を減少させる信号を送信し、冷蔵室100に集中的に冷却空気を流入させる。これにより、図22の冷却制御変更後の消費電力レベル17bに示したように、朝食時および夕食時の冷蔵庫1000の消費電力レベル、および宅内システム2000合計の消費電力レベルを低減することが可能となる。
図25は、本発明の実施の形態3の宅内システム2000が備える冷蔵庫1000の制御を示すフローチャートである。冷蔵庫1000に対する節電指示があったときに冷蔵庫1000が通常冷却運転モードであった場合の具体的な制御手順について、図25のフローチャートを参照して、以下に詳細に説明する。
ステップS60において、冷蔵庫1000は、通常冷却運転モードにあり、貯蔵室(例えば冷蔵室100)を通常に冷却する運転を行っている。この通常冷却運転中においては、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報を受信し、その消費電力の合計が予め設定された所定値よりも高いかどうかを判定する(ステップS61)。
ここでの消費電力が所定値よりも高い場合とは、例えば、各家電機器1000,3001〜3004の使用が集中する時間帯であって、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が、電源(ここでは系統電源2001)からの供給電力の90%以上になった場合である。また、上記所定値は、電源からの供給電力の90%でなくても良く、90%を超えても、90%未満でも良い。また、電源は、系統電源2001に限定されるものではなく、他の電源、例えば太陽光発電装置、蓄電池等のいずれか一つでも良いし、または複数の電源を組み合わせて電力を供給しても良い。
この判定の結果、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも低いと判定した場合(ステップS61のNO)には、最初のステップS60に戻る。すなわち、冷蔵庫1000は通常の冷却運転モードを継続する。
一方、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも高いと判定した場合(ステップS61のYES)には、ステップS62に進む。ステップS62で、冷蔵庫1000は、冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定する(ステップS62)。
ここでの冷却抑制制御モードとは、上述の冷却抑制制御モードと同様に、例えば、冷蔵室100の室内温度の設定温度を2℃上昇させて、この上昇された設定温度を維持するように冷蔵室100の室内温度を制御する。
次に、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも低くなったかどうかを判定する(ステップS63)。
この判定の結果、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも高いと判定した場合(ステップS63のNO)には、ステップS62に戻り、冷却抑制制御モードを継続する。
一方、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも低いと判定した場合(ステップS63のYES)には、ステップS64に進む。ステップS64で、冷蔵庫1000は、冷却抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開し、冷却抑制制御モードの制御開始前の貯蔵室の設定温度に設定する。
以上のことから、住宅内の各家電機器1000,3001〜3004の消費電力が住宅の電源の供給電力に対して逼迫するときには、冷蔵庫1000に対して節電指示を出すことができ、冷蔵庫1000の冷却を抑制する制御を行うことで、冷蔵庫1000による節電効果によって、消費電力が低減するという効果が得られる。
図26は、本発明の実施の形態3の宅内システム2000が備える冷蔵庫1000の制御を示すフローチャートである。冷蔵庫1000に対する節電指示があったときに冷蔵庫1000が冷却促進制御モード(急冷運転)であった場合の具体的な制御手順について、図26のフローチャートを参照して、以下に詳細に説明する。
ステップS70において、冷蔵庫1000は、冷却促進制御モードにあり、貯蔵室(例えば冷蔵室100)の冷却を促進する急冷運転を行っている。この急冷運転中においては、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報を受信し、その消費電力の合計が予め設定された所定値よりも高いかどうかを判定する(ステップS71)。
ここでの消費電力が所定値よりも高い場合とは、例えば、各家電機器1000,3001〜3004の使用が集中する時間帯であって、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が、電源(ここでは系統電源2001)からの供給電力の90%以上になった場合である。また、上記所定値は、電源からの供給電力の90%でなくても良く、90%を超えても、90%未満でも良い。また、電源は、系統電源2001に限定されるものではなく、他の電源、例えば太陽光発電装置、蓄電池等のいずれか一つでも良いし、または複数の電源を組み合わせて電力を供給しても良い。
この判定の結果、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力は所定値よりも低いと判定した場合(ステップS71のNO)には、最初のステップS70に戻る。すなわち、冷蔵庫1000は冷却促進制御モードを継続する。
一方、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも高いと判定した場合(ステップS71のYES)には、ステップS72に進む。ステップS72で、冷蔵庫1000は、冷蔵室100の冷却を抑制する冷却抑制制御モードを設定する(ステップS72)。
ここで、ステップS71での判定前の冷蔵室100に対する運転は冷却促進制御モードであったことから、まず、冷蔵室100に対する冷却促進制御モード(急冷運転)を解除し、冷却抑制制御モードに移行する制御を行う。
ここでの冷却抑制制御モードとは、冷蔵室100の設定温度は上昇させずに、冷蔵室100とは異なる他の貯蔵室の設定温度を上昇させる(例えば、2℃上昇)制御を行う。具体的な制御としては、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくし、冷蔵室100とは異なる他の貯蔵室のダンパの開率を小さくし、圧縮機1001の回転速度および送風装置1003の送風量を減少させ、冷蔵室100に集中的に冷却空気を流入させる制御である。
次に、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも低くなったかどうかを判定する(ステップS73)。
この判定の結果、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも高いと判定した場合(ステップS73のNO)には、ステップS72に戻り、冷却抑制制御モードを継続する。
一方、制御手段3または宅内コントローラ2004が、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力の合計が所定値よりも低いと判定した場合(ステップS73のYES)には、冷却抑制制御モードを解除して、通常冷却運転モードを再開し、冷却抑制制御モードの制御開始前の貯蔵室の設定温度に設定する(ステップS74)。
以上のことから、住宅内の各家電機器1000,3001〜3004の消費電力が住宅の供給電力に逼迫するときには、冷蔵庫1000に対して節電指示を出すことができ、冷蔵室100が冷却促進制御モードを実施しているときでも、冷蔵室100の冷却の影響をできる限り抑えて、冷蔵庫1000としての節電効果を得ることができる。
また、制御手段3は、宅内コントローラ2004から受信した各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報に基づいて、各家電機器1000,3001〜3004の将来の消費電力である予測消費電力情報を予測する。この予測消費電力情報は、各家電機器1000,3001〜3004の過去の消費電力情報に基づいて、消費電力が増加する日時および低下する日時の傾向を分析して予測される。また、予測消費電力情報は、上記以外の予測方法でも良く、いかなる予測方法に基づいていても良い。
制御手段3は、使用者のスケジュール情報に基づいて、将来の日時における冷蔵庫1000の運転の予定を表す冷蔵庫1000の制御スケジュールを作成する。制御手段3は、使用者のスケジュール情報に加えて、扉開閉情報などから予測される冷蔵庫1000の使用頻度または使用状況に関する予測情報に基づいて、冷蔵庫1000の制御スケジュールを作成しても良い。そして、制御手段3は、作成した冷蔵庫1000の制御スケジュールを、予測消費電力情報に基づいて、更新または修正しても良い。例えば、制御手段3は、予測消費電力情報の予測消費電力が、予め設定された所定値に比べて高くなると予測される時間帯においては、当初の予定に代えて、貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御を実施する予定になるように冷蔵庫1000の制御スケジュールを更新または修正しても良い。その場合、制御手段3は、更新または修正前の予定が使用者のスケジュール情報等に基づいて貯蔵室の冷却を促進する冷却促進制御を実施する予定であったとしても、予測消費電力情報の予測消費電力が上記所定値に比べて高くなると予測される時間帯においては、貯蔵室の冷却を抑制する冷却抑制制御を実施する予定になるように冷蔵庫1000の制御スケジュールを更新または修正する。また、制御手段3が冷蔵庫1000の制御スケジュールを作成、更新または修正したとき、冷蔵庫1000の制御スケジュールを表示手段10に表示して使用者に報知することで、冷蔵庫1000の制御スケジュールの内容を使用者に確認させても良い。あるいは、冷蔵庫1000の制御スケジュールの内容を使用者に報知することなく制御手段3が冷蔵庫1000の運転を自動的に制御しても良い。さらには、冷蔵庫1000の制御スケジュールの内容を使用者に報知するか否かを使用者が任意に設定できるようにしても良い。
以上より、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力を予測し、予測消費電力が供給電力に迫っていると予測される場合に、冷蔵庫1000の冷却を抑制することにより、冷蔵庫1000の消費電力を低減させることができる。また、使用者の住宅内における消費電力のピークカットが可能となり、供給電力以上に電力を消費することをできるだけ防止することが可能である。また、制御手段3は、予測消費電力情報の予測消費電力が上記所定値に比べて高くなると予測される場合等には、その旨を表示手段10に表示することで使用者に報知し、または、その旨を音声等による他の報知手段25で使用者に報知しても良い。これにより、予測消費電力が供給電力に迫っていると予測される場合に、使用者に節電の必要性を知らせることができ、使用者の節電行動を促すことができる。
また、制御手段3は、消費電力が大きくなる冷蔵庫1000の霜取運転または急冷運転に関して、次のように制御しても良い。制御手段3は、霜取運転または急冷運転の運転履歴からそれらの運転が必要となるタイミングを予測し、図22の冷却制御変更後の消費電力レベル17bに示したように、他の家電機器の消費電力レベルが小さい時間帯、特に単位電力あたりの電気代が安い深夜電力時間帯に、霜取運転または急冷運転を予め実施しても良い。これにより、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力が集中することを回避し、深夜電力を有効に使用することによって、電力料金の低減が図れる。
ここで、図22から図24に示したように、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力は使用者の在否状況、すなわち使用者のスケジュール情報と密接な関係があることがわかる。よって、本実施の形態3では、操作パネル1の入力手段9にて入力された使用者のスケジュール情報と、通信手段4を介して宅内コントローラ2004から受信した各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報とに基づいて、制御手段3が圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の少なくとも一つを制御することで、冷蔵庫1000以外の各家電機器3001〜3004の消費電力情報を考慮して、冷蔵庫1000の節電運転を行うことができる。
したがって、使用者のスケジュール情報と各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報を照らし合わせることにより、例えば急な予定変更、操作パネル1の入力手段9におけるスケジュール入力ミス、または、スケジュール情報だけでは判断できない生活パターンを消費電力情報から検出することにより、さらに正確に使用者のスケジュールに対応することができる。その結果、飲食物の保存品質を維持した上で、冷却過剰および冷却不足のない最適な冷却制御を実施することが可能となる。上述したスケジュール情報だけでは判断できない生活パターンとは、例えば、使用者が在宅予定だが弁当または宅配食などを利用することで調理用家電機器を使用しない状況などである。また、住宅全体の各家電機器1000,3001〜3004の消費電力が高い場合にも、冷蔵庫1000の節電運転を実施できるため、冷蔵庫1000の節電効果だけではなく、住宅全体で節電効果が得られることになる。
図21では、操作パネル1の入力手段9にて入力された使用者のスケジュール情報と、通信手段4を介して宅内コントローラ2004から受信した、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報とに基づいて、制御手段3が制御変更指示内容を判定して、圧縮機1001、送風装置1003および吹出風量制御装置の少なくとも一つを制御する構成となっているが、宅内コントローラ2004に記憶手段2および制御手段3の一部の機能を持たせ、宅内コントローラ2004が使用者のスケジュール情報、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力および運転情報を一括管理し、制御手段3に送信する制御変更指示内容を判定してもよい。
使用者のスケジュール情報を宅内コントローラ2004にて一括管理することにより、他の家電機器の制御にも使用者のスケジュール情報を反映することが可能となるとともに、冷蔵庫1000単体としても制御装置1004の構成が簡略化できる。すなわち、宅内コントローラ2004と冷蔵庫1000の通信手段4とは、冷蔵庫1000を制御する際の制御変更指示内容のみを通信すれば良く、定期的もしくは要求時に各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報を通信しなくても良くなるため、通信手段4における通信負荷が低減できるという効果が得られる。また、通信負荷が低減されることにより、通信障害の低減にもつながることになる。
また、図21に示した操作パネル1の表示手段10には、各貯蔵室の温度情報、入力された使用者のスケジュール情報、および実施の形態1または実施の形態2と同様に使用者のスケジュール情報に基づいて変更された制御内容を表示することが可能である。さらに、通信手段4を介して受信した、宅内コントローラ2004において保管されている、系統電源2001の供給電力、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報、各家電機器3001〜3004の予測消費電力情報および冷蔵庫1000の消費電力情報を併せて表示手段10に表示することができる。
上記のようにして、使用者のスケジュール情報に加え、電力の需給状況およびそれに対応した制御内容を表示することにより、使用者が自動制御内容を確認できるだけでなく、使用者に節電行動を啓蒙することが可能になるという効果が得られる。さらに、操作パネル1または宅内コントローラ2004をタブレット端末とし、このタブレット端末に入力手段9および表示手段10を設け、通信手段4を介して無線で通信可能とすることにより、使用者は遠距離から冷蔵庫1000の運転情報、および異常状態を確認でき、また予定変更があった際に、遠距離から即座にスケジュールを修正できるという効果が得られる。
また、図20では、電力計測端子2003によって、各家電機器1000,3001〜3004に供給されている電流を測定し、電力計測装置2002において、各家電機器1000,3001〜3004の消費電力および系統電源2001の供給電力を算出しているが、各家電機器1000,3001〜3004に消費電力測定機能を搭載し、各家電機器1000,3001〜3004から直接通信手段4を介して、宅内コントローラ2004に消費電力情報を直接送信してもよい。これにより、電力計測装置2002および電力計測端子2003は不要となるため、宅内システム2000は簡略化し、低コストで構築できるという効果が得られる。
以上のことより、本実施の形態3では、宅内システム2000の宅内コントローラ2004によって、住宅内の各家電機器1000,3001〜3004の消費電力情報を取得することができ、この各家電機器1000,3001〜3004の消費電力が供給電力に逼迫する場合でも、冷蔵庫1000を効果的な節電を行えるような制御ができるため、節電効果を得るとともに、住宅内のピーク電力削減に貢献することができる。なお、実施の形態1および実施の形態2にて奏する効果は、本実施の形態3においても、同様に奏することは明らかである。
また、本発明の実施の形態1から3においては、それぞれが個別に構成されているものではなく、それぞれの構成は組み合わせて実施できるものである。なお、効果においても、実施の形態1から3を組み合わせた際には、組み合わせた効果を奏することができる。