この発明を添付の図面を参照しながら説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示している。同符号の部分についての重複説明は適宜に簡略化あるいは省略する。
実施の形態1.
図1から図5は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は冷蔵庫の正面図、図2は冷蔵庫の側方断面図及び機能ブロック図、図3は冷蔵庫が備える庫内撮影手段による撮影画像の一例を示す図、図4は冷蔵庫が備える庫内撮影手段による撮影画像から抽出された食品画像の一例を示す図、図5は冷蔵庫が備える食品画像データベースに記憶される内容の一例を示す図である。
図1に示す冷蔵庫1000は、外部と断熱された筐体を備えている。冷蔵庫1000の筐体内には、それぞれに区画された複数の貯蔵室が設けられている。ここでは、複数の貯蔵室として、例えば、冷蔵室100、製氷室200、切替室300、冷凍室400及び野菜室500が設けられている。これらの貯蔵室は、ここでは、上から冷蔵室100、製氷室200及び切替室300、冷凍室400、野菜室500の順で配置されている。
また、冷蔵室100の扉には操作パネル1が設置されている。操作パネル1では、各貯蔵室の温度の設定、及び、現在の温度情報の表示等が可能である。なお、操作パネル1の設置位置は、冷蔵室100の扉に限られない。操作パネル1は、他に例えば、他の貯蔵室の扉、あるいは、冷蔵庫1000の筐体の側面等に設置されてもよい。
次に、図2を参照しながら、冷蔵庫1000の構成についてさらに説明を続ける。図2は、図1中の断面A−Aによる断面図である。冷蔵室100の内部の最下段には、チルド室110が設けられている。チルド室110内には、チルドケース111が取り付けられている。チルドケース111は、図示しないレール等の案内部材により、冷蔵室100の扉側へ引き出し得るように設けられている。また、製氷室200、切替室300、冷凍室400及び野菜室500についても、それぞれの扉とともに、冷蔵庫1000の手前側に引き出し得るようになっている。
冷蔵庫1000には、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する冷凍サイクル回路が備えられている。冷凍サイクル回路は、圧縮機1001、凝縮器(図示せず)、絞り装置(図示せず)及び冷却器1002等を備えている。圧縮機1001は、冷凍サイクル回路内の冷媒を圧縮する。凝縮器は、圧縮機1001により圧縮された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器により凝縮された冷媒を膨張させる。そして、冷却器1002は、絞り装置により膨張された冷媒によって空気を冷却して貯蔵室へ供給する冷気を生成する。圧縮機1001は、例えば、冷蔵庫1000の背面側の下部に配置されている。
冷蔵庫1000には、この冷凍サイクル回路により空気を冷却することで生成された冷気を各貯蔵室へ供給するための風路が設けられている。この風路は、冷却風路1010、戻り風路1020、冷蔵室戻り風路101及び野菜室戻り風路501等から構成されている。
冷却風路1010は、例えば冷蔵庫1000の背面側に形成されている。冷却風路1010は、冷却器1002により空気を冷却することで生成された冷気を、各貯蔵室に搬送するための通風路である。冷却風路1010内には、冷却器1002が配置されている。また、冷却風路1010内には、空気搬送装置1003が設けられている。空気搬送装置1003は、冷却器1002により生成された冷気を各貯蔵室へ搬送するためのものであり、換言すると、冷蔵庫1000内で空気を循環させるためのものである。空気搬送装置1003は、例えば送風機から構成されている。
さらに、冷却風路1010内における空気搬送装置1003と各貯蔵室との中途の位置には、ダンパが設置されている。ダンパを開閉することで、各貯蔵室への冷気の流入量を調節することができる。すなわち、ダンパは、各貯蔵室への冷気の供給量を調節する吹出風量制御装置である。なお、図2では、冷蔵室100用の冷蔵室ダンパ102のみを図示し、他のダンパについては図示を省略している。
戻り風路1020は、各貯蔵室を冷却した空気が、冷却器1002へ搬送される通風路である。冷蔵室戻り風路101は、冷蔵室100及びチルド室110を冷却した空気が、野菜室500に搬送される通風路である。冷蔵室100及びチルド室110を冷却した空気は、野菜室戻り風路501において野菜室500を冷却した空気と混合され、冷却器1002に搬送される。
冷蔵室100の内部には、庫内撮影手段2が設置されている。庫内撮影手段2は、貯蔵室(ここでは、チルド室110を含む冷蔵室100)内に収納された食品の画像を撮影する撮影手段である。庫内撮影手段2は、例えばカメラにより構成される。庫内撮影手段2の撮影視野は、冷蔵室100内の天井面からチルド室110までの範囲となっている。
庫内撮影手段2の設置位置は、冷蔵室100内の全範囲が庫内撮影手段2の撮影画像内に入るような位置が望ましい。しかし、必ずしも冷蔵室100内の全範囲が庫内撮影手段2の撮影画像内に入っていなくとも、貯蔵室内の食品の収納状態が把握できる程度に広い範囲内が撮影画像内に入るように位置であればよい。
あるいは、庫内撮影手段2の撮影する向きを変更可能に設置し、向きを変えながら複数回に分けて撮影することで、貯蔵室内の全体の画像を撮影できるようにしてもよい。また、庫内撮影手段2として複数のカメラを設けて、それぞれのカメラにより撮影された画像を合わせることで、貯蔵室内の全体の画像を得ることができるようにしてもよい。
なお、庫内撮影手段2を例えば冷蔵室100の扉の内面に設置すれば、冷蔵庫1000の使用者(ユーザ)と同じ視点の画像を得ることができるという利点がある。また、庫内撮影手段2を例えば冷蔵室100内を照らす照明装置(図示せず)の近傍に設置すれば、画像の撮影に十分な照度を確保することができるため有利である。
冷蔵庫1000の背面側の上部には、制御基板1004が設けられている。この制御基板1004には、食品画像管理手段3、食品画像識別手段4、食品画像データベース5、食品収納傾向推定手段6、食品収納状態推定手段7、設定温度算出手段8及び冷却制御手段9として機能する回路が実装されている。
食品画像管理手段3は、庫内撮影手段2により撮影された食品の画像を、入庫及び出庫を判別した上で時系列で保存して管理する。庫内撮影手段2は、予め定められたタイミングで、例えば冷蔵室100の扉開閉時に、冷蔵室100に収納された食品の画像を撮影する。庫内撮影手段2により撮影された画像には、撮影時点において冷蔵室100内に収納されている食品が含まれている。
食品画像管理手段3は、まず、庫内撮影手段2により撮影された画像から、個々の食品の画像を抽出する。次に、食品画像管理手段3は、連続する2つの時点において庫内撮影手段2により撮影された画像から抽出された個々の食品の画像を比較することにより、個々の食品について冷蔵室100に入庫されたのか出庫されたのかを判別する。この際、入庫及び出庫の判別に用いた2つの画像の撮影日時から、おおよその入庫日時及び出庫日時を特定することができる。こうして、食品画像管理手段3は、庫内撮影手段2により撮影された画像に基づいて、個々の食品の画像について、入庫日時及び出庫日時を特定し、それぞれの食品の画像を時系列で保存して管理する。
この食品画像管理手段3による食品画像の抽出及び管理について、図3及び図4を参照しながら具体例を挙げて説明する。まず、図3は、冷蔵室100の扉の異なる時刻の開閉時において、庫内撮影手段2により撮影された冷蔵室100内の全体画像の一例である。図3の(a)は時刻A、(b)は時刻Bにおける撮影画像であり、時刻Aは時刻Bよりも前(過去)の時刻であるとする。
また、図4は、図3で示した時刻A及び時刻Bに撮影された冷蔵室100内の全体画像から、食品画像管理手段3により抽出された個々の食品画像の一例を示したものである。図4の(a)は、図3の(a)の画像から抽出した時刻Aにおける個々の食品の画像、図4の(b)は、図3の(b)の画像から抽出した時刻Bにおける個々の食品の画像である。
食品画像管理手段3は、例えば、図3の全体画像をエッジ処理して物体の輪郭を抽出し、その大きさから棚や照明装置等の冷蔵室100の内装を排除することにより図4の個々の食品画像を抽出する。あるいは、冷蔵室100内に何も入っていない空の状態で庫内撮影手段2により撮影した画像を予め記憶しておき、この空の状態の画像と図3の画像との差分を取ることで、図4の個々の食品画像を抽出することもできる。後者の方法の方が、抽出精度を向上することができる利点があるため好ましい。
なお、図4にも示されているように、抽出した個々の食品の画像のサイズは、食品の大きさによって相対的に異なっている。一方、抽出した個々の食品の画像のサイズは、庫内撮影手段2から当該食品までの距離によっても変化する。そこで、食品画像管理手段3は、抽出した食品画像のサイズを、庫内撮影手段2から当該食品までの距離に応じて補正することで、食品画像のサイズに当該食品の大きさ(寸法)をより正確に反映することが可能である。
次に、食品画像管理手段3は、以上のようにして抽出した図4の(a)及び(b)のような2時点の食品画像を比較することにより、それぞれの食品画像について冷蔵室100に入庫されたものであるのか出庫されたものであるのかを判別する。図4の(c)は、図4の(a)及び(b)の比較により時刻Bにおいて出庫したと判別された食品画像、図4の(d)は、図4の(a)及び(b)の比較により時刻Bにおいて入庫したと判別された食品画像である。
抽出された食品画像の入庫または出庫を判断する方法としては、連続した2時刻の差分を算出すればよく、すなわち、このように、食品画像管理手段3は、(a)時刻Aの食品画像に存在し、かつ、(b)時刻Bの食品画像に存在しないものを、(c)時刻Bで出庫された食品画像とする。また、食品画像管理手段3は、(a)時刻Aの食品画像に存在せず、かつ、(b)時刻Bの食品画像に存在するものを、(d)時刻Bで入庫された食品画像とする。
なお、抽出した食品画像の背景における、連続した2時刻の差分を算出した際のエッジ処理によるエッジの変化量によって、食品の入庫/出庫を判断することも可能である。
図2を再び参照しながら説明を続ける。食品画像識別手段4は、食品画像管理手段3により保存・管理されている食品の画像に基づいて、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内に出し入れされた食品の種類及び量を識別する。食品画像識別手段4は、食品の種類等の識別時に食品画像データベース5に記憶されている情報を参照する。食品画像データベース5は、食品の種類のそれぞれに、当該食品の形状、大きさ、色及び外装ラベルの少なくとも1つを対応付けて予め記憶する食品情報記憶手段である。
食品情報記憶手段である食品画像データベース5に記憶されている情報の具体例を図5を参照しながら説明する。食品画像データベース5は、食品種類のそれぞれについて、当該食品種類を他の食品種類と区別することができる特徴的な属性を記憶している。ここでは、当該食品種類に属する食品自体又は当該食品が入った容器の特徴量を、当該食品種類に対応付けて記憶している。具体的には、各食品種類について、形状(輪郭)、直軸の大きさ、代表色(RGB値)及びラベル(文字)等の情報を特徴量としている。
なお、食品画像データベース5に記憶する食品種類毎の形状としては、ここで例に挙げた輪郭の他、例えば、当該食品の外形に最も近い幾何学的形状(例えば、円柱、台形等)としてもよい。この場合、後述する食品画像識別手段4による識別においては、例えば、パターンマッチング等の手法により食品画像データベース5に記憶されている形状との照合を行う。また、色については、代表色のRGB値の他、例えば明度、彩度等の他の指標値を用いるようにしてもよい。
食品画像識別手段4は、以上のような食品画像データベース5に記憶されている情報を参照しながら、食品画像管理手段3により保存・管理されている個々の食品の画像に基づいて、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内に出し入れされた食品の種類及び量を識別する。この識別においては、食品画像識別手段4は、食品画像管理手段3により管理されている個々の食品の画像について、食品画像データベース5に記憶されている食品の種類のうち、どの食品の種類の特徴量と合致するかを照合する。
そして、個々の食品の画像と合致する食品画像データベース5に記憶されている特徴量があった場合、当該画像の食品の種類は、食品画像データベース5においてこの合致した特徴量に対応付けられている種類であると、食品画像識別手段4は判断する。なお、食品画像データベース5に特徴量が合致するデータがない場合、当該画像の食品の種類を、最も類似する食品の種類で代替するか、あるいは、当該画像の食品は種類不明の収納物として大きさだけを識別するようにしてもよい。
このようにして、食品画像識別手段4は、食品画像管理手段3により保存・管理されている食品の画像と、食品画像データベース5に記憶されている特徴量とを比較することにより、冷蔵室100内に収納されている食品並びに入庫及び出庫した食品について、種類及びその量を特定することができる。
食品収納傾向推定手段6は、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内への食品の収納状態の変化傾向を推定する。食品収納傾向推定手段6は、この食品の収納状態の変化傾向の推定を、食品画像識別手段4により識別された冷蔵室100内に出し入れされた食品の種類及び量の情報に基づいて行う。
食品画像識別手段4により識別された情報によれば、過去のある時点における冷蔵室100の収納状態(冷蔵室100内に収納されている食品の種類及び量)、並びに、その収納状態の変化、すなわち、過去において、いつ、どの種類の食品がどれだけの量、冷蔵室100に入出庫されたかについての実績を知ることができる。
そして、食品収納傾向推定手段6は、冷蔵室100内の食品の収納状態の実績に基づいて、食品の収納状態の変化傾向を推定する。なお、この際、食品画像管理手段3により管理されている画像の撮影時刻情報及び入庫/出庫識別情報も用いるようにしてもよい。ここでは、食品収納傾向推定手段6は、食品の収納状態の変化傾向として、継続的に繰り返される食品収納パターンを推定する。
ここで、継続的に繰り返される食品収納パターンとは、具体的に例えば、まとめ買いパターン、毎日買い物パターン、外食パターン及び食べるだけ保存パターン等が考えられる。まとめ買いパターンとは、収納量が週末に急激に増加して徐々に減少する食品収納パターンである。毎日買い物パターンとは、飲料類はまとめ買いするが野菜は毎日追加される食品収納パターンである。外食パターンとは、飲料や調味料類しか収納されていない食品収納パターンである。そして、食べるだけ保存パターンとは、生鮮食品及びカット野菜等を一時的に収納し、比較的に短時間で消費する食品収納パターンである。
なお、食品収納傾向推定手段6は、予め設定された複数の食品収納パターンのうちから選択した食品収納パターンを、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内への食品の収納状態の変化傾向として推定するようにしてもよい。予め設定される複数の食品収納パターンとしては、前述したような、まとめ買いパターン、毎日買い物パターン、外食パターン及び食べるだけ保存パターン等とすることができる。なお、これら以外の食品収納パターンを設定してもよい。
食品収納傾向推定手段6は、食品画像識別手段4により識別された情報から分かる冷蔵室100内の食品の収納状態の実績から、食品の収納状態の変化傾向が、予め設定された複数の食品収納パターンのうちの、どの食品収納パターンに最も合致するかを判断する。この判断は、例えば、予め各食品収納パターンについて食品の種類毎の収納量の変化についてモデル化しておき、各モデルとの相関を見ることで行うことができる。あるいは、それぞれの食品収納パターンに適合するための条件を予め設定しておき、実績による食品の収納状態の変化傾向が、これらの条件を満たすものであるか否かという観点から、食品収納パターンを選択するようにすることもできる。
食品収納状態推定手段7は、食品収納傾向推定手段6により推定された変化傾向に基づいて、以後の各時点における貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内への食品の収納状態を推定する。なお、ここでいう食品の収納状態とは、食品の種類毎の収納量である。また、ここでいう以後の各時点は、例えば、予め定められた一定時間間隔により決まる時点(例えば、毎正時等)とする。
食品収納状態推定手段7における推定では、食品収納傾向推定手段6により実績から推定された食品の収納状態の変化傾向が、今後も継続することを前提としている。例えば、食品収納傾向推定手段6により食品の収納状態の変化傾向がまとめ買いパターンであると推定された場合、食品収納状態推定手段7は、食品の収納状態は、週末に収納量が非常に多く、以後、次の週末まで収納量が徐々に減少していくものであると推定する。また、食品収納傾向推定手段6により食品の収納状態の変化傾向が毎日買い物パターンであると推定された場合、食品収納状態推定手段7は、食品の収納状態は、買い物直後の夕方に収納量が増加するものであると推定する。
さらに、食品収納傾向推定手段6により食品の収納状態の変化傾向が外食パターンであると推定された場合、食品収納状態推定手段7は、食品の収納状態は、常に収納量が少ない状態で推移するものであると推定する。そして、食品収納傾向推定手段6により食品の収納状態の変化傾向が食べるだけ保存パターンであると推定された場合、食品収納状態推定手段7は、食品の収納状態は、食事時間帯を過ぎると収納量が激減するものであると推定する。
設定温度算出手段8は、食品収納状態推定手段7により推定された収納状態に基づいて、貯蔵室(ここでは冷蔵室100)の設定温度を算出する。すなわち、推定された以後の各時点における収納状態に基づいて、冷蔵室100に収納されていると推定される食品の種類及び量に応じた最適な設定温度を算出する。
この最適な設定温度の算出方法としては、食品収納状態推定手段7により推定された収納量が多い、すなわち冷却負荷が大きいときは設定温度を低めにし、推定された収納量が少ない、すなわち冷却負荷が小さいときは設定温度を高めにすることが、まず考えられる。これに加えて、食品収納状態推定手段7により収納量が多い状態が継続することが推定されている場合には、食品は充分冷えているため冷却負荷としては小さいと考えられる。したがって、この場合には、設定温度を高めに設定しても食品の品質を損なうことがなく、無駄な冷却運転を抑制できるため省エネすなわち消費エネルギー量の削減を図ることができる。
さらに、一般的に生鮮食品及びカット野菜等は低温環境の方が適している。そこで、食品収納状態推定手段7により収納されている食品の種類が生鮮食品及びカット野菜等の低温環境が適するものであることが推定されている場合には、同じ収納量でもより低温に設定することにより、保存品質を良好な状態で長期間維持し、新鮮な状態で長持ちさせることができる。
冷却制御手段9は、設定温度算出手段8により算出された貯蔵室(ここでは冷蔵室100)の設定温度に基づいて、冷蔵庫1000の当該貯蔵室に対する冷却能力を変更する。この冷却能力の変更は、冷却制御手段9が、圧縮機1001、空気搬送装置1003及び吹出風量制御装置(ここでは冷蔵室ダンパ102等)のうちの少なくとも1つを制御することで行われる。
例えば、設定温度算出手段8により算出された設定温度が高く、冷却能力に余裕がある場合には、冷却制御手段9は、圧縮機1001の回転数及び空気搬送装置1003の搬送風量を減少させる。このことにより、食品の保存品質を維持しつつ消費電力レベルを低減することが可能である。また、例えば、冷蔵室100の設定温度は低いが、冷却能力に余裕がある場合には、冷却制御手段9は、圧縮機1001の回転数及び空気搬送装置1003の搬送風量を減少させるが、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくする。このようにして、冷蔵室100に集中的に冷気を流入させることにより、冷蔵庫1000全体としての消費電力レベルを低減することができる。
以上のように構成された冷蔵庫1000の運転時においては、冷却器1002で冷却された空気が、空気搬送装置1003によって冷却風路1010を経由して各貯蔵室へ搬送される。そして、各貯蔵室を冷却した後の戻り空気が戻り風路1020を経由して再度冷却器1002に戻る周回風路となっている。
各貯蔵室は、冷却器1002で冷却された空気(例えば−30℃〜−25℃)を分配することで冷却される。この際、冷蔵室ダンパ102をはじめとする、複数のダンパの開閉によって、それぞれの貯蔵室への冷気の流入量を調節することで、各貯蔵室について個別に温度設定及び調節を行っている。
例えば、最も低温設定となる冷凍室400(例えば−22℃〜−16℃)の流入ダンパはほぼ全開とし、最も高温設定となる野菜室500(例えば3℃〜9℃)の流入ダンパはほぼ全閉とする。そして、野菜室500より温度設定の低い冷蔵室100(例えば0℃〜6℃)及びチルド室110(例えば0℃〜2℃)を冷却した戻り空気で野菜室500を間接的に冷却する等により、各貯蔵室の温度設定を変更及び調節している。
ここで、冷却過剰や冷却不足に対応して、各貯蔵室の温度設定は±2〜3℃程度の調整が可能である。例えば、冷凍室400は−25℃〜−13℃程度、冷蔵室100は−2℃〜9℃程度の範囲で設定変更が可能である。冷却不足により、特定の貯蔵室の温度が低温側に設定された場合、例えば冷蔵室100のみを低温化する場合、冷蔵室ダンパ102の開度を大きくすることによって、冷蔵室100への冷却空気の流入量を増加させる。
一方、複数の貯蔵室を低温化する必要がある場合には、圧縮機1001の回転数及び空気搬送装置1003の搬送風量の少なくとも一方を増加させ、冷凍サイクル回路全体の冷却能力を上昇させる。したがって、この場合には冷蔵庫1000の消費電力は増加する。
逆に冷却過剰に対応するために貯蔵室を高温化する場合には、特定の貯蔵室に対してはダンパの開度を小さくして冷却空気の流入量を減少させる。また、複数の貯蔵室に対しては、圧縮機1001の回転数及び空気搬送装置1003の搬送風量の少なくとも一方を減少させる。よって、複数の貯蔵室について高温化する場合には冷蔵庫1000の消費電力は減少する。
ここで、冷蔵庫1000の消費電力は、例えばルームエアコン、IHクッキングヒータ等の他の家電機器に比べて小さい。しかし、冷蔵庫1000は、食品を管理しているために冷却を停止(電源OFF)することができない。したがって、冷蔵庫1000で節電運転を実施するためには、食品の保存状況やユーザの使用状況に応じて、各貯蔵室の設定温度を上昇させる必要がある。例えば、貯蔵室内の食品収納量が少ない場合、あるいは、通常の設定温度ほどの低温環境が必要ない食品を収納した場合等には、食品の保存品質を損なうことなく設定温度を上昇させることで、節電を図ることが可能である。
すなわち、以上のように構成された冷蔵庫1000においては、庫内撮影手段2、食品画像管理手段3及び食品画像識別手段4により、例えば冷蔵室100等の貯蔵室における食品の収納状態の実績を把握する。食品収納傾向推定手段6は、把握した食品の収納状態の実績から、食品の収納状態の変化傾向、例えば継続的に繰り返される食品収納パターンを推定し、食品収納状態推定手段7は、推定された食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)に基づいて、以後の各時点における食品の収納状態を推定する。
そして、設定温度算出手段8は、食品収納状態推定手段7により推定された収納状態に基づいて、貯蔵室の設定温度を算出する。したがって、貯蔵室内の食品の収納状態、特に収納されている食品の種類について考慮した貯蔵室の設定温度を算出することができ、貯蔵室の設定温度を、低温で保存するべき生鮮食品及び低温障害のある野菜等の食品の種類に応じた性質を考慮した、より適切なものにすることができる。
また、食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)を考慮した貯蔵室の設定温度を算出することができ、貯蔵室内の食品の収納状態の変化が乏しい場合、あるいは、逆に収納状態が急激に変化する場合においても、貯蔵室内の食品の冷却負荷等を鑑みた、より適切な貯蔵室の設定温度にすることができる。
このように、貯蔵室内の食品の収納状態及びその変化傾向に合わせて適切な設定温度を求めることができ、貯蔵室に収納された食品の保存品質を維持しつつ消費エネルギー量の削減を図ることが可能である。
この際、設定温度算出手段8は、算出した設定温度が現在より温度を上昇させるものである場合、現在より設定温度を下降させて冷却制御手段9に冷却運転を実施させた後に、設定温度を上昇させるようにしてもよい。すなわち、食品の収納状態に基づき設定温度算出手段8により算出された設定温度が、貯蔵室の温度を上昇させるものである場合、設定温度算出手段8は、設定温度を上昇させる前に、予め設定温度を下降させて冷却制御手段9に冷却運転を実施させる。
具体的に例えば、週末から徐々に収納量が減少するまとめ買いパターンに合わせて、週の中頃に設定温度を上昇させる場合、週の中頃より前に、予め急冷運転を実施し、貯蔵室内の温度を低下させておく。ここで、急冷運転とは、設定温度を本来の目標温度より下げ、本来の目標温度に早く到達させるとともに、より低温に到達させる冷却運転のことである。このようにすることにより、急冷運転で貯蔵室内及び食品温度をある程度低温化しておくことで、突然に追加のまとめ買いをする等の収納状態の急激な変化に対しても、貯蔵室内及び食品の温度上昇を抑制し、食品の保存品質を維持することが可能となる。
なお、以上においては、冷蔵室100に庫内撮影手段2を設置する構成を例に説明したが、当該構成を適用する貯蔵室は任意である。すなわち、冷蔵室100以外の貯蔵室、例えば冷凍室400、野菜室500等に庫内撮影手段2を設置するようにしてもよい。
実施の形態2.
図6から図8は、この発明の実施の形態2に係るもので、図6は冷蔵庫の側方断面図及び機能ブロック図、図7は冷蔵庫が備えるスケジュール設定/表示手段によるユーザのスケジュール表示の一例を示す図、図8は冷蔵庫が備える設定温度算出手段が算出した設定温度の一例を示す図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、推定した食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)に加えて、ユーザのスケジュール情報も用いて、以後の各時点における前記貯蔵室内への食品の収納状態を推定するようにしたものである。
図6に示すように、この実施の形態2に係る冷蔵室100の扉に設置された操作パネル1には、スケジュール設定/表示手段10が備えられている。スケジュール設定/表示手段10は、ユーザのスケジュール情報を入力するスケジュール設定手段である。また、スケジュール設定/表示手段10は、後述するスケジュール管理手段11により管理されているユーザのスケジュール情報を表示するスケジュール表示手段でもある。
ここで、実施の形態1で前述したように、操作パネル1は、冷蔵室100又は他の貯蔵室の扉、あるいは、冷蔵庫1000の筐体の側面等、冷蔵庫1000の筐体の外面に設けられている。したがって、操作パネル1に備えられているスケジュール設定/表示手段10、すなわちスケジュール設定手段も、冷蔵庫1000の筐体の外面に設けられている。
冷蔵庫1000の背面側の上部には、制御基板1004が設けられている。この制御基板1004には、食品画像管理手段3、食品画像識別手段4、食品画像データベース5、食品収納傾向推定手段6、食品収納状態推定手段7、設定温度算出手段8及び冷却制御手段9として機能する回路に加え、スケジュール管理手段11として機能する回路が実装されている。スケジュール管理手段11は、スケジュール設定/表示手段10により入力されたユーザのスケジュール情報を記憶するものである。
冷蔵庫1000の使用者及び冷蔵庫1000が載置される住居の居住者、すなわちユーザは、スケジュール設定/表示手段10を操作して、ユーザのスケジュール情報を入力する。ここで、スケジュール情報には、ユーザの在否予定、生活パターン及び買い物パターン(予定)等が含まれる。スケジュール設定/表示手段10により入力されたユーザのスケジュール情報は、スケジュール管理手段11において整理されて記憶される。
なお、この実施の形態2においては、ユーザのスケジュール情報は、冷蔵庫1000単体にて一括管理される。
スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報は、操作パネル1内のスケジュール設定/表示手段10において表示することができる。図7に、スケジュール設定/表示手段10において表示されるユーザのスケジュール情報の一例を示す。スケジュール設定/表示手段10により入力されたユーザのスケジュール情報を、スケジュール管理手段11にてデータ管理し、スケジュール設定/表示手段10に改めて表示させた画面を模擬したものである。したがって、図7に示す例は、スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報の一例であるとも言える。
図7には、(a)〜(c)の3種類の表示画面例を示している。図7において、(a)は月表示、(b)は週表示、(c)は日表示のスケジュール画面である。なお、ここで、ユーザとしては、一般的な共働き家庭の4人家族(父:太郎、母:花子、長女:和美、長男:一夫)を想定している。
図7の(a)月表示には、予定ありマーク12が示されている。ここでは、予定ありマーク12には、家族全員の予定ありマーク12a、父(太郎)の予定ありマーク12b、母(花子)の予定ありマーク12c、長女(和美)の予定ありマーク12d及び長男(一夫)の予定ありマーク12eがある。
また、図7の(b)週表示には、予定内容マーク13が示されている。ここでは、予定内容マーク13として、旅行予定マーク13a、出張予定マーク13b、ゴルフ予定マーク13c、外食予定マーク13d、水泳(習い事)予定マーク13e、ピアノ(習い事)予定マーク13f及びサッカー(習い事)予定マーク13gの各内容を表すマークが表示されている例を示している。
また、図7の(c)日表示には、1日における時間(帯)を示す目盛りと、この目盛り上に示された現在時刻14とが表示されている。そして、非定常予定による外出時間帯15、定常予定による外出時間帯16及び就寝時間帯17が示されている。ここでは、非定常予定による外出時間帯15として、出張(非定常予定)による外出時間帯15a及び外食(非定常予定)による外出時間帯15bの各内容を表すマークが表示されている例を示している。また、定常予定による外出時間帯16として、仕事(定常予定)による外出時間帯16a及び学校(定常予定)による外出時間帯16bの各内容を表すマークが表示されている例を示している。
図6を再び参照しながら説明を続ける。この実施の形態2における食品収納状態推定手段7は、食品収納傾向推定手段6により推定された食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)に加えて、スケジュール管理手段11により記憶されているユーザのスケジュール情報をさらに用いて、以後の各時点における貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内への食品の収納状態を推定する。
次に、食品の収納状態の推定にスケジュール情報を反映する具体的な例を説明する。以下においては、スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報の具体的な内容は図7に示したものであるとする。まず、数日程度の期間においてスケジュール情報を反映する制御例について説明する。図7の(a)月表示及び(b)週表示に示すように、この例では、12/5〜7の間は旅行により家族全員が不在である。この間は、収納食品が増加することも減少することもないことが確実である。
したがって、食品収納傾向推定手段6により推定された継続的に繰り返される食品収納パターンでは、食品の収納量が大きく変化するような場合であっても、12/5〜7の期間においては当該収納パターン通りには、収納量が変化しないことが予想される。例えば、食品収納傾向推定手段6により推定された食品収納パターンがまとめ買いパターンであれば、週末には収納物が増加する。しかし、図7に示すスケジュール情報を考慮に入れると、12/5〜7に含まれる週末には収納物が増加しないということになる。
次に、1日における数時間程度の期間においてスケジュール情報を反映する制御例について説明する。図7の(c)日表示に示すように、この例では、定常予定による外出時間帯16(仕事(定常予定)による外出時間帯16a及び学校(定常予定)による外出時間帯16b)である8:00〜15:00の時間帯と就寝時間帯17の23:00〜6:00は、通常、突発的な事例(病気で帰宅する、夜中に起きだして飲料を取り出す等)を除き扉開閉が行われることがない。したがって、食品収納傾向推定手段6により推定された継続的に繰り返される食品収納パターンに、上記時間帯は収納状態が変化しないというスケジュール情報を反映することができる。
また、非定常予定による外出時間帯15(外食(非定常予定)による外出時間帯15b)である18:00〜21:00の時間帯についても、12/11は外食により扉開閉がほとんど行われないことが予想される。したがって、食品収納傾向推定手段6により推定された継続的に繰り返される食品収納パターンに、12/11の上記時間帯は収納状態が変化しないというスケジュール情報を反映することができる。
このように、食品収納状態推定手段7は、食品収納傾向推定手段6により推定された継続的に繰り返される食品収納パターンをベースとしつつ、スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報を考慮して、食品収納パターンから一時的に外れるが予想できる場合には、食品収納パターンに当てはまらない期間が発生することが予想できる場合には、スケジュール情報に基づいて当該期間の食品の収納状態を推定する。
このため、例えば、食品収納パターンに基づいて推定した食品の収納状態では設定温度を低くしていた期間について、スケジュール情報を反映した結果、食品の収納状態が変化しないことが予想されるため、設定温度を上昇させることができる。したがって、食品の保存品質を損なうことなく無駄な冷却を回避して省エネすなわち消費エネルギー量の削減を図ることができる。
さらに言えば、例えば、急冷運転の原因となる、扉開閉の頻度が少ない場合、あるいは、貯蔵室内の食品収納量が少ない場合等は、扉開閉の頻度が多い場合、あるいは、貯蔵室内の食品収納量が多い場合より、設定温度を上昇させても食品の保存品質を損なうことなく節電運転することが可能である。
そして、スケジュール情報として、定常的な外出、就寝、起床等のユーザ全員が関連する行為の予定に加え、買い物の予定についても含めることで、前述したまとめ買いパターン等の食品収納パターンよりも細かい買い物の状況を食品の収納状態の推定に反映することが可能である。
具体的に例えば、共働き家庭は週末にまとめ買いし、専業主婦(主夫)家庭は毎日あるいは1日おきの短周期で買い物をする等のパターンを、スケジュール管理手段11にて管理することが可能である。そして、週末のまとめ買いパターンについては、週末は扉開閉が頻発し食品の収納量が多くなるが、平日は週末に向かって徐々に収納量が減少する食品収納パターンになる。また、短周期の買い物パターンに対しては、買い物予定日のみ収納量が増加する食品収納パターンになる。
この際、実施の形態1と同様に、設定温度算出手段8は、算出した設定温度が現在より温度を上昇させるものである場合、現在より設定温度を下降させて冷却制御手段9に冷却運転を実施させた後に、設定温度を上昇させるようにしてもよい。すなわち、スケジュール情報に基づき設定温度算出手段8により算出された設定温度が、貯蔵室の温度を上昇させるものである場合、設定温度算出手段8は、設定温度を上昇させる前に、予め設定温度を下降させて冷却制御手段9に冷却運転を実施させる。
具体的な例で言えば、図7の(c)の例において、外食による外出時間帯15b(18:00〜21:00)の前に、予め急冷運転を実施し、貯蔵室内の温度を低下しておく。このようにすることにより、急冷運転で貯蔵室内及び食品温度をある程度低温化しておくことで、外食の予定が変更となり収納状態が急激に変化しても、貯蔵室内及び食品の温度上昇を抑制し、食品の保存品質を維持することが可能となる。
図8は、この発明の実施の形態2に係る冷蔵庫1000において、設定温度算出手段8により算出される設定温度の一例である。スケジュール管理手段11により整理、管理されているスケジュール情報と、ユーザの生活パターンとには一定の相関関係があると考えられる。そこで、いくつかのユーザの生活パターンから冷蔵庫1000の使用態様を想定し、それぞれの冷蔵庫1000の使用態様となるスケジュール情報を与えた場合に、設定温度算出手段8により算出される各貯蔵室の設定温度を、シミュレーションにより試算したものが、図8に示すデータである。
図8の例では、冷蔵庫1000の使用態様として、(1)標準:標準的な使用、(2)製氷不要:冷蔵庫1000で氷は作らない、(3)1ヶ月限定:冷凍した食品は1ヶ月以内に使い切る、(4)冷凍のみ:冷凍室400しか使わない(冷凍室専用)、(5)冷蔵のみ:冷凍して食品を保存しない、及び、(6)別荘用:長期使用せず、臭い対策で冷やしているだけ、の6つについてシミュレーションを実施した。
この図8の(2)〜(6)に示すように、ユーザの生活パターンに合わせた冷蔵庫1000の使用態様となるようなユーザのスケジュール情報を考慮に入れることで、設定温度算出手段8により算出される各貯蔵室の設定温度は、(1)の標準と比較しておおむね高くなる。そして、(2)〜(6)のいずれにおいても、(1)では得られない高い省エネ率(11〜55%)となっていることが分かる。そして、ユーザが食品の保存について冷蔵庫1000に求める目的を満たしたうえで、最大限の省エネルギー効果を得ることができる。
なお、他の構成及び動作等については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
以上のように構成された冷蔵庫1000においては、ユーザのスケジュール情報を加味して貯蔵室内の食品の収納状態の変化傾向を補正することができるため、各時点における貯蔵室内の食品の収納状態を、より正確に推定することができる。したがって、実施の形態1と同様の効果を奏することができるのに加えて、消費エネルギー量のさらなる削減を図ることが可能である。
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3に係るもので、冷蔵庫の側方断面図及び機能ブロック図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成において、推定した食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)に加えて、貯蔵室の扉の開閉も考慮に入れて、以後の各時点における前記貯蔵室内への食品の収納状態を推定するようにしたものである。
図9に示すように、この実施の形態3においては、冷蔵庫1000に扉開閉検出手段18が設けられている。実施の形態1でも説明したように、貯蔵室、例えば冷蔵室100には、冷蔵室100の前面に形成された出し入れ口を開閉する扉が設けられている。そして、扉開閉検出手段18は、この貯蔵室(ここでは冷蔵室100)の扉の開閉を検出する。
扉開閉検知手段18としては、例えば、冷蔵室100の扉に埋め込まれたマグネット(磁石)の近接を、冷蔵庫本体側に設置された一対のリードスイッチよって検出するマグネット方式等を用いることができる。
食品収納状態推定手段7は、食品収納傾向推定手段6により推定された食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)、あるいは、スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報に加えて、扉開閉検出手段18の検出結果をさらに用いて、以後の各時点における貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内への食品の収納状態を推定する。
具体的に例えば、食品収納パターンあるいはスケジュール情報に基づいて収納状態は変化しないと推定されている場合に、設定温度算出手段8が設定温度を予め定められた通常より高く設定して節電運転を実施しているときを考える。このようなときに、扉開閉検出手段18により貯蔵室の扉が開閉されたことが検出された場合、食品収納状態推定手段7は、貯蔵室の扉が開閉されたことで、食品の収納状態が変化すると判断する。
そして、食品収納状態推定手段7により食品の収納状態が変化の発生が推定されたことで、設定温度算出手段8は当該貯蔵室の設定温度を予め定められた通常よりも低く設定し、冷却制御手段9は急冷運転を行う。したがって、扉開閉による貯蔵室内や食品の温度上昇を抑制し、食品の保存品質を維持することが可能となる。
なお、他の構成及び動作等については実施の形態1又は実施の形態2と同様であって、その詳細説明は省略する。
以上のように構成された冷蔵庫1000は、食品収納傾向推定手段6により推定された継続的に繰り返される食品収納パターン、あるいは、スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報に基づいて、食品収納状態推定手段7により推定した食品の収納状態を、扉開閉検出手段18の検出結果により補正することができる。
このため、急激な収納状態の変化、例えば、バーゲンセールによる突然のまとめ買いや頂き物による収納量の急激な増加、あるいは、外食のキャンセル等の予定になかったスケジュール変更が発生して扉の開閉が行われた場合にも対応することができる。すなわち、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することができるのに加えて、さらに、食品の保存品質をより適切に維持することが可能となる。
実施の形態4.
図10から図13は、この発明の実施の形態4に係るもので、図10は冷蔵庫の側方断面図及び機能ブロック図、図11は冷蔵庫の収納容積占有率が0%の場合の温度履歴の一例を示す図、図12は冷蔵庫の収納容積占有率が40%の場合の温度履歴の一例を示す図、図13は冷蔵庫の収納容積占有率が70%の場合の温度履歴の一例を示す図である。
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態1〜3のいずれかの構成において、推定した食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)に加えて、貯蔵室内の温度も用いて以後の各時点における前記貯蔵室内への食品の収納状態を推定するようにしたものである。
図10に示すように、この実施の形態4においては、冷蔵室100内に庫内温度検出手段19が設置されている。庫内温度検出手段19は、貯蔵室である冷蔵室100内の温度を検出する。庫内温度検出手段19は、ここでは、冷蔵室100内における背面に配置されている。
食品収納状態推定手段7は、食品収納傾向推定手段6により推定された食品の収納状態の変化傾向(食品収納パターン)、スケジュール管理手段11に記憶されているスケジュール情報、あるいは、扉開閉検出手段18の検出結果に加えて、さらに庫内温度検出手段19の検出結果を用いて、以後の各時点における貯蔵室(ここでは冷蔵室100)内への食品の収納状態を推定する。
冷蔵庫1000に食品を保管する場合、食品の品質を維持するためには、食品の冷却負荷に適した温度で冷却する必要がある。なお、冷却負荷とは、収納物を目標温度まで冷却するために必要な冷却能力のことである。一般的に冷却負荷は収納量に比例するが、必ずしもそうとは限らない場合がある。例えば、収納量が小さくても収納物の熱負荷が大きい場合には冷却負荷が大きくなり、この場合、それ以上の収納量増加は食品の品質劣化を招く。一方、収納量が多くても庫内温度が低温で温度が安定していれば、冷却負荷は小さくなり、この場合、収納量を減少させる必要はなく、その状況において設定温度を低くすると、逆に食品が凍結して品質劣化する場合もある。
食品画像識別手段4により識別された食品の種類及び量によっても、当該食品の冷却負荷をある程度は推定することができる。しかしながら、実際の収納物の冷却負荷は、収納物の冷却状況(現在温度)、及び、収納物配置のバランス(冷却しやすい配置になっているか)にも影響される。
そこで、この実施の形態4においては、食品収納状態推定手段7は、食品の収納状態として、食品の種類及び量だけでなく、庫内温度検出手段19により検出された冷蔵室100内の温度から予測される食品の冷却負荷も含むようにしている。
図11から図13は、この発明の実施の形態4に係る冷蔵庫1000の冷蔵室100における、温度履歴を示す実測データの一例を示すものである。これらの図は、冷蔵室100の扉を1分間全開にした後、24時間運転した際における、庫内各位置の温度及び消費電力の実測値の時系列変化を示すものである。図11〜図13のそれぞれにおいて、(a)は冷蔵室100内の主要温度と消費電力、(b)は冷蔵室100内の棚温度、(c)は冷蔵室100内の扉棚温度の実測結果である。図11から図13は、冷蔵室100の収納容積占有率を変化させたもので、図11は収納容積占有率:0%、図12は収納容積占有率:40%、図13は収納容積占有率:70%の場合である。
これらの図において、(a)は、冷蔵室天井面の平均温度20、冷蔵室背面の平均温度21、冷蔵室100の背面に設置された吹出口から供給される冷却空気の平均温度22、冷蔵庫1000全体の全消費電力23を示している。(b)は、冷蔵室100内の棚板によって、例えば4段に仕切られた、冷蔵室100内各棚のマス温度24を示している。より詳しくは、冷蔵室棚最上段マス温度24a、冷蔵室棚2段目マス温度24b、冷蔵室棚3段目マス温度24c、冷蔵室棚最下段マス温度24dである。
(c)は、冷蔵室100の扉の裏面に、例えば3段分設置された、冷蔵室100内各扉棚(図示せず)のマス温度25を示している。より詳しくは、冷蔵室扉棚上段マス温度25a、冷蔵室扉棚中段マス温度25b、冷蔵室扉棚下段マス温度25cを示している。なお、収納物は袋入りインスタントラーメンで模擬し、(b)に示される冷蔵室100内各棚のマス温度24の測定位置は、収納物より背面側となっている。なお、マス温度とは、その空間の熱容量を考慮した空気温度で、実際には該当空間の大きさに対する真鍮円柱の温度である。
図11から図13より、(a)〜(c)の庫内温度履歴において、収納容積占有率が高いほど、収納物より背面側の冷蔵室棚のマス温度24は低温になっていることが分かる。また、収納容積占有率が高いほど、収納物より扉側の冷蔵室扉棚のマス温度25は高温になっていることが分かる。つまり、収納物により、冷却空気の冷蔵室100の扉側への供給が阻害されていることが示されている。
特に、図13の収納容積占有率が70%の場合は、冷蔵室100内下方の棚温度である、冷蔵室棚3段目マス温度24c及び冷蔵室棚最下段マス温度24dが0℃以下まで低下している。一方の冷蔵室100内上方の扉棚温度である冷蔵室扉棚上段マス温度25aは13〜14℃を維持しており、冷蔵温度帯から外れ、食品の劣化を促進させる温度環境となっていることが示されている。
なお、図11から図13のそれぞれの(a)において全消費電力23がほぼ0まで下がっているのは、冷蔵庫1000の冷却する冷媒回路の圧縮機1001の運転が停止されたことを示している。圧縮機1001の運転が停止されている間は、空気搬送装置1003のみが駆動する運転となる。収納容積占有率が0〜70%において、全消費電力23の最大値は50W程度を維持しているが、収納容積占有率が高いほど圧縮機1001の運転を停止する回数が減少しており、消費電力量としては増加していることが示されている。
冷蔵庫1000内の収納状態と庫内温度には以上のような関係があることから、食品収納状態推定手段7による各時点の収納状態の推定に、庫内温度検出手段19による空気温度検出結果を反映することで、食品収納傾向推定手段6により推定された継続的に繰り返される食品収納パターンと相反する冷却負荷にも対応することが可能となる。
例えば、買い物パターンやスケジュール情報に基づいて、収納量が少ない状況が継続すると推定された場合でも、収納物が重量物である、あるいは冷却されにくい位置に載置される等の理由により、当該収納物の温度が低下しなかった場合を考える。このような場合に、当該収納物の温度が低下しないことに伴い庫内温度も低下しないことが庫内温度検出手段19によって検出されれば、設定温度算出手段8により設定温度を通常より高く設定する節電運転を実施しないようにする。このようにすることにより、庫内温度が上昇することを回避し、食品の保存品質を維持することが可能となる。
一方、例えば、買い物パターンやスケジュール情報に基づいて、扉開閉が頻発するような状況が推定された場合でも、収納物の熱伝導率が高い、あるいは収納物が一旦冷却されて温度上昇しにくい状態である等の理由により、当該収納物がすぐに冷却されて低温が維持された場合を考える。このような場合には、当該収納物が低温を維持したことに伴って庫内温度も上昇しないことが庫内温度検出手段19によって検出されれば、設定温度算出手段8により設定温度を通常より高く設定して節電運転を実施し、食品の保存品質を維持したままエネルギー消費量の削減を図ることが可能となる。
ここで、図10において、庫内温度検出手段19は、冷蔵室100の3段目の棚板の背面壁に設置されているが、設置位置はこの場所に限られない。すなわち、庫内温度検出手段19の設置位置は、冷蔵室100内の空気温度を代表できる位置であれば、冷蔵室100の他の棚板の背面壁でも、あるいは冷蔵室100の扉側でもよい。特に、図11から図13に示したように、収納量増加によって最も温度上昇が著しい、冷蔵室扉棚上段マス温度25aの測定位置付近に庫内温度検出手段19を設置すれば、品質劣化の可能性をいち早く検知し、設定温度算出手段8における設定温度の算出に反映することが可能となる。
なお、他の構成及び動作等については実施の形態1〜3のいずれかと同様であって、その詳細説明は省略する。
以上のように構成された冷蔵庫1000は、貯蔵室内の温度の検出結果を食品の収納状態として考慮に入れることで、各時点における貯蔵室内の食品の収納状態を、より正確に推定することができる。したがって、実施の形態1〜3のいずれかと同様の効果を奏することができるのに加えて、消費エネルギー量のさらなる削減を図ることが可能である。
実施の形態5.
図14から図16は、この発明の実施の形態5に係るもので、図14は冷蔵庫を備えたネットワークシステムが適用された宅内システムの全体構成を示す図、図15は冷蔵庫の側方断面図及び機能ブロック図、図16は冷蔵庫を備えたネットワークシステムが適用された宅内システムにおける各家電機器の消費電力レベルの履歴データの一例を示す図である。
図14に示すように、宅内システム2000は、冷蔵庫1000、ルームエアコン、給湯器、IHクッキングヒータ、電子レンジ等の家電機器を備えている。これらの家電機器及び電力計測装置2003は、電灯線2002によって系統電源2001と接続され、系統電源2001から電力を供給されている。冷蔵庫1000は、前述した実施の形態1〜4のいずれかの構成を備えている。
電力計測装置2003は、各家電機器に供給される電力(すなわち、各家電機器の消費電力)及び系統電源2001から供給される全電力を計測し、その履歴を保存することができる。電力計測装置2003は、例えばCT等の電力計測端子2004によって供給電力を測定する。
冷蔵庫1000を含む各家電機器及び電力計測装置2003は、通信ネットワークを介して宅内コントローラ2005と通信可能に接続されている。宅内コントローラ2005は、冷蔵庫1000と通信ネットワークを介して通信可能に接続されたユーザ端末である。
冷蔵庫1000を含む各家電機器及び電力計測装置2003のそれぞれには、通信ネットワークを介して宅内コントローラ2005と通信するための通信手段26が設けられている。冷蔵庫1000を含む各家電機器及び電力計測装置2003は、それぞれの通信手段26を介して宅内コントローラ2005有線又は無線で双方向通信することができる。
通信手段26としては、有線で通信する場合は、例えばシリアルインターフェースやドライバ等の有線通信モジュールが具備されており、無線で通信する場合は無線通信モジュールが具備されている。なお、通信手段26は、各家電機器及び電力計測装置2003のそれぞれに内蔵されていてもよいし、各家電機器及び電力計測装置2003の外部に設けられてもよい。
宅内コントローラ2005は、電力計測装置2003が計測した各家電機器の消費電力及び系統電源2001の供給電力の情報を、通信ネットワークを介して電力計測装置2003から取得することが可能である。また、宅内コントローラ2005は、各家電機器の運転状態の情報を通信ネットワークを介して取得することが可能である。そして、宅内コントローラ2005は、取得した消費電力及び供給電力並びに運転状態の情報を管理し、必要に応じて、各家電機器に対して通信ネットワークを介して制御変更指示を送信することも可能な構成となっている。
次に、図15を参照しながら、この実施の形態5に係るネットワークシステムが備える冷蔵庫1000の構成について説明する。なお、前述したように、冷蔵庫1000の主な構成は実施の形態1〜4のいずれかと同じである。ここでは、冷蔵庫1000の主な構成は実施の形態2と同じである場合について説明する。
図15に示すように、この実施の形態5では、スケジュール設定/表示手段10は、宅内コントローラ2005に備えられている。すなわち、スケジュール設定手段は、冷蔵庫1000でなくユーザ端末である宅内コントローラ2005に設けられている。宅内コントローラ2005のスケジュール設定/表示手段10に入力されたスケジュール情報は、通信ネットワークを介して冷蔵庫1000へと送られる。そして、冷蔵庫1000は、受け取ったスケジュール情報を、スケジュール管理手段11により記憶する。
宅内コントローラ2005(ユーザ端末)は、スケジュール管理手段11により記憶されているユーザのスケジュール情報を、通信ネットワークを介して冷蔵庫1000から取得可能である。そして、宅内コントローラ2005(ユーザ端末)は、取得したスケジュール情報をユーザに提示可能である。このスケジュール情報の提示は、例えば、宅内コントローラ2005が備えるスケジュール設定/表示手段10の表示機能を利用して行うことができる。
また、宅内コントローラ2005(ユーザ端末)は、食品収納傾向推定手段6により推定された食品の収納状態の変化傾向、食品収納状態推定手段7により推定された食品の収納状態、及び、貯蔵室の設定温度の情報を、通信ネットワークを介して冷蔵庫1000から取得可能である。そして、宅内コントローラ2005(ユーザ端末)は、取得した食品の収納状態の変化傾向、食品の収納状態及び貯蔵室の設定温度の情報をユーザに提示可能である。この情報の提示は、宅内コントローラ2005が備えるスケジュール設定/表示手段10の表示機能を利用して行ってもよいし、宅内コントローラ2005に別途モニタ等の表示装置を設けて行うようにしてもよい。
さらに、宅内コントローラ2005は、電力計測装置2003が計測した各家電機器の消費電力に関する情報を、通信ネットワークを介して冷蔵庫1000へと送信可能である。冷蔵庫1000は、受け取った各家電機器の消費電力に関する情報を、スケジュール情報とともに、スケジュール管理手段11により記憶して管理することができる。
そして、食品収納状態推定手段7は、スケジュール管理手段11により記憶されている前ユーザのスケジュール情報及び家電機器の消費電力に関する情報をさらに用いて、以後の各時点における貯蔵室内への食品の収納状態を推定することができる。
次に、図14及び図15を参照しながら、以上のように構成された冷蔵庫1000を備えた宅内システム2000(ネットワークシステム)の動作について説明する。
図14に示す、冷蔵庫1000、ルームエアコン、給湯器、IHクッキングヒータ、電子レンジ等の各家電機器は、系統電源2001から電力を供給されて運転を実施する。そして、これらの家電機器は、継続的に、あるいは、要求があった時に、通信手段26及び通信ネットワークを介して、有線通信又は無線通信により宅内コントローラ2005に運転状態の情報を送信する。
冷蔵庫1000の運転状態の情報としては、例えば、各貯蔵室の設定温度、実際の温度履歴、製氷運転及び急冷運転等の運転モード、給水タンクの空状態、並びに、各貯蔵室の扉の開状態のアラート情報等がある。
電力計測装置2003は、電力計測端子2004により各家電機器に供給されている電流を測定し、各家電機器の消費電力及び系統電源2001の供給電力を算出する。そして、その算出した電力情報を、通信装置10及び通信ネットワークを介して、有線通信又は無線通信により宅内コントローラ2005に送信する。
宅内コントローラ2005は、電力計測装置2003から取得した各家電機器の消費電力、系統電源2001の供給電力、及び、各家電機器から取得した運転状態の情報を管理する。また、宅内コントローラ2005は、それらの情報をもとに各家電機器に対して制御変更指示を送信する。
例えば、各家電機器の消費電力合計が、系統電源2001の供給容量の上限値に迫っている場合には、宅内コントローラ2005は、特に消費電力の大きい家電機器に対して節電指示を送信する。そして、冷蔵庫1000については、貯蔵室の設定温度と実際の温度履歴とから冷却過剰と判断された場合に、宅内コントローラ2005から設定温度の上昇を指示することができる。
図15に示した冷蔵庫1000単体の動作は、基本的に実施の形態2と同様である。ただし、ユーザのスケジュール情報の入力及び表示は、宅内コントローラ2005に内蔵されたスケジュール設定/表示手段10により行う。また、スケジュール管理手段11は、スケジュール情報とともに各家電機器の消費電力に関する情報も記憶している。そして、食品収納状態推定手段7は、スケジュール管理手段11により記憶されている前ユーザのスケジュール情報及び家電機器の消費電力に関する情報をさらに用いて、以後の各時点における貯蔵室内への食品の収納状態を推定することができる。
ここで、前述したように、宅内コントローラ2005は、冷蔵庫1000に関して、スケジュール情報、食品の収納状態の変化傾向、食品の収納状態及び貯蔵室の設定温度の情報を表示可能である。したがって、宅内コントローラ2005にて全ての操作を実行し確認できるので、わざわざ冷蔵庫1000が載置されている場所まで行って操作パネル1を操作する必要がない。
また、冷蔵庫1000単体で管理していた食品の収納状態に関する情報、算出された設定温度の情報、及び、ユーザのスケジュール情報を、宅内コントローラ2005にて一括管理できる。さらには、各家電機器の消費電力や運転情報も宅内コントローラ2005で一括管理できる。そのため、他の家電機器の制御にもユーザのスケジュール情報等を反映することが可能となる。また、冷蔵庫1000単体としても、操作パネル1の構成を簡略化できるという効果が得られる。
宅内コントローラ2005には、各貯蔵室の収納状態及び温度情報、入力されたユーザのスケジュール情報、収納状態及びスケジュール情報に基づいて算出された設定温度に加え、系統電源2001の供給電力や冷蔵庫1000の消費電力情報が併せて表示される。そして、食品の収納状態やユーザのスケジュールに加え、電力の需給状況、それに対応した制御内容を確認することにより、ユーザに節電行動を啓蒙することが可能になるという効果が得られる。
図16は、この発明の実施の形態5に係る冷蔵庫1000を備えた宅内システム2000における、各家電機器の消費電力レベルを示す履歴データの一例である。この図16は、図14に示した宅内システム2000において、電力計測装置2003が計測した各家電機器の消費電力レベル、及び宅内システム2000の合計消費電力レベルの1日の履歴データを模擬したものである。図16の(a)は宅内システム2000の合計、(b)は冷蔵庫1000、(c)はルームエアコン、(d)は給湯器、(e)はIHクッキングヒータ、(f)は電子レンジの消費電力レベルである。
図16の(a)〜(f)は、電力計測装置2003が計測した消費電力レベルの履歴の模擬データ27である。より詳しくは、通常運転時の消費電力レベルの履歴の模擬データ27a、及び、冷却制御変更後の消費電力レベルの履歴の模擬データ27bである。なお、宅内システム2000は、実施の形態2で説明した図7と同様に、共働き家庭の住居に設置され、昼間(8:00〜18:00)は宅内が不在となることを想定している。
図16に示されるように、調理に使用される(e)IHクッキングヒータ及び(f)電子レンジでは、朝食時の6:00〜8:00と夕食時の18:00〜20:00とに突発的に消費電力レベルが上昇する。(c)ルームエアコンでは、朝食時と重なる起床時及び夕食時と重なる帰宅時に起動して急激に消費電力レベルが大きくなり、その後は比較的低い消費電力レベルで定常運転を継続する。
また、(d)給湯器では、夜間の入浴時に消費電力レベルが若干上昇する以外は、深夜電力帯に沸き上げられることが想定される。(b)冷蔵庫1000についても、朝食時と夕食時には各貯蔵室の扉の開閉頻度が多くなるので、温度上昇を回避するために冷却し、通常運転時の消費電力レベルは上昇している。
(a)宅内システム2000の合計に示されているように、結果的に、通常運転時の消費電力レベルは、朝食時と夕食時とに集中的に上昇することになる。さらに、図16では(b)冷蔵庫1000において、霜取運転が夜間の21:00〜23:00に実施されることを想定しているが、霜取運転も朝食時あるいは夕食時に重なった場合、供給電力を逼迫する可能性が高くなる。
このとき、宅内コントローラ2005は、電力計測装置2003から各家電機器の消費電力や系統電源2001の供給電力を入手し、各家電機器の消費電力合計が、系統電源2001の供給容量の上限値に迫っている場合に、通信手段26を介して節電指示を送信する。例えば朝食時や夕食時において、調理を実施している(e)IHクッキングヒータ又は(f)電子レンジは、節電指示を受け入れることが困難であるが、その時間帯に消費電力が大きくなる運転をする必然性のない(b)冷蔵庫1000又は(c)ルームエアコンは、節電運転を実施することが可能である。
(b)冷蔵庫1000においては、例えば、朝食時や夕食時に冷蔵室100の扉の開閉頻度が多くなった場合に、冷却制御手段9により急冷運転を解除したうえで、冷蔵室ダンパ102の開率を大きくし、圧縮機1001の回転数及び空気搬送装置1003による搬送風量を減少させる信号を送信し、冷蔵室100に集中的に冷却空気を流入させる。
このような宅内コントローラ2005による制御指示により、図16の冷却制御変更後の消費電力レベルの履歴の模擬データ27bに示したように、朝食時及び夕食時の(b)冷蔵庫1000及び(a)宅内システム2000合計の消費電力レベルを低減することが可能となる。さらに、消費電力が大きくなる霜取運転や急冷運転は、運転履歴からそれらの運転が必要となるタイミングを予測した上で、冷却制御変更後の消費電力レベルの履歴の模擬データ27bに示すように、他の家電機器の消費電力レベルが小さい時間帯、特に単位電力あたりの電気代が安い深夜電力帯に予め実施させ、消費電力の集中を回避及び電力代の低減を図ることができる。
ここで、図16に示したように、各家電機器の消費電力はユーザの在否状況、すなわちユーザのスケジュールと密接な関係がある。この実施の形態5では、スケジュール設定/表示手段10により入力されたユーザのスケジュール情報と、各家電機器の消費電力情報とを宅内コントローラ2005にて一括管理する。これにより、冷蔵庫1000では、ユーザのスケジュール情報及び各家電機器の消費電力情報の双方の情報を反映して設定温度を算出することが可能な構成となっている。
すなわち、ユーザのスケジュール情報と各家電機器の消費電力情報とを照らし合わせることにより、例えば急なスケジュール変更、スケジュールの入力ミス、あるいは、食品収納パターン及びスケジュール情報だけでは判断できない生活パターン(在宅予定だが弁当や宅配などにより調理家電は使用しない等)を消費電力情報を活用することで推定することができる。そして、ユーザのスケジュールに正確に対応することができ、食品の保存品質を維持したうえで、冷却過剰や冷却不足のない最適な冷却制御を実施することが可能となる。
なお、図14では電力計測端子2004によって各家電機器に供給されている電流を測定し、電力計測装置2003において各家電機器の消費電力及び系統電源2001の供給電力を算出している。この点について、各家電機器に消費電力測定機能を搭載し、各家電機器から通信手段26及び通信ネットワークを介して、宅内コントローラ2005に消費電力情報を送信してもよい。これにより、図14に示す電力計測装置2003及び電力計測端子2004は不要となるため、宅内システム2000を簡略化でき、低コストで構築できる。
なお、冷蔵庫1000の他の構成及び動作等については実施の形態1〜4のいずれかと同様であって、その詳細説明は省略する。
実施の形態6.
図17は、この発明の実施の形態6に係るもので、冷蔵庫を備えたネットワークシステムが適用された宅内システム及び宅外システムの全体構成を示す図である。
この実施の形態6に係る宅内システム2000は、図17に示すように実施の形態5で説明した宅内システム2000内に、ブロードバンドルータ2006が設置されたものである。また、ユーザ端末である宅内コントローラ2005は、ブロードバンドルータ2006を経由して宅外システム3000のインターネット3001に接続されている。
インターネット3001は、各種電力情報及び天気予報等の環境情報が格納されているクラウドサーバ3002に接続されている。また、インターネット3001は、ユーザ携帯端末3004にも接続されている。ユーザ携帯端末3004は、ユーザが所持する例えばスマートフォン、携帯タブレット等である。
クラウドサーバ3002は、インターネット3001を介して冷蔵庫1000及びユーザ携帯端末3004と通信可能に接続された外部サーバである。外部サーバであるクラウドサーバ3002は、ユーザ携帯端末3004について冷蔵庫1000への接続権限の有無を認証する個人認証手段3003を備えている。
すなわち、クラウドサーバ3002は、冷蔵庫1000のIDに対して、当該冷蔵庫1000への接続権限を有するユーザ携帯端末3004の携帯端末IDを予め記憶している。ここで、冷蔵庫1000のIDとは、インターネット3001に接続された複数の冷蔵庫1000を一意に識別可能な情報である。また、携帯端末IDとは、インターネット3001に接続された複数のユーザ携帯端末3004を一意に識別可能な情報である。
そして、個人認証手段3003は、ユーザ携帯端末3004の携帯端末IDが、冷蔵庫1000の冷蔵庫1000に対して当該冷蔵庫1000への接続権限を有するものとして記憶されているか否かを確認することで、ユーザ携帯端末3004について冷蔵庫1000への接続権限の有無を認証する。
外部サーバであるクラウドサーバ3002は、個人認証手段3003により冷蔵庫1000への接続権限を有することを認証したユーザ携帯端末3004が、インターネット3001を介して冷蔵庫1000へと接続することを許可する。すなわち、クラウドサーバ3002は、個人認証手段3003により冷蔵庫1000への接続権限を有することが認証されていないユーザ携帯端末3004が、インターネット3001を介して冷蔵庫1000へと接続することを制限する。
宅内コントローラ2005は、実施の形態5で前述したように、宅内システム2000において電力計測装置2003から各家電機器の消費電力や系統電源2001の供給電力を入手し、また、各家電機器から運転状態や周囲環境の情報を入手する。さらに、宅内コントローラ2005は、ブロードバンドルータ2006を経由してインターネット3001に接続しており、クラウドサーバ3002から各種電力情報や環境情報を入手することが可能である。
例えば、宅内システム2000の宅内コントローラ2005は、宅外システム3000のクラウドサーバ3002から電力情報として宅内システム2000が載置されている地域に関する電力の需給状況を入手することができる。そして、地域の消費電力が供給電力の上限値に迫っている場合には、宅内コントローラ2005は、特に消費電力の大きい家電機器に対して節電指示を送信することができる。また、そのような場合に、冷蔵庫1000については、貯蔵室の設定温度と実際の温度履歴とから冷却過剰と判断された場合に、宅内コントローラ2005から設定温度の上昇を指示することができる。
さらに、宅内コントローラ2005は、例えば環境情報として、宅内システム2000が載置されている地域に関する天気予報の情報をクラウドサーバ3002から入手することができる。そして、この環境情報を冷蔵庫1000の制御に活用することにより、冷蔵庫1000外部の冷却負荷(環境負荷)の変動にも対応可能となる。そのため、常に食品の保存品質を維持できるという効果が得られる。
また、宅内コントローラ2005では、各貯蔵室の収納状態及び温度情報、入力されたユーザのスケジュール情報、食品の収納状態及びスケジュール情報等に基づいて算出された設定温度、並びに、系統電源2001の供給電力、冷蔵庫1000の消費電力情報、及び、各家電機器から入手した運転状態や周囲環境の情報等が閲覧可能である。そして、ブロードバンドルータ2006及びインターネット3001を経由して、宅外においてユーザ携帯端末3004からこれらの情報を閲覧することができる。
また、ユーザ携帯端末3004からインターネット3001を経由し、宅内コントローラ2005を介して直接的又は間接的に冷蔵庫1000に接続することもできる。この際、クラウドサーバ3002の個人認証手段3003により、冷蔵庫1000への接続権限を有することが認証されたユーザ携帯端末3004のみが、冷蔵庫1000への接続を許可される。
したがって、例えば家族のユーザ携帯端末3004の携帯端末IDを登録しておけば、セキュリティを維持したうえで貯蔵室内の収納状態及びスケジュール等の情報を共有することが可能となる。また、例えば、スーパー等の出先で貯蔵室内の収納状態が確認可能となるため、家族同士で同じものを重複して買ったり、買い忘れたりすること等を防ぐことができる。さらに、急に家族のスケジュール変更があった場合においても、宅外から即座にスケジュールを修正できる。
この実施の形態6においては、食品情報記憶手段である食品画像データベース5の全部又は一部を、外部サーバであるクラウドサーバ3002に設けるようにしてもよい。食品画像データベース5をクラウドサーバ3002に保存するようにすることで、食品の種類に関する膨大なデータを、例えば他のユーザ等と共有することが可能である。
他の構成及び動作については実施の形態1〜5のいずれかと同様であって、その詳細説明は省略する。
なお、以上で説明した個人認証手段3003はIDを用いて接続権限を認証するものであった。認証方法については、これに限定されない。IDの他に、例えば、指紋、静脈、目の虹彩等の生体認証、あるいは、パスワードによる認証、もしくは、これらの認証方法の組み合わせによって、接続権限を認証するようにしてもよい。